JP2013099226A - 半導体電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータ回路に設置されるフィルタ回路を小型化可能とするとともに、コモンモード電流を低減してエネルギー効率の優れた小型の半導体電力変換装置を提供する。
【解決手段】直流電源11に2つの相補的に動作するスイッチング素子SC1、SC2を直列接続して構成された双方向の降圧チョッパ回路1を接続する。そして、圧チョッパ回路1で降圧された直流を交流に変換するHブリッジインバータ回路2を降圧チョッパ回路1に接続する。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、直流を所望の交流に変換する半導体電力変換装置に関する。
例えば、太陽電池や燃料電池、バッテリなどの直流電源は、直流電力を電力系統へ連系させることが多く、直流電力を交流電力に変換させる単相インバータ回路が用いられている(例えば非特許文献1)。
図6は、従来の単相インバータ回路の一例を示す構成図である。直流電源11には単相インバータが接続されている。単相インバータは、4個のスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4に、逆並列ダイオードDA1、DA2、DA3、DA4が逆並列接続され、Hブリッジインバータで形成されている。
単相インバータは、直流電源11の直流電圧VDCを入力し、スイッチング素子SA1〜SA4のオン・オフによって、−VDC、0、VDCの3レベルで出力し、各レベルの出力時間を調整することによって電圧の大小を表わすPWM制御を行い擬似正弦波を出力する。この単相インバータ回路を電力系統に連系する際、PWM電圧波形に含まれる高調波に起因する高調波電流が系統へ流出することを防ぐため、リアクトルL、コンデンサCで構成するフィルタ回路12を介してトランスTRにより電力系統に連系する。
また、出力電圧VOUTのレベルが0のときにコモンモード電圧を発生し、トランスTRの中性点から直流電源11と対地間の寄生容量CCM1、CCM2を通してコモンモード電流iCMが流れる。コモンモード電流iCMは漏電遮断器の誤動作、感電・火災を引き起こす恐れがあるため、電気用品安全法等で規制されている。
「パワーエレクトロニクス入門」第4版、オーム社、2006年9月0日、p.283
ところが、このように構成された従来の単相インバータ回路においては、フィルタ回路12を設置しているので装置が大型化し、フィルタ回路12で発生する損失によりエネルギー効率が低下する。特にリアクトルLは銅損・鉄損を発生し効率低下への影響が大きい。一方、スイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4のスイッチング周波数を大きくすればフィルタ回路12を小さくできるが、スイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4に発生する損失が増大し、エネルギー効率の低下は免れない。
また、従来回路は出力電圧VOUTのレベルが0のときにコモンモード電圧を発生し、トランスTRの中性点から直流電源と対地間の寄生容量CCM1、CCM2を通してコモンモード電流iCMが流れるので、そのコモンモード電流iCMを抑制するためにコモンモードフィルタを挿入することがある。そうした場合には、コモンモードフィルタのリアクトルにより、銅損・鉄損を発生するためエネルギー効率低下の要因となる。
本発明の実施形態は、インバータ回路に設置されるフィルタ回路を小型化可能にするとともに、コモンモード電流を低減してエネルギー効率の優れた小型の半導体電力変換装置を提供する。
本発明の実施形態の半導体電力変換装置は、直流を所望の交流に変換する半導体電力変換装置において、直流電源に2つの相補的に動作するスイッチング素子を直列接続して構成され直流を降圧する双方向降圧チョッパ回路と、前記双方向降圧チョッパで降圧された直流を交流に変換するHブリッジインバータ回路とを備えたことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る半導体電力変換装置の構成図。 本発明の実施形態に係る半導体電力変換装置の各部の電流電圧の波形図。 本発明の実施形態に係る半導体電力変換装置のスイッチング素子SA1、SA4がオンのときの降圧チョッパ回路の出力電流iINの電流経路L1の説明図。 本発明の実施形態に係る半導体電力変換装置のスイッチング素子SA2、SA3がオンのときの降圧チョッパ回路の出力電流iINの電流経路L2の説明図。 本発明の実施形態における降圧チョッパ回路のリアクトルLに指令電流iLRefを流すためにリアクトル電流iを制御した場合の一例を示すグラフ。 従来の単相インバータ回路の一例を示す構成図。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る半導体電力変換装置の構成図である。図1では直流電圧VDCを任意の周波数fOut、電圧VOUTに変換して交流電力を供給するためのインバータを構成した半導体電力変換装置を示している。直流電源11には、電源側、負荷側の双方向に電流iを流せる降圧チョッパ回路を接続する。すなわち、双方向降圧チョッパ回路1は2つの直列接続したスイッチング素子SC1、SC2とそれぞれに逆並列に接続する2つのダイオードDC1、DC2、リアクトルLとコンデンサCで構成される。リアクトルLとコンデンサCはフィルタ回路の役目をする。
降圧チョッパ回路1の出力側にはインバータ回路2が接続されている。インバータ回路2は、4つのスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4および逆並列ダイオードDA1、DA2、DA3、DA4で構成されるHブリッジインバータ回路である。このインバータ回路2の出力側には系統連系トランスTRが接続され、交流電力を系統へ供給する。
双方向降圧チョッパ回路1を構成するスイッチング素子SC1、SC2は高速スイッチング素子とし、インバータ回路(Hブリッジインバータ回路)を構成するスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4は低速スイッチング素子とする。これは、後述するように、インバータ回路2のスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4のスイッチング回数は出力電圧VOUTの周波数fOUTと同じであり、スイッチング回数は従来回路の数100分の1となり、低速スイッチング素子でよいからである。
このように構成された半導体電力変換装置の直流電源11の直流電圧VDC、降圧チョッパ回路1のリアクトルLおよびコンデンサCの値は、半導体電力変換装置から電力系統に供給する電流値iOUT、電圧値VOUTに従い決定される。
図2は半導体電力変換装置の各部の電流電圧の波形図である。電力系統に供給する電流値iOUT、電圧値VOUT、降圧チョッパ回路1の出力電流iIN、コンデンサCの電圧V、コンデンサCに流入する電流iを示している。
まず、降圧チョッパ回路1とインバータ回路2との構成では、出力電圧は入力電圧より小さい値となる。つまり、出力電圧VOUTのピーク値Vは直流電圧VDCより小さくなければならない。よって、式(1)の関係により直流電圧VDCは決定される。
Figure 2013099226
この実施形態においては出力電圧VOUTを正弦波に近い波形とするため、コンデンサCの電圧Vの波形を正弦波の絶対値とする。インバータ回路2のスイッチング素子SA1、SA4をオンし、スイッチング素子SA2、SA3をオフすれば正の電圧を出力でき、スイッチング素子SA2、SA3をオンし、スイッチング素子SA1、SA4をオフすれば負の電圧を出力できる。
このため、出力電圧VOUTの極性が変わるときにスイッチング素子SA1、SA4、スイッチング素子SA2、SA3をそれぞれペアとしてオン・オフすれば、出力電圧VOUTを正弦波にできる。
次に、コンデンサ電圧Vを正弦波の絶対値とする方法を述べる。コンデンサに流入する電流iとコンデンサ電圧Vの関係は式(2)で示される。
Figure 2013099226
このため、コンデンサ電流iは正弦波の絶対値を微分した波形にしなければならない。降圧チョッパ回路1の出力電流iINはスイッチング素子SA1、SA4がオンのときは図3の経路L1を電流が流れ、スイッチング素子SA2、SA3がオンのときは図4の経路L2を流れる。したがって、例えば出力電圧VOUTと電流iOUTの位相が一致している力率1のとき、降圧チョッパ回路1の出力電流iINは出力電流iOUTの絶対値にする必要がある。
リアクトル電流iは電流iINとコンデンサ電流iの和となる。つまり、リアクトル電流iに式(3)で表わされる指令電流iLRefを流すことができれば、所望の電流電圧を出力できる。
Figure 2013099226
そこで、リアクトルLに指令電流iLRefを流すために、ヒステリシス制御を行う。リアクトルLの電流i・電圧Vの関係は式(4)に従う。
Figure 2013099226
