JP2011032417A - 樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体 - Google Patents

樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2011032417A
JP2011032417A JP2009181985A JP2009181985A JP2011032417A JP 2011032417 A JP2011032417 A JP 2011032417A JP 2009181985 A JP2009181985 A JP 2009181985A JP 2009181985 A JP2009181985 A JP 2009181985A JP 2011032417 A JP2011032417 A JP 2011032417A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
resin
polylactic acid
resin composition
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009181985A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5409175B2 (ja
Inventor
Yohei Kabashima
洋平 椛島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2009181985A priority Critical patent/JP5409175B2/ja
Publication of JP2011032417A publication Critical patent/JP2011032417A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5409175B2 publication Critical patent/JP5409175B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

【課題】優れた機械的強度、成形性、耐熱性、柔軟性を有する樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法、および該樹脂組成物より得られる成形体を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、全100質量部のうち、架橋ポリ乳酸系樹脂(A)90〜99.9質量部と、融点が110〜135℃である脂肪酸アミド(B)0.1〜10質量部を含有することを特徴とする。前記架橋ポリ乳酸系樹脂(A)は,ポリ乳酸系樹脂100質量部、過酸化物(C)0.01〜10質量部、かつ(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(E)0.01〜5質量部を材料として得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた機械的特性(曲げ特性)、成形性、耐熱性を具備する架橋ポリ乳酸系樹脂および脂肪酸アミドを含有する樹脂組成物に関する。さらに、該樹脂組成物の製造方法に関する。さらに、該樹脂組成物を成形して得られる成形体に関する。
一般に、各種成形体の成形用の原料としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリアミド樹脂(PA6、PA66)、ポリエステル樹脂(PET、PBT等)、ポリカーボネート樹脂(PC)等が使用されている。このような樹脂から製造された成形体は成形性、機械的特性に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増やすうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても半永久的に地中に残留する。
そこで、近年、環境保全の見地から、生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。生分解性ポリエステル樹脂の中でも、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどは大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。特に、ポリ乳酸は、既にトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として工業生産が可能となっており、使用後に焼却されても、これらの植物の生育時に吸収した二酸化炭素を考慮すると、炭素の収支として中立であることから、地球環境への負荷の低い樹脂とされている。
ポリ乳酸により得られたポリ乳酸系樹脂は、結晶化を十分進行させることにより耐熱性が向上し、広い用途に適用可能となるが、ポリ乳酸系樹脂単独では、その結晶化速度は極めて遅いものである。そこで、通常、結晶化速度を向上させることを目的として、ポリ乳酸系樹脂に各種結晶核剤を添加したり、ポリ乳酸系樹脂に架橋処理を施したりすることがなされてきた。
ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進するために結晶核剤を添加する手法として、特定の分子構造を有するカルボン酸アミドまたはカルボン酸エステルを添加すること(例えば、特許文献1参照)、トリメシン酸トリアミド化合物を添加すること(例えば、特許文献2参照)、アミド基を有する低分子化合物を添加すること(例えば、特許文献3参照)、芳香族スルホン酸塩を添加すること(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
また、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進するためにポリ乳酸を架橋する方法として、(メタ)アクリル酸エステル化合物を添加すること(例えば、特許文献5参照)、イソシアネート化合物を添加すること(例えば、特許文献6参照)が開示されている。
しかしながら、上記のように、ポリ乳酸系樹脂に結晶核剤を添加したり、架橋処理を施したりした場合には、結晶化速度の向上は認められるものの、その効果は不十分であった。すなわち、ポリ乳酸系樹脂を用いて成形体を製造する場合に、射出成形時の成形サイクルを十分に短縮することができないため、従来のポリプロピレン樹脂などを用いた成形体と比較して、生産性が低下する場合があった。
また、上記従来の方法により結晶化速度を向上させたポリ乳酸系樹脂を用いて製造された成形体は、実際の使用に耐えうる機械的特性(曲げ特性)や耐熱性に劣る場合があった。
WO2006/137397 特開2006−328163号公報 特開2003−226801号公報 WO2005/068554 特開2003−128901号公報 特開2002−3709号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、優れた機械的特性(曲げ特性)、成形性、耐熱性を有した樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法、および該樹脂組成物から得られる成形体を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、架橋ポリ乳酸系樹脂に、融点が110〜135℃である脂肪酸アミドを組み合わせることで上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)全100質量部のうち、架橋ポリ乳酸系樹脂(A)90〜99.9質量部と、融点が110〜135℃である脂肪酸アミド(B)0.1〜10質量部を含有する樹脂組成物。
