前記公報に開示の降温用噴霧システムは、微霧が蒸散することによって生じた冷気を利用して作業区画の気温を降下させることができる。しかし、微霧の蒸散によって生じた冷気のみを作業区画の気温降下に利用するだけでは、作業区画の気温を迅速に降下させることができず、作業区画を直ちに作業に適した温度にすることができない。また、この降温用噴霧システムは、冷気が作業区画に集中して流れるように、作業区画の近傍に送風機が設置されているが、送風機からの風によってかえって冷気が作業区画の周辺に拡散し、冷気を作業区画の気温降下に十分に利用できない場合がある。
なお、作業区画の気温を降下させる手段として、作業区画に冷気を送気するスポット空調が利用される場合がある。スポット空調は、スポット空調用吹出口の直近ではそこから放出される冷気によって気温が低下するが、吹出口から離れた作業区画では吹出口から放出された冷気が作業区画に達する間に室内空気と混合されてその温度が上昇し、冷気が作業区画に存在する作業者に達したとしても、その作業者に単に気流感のみしか与えず、作業区画を作業に適した温度にすることができない場合がある。
本発明の目的は、建物の内部空間に形成された複数の作業エリアの気温を確実かつ迅速に降下させることができ、作業エリアを直ちに作業に適した温度にすることができるスポット空調システムを提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、建物の内部空間に形成された複数の作業エリアの気温を降下させるスポット空調システムである。
前記前提における本発明の特徴としては、スポット空調システムが、空調装置に接続されて作業エリアに向かって冷却空気を送気するスポット空調用吹出口と、微霧発生装置に接続されて作業エリアに向かって微霧を噴霧する少なくとも1つの微霧噴射ノズルとを備え、微霧噴射ノズルがスポット空調用吹出口の近傍また該吹出口から離間した位置であってノズルから噴霧された微霧を吹出口から送気された冷却空気の気流に乗せることが可能な設置位置に配置され、冷却空気の気流に乗った微霧がその冷却空気の気流中で気化することにある。
本発明の一例としては、微霧噴射ノズルが、上下方向と横方向との少なくとも一方へ移動可能であり、スポット空調システムでは、建物の内部空間の温度が高いときに、微霧噴射ノズルがスポット空調用吹出口に近い第1設置位置に配置され、建物の内部空間の温度が低いときに、微霧噴射ノズルが第1設置位置から上方と横方向との少なくとも一方へ離間した第2設置位置に配置される。
本発明の他の一例として、スポット空調システムでは、微霧噴射ノズルの向きを第1および第2設置位置において横方向へ変更可能であり、建物の内部空間の温度が高いときに、微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口に向かう方向に保持され、建物の内部空間の温度が低いときに、微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口から離間する方向に保持される。
本発明の他の一例としては、第1設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口と第2設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口とから下方へ引いた仮想線がスポット空調用吹出口の中心から横方向両側に向かって0〜3mの範囲内にある。
本発明の他の一例としては、第1設置位置がスポット空調用吹出口の上端から上方へ0〜100cmの範囲にあり、第2設置位置が第1設置位置から上方へ20〜100cmの範囲にある。
本発明の他の一例としては、微霧噴射ノズルの角度が設置位置において上下方向へ変更可能であり、スポット空調システムでは、建物の内部空間の温度が高いときに、微霧噴射ノズルの角度がスポット空調用吹出口に向かうように傾斜した第1角度に保持され、建物の内部空間の温度が低いときに、微霧噴射ノズルの角度がスポット空調用吹出口から離間するように傾斜した第2角度に保持される。
本発明の他の一例としては、微霧噴射ノズルが横方向へ移動可能であり、スポット空調システムでは、建物の内部空間の温度が高いときに、微霧噴射ノズルがスポット空調用吹出口に近い近接位置に配置され、建物の内部空間の温度が低いときに、微霧噴射ノズルが近接位置から横方向へ離間した離間位置に配置される。
本発明の他の一例として、スポット空調システムでは、微霧噴射ノズルの向きを設置位置において横方向へ変更可能であり、建物の内部空間の温度が高いときに、微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口に向かう方向に保持され、建物の内部空間の温度が低いときに、微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口から離間する方向に保持される。
本発明の他の一例としては、設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口から下方へ引いた仮想線がスポット空調用吹出口の中心から横方向両側に向かって0〜3mの範囲内。
本発明の他の一例としては、設置位置がスポット空調用吹出口の上端から上方へ0〜100cmの範囲にある。
本発明の他の一例としては、第1角度を設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口から下方へ引いた仮想線とノズルの軸線との交差角度とした場合のその交差角度が90〜180度の範囲にあり、第2角度を設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口から下方へ引いた仮想線とノズルの軸線との交差角度とした場合のその交差角度が45〜90度の範囲にある。
本発明の他の一例としては、スポット空調システムが作業エリアを除く建物の内部空間の湿度を測定する湿度センサを備え、スポット空調システムでは、湿度センサが測定した測定湿度が設定湿度以下のときに、微霧噴射ノズルから微霧を噴霧し、測定湿度が設定湿度を超過すると、微霧の噴霧を停止する。
本発明の他の一例としては、スポット空調システムが作業エリアを除く建物の内部空間の温度を測定する温度センサを備え、スポット空調システムでは、温度センサが測定した測定温度が設定温度以上のときに、微霧噴射ノズルから微霧を噴霧し、測定温度が設定温度未満のときに、微霧の噴霧を停止する。
本発明の他の一例としては、スポット空調用吹出口から送気される冷却空気が建物の内部空間の湿度と同一湿度の空気または湿度よりも減湿された空気である。
本発明にかかるスポット空調システムによれば、微霧をスポット空調用吹出口から送気された冷却空気の気流に乗せることが可能な設置位置に微霧噴射ノズルが配置されているから、吹出口から送気される冷却空気の気流中で微霧を気化させることができ、微霧を作業エリアの気温降下に確実に利用することができる。スポット空調システムは、スポット空調用吹出口から送気される冷却空気の気流中で微霧が気化するから、冷却空気が室内空気と混合したとしても、冷却空気の温度上昇を抑制することができ、冷却空気を作業エリアの気温降下に確実に利用することができる。スポット空調システムは、微霧の気化を利用して冷却空気の温度上昇を抑制するから、小さな冷却出力で空調装置を運転することができ、空調装置の消費電力を低減することができる。このスポット空調システムは、スポット空調用吹出口から送気された冷却空気と微霧噴射ノズルから噴霧された微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温を確実かつ迅速に降下させることができ、作業エリアを直ちに作業に適した温度にすることができる。
