JP2011032406A - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ライナラッカーの生成を十分に抑制でき、これにより、オイル(内燃機関用潤滑油)消費量を低減できる内燃機関用潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】鉱油及び/又は合成油からなる潤滑油基油と、(A)金属系清浄剤を含有してなる潤滑油組成物であって、(A)金属系清浄剤としてアルカリ土類金属サリシレートを石鹸分として潤滑油組成物全量中に0.05mol/kg以上を含有するか、および/または(A)金属系清浄剤を含有する潤滑油組成物100gに対する1,4−ナフトキノンの溶解度が1.25g/以上である、100℃の動粘度が9.3mm/s以上21.9mm/s以下、塩基価が5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下である内燃機関用潤滑油組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、内燃機関用潤滑油組成物に関し、詳細には、シリンダライナ上のラッカーの生成を低減可能な内燃機関用潤滑油組成物に関する。
1980年〜1985年頃から、欧州地域で、低硫黄燃料を使用する舶用の中・高速4サイクルディーゼル機関において、シリンダライナ上にラッカーが生成し、シリンダライナ表面が鏡面化することに起因してオイル消費量が急増する問題が散見されるようになった。その後、その発生原因や対策について検討されてきたが、現在でも問題解決には至っていない。また、ディーゼルエンジンの高出力化・高効率化対策の一つとして、コモンレール技術を導入し、燃料多段噴射により燃焼を制御することも検討されてきたが、この場合、パイロット噴射によりライナラッカリングが発生するという問題が報告されている。
ライナラッカーは、未燃の燃料劣化物および過剰な金属系添加剤が原因であることが報告されている。ライナラッカーの生成を防止することを目的とした潤滑油として、マグネシウム系清浄剤を使用した低塩基価(9mgKOH/g)の内燃機関用潤滑油が開示されている(非特許文献1)。また、ライナラッカーの主成分は燃料中の重質縮合環芳香族成分の部分酸化により生成するキノン類であることが報告されている(非特許文献2)。
花島 脩;舶用機関学会38回特別基金講演会予稿集、平7−2、40−51 J.Barnes et.al.;CIMAC Congress 2004 Kyoto(2004)、Paper No.22
しかしながら、非特許文献1の内燃機関用潤滑油は、ライナラッカーの生成を抑制する効果が十分ではなく、また、清浄性・耐水性の悪化が懸念された。
そこで、本発明は、ライナラッカーの生成を十分に抑制でき、これにより、オイル(内燃機関用潤滑油)消費量を低減できる内燃機関用潤滑油組成物を提供することを課題とする。
第1の本発明は、鉱油及び/又は合成油からなる潤滑油基油と、(A)金属系清浄剤とを含有してなる潤滑油組成物であって、100℃の動粘度が9.3mm/s以上21.9mm/s以下、塩基価が5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であり、(A)金属系清浄剤として、アルカリ土類金属サリシレートを石鹸分として潤滑油組成物全量中に0.05mol/kg以上を含有し、および/または、潤滑油組成物100gに対する1,4−ナフトキノンの溶解度が1.25g以上である、内燃機関用潤滑油組成物である。
第1の本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、さらに、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を、潤滑油組成物全量基準でリン分として0.01質量%以上含有することが好ましい。
第1の本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、平均有効圧が1.5MPa以上の直噴式ディーゼル機関に、好適に用いることができる。
第1の本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、コモンレール式燃料噴射形式を有する、燃料を多段噴射するディーゼル機関に、好適に用いることができる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、シリンダライナ上にラッカーが生成するのを抑制することができ、ラッカー生成に起因するエンジンオイル(内燃機関用潤滑油組成物)の消費を低減することができる。また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、低硫黄燃料を使用する舶用の中・高速4サイクルディーゼル機関用潤滑油および舶用低速2サイクルディーゼル機関用シリンダ油として好適であり、特に平均有効圧が1.5MPa以上の直噴式ディーゼル機関用、ならびに、コモンレール式燃料噴射形式を有する、燃料を多段噴射するディーゼル機関用として好適であり、これらの内燃機関に使用することで、オイル消費量を効果的に低減することができる。また、本発明の潤滑油組成物は、舶用ディーゼル機関用潤滑油以外の各種ディーゼルエンジン油、コジェネレーション用ディーゼルエンジン油としても好適に使用することができる。
以下、本発明について詳述する。
<内燃機関用潤滑油組成物>
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基油、および、(A)金属系清浄剤を含有してなり、次の2つの要件の両方もしくはいずれか一方を満たすことが必要である。
(要件1)(A)金属系清浄剤として、アルカリ土類金属サリシレートを石鹸分として潤滑油組成物全量中に0.05mol/kg以上を含有する。