(2)架橋ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸系樹脂100質量部、過酸化物(C)0.01〜10質量部、かつ(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(E)0.01〜5質量部を材料として作られていることを特徴とする上記(1)の樹脂組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
(4)ポリ乳酸系樹脂100質量部に、過酸化物(C)を0.01〜10質量部、かつ(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(E)0.01〜5質量部を添加して架橋ポリ乳酸系樹脂(A)を得、樹脂組成物100質量部のうち、該架橋ポリ乳酸系樹脂(A)90〜99.9質量部と融点が110〜135℃である脂肪族アミド(B)0.1〜10質量部を配合させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、結晶化が十分に促進されているため、射出成形時の成形サイクルを十分に短縮することができ、成形性に優れるものである。そして、機械的特性として曲げ特性、中でも曲げ破断歪が大きく、曲げに対する柔軟性にも優れるものであり、かつ耐熱性にも優れる。このため、本発明の樹脂組成物は各種成形体として容器や雑貨、筐体、シートなどの種々の用途に好適に利用可能であり、環境負荷の低い材料であるポリ乳酸系樹脂の使用範囲を大きく広げることが可能となり、産業上の利用価値が極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は架橋ポリ乳酸系樹脂(A)、脂肪酸アミド(B)を含有するものである。架橋ポリ乳酸系樹脂とは、ポリ乳酸系樹脂に架橋構造を導入したものである。
上記ポリ乳酸系樹脂はポリ乳酸を主成分とするものである。ポリ乳酸は、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)とポリ(D−乳酸)との混合物、ポリ(L−乳酸)とポリ(D−乳酸)との共重合体などが挙げられる。
上記の中でも、生分解性の観点から、ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸系樹脂が好適に用いられる。
上記ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸系樹脂の融点は、光学純度によってその融点が異なるが、本発明においては、樹脂組成物を成形して得られる成形体の強度や耐熱性を考慮すると、160℃以上であることが好ましい。上記融点を160℃以上とするためには、ポリ(D−乳酸)の割合を約3モル%未満とすればよい。
その他、ポリ乳酸系樹脂としては、副成分としてポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートコテレフタレート、ポリブチレンサクシネートコテレフタレート等から選ばれる一種または二種以上を、主成分であるポリ乳酸と混合したものを使用してもよい。
ポリ乳酸系樹脂は公知の溶融重合法により、あるいは、これにさらに固相重合法を追加して製造される。
ポリ乳酸系樹脂の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート(MFR)は通常0.1〜50g/分、好ましくは0.2〜20g/10分、最適には0.5〜10g/10分である。メルトフローレートが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形物の機械的特性や耐熱性が劣る。メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合は、成形加工時の負荷が高くなりすぎて操業性が低下する場合がある。
上記ポリ乳酸系樹脂のメルトフローレートを所定の範囲に制御する方法としては、メルトフローレートが大きすぎる場合には、少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。逆に、メルトフローレートが小さすぎる場合は、メルトフローレートのより大きなポリ乳酸系樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂の融点は、通常155〜190℃であり、好ましくは160〜180℃である。上記融点が155℃未満であると、結晶化速度が低下したり、耐熱性が低下したりする場合がある。また、一般に通常使用されているポリ乳酸系樹脂の融点は190℃未満である。
架橋ポリ乳酸系樹脂(A)において、架橋の形態としては、ポリ乳酸系樹脂の分子同士が結合したもの、架橋剤を介して間接的に架橋したもの、ポリ乳酸系樹脂の分子同士が結合したものと架橋剤を介して間接的に架橋したものが混在したものなどが挙げられる。本発明においては、架橋効率の観点から、架橋剤を介して間接的に架橋したものが好ましいが、限定されるものではない。
ポリ乳酸系樹脂に架橋構造を導入する方法としては、電子線照射や多価イソシアネート化合物等の多官能性化合物を使用するなどの公知の方法が挙げられる。本発明においては、架橋効率の点で、過酸化物(C)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)及び/又はアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(E)の使用によるラジカル架橋が好ましい。
本発明においては、過酸化物を配合することによって、ポリ乳酸系樹脂が架橋され、結晶化が促進されることによって成形性が向上し、耐熱性も向上する。
上記過酸化物(C)の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。上記の中でも、架橋効率の観点から、ジブチルパーオキサイドが特に好ましい。
過酸化物の配合量は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5質量部である。上記配合量が10質量部を超えると、効果が飽和するばかりか経済的でない。一方、上記配合量が0.01質量部未満であると、ポリ乳酸系樹脂を架橋させることが困難となり、成形性や耐熱性を向上させることができない。
なお、上記の過酸化物は、樹脂との混合の際に分解して消費されるため、配合時に使用されても得られた樹脂組成物中には残存しない場合がある。