建物の内部空間の温度が高いときに微霧噴射ノズルがスポット空調用吹出口に近い第1設置位置に配置され、建物の内部空間の温度が低いときにノズルが第1設置位置から上方と横方向との少なくとも一方へ離間した第2設置位置に配置されるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにノズルを吹出口に近い第1設置位置に配置することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにノズルを第1設置位置から上方と横方向との少なくとも一方へ離間した第2設置位置に配置することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
微霧噴射ノズルの向きを第1および第2設置位置において横方向へ変更可能であり、建物の内部空間の温度が高いときに微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口に向かう方向に保持され、建物の内部空間の温度が低いときに微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口から離間する方向に保持されるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにノズルの向きを吹出口に向かう方向に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにノズルの向きを吹出口から離間する方向に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
第1設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口と第2設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口とから下方へ引いた仮想線がスポット空調用吹出口の中心から横方向両側に向かって0〜3mの範囲内にあるポット空調システムは、第1設置位置と第2設置位置とがスポット空調用吹出口の周縁から大きく離間した位置になることはなく、微霧噴射ノズルから噴霧された微霧を吹出口から送気された冷却空気の気流に確実に乗せることができるとともに、微霧を冷却空気の気流中において気化させることができ、作業エリアの気温を確実かつ迅速に降下させることができる。
第1設置位置がスポット空調用吹出口の上端から上方へ0〜100cmの範囲にあり、第2設置位置が第1設置位置から上方へ20〜100cmの範囲にあるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにノズルを吹出口の上端から上方へ0〜100cmの範囲の第1設置位置に配置することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにノズルを第1設置位置から上方へ20〜100cmの範囲の第2設置位置に配置することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
建物の内部空間の温度が高いときに微霧噴射ノズルの角度がスポット空調用吹出口に向かうように傾斜した第1角度に保持され、建物の内部空間の温度が低いときにノズルの角度が吹出口から離間するように傾斜した第2角度に保持されるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにノズルの角度を第1角度に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにノズルの角度を第2角度に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
建物の内部空間の温度が高いときに微霧噴射ノズルがスポット空調用吹出口に近い近接位置に配置され、建物の内部空間の温度が低いときに微霧噴射ノズルが近接位置から横方向へ離間した離間位置に配置されるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにノズルを吹出口に近い近接位置に配置することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにノズルを近接位置から横方向へ離間した離間位置に配置することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
微霧噴射ノズルの向きを設置位置において横方向へ変更可能であり、建物の内部空間の温度が高いときに微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口に向かう方向に保持され、建物の内部空間の温度が低いときに微霧噴射ノズルの向きがスポット空調用吹出口から離間する方向に保持されるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにノズルの向きを吹出口に向かう方向に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにノズルの向きを吹出口から離間する方向に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口から下方へ引いた仮想線がスポット空調用吹出口の中心から横方向両側に向かって0〜3mの範囲内にあるスポット空調システムは、設置位置がスポット空調用吹出口の周縁から大きく離間した位置になることはなく、その設置位置において微霧噴射ノズルの角度を変更したとしても、ノズルから噴霧された微霧を吹出口から送気された冷却空気の気流に確実に乗せることができるとともに、微霧を冷却空気の気流中において気化させることができ、作業エリアの気温を確実かつ迅速に降下させることができる。
設置位置がスポット空調用吹出口の上端から上方へ0〜100cmの範囲にあるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときにその設置位置において微霧噴射ノズルの角度を第1角度に保持することで、大部分の微霧の気化を作業エリアまたはその近傍にすることができ、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときにその設置位置において微霧噴射ノズルの角度を第2角度に保持し、気化した一部の微霧を除く微霧のみを冷却空気の気流中で気化させ、作業エリアの気温の降下幅を小さくすることで、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
