JP2011031433A - 非接触icカードの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアを抜く工程を実施しても,非接触ICカードに封入するインレットの位置が固定される非接触ICカードの製造方法を提供する。
【解決手段】第1のコーター10aによって,表面シート2の裏側にPUR系ホットメルト接着剤4が塗布され,第2のコーター10bによって,裏面シート3の裏側にPUR系ホットメルト接着剤4が塗布される。PUR系ホットメルト接着剤4が塗布された裏面シート3には,ICチップやアンテナを有するインレット5が面付けに合わせて複数実装された枚葉形態のインレットシート6が重ねられた後,PUR系ホットメルト接着剤4が塗布された表面シート2がインレットシート6上に重ねられ,それぞれのシートがPUR系ホットメルト接着剤4を介して重ねられた状態で真空プレス機10cによってエア抜き・加熱プレスされ積層シート7が製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は,ICチップやアンテナがカード内部に実装された非接触ICカードの製造方法に関する発明である。
ICチップやアンテナがカード内部に実装された非接触ICカードは,湿気などの環境特性に強く,外部の端末装置と無線で通信でき利便性も高いため,近年では,交通機関系では定期券の用途,金融機関系では電子マネーの用途,公共機関系では免許証の用途など幅広い用途で利用されている。
非接触ICカードの製造方法としては射出成形法もあるが,PUR系ホットメルト接着剤(PUR: Poly Urethane Reactive)などを用いて,2枚のシート材の間に接着剤層を設け,該接着剤層内に,非接触ICカード用ICチップやアンテナなどが実装されたインレットを封入する接着成形法が用いられている。
例えば,特許文献1の図1で図示されているように,接着成形法においては,ロール又は枚葉の形態で供給される表面シート及び裏面シートの印刷面の裏面それぞれに,PUR系ホットメルト接着剤などの接着剤が塗布され,裏面シートの裏面,すなわち,接着剤が塗布された面に,ICチップやアンテナが実装されたインレットが載せられ,インレットが裏面シートの裏面に載せられた状態で,表面シート及び裏面シートが貼り合わされて加熱され,接着剤が硬化した後にカードサイズに打ち抜かれて,非接触ICカードが製造される。
このような接着材法は広く利用されているが,接着剤法では,表面シートと裏面シートを貼り合わせるときにエアが混入し,非接触ICカードの表裏面に気泡が発生してしまうため混入したエアを抜くことが必要になる。
表面シートと裏面シートを貼り合わせるときに巻き込まれるエアを抜く手法としては,特許文献2で開示されているように,真空を利用して該エアを抜く手法(例えば,公知の技術である真空プレス)もあるし、また、特許文献1の図1で図示されているように、一対のロールを利用してエアを抜く手法もある。
しかし,表面シートと裏面シート間にインレットを単体で封入し,各シート間に混入したエアを抜くために真空プレスなどを実施すると,真空プレスが終了するまでは接着剤が未硬化であるため,真空プレス中にシート間からシートの外へ抜けるエアの動きにつられて,インレットも動いてしまうことがあった。
非接触ICカードに封入するインレットの位置は,折り曲げ強度やエンボス加工などのカード仕様に依存して設計されるため,真空プレス中にインレットが動き該位置のずれ量が大きくなると,折り曲げ強度が弱くなる,非接触ICカードにエンボス加工を施したときにインレットが破損するなどの不良が生じてしまう。
特開2003−132311号公報 特開2003−317068号公報
そこで,本発明は,非接触ICカードを構成する各シート間に混入したエアを抜く工程を実施しても,非接触ICカードに封入するインレットの位置を固定することのできる非接触ICカードの製造方法を提供することを目的とする。
複数のインレットを面付けに合わせてベースとなる枚葉シート上に接着したインレットシートを製造する工程aと,
カード表面の絵柄が印刷された表面シート及びカード裏面の絵柄が印刷された裏面シートの裏側それぞれに接着剤を塗布し,前記接着剤が塗布された前記表面シートの裏側と前記裏面シートの裏側の間に工程aで製造した前記インレットシートを挟み込むように,前記表面シート、前記インレットシート及び前記裏面シートを重ね,エア抜き及び加圧しながら前記接着剤を硬化させることで積層シートを製造する工程bと、
を有することを特徴とする非接触ICカードの製造方法である。
更に,第2の発明は,第1の発明に記載の非接触ICカードの製造方法であって,前記工程aにおいて,前記ベースとなる枚葉シート上と前記インレットの接着に熱可塑性の接着剤層を用いることを特徴とする非接触ICカードの製造方法である。
更に,第3の発明は,第2の発明に記載の非接触ICカードの製造方法であって,前記工程bにおいて,前記表面シート及び前記裏面シートの裏側に塗布する前記接着剤としてPUR系ホットメルト接着剤を用いることを特徴とする非接触ICカードの製造方法である。
上述した本発明によれば,非接触ICカードを構成する各シート間に混入したエアを抜く工程を実施しても,非接触ICカードに封入するインレットの位置を固定することのできる非接触ICカードの製造方法を提供できる。
非接触ICカード製造方法が適用された製造ラインを説明する図。 表面シートを説明する図。 裏面シートを説明する図。 インレットシートを説明する図。 インレットを説明する図。 非接触ICカードの断面図。
ここから,本実施形態に係わる非接触ICカードの製造方法,及び,本実施形態に係わる非接触ICカードの製造方法によって製造される非接触ICカードについて,図を参照しながら詳細に説明する。
図1は,本実施形態に係わる非接触ICカード製造方法が適用された非接触ICカード製造ライン1を説明する図である。
図1で図示した非接触ICカード製造ライン1では,第1のコーター10a(例えば,ロールコーター)によって,非接触ICカード8の表面の絵柄が印刷された枚葉形態の表面シート2の裏側にPUR系ホットメルト接着剤4(PUR: Poly Urethane Reactive)が塗布され,第2のコーター10bによって,非接触ICカード8の裏面の絵柄が印刷された枚葉形態の裏面シート3の裏側にPUR系ホットメルト接着剤4が塗布される。
そして,PUR系ホットメルト接着剤4が塗布された裏面シート3には,ICチップやアンテナを有するインレット5が面付けに合わせて複数実装された枚葉形態のインレットシート6が重ねられた後,PUR系ホットメルト接着剤4が塗布された表面シート2がインレットシート6上に重ねられ,それぞれのシートがPUR系ホットメルト接着剤4を介して重ねられた状態で真空プレス機10cによってエア抜き・加熱プレスされ,表面シート2,インレットシート6及び裏面シート3が一体となった積層シート7が製造され,積層シート7が打ち抜き加工されて,非接触ICカード8が製造される。
ICチップやアンテナを有するインレット5が複数実装された枚葉形態のインレットシート6を非接触ICカードの製造に利用するのは,真空プレス機10cでエア抜きするときに非接触ICカード8内に封入されるインレット5が動くのを防止するためである。
表面シート2,インレットシート6及び裏面シート3を重ねときに,各シート間にエアが混入することが多く,図1で図示した非接触ICカード製造ライン1では,各シート間に混入したエアを抜くために真空プレス機10cを用いているが,表面シート2と裏面シート3間にインレット5を単体で封入すると,エア抜き中にシートの外へ抜けるエアの動きにつられて,インレット5も動いてしまうことがあった。
非接触ICカード8に封入するインレット5の位置は,折り曲げ強度やエンボス加工などの要求仕様に依存して設計されるため,エア抜き中にインレット5が動きインレット5の位置のずれ量が大きくなると,折り曲げ強度が弱くなる,エンボス加工を施したときにインレットが破損するなどの不良が生じてしまう。
そこで,本実施形態の非接触ICカード製造ライン1のように,インレット5が複数実装されたインレットシート6を用いて非接触ICカードを製造すれば,各シート間に混入するエアのサイズはインレットシート6のサイズよりもかなり小さいため,エア抜き中にシートの外へ抜けるエアの動きにつられてインレットシート6が動くことはなく,非接触ICカード8内におけるインレット5の位置が所定位置から大幅にずれることを防止できる。
ここから,本実施形態の非接触ICカード製造ライン1で利用される部材について説明する。
まず,非接触ICカード8の表面の絵柄が印刷された表面シート2,非接触ICカード8の裏面の絵柄が印刷された裏面シート3,及び,面付けに合わせてインレット5が複数実装されたインレットシート6について説明する。
図2は表面シート2を説明する図,図3は裏面シート3を説明する図,図4はインレットシート6を説明する図である。
図2,図3及び図4に図示したように、本実施形態における面付けは9面付けで,図2図3及び図4においては,非接触ICカード8として打ち抜かれる領域を点線が囲んで示している。
表面シート2,裏面シート3及びインレットシート8のそれぞれの材質は同一であり,サイズもほぼ等しい。該材質としては,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂,ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン,ポリ4フッ化エチレン,エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂,ナイロン6,ナイロン6.6等のポリアミド,ポリ塩化ビニル,塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体,エチレン/酢酸ビニル共重合体,エチレン/ビニルアルコール共重合体,ポリビニルアルコール,ビニロン等のビニル重合体,生分解性脂肪族,ポリエステル,生分解性ポリカーボネート,生分解性ポリ乳酸,生分解性ポリビニルアルコール,生分解性セルロースアセテート,生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂,三酢酸セルロース,セロファン等のセルロース系樹脂,ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリイミト#等の合成樹脂シート,又は,上質紙,薄葉紙,グラシン紙,硫酸紙等の単層体或いはこれら2層以上の積層体を利用できる。
図2に図示したように,表面シート2には,非接触ICカード8の表面の絵柄(ここでは,「ID CARD」。)に加え,表面シート2に他のシートを重ねるときに利用されるトンボ線2a,打ち抜き加工するときに利用されるトンボ線2bが印刷され,図3に図示したように,裏面シート3には,非接触ICカード8の裏面の絵柄(ここでは,「説明文」。)に加え,裏面シート3に他のシートを重ねるときに利用されるトンボ線3aが印刷されている。
図4は,インレット5が面付けに合わせて複数実装されたインレットシート6を説明する図で,図4(a)はインレットシート6の上面図,図4(b)はインレット5の実装方法を説明する図である。
図4(a)に図示したように,インレットシート6には,ICチップ5aやアンテナ5bが設けられたインレット5が面付けに合わせて複数実装(ここでは,合計9個)され,表面シート2に他のシートを重ねるときに利用されるトンボ線6aが印刷されている。
図4(b)に図示したように,インレットシート6に配置される各インレット5のサイズは,非接触ICカード8のサイズよりもやや小さい。インレットシート6に実装されるインレット5は,インレットシート6とは別途に製造され,インレットシート6のベースとなるシート6bに仮止めした後,熱可塑性樹脂等の接着剤6aを用いて,例えば,以下の接着条件で,シート6bに密着するように接着されている。
(インレットの接着条件)
温度:120〜150℃,時間:2〜10分,圧力:10〜25kgf/cm2
熱可塑性樹脂等の接着剤6aを用いて,インレット5をインレットシート6のベースとなるシート6bに密着するように接着することで,インレット5とシート6b間にエアが混入するのを防止できる。
図5はインレット5を説明する図で,図5(a)は,インレットシート6上に面付けに合わせて配置される一つのインレット5の一例を説明する図で,図5(b)は,インレット5の供給形態の一例を説明する図である。
図5(a)で図示したインレット5は,ポリエステル,ポリエチレンナフタレート,ポリイミド,ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性フィルム5c上に,銅やアルミなどの金属箔や導線を用いてアンテナ5bが形成され,アンテナ5bの両端を導通させるブリッジ5d上にICチップ5aが実装された電気部品である。
なお,本発明は,インレットシート6に配置するインレット5の形態に依存するものではなく,インレット5は,ICタグで利用されているような金属片とICチップから構成される上述した以外の形態のインレットでもよい。
インレット5の供給形態は様々であるが,図5(b)では,インレット5の供給形態はロール5eで,インレット5のベースとなるロールシート5f上に一つ一つのインレット5が形成され,非接触ICカード8の製造する際,ロール5eから打ち抜かれたインレット5がインレットシート6に接着される。
次に,非接触ICカード製造ライン1で用いられる接着剤について説明する。すでに,上述しているように,本実施形態において,非接触ICカード8の表面シート2,裏面シート3及びインレットシート6の接着に利用する接着剤を,加熱溶解した後,空気中の水分と反応して硬化するPUR系ホットメルト接着剤4としている。一度硬化したPUR系ホットメルト接着剤4は熱によって再溶解することなく,耐熱性・耐寒性などの環境特性に優れ,更に,接着強度も強いため,非接触ICカード8の利用に適している。
非接触ICカード8の厚みをISO7816規格内に納める場合,これまでの経験から,PUR系ホットメルト接着剤4の総塗布厚みは60〜220μmの間になり,表面シート2と裏面シート3の塗布比率は1:1から19:3の間になる。
表面シート2と裏面シート3の塗布比率が1:1でないのは,インレット5に実装されるICチップ5aの高さを,表面シート2に塗布するPUR系ホットメルト接着剤4で吸収することが必要になり,結果として,表面シート2の塗布厚みが裏面シート3よりも厚くなるからである。
なお,PUR系ホットメルト接着剤4以外にも,UV硬化型、2液混合型、光硬化型、熱硬化型、弾性エポキシ等の接着剤を用いることもでき,当然のことながら,非接触ICカード製造ライン1には,非接触ICカード8の表面シート2,裏面シート3及びインレットシート6の接着に利用する接着剤を硬化させるための装置が組み込まれる。
例えば,UB硬化型の接着剤を利用する場合,表面シート2,裏面シート3及びインレットシート6に塗布したUB硬化型の接着剤を照射するUVランプが非接触ICカード製造ライン1に組み込まれる。
次に,これまで説明した非接触ICカード製造ライン1で製造される非接触ICカード8について説明する。図6は,非接触ICカード8の断面図である。
上述しているように、PUR系ホットメルト接着剤4を介して重ね合わされた表面シート2,インレットシート6及び裏面シート3は,例えば,以下のプレスラミネート条件でプレスされ,これらのシートが接着された積層シート7が成形され,積層シート6が所定の大きさに打ち抜かれて,一つの積層シート6から面付けに対応した枚数の非接触ICカード8(ここでは,9枚)が製造される。
(プレスラミネート条件)
温度:60〜110℃,時間:90〜300秒,圧力:1〜6kgf/cm2
PUR系ホットメルト接着剤4を介して重ね合わされた表面シート2,インレットシート6及び裏面シート3が貼り合わされた積層シート8が打ち抜かれて非接触ICカード8が製造されるため,非接触ICカード8は,表面シート2,インレットシート6及び裏面シート3,並びに,表面シート2とインレットシート6間の接着層4a及びインレットシートと裏面シート3間の接着層4bの5層の積層構成になり,インレットシート6のベースとなるシート6bには,熱可塑性樹脂等の接着剤6cを用いてインレット5が実装されている。
1 非接触ICカード製造ライン
2 表面シート
3 裏面シート
4 PUR系ホットメルト接着剤
5 インレット
6 インレットシート
7 積層シート
8 非接触ICカード

Claims (3)

  1. 複数のインレットを面付けに合わせてベースとなる枚葉シート上に接着したインレットシートを製造する工程aと,
    カード表面の絵柄が印刷された表面シート及びカード裏面の絵柄が印刷された裏面シートの裏側それぞれに接着剤を塗布し,前記接着剤が塗布された前記表面シートの裏側と前記裏面シートの裏側の間に工程aで製造した前記インレットシートを挟み込むように,前記表面シート、前記インレットシート及び前記裏面シートを重ね,エア抜き及び加圧しながら前記接着剤を硬化させることで積層シートを製造する工程bと、
    を有することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
  2. 請求項1に記載の非接触ICカードの製造方法であって,前記工程aにおいて,前記ベースとなる枚葉シート上と前記インレットの接着に熱可塑性の接着剤層を用いることを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
  3. 請求項2に記載の非接触ICカードの製造方法であって,前記工程bにおいて,前記表面シート及び前記裏面シートの裏側に塗布する前記接着剤としてPUR系ホットメルト接着剤を用いることを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
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