本発明において、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)とシラン化合物(E)は、過酸化物(C)と併用して使用することにより、ポリ乳酸系樹脂の架橋を促進し、樹脂組成物の結晶化促進と耐熱性の改善に寄与するものである。(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)とシラン化合物(E)は、過酸化物(C)と併用する際には、それぞれ一方のみ用いても、両方用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)としては、乳酸系樹脂(A)との反応性が高く、モノマーが残りにくく、かつ、毒性が少なく、樹脂への着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシ(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジアクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジメタクリレート、または、これらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。上記の中でも、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
シラン化合物(E)は、下記式(1)で表されるものである。
Figure 2011032417
式(1)中、R〜Rの少なくとも2つ以上は、アルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基、あるいはこれらの官能基を有する置換基を表す。残りは、アルコキシ基、ビニル基、アクリル基、メタアクリル基以外を表し、例えば水素、アルキル基、エポキシ基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
ビニル基を有する置換基としては、例えば、ビニル基、p−スチリル基が挙げられる。アクリル基を有する置換基としては、例えば、3−メタクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基などが挙げられる。アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。エポキシ基を有する置換基としては、例えば、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)基などが挙げられる。
このようなシラン化合物の詳細な例、および商品名の例としては、テトラメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8114」、信越化学工業社製 商品名「KBM−04」)、テトラエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8124」、信越化学工業社製 商品名「KBE−04」)、メチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8113」、信越化学工業社製 商品名「KBM−13」)、メチルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8123」、信越化学工業社製 商品名「KBE−13」)、ジメチルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8112」)、ジメチルジエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8122」、信越化学工業社製 商品名「KBE−22」)、メチルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8117」)、メチルジエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8127」)、フェニルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8173」)、フェニルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8178」、信越化学工業社製 商品名「KBE−103」)、ジフェニルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8172」)、ジフェニルジエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8177」)、ヘキシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−3063」、デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−3103C」)、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL−8355」)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL−8350」、信越化学工業社製 商品名「KBM−403」)、ジメチルビニルメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8317」)、メチルビニルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8315」)、メチルビニルジエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8316」)、ジメチルビニルエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8318」)、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−1003」)、ビニルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8311」、信越化学工業社製 商品名「KBE−1003」)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−303」)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBE−402」)、p−スチリルトリトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−1403」)、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8375」、信越化学工業社製 商品名「KBM−502」)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8370」信越化学工業社製 商品名「KBM−503」)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBE−502」)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBE−503」、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−5103」)、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−5102」)等が挙げられる。