第1角度を設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口から下方へ引いた仮想線とノズルの軸線との交差角度として表した場合のその交差角度が90〜180度の範囲にあり、第2角度を設置位置に配置された微霧噴射ノズルの噴射口から下方へ引いた仮想線とノズルの軸線との交差角度とした場合のその交差角度が45〜90度の範囲にあるスポット空調システムは、建物の内部空間の温度が高いときに前記仮想線と前記軸線との交差角度として表される第1角度を90〜180度の範囲に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の大部分が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリアまたはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温の降下幅を大きくすることができる。一方、建物の内部空間の温度が低いときに前記仮想線と前記軸線との交差角度として表される第2角度を0〜90度の範囲に保持することで、ノズルから噴霧される微霧の一部が吹出口から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリアの気温の降下幅が小さく、作業エリアの必要以上の温度低下を防ぐことができる。
建物の内部空間の測定湿度が設定湿度以下のときに、微霧噴射ノズルから微霧を噴霧し、測定湿度が設定湿度を超過すると、微霧の噴霧を停止するスポット空調システムは、建物の内部空間の測定湿度が設定湿度を超過した場合にノズルから微霧を噴霧すると、微霧が冷却空気の気流中において十分に気化せず、水滴として作業者に付着してしまい、作業者に不快感を与えるが、この場合に微霧の噴霧を停止するから、作業者に水滴が付着することはなく、作業者に不快感を与えることはない。
温度センサが測定した測定温度が設定温度以上のときに、微霧噴射ノズルから微霧を噴霧し、測定温度が設定温度未満のときに、微霧の噴霧を停止するスポット空調システムは、測定温度が設定湿度未満の場合、微霧の気化冷却を利用して作業エリアの温度を降下させる必要はなく、微霧発生装置の稼動を停止することで、システムの消費電力を低減することができる。
スポット空調用吹出口から送気される冷却空気が建物の内部空間の湿度と同一湿度の空気または湿度よりも減湿された空気であるスポット空調システムは、冷却空気が建物の内部空間の湿度と同一湿度の空気であったとしても、微霧の冷却空気の気流中における気化によって冷却空気の温度上昇を防ぎ、それによって作業エリアを作業に適した温度にすることができる。また、冷却空気が建物の内部空間の湿度よりも減湿された空気である場合は、スポット空調用吹出口からの冷却された冷却空気の気流中で微霧噴射ノズルから噴霧された微霧が確実に気化し、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリアの気温を迅速に降下させることができ、作業エリアを直ちに作業に適した温度にすることができる。
一例として示すスポット空調システム10の構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかるスポット空調システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。このスポット空調システム10は、大きな内部空間11(作業場)を有する各種工場12(建物)に施設される。なお、工場12の内部空間11は、各作業者13が作業を行う複数の作業エリア14に区画されている。
工場12は、その屋根に換気用の煙突38が設置され、壁に換気窓39が施設されている。工場12では、各種複数の生産設備や生産物から発散する熱によって、その内部空間11の温度が外気温度よりも大幅に上昇する。工場12の内部空間11全域を空調装置によって冷却するには膨大な電力を必要とする一方、工場12の各作業エリア14の温度を下げなければ、そこで作業する作業者13の作業効率が著しく低下する。そこで、作業エリア14のみの温度を個別に降下させるシステムとしてこのスポット空調システム10が有効に利用される。
システム10は、スポット空調冷却ユニット15と微霧噴霧ユニット16と湿度センサ17および温度センサ18とから形成されている。スポット空調冷却ユニット15は、空調装置19と送気ダクト20とスポット空調用吹出口21とを備えている。空調装置19は、送気ダクト20を介して空調空気(冷却空気)を各作業エリア14に送る。なお、空調装置19の種類に特に限定はない。空調装置19には、図示はしていないが、制御器が内蔵されている。
空調装置19の制御器には、設定温度が格納されている。設定温度は、任意に設定、変更することができる。制御器は、温度センサ18から出力された工場内部の温度によって空調装置19の運転を決定する。制御器は、タイマー機能を有し、その機能を利用して空調空気の送気開始・停止の時間設定や空調空気の間欠送気の設定が可能である。スポット空調用吹出口21は、図1に示すように、各作業エリア14の近傍に設置され、空調装置19から送られた冷却空気を各作業エリア14に向かって送気する。吹出口21は、送気ダクト20を介して空調装置19に接続されている。吹出口21には、蛇腹ホース吹出口とパンカルーバーとが利用されている。
微霧噴霧ユニット16は、微霧発生装置22とホース23と微霧噴射ノズル24(ヘッダー)とを備えている。微霧発生装置22は、ホース23を介して微霧を各作業エリア14に送る。発生装置22は、図示はしていないが、高圧ポンプと制御ボックスとを有する。微霧噴射ノズル24は、10μm〜50μmの微細な霧(微霧)を発生させる。ポンプには、それに水を供給する水道管25が接続されている。制御ボックスには、設定温度と設定湿度とが格納されている。設定温度や設定湿度は、任意に設定、変更することができる。制御ボックスは、温度センサ18から出力された工場内部の温度によって微霧の噴霧を開始かつ継続し、または、微霧の噴霧を停止する。あるいは、湿度センサ17から出力された工場内部の湿度によって微霧の噴霧を開始かつ継続し、または、微霧の噴霧を停止する。なお、制御ボックスは、タイマー機能を有し、その機能を利用して微霧の噴霧開始・停止の時間設定や微霧の間欠噴霧の設定が可能である。また、雨感知機能を有し、雨を自動感知して微霧の噴霧を停止する。
微霧噴射ノズル24は、各作業エリア14の周縁またはその外側近傍に設置され、微霧を各作業エリア14に向かって噴霧する。微霧噴射ノズル24は、ホース23を介して微霧発生装置22に接続されている。微霧噴射ノズル24は、スポット空調用吹出口21よりも上方であってノズル24から噴霧された微霧を吹出口21から送気された冷却空気の気流に乗せることが可能な設置位置に配置されている。なお、ノズル24は、そこから噴霧された微霧を吹出口21から送気された冷却空気の気流に乗せることが可能であれば、スポット空調用吹出口21の近傍の設置位置に配置されていてもよい。
湿度センサ17は、作業エリア14以外の工場12の内部空間11に設置され、インターフェイス(図示せず)を介して微霧発生装置22の制御ボックスに接続されている。湿度センサ17は、作業エリア14を除く工場12の内部空間11の湿度を測定し、測定した湿度を微霧発生装置22の制御ボックスに出力する。温度センサ18は、作業エリア14以外の工場12の内部空間11に設置され、インターフェイス(図示せず)を介してスポット空調ユニット15の空調装置19と微霧発生装置22の制御ボックスとに接続されている。温度センサ18は、作業エリア14を除く工場12の内部空間11の温度を測定し、測定した温度をスポット空調ユニット15の空調装置19と微霧発生装置22の制御ボックスとに出力する。
