JP2011033308A - 電気パネルヒータ - Google Patents

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Teruo Okuda
輝雄 奥田
Taiji Nakagawa
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Abstract

【課題】 機器本体の上方部と下方部間の温度差を小さくして、輻射熱暖房効率を改善すると共に、下方部で所望の輻射熱を採暖できる電気パネルヒータを提供すること。
【解決手段】 電気パネルヒータ1は、床面などから立設される面に開口を設け内部に所定大きさの空間を有する本体ケース2と、この本体ケースの空間内に収納された面状発熱体13と、この発熱体の前方に位置して前記本体ケースの開口を覆う前面パネル7とを備えている。面状発熱体13は、床面側から上方に向かって複数段の発熱体ユニットに分割して配列されて、これらの分割された複数個の発熱体ユニットは、床面側の発熱体ユニットのヒータワット数が最も大きく、該床面から離れるにしたがってそのワット数が次第に小さくしたヒータ線で構成されている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、電気パネルヒータに係り、さらに詳しくは面状発熱体を有し床面などに立設させて使用するのに好適な立設型の電気パネルヒータに関するものである。
一般家庭の暖房機器として、石油ストーブおよびガスストーブなどのストーブが多く使用されている一方で、換気が不要で運転中の騒音がなくしかも操作が簡単な電気ヒータも多く使用されている。この電気ヒータには、様々なタイプのヒータがあるが、これらの電気ヒータの中でも、近年、安全性の高まりから可燃物が接触しても引火し難くしかも外部ケースの外表面温度を低くなるようにして手などが触れても火傷などがしない電気パネルヒータが普及して来ている。この電気パネルヒータは、通常、発熱体に面状発熱体が使用されて様々なタイプのものが提案されている。(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
例えば、下記特許文献1には、面状発熱体を用いて室内の暖房効果を高めるために上昇気流の対流作用を促進するようにした電気パネルヒータが記載されている。なお、図8は下記特許文献1に記載された電気パネルヒータを示し、図8Aは縦断面図、図8Bは上面図である。
この電気パネルヒータ30は、図8に示すように、前面が開口した本体ケース31と、この本体ケースの開口部に設けた面状の発熱体32と、この発熱体の前方に設けた線材で形成されたガード33と、本体ケースの上部面に形成された凹部31aとを備え、ガードの縦向線材33aが等間隔に接近して配列されると共に、ガード33の上端部が本体ケースの凹部31aに収容された構成となっている。
この電気パネルヒータは、制御スイッチを操作して発熱体32に通電されると、発熱体の表面温度は高温度(約200〜400℃程度)に加熱されて、前面の遠赤放射加工面から低エネルギー量の放射が起こり、採暖者はおだやかな輻射熱を得ることができる。このとき、発熱体32の表面および裏面では周囲の空気が加熱されて、上昇気流となって傾斜辺34および支持傾斜部35に沿って本体ケース31の上部へ案内されて、本体ケースの上部前面に設けた凹部31aから速やかに排出される。したがって、本体ケース31内には熱気が滞留することがなく、ガード33の表面温度上昇は僅かなものとなり、ガード33に触れても火傷の危険性が少なくなる。また、下記特許文献2にも、同様の電気パネルヒータが記載されている。この電気パネルヒータは、本体ケースの前面に設けた発熱体と、この発熱体の前方に配置した金属製のガードと、このガードの上端部を支持する前板部と、この前板部の背後に上下に貫通する開口部とを有し、前板部が放熱性合成樹脂で形成されたものとなっている。この電気パネルヒータによれば、発熱体から生じる上昇気流はガードの上部に設けた開口部を通過して本体から放出されるが、ガードの上部が耐熱性の合成樹脂材料で形成されていることから、熱伝達量は金属に比べて極めて小さくなるので、人体が接触したときにも皮膚への熱的悪影響を低減することができる。