上記の中でも、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を1つ有し、アルコキシ基を3つ有するシラン化合物が、結晶化速度向上の点で好ましい。このようなシラン化合物の具体例および商品名の例としては、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−1003」)、ビニルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8311」、信越化学工業社製 商品名「KBE−1003」)、p−スチリルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−1403」)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製 商品名「TSL8370」、信越化学工業社製 商品名「KBM−503」)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名「KBE−503」)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−5103」)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)とシラン化合物(E)の配合量は、どちらか一方のみを用いる場合、両方を用いる場合ともに、ポリ乳酸系樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜5質量部配合することが好ましく、中でも0.02〜3質量部が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2質量部である。配合量が0.01質量部未満では、添加の効果(ポリ乳酸系樹脂の架橋を促進し、樹脂組成物の結晶化促進と耐熱性の改善)が認められない。一方、配合量が5質量部を超えると、効果が飽和するばかりか混練時の操業性が低下し、経済的でない。
架橋ポリ乳酸系樹脂(A)を製造する方法としては、ポリ乳酸系樹脂に、過酸化物(C)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはシラン化合物(E)を配合して、一般的な押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。混練状態を良くする観点から、2軸の押出機を使用することが好ましい。
混練温度は、(ポリ乳酸系樹脂の融点+5)℃〜(ポリ乳酸系樹脂の融点+100)℃の範囲が好ましい。上記の範囲より低温であると混練や反応が不十分となる場合がある。上記の範囲より高温であると、ポリ乳酸系樹脂の分解や着色が起きる場合がある。また、混練時間は20〜1800秒が好ましい。上記の範囲より短時間であると、混練や反応が不十分となる場合がある。上記の範囲より長時間であると、ポリ乳酸系樹脂の分解や着色が起きる場合がある。配合に際しては、過酸化物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、シラン化合物が固体状の場合は、ドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が好ましく、液体状の場合は、加圧ポンプを用いて押出機のバレルに直接注入する方法が好ましい。
ポリ乳酸系樹脂に、過酸化物(C)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはシラン化合物(E)を配合する場合の好ましい方法として、操業性を格段に改良することができる観点から、以下の方法が挙げられる。すなわち、ポリ乳酸系樹脂に、過酸化物(C)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはシラン化合物(E)を媒体に溶解又は分散して混練機に注入する方法が挙げられる。具体的には、ポリ乳酸系樹脂と過酸化物とを溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはシラン化合物(E)の溶解液または分散液を注入したり、ポリ乳酸系樹脂を溶融混練中に過酸化物(C)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはシラン化合物(E)の溶解液または分散液を注入して溶融混練したりすることができる。
過酸化物(C)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはシラン化合物(E)を溶解又は分散させる媒体としては一般的なものが用いられ、特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂との相溶性に優れた可塑剤が好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上が挙げられる。具体的な化合物としては、グリセリンジアセテートモノラウレート、グリセリンジアセテートモノカプレート、ポリグリセリン酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ビス(メチルジグリコール)アジペートなどが挙げられる。具体的な商品名を例示すると、「PL−012」「PL−019」「PL−320」「PL−710」「アクターシリーズ(M−1、M−2、M−3、M−4、M−107FR)」(以上、理研ビタミン社製)、「ATBC」(以上、田岡化学社製)、「BXA」「MXA」(以上、大八化学社製)、「チラバゾールシリーズ(VR−01、VR−05、VR−10P、VR10P改1、VR−623)」(以上、太陽化学社製)などが挙げられる。
可塑剤の配合量としては、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、中でも0.1〜20質量部であることが好ましい。なお、この媒体(可塑剤)は、樹脂との混合時に揮発することがあるため、製造時に使用しても、得られた樹脂組成物中にはこの媒体が含まれていない場合がある。
本発明の樹脂組成物は、上記した架橋ポリ乳酸系樹脂(A)とともに脂肪酸アミド(B)を含有するものであるが、脂肪酸アミド(B)を含有することによって、得られる樹脂組成物の曲げ特性が向上する。つまり、得られる樹脂組成物は、曲げ特性の中でも曲げ破断歪の測定値が大きく、曲げに対する柔軟性に優れるものとなる。
そして脂肪酸アミド(B)は、融点が110〜135℃であることが必要であり、より好ましくは120〜125℃である。脂肪酸アミドの融点が110℃未満であると、本発明において得られる樹脂組成物を成形体としたときに、成形体表面にブリードが発生し、成形体の耐熱性が低下する。一方、130℃を超えると、曲げ破断歪が小さくなり、曲げ特性の向上が不十分となる。
本発明に使用する融点が110〜135℃である脂肪酸アミド(B)としては、特に限定されるものではないが、N,N’−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N’−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N’−エチレン−ビス−オレイルアミドなどが上げられる。