図2,3は、一例として示すスポット空調用吹出口21と微霧噴射ノズル24との正面図であり、図4,5は、他の一例として示すスポット空調用吹出口21と微霧噴射ノズル24との正面図である。図6は、スポット空調用吹出口21と微霧噴射ノズル24との側面図であり、図7は、レール26に固定した状態で示す微霧噴射ノズル24の正面図である。図8は、レール26に固定した状態で示す微霧噴射ノズル24の側面図である。図2〜6では、上下方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し(図6を除く)、前後方向を矢印Cで示す(図2〜5を除く)。図2,4ではノズル24が第1設置位置33に配置され、図3,5では、ノズル24が第2設置位置34に配置されている。図6では、図2〜5の第1および第2設置位置33,34に配置されたノズル24を同時に表示し、かつ、レール26を前後方向に表示することで、ノズル24の前後方向の位置関係を示す。
図2,3では、スポット空調用吹出口21の上方に横方向へ等間隔離間して並ぶ3つの微霧噴射ノズル24が配置されている。図4,5では、スポット空調用吹出口21の上方に1つの微霧噴射ノズル24が配置されている。ノズル24は、スポット空調用吹出口21の上方において上下方向へ延びるレール26に着脱可能に取り付けられている。なお、レール26に取り付けられるノズル24の個数に特に限定はなく、吹出口21の上方に2つのノズル24が配置されていてもよく、3つを超過するノズル24が配置されていてもよい。
レール26は、その上端部が仮天井27に取り付けられ、仮天井27において水平方向へ回転可能である。レール26に対するノズル24の取付位置を変えることで、ノズル24が上下方向へ移動可能である。さらに、レール26が水平方向へ回転することで、ノズル24の向きを第1および第2設置位置33,34において横方向へ変更可能である。レール26には、上下方向へ並ぶ複数の開口28が形成されている。レール26の仮天井27における取付位置は、図6に示すように、スポット空調用吹出口21から前後方向後方から前後方向前方であって作業エリア14の周縁またはその外側近傍である。
スポット空調用吹出口21からレール26の仮天井27における取付位置までの前後方向の離間距離M1は、図6に示すように、吹出口21から送気される冷却空気の風量や風速によって最適な距離に調整され、吹出口21から前方へ0〜3mの範囲または吹出口21から後方へ0〜3mの範囲で調整される。換言すれば、吹出口21の中心36から上方へ仮想した仮想線L3から最も前後方向前方に位置するノズル24から延出する仮想線L1までの離間距離M1が0〜3mの範囲内にあり、仮想線L3から最も前後方向後方に位置するノズル24から延出する仮想線L1までの離間距離M1が0〜3mの範囲内にある。レール26の仮天井27における取付位置によって微霧噴射ノズル24は、スポット空調用吹出口21の近接位置と、吹出口21から前後方向前方または前後方向後方へ所定距離離間した離間位置との間のいずれかの位置に配置される。微霧噴射ノズル24の噴射口29は、前後方向前方(作業エリア14)へ向かっている。
レール26に微霧噴射ノズル24を固定する手順の一例は、図7,8に示すように、半円形の固定枠30の内側にノズル24を配置した後、固定枠30の両端部31をレール26の開口28に挿入する。固定枠30の両端部31には、螺子溝が形成されている。固定枠30の両端部31をレール26の開口28に挿入した後、両端部31の螺子溝にナット32を螺着し、レール26と固定枠30とでノズル24を挟み込み、ノズル24をレール26に固定する。
レール26における固定枠30の取付位置を変更することで、ノズル24のレール26における取付位置を変えることができ、ノズル26の位置を上下方向へ変更することができる。レール26を仮天井27において水平方向へ回転させることで、ノズル24の向きを第1および第2設置位置において横方向へ変更することができる。なお、レール26では、微霧噴射ノズル24が前後方向へ水平に保持されている。したがって、第1および第2設置位置33,34に配置された微霧噴射ノズル24の噴射口29から下方へ引いた仮想線L1とノズル24の軸線L2との交差角度αは90度である。
工場12の内部空間11の温度が高い場合は、微霧噴射ノズル24がスポット空調用吹出口21に近い第1設置位置33に配置される。第1設置位置33は、スポット空調用吹出口21の周縁35の上端から上方へ所定距離離間している。スポット空調用吹出口21の周縁35の上端から第1設置位置33までの離間距離M2は、0〜100cmの範囲、好ましくは、40〜60cmの範囲、より好ましくは、50cmである。また、工場12の内部空間11の温度が高い場合は、微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21に向かう方向に保持される。この場合は、必ずしもノズル24が第1設置位置33に配置される必要はなく、ノズル24が吹出口21から離間した位置または吹出口21に近接した位置に配置されてもよい。なお、工場12の内部空間11の温度が高い場合において、微霧噴射ノズル24が第1設置位置33に配置されるとともに、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されてもよい。
工場12の内部空間11の温度が低い場合は、微霧噴射ノズル24が第1設置位置33から上方へ離間した第2設置位置34に設置される。第2設置位置34は、第1設置位置33から上方へ所定距離離間している。第1設置位置33から第2設置位置34までの離間距離M3は、20〜100cmの範囲、好ましくは、40〜60cmの範囲、より好ましくは、50cmである。また、工場12の内部空間11の温度が低い場合は、微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21から離間する方向に保持される。この場合は、ノズル24が第2設置位置34に配置されず、第1設置位置に近接した位置に配置されてもよい。なお、工場12の内部空間11の温度が低い場合において、微霧噴射ノズル24が第2設置位置34に設置されるとともに、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されてもよい。
図9,10は、他の一例として示すスポット空調用吹出口21と微霧噴射ノズル24との正面図である。図9,10では、上下方向を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。図9の態様では、図3と同一の3つの微霧噴射ノズル24が横方向へ移動可能であり、さらに、ノズル24の向きを横方向へ変更可能である。図10の態様では、図5と同一の1つの微霧噴射ノズル24が横方向へ移動可能であり、さらに、ノズル24の向きを横方向へ変更可能である。なお、図9,10では、ノズル24が第2設置位置34に配置されているが、ノズル24が第1設置位置33に配置されていてもよい。レール26を仮天井27において水平方向へ回転させることで、吹出口21に対するノズル24の向きを横方向へ変更することができ、レール26を仮天井27において横方向へ移動させることで、吹出口21に対するノズル24の位置を横方向へ変更することができる。
