JP2002042086A - Icカードの製造方法 - Google Patents

Icカードの製造方法

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JP2002042086A
JP2002042086A JP2000231177A JP2000231177A JP2002042086A JP 2002042086 A JP2002042086 A JP 2002042086A JP 2000231177 A JP2000231177 A JP 2000231177A JP 2000231177 A JP2000231177 A JP 2000231177A JP 2002042086 A JP2002042086 A JP 2002042086A
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temperature
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Yasuhiro Monobe
泰宏 物部
Shoji Aoyanagi
祥二 青柳
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内蔵物の外表面への影響を極力減少し、カード
外観を良好にするとともに、種々の外力に対して強靭な
ICカードを提供する。 【解決手段】少なくともエチレングリコール、テレフタ
ル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの3成分
を重合した変性ポリエステル樹脂のプラスチックフィル
ムを用いたカード基材5と、熱可塑性フィルム4と、IC
チップ3等の内蔵部品を備えたインレットとを少なくと
も積層し、真空雰囲気中で熱可塑性フィルムが流動状態
下になるように加熱し、成形加圧した後に、少なくとも
加圧状態を維持して、該カード基材のガラス転移点温度
(TG)近傍の温度を通過して冷却する際に0.5℃/min以
上、10℃/min以下の冷却速度で除冷却を行うICカー
ドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICカードの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ICカードと呼ばれている新しい情報記
録媒体は、現在市場に広く出回っているクレジットカー
ド、銀行カード、ポイントカード、テレホンカード等の
カード状あるいはシート状の形状をして、その中にIC
が組み込まれているものを総称している。ICカードは
大きく分けて接触型、非接触型及び両方の機能を持った
コンビ型の3種類に分けられる。接触型とはカード表面
に端子が設けられており、その端子を通じて信号のやり
取りを行うものである。現在、使い捨てタイプはヨーロ
ッパ等でテレホンカードとして広く流通している。ま
た、情報の書き換え可能なタイプをマネーカードとし
て、使用する実験が各国で行われており、金融関係で使
用されるカードとして注目されている。
【0003】接触型ICカードは、プラスチックカード
にモジュール化されたICチップを装着する単純な構造
となっている。プラスチックカードはICモジュールが
接着される部分に予めICモジュールが入る大きさと深
さの穴を開けておく方法と、インジェクションによって
成形する方法がある。穴を開ける方法は1枚物のプラス
チックカードにザグリ機で彫る方法や、2枚のシートの
うちの1枚に貫通穴を開け貼りあわせる方法がある。現
在、1つのチップを持つ物が主流であるが、機能別に複
数部品を含んでいる接触型ICカードもあり、部品間の
接続や特殊な端子等との接続のために回路パターンが使
用されている。
【0004】一方、非接触ICカードは、電池内蔵のも
のと、外部からの電磁波で電力を得て動作するタイプに
更に分けられる。電池内蔵のものは、非接触ICカード
から発信する電波の出力が大きい。これに対して、外部
から電磁波により電力を得て駆動するタイプの非接触I
Cカードは、カードからの発信出力が小さく、通信距離
を最大にするためには、リーダ・ライタとのマッチング
を最適化する必要がある。構成部品として、非接触IC
カードは、剛性の電気絶縁性プラスチック製の基材内
に、ICチップ、アンテナ等の内蔵物を埋設して構成さ
れている。これらのカ−ド類は、偽造防止のためのホロ
グラムや、内容の一部を目視表示できるようリライト表
示ラベル等を搭載する市場の要求に対応するため、PVC
樹脂等の熱可塑性フィルムが表裏に使用されている。PV
C樹脂は硬質のグレードが使用され、熱加工が容易であ
るので、カード成形は約150℃、圧力1000から2
000Pa、加圧時間1秒程度の条件で行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ICカードのカード基
材は、PVC樹脂等の熱可塑性フィルムが表裏に使用され
ているが、昨今の環境汚染の問題から、代替材料として
非塩素系のプラスチック材である一般に、非結晶変性ポ
リエステル樹脂、PETGの名称で市場に流通しているプラ
スチックフィルム等が注目され使用されている。しかし
ながら、非結晶変性ポリエステル樹脂の基材は、カード
の成形時、塑性変形が伴うため、カード表面に内蔵部品
の比較的大きな形状であるアンテナ、コンデンサーパタ
ーン等が浮き上がり、目視によりアンテナ等の製造技術
が推察できる問題があった。本発明は、ICチップ、ル
ープアンテナ等の内蔵部品をカード基材に内蔵する場合
において、内蔵物の外表面への影響を極力減少し、カー
ド外観を良好にするとともに、種々の外力に対して強靭
なICカードを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るICカード
の製造方法は、少なくともエチレングリコール、テレフ
タル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの3成
分を重合した変性ポリエステル樹脂のプラスチックフィ
ルムを用いたカード基材と、熱可塑性フィルムと、IC
チップ等の内蔵部品を備えたインレットとを少なくとも
積層し、真空雰囲気中で熱可塑性フィルムが流動状態下
になるように加熱し、成形加圧した後に、少なくとも加
圧状態を維持して、該カード基材のガラス転移点温度
(TG)近傍の温度を通過して冷却する際に0.5℃/min
以上、10℃/min以下の冷却速度で除冷却を行う。更
に、前記加熱し、成形加圧する際に、前記カード基材も
流動状態下になる温度で加熱することがより好ましい。
また、前記ガラス転移点温度(TG)近傍の温度が、該
ガラス転移点温度(TG)±5℃の間であることがより
好ましい。
【0007】ICカードを成形する際に、カード基材の
TG近辺の冷却速度を制御し、かつ、圧力を加えること
により、余分な収縮や結晶化を制御し、内蔵しているア
ンテナやチップの影響を受けずに平滑な表面を持つカー
ドが得られるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は非接触ICカード、接触
型のICカード、コンビカードの製造に用いることがで
きる。以下、それらの中の代表例となる非接触ICカー
ドについて、本発明の実施の形態を図によって説明す
る。図1は非接触ICカードの一例の断面図である。イ
ンレットシート1の上に形成したアンテナ2を有し、そ
のアンテナ2上にはICチップ3を接着している。この
ようにアンテナ2とICチップ3をインレットシート1
に搭載したものをインレットと呼ぶ。インレット上に配
置した熱可塑性フィルム4を介して、カード基材5が接
着され、最外層となる。また、図2は非接触ICカード
の他の例の断面図である。図中図1と同一符号の部材は
図1と同一であるので説明を省略する。図2では、図1
で示した非接触ICカードのインレットシート側に更に
第2の熱可塑性フィルム7を介してカード基材6が接着
され、結局、カード基材5及び6によってインレットが
サンドイッチ状に挟まれている構造となっている。
【0009】本発明は、少なくともエチレングリコー
ル、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルの3成分を重合した変性ポリエステル樹脂のプラスチ
ックフィルムを用いたカード基材と、熱可塑性フィルム
と、ICチップ等の内蔵部品を備えたインレットとを少
なくとも積層し、圧縮用金属板に挟んで熱プレスされる
ものである。この熱プレスの際にインレットの搭載して
いるICチップ、コンデンサー、アンテナ(巻線式、印
刷、式等含む)等の内蔵部品による起伏、段差を吸収し
ながら熱可塑性フィルム層中に内蔵部品を収容し、内蔵
物の外表面への影響を極力減少し、カード外観を良好に
するとともに、種々の外力に対して強靭なICカードを
得る。
【0010】カード基材は、ホログラム、リライト等表
示機能フィルムを加熱融着によりカード表面に埋設で
き、カードの反り等が発生しにくいグリコール変性のポ
リエステル樹脂を使用する。 グリコール変性のポリエ
ステル樹脂の一つであるPETGはイーストマンケミカル社
の商標で呼ばれる非結晶ポリエステル樹脂であり、エチ
レングリコール、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールの3成分を重合した変性ポリエステル樹
脂である。この樹脂は約55から65℃のガラス転移点
(TG)を持つ。また、熱変形温度は66〜67℃程度
となる。また、ビカット軟化温度は80℃程度である。
更にこのビカット軟化温度より10から20℃程度高い
温度で流動状態になる。尚、以上説明した各温度はこの
変性ポリエステル樹脂の成分割合、添加物等により変化
する。
【0011】カード基材は圧縮用金属板との離型性を付
与するための剥離ニスや光沢を与えるためのニス、また
は、耐擦性を向上させるためのニスを単独、又は、混合
して、厚さ0.050mm以下に印刷、塗工してもよい。ま
た、融点やビカット軟化点について、カード基材よりも
高い温度を示すニスを使用することにより、印刷の流動
や内蔵しているアンテナやチップの影響を受けずに平滑
な表面を持つカードが得られる物である。ニスはUV硬化
型のニス、またはEB硬化型のニスであれば熱をかけるこ
となく硬化でき、表面性の優れたICカードが得られ
る。
【0012】UV硬化型のニスについて説明すると、イン
キに配合されている樹脂としては、たとえば、モノマー
としてはアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、n-ブチルアクリレート、イソデシルアクリレ
ート、フェノキシアクリレート、ステアリルアクリレー
ト、n-ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートエ
トキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート等のモノアクリレート、
1、3−ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレン
グリコールジアクリレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、ジペンタエリスリトール、ヘキサアク
リレート等の3官能以上のアクリレート、メタアクリル
酸、ラウリルメタアクリレート、グリシジルメタアクリ
レート等のメタクリレート、マレイン酸、イタコン酸、
N―メチロールアクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸
ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。その他紫外
線により重合できるポリマー、やオリゴマーが使用でき
る。例えば、ポリアクリレート、ポリエステルアクリレ
ート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、
シリコンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポ
リブタジェンアクリレート、チオール/ポリエン系等が
ある。添加剤として脂肪酸、ステアリン酸、脂肪酸エス
テル等の帯電防止剤やスリップ剤、アルキルレジンや脂
肪族レジン、さらにシリコーン−アルキレンオキシド共
重合体、シリコーン油含有脂肪族エポキシド類、フルオ
ロカーボン界面活性剤などのシリコーンオイル系の添加
剤等を、必要とされる物性に基づき、必要量含んでいて
もかまわない。使用するニスに配合されている重合開始
剤としては公知の材料、たとえばアセトフェノン系、ベ
ンゾフェノン系、キノン誘導体、などが挙げられる。な
おn-ブチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン等の増感
剤を用いることも出来る。一方、EB硬化型ニスでは、イ
ンキに含まれる樹脂としてはUV硬化型の樹脂をそのまま
用いることが出来る。添加剤についてもUV硬化型のニス
と同様の物を使用することが出来る。
【0013】上記カード基材は熱可塑性フィルムを使用
して、インレットへ接合する。貼り合わせ工程は単独、
または、数工程に分離しても良い。本発明に用いる熱可
塑性フィルムとしては、熱可塑性高分子材料が良い。例
えば酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、
オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、天然ゴム、ゼラチ
ン、ニカワ、アビエチン系樹脂、セルロース誘導体系樹
脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ビニルブチラ
ール樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッ
ド樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノールホル
マリン系樹脂、石油樹脂、マレイン酸共重合体、等の単
独、混合体、共重合体、等がある。本発明の熱可塑性フ
ィルムのビカット軟化温度は40℃以上が好ましい。これ
はこの温度が低い場合、通常のカード使用温度域が狭く
なり、実用に適さなくなるからである。また上限は100
℃以下、より好ましくは80℃以下が良い。熱可塑性フィ
ルムのビカット軟化温度が高すぎると、熱可塑性フィル
ムが流動状態下になる温度も高くなり、熱プレスする時
の温度を高温にする必要が生じる。その時、カード基材
が過度の溶融状態に至り、表面の印刷情報が損なわれて
しまうおそれが高くなる。熱可塑性フィルムのビカット
軟化点が高く、カ−ド基材の熱変形温度に近い場合は、
加熱圧着時に表裏カード基材が変形等の影響を受けるた
め、可塑剤等を用いてビカット軟化点を下げることがで
きる。熱可塑性フィルムのビカット軟化点が低すぎる場
合、硬化剤を使用してビカット軟化点を上昇させたり、
顔料等を添加して凝集力を向上させることによっても改
善できる。
【0014】熱可塑性フィルムに添加する材料としては
分散剤、増粘剤、油脂類、架橋剤、硬化剤、可塑剤、離
型材、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、スチルト、