上記脂肪酸アミド(B)としては、市販品も好適に使用することができ、その例としては、商品名「ITOHWAXJ−500」「ITOHWAXJ−630」「ITOHWAXJ−700」(以上、伊藤製油社製)、商品名「ディスパロン6200」「ディスパロン6500」「ディスパロン6650」「ディスパロン6700」(以上、楠本化成社製)などが挙げられる。
本発明において、架橋ポリ乳酸系樹脂(A)と脂肪酸アミド(B)の配合比としては、(A)/(B)(質量比)=99.9/0.1〜90/10であり、99.5/0.5〜95/5が好ましい。脂肪酸アミド(B)の配合量が0.1質量部未満であると、曲げ破断歪が小さくなり、曲げ特性を向上させることができない。また、脂肪酸アミド(B)の配合量が10質量部を超えると効果が飽和し、生産性などの経済的に不利となるだけでなく、生分解後の残渣分が増大するため、環境面においても好ましくない。また、耐熱性や曲げ特性の中でも曲げ強度が低下する。
本発明の樹脂組成物に、架橋ポリ乳酸系樹脂(A)以外の樹脂を配合して、架橋ポリ乳酸系樹脂とのアロイとすることも可能である。架橋ポリ乳酸系樹脂(A)以外の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、液晶ポリマー、ポリアセタールなどが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6Tなどが挙げられる。
ポリエステルとしては、各種芳香族ポリエステル、各種脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。芳香族ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンアジペートテレフタレートなどが挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、具体的には、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート−乳酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸などが挙げられる。その他のポリエステルとしては、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリブチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、シクロへキシレンジメチレンイソフタレートコテレフタレート、p−ヒドロキシ安息香酸残基とエチレンテレフタレート残基からなるコポリエステル、植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリトリメチレンテレフタレート等などが挙げられる。本発明の樹脂組成物に上記の樹脂を混合する方法としては、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填材、植物繊維、強化繊維、耐候剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、相溶化剤などの添加剤を配合することができる。
顔料としては、チタン、カーボンブラックなどが挙げられる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが例示される。
無機充填材としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維、層状珪酸塩などが例示される。層状珪酸塩を配合することにより、樹脂組成物のガスバリア性を改善することができるためより好ましい。
植物繊維としては、例えば、ケナフ繊維、竹繊維、ジュート繊維、その他のセルロース系繊維などが例示される。
強化繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリアクリレート繊維、液晶ポリマーの繊維などの有機強化繊維などが挙げられる。
耐候材としては、ベンゾトリアゾール、ベンズオキサジノンなどが挙げられる。
滑剤としては、各種カルボン酸系化合物を用いることができ、中でも、各種脂肪酸金属塩、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが好ましい。
離型剤としては、各種カルボン酸系化合物、中でも、各種脂肪酸エステル、各種脂肪酸アミドなどが好適に用いられる。
可塑剤としては、前記過酸化物(C)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)または/およびシラン化合物(E)を溶解または分散させる媒体として例示された可塑剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸塩、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
耐衝撃剤としては、特に限定されず、コアシェル型構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃剤など、種々のものを用いることができる。耐衝撃剤は、市販品も好適に使用でき、たとえば、商品名「メタブレンシリーズ」(三菱レイヨン社製)などが挙げられる。
相溶化剤としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系共重合体を主鎖に持つグラフト共重合体が挙げられる。相溶化剤としての具体的な化合物としては、例えば、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−ポリメチルメタクリレートグラフト共重合体、あるいは、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−ポリ(アクリロニトリル/スチレン)グラフト共重合体などが挙げられる。相溶化剤としては、市販品も好適に使用でき、例えば、商品名「モディパーシリーズ」(日本油脂社製)などが挙げられる。
なお、本発明の樹脂組成物に上記の添加剤を混合する方法は特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、インジェクションブロー成形、発泡シート成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。すなわち、射出成形してなる成形体、あるいは押出成形してなるフィルム、シート、および該フィルム、シートから加工してなる成形体、あるいはブロー成形してなる中空体、およびこの中空体から加工してなる成形体などとすることができる。
本発明においては、とりわけ、射出成形法を採ることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適した射出成形条件の一例としては、シリンダ温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上、好ましくは170〜250℃、より好ましくは170〜230℃の範囲とするのが適当である。シリンダ温度が低すぎると成形品にショートが発生するなど操業性が不安定になる場合や、過負荷に陥りやすいという問題がある。逆にシリンダ温度が高すぎると樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度低下や、着色する等の問題が発生する場合がある。