第1設置位置33に配置された微霧噴射ノズル24の噴射口29と第2設置位置34に配置された微霧噴射ノズル24の噴射口29とからスポット空調用吹出口21に向かって下方へ引いた仮想線L1は、図9,10に示すように、吹出口21の中心36から上方へ仮想した仮想線L3に対し、横方向両側に向かって0〜3mの範囲内にある。換言すれば、仮想線L3から最も横方向外側に位置するノズル24から延出する仮想線L1までの離間距離M5が0〜3mの範囲内にある。
なお、仮想線L1は、好ましくは、吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあることが好ましい。仮想線L1が前記範囲内(0〜3m)にあることにより、第1設置位置33と第2設置位置34とがスポット空調用吹出口21の周縁35から大きく離間した位置になることはなく、微霧噴射ノズル24の噴射口29から噴霧された微霧を吹出口21から送気された冷却空気の気流に確実に乗せることができる。
図9,10の態様において、工場12の内部空間11の温度が高い場合は、微霧噴射ノズル24がスポット空調用吹出口21に近い第1設置位置33に配置され、仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあり、微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21に向かう方向に保持される。なお、工場12の内部空間11の温度が高い場合において、ノズル24が第1設置位置33に配置されるとともに、仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあれば、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されていなくてもよい。また、仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあり、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されていれば、必ずしもノズル24が第1設置位置33に配置される必要はなく、ノズル24が吹出口21から離間した位置または吹出口21に近接した位置に配置されてもよい。
図9,10の態様において、工場12の内部空間11の温度が低い場合は、微霧噴射ノズル24が第2設置位置34に設置され、仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にあり、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持される。なお、工場12の内部空間11の温度が低い場合において、ノズル24が第2設置位置34に配置されるとともに、仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にあれば、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されていてもよい。また、仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にあり、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されていれば、必ずしもノズル24が第2設置位置33に配置される必要はなく、ノズル24が吹出口21に近接した位置に配置されてもよい。
システム10を起動させると、スポット空調ユニット15、微霧噴霧ユニット16、湿度センサ17、温度センサ18が稼動する。温度センサ18は、作業エリア14を除く工場12の内部空間11の温度を測定する。測定温度は、温度センサ18からスポット空調ユニット15の空調装置19に出力されるとともに、微霧発生装置22の制御ボックスに出力される。
空調装置19の制御器は、温度センサ18から出力された測定温度とあらかじめ格納された設定温度(たとえば、24℃)とを比較する。制御器は、測定温度が設定温度以上の場合、空調装置19の運転を開始する。一方、測定温度が設定温度未満の場合、空調装置19の運転は行わず、あるいは、空調装置19の運転を停止する。微霧発生装置22の制御ボックスは、温度センサ18から出力された測定温度とあらかじめ格納された設定温度(たとえば、24℃)とを比較する。制御ボックスは、測定温度が設定温度以上の場合、微霧発生装置22の運転を開始する。一方、測定温度が設定温度未満の場合、微霧発生装置22の運転は行わず、あるいは、微霧発生装置22の運転を停止する。
湿度センサ17は、作業エリア14を除く工場12の内部空間11の湿度を測定する。測定湿度は、微霧発生装置22の制御ボックスに出力される。微霧発生装置22の制御ボックスは、湿度センサ17から出力された測定湿度とあらかじめ格納された設定湿度(たとえば、湿度50〜70%)とを比較する。制御ボックスは、測定湿度が設定湿度以下の場合、微霧発生装置22の運転を開始する。一方、測定湿度が設定湿度を超過すると、微霧発生装置22の運転は行わず、あるいは、微霧発生装置22の運転を停止する。
以下、測定温度が空調装置19の制御器や微霧発生装置22の制御ボックスの設定温度以上であって、測定湿度が制御ボックスの設定湿度以下であり、空調装置19と微霧発生装置22との運転が行われる場合について説明する。空調装置19の運転が開始されると、空調装置19は、送気ダクト20を介して空調空気を各作業エリア14に送る。空調装置19から送られた冷却空気は、送気ダクト20を通って各スポット空調用吹出口21に達し、吹出口21から各作業エリア14に向かって送気される。なお、制御器は、測定温度によって空気を冷却しない場合(たとえば、測定温度が25〜27℃)と冷却(冷房)する場合(たとえば、測定温度が28℃以上)とがある。空気を冷却しない場合、工場12の内部空間11の室温と同一温度の空気が送気される。空気を冷却する場合、内部空間11の室温よりも低い冷却された冷却空気が送気される。なお、空調装置19から冷却空気が送気されているものとする。また、スポット空調用吹出口21から送気される冷却空気は、工場12の内部空間11の湿度と同一湿度の冷却空気である場合、または、工場12の内部空間11の湿度よりも減湿された冷却空気である場合がある。
微霧発生装置22の運転が開始されると、噴霧装置22は、ホース23を介して高圧水を各作業エリア14に送る。噴霧装置22から送られた高圧水は、ホース23を通って各微霧噴射ノズル24に達し、ノズル24の噴射口29から微霧として各作業エリア14に向かって噴霧される。微霧は、吹出口21から送気された冷却空気の気流に乗って各作業エリア14に向かうとともに、冷却空気の気流中において気化する。なお、制御ボックスは、測定温度が設定温度未満であると、微霧発生装置22の運転を停止し、微霧の噴霧を停止する。または、測定湿度が設定湿度を超過すると、微霧発生装置22の運転を停止し、微霧の噴霧を停止する。
工場12の内部空間11の測定温度が設定温度未満の場合にノズル24から微霧を噴霧すると、微霧の気化冷却によって作業エリア14の温度が必要以上に低下し、作業者の作業効率が低下する。しかし、測定温度が設定温度未満の場合、微霧発生装置22の運転が行われず、または、微霧発生装置22の運転を停止するから、作業エリア14の温度が必要以上に低下することはない。工場12の内部空間11の測定湿度が設定湿度を超過した場合にノズル24から微霧を噴霧すると、微霧が冷却空気の気流中において十分に気化せず、水滴として作業者13に付着してしまい、作業者13に不快感を与える。しかし、測定湿度が設定湿度を超過すると、微霧発生装置22の運転が行われず、または、微霧発生装置22の運転を停止するから、作業者13に水滴が付着することはなく、作業者13に不快感を与えることはない。