実開平6−22818号公報(実用新案登録請求の範囲、図1) 特開平5−280758号公報(段落〔0013〕〜〔0014〕、図1) 特公昭59−47808号公報(特許請求の範囲、図3)
しかしながら、上記特許文献1、2の電気パネルヒータは、いずれも機器本体の上方部と下方部との間で温度差が生じ、輻射暖房効率が悪く、特に下方部が温まり難くいという課題が内在している。例えば上記特許文献1の電気パネルヒータは、発熱体に通電されると、発熱体の表面温度は高温に加熱されて、前面の遠赤放射加工面から低エネルギー量の放射が起こり、採暖者におだやかな輻射熱が当たるが、一方で発熱体の表面および裏面では周囲の空気が加熱されて、上昇気流となって傾斜辺および支持傾斜部に沿って本体ケースの上部へ案内されて、本体ケースの上部前面に設けた凹部から速やかに排出される。このため、機器本体の上方部と下方部との間で温度差が生じ、上方部は迅速に暖かくなるが下方部が温まり難く、この下方部で所望の輻射熱量を採暖できなくなる。上記特許文献2の電気パネルヒータも略同じ構成となっているので、同じ課題が内在している。なお、この課題を解決するものとして、上記特許文献3のパネルヒータが提案されている。このパネルヒータは、発熱体の近傍に配設した遮蔽板に突出部を形成して、この突出部により熱気流の乱れを発生させて上昇熱気流の速度を低下させて、下方部への輻射熱量が多くなるようにしたものであるが、上昇熱気流の速度を低下させただけでは、下方部への輻射熱量がさほど多くならず、下方部で所望の輻射熱量を採暖するには限界がある。
また、近年、この種の電気パネルヒータは、一部で大型化されて来ており、この大型化に伴い発熱面積が大きい面状発熱体が用いられている。面状発熱体の大面積化は、通常、複数枚の小型発熱体を用い、これら複数枚の小型発熱体を本体ケース内に固定することによって行われているが、そうすると本体ケース内に複数枚の小型発熱体を逐一取付けなければならないので、その取付け作業が面倒になる。また、これらの面状発熱体は、通電/非通電中に伸縮するので、上記特許文献1、2の電気パネルヒータのように断熱脚で固定してしまうと、その伸縮量を吸収できなくなり、そのために面状発熱体に歪みなどが発生して損傷する恐れがある。
そこで、本発明は、このような従来技術が抱える課題を解決するもので、本発明の目的は、機器本体の上方部と下方部間の温度差が小さくなるようにして、輻射熱暖房効率を改善すると共に、下方部で所望の輻射熱量を採暖できるようにした電気パネルヒータを提供することにある。
本発明の他の目的は、面状発熱体の大面積化を容易にすると共に、機器本体にこの大面積の面状発熱体への通電中に発生する伸びを吸収できるように固定して該面状発熱体の歪みなどによる破損を防止した電気パネルヒータを提供することにある。
本発明のまた他の目的は、面状発熱体からの輻射熱暖房効率を改善するとともに、この面状発熱体によって生じる加熱空気の対流作用を高めて、部屋の暖房効果を良好にした電気パネルヒータを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、面状発熱体によって生じる加熱空気の対流作用を高めて、機器本体の外郭の温度上昇を抑制して安全性を高めた電気パネルヒータを提供することにある。
上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、この発明の電気パネルヒータは、床面などから立設される面に開口を設け内部に所定大きさの空間を有する本体ケースと、前記本体ケースの空間内に収納された面状発熱体と、前記面状発熱体の前方に位置して前記本体ケースの開口を覆う前面パネルとを備えた立設型の電気パネルヒータにおいて、
前記面状発熱体は、床面側から上方へ向かって複数段に分割された発熱体ユニットからなり、これらの分割された発熱体ユニットは、床面側の発熱体ユニットのヒータワット数が最も大きく、該床面から離れるにしたがってそのワット数が次第に小さくしたヒータ線を有したもので構成されている。この構成により、下方部の床面近傍エリアがワット数の高い発熱体ユニットのヒータで暖房され、床面から離れるに従って、上方部が発熱体ユニットのワット数が小さいヒータで暖房されるので、従来技術のように上方部と下方部との間の温度差が大きくなることがなくなる。
また、この発明は、前記発熱体ユニットを所定の幅長、長さをおよび肉厚を有するヒータ線巻回基板と、このヒータ巻回基板に少なくとも2本を組にして巻回されたヒータ線とで形成するのが好ましい。また、前記発熱体ユニットは、複数ユニットを1枚の支持基板に固定して、面状発熱体を構成するのが好ましい。この構成により、ワット数を高くして、大判の面状発熱体を簡単に作製できる。
さらに、この発明は、前記支持基板を前記本体ケースの内部部材に遊動自在に固定するのが好ましい。
さらにまた、この発明は、前記本体ケースを所定大きさの矩形状の背板部と、前記底板部の周囲から前記開口側へ所定長さ延設された側板部とを有し、床面側の側板部に吸気口および上方の天井側の側板部に温風の吹出口を形成するのが好ましい。
さらにまた、この発明は、前記本体ケースの背板部と前記面状発熱体との間に、前記吸気口および吹出口に連通した対流通路が形成されているのが好ましい。
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、この発明によれば、機器本体(本体ケース)の上方部と下方部との間の温度差が小さくなるので、輻射熱暖房効率が改善されて、下方部を所望の温度で暖房できる。すなわち、面状発熱体は、床面側から上方に向かって複数段の発熱体ユニットに分割し配列さて、これらの分割された発熱体ユニットは、床面側の発熱体ユニットのヒータワット数が最も大きく、該床面から離れるにしたがってそのワット数が次第に小さくしたヒータ線で構成されている。これにより、下方部の床面 近傍エリアがワット数の高い発熱体ユニットのヒータで暖房され、床面から離れるに従って、上方部が発熱体ユニットのワット数が小さいヒータで暖房されるので、従来技術のように上方部と下方部との間の温度差が大きくなることがなくなる。
また、この発明は、ヒータ巻回基板にヒータ線が少なくとも2本を組にして巻回されるので、ヒータ線1本当りの電流値が低減することになる。従って、ヒータ線周囲に発生する磁力が抑えられて、電磁音の発生を低減できる。また、発熱体ユニットのワット数を高くできる。
さらに、この発明は、1枚の支持基板を使用して、大判の面状発熱体を簡単に作製できる。
さらにまた、この発明は、複数枚の発熱体ユニットが装着された支持基板が本体ケースの内部部材に遊動自在に固定されるので、発熱体からの熱によって、支持基板が伸縮しても、この伸縮を吸収できて、支持基板が撓み、破損などをするのを防止できる。
さらにまた、この発明は、面状発熱体からの輻射熱暖房効率が良好になるとともに、この面状発熱体によって生じる加熱空気の対流作用が高まり部屋の暖房効果が良くなる。
さらにまた、この発明は、面状発熱体によって生じる加熱空気の対流作用が高まり、機器本体の外郭の温度上昇が抑制されるので、安全性が向上する。
図1は本発明の実施形態に係る電気パネルヒータの外観斜視図である。 図2は図1の電気パネルヒータを示し、図2Aは正面図、図2Bは右側面図、図2Cは左側面図、図2Dは平面図、図2Eは底面図である。 図3は図1の電気パネルヒータの背面図である。 図4Aは図2AのIVA−IVA線の断面図、図4Bは図2AのIVB−IVB線の断面図である。 図5は図4Aの内部を拡大した拡大断面図である。 図6は面状発熱体の分解斜視図である。 図1の操作パネルの正面図である。 