本発明の樹脂組成物は、成形の際に結晶化を促進させることにより、その耐熱性をさらに高めることができる。このための方法としては、例えば、射出成形時に金型内で結晶化を促進させる方法、すなわち、樹脂組成物のガラス転移温度以上、(融点−40)℃以下に保たれた金型内で、一定時間成形品を保持した後、金型より取り出す方法が好適である。その他、金型より取り出された成形品を、改めてガラス転移温度以上、(融点−40)℃以下で熱処理することにより、結晶化を促進することができる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体の具体例としては、パソコン筐体部品および筐体、携帯電話筐体部品、その他OA機器筐体部品、コネクター類等の電化製品用樹脂部品;バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品をはじめ、コンテナーや栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品;浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品;皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器;注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品;ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品;花壇用レンガ、植木鉢等の緑化材用樹脂部品;クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー・雑貨用樹脂部品;ボールペン、定規、クリップ等の文房具用樹脂部品等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体としては、フィルム、シート、パイプ等の押出成形品、中空成形品等であってもよい。その具体例としては、農業用マルチフィルム、工事用シート、各種ブロー成形ボトルなど多数挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、原料、あるいは実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR)(g/10分)
JIS規格K−7210(試験条件D)に準拠して、190℃、荷重21.2Nで測定した。
(2)曲げ強さ(MPa)、曲げ弾性率(GMa)、曲げ破断歪(%)
ISO 178に準拠して測定した。本発明においては、曲げ破断歪が5%以上であるものが実用に耐えうるものであるとした。
(3)荷重たわみ温度(DTUL)(℃)
ISO 75−1に準拠し、荷重0.45MPaで測定した。本発明においては、荷重たわみ温度が(110)℃以上であるものが実用に耐えうるものであるとした。
(4)成形サイクル
射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−80G」)で、ASTMダンベル型試験片の成形試験を実施した。成形温度190℃で樹脂組成物を溶融し、金型に充填した。樹脂組成物が金型内に射出され、冷却された後に、成形体が金型に固着することなく、または抵抗無く取り出すことができ、突き出しピンによる変形が無く、良好に離型できるまでの時間(秒)を測定し、成形サイクルとした。本発明においては、成形サイクルは80秒以下であることが好ましく、70秒以下であるものがより好ましい。
実施例および比較例で用いた各種原料は次の通りである。
(1)ポリ乳酸系樹脂(A)
カーギル・ダウ社製、商品名「Nature Works 6201D」(MFR:10g/10分、融点:168℃)
(2)過酸化物(C)
・ジ−t−ブチルパーオキサイド
日本油脂社製、商品名「パーブチルD」(以下、「PBD」と称する場合がある)
(3)(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)
・エチレングリコールジメタクリレート
日本油脂社製、商品名「ブレンマーPDE−50」(以下、「PDE」と称する場合がある)
(4)シラン化合物(E)
・ビニルトリメトキシシラン
信越化学工業社製、商品名「KBM−1003」(以下、「KBM」と称する場合がある)
(5)可塑剤
・中鎖脂肪酸トリグリセライド
理研ビタミン社製、商品名「アクターM−1」(以下、「M−1」と称する場合がある)
(6)脂肪酸アミド(B)
・楠本化成社製、商品名「ディスパロン6200」(融点:128℃)(以下、「6200」と称する場合がある)
・楠本化成社製、商品名「ディスパロン6500」(融点:123℃)(以下、「6500」と称する場合がある)
・楠本化成社製、商品名「ディスパロン6700」(融点:135℃)(以下、「6700」と称する場合がある)
・伊藤製油社製、商品名「ITOHWAXJ−550」(融点:142℃)(以下、「J550」と称する場合がある)
(実施例1)
2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)を使用して、押出機の根元供給口からポリ乳酸を供給し、また、混練機途中からポンプを用いて、PBE〔過酸化物(C)〕、PDE〔(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)〕、M−1(可塑剤)を表1に示す割合で混合した溶液を注入し、加工温度190℃、スクリュー回転数200rpm、吐出速度15kg/hの条件で溶融混練押出しを行った。そして、吐出された樹脂をペレット状にカッティングして架橋ポリ乳酸系樹脂(A−1)を得た。
得られた架橋ポリ乳酸系樹脂(A)を99質量部、脂肪酸アミド6200を1質量部および可塑剤としてのM−1を1質量部ドライブレンドして、2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)の根元供給口から供給し、混練した。
押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを70℃で24時間真空乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−80G型」)を用いて、金型表面温度を100℃に調整し、一般物性測定用試験片(ISO型)を作製した。試験片作製の際、成形サイクルを測定した。その後、作製した試験片を各種測定に供した。
(実施例2〜9、比較例2〜4)
表2および表5に示すように脂肪酸アミドの配合量、脂肪酸アミドの種類を変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを作製し、試験片(ISO型)を作製した(同時に、成形サイクルを測定した)。
その後、作製した試験片を各種測定に供した。
(実施例10〜36)
架橋ポリ乳酸系樹脂の組成を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして架橋ポリ乳酸系樹脂〔(A−2)〜(A−10)〕を得た。