工場12の内部空間11の温度が高く(たとえば、28℃以上)、微霧噴射ノズル24がスポット空調用吹出口21の周縁35の上端から上方の範囲の第1設置位置33に配置された場合(仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にある場合、または、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持される場合も含む)は、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の大部分が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る。その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリア14またはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とによって作業エリア14の気温の降下幅が大きくなる。微霧噴射ノズル24を第1設置位置33に配置することで、工場12の内部空間11の温度が高い場合でも、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができ、作業エリア14を直ちに作業に適した温度にすることができる。
第1設置位置33が吹出口21の周縁35の上端から100cmを超過すると、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、微霧の気化を十分に利用することができず、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができない。仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にあり、または、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されていると、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗らない場合があり、微霧の気化を十分に利用することができず、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができない。
工場12の内部空間11の温度が低く(たとえば、測定温度が25〜27℃)、微霧噴射ノズル24が第1設置位置33から上方の第2設置位置34に配置された場合(仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にある場合、または、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されている場合も含む)は、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化する。その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリア14の気温の降下幅が小さくなる。微霧噴射ノズル24を第2設置位置34に配置することで、作業エリア14の必要以上の温度低下を防ぐことができ、工場12の内部空間11の温度が低い場合であっても、作業エリア14を作業に適した温度にすることができる。
図11は、他の一例として示すスポット空調用吹出口21と微霧噴射ノズル24との正面図であり、図12は、レール26に固定した状態で示す微霧噴射ノズル24の側面図である。図13は、第1角度α1に保持された微霧噴射ノズル24の側面図であり、図14は、第2角度α2に保持された微霧噴射ノズル24の側面図である。図11では、上下方向を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。図11では、ノズル24が設置位置37に配置されている。図12では、ノズル24が上下方向の一方へ所定の角度で傾斜している。
図11では、スポット空調用吹出口21の前方かつ上方に1つの微霧噴射ノズル24が配置されている。微霧噴射ノズル24は、スポット空調用吹出口21の前方かつ上方において上下方向へ延びるレール26に着脱可能に取り付けられている。なお、ノズル24の個数に特に限定はない。微霧噴射ノズル24やレール26は図2〜5のそれらと同一であり、レール26の仮天井27における取付位置は図6のそれと同一である。微霧噴射ノズル24は、図6のそれと同様に、仮天井27におけるレール26の取付位置によって、スポット空調用吹出口21の近接位置と吹出口21から前後方向前方または後方へ所定距離離間した離間位置との間のいずれかの位置に配置される。
微霧噴射ノズル24は、スポット空調用吹出口21の前方かつ上方の設置位置37に配置されている。設置位置37は、スポット空調用吹出口21の周縁35の上端から上方へ所定距離離間している。スポット空調用吹出口21の周縁35の上端から設置位置37までの離間距離M4は、0〜100cmの範囲、好ましくは、40〜70cm、より好ましくは、50cmである。
微霧噴射ノズル24は、図12に示すように、その角度が設置位置37において上下方向へ変更可能である。また、レール26が水平方向へ回転することで、ノズル24の向きを設置位置37において横方向へ変更可能である。レール26に微霧噴射ノズル24を固定する手順の一例は、半円形の固定枠30の内側に所定の角度を設けた状態でノズル24を配置した後、固定枠30の両端部31をレール26の開口28に挿入する。固定枠30の両端部31をレール26の開口28に挿入した後、両端部31の螺子溝にナット32を螺着し、レール26と固定枠30とでノズル24を挟み込み、ノズル24をレール26に固定する。ノズル24のレール26に対する固定角度を変えることで、ノズル24の角度を上下方向へ変更することができる。
工場12の内部空間11の温度が高い場合は、微霧噴射ノズル24の角度がスポット空調用吹出口21に向かうように上下方向下方(水平を含む)へ傾斜した第1角度α1に保持される。また、工場12の内部空間11の温度が高い場合は、微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21に向かう方向に保持される。なお、工場12の内部空間11の温度が高い場合において、微霧噴射ノズル24の角度が第1角度α1に保持されるとともに、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されてもよい。
工場12の内部空間11の温度が低い場合は、微霧噴射ノズル24の角度がスポット空調用吹出口21から離間するように上下方向上方へ傾斜した第2角度α2に保持される。また、工場12の内部空間11の温度が低い場合は、微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21から離間する方向に保持される。なお、工場12の内部空間11の温度が低い場合において、微霧噴射ノズル24の角度が第2角度α2に保持されるとともに、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されてもよい。
なお、第1角度α1は、図11に示すように、設置位置37に配置された微霧噴射ノズル24の噴射口24から下方へ引いた仮想線L1とノズル24の軸線L2との交差角度α1として表され、その交差角度α1が90〜180度の範囲、好ましくは、90〜130度の範囲にある。また、第2角度α2は、図12に示すように、設置位置37に配置された微霧噴射ノズル24の噴射口24から下方へ引いた仮想線L1とノズル24の軸線L2との交差角度α2として表され、その交差角度α2が45〜90度の範囲、好ましくは、45〜80度の範囲にある。
図15は、他の一例として示すスポット空調用吹出口21と微霧噴射ノズル24との正面図である。図15の態様では、1つの微霧噴射ノズル24の角度が上下方向へ変更可能、ノズル24が横方向へ移動可能であり、さらに、ノズル24の向きを横方向へ変更可能である。ノズル24のレール26に対する固定角度を変えることで、ノズル24の角度を上下方向へ変更することができ、レール26を仮天井27において水平方向へ回転させることで、吹出口21に対するノズル24の向きを横方向へ変更することができる。レール26を仮天井27において横方向へ移動させることで、吹出口21に対するノズル24の位置を横方向へ変更することができる。
設置位置37に配置された微霧噴射ノズル24の噴射口29からスポット空調用吹出口21に向かって下方へ引いた仮想線L1は、図15に示すように、吹出口21の中心36から上方へ仮想した仮想線L3に対し、横方向両側に向かって0〜3mの範囲内にある。換言すれば、仮想線L3から最も横方向外側に位置するノズル24から延出する仮想線L1までの離間距離M5が0〜3mの範囲内にある。
なお、仮想線L1は、好ましくは、吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあることが好ましい。仮想線L1が前記範囲内(0〜3m)にあることにより、設置位置37がスポット空調用吹出口21の周縁35から大きく離間した位置になることはなく、微霧噴射ノズル24の噴射口29から噴霧された微霧を吹出口21から送気された冷却空気の気流に確実に乗せることができる。
図15の態様において、工場12の内部空間11の温度が高い場合は、微霧噴射ノズル24の角度が第1角度α1に保持され、仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあり、微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21に向かう方向に保持される。なお、工場12の内部空間11の温度が高い場合において、ノズル24の角度が第1角度α1に保持されるとともに、仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にあれば、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されていなくてもよい。また、ノズル24の角度が第1角度α1に保持されるとともに、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されていれば、必ずしも仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にある必要はない。
図15の態様において、工場12の内部空間11の温度が低い場合は、微霧噴射ノズル24の角度が第2角度α2に保持され、仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にあり、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持される。なお、工場12の内部空間11の温度が低い場合において、ノズル24の角度が第2角度α2に保持されるとともに、仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にあれば、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持されていてもよい。また、ノズル24の角度が第2角度α2に保持されるとともに、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されていれば、仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にある必要はない。
以下、図11,15の態様において、測定温度が空調装置19の制御器や微霧発生装置22の制御ボックスの設定温度以上であって、測定湿度が制御ボックスの設定湿度以下であり、空調装置19と微霧発生装置22との運転が行われる場合について説明する。空調装置19の運転や微霧発生装置22の運転は図2〜5のそれらと同一である。なお、空調装置19から冷却空気が送気されているものとする。
空調装置19の制御器は、測定温度が設定温度未満の場合、空調装置19の運転は行わず、あるいは、空調装置19の運転を停止する。微霧発生装置22の制御ボックスは、測定温度が設定温度未満の場合、微霧発生装置22の運転は行わず、あるいは、微霧発生装置22の運転を停止する。また、制御ボックスは、測定湿度が設定湿度を超過すると、微霧発生装置22の運転は行わず、あるいは、微霧発生装置22の運転を停止する。
工場12の内部空間11の温度が高く(たとえば、28℃以上)、微霧噴射ノズル24の角度が設置位置37において第1角度α1に保持された場合(仮想線L1が吹出口21の中心36から横方向両側に位置する吹出口21の周縁35の外側近傍までの範囲内にある場合、または、ノズル24の向きが吹出口21に向かう方向に保持される場合も含む)は、ノズル24がスポット空調用吹出口21に向かい、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の大部分が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る。その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリア14またはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とによって作業エリア14の気温の降下幅が大きくなる。微霧噴射ノズル24の角度を設置位置37において第1角度α1に保持することで、工場12の内部空間11の温度が高い場合でも、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができ、作業エリア14を直ちに作業に適した温度にすることができる。
第1角度α1である交差角度α1が90度未満では、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、微霧の気化を十分に利用することができず、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができない。第1角度α1である交差角度α1が180度を超過すると、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗らない場合があり、微霧の気化を十分に利用することができず、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができない。また、微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流中において十分に気化しない場合があり、微霧が水滴として作業者13に付着してしまう場合がある。