(要件2)潤滑油組成物100gに対する1,4−ナフトキノンの溶解度が1.25g以上である。
(潤滑油基油)
本発明の内燃機関用潤滑油組成物(以下、単に本発明の組成物という。)における潤滑油基油については特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油及び/又は合成油が使用できる。
鉱油としては、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等により製造されるGTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される潤滑油基油が例示できる。
鉱油の全芳香族分は特に制限はないが、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。全芳香族分は0質量%でも良いが、添加剤の溶解性の点で1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。基油の全芳香族分が40質量%を超える場合は、酸化安定性が劣る虞がある。
なお、上記全芳香族分とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、これらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、及びピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物が含まれる。
鉱油中の硫黄分は特に制限はないが、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。硫黄分は0質量%でも良いが、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。鉱油が硫黄分をある程度含むことにより、添加剤の溶解性を十分に高めることができる。
合成油としては、例えば、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン(PAO)又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;マレイン酸ジブチル等のジカルボン酸類と炭素数2〜30のα−オレフィンとの共重合体;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物が挙げられる。
本発明では潤滑油基油として、上記した鉱油、合成油をそれぞれ1種類または二種類以上混合して使用してもよいし、あるいは、1種類以上の鉱油と1種類以上の合成油とを混合して使用してもよい。
潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、100℃での動粘度は、4mm/s以上40mm/s以下が好ましく、6mm/s以上40mm/s以下がより好ましく、8mm/s以上35mm/s以下がさらに好ましい。潤滑油基油の100℃での動粘度が40mm/sを超える場合は、低温粘度特性が悪化する虞がある。一方、100℃での動粘度が4mm/s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また基油の蒸発損失が大きくなる虞がある。ここでいう100℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される100℃での動粘度をいう。
本発明において潤滑油基油としては、100℃での動粘度が4mm/s以上17mm/s未満、及び/又は、100℃での動粘度が17mm/s以上40mm/s以下の潤滑油基油を含有することが好ましい。100℃における動粘度が4mm/s以上17mm/s未満の潤滑油基油としては、例えば、SAE10〜40等の鉱油系基油や合成系基油が挙げられる。その好ましい動粘度(100℃)は下限がより好ましくは5.6mm/s以上、さらに好ましくは9.3mm/s以上であり、上限がより好ましくは14mm/s以下、さらに好ましくは12.5mm/s以下である。また、100℃における動粘度が17mm/s以上40mm/s以下の潤滑油基油としては、例えば、SAE50、ブライトストック等の鉱油系基油や合成系基油が挙げられ、その好ましい動粘度(100℃)は下限がより好ましくは20mm/s以上、さらに好ましくは25mm/s以上であり、上限がより好ましくは38mm/s以下、さらに好ましくは35mm/s以下である。
本発明においては、100℃での動粘度が4mm/s以上17mm/s未満の潤滑油基油を主成分、例えば、潤滑油基油全量基準で好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含有させ、必要に応じて100℃での動粘度が17mm/s以上40mm/s以下の潤滑油基油を配合することができる。
潤滑油基油の蒸発損失量は、NOACK蒸発量で20質量%以下が好ましく、16質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。潤滑油基油のNOACK蒸発量が20質量%を超える場合、潤滑油組成物における蒸発損失が大きく、粘度増加の原因となる虞がある。
なお、ここでいうNOACK蒸発量とは、ASTM D 5800に準拠して測定される潤滑油の蒸発量を測定したものである。
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、低温から高温まで優れた粘度特性が得られるようにその値は好ましくは85以上、より好ましくは90以上、更に好ましくは95以上である。粘度指数の上限については特に制限はなく、ノルマルパラフィン、スラックワックスやGTLワックス等、あるいはこれらを異性化したイソパラフィン系鉱油のような135〜180程度のものや、コンプレックスエステル系基油やHVI−PAO系基油のような150〜250程度のものも使用することができる。添加剤の溶解性や貯蔵安定性の点からは、粘度指数の上限は120以下が好ましく、110以下がより好ましい。