表3および表4に示すように得られた架橋ポリ乳酸系樹脂の種類を変更し、表3および表4に示すように脂肪酸アミドの配合量、脂肪酸アミドの種類を変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを作製し、試験片(ISO型)を作製した(同時に、成形サイクルを測定した)。
(比較例1)
架橋ポリ乳酸系樹脂に代えて、表1に示すようにポリ乳酸系樹脂100質量部に対して可塑剤を2質量部配合した架橋されていないポリ乳酸系樹脂(A−11)を用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを作製し、試験片(ISO型)を作製した(同時に、成形サイクルを測定した)。
実施例1〜9の評価結果を表2に、実施例10〜21の評価結果を表3に、実施例22〜36の評価結果を表4に、比較例1〜4の評価結果を表5に示す。
Figure 2011032417
Figure 2011032417
Figure 2011032417
Figure 2011032417
Figure 2011032417
表2、表3、表4から明らかなように、実施例1〜36で得られた樹脂組成物は、曲げ特性、耐熱性に優れ、成形サイクルが短く、成形性にも優れたものであった。
一方、比較例1で得られた樹脂組成物は、架橋されていないポリ乳酸系樹脂を用いたため、耐熱性、成形性に劣るものであった。
比較例2で得られた樹脂組成物は、脂肪酸アミドの配合量が本発明の規定量を満たしていないため、曲げ破断歪が小さく、曲げ特性に劣るものであった。
比較例3で得られた樹脂組成物は、脂肪酸アミドの配合量が本発明の規定量を超えたため、耐熱性が低下し、曲げ強度が低く、曲げ特性にも劣るものであった。
比較例4で得られた樹脂組成物は、融点の高い脂肪酸アミドを用いたものであったため、曲げ破断歪が小さく、曲げ特性に劣るものであった。

Claims (4)

  1. 全100質量部のうち、架橋ポリ乳酸系樹脂(A)90〜99.9質量部と、融点が110〜135℃である脂肪酸アミド(B)0.1〜10質量部を含有する樹脂組成物。
  2. 架橋ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸系樹脂100質量部、過酸化物(C)0.01〜10質量部、かつ(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(E)0.01〜5質量部を材料として作られていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
  4. ポリ乳酸系樹脂100質量部に、過酸化物(C)を0.01〜10質量部、かつ(メタ)アクリル酸エステル化合物(D)および/またはアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(E)0.01〜5質量部を添加して架橋ポリ乳酸系樹脂(A)を得、樹脂組成物100質量部のうち、該架橋ポリ乳酸系樹脂(A)90〜99.9質量部と融点が110〜135℃である脂肪族アミド(B)0.1〜10質量部を配合させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
JP2009181985A 2009-08-05 2009-08-05 樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体 Expired - Fee Related JP5409175B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009181985A JP5409175B2 (ja) 2009-08-05 2009-08-05 樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009181985A JP5409175B2 (ja) 2009-08-05 2009-08-05 樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011032417A true JP2011032417A (ja) 2011-02-17
JP5409175B2 JP5409175B2 (ja) 2014-02-05

Family

ID=43761810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009181985A Expired - Fee Related JP5409175B2 (ja) 2009-08-05 2009-08-05 樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5409175B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101378646B1 (ko) 2011-12-12 2014-03-26 다이이치 고교 세이야쿠 가부시키가이샤 폴리유산 수지 조성물 및 그 수지 성형체
JP2015502448A (ja) * 2011-12-26 2015-01-22 エルジー・ハウシス・リミテッドLg Hausys,Ltd. 生分解性樹脂組成物とこれを用いた生分解性シートの製造方法
US9221969B2 (en) 2002-12-17 2015-12-29 Sika Technology Ag Thermally hardenable epoxy resin composition having an improved impact resistance at low temperatures
JP2016000786A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 Dic株式会社 粘着シート、その製造方法及び物品

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003128901A (ja) * 2001-08-10 2003-05-08 Unitika Ltd 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びそれより得られる発泡体、成形体
JP2004051666A (ja) * 2002-07-16 2004-02-19 Toyota Central Res & Dev Lab Inc ポリ乳酸複合材料及び成形体
JP2006176747A (ja) * 2004-05-11 2006-07-06 Kao Corp 生分解性樹脂組成物
JP2007154147A (ja) * 2005-07-05 2007-06-21 Kao Corp 生分解性樹脂組成物
WO2009004769A1 (ja) * 2007-06-29 2009-01-08 Unitika Ltd. 結晶性ポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2009138016A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Mitsui Chemicals Inc ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂組成物、およびその成形体