従来技術の電気パネルヒータを示し、図8Aは縦断面図、図8Bは上面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための電気パネルヒータを例示するものであって、本発明をこの電気パネルヒータに特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る電気パネルヒータの全体構成を説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る電気パネルヒータの外観斜視図、図2は図1の電気パネルヒータを示し、図2Aは正面図、図2Bは右側面図、図2Cは左側面図、図2Dは平面図、図2Eは底面図、図3は図1の電気パネルヒータの背面図、図4Aは図2AのIVA−IVA線の断面図、図4Bは図2AのIVB−IVB線の断面図で
ある。図4A、図4Bでは内部構造が省略されている。
電気パネルヒータ1は、図1に示すように、床面などに立設して使用する立設型の大型のパネルヒータとなっている。このパネルヒータは、横幅が約800mmおよび高さが約500mmとなっている。
この電気パネルヒータ1は、図2〜図4に示すように、一面に所定大きさの開口2fおよび内部に所定大きさの空間20(図4B参照)を有する本体ケース2と、この本体ケースの内部に収納される面状発熱体13(図4A参照)と、本体ケースの開口2fを覆う前面パネル7とを備え、面状発熱体13は複数枚に分割されてワット数が異なる発熱体ユニットで構成されている。また、前面パネル7は、面状発熱体を前面から覆うガードパネルとなっている。以下、個々の構成部品を説明する。
本体ケース2は、図2に示すように、一対の対向する長尺辺および短尺辺を有する細長矩形状の背板部2aと、この背板部の周囲から所定高さ立設して上下および左右の側板部2b〜2eとを有し、側板部の頂部が開口2f(図4参照)した所定深さの直方体形状のボックスからなり、所定の肉厚を有する金属板の折曲加工により形成されている。上下および左右の側板部のうち、上下側板部2b、2cは、背板部2aに周囲端縁から外方へ鈍角に傾斜した傾斜面からなり、これらの傾斜面に複数個のスリットからなるスリット群3a、3bが形成されている。これらのスリット群3a、3bのスリットは、数ミリ単位の細溝で形成されている。これらのスリット群3a、3bは、使用時に下方の側板部のスリット群3aが外気を吸気する吸気口および上方の側板部のスリット群3bが熱風を吐出させる吹出口となる。背板部2aの背面には、図3に示すように、取っ手4および本体ケース2を床面などに立設させる一対の脚柱台5A、5Bを固定する固定部21、22が設けられている。一方の固定部22は、背板部2aの背面に各脚柱台5A、5Bを構成するパイプ材が挿入される細溝で形成されている。
取っ手4は、例えばコ字状の枠部材からなり、この枠部位が背板部2aの背面に螺子などの固定手段を用いて固定部21に固定される。この取っ手4を設けることにより、パネルヒータを任意の位置に簡単に移動することが可能になる。
一対の脚柱台5A、5Bは、同じ構造となっている。一方の脚柱台5Bを説明する。この脚柱台5Bは、図4Aに示すように、床面などに載置される基台部5aと、この基台部の一端から所定高さ立設されて本体ケース2の背面に固定する取付け部5bとを有し、所定太さのパイプ材で形成されている。取付け部5bには、螺子孔が形成されて、この螺子孔を利用して固定螺子6で本体ケースの背板部2aの固定部22に固定される。
前面パネル7は、図1、図2に示すように、本体ケース2の開口2fを覆う大きさを有する肉薄の金属板で形成されている。この前面パネル7は、その表面に表面加工を施した化粧板で形成されたガードパネルとなっている。また、この前面パネル7は、外周囲の一部領域7a〜7dを除いた全面に複数個の貫通孔8が形成されている。これらの貫通孔8は、同じ大きさの開口80を有している。なお、図1において、符号80は貫通孔の開口となっている。外周領域7a〜7dは、狭い領域となっている。複数個の開口80は、前面パネル面に所定の規則性をもった配列、例えばマトリクス状或いはハニカム状に穿孔(パンチング加工)された開口で形成されている。この前面パネル7は、複数個の開口80を形成することにより、外周囲の一部領域7a〜7dを除いたパンチング領域において所定の開口率を有したものとなっている。開口80の大きさと前面パネル7の表面温度とは所定の関係にある。すなわち、開口80を大きくすると、輻射熱量が大となり表面温度が上昇し、一方、開口を小さくすると、輻射熱量が小となり表面温度も小さくなる。また、前面パネル7の表面温度は、面状発熱体13との距離によっても左右されて、距離が大きくなれば低く、短くなれば高くなる。この実施形態では、開口を円形状にし、その直径を6.0mm〜5.4mm、開口率を60%〜70%の範囲にすることによって、前面パネル8の温度上昇が低い温度になることを確認されている。なお、開口の形状は、円形に限定されず、正方形、矩形など任意の形状にしてもよい。これらの開口面積は、前記直径6.0mm〜5.4mmの円形面積と同じにするのが好ましい。
次に、図5、図6を参照して、面状発熱体を説明する。なお、図5は図4Aの内部を拡大した拡大断面図、図6は面状発熱体の分解斜視図である。
面状発熱体13は、一対の発熱体ユニット14A、14Bと、これらの発熱体ユニットを装着して一体化する支持基板19との組立て体で構成されている。
一方の発熱体ユニット14Aは、対向する一対の長尺辺および短尺辺を有する矩形状(帯片)のヒータ線巻回基板15Aと、この巻回基板に巻回されるヒータ線16Aとを有し、ヒータ巻回基板15Aに所定のワット数(例えば700W)のヒータ線16Aを巻回した後に、このヒータ巻回基板15Bの表裏面に一対の対向基板17A、17Bを当接して螺子などで固定したものとなっている。すなわち、この発熱体ユニット14Aは、ヒータ線16Aが巻回された巻回基板15Aが対向基板17A、17B間にサンドイッチ状に挟持された構造となっている。ヒータ巻回基板15Aおよび対向基板17A、17Bの大きさは、例えば長辺が532mm、短辺が152mmであって、電気絶縁性、耐熱性、耐圧縮性、耐水性および耐薬品性などの特性を有する薄板材、例えばマイカなどからなる基板が使用されている。巻回基板15Aへのヒータ線16Aの巻回は、ヒータ線を少なくとも2条併設して、巻回基板に巻回するのが好ましい。ヒータ線を複数本にして巻回することにより、ヒータ線一本当りに流れる電流が低減するため、通電中の電磁音の発生を低減できる。他方の発熱体ユニット14Bは、発熱体ユニット14Aと同じ構造を有し、そのワット数がそれより低く、例えば500Wのヒータ線で構成されている。すなわち、ヒータ巻回基板15Bに所定のワット数(500W)のヒータ線16Bが巻回された後に、このヒータ巻回基板15Bの表裏面に一対の対向基板18A、18Bが当接されて螺子などで固定される。これらの発熱体ユニット14A、14Bは、1枚の支持基板19の一表面に当接させて、各発熱体ユニット14A、14Bを螺子などの固定手段を用いて固定される。この支持基板19は、例えば長辺が532mm、短辺が304mmであって、ヒータ巻回基板および対向基板と同じ材料のもので作成されている。
この面状発熱体13は、一対の発熱体ユニット14A、14Bと、これらの発熱体ユニットを装着して一体化する支持基板19との組立て体で構成するので、面状発熱体の発熱面積を大きくでき、しかも、一対の発熱体ユニット14A、14Bを一枚の支持基板19に固定するので、取扱いが簡単になると共に、本体ケース内への収納・固定も簡単にできる。この実施形態では、面状発熱体13を一対の発熱体ユニット14A、14Bの分割体で構成したが、その分割枚数を3以上にしてもよい。3以上に分割する場合は、支持基板の一辺から対向する辺に向かって、高いワット数から順次低いワット数になるようにして配置して、該支持基板に固定する。また、これらのワット数は700W、500Wに限定されるものでなく、他の任意のワット数にしてもよい。
組立てた面状発熱体13は、本体ケース2の空間内に固定部材9を用いて、ワット数が高い発熱体ユニット14Aが本体ケース2の下方に位置するようにして固定される。なお、この固定部材は、特許請求の範囲でいう内部部材に相当する。
固定部材9は、図5に示すように、組立て時に本体ケース2の背板部2a側にあって、面状発熱体13の背面側を覆う所定深さの遮熱ボックス10と、この遮熱ボックスの外周囲に装着されて面状発熱体13の外周囲を所定の隙間をあけて固定する額縁状の押さえ枠11とを有している。遮熱ボックス10は、面状発熱体13より若干小さい面積を有する背板部10aと、この背板部の周囲から所定高さ立設された周囲板部10bと、この周囲板部の頂部に設けた開口10dと、周囲板部の外周囲から外方へ所定長さ延設したフランジ部10cと、内部に所定大きさの空間100とを有し、金属板材の折曲加工によって形成されている。フランジ部10cに、額縁状の押さえ枠11が固定される。押さえ枠11は、面状発熱体13より若干小さい面積を有する開口と、この面状発熱体の外周囲より若干大きい押さえ片とを有し、金属板材の打ち抜き折曲加工により形成されている。遮熱ボックス10は、本体ケース2の背板部2aとの間に所定の隙間があくようにして、該本体ケースに固定される。この隙間は、スリット群3a、3bに連通されている。
面状発熱体13は、押さえ枠11を使用して遮熱ボックス10のフランジ部10cに面状発熱体13の外周囲に所定の隙間をあけ、すなわち、面状発熱体13の上下および左右に若干隙間があくようにして固定される。この固定により、面状発熱体13は、遮熱ボックス10に上下および左右に若干隙間をあけて、すなわち、遊動自在に固定されるので、面状発熱体13への通電或いは非通電中に発熱体部材が伸縮しても、この伸縮が吸収される。その結果、面状発熱体13が歪んで損傷或いは破損するのを防止できる。また、面状発熱体13の背面と遮熱ボックス10の背板部との間に隙間、すなわち、遮熱ボックス10の深さ分の空間が生じるので、この空間により面状発熱体13の背面側からの熱が遮熱される。その結果、本体ケース2の背板部2a側への熱伝導が抑制されて、背板部2aの外側の温度上昇が低減される。また、遮熱ボックス10と本体ケース2の背板部2aとの間に所定の隙間Gが形成されて、この隙間がスリット群3a、3bに連通されているので、一方のスリット群3aから外気が吸気されて、この隙間Gで遮熱ボックの背板部からの熱を奪って、他方のスリット群3bから熱気流となって外部へ吹き出される。したがって、本体ケースの背板部2aの外表面への熱伝導が少なくなり、過度に加熱されることが無く安全性が高まる。
固定部材9で固定された面状発熱体13は、本体ケース2の空間内に開口から枠体部材12で固定される。枠体部材12は、図1、図2の状態で、上下の比較的長い長辺枠片12a、12bと、左右の比較的短い短辺枠片12c、12dとを有し、耐熱性を有する金属材で形成されている。これらの長辺枠片および短辺枠片は、所定の肉厚を有し、これらが組合された状態で内部に所定大きさの矩形状の開口、隅部および外壁部が本体ケース2の内壁面に当接する部材で構成されている。面状発熱体13は、これらの上下および左右の枠片でその外周囲を押さえて固定される。この固定により、面状発熱体13は、内部に矩形状の開口があいた枠片で固定された状態となる美観が良くなる。
前面パネル7は、その一辺に操作パネル20が装着される。この操作パネル20は、図7に示すように、電源スイッチ21b、この電源スイッチが投入されたことを表示する電源ランプ21a、表示部22、暖房切替ツマミ23a、設定温度を調節するツマミ23b、23c、およびタイマの入り・切りツマミ24a、24b、時刻設定ツマミ25などが配設されている。この操作パネル20からの指示に基づいて不図示の制御装置により、ヒータなどが制御される。すなわち、電源スイッチが投入されて、温度調節などがなされると、制御装置は面状発熱体13へ通電し、該発熱体から輻射熱および上昇熱流が発生し、所望の採暖および部屋を暖房することができる。
以上、本発明の実施形態に係る電気パネルヒータを説明したが、この電気パネルヒータによれば、本体ケースの上方部と下方部との間の温度差が小さくなるので、輻射熱暖房効率が改善されて、下方部を所望の温度で暖房できる。すなわち、面状発熱体は、床面側から上方に向かって複数段の発熱体ユニットに分割し配列されて、これらの分割された発熱体ユニットは、床面側の発熱体ユニットのヒータワット数が最も大きく、該床面から離れるにしたがってそのワット数が次第に小さくしたヒータ線で構成されている。これにより、下方部の床面近傍エリアがワット数の高い発熱体ユニットのヒータで暖房され、床面から離れるに従って、上方部が発熱体ユニットのワット数が小さいヒータで暖房されるので、従来技術のように上方部と下方部との間の温度差が大きくなることがなくなる。また、ヒータ巻回基板にヒータ線が2本を組にして巻回されるので、電磁音の発生を低減できる。また、発熱体ユニットのワット数を高くできる。さらに、1枚の支持基板を使用して、大判の面状発熱体を簡単に作製でき、複数枚の発熱体ユニットが装着された支持基板が本体ケースの内部部材に遊動自在に固定されるので、発熱体からの熱によって、支持基板が伸縮しても、この伸縮を吸収できて、支持基板が撓み、破損などをするのを防止できる。さらにまた、発熱体からの輻射熱暖房効率を良くするとともに、この発熱体によって生じる加熱空気の対流作用を高めて、部屋の暖房効果が良好になる。面状発熱体によって生じる加熱空気の対流作用を高めて、機器本体の外郭の温度上昇を抑制できる。
1 電気パネルヒータ
2 本体ケース
3a スリット群(吸気口)
3b スリット群(吹出口)
5A、5B 脚柱台
7 前面パネル
8 貫通孔
9 固定部材
10 遮熱ボックス
11 押さえ枠
12 枠体部材
13 面状発熱体
14A、14B 発熱ユニット
15A、15B ヒータ線巻回基板
16A、16B ヒータ線
17A、17B 対向基板
18A、18B 対向基板
19 支持基板
20 操作パネル

Claims (6)

  1. 床面などから立設される面に開口を設け内部に所定大きさの空間を有する本体ケースと、前記本体ケースの空間内に収納された面状発熱体と、前記面状発熱体の前方に位置して前記本体ケースの開口を覆う前面パネルとを備えた立設型の電気パネルヒータにおいて、
    前記面状発熱体は、床面側から上方へ向かって複数段に分割された発熱体ユニットからなり、これらの分割された発熱体ユニットは、床面側の発熱体ユニットのヒータワット数が最も大きく、該床面から離れるにしたがってそのワット数が次第に小さくしたヒータ線を有したもので構成されていることを特徴とする電気パネルヒータ。
  2. 前記発熱体ユニットは、所定の幅長、長さをおよび肉厚を有するヒータ線巻回基板と、このヒータ巻回基板に少なくとも2本を組にして巻回されたヒータ線とで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気パネルヒータ。
  3. 前記発熱体ユニットは、複数ユニットが1枚の支持基板に固定されて、前記面状発熱体が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気パネルヒータ。
  4. 前記支持基板は、前記本体ケースの内部部材に遊動自在に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の電気パネルヒータ。
  5. 前記本体ケースは、所定大きさの矩形状の背板部と、前記底板部の周囲から前記開口側へ所定長さ延設された側板部とを有し、床面側の側板部に吸気口および上方の天井側の側板部に温風の吹出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気パネルヒータ。
  6. 前記本体ケースの背板部と前記面状発熱体との間に、前記吸気口および吹出口に連通した対流通路が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気パネルヒータ。
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