したがって、スイッチング素子SC1がオンし、スイッチング素子SC2がオフの状態では、リアクトル電流iは図1の矢印の方向に増大し、スイッチングSC1がオフし、スイッチングSC2がオンの状態では減少する。
図5は、リアクトルLに指令電流iLRefを流すためにリアクトル電流iを制御した場合の一例を示すグラフである。スイッチング素子SC1がオン、スイッチング素子SC2がオフの状態において、リアクトル電流iが時点t1で指令電流iLRefをヒステリシス幅Aだけ上回ったとき、スイッチング素子SC1をオフしてスイッチング素子SC2をオンし、リアクトル電流iを減少させる。
次に、リアクトル電流iが時点t2で指令電流iLRefをヒステリシス幅Aだけ下回ったとき、スイッチング素子SC1をオンしてスイッチング素子SC2をオフし、リアクトル電流iを増大させる。このように、スイッチングSC1、SC2のオン・オフを繰り返すことによって、リアクトル電流iを指令電流iLRefの±Aの範囲(iLRef±A)に留めることができる。
スイッチング素子SC1、SC2のスイッチング周波数fSWは、直流電圧VDC、リアクトルLのインダクタンス値L、出力電圧VOUTやヒステリシス幅Aによって変化する。しかし、スイッチング素子SC1、SC2の特性によりスイッチング周波数fSWの上限値fSWULが存在し、上限値fSWUL以上のスイッチングを行うとスイッチング損失の増大による熱破壊が懸念される。
そこで、直流電圧VDCと出力電圧VOUTは仕様値として決まっているとしたとき、スイッチング周波数上限値fSWUL以上にスイッチング周波数fSWが増大しないようにリアクトルLのインダクタンス値L、ヒステリシス幅Aを決める。
図1の回路において、出力電圧VOUTのピーク値Vが直流電圧VDCより大きいとき、スイッチング周波数最大値fSWMAXは式(5)で決定される。
Figure 2013099226
出力電圧VOUTのピーク値Vが直流電圧VDCより小さいときは、式(6)に従う。
Figure 2013099226
式(6)のスイッチング周波数最大値fSWMAXが上限値fSWULを超えないように、ヒステリシス幅A、リアクトルLのインダクタンス値Lを決定する。
なお、出力電流iOUTが小さいときはスイッチング周波数上限値fSWULを引き上げることができるので、このときはヒステリシス幅Aを小さくすることができる。つまり、出力電流iOUTに応じてヒステリシス幅Aを動的に変化させてもよい。
また、インダクタンス値Lは出力電流iOUTの最大変化率を満足するように、式(7)の条件を満たしていることを確認する。なお、出力電流iOUTが0のときに、変化率が最大となる。
Figure 2013099226
次に、コンデンサCの容量値Cを決定する。インダクタンス値Lの電流変化率制限から、式(8)を満たす必要がある。
Figure 2013099226
式(2)を式(8)に代入し、式(9)を得る。
Figure 2013099226
コンデンサ電圧Vは電流i=0においては正弦波の絶対値の頂点の位置にあるため、式(9)は式(10)に書き換えられる。
Figure 2013099226
これを整理し、式(11)を得る。
Figure 2013099226
よって、式(11)の条件を満たすコンデンサ容量値に決定する。ただし、連系インピーダンスなどの出力回路のインダクタンスLOUTとの共振を回避するため、式(12)の条件を満たすことを確認する。
Figure 2013099226
ここで、Kは通常、数十以上の値とする。
上述したように、本発明の実施形態において、リアクトル電流指令値iLRefに従ってスイッチング素子SC1、SC2のオン・オフをヒステリシス制御し、供給したい電圧VOUTの極性に従ってスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4をオン・オフさせることにより、所望の交流電力を供給できる。
このように、降圧チョッパ回路1のリアクトルL、コンデンサCは出力電圧VOUTの周波数fOUTの変化率に対応するために、ある値以上に小さくする必要がある。従来の単相インバータ回路のフィルタ回路を構成するリアクトルL、コンデンサCは、スイッチング周波数fSWに比べてカットオフ周波数を十分に小さくするように設計する必要があり、本発明の実施形態のリアクトルL、コンデンサCと比較して必然的に大きくなる。
また、本発明の実施形態のインバータ回路2を構成するスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4は2レベル動作をする。すなわち、スイッチング素子SA1、SA4がオンのとき、スイッチング素子SA2、SA3がオフ、スイッチング素子SA1、SA4がオフのとき、スイッチング素子SA2、SA3がオンであるため、トランスTRの中性点にコモンモード電圧が現れない。つまり、コモンモード電流が流れないので、コモンモードフィルタが不要となる。
スイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4のスイッチング回数は出力電圧VOUTの周波数fOUTと同じであり、スイッチング回数は従来の単相インバータ回路の数100分の1である。さらに、力率が1であればコンデンサ電圧Vは0となり、原理的にスイッチング損失が発生しない。このため、インバータ回路2のスイッチング素子SA1、SA2、SA3、SA4は低速スイッチング素子でよい。
スイッチング素子数は、従来の単相インバータ回路では4個、本発明の実施形態の半導体電力変換装置では6個である。従来の単相インバータ回路は4つの高速スイッチング素子が必要であるのに対し、本発明の実施形態では、高速スイッチング素子は、降圧チョッパ回路1のスイッチング素子SC1、SC2のみでよく、コストが高い高速スイッチング素子の数が半減する。このため、全体コストは従来の単相インバータ回路よりも低減する。
従って、リアクトル、コンデンサの小型化、コモンモードフィルタが削減され、従来の単相インバータ回路と比較してエネルギー効率が高くなり、体積が小さいインバータを実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…降圧チョッパ回路、2…インバータ回路、11…直流電源、12…フィルタ回路、

Claims (8)

  1. 直流を所望の交流に変換する半導体電力変換装置において、直流電源に2つの相補的に動作するスイッチング素子を直列接続して構成され直流を降圧する双方向降圧チョッパ回路と、前記双方向降圧チョッパで降圧された直流を交流に変換するHブリッジインバータ回路とを備えたことを特徴とする半導体電力変換装置。
  2. 前記双方向降圧チョッパのフィルタリアクトルのインダクタンス値は、前記直流電源の直流電圧の値から前記交流の交流電圧のピーク値を減算した値を、前記交流電流のピーク値と前記交流電流の角周波数とを乗算して計算される値で除算した値より、小さい値とすることを特徴とする請求項1記載の半導体電力変換装置。
  3. 前記双方向降圧チョッパのフィルタコンデンサの容量値は、前記直流電源の直流電圧の値から前記交流の交流電圧のピーク値を減算した値を、前記交流電圧のピーク値と前記フィルタリアクトルのインダクタンス値と前記交流電流の角周波数の2乗とを乗算して計算される値で除算した値より、小さい値とすることを特徴とする請求項2記載の半導体電力変換装置。
  4. 前記フィルタコンデンサの容量値は、前記フィルタコンデンサと前記負荷のインピーダンスとを合成したインピーダンスの共振周波数が前記スイッチング素子のスイッチング周波数より高い値になるように決定することを特徴とする請求項3記載の半導体電力変換装置。
  5. 前記双方向降圧チョッパ回路は前記交流電圧の絶対値を電圧出力し、前記Hブリッジインバータ回路は前記交流電圧の正負の切り替わり時に極性を反転させて前記双方向チョッパ回路の出力電圧を出力することを特徴とする請求項4記載の半導体電力変換装置。
  6. 前記双方向降圧チョッパ回路を構成するスイッチング素子を高速スイッチング素子とし、前記Hブリッジインバータ回路を構成するスイッチング素子を低速スイッチング素子としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の半導体電力変換装置。
  7. 前記フィルタリアクトルの電流検出手段を備え、前記所望の交流電圧を交流電圧指令値とし、前記交流電圧指令値の絶対値を微分した上で前記フィルタコンデンサ容量値を乗算した値に前記交流電流の値を加算した値を前記フィルタリアクトルの電流指令値とし、前記電流検出手段から得られた電流値が前記フィルタリアクトル電流指令値よりヒステリシス幅Aだけ上回ったときに前記双方向チョッパの上側スイッチング素子をオンし、前記電流検出手段から得られた電流値が前記フィルタリアクトル電流指令値よりヒステリシス幅Aだけ下回ったときに前記上側スイッチング素子をオフすることを特徴とする請求項5記載の半導体電力変換装置。
  8. 前記出力電流が増大したときに前記ヒステリシス幅Aを大きくし、前記出力電流が減少したときに前記ヒステリシス幅Aを小さくすることを特徴とする請求項7記載の半導体電力変換装置。
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