WO2009081558A1 (ja) * 2007-12-20 2009-07-02 Unitika Ltd. 熱可塑性樹脂組成物、および、それを成形してなる成形体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003128901A (ja) * 2001-08-10 2003-05-08 Unitika Ltd 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びそれより得られる発泡体、成形体
JP2004051666A (ja) * 2002-07-16 2004-02-19 Toyota Central Res & Dev Lab Inc ポリ乳酸複合材料及び成形体
JP2006176747A (ja) * 2004-05-11 2006-07-06 Kao Corp 生分解性樹脂組成物
JP2007154147A (ja) * 2005-07-05 2007-06-21 Kao Corp 生分解性樹脂組成物
WO2009004769A1 (ja) * 2007-06-29 2009-01-08 Unitika Ltd. 結晶性ポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2009138016A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Mitsui Chemicals Inc ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂組成物、およびその成形体
WO2009081558A1 (ja) * 2007-12-20 2009-07-02 Unitika Ltd. 熱可塑性樹脂組成物、および、それを成形してなる成形体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9221969B2 (en) 2002-12-17 2015-12-29 Sika Technology Ag Thermally hardenable epoxy resin composition having an improved impact resistance at low temperatures
KR101378646B1 (ko) 2011-12-12 2014-03-26 다이이치 고교 세이야쿠 가부시키가이샤 폴리유산 수지 조성물 및 그 수지 성형체
JP2015502448A (ja) * 2011-12-26 2015-01-22 エルジー・ハウシス・リミテッドLg Hausys,Ltd. 生分解性樹脂組成物とこれを用いた生分解性シートの製造方法
JP2016000786A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 Dic株式会社 粘着シート、その製造方法及び物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP5409175B2 (ja) 2014-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5495796B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、および、それを成形してなる成形体
JP5258296B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形体
JP5036539B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、同組成物を成形してなる成形体
JP5226335B2 (ja) 樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体
JP5489989B2 (ja) 難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを用いた成形体
JPWO2007015371A1 (ja) 樹脂組成物、その製造方法、それから得られる成形体
EP2607428A1 (en) Resin composition
JP2008150560A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形体
JP5409175B2 (ja) 樹脂組成物、該樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物からなる成形体
JP2010144084A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体
JP4643154B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形体。
JP2012131905A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、および該熱可塑性樹脂組成物からなる成形体
JP2011157538A (ja) 樹脂組成物
JP2008231365A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形体
JP2008255269A (ja) 樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形体
JP2006176652A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体
JP2011208042A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体
JP4988398B2 (ja) 難燃かつ柔軟性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体
JP5095487B2 (ja) 結晶性ポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2007262339A (ja) ポリ乳酸系ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、それを用いた成形体
JP4948099B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、および、それを成形してなる成形体
JP2008101084A (ja) 難燃かつ耐衝撃性ポリ乳酸樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体
JP5306847B2 (ja) 環境配慮型熱可塑性樹脂組成物
JP2007039513A (ja) ポリブチレンサクシネート樹脂組成物、その製造方法、それからなる成形体
JP2008101083A (ja) 難燃性ポリ乳酸樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120726

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5409175

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees