JP2005149761A - プラズマ発生用の電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させるプラズマ発生用電源装置において、安定したプラズマ環境を生成することによってアーク放電の発生を防止する。
【解決手段】 コンバータトランス9の一次側巻線に接続したスイッチングFET10をPWM制御部12によってPWM制御し、高電圧を出力する。出力電圧が例えば1300Vを超えたらオンするオペアンプ18の出力信号に基づいてPWM信号のデューティを狭めて出力電圧を制限し、出力電流が例えば1.2Aを超えたらオンするオペアンプ23の出力信号に基づいてPWM信号のデューティを狭めて出力電流を制限し、出力電圧が例えば40V以下になったらオンするオペアンプ28の出力によりオペアンプ23の基準入力電圧を下げる。
【選択図】 図1
【解決手段】 コンバータトランス9の一次側巻線に接続したスイッチングFET10をPWM制御部12によってPWM制御し、高電圧を出力する。出力電圧が例えば1300Vを超えたらオンするオペアンプ18の出力信号に基づいてPWM信号のデューティを狭めて出力電圧を制限し、出力電流が例えば1.2Aを超えたらオンするオペアンプ23の出力信号に基づいてPWM信号のデューティを狭めて出力電流を制限し、出力電圧が例えば40V以下になったらオンするオペアンプ28の出力によりオペアンプ23の基準入力電圧を下げる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、安定したプラズマ環境を生成することができるプラズマ発生用の電源装置に関する。
グロー放電によるプラズマを利用した、例えばスパッタ法により薄膜を製造する装置において、気体圧力が1000から1Pa 程度の真空槽内の二つの電極に高電圧をかけたとき、電子と気体との衝突によってガス成分が励起され、プラズマ化する。
図11は平行平板電極放電の一般的な電流−電圧特性を示したものである。図11のF 点を過ぎると陰極全面が陰極点となるため放電電流の増加は、陰極に於ける電流密度の増加を伴うようになり、その結果放電電圧が上昇する。この F‐G 間は異常グロー放電領域であり、イオン化されたガス成分による陰極面のスパッタリングが起こる。この領域を利用して蒸着を行い、磁気記録媒体等の薄膜を製造している。
尚、グロー放電処理装置におけるアーク放電後の復帰方法は例えば下記特許文献1に記載のものが提案され、また負荷変動に対して電流供給を高速に追従させたスイッチング電源装置は例えば下記特許文献2に記載のものが提案されている。
特開平7−62521号公報
特開平6−176946号公報。
ところが、プラズマ内に異物(ゴミ、凝結したターゲット材等)が浮遊し、それに帯電し、ある電荷量を超えると放電して放電路を形成し、プラズマ内のインピーダンスが低下し、大電流が流れ、アーク放電が起こる。この領域になると電圧が低下するが電流は低下せず、アーク放電が継続する。
アーク放電が生じると電流集中のためジュール熱による高温を発する。このためアーク放電が継続すると、スパッタリングされる基台は時間と共に過熱変形し、不良品となる。磁気テープの場合は、基台に高分子フィルムを使用しており、耐熱温度はたかだか100℃程度である。そのためアークが発生するとその周囲がドーナッツ状に溶融し、甚だしいときにはベースフィルムが溶断することもある。これによって製品品質の悪化や、生産効率の低下をまねいていた。
その対応として、従来は例えば、アークが発生したらその場所(時間)を記録し、後で目視により再検査を行っていた。また、アーク放電カウンターを導入し、ある回数以上連続でアーク放電が起きた場合は、全装置を停止させ、不具合品を少しでも少なくするような対策を取っていた。しかしいずれも根本的な対策ではない。
また、図11に示すグロー放電領域でスパッタリングを行って薄膜を製造する際に、次のような問題点があった。すなわち、膜厚を一定にするために、印加する電圧や電流を可変して膜厚が一定になるように制御していたが、膜厚は印加する電圧や電流とある程度の相関は取れるものの、バラツキが大きく、同一電圧、電流を印加しても、外気温、装置内温度、始動からの時間やメンテナンスからの時間、バッチ処理開始からの時間、ガス成分の変化等によって大きく変化する。
プラズマ内の帯電したゴミ、チリなどに放電し、その近傍では異常にプラズマ密度が高まり、そこに電流が集中し、アーク放電を起こさせるトリガーとなる。アーク放電が連続して発生すると、その近傍の温度が上昇し、基台に熱による痕跡不具合がおこるという問題があった。
膜厚を測定し、その値を帰還させることで、膜厚が一定にすることが出来るが、装置全体は真空槽になっており、バッチ生産している磁気テープの場合、始動した後の調整は、長年の経験とカンに頼ることになり、高精度に膜厚を保つのは困難であった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものでその目的は、安定したプラズマ環境を生成することによって、アーク放電の発生を防止するとともに、プラズマ密度を一定に制御することができるプラズマ発生用の電源装置を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明のプラズマ発生用の電源装置は、気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させるプラズマ発生用の電源装置であって、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の出力信号により駆動されるトランスと、異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように、前記トランスの電圧、電流を制限する制御手段とを備えたことを特徴としている。
また前記制御手段は、前記トランスの出力電圧を制限する電圧制御部と、前記トランスの出力電流を制限する電流制御部とを備えたことを特徴としている。