工場12の内部空間11の温度が低く(たとえば、測定温度が25〜27℃)、微霧噴射ノズル24の角度が設置位置37において第2角度α2に保持された場合(仮想線L1が吹出口21の周縁35の外側近傍から横方向外方にある場合、または、ノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持されている場合も含む)は、ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化する。その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリア14の気温の降下幅が小さくなる。微霧噴射ノズル24の角度を設置位置37において第2角度α2に保持することで、作業エリア14の必要以上の温度低下を防ぐことができ、工場12の内部空間11の温度が低い場合であっても、作業エリア14を作業に適した温度にすることができる。
第2角度α2である交差角度α2が45度未満では、微霧噴射ノズル24の噴射口29から噴霧される微霧の大部分が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、微霧の気化冷却を作業エリア14の気温降下に利用することができない。
スポット空調システム10は、微霧をスポット空調用吹出口21から送気された冷却空気の気流に乗せることが可能な設置位置33,34,37に微霧噴射ノズル24が配置されているから、吹出口21から送気される冷却空気で微霧を気化させることができ、微霧を作業エリア14の気温降下に確実に利用することができる。スポット空調システム10は、スポット空調用吹出口21から送気される冷却空気の気流中で微霧が気化するから、冷却空気が室内空気と混合したとしても、冷却空気の温度上昇を抑制することができ、冷却空気を作業エリア14の気温降下に確実に利用することができる。
スポット空調システム10は、スポット空調用吹出口21から送気された冷却空気と微霧噴射ノズル24から噴霧された微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温を確実かつ迅速に降下させることができ、作業エリア14を直ちに作業に適した温度にすることができる。スポット空調システム10は、微霧の気化冷却を利用して冷却空気の温度上昇を抑制するから、小さな出力で空調装置19を運転することができ、空調装置19の消費電力を低減することができる。
スポット空調システム10は、空調空気が工場12の内部空間11の温度と同一温度(室温)の空気であったとしても、微霧の空調空気の気流中における気化によって室温の空調空気の温度が降下し、それによって作業エリア14の気温を降下させることができる。また、空調空気が室温よりも低い冷却された冷却空気である場合、その冷却空気がスポット空調用吹出口21から送気されるから、吹出口21からの冷却された冷却空気とノズル24から噴霧された微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温を迅速に降下させることができ、作業エリア14を直ちに作業に適した温度にすることができる。
スポット空調システム10は、冷却空気が工場12の内部空間11の湿度と同一湿度の空気であったとしても、微霧の冷却空気の気流中における気化によって冷却空気の温度上昇を防ぎ、それによって作業エリア14を作業に適した温度にすることができる。また、冷却空気が工場12の内部空間11の湿度よりも減湿された冷却空気である場合は、スポット空調用吹出口21からの冷却された冷却空気の気流中で微霧噴射ノズル24から噴霧された微霧が確実に気化し、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温を迅速に降下させることができ、作業エリア14を直ちに作業に適した温度にすることができる。
工場12の内部空間11の温度が高いときに微霧噴射ノズル24がスポット空調用吹出口21に近い第1設置位置33に配置され、内部空間11の温度が低いときにノズル24が第2設置位置34に配置される場合におけるスポット空調システム10は、内部空間11の温度が高いときにノズル24を吹出口21に近い第1設置位置33に配置することで、ノズル24から噴霧される微霧の大部分が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリア14またはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができる。一方、内部空間11の温度が低いときにノズル24を第2設置位置34に配置することで、ノズル24から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリア14の気温の降下幅が小さく、作業エリア114の必要以上の温度低下を防ぐことができる。
工場12の内部空間11の温度が高いときに微霧噴射ノズル24の向きがスポット空調用吹出口21に向かう方向に保持され、内部空間11の温度が低いときにノズル24の向きが吹出口21から離間する方向に保持される場合におけるスポット空調システム10は、内部空間11の温度が高いときにノズル24の向きを吹出口21に向かう方向に保持することで、ノズル24から噴霧される微霧の大部分が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリア14またはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができる。一方、内部空間11の温度が低いときにノズル24の向きを吹出口21から離間する方向に保持することで、ノズル24から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリア14の気温の降下幅が小さく、作業エリア14の必要以上の温度低下を防ぐことができる。
工場12の内部空間11の温度が高いときに微霧噴射ノズル24の角度がスポット空調用吹出口21に向かうように傾斜した第1角度に保持され、内部空間11の温度が低いときにノズル24の角度が吹出口21から離間するように傾斜した第2角度に保持される場合におけるスポット空調システム10は、内部空間11の温度が高いときにノズル24の角度を第1角度に保持することで、ノズル24から噴霧される微霧の大部分が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗り、その結果、大部分の微霧の冷却空気の気流中における気化が作業エリア14またはその近傍となり、冷却空気と微霧の気化冷却とを利用し、作業エリア14の気温の降下幅を大きくすることができる。一方、内部空間11の温度が低いときにノズル24の角度を第2角度に保持することで、ノズル24から噴霧される微霧の一部が吹出口21から送気される冷却空気の気流に乗る前に気化し、その結果、気化した一部の微霧を除く微霧のみが冷却空気の気流中で気化し、微霧の大部分が冷却空気の気流中で気化する場合と比較し、作業エリア14の気温の降下幅が小さく、作業エリア14の必要以上の温度低下を防ぐことができる。