(要件1)
要件1は、「(A)金属系清浄剤として、(A−1)アルカリ土類金属サリシレートを石鹸分として潤滑油組成物全量中に0.05mol/kg以上含有すること」である。以下、要件1を満たす内燃機関用潤滑油組成物を、第1形態の内燃機関用潤滑油組成物という。
(A−1)成分としては、例えば、炭素数1〜19の炭化水素基を1つ有するアルカリ土類金属サリシレート又はその(過)塩基性塩、炭素数20〜40の炭化水素基を1つ有するアルカリ土類金属サリシレート又はその(過)塩基性塩、炭素数1〜40の炭化水素基を2つ又はそれ以上有するアルカリ土類金属サリシレート又はその(過)塩基性塩が挙げられる。2つ以上の炭化水素基を有する場合は、これら炭化水素基は同一でも異なっていても良い。これらの中では、低温流動性に優れる点で、炭素数8〜19の炭化水素基を1つ有するアルカリ土類金属サリシレート又はその(過)塩基性塩を用いることが好ましい。またアルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、バリウム、カルシウムが挙げられ、マグネシウム及び/又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましく用いられる。
(A−1)成分の金属比は特に制限はないが、下限は好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは2.3以上であり、上限は好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。なお、ここでいう金属比とは、(A)成分における金属元素の価数×金属元素含有量(モル%)/せっけん基含有量(モル%)で表され、金属元素とは、カルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはサリチル酸基を意味する。
本発明において、(A−1)成分は単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
(A−1)成分の塩基価は、20mgKOH/g以上500mgKOH/g以下の範囲が好ましく、40mgKOH/g以上450mgKOH/g以下の範囲がより好ましく、55mgKOH/g以上400mgKOH/g以下の範囲がさらに好ましい。塩基価が500mgKOH/gを超える場合は溶解性に問題を生ずる虞がある。なお、ここでいう塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
要件1は、アルカリ土類金属サリシレートの石鹸分(以下、「サリシレート石鹸分」という場合がある。)としての含有量を規定するものであるが、サリシレート石鹸分の含有割合が潤滑油組成物全量基準で0.05mol/kg未満の場合には、内燃機関におけるライナラッカーの生成を抑制できない虞がある。
ここでいうサリシレート石鹸分とは、下記式により算出される数値である。
サリシレート石鹸分(mol/kg)=A×M/100×1/(1+MR)×(1000/100)/MAW
ここで、A:サリシレートの組成物中添加量(質量%)
M:サリシレート添加剤中の金属含有量(質量%)
MR:サリシレートの金属比(=炭酸塩の金属分/石鹸分子の金属分)
MAW:金属の原子量
第1形態の組成物において、上記(A−1)アルカリ土類金属サリシレートを組成物全量基準で、好ましくは10質量%以上30質量%以下、より好ましくは11質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは12質量%以上20質量%以下含有する。含有割合が10質量%未満の場合は内燃機関におけるライナラッカーの生成を抑制できない虞があり、また必要とする清浄性および酸中和性が得られない虞があり、30質量%を超える場合は過剰な金属成分がピストンに堆積する虞がある。
第1形態の潤滑油組成物は、(A−2)アルカリ土類金属サリシレート以外の金属系清浄剤を含有することができる。(A−2)アルカリ土類金属サリシレート以外の金属系清浄剤としては、潤滑油用に通常用いられる任意の化合物が使用可能であるが、例えば、フェネート系清浄剤、スルホネート系清浄剤、ナフテネート系清浄剤等を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中では、フェネート系清浄剤、スルホネート系清浄剤、が好ましく、フェネート系清浄剤がより好ましい。
フェネート系清浄剤としては、式(1)に示す構造を有する、アルキルフェノールサルファイドのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はその(過)塩基性塩を用いることができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムが挙げられ、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。
Figure 2011032406
(式(1)中、Rは炭素数6〜21の直鎖または分枝、飽和または不飽和のアルキル基であり、重合度mは1〜10、Sは硫黄元素であり、xは硫黄元素数1〜3である。)
式(1)におけるアルキル基Rの炭素数は6〜21であり、好ましくは炭素数9〜18、より好ましくは炭素数9〜15である。炭素数が6より少ないと基油に対する溶解性に劣る虞があり、炭素数が21より多いと製造が難しくまた耐熱性に劣る虞がある。フェネート系金属清浄剤の中では、式(1)に示される重合度mが4以上、特にmが4〜5のアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有するものが、耐熱性が優れるため好ましい。
スルホネート系清浄剤としては、例えば、重量平均分子量1300〜1500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルフォン化することによって得られるアルキル芳香族スルフォン酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はその(過)塩基性塩を用いることができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムが挙げられ、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。
アルキル芳香族スルフォン酸としては、例えば、いわゆる石油スルフォン酸や合成スルフォン酸が挙げられる。ここでいう石油スルフォン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフォン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。また合成スルフォン酸としては、例えば、洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルフォン化したものが用いられる。また、これらアルキル芳香族化合物をスルフォン化する際のスルフォン化剤としては特に制限はないが、通常、発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
(A−2)アルカリ土類金属サリシレート以外の金属系清浄剤の塩基価は、3mgKOH/g以上500mgKOH/g以下の範囲が好ましく、10mgKOH/g以上450mgKOH/g以下の範囲がより好ましく、20mgKOH/g以上400mgKOH/g以下の範囲がさらに好ましい。塩基価が500mgKOH/gを超える場合は溶解性に問題を生ずるおそれがある。
(A−2)アルカリ土類金属サリシレート以外の金属系清浄剤の金属比は特に制限はないが、下限は好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは2.5以上であり、上限は好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。
第1形態の組成物において、上記(A−2)アルカリ土類金属サリシレート以外の金属系清浄剤の含有割合は、組成物全量基準で、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上8質量%以下である。含有割合が1質量%未満の場合は必要とする清浄性および酸中和性が得られない虞があり、15質量%を超える場合は過剰な金属成分がピストンに堆積する虞がある。
(要件2)
要件2は、「潤滑油組成物100gに対する1,4−ナフトキノンの溶解度が1.25g以上である」である。以下、要件2を満たす内燃機関用潤滑油組成物を、第2形態の内燃機関用潤滑油組成物という。
第2形態の内燃機関用潤滑油組成物は、潤滑油組成物100gに対する1,4−ナフトキノンの溶解度が1.25g以上となるように、(A)金属系清浄剤の種類、含有量を調整することより製造することができる。
第2形態の内燃機関用潤滑油組成物においては、(A)金属系清浄剤として潤滑油用に通常用いられる任意の化合物が使用可能であるが、例えば、サリシレート系清浄剤、フェネート系清浄剤、スルホネート系清浄剤、ナフテネート系清浄剤等を、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中では、サリシレート系清浄剤、フェネート系清浄剤、スルホネート系清浄剤が好ましく、サリシレート系清浄剤、フェネート系清浄剤がより好ましい。
サリシレート系清浄剤としては、前記(A−1)として記載したものを、またフェネート系清浄剤、スルホネート系清浄剤、ナフテネート系清浄剤等については、前記(A−2)として記載したものを用いることができる。
(B)ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)
本発明の潤滑油組成物は、摩耗防止剤として、(B)ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)を含有することが好ましい。具体的には、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジヘプチルジチオリン酸亜鉛、及びジオクチルジチオリン酸亜鉛等の炭素数3〜18、好ましくは炭素数3〜10の直鎖状若しくは分枝状(第1級、第2級又は第3級、好ましくは第1級又は第2級)アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛;ジフェニルジチオリン酸亜鉛、及びジトリルジチオリン酸亜鉛などの炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜10のアリール基若しくはアルキルアリール基を有するジ((アルキル)アリール)ジチオリン酸亜鉛、及びこれらの混合物等が挙げられる。中でも、摩耗防止性、酸化防止性と腐食性のバランスの理由から、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有することが好ましい。
(B)ZnDTPの含有量は、組成物全量基準で、リン元素換算量で、0.01質量%以上0.15質量%以下であり、好ましくは0.015質量%以上0.10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上0.08質量%以下、さらに好ましくは、0.025質量%以上0.06質量%以下である。(B)成分の含有量が0.15質量%を超える場合には、ZnDTPの分解物が金属腐食を発生させたり金属系清浄剤を消耗させ清浄性を悪化させたりする虞があるため好ましくない。また、(B)成分の含有量が0.01質量%未満の場合には、十分な摩耗防止性が得られない虞があるため好ましくない。
(C)無灰分散剤
本発明の潤滑油組成物は、(C)無灰分散剤を含有することができる。
(C)無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤を用いることができるが、例えば、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体が挙げられる。ここでいう含窒素化合物としては、例えばコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアミン、マンニッヒ塩基等が挙げられ、その誘導体としては、これら含窒素化合物にホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物、(チオ)リン酸、(チオ)リン酸塩等のリン化合物、有機酸、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等を作用させた誘導体等が挙げられる。本発明においては、これらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
このアルキル基又はアルケニル基の炭素数は40〜400、好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が小さすぎると化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が大きすぎると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する場合がある。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
本発明において、無灰分散剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、通常組成物全量基準で0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.5質量%以上4質量%以下、更に好ましくは1質量%以上3質量%以下である。無灰分散剤の含有量が少なすぎる場合、硫酸中和速度が十分でないおそれがあり、また、多すぎる場合、含有量に見合う効果が得られないばかりか、ピストンリング溝の清浄性が悪化するおそれがある。
(他の添加剤)
本発明の潤滑油組成物は、上記構成に加え、その性能を更に向上させるため又は他に要求される性能を付加するために、その目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤をさらに含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、ZnDTP以外の摩耗防止・極圧剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、腐食防止・金属不活性化剤、防錆剤、抗乳化剤、消泡剤、又は着色剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤;銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。これらを含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、通常0.1質量%以上5質量%以下である。
ZnDTP以外の摩耗防止・極圧剤としては、潤滑油に用いられる任意の極圧剤、摩耗防止剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。これらを含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、通常0.1質量%以上5質量%以下である。
摩擦調整剤としては、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンジチオカーバメート等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩等硫黄を含まない有機モリブデン化合物、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤が挙げられる。これらを含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、通常0.1質量%以上5質量%以下である。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、オレフィン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−ジエン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤又はポリアルキルスチレン系粘度指数向上剤が挙げられる。これら粘度指数向上剤の重量平均分子量は、通常800〜500,000、好ましくは5,000〜250,000である。粘度指数向上剤を含有させる場合の含有割合は、組成物全量基準で2質量%以上12質量%以下である。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用できる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステルが挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が0.1mm/s以上100mm/s未満のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体等が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の組成物に含有させる場合には、その含有量は組成物全量基準で、流動点降下剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ通常0.005以上5質量%以下、消泡剤では通常0.0005以上1質量%以下の範囲から選ばれる。
(100℃の動粘度)
本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、9.3mm/s以上21.9mm/s以下であることが必要であり、好ましい範囲は用途によって異なるが、陸用ディーゼル機関、舶用高速ディーゼル機関および舶用4サイクルトランクピストン機関用では好ましくは9.3mm/s以上16.3mm/s以下、舶用2ストローククロスヘッド型機関用では好ましくは12.5mm/s以上21.9mm/s以下である。100℃における動粘度が9.3mm/s未満の場合は潤滑性が不足する虞があり、21.9mm/sを超える場合は、摩擦ロスが大きくなる虞がある。
(塩基価)
本発明の組成物の塩基価は5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であるが、好ましい範囲は用途によって異なり、陸用ディーゼル機関および舶用高速ディーゼル機関では好ましくは5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下、舶用4サイクルトランクピストン機関用では好ましくは9mgKOH/g以上55mgKOH/g以下、舶用2ストローククロスヘッド型機関用では好ましくは40mgKOH/g以上70mgKOH/g以下である。塩基価が5mgKOH/g未満の場合は酸中和性および清浄性が不足するおそれがあり、80mgKOH/gを超える場合は、ピストントップランドに過剰の灰分が堆積してライナのボアポリッシングやスカッフィングを発生する虞があるため好ましくない。
(金属量)
本発明の潤滑油組成物において金属量は、一般的には、下限は好ましくは0.08質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.4質量%以上であり、上限は好ましくは3.6質量%以下、より好ましくは3.2質量%以下、さらに好ましくは2.9質量%以下である。金属量の好ましい範囲は用途によって異なり、陸用ディーゼル機関および舶用高速ディーゼル機関では好ましくは0.08質量%以上0.6質量%以下、舶用4サイクルトランクピストン機関用では好ましくは0.3質量%以上2.5質量%以下、舶用2ストローククロスヘッド型機関用では好ましくは1.0質量%以上3.6質量%以下である。金属含有量が0.08質量%未満の場合は、燃焼で生じる酸性物質の中和力が十分でなく、高温清浄性も十分発揮されない虞がある。一方、3.6質量%を超える場合は、燃焼した後の灰分がピストンに付着し、シリンダの摩耗を増加させる虞がある。
本発明の組成物において硫酸灰分量は特に制限はないが、下限は好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上であり、上限は好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。なお、ここでいう硫酸灰分とは、JIS K2272の5.「硫酸灰分の試験方法」に規定される方法により測定される値を示し、主として金属含有添加剤に起因するものである。
(用途)
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、舶用の中・高速4サイクルディーゼル機関のみならず、車両用ディーゼル機関、建設機械用ディーゼル機関、鉄道用ディーゼル機関、船舶用およびコジェネレーション発電用4サイクル中速トランクピストン機関および舶用2ストローククロスヘッド型機関に好適に用いられるものである。中でも、平均有効圧が1.5MPa以上の直噴式ディーゼル機関、あるいは、コモンレール式燃料噴射形式を有する、燃料を多段噴射するディーゼル機関に特に好適に用いられる。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
<実施例1〜2及び比較例1〜2>
表1に示す組成の本発明における潤滑油組成物(実施例1〜2)、比較用の潤滑油組成物(比較例1〜2)をそれぞれ調製した。得られた組成物について、自家発電機関を用いたライナラッカー生成試験、キャタピラー1M−PC(1Y73)単筒エンジンを用いたライナラッカー生成試験およびホットチューブ試験を実施した。また1,4−ナフトキノンの溶解度の測定を下記の方法で実施した。結果をそれぞれ表1に示す。なお、ここで使用した基油は、グループI(硫黄分0.03質量%以上、飽和分90質量%未満、粘度指数80〜120)に属する、SAE30およびブライトストックである。なお、自家発電機関を用いたラッカー生成試験は、実施例1および比較例2の潤滑油組成物に対してのみ行った。
(自家発電機関を用いたラッカー生成試験)
機関:V型12気筒、ボア320mmφ、ストローク420mm、Pme(平均有効圧)1.82MPa
燃料:低硫黄重油(硫黄分:0.9質量%)、
運転条件:回転数600rpm、出力3,600kW、試験時間3,000h、
評価:シリンダライナ上ラッカー発生の有無を目視により評価した。
(キャタピラー1M−PC(1Y73)単筒エンジンを用いたラッカー生成試験)
機関:キャタピラー1M−PC(1Y73)単筒エンジン、副室噴射式4サイクル過給ディーゼルエンジン、ボア×ストローク:135mmφ×165mm、出力:31kW、Pme(平均有効圧):0.95MPa、未燃燃料をライナに到達させラッカーを発生させるため、副室のポート口径を標準の7.5mmφから9.5mmφに変更した、
燃料:市販軽油、
運転条件:吸気温度:82℃、吸気圧力:49MPa、出力:31kW、試験時間:120h、
評価:シリンダライナ上ラッカー発生の有無を目視により評価した。および、試験後ライナを2分割した後、JPI−5S−15−05「陸用ディーゼルエンジンピストン評価法」によるライナ評点を行った。ライナ評点が高い方が、ラッカー発生が少なく良好である。
(ホットチューブ試験)
JPI−5S−55−99「エンジン油‐ホットチューブ試験方法」に準拠して行った。試験温度270℃で、16h試験した後の堆積物を評価し、評点として表示した(満点=10)。ホットチューブ試験は、ラッカー生成の原因物質とされる1,4−ナフトキノンを1質量%混合した試料油についても実施した。1,4−ナフトキノン1%混合油は、100mlビーカーに1,4−ナフトキノン(東京化成工業試薬1級)0.5gを採取後、試験油を49.5g添加し、マグネチックスターラーにて500rpm、60℃で3時間撹拌し溶解させ調製した。
(1,4−ナフトキノンの溶解度)
1,4−ナフトキノンの溶解度は次の手順で測定した。
(1)1,4−ナフトキノン(東京化成工業試薬1級)1.0gを100mlビーカーに秤量し、秤量した1,4−ナフトキノンの重量Xgを記録した。
(2)実施例または比較例の潤滑油組成物50.0gを、該ビーカーに注ぎ、供試油の重量Ygを記録した。
(3)ビーカーにマグネチックスターラーを入れた後、ホットプレートに置き、スターラーの回転速度を500rpmとし加熱した。
(4)溶液温度を60℃に制御して3時間撹拌し、1,4−ナフトキノンを溶解させた。
(5)溶液を超遠心分離機用ボトルに移し替え48時間静置した。
(6)溶液の入ったボトルを超遠心分離機に設置し50,000Gで30分間遠心分離した。
(7)遠心分離後、上澄みを除去した。
(8)ボトルにn−ヘキサン(和光純薬工業試薬特級)を充填し、50,000Gで30分間遠心分離した。
(9)遠心分離後上澄みを除去し、ボトルにn−ヘキサン(和光純薬工業試薬特級)を充填し、50,000Gで30分間遠心分離した。
(10)遠心分離後、上澄みを除去し、風乾後ボトル内に残留した1,4−ナフトキノンを秤量し、秤量した1,4−ナフトキノンの重量Xgを記録した。
(11)1,4−ナフトキノンの溶解度(オイル100gあたりの1,4−ナフトキノンの溶解量)を次式で算出した。
1,4−ナフトキノンの溶解度(g/100g)=(X−X)×100/Y
Figure 2011032406
表1の結果から明らかなように、サリシレートを石鹸分として0.05mol/kg以上含有する本発明の内燃機関用潤滑油組成物(実施例1〜2)は、0.05mol/kg未満の組成物に比べてライナラッカーの生成が少ないことが確認された。実施例2の組成物は1,4−ナフトキノンの溶解度は小さいが、サリシレート石鹸分が多いため良好な結果を示した。これに対し、サリシレートに基づく石鹸分含有量、1,4−ナフトキノンの溶解度のいずれも規定値を満たさない比較例1、2はライナラッカーの生成が多かった。またホットチューブ試験において、1,4−ナフトキノンを添加した場合の堆積物評点に関しても、本発明の内燃機関用潤滑油組成物(実施例1〜2)は、良好な成績を示した。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関用潤滑油組成物もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、低硫黄燃料を使用する舶用の中・高速4サイクルディーゼル機関用潤滑油および舶用低速2サイクルディーゼル機関用シリンダ油として好適であり、特に平均有効圧が1.5MPa以上の直噴式ディーゼル機関用、ならびに、コモンレール式燃料噴射形式を有する、燃料を多段噴射するディーゼル機関用として好適であり、また、舶用ディーゼル機関用潤滑油以外の各種ディーゼルエンジン油、コジェネレーション用ディーゼルエンジン油としても好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 鉱油及び/又は合成油からなる潤滑油基油と、(A)金属系清浄剤とを含有してなる潤滑油組成物であって、100℃の動粘度が9.3mm/s以上21.9mm/s以下、塩基価が5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であり、
    (A)金属系清浄剤として、アルカリ土類金属サリシレートを石鹸分として潤滑油組成物全量中に0.05mol/kg以上を含有し、および/または、
    潤滑油組成物100gに対する1,4−ナフトキノンの溶解度が1.25g以上である、
    内燃機関用潤滑油組成物。
  2. さらに、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を、潤滑油組成物全量基準でリン分として0.01質量%以上含有する、請求項1に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  3. 平均有効圧が1.5MPa以上の直噴式ディーゼル機関に用いられる、請求項1または2に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  4. コモンレール式燃料噴射形式を有する、燃料を多段噴射するディーゼル機関に用いられる、請求項1または2に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
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