また前記制御手段は、前記電流制御部の動作中に前記トランスの出力電圧が所定電圧以下になったとき、前記トランスの出力を低下させる保護制御部を備えたことを特徴としている。
また前記制御手段は、前記トランスの出力電流が前記電流制御部の制限電流よりも小さい設定電流以下になったとき、所定時間前記トランスの出力を停止させた後、該トランスの出力を徐々に増大させる制御を行うことを特徴としている。
また起動時に、前記電圧制御部の制限電圧以上の高電圧を発生させる高電圧発生手段を備えたことを特徴としている。
また前記高電圧発生手段は、前記電圧制御部の制限動作を無効にする回路を有していることを特徴としている。
また前記高電圧発生手段は、前記トランスの結合を0.9以下にするとともに、該トランスの出力側巻線に共振用コンデンサを接続して構成されていることを特徴としている。
また、気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させる電源装置を複数段備えたプラズマ発生用の電源装置であって、前記各段の電源装置は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の出力信号により駆動されるトランスと、前記トランスの出力電圧を制限する電圧制御部と、前記トランスの出力電圧が所定電圧以下になったとき、当該電源装置に隣接する電源装置に検出信号を発する電圧低下検出部と、前記隣接する電源装置の電圧低下検出部から発っせられた検出信号を入力したときに、前記電圧制御部を強制動作させる制限動作開始制御部とを備えたことを特徴としている。
また前記制限動作開始制御部は、前記検出信号を入力してから所定時間経過後に前記電圧制御部を動作させることを特徴としている。
また、気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させるプラズマ発生用の電源装置であって、スイッチング素子と、プラズマ発生環境に設けられてプラズマを測定する測定手段と、一次側が前記スイッチング素子に接続され、二次側に、プラズマを発生させるための電圧を誘起する巻線と、前記測定手段に測定用の電圧を供給するための巻線とを有したトランスと、前記測定手段に流れる電流に基づいて前記トランスの出力を制御してプラズマ密度を制御するプラズマ密度制御手段とを備えたことを特徴としている。
また前記測定手段は、ラングミュアプローブを有していることを特徴としている。
また異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように前記トランスの電圧、電流を制限する制御手段を備えたことを特徴としている。
より具体的には、ガス圧が1000Pa以下の気体中でグロー放電を起こし、プラズマを発生させ、そのプラズマを利用することでスパッタリングする装置において、異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように、供給する電圧、電流を制限した電源装置を構成した。
また、アーク電流解消後、ある一定期間(調整可)、例えば1m秒〜1秒程度の出力停止期間を経た後、ソフトスタート(時間経過とともに徐々に供給電圧を高くしていく方法)に従って電流を供給する電源装置を構成した。
また前記制限方法が定電圧、定電流制限(垂下)であるとともに、前記定電流制限を行っているときに出力電圧が低下したときに、アークを発生させることのないように出力電圧、電流を低下させる、「フ」の字垂下保護特性を併せもつ電源装置を構成した。
また、起動時に前記電圧制限を越えた高電圧を発生させることができるようにした。すなわち起動時の出力電流が少ないことを利用し(10mA以下)その電流の間は、出力電圧の制限を気体破壊電圧まで上げるように構成した。また起動時、2次側の制御電圧検出に積分回路(コンデンサの容量を応用)を付加し、積分完了までの時間出力電圧制御を行わないことで高電圧を発生させるように構成した。またコンバータトランスの結合を0.9以下にすることで、漏れ磁束によるリーケージインダクタンスを用い、そこに発生する高電圧を利用するように構成した。
また、複数の電源装置を多連接続したプラズマ発生装置用電源において、アーク放電を検出した電源よりも後段の電源装置を、順次ある設定時間遅らせ、ある設定期間それらの出力を低下させ、連続するプラズマの発生確率を低くするように構成した。
また、ラングミュアプローブをセンサーに用い、プラズマ密度を一定に制御するように構成した。またスパッタリング装置に供給する電圧、電流を制限した電源装置において、プラズマ内のプラズマ密度を、ラングミュアプローブを用いてより高精度に制御し、その結果基台にスパッタされる膜厚の厚みを高精度に制御するように構成した。
(1)請求項1〜19に記載の発明によれば、安定したプラズマ環境を生成することができる。このためプラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、膜厚を高精度に制御することができる。
(2)また請求項1〜15に記載の発明によれば、プラズマ発生環境において、異常グロー放電領域からアーク放電領域への移行を確実に防止することができる。このためプラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、製品品質が向上し、また生産効率が向上する。
(3)また請求項3に記載の発明によれば、プラズマ内の異物に帯電して一時的に電流が集中し、アークが発生したとしても、電源出力(トランスの出力)を低下させることができるため、アーク発生を確実に停止させることができる。
(4)また請求項4に記載の発明によれば、電源出力(トランスの出力)を停止させた後は徐々に出力を増大させるので、アークへの移行を防ぎつつ徐々に放電が開始されることになり、アーク放電の発生は極めて有効に防止される。
(5)また請求項5〜13に記載の発明によれば、異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように電源の出力を制限する構成にもかかわらず、電源の起動時に、気体の絶縁を破壊する高電圧を確実に発生させることができる。このため起動用の高圧別電源を設ける必要はなく、電源を1つにまとめることができるため、起動シーケンスが簡素化される。
(6)また請求項14、15に記載の発明によれば、複数段の電源装置のうちいずれかの電源装置が生成するプラズマ環境でアークが発生しても、他の電源装置が生成するプラズマ環境でアークが発生することを防止することができる。このため、プラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、生産性が向上する。
(7)また請求項15に記載の発明によれば、複数段の電源装置のうちいずれかの電源装置が生成するプラズマ環境でアークが発生した場合、例えばスパッタリングの被処理物(ターゲット)のアーク発生原因箇所が搬送されるタイミングに同期して、他の電源装置が形成するプラズマ環境でのアーク発生を防止することができる。
(8)また請求項16〜19に記載の発明によれば、プラズマ密度を所望密度に一定制御することができるので、プラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、膜厚を高精度に制御することができる。またプラズマ密度を一定に保つことができるので、プラズマ密度が集中してアーク放電可能密度に達することを防止することができる。これによって前記スパッタリングによる薄膜製造において、製品品質が向上し、また生産効率が向上する。
(2)また請求項1〜15に記載の発明によれば、プラズマ発生環境において、異常グロー放電領域からアーク放電領域への移行を確実に防止することができる。このためプラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、製品品質が向上し、また生産効率が向上する。
(3)また請求項3に記載の発明によれば、プラズマ内の異物に帯電して一時的に電流が集中し、アークが発生したとしても、電源出力(トランスの出力)を低下させることができるため、アーク発生を確実に停止させることができる。
(4)また請求項4に記載の発明によれば、電源出力(トランスの出力)を停止させた後は徐々に出力を増大させるので、アークへの移行を防ぎつつ徐々に放電が開始されることになり、アーク放電の発生は極めて有効に防止される。
(5)また請求項5〜13に記載の発明によれば、異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように電源の出力を制限する構成にもかかわらず、電源の起動時に、気体の絶縁を破壊する高電圧を確実に発生させることができる。このため起動用の高圧別電源を設ける必要はなく、電源を1つにまとめることができるため、起動シーケンスが簡素化される。
(6)また請求項14、15に記載の発明によれば、複数段の電源装置のうちいずれかの電源装置が生成するプラズマ環境でアークが発生しても、他の電源装置が生成するプラズマ環境でアークが発生することを防止することができる。このため、プラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、生産性が向上する。
(7)また請求項15に記載の発明によれば、複数段の電源装置のうちいずれかの電源装置が生成するプラズマ環境でアークが発生した場合、例えばスパッタリングの被処理物(ターゲット)のアーク発生原因箇所が搬送されるタイミングに同期して、他の電源装置が形成するプラズマ環境でのアーク発生を防止することができる。
(8)また請求項16〜19に記載の発明によれば、プラズマ密度を所望密度に一定制御することができるので、プラズマを利用した例えばスパッタリングによる薄膜製造において、膜厚を高精度に制御することができる。またプラズマ密度を一定に保つことができるので、プラズマ密度が集中してアーク放電可能密度に達することを防止することができる。これによって前記スパッタリングによる薄膜製造において、製品品質が向上し、また生産効率が向上する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。まず、アーク放電を起こさせないためには、プラズマ発生電源の出力電圧を、図11のG点より低く、かつ電流も図11のG点より低くすればアーク放電領域に飛び込まないことが分かる。
そこで本発明では、図12の特性線L1に示す「フ」の字垂下保護特性をもった出力電圧電流特性で制御される電源装置を構成した。すなわち、図12の特性線L1において、起動時のみ制限電圧(例えば1300V)以上の高電圧を出力した後、制限電圧に定電圧制御し、制限電流(例えば1.2A)に定電流制御し、その定電流制御中に電圧が例えば50V以下になったら、電源出力を低下させる制御を行う。これによって図11で述べた異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行することは防止される。
尚図12の特性線L2は、従来のように単に電力一定制御を行った場合の定電力特性を示し、特性線L3は、従来のように電圧一定制御を行った場合に制御応答性が悪いため大電流が流れる、遅い過渡応答特性を示し、いずれもアーク放電領域に移行している。
図1は本発明の一実施例を示す電源装置のブロック図を示し、1は商用電源である。商用電源1の交流出力は、交流フィルタ2によってノイズが低減され、ダイオードをブリッジ接続した整流回路3によって直流変換される。
4は、整流回路3の整流出力の脈流成分を平滑する平滑フィルタであり、コンデンサおよびチョークコイルで構成されている。
5は、平滑フィルタ4の出力電圧を例えば400Vに昇圧し、直流安定化を図る昇圧・直流安定化回路であり、スイッチングFET(電界効果トランジスタ)6、ダイオード7および昇圧された電圧が得られるコンデンサ8で構成されている。
前記ダイオード7およびコンデンサ8の共通接続点は、コンバータトランス9の一次側巻線、スイッチングFET10のドレイン、ソースおよび抵抗11を介して接地されている。
スイッチングFET10のゲートには、PWM(パルス幅変調)制御部12のドライブ信号によりPWM信号(今回は100KHZを基準にした0〜90%duty)が加えられ、その信号によりスイッチングFET10はON・OFFを繰り返す。コンバータトランス9の1次側に流れた電流は、2次側に高電圧(1.5KV)を発生させる。
13は、前記ダイオード7およびコンデンサ8の共通接続点に接続された抵抗14を介して取り込んだ電気信号に基づいて、前記スイッチングFET6をスイッチング制御し400Vに昇圧すると共に力率を改善するPFC制御部である。
前記コンバータトランス9の2次側巻線に発生した高電圧は、ダイオード15によって整流され直流高電圧として出力される。すなわちコンバータトランス9の2次側巻線の一端はダイオード15を介して、図示省略の例えばプラズマ室に配設された正極電極に接続され、コンバータトランス9の2次側巻線の他端は、電流検出用として動作する抵抗16を介して前記プラズマ室に配設された負側電極に接続されている。17はダイオード15のカソードとコンバータトランス9の2次側巻線の他端の間に接続されたコンデンサである。
18は電圧制御用(本発明の電圧制御部)として動作するオペアンプであり、その反転入力端は電圧検出用として動作する抵抗19を介して本電源装置の正側出力端に接続されている。
オペアンプ18の出力端はダイオード21のカソード、アノードを介して絶縁カプラ22のフォトダイオード(図示省略)に接続されている。
23は電流制御用(本発明の電流制御部)として動作するオペアンプであり、その反転入力端は接地されている。オペアンプ23の非反転入力端は、抵抗24および電流検出値を調整するための可変抵抗25を介して、コンバータトランス9の2次側巻線および抵抗16の共通接続点に接続されている。
抵抗24および可変抵抗25の共通接続点には基準電圧源26の正極端が接続されている。オペアンプ23の出力端はダイオード27のカソード、アノードを介して前記絶縁カプラ22のフォトダイオードに接続されている。
28は「フ」の字垂下保護特性(本発明の保護制御部)を実現するためのオペアンプであり、その反転入力端は、基準電圧源29の正極端に接続されるとともに、電流検出値を調整するための可変抵抗30を介してコンバータトランス9の2次側巻線および抵抗16の共通接続点に接続されている。
オペアンプ28の非反転入力端は、抵抗31、図示極性のダイオード32および抵抗33を介して、前記オペアンプ18の反転入力端に接続されている。抵抗31およびダイオード32の共通接続点は抵抗34を介して接地されている。
オペアンプ28の出力端はダイオード35のカソード、アノードを介して前記オペアンプ23の非反転入力端に接続されている。36は、オペアンプ18の反転入力端と接地間に接続された、電圧検出値調整用の可変抵抗である。
オペアンプ23の出力端と、ダイオード32および抵抗34の共通接続点との間には抵抗37が接続されている。前記絶縁カプラ22のフォトトランジスタ(図示省略)はPWM制御部12に接続され、オペアンプ18、23のいずれかがオンしたときにフォトダイオードが導通してフォトトランジスタがオンとなることにより、PWM制御部12はPWM信号のオンデューティ幅を狭めるように動作する。
38はPWM制御部12およびPFC制御部13用の保護回路であり、39は2次出力の保護回路で、2次出力電圧や電流、温度が異常になったとき絶縁カプラ22を介して電源を停止させる回路である。40は交流フィルタ2の出力電力を直流変換し、1次および2次側の各回路へ制御用の電力を供給する制御用電源である。
上記のように構成された電源装置において、電圧制御は、抵抗19を介して取り込んだ電圧と基準電圧源20の基準電圧Vref1とをオペアンプ18で比較する。その結果基準電圧よりも高電圧出力が高い場合オペアンプ18はオンし、絶縁カプラ22内のフォトダイオードを導通させる。
すると絶縁カプラ22は1次側のPWM制御部12のデューティ幅を狭めるように動作し、スイッチングFET10のオン時間を狭め、結果、出力電圧を低下させるように動作し、例えば図12の1300Vに出力電圧を一定に保つ。
また電流制御は、抵抗16に電流が流れ発生した電圧値と基準電圧源26の基準電圧Vref2の電圧を加算した値と、高電圧出力の「―」端子の電位、すなわち接地電位とをオペアンプ23で比較し、その結果を絶縁カプラ22に伝達する。
電流が基準値より高い場合、高電圧出力の「―」端子よりも抵抗16のトランス2次巻線側端子電圧がより低くなる。その結果オペアンプ23がオンし、電圧制御方法と同様に絶縁カプラ22のフォトダイオードをオンにし、PWM制御部12のデューティ幅を狭め、出力電流を例えば図12の1.2Aに一定にしたまま電圧を低下させる。
またフの字垂下制御は、電圧と電流を同時に行うことで実現させている。すなわち、抵抗19、33、31およびダイオード32を介して取り込んだ電圧検出成分と、抵抗16、30を介して取り込んで基準電圧源29の基準電圧Vref3と加算した電流検出成分とをオペアンプ28で比較し、その結果を電流制御用のオペアンプ23の基準入力側(非反転入力端)に伝達している。
動作は、電流垂下(オペアンプ23が動作している)状態で、ある電圧(例えば50V程度に設定)以下になるとオペアンプ28がオンし、オペアンプ23の基準入力電圧を低めることで図12の「フ」の字特性を作っている。
したがって図11で述べた、異常グロー放電領域からアーク放電領域へ移行することは確実に防止される。
尚図1の回路において、各抵抗の値や各オペアンプや基準電圧源の定数は、前述した動作が行える値、定数に設定しておくものである。
上記のように本実施例によれば、電源出力がアーク放電領域に達しないため、基本的にはアークは発生しない。そのため、例えばスパッタリングにより磁気テープを製造する場合に問題となっていたドーナッツ傷や溶断の発生がなくなり、製品品質および製造効率が上昇する。
またたとえ、プラズマ内の異物に帯電し一時的に電流が集中しアークが発生したとしても、供給電源が、アークを維持するための電流を供給しないので自然にアークは停止する。
前記図1では、プラズマ発生用電源の出力電圧をアーク発生領域に飛び込ませないように電圧、電流を制限する回路を設けたが、起動時、気体は下記パッシェンの法則に従って放電開始電圧がきまる。
(パッシェンの法則)
気体中に2枚の平板電極を置き、印加電圧を徐々に上げていくとある電圧で放電が起こる。この放電開始電圧は図13に示すように、気体の種類、気体の圧力p、電極間の距離dによって決まる。気体中で電子衝撃により電離の起こる確率は、1自由行程の間に電子が電場Eから得るエネルギーによるので、平均的に見ればE/pの関数であると考えられる。また、電極間で電離衝突の起こる回数は、電離過程の平均自由行程をlとすればd/lであらわされるので、p dに比例することがわかる。したがって、放電開始条件はE/pとp dの間の関数関係で表される。放電開始電圧Vsは、その時の電場の強さEsを用いれば、Vs=(Es/p)×(p*d)となる。
気体中に2枚の平板電極を置き、印加電圧を徐々に上げていくとある電圧で放電が起こる。この放電開始電圧は図13に示すように、気体の種類、気体の圧力p、電極間の距離dによって決まる。気体中で電子衝撃により電離の起こる確率は、1自由行程の間に電子が電場Eから得るエネルギーによるので、平均的に見ればE/pの関数であると考えられる。また、電極間で電離衝突の起こる回数は、電離過程の平均自由行程をlとすればd/lであらわされるので、p dに比例することがわかる。したがって、放電開始条件はE/pとp dの間の関数関係で表される。放電開始電圧Vsは、その時の電場の強さEsを用いれば、Vs=(Es/p)×(p*d)となる。
この放電開始電圧値は一般にアーク発生電圧図である図11のG点より高い。図1のようなアークを制限する電源を用いた場合、気体の絶縁を破壊する電圧に至らない場合もある。
そこで本実施例では、図1の電圧制御部(オペアンプ18)の電圧検出入力を、図2のようにして起動時(出力電流が1mA以下の場合)に切り換えることによって、前記制限動作を無効にし、放電開始電圧以上の電源出力が得られるように構成した。
図2において図1と同一部分は同一符号をもって示している。図2において50は、電圧制御部(オペアンプ18)の制限動作を無効にするためのオペアンプであり、その非反転入力端は抵抗51を介して接地されている。
オペアンプ50の反転入力端は、基準電圧源52を介して接地されるとともに、電流検出値調整用の可変抵抗30を介して、コンバータトランス9の2次側巻線および抵抗16の共通接続点に接続されている。オペアンプ50の出力端はダイオード100のカソード、アノードを介してオペアンプ18の反転入力端に接続されている。
コンバータトランス9の一次側巻線の両端間には、スイッチング素子等に高耐圧素子を用いる必要がないように、コンデンサ53、抵抗54およびダイオード55から成るスナバー回路56が接続されている。
尚図2は要部のみの構成を図示しているが、その他の部分は図1と同様に構成されている。
上記のように構成された装置において、オペアンプ50は、抵抗16に電流が流れて発生した電圧と基準電圧源52の基準電圧Vref3を加えた(実際は極性が逆の為引くことになる)電圧と、高電圧出力の「−」端子とを比較する。
その結果起動時に、出力電流が基準電流よりも小さい場合オペアンプ50はオンとなり、抵抗19を通して定電圧に制御していた検出電圧を下げる方向に働く。そのため、例えばPWM信号のデューティ幅が広げられることによって、出力電圧は当初設定していた定電圧より高い電圧を出力することができるようになる。
また電流が流れ、設定電流以上になると、オペアンプ50はオフし、通常の動作時の設定電圧となる。以上によって、起動時(出力電流が流れていないとき)の電圧を高く発生させることができ、気体の絶縁破壊放電電圧以上の電圧となり、図11に示すタウセント放電を開始し、安定した異常グロー放電を行うことができる。
尚その他の動作については図1と同様である。
次に2次高圧出力からのフィードバック信号を、積分回路を用いて遅らせることにより、過渡負荷変動特性を悪化させ、リンギング状の電圧を得、その電圧を用いて起動電圧とした実施例を図3とともに説明する。
本実施例では、積分回路による遅延時間の期間、図1の電圧制御部(オペアンプ18)の制限動作を無効にし、放電開始電圧以上の電源出力が得られるように構成した。
図3において図1、図2と同一部分は同一符号をもって示している。図3において、オペアンプ18の反転入力端に接続された可変抵抗36には、積分回路を構成するコンデンサ57が並列接続されている。
尚図3は要部のみの構成を図示しているが、その他の部分は図1と同様に構成されている。
上記のように構成された回路において、起動後、コンバータトランス9の出力電流は抵抗19を介してコンデンサ57に流れ、コンデンサ57を充電し始める。そしてコンデンサ57に電荷が蓄積されるまでの時間、基準電圧源20の基準電圧VRef1との差は常にVRef1の方が高いため、オペアンプ18はオフとなり出力電圧は設定値以上の電圧をコンデンサ57が充電完了するまで出力し続ける。
その間の気体の絶縁破壊放電電圧以上の電圧によって、図11に示すタウセント放電を開始し、安定した異常グロー放電を行うことができる。前記積分回路の時定数としては、例えば10m秒以上に設定するとよい。
尚その他の動作については図1と同様である。
次にコンバータトランスの結合を疎にすることで発生するリーケージインダクタンスを利用し、そこに発生する高電圧を利用することで高電圧を得る実施例を図4とともに説明する。まず図4において、スイッチングFET10にコンバータトランス9′の1次巻線を介して電流が流れると、コンバータトランス9′には磁束が発生する。その磁束はコンバータトランスのコアを介し2次巻線に誘導電流を発生させる。
1次巻線と2次巻線間の結合が1の理想状態であれば1次側で印加した電流がそのまま2次側の巻線間に発生するが、結合が悪いトランスでは、磁束は漏れ、リーケージインダクタンスによりリンギング状の電流(電圧)が1次、2次巻線に生じる。
その電流(電圧)により、スイッチング素子等は耐電圧の高い素子を使うことが必要になるため、これを防ぐ目的でスナバー回路56で落としている。またコンバータトランス9′の2次巻線にコンデンサ58を並列接続し、このLC共振回路で素子の耐電圧を越えないようにしている。この保護回路(共振回路)の定数を変更することにより、気体の絶縁破壊放電電圧以上の電圧を作り、図11に示すタウセント放電を開始し、安定した異常グロー放電を行うことができる。
以上のように、コンバータートランス9′の結合を0.9以下にし、前記LC共振回路の定数を調整することで、出力電圧を、図13で述べたパッシェンの法則による気体絶縁破壊電圧以上に設定することができる。
尚その他の動作については図1と同様である。
次に本発明を、気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させる電源装置を複数段備えたプラズマ発生用の電源装置に適用した実施例を図5、図6とともに説明する。
まず、スパッタ法を用いて薄膜を製造する装置において、一定厚み以上の膜厚を生成しようとすると、放電電流を多く流すか、プラズマ内に長時間滞留させる方法がある。現在の設備は、例えば図5に示すような構成で薄膜を生成している。
長時間プラズマ内に滞留させるために、真空槽内には複数個の(この設備では4個)プラズマ室60a〜60dを持っている。それぞれのプラズマ室で反応ガスをプラズマにし、基台(主な対象は磁気記録用のベースフィルム)に蒸着させ成膜を行っている。
図5において61はキャンロール62に巻き付けられたベースフィルム63を巻き出す巻出しロール、64は巻取りロールであり、65a〜65dはプラズマ室60a〜60dにプラズマ発生用の高電圧を供給する電源装置である。
本実施例では多連接続のプラズマ発生装置の電源において、アーク放電を検出した以降の電源を、順次ある設定時間遅らせ、ある設定期間それらの出力を低下させ、連続するプラズマの発生確率を低くするべく、例えば図6のように構成した。
図6において図1と同一部分は同一符号をもって示している。図6において66は、電圧低下(例えば40V)検出用のオペアンプであり、その反転入力端は基準電圧源67を介して接地され、非反転入力端は、電圧検出用の抵抗68を介して高電圧出力端に接続されるとともに、検出電圧調整用の可変抵抗69を介して接地されている。
オペアンプ66の出力端は抵抗70を介して、後段の電源装置へアーク発生信号を出力するためのNPN型のトランジスタ71のベースに接続されている。トランジスタ71のコレクタは抵抗72を介して制御用電源の正側出力端に接続され、エミッタは接地されている。
前記アーク発生信号は、出力電圧低下時にオペアンプ66の出力によりトランジスタ71がオフとなったときにコレクタに生じる電圧(例えば12V)を用いている。
73は前段の電源装置からアーク発生信号が、抵抗74を介して入力されたときにオンするトランジスタである。75は抵抗74とともにトランジスタ73のオンを遅らせるために、トランジスタ73のベース、エミッタ間に接続されたコンデンサである。
電圧制御用のオペアンプ18の非反転入力端は、抵抗76を介して前記トランジスタ73のコレクタに接続されるとともに、抵抗77を介して基準電圧源20の正極端に接続されている。
上記のような回路は図5の電源装置65a〜65d各々に構成される。
アークの検出は図11のH点以降のアーク放電電圧を検出して判断している。その電圧は高電圧出力と等価であり、抵抗68を介してオペアンプ66に入力される。そしてその値は基準電圧源67の基準電圧Vref4と比較され(例えば半固定抵抗を用い約40Vに設定してある)、出力電圧が高いとトランジスタ71はオンとなりそのコレクタは0Vとなる。
またアークが発生し、出力電圧が低下し、前記設定された40V以下になるとトランジスタ71がオフとなり、そのコレクタは12Vの電圧が生じる(アーク発生信号)。このアーク発生信号は後段の電源装置に伝えられる。その後段の電源装置では、ディレー回路(基台に生じた、例えばキズが搬送される搬送スピードと次段のプラズマ室との距離により算出される範囲内で遅れ時間を調整できる回路;すなわち抵抗74およびコンデンサ75)によって必要な遅れ時間経過後にトランジスタ73がオンとなる。
トランジスタ73がオンになると電圧検出用オペアンプ18に接続されている基準電圧Vref1からの電圧を低下させることになる。するとオペアンプ18は通常設定電圧より低い電圧でオンになり、絶縁カプラ22のフォトダイオードを導通させPWM制御部12のオンデューティを狭め、出力電圧を低下させる。
尚図6ではアーク発生検出時に後段の電源装置の電圧を制限していたが、これに限らず電流を制限しても良い(すなわちオペアンプ23の非反転入力端電圧を0Vにする)。
上記のように出力電圧が、アーク発生の要因である前述のキズやピンホール等がプラズマ室を通過する以前に低下させるようにしたので、前段のプラズマ室で発生したアーク放電が本段のプラズマ室では発生し難くなる。
また図6ではアーク放電発生信号を次段だけに伝える実施例を示したが、それ以外にも次々段に伝えそのキズ等の通過時間に応じ、電圧もしくは制限電流を事前に低下制限することにより、次段以降のアーク放電連続をなくすことが可能となる。
キズやピンホールで発生するアーク放電は多連接続のプラズマ発生装置の電源において、アーク放電検出したプラズマ室以降においても更に発生する確率は高く、基台の溶断の要因となっている。
この溶断を防ぐため、従来は連続放電が継続した場合、基台(ベースフィルム)を送出・巻取りしたままで電源を停止し、プラズマを停止させ、アーク放電が完全になくなるのを確認の上、再起動を行っていた。更に槽内を真空にし、バッチで生産していたため、安易に停止できない事情もあり、生産性の悪化を招いていた。これに対して本発明を適用することにより、アーク発生を、該当するプラズマ室のみでの発生に限定することができ、溶断による生産性の悪化が改善される。
この溶断を防ぐため、従来は連続放電が継続した場合、基台(ベースフィルム)を送出・巻取りしたままで電源を停止し、プラズマを停止させ、アーク放電が完全になくなるのを確認の上、再起動を行っていた。更に槽内を真空にし、バッチで生産していたため、安易に停止できない事情もあり、生産性の悪化を招いていた。これに対して本発明を適用することにより、アーク発生を、該当するプラズマ室のみでの発生に限定することができ、溶断による生産性の悪化が改善される。
次に、異常グロー放電領域においてプラズマ密度を一定制御することができるようにした実施例を図7〜図10とともに説明する。
スパッタ法により、例えば磁気テープの薄膜を生成する場合、膜厚を測定するためには、プラズマ励起用電源の出力電圧と電流よりも、プラズマ密度との相関のほうがより高く、プラズマ密度を制御したほうが、より膜厚の精度は高くなることが分かっている。
プラズマ密度を一定にするため本実施例では、ラングミュアプローブを用い、そのプラズマ電位を測定し、その値をプラズマ励起電源にフィードバックし、電源の電圧を可変させ、プラズマ電位を一定にし、生成される膜厚の精度を高めた。
ここでラングミュアプローブ測定について説明する。
低温非平衡プラズマの定量的測定には、1926年にラングミュアによって提唱されたラングミュアプローブ測定が広く知られている。プラズマに対し電位エネルギーを与えたプローブを図7のようにプラズマ室に直接挿入し、電子やイオンの衝突による電流値からプラズマ中の電子やイオンの密度や温度の情報を得る手法である。
図7において81は導体から成るプローブであり、その端部を除く外周は絶縁物82で覆われている。83はプローブ81に電圧を供給する測定用電源であり、84は電流計、85は電圧計である。プローブ81の端部は例えば図8のような形状になっている。
図7の測定装置によってプローブを測定した結果、電圧と電流の関係は図9のとおりである。図9において、電流が0となる電圧がプラズマ電位となる。これは、イオンと電子の運動速度の違いから、プラズマが正の電圧にフローティングしている事を示している。この電位より電子温度の算出を行う。
図9に示す指数関数領域にある電流値I1をとりその電流が、e倍(約2.7倍)となる電圧の変化をΔVとすると、電子温度Teは、Te=ΔV [eV]と表わせる。プロセス用プラズマ源の場合、数eVになる。プラズマ密度の算出は、算出した電子温度(eV)、飽和電子電流Ies(mA)及び電極の実効表面積S(mm2)より、プラズマ密度ne(cm-3)は、次の(1)式で算出できる。
プロセス用プラズマ源の場合、プラズマ密度neは1011〜14cm-3 程度の値が得られる。この(1)式から測定電圧(Te)と測定プローブの実効断面積Sを一定にすれば、プラズマ密度はIesに比例する。
つまり、このne(cm-3)に比例するIesを初期設定しておき(測定値電圧)、その値が設定値になるように、プラズマ励起用電源の出力電圧を可変することで、プラズマ密度を一定に制御することが可能である。制御範囲は図11の異常グロー放電領域とする。
図10は前記図7で述べたラングミュアプローブを利用した本実施例の電源装置のブロック図である。図10において図1と同一部分は同一符号をもって示している。
図10において86は、二次側に、センサー用電圧(例えば80V)を発生させるための巻線86cと、高電圧(例えば1500V)を発生させるための巻線86dとが結合よく施されたコンバータトランスである。
コンバータトランス86の二次側の巻線86cには、整流のためのダイオード87およびコンデンサ88が接続されている。コンデンサ88の両端間には、トランジスタ89、抵抗90、定電圧回路91から成る安定化電源部92が接続され、安定化させたセンサー用検出電圧(約60V)を出力する。
このセンサー用検出電圧は、図7で述べたラングミュアプローブ81に印加される。前記巻線86cの負側端は電流検出用の抵抗93を介して接地されている。
94は、プラズマ密度制御用のオペアンプであり、その反転入力端は接地されている。オペアンプ94の非反転入力端は抵抗95および可変抵抗96を介して、前記巻線86cおよび抵抗93の共通接続点に接続されるとともに、基準電圧源97の正極端に接続されている。
オペアンプ94の出力端はダイオード98のカソード、アノードを介して前記絶縁カプラ22のフォトダイオードに接続されている。
尚図10は要部のみの構成を図示しているが、その他の部分は図1と同様に構成されている。
上記のように構成された装置において、トランジスタ89のエミッタ側から検出電圧としてラングミュアプローブに供給された電圧は、プローブを通してその検出端に印加され、プラズマ内のイオンと反応し電流が流れる。その流れた電流を抵抗93で検出した電圧は、基準電圧源97の基準電圧Vref4と加算され、出力電圧の「−」と比較される。
基準値以上の電流が流れるとオペアンプ94がオンとなり、絶縁カプラ22を通しPWM制御部12に対しデューティを狭める指示をする。また、基準値以下の電流が流れた場合は、オペアンプ94はオフとなり、絶縁カプラ22を通しPWM制御部12に対しデューティを広める指示をする。このようにして高圧出力電圧を上げ下げすることでプラズマ密度を制御しセンサーの検出電流が一定になるようにしている。
そして前述のようにラングミュアプローブに印加する電圧と検出面積を一定にすれば、プラズマ密度を一定にすることが出来る。また、プラズマ密度を希望値に変化させたい場合は、可変抵抗96を調整することで可能である。
尚その他の動作については図1と同様である。
上記のような制御方法を用いることにより、スパッタ法による膜厚制御において、異常グロー放電領域でのプラズマ密度のバラツキが大きく、同一電圧、電流を印加しても、外気温、装置内温度、始動からの時間やメンテナンスからの時間、バッチ処理開始からの時間、ガス成分の変化等によって大きく膜厚が変化するという問題を、解決することが可能となり、膜厚を一定にかつ高精度に維持管理することができる。
すなわち、プラズマ密度を一定に保つことが可能なため、スパッタリングにより生成される薄膜の厚さは、印加電圧電流を一定にした方式に比べても、更に精度よく形成される。
プラズマ密度を一定に保つことが可能なため、プラズマ密度が集中し、アーク放電可能密度にまで達することを防げ、磁気テープ上にドーナッツ痕やベースフィルム溶断に至ることはない。
尚本発明は前記各実施例に限定されるものではなく、前記と同様の作用、効果を奏する他の回路で構成しても良い。
尚本発明は前記各実施例に限定されるものではなく、前記と同様の作用、効果を奏する他の回路で構成しても良い。
