JP2011032337A - 再剥離型粘着剤の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗工機で再剥離型粘着剤を塗布する塗布工程の開始に合わせて、塗布工程で使用する粘着剤に所望の性能付与を行う製造方法であって、Tgが−80℃〜−50℃で、かつ、硬化剤を含まないベース粘着剤の100質量部を定量ポンプによって混合機に送り、さらに、少なくとも硬化剤を0.1〜2質量部の範囲で外添されるように混合機に送り、必要に応じて、可塑剤及び/又はタッキファイヤーを1〜10質量部の範囲で外添されるように混合機に送り、上記ベース粘着剤に所望する成分を添加混合して性能調整する再剥離型粘着剤の製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)被着体が、金属、プラスチック及び紙のいずれの場合も、塗工した場合に、優れた再剥離性を示す粘着剤が得られる。
(2)金属、プラスチック及び紙といった種々の被着体に対して、初期及び経時における粘着力を所望の状態に自在にコントロールした再剥離性粘着剤とできるので、製品の用途や使用状態に応じて最適な粘着力を示す粘着剤の塗工ができる。
(3)良好な再剥離性及び最適な粘着力を示しても、経時安定性に劣る粘着剤となる場合があるが、粘着剤の使用(塗工)に直結して、直ちに使用する状態で所望性能の粘着剤を得る構成としたので、経時安定性が問題となることがなく、常に良好な状態での粘着剤の塗布ができる。
(4)良好な再剥離性及び最適な粘着力を示し、さらに、保持力を所望の状態に自在にコントロールした再剥離性粘着剤とできるので、製品の用途や使用状態に応じて最適な粘着力を示す粘着剤の塗工ができる。
(1)ベースの粘着剤と硬化剤(架橋剤)、必要に応じて加える可塑剤とタッキファイヤーの4種類のみによって、使用者が所望する種々の性能を有する粘着剤を提供することができるため、粘着剤の生産工程を格段に簡略化できる。
(2)上記した4種類の成分の提供だけで済むので、従来の少量多品種製造の場合における品質管理及び在庫管理、さらには包装及び輸送にかかる負荷が格段に低減される。このため、製品に対するコストの削減も可能になる。
(3)従来の少量多品種製造の場合、使用者からの発注量と製造量とが完全に一致するわけではなく、当然に多めの製造が行われるので、個々に製造ロスを生じていたが、本発明によれば、この問題が解消され、資源の有効利用、省エネという点からも多大なメリットがある。
(4)製造された粘着剤は、粘着性能の異なる場合には、少量であっても個々に別の容器に収容されて出荷されているため、容器にかかる材料や各種費用の問題、使用後に容器に残留する粘着剤の問題等があり、製品及び材料ロス、製品のコスト高、資源の無駄を生じる可能性があったが、本発明によれば、このような問題を全て解消できる。
(1)ベースの粘着剤と、可塑剤、タッキファイヤー、硬化剤(架橋剤)の4種類を調達するだけで、例えば、汎用の粘着剤は勿論、弱粘着性のものや強粘着性のものまで、所望性能を有する粘着剤の使用が自在にできるようになるので、発注にかかる作業等や管理作業等が格段に簡単になる。
(2)定量ポンプの稼動状態を制御して、ベースの粘着剤に、少なくとも硬化剤(架橋剤)、必要に応じて可塑剤やタッキファイヤーを適宜な量で添加する、という極めて簡単な操作で、所望性能の再剥離型粘着剤を容易に得られるとともに、該粘着剤が塗工機へと送られるので、塗工機への粘着剤の供給作業が格段に簡略化される。
(3)さらに、性能の異なる粘着剤への切換えも、ベースの粘着剤が共通し、ベースの粘着剤の量に比べて添加剤の量は少ないため、特に混合機等の洗浄をしなくても、添加剤の種類と添加量の変更をするだけで行うことができる。また、混合機と塗布機との間に、混合物を収容するためのタンクを配置しておき、一旦、混合物を該タンク内に収容してから塗工に利用するようにすれば、添加剤の種類と添加量を変更したとしても、タンク内で混合物が均一化するので、より好ましい。
本発明では、ベースとなる粘着剤として、ガラス転移点温度(Tg)が−80℃〜−50℃で、かつ、硬化剤を含まないものを用いる。ガラス転移点温度(Tg)が−70℃〜−55℃のものがより好ましい。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)の重合体、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)とアクリル酸(AAc)との共重合物等を好ましく用いることができる。
上記のようにして得たベースとなる粘着剤は、塗工する直前に、少なくとも硬化剤(架橋剤)を添加することで、再剥離性を有するものとなる。硬化剤の添加量は、ベースとなる粘着剤100質量部に、0.1〜2質量部の範囲で外添させるようにする。より好ましくは、0.5〜1質量部の範囲で外添すればよい。すなわち、外添量が0.1質量部よりも少ないと、十分な再剥離性が得られない。一方、外添量が2質量部よりも多いと、被着体の種類によっては、基材表面から粘着剤が容易に脱落してしまい、十分な再剥離性能が得られない。硬化剤としては、エポキシ系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、アジリジン系、イソシアネート系、金属系等のものを用いることができる。より具体的には、水溶性エポキシ樹脂系のデナコールEX−313(商品名、ナガセケムテックス(株)製)、水分散型イソシアネート化合物であるタケネートWD−730(商品名、三井化学(株)製)などを用いることが好ましい。
上記のようにして得たベースとなる粘着剤は、塗工する直前に少なくとも硬化剤(架橋剤)が添加されるが、必要に応じて、さらに、ベースとなる粘着剤100質量部に、1〜10質量部の範囲で可塑剤を外添してもよい。このような範囲で可塑剤を添加することで、種々の被着体に対する再剥離性を維持した状態で、粘着力及び保持力の弱い粘着剤を提供できる。可塑剤の添加量は、より好ましくは、1〜5質量部の範囲で外添すればよい。可塑剤としては、アジピン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、脂肪酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール誘導体、グリセリン誘導体等が使用できる。より具体的には、DOF(フマル酸誘導体、大八化学工業(株)製)や、PEG−600(グリコール誘導体、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
上記のようにして得たベースとなる粘着剤は、塗工する直前に少なくとも硬化剤(架橋剤)が添加されるが、必要に応じて、さらに、ベースとなる粘着剤100質量部に、1〜10質量部の範囲でタッキファイヤーを外添してもよい。このような範囲でタッキファイヤーを添加することで、種々の被着体に対する再剥離性および保持力を維持した状態で、粘着力の強い粘着剤を提供できる。可塑剤の添加量は、より好ましくは、1〜5質量部の範囲で外添すればよい。タッキファイヤーとしては、軟化点が100℃以上のロジン系またはテルペン系のエマルションを用いることができる。より具体的には、スーパーエステルE−865NT(重合ロジンエステルエマルション、荒川化学工業(株)製)、スーパーエステルE−200NT(重合ロジンエステルエマルション、荒川化学工業(株)製)などが挙げられる。
下記のようにしてベースとなるアクリル系の粘着剤を得た。温度計、攪拌機、滴下装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応装置に、イオン交換水28部を秤量し、窒素を封入して内温を80℃まで昇温させ、その温度に保ちながら、10%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液2部を添加した。その後、直ちに、別に準備した2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)98部と、アクリル酸(AAc)2部との単量体混合物に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:レベノールWX、花王(株)製)4部とイオン交換水56部を混合し、乳化した単量体乳化物を、連続的に4時間滴下して乳化重合を行った。重合に並行して5%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液4部を滴下した。滴下終了後、80℃で4時間熟成し、その後室温まで冷却した。アンモニア水で中和し、固形分を水で調整して固形分50%、粘度50mPa・s、pH8.0なる水分散液を得た。該水分散液に、ポリアクリル酸系増粘剤(ローム アンドハース社製 商品名ASE−60)を添加して粘度10,000mPa・s(B型粘度計)に増粘させ、ベースとする再剥離用の水分散型感圧性粘着剤を調製した。得られた粘着剤の(Tg)は、−67℃であった。
上記で得られた再剥離用の水分散型感圧性粘着剤を、剥離紙に乾燥後膜厚が25μmになるように塗布し、100℃で1分間乾燥後、上質紙(64g/m2)に転写して、23℃、65%RHの雰囲気で7日間放置後、ベースの再剥離用粘着ラベルを得た。これを比較例1のラベルとし、後述する各性能試験に用いた。他の実施例および比較例の粘着剤についても、上記と同様の方法で塗布してそれぞれラベルを作成し、後述する各性能試験に用いた。
先に得た再剥離用の水分散型感圧性粘着剤をベースとして用い、図1に示したようにして、表1〜3中に示した、添加剤の種類或いは外添量がそれぞれに異なる粘着剤を得た。具体的には、定量ポンプによって混合機に送られるベースの粘着剤に、硬化剤(架橋剤)と、必要に応じて可塑剤又はタッキファイヤーを所望量、混合機に送り、該混合機において極めて短時間に均一に混合され、該混合物を、これを収納するためのタンクに蓄積させた。通常、上記の操作は、使用直前に行われ、得られた粘着剤がタンク7に蓄積される。図1に図示した例では、混合物はタンク7から塗工機3に供給されるが、タンク7は、塗工の状況に応じて、設置してもよいし、設置しないで混合機2から塗工機3に直送するようにしてもよい。
1.性状試験方法(初期、経時安定性)
添加剤を配合して得た再剥離用の水分散型感圧性粘着剤を、25℃で1時間および24時間放置後の液状態を観察して、以下の基準で評価した。
○:初期と変化なし。
△:粘度が少し高い。
×:ゲル化している。
先に得たそれぞれの粘着剤を塗布して作成した各再剥離用粘着ラベルについて、下記の方法により、粘着力、保持力、再剥離性、基材への投錨性および基材へのしみこみを調べた。
各再剥離用粘着ラベルについて、JIS Z−0237の180°引き剥がし粘着力測定に準じて測定した。具体的には、再剥離用粘着ラベルを幅25mmに切断し、ステンレス板、ポリプロピレン板及び段ボールに貼り付け、2kgのローラで1往復圧着した。そして、圧着した直後に測定した初期粘着力と、23℃、50%RHで24時間放置した後に測定する経時粘着力を、その温度内でテンシロン引っ張り試験機にて、引き剥がし速度300mm/分で測定した。測定値はN/25mmである。各表中には、上記のようにして測定して得た各時点における粘着力の数値をそれぞれ示した。
各再剥離用粘着ラベルについて、JIS Z−0273に準じて保持力を測定した。具体的には、幅25mm、長さ50mmに切断した粘着ラベルの試験片を、接着面積が25mm×25mmになるように、研磨し清浄にしたSUS304板に貼り付け、2kgの圧着ロールで1往復させ圧着させた。その後、23℃、50%RH中に30分間放置した後、40℃の雰囲気中で1kgの荷重をかけ落下するまでの時間(秒数)を測定した。各表には、その秒数を表示した。
各再剥離用粘着ラベルについて、それぞれ幅25mmに切断した試験片を、ステンレス板、ポリプロピレン板及び段ボールに貼り合わせ、23℃、50%RHの雰囲気に30日放置した。その後、引っ張り試験機にて引き剥がし速度300mm/分で剥離して、剥離状態を、目視にて観察し、下記の基準で評価した。評価結果は、各表に示した。
○:糊残りや紙破れなくきれいに剥離できる。
△:糊残りや紙破れが部分的にある。
×:全面に糊残りや紙破れがある。
各再剥離用粘着ラベルについて、その粘着剤面を指でこすり、基材からの粘着剤の脱落度合いを観察し、下記の基準で評価した。評価結果は、各表に示した。
○:基材からの脱落なし。
△:基材から少し脱落する。
×:基材から容易に脱落する。
各再剥離用粘着ラベルについて、それぞれを40℃の恒温槽に30日間放置後、上質紙表面への感圧性粘着剤のしみこみ状態を観察し、下記の基準で評価した。評価結果は、各表に示した。
○:しみこみなし。
△:上質紙の表面に少ししみこみがある。
×:上質紙の表面にかなりしみこみがある。
2:混合機
3:塗工機
4:可塑剤収容タンク
5:タッキファイヤー収容タンク
6:硬化剤(架橋剤)収容タンク
7:混合物収納タンク
Claims (5)
- 塗工機で再剥離型粘着剤を塗布する塗布工程の開始に合わせて、塗布工程で使用する粘着剤に所望の性能付与を行う再剥離型粘着剤の製造方法であって、ガラス転移点温度(Tg)が−80℃〜−50℃で、かつ、硬化剤を含まないベースとなる粘着剤の100質量部を定量ポンプによって混合機に送り、該混合機に、それぞれが、定量ポンプによって一定量送ることができるように構成されている可塑剤、タッキファイヤー及び硬化剤から、少なくとも硬化剤を0.1〜2質量部の範囲で外添されるように混合機に送り、さらに、必要に応じて、可塑剤及び/又はタッキファイヤーをそれぞれ1〜10質量部の範囲で外添されるように混合機に送り、上記ベースとなる粘着剤に所望する成分を添加混合して性能調整することを特徴とする再剥離型粘着剤の製造方法。
- 可塑剤を外添することで弱粘性の再剥離型粘着剤を得る請求項1に記載の再剥離型粘着剤の製造方法。
- タッキファイヤーを外添することで強粘性の再剥離型粘着剤を得る請求項1に記載の再剥離型粘着剤の製造方法。
- 前記ベースとなる粘着剤が、2−エチルヘキシルアクリレートと、アクリル酸との共重合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の再剥離型粘着剤の製造方法。
- 塗工機で再剥離型粘着剤を塗布する塗布工程の開始に合わせて、塗布工程で使用する粘着剤に所望の性能付与を行うための再剥離型粘着剤の製造装置であって、ガラス転移点温度(Tg)が−80℃〜−50℃で、かつ、硬化剤を含まないベースとなる粘着剤を収容するためのタンクと、該ベースとなる粘着剤の所望する量を混合機へと送るための定量ポンプと、可塑剤、タッキファイヤー及び硬化剤をそれぞれに収容するための各タンクと、該各タンクから、それぞれに所望する量を上記混合機へと送るための定量ポンプと、混合機から塗工機への混合物の移送手段とを有することを特徴とする再剥離型粘着剤の製造装置。
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- 2009-07-31 JP JP2009178550A patent/JP2011032337A/ja active Pending
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