また電源はスイッチング電源に限らずシリーズレギュレータ方式の電源でも良い。
6、10…スイッチングFET、9、9′、86…コンバータトランス、12…PWM制御部、13…PFC制御部、14、16、19、24、31、34、54、68、70、72、74、76、77、90、93、95…抵抗、18、23、28、50、66、94…オペアンプ、20、26、29、52、67、97…基準電圧源、22…絶縁カプラ、25、30、36、69、96…可変抵抗、57、58、75…コンデンサ、81…ラングミュアプローブ。
Claims (19)
- 気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させるプラズマ発生用の電源装置であって、
スイッチング素子と、
前記スイッチング素子の出力信号により駆動されるトランスと、
異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように、前記トランスの電圧、電流を制限する制御手段と
を備えたことを特徴とするプラズマ発生用の電源装置。 - 前記制御手段は、前記トランスの出力電圧を制限する電圧制御部と、前記トランスの出力電流を制限する電流制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記制御手段は、前記電流制御部の動作中に前記トランスの出力電圧が所定電圧以下になったとき、前記トランスの出力を低下させる保護制御部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記制御手段は、前記トランスの出力電流が前記電流制御部の制限電流よりも小さい設定電流以下になったとき、所定時間前記トランスの出力を停止させた後、該トランスの出力を徐々に増大させる制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 起動時に、前記電圧制御部の制限電圧以上の高電圧を発生させる高電圧発生手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 起動時に、前記電圧制御部の制限電圧以上の高電圧を発生させる高電圧発生手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 起動時に、前記電圧制御部の制限電圧以上の高電圧を発生させる高電圧発生手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記高電圧発生手段は、前記電圧制御部の制限動作を無効にする回路を有していることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記高電圧発生手段は、前記電圧制御部の制限動作を無効にする回路を有していることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記高電圧発生手段は、前記電圧制御部の制限動作を無効にする回路を有していることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記高電圧発生手段は、前記トランスの結合を0.9以下にするとともに、該トランスの出力側巻線に共振用コンデンサを接続して構成されていることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記高電圧発生手段は、前記トランスの結合を0.9以下にするとともに、該トランスの出力側巻線に共振用コンデンサを接続して構成されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 前記高電圧発生手段は、前記トランスの結合を0.9以下にするとともに、該トランスの出力側巻線に共振用コンデンサを接続して構成されていることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させる電源装置を複数段備えたプラズマ発生用の電源装置であって、
前記各段の電源装置は、
スイッチング素子と、
前記スイッチング素子の出力信号により駆動されるトランスと、
前記トランスの出力電圧を制限する電圧制御部と、
前記トランスの出力電圧が所定電圧以下になったとき、当該電源装置に隣接する電源装置に検出信号を発する電圧低下検出部と、
前記隣接する電源装置の電圧低下検出部から発っせられた検出信号を入力したときに、前記電圧制御部を強制動作させる制限動作開始制御部とを
備えたことを特徴とするプラズマ発生用の電源装置。 - 前記制限動作開始制御部は、前記検出信号を入力してから所定時間経過後に前記電圧制御部を動作させることを特徴とする請求項14に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 気体中でグロー放電を起こしてプラズマを発生させるプラズマ発生用の電源装置であって、
スイッチング素子と、
プラズマ発生環境に設けられてプラズマを測定する測定手段と、
一次側が前記スイッチング素子に接続され、二次側に、プラズマを発生させるための電圧を誘起する巻線と、前記測定手段に測定用の電圧を供給するための巻線とを有したトランスと、
前記測定手段に流れる電流に基づいて前記トランスの出力を制御してプラズマ密度を制御するプラズマ密度制御手段と
を備えたことを特徴とするプラズマ発生用の電源装置。 - 前記測定手段は、ラングミュアプローブを有していることを特徴とする請求項16に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように前記トランスの電圧、電流を制限する制御手段を備えたことを特徴とする請求項16に記載のプラズマ発生用の電源装置。
- 異常グロー放電領域からアーク放電領域に移行しないように前記トランスの電圧、電流を制限する制御手段を備えたことを特徴とする請求項17に記載のプラズマ発生用の電源装置。
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