発泡粒子、導電剤、ファイバーフィラー、ゴム状粒子、
着色顔料、不透明化材、触媒等を絶縁性が損なわれない
範囲内で適宜使用する。体積固有抵抗値で1012cm以上が
よい。硬化剤は加熱融着が可能な範囲内で添加しても良
い。例えばエポキシ樹脂、イソシアネート化合物、金属
架橋剤、等がある。空気中の水分により貼り合わせ後に
架橋反応が進み、必要な硬度を時間的に遅れて得られる
湿気硬化型のイソシアネート基含有のウレタン樹脂等も
貼り合わせ時、接着に十分な流動性が得られ、経時的に
硬化して必要な強度が得られるため好ましく使用され
る。又、硬化剤を部分的に吹きつけて使用し、特定の個
所のみ強化する方法も用いられる。これらを単独でまた
は混合物にして、ホットメルトコーティング、水系、溶
剤系塗工し、必要に応じて熱風乾燥してフィルム状の熱
可塑性フィルムを得ることができる。塗工量としては、
目的のICカードの最終厚さにるよるが、通常は乾燥重
量で10〜700g/m2、厚みで5〜1000μmである。
【0015】熱プレス時に、カード基材を接着するため
には熱可塑性フィルムが流動状態下になるように加熱す
るが、この場合、カード基材は溶融状態にならない場合
であっても、熱可塑性フィルムのみが溶融状態となれ
ば、カード基材とインレットは接着が可能である。ま
た、好ましくはカード基材、熱可塑性フィルムの両者が
溶融状態になる条件で熱プレスすれば、カード基材とイ
ンレットはより強固に接着する。
【0016】プレス装置は大きく分けると機械式プレス
装置と液圧プレス装置に分けられる。さらに、液圧プレ
ス装置は使用される液体により、油圧式プレス装置と水
圧プレスに分けられるが、液体の替わりに空気圧を利用
した物もある。加圧力やプレス速度が調節できるため、
液圧式プレス装置が好ましいが、機械式では加圧力やプ
レス速度の調節が難しい反面、プレス速度が速く、量産
するには適している。本発明で使用するプレス装置の概
略を図3に従って説明する。図3は本発明のICカード
の製造方法を実施する際に使用される熱プレス装置の構
成を概略的に示す断面図である。
【0017】熱プレス装置は圧力0.001〜980kP
a、加圧時間50〜5000秒程度の条件で熱プレスする能力
を持っている。成形加圧のために熱プレスを行う部分
は、図中一点鎖線であらわした真空装置の中に設置され
真空ポンプ14により脱気されて真空雰囲気を保つことが
できる。熱プレスを行う前に真空装置内を脱気しておく
ことによって積層物13のカード部材やその他の部材内や
部材間の空気が排除され、表面性の良いカードが成形で
きる。この真空雰囲気は0.8kPa abs程度の圧力であ
れば良い。なお、この真空雰囲気を以降の加熱時から冷
却時に至るまで保つことはより好ましいが、冷却時には
大気圧中でもよい。
【0018】次に、サーモオイルを図示を省略した電気
ヒーターで加熱し、サーモオイル循環路10a、10bに導入
し、上下のテーブル11a、11bとそのテーブルに直結した
圧縮用金属板12a、12bを加熱している。圧縮用金属板12
a、12bがICカードの部材の積層物13を挟み、所定の
温度に達すると熱プレスを開始する。この熱プレス時に
脱気操作を行うことによって、泡の巻き込まれを防止す
ることもできる。熱プレス時には圧力も制御することが
普通である。圧力はテーブル11a、11bの軸に取り付けら
れた図示を省略した圧力センサー及び圧力制御装置によ
って測定、制御される。加えられる圧力の上限は980
kPaであり、これはICチップの破壊が起こらない程度
として決定しているものである。圧力の加えかたは最初
は低圧から始め多段階的に圧力を増加させる方法が好ま
しい。低圧からプレスをおこなうと内蔵物であるICチ
ップ、アンテナ等の電子部品の凹凸がよく吸収され、平
坦なカード表面が得られ易い。この時、比較的簡単に制
御可能な低圧として具体的には0.5 kPa程度の低圧から
上の圧力を使用することが好ましい。
【0019】次に、冷却経路9a、9bに冷却水等を循環さ
せて加熱されている積層物13を冷却する。冷却経路9a、
9bは上下の圧縮用金属板12a、12bに出来る限り近接して
設置できるように、上下のテーブル11a、11bに二つに分
けて設置するほうが、圧縮用金属板の温度を均等に制御
し易いため好ましい。
【0020】さらに本発明では、圧縮用金属板の温度の
上下変化により、カード内部の温度は上下するが、圧縮
用金属板の温度変化に対してカード内部の温度は比較的
早く変動し、760μmのカード1枚では、約3分で平衡状態
に達する。冷却速度などの温度制御は圧縮用金属板の温
度を、冷却経路用バブル8a、8bの開閉やサーモオイルの
電気ヒーターの温度制御によりコントロールするほうが
より効率的であるが、制御方法などは特に規定するもの
ではない。制御方法としては圧縮用金属板やテーブルに
挿入した温度センサーからの電気信号を制御装置に入力
し、加熱温度や冷却経路の制御を行うことが、簡便で好
ましい。但し、実際には試作試験時等にカード基材に温
度センサーを取りつけ、そのセンサーの温度とそれらの
温度センサーの相関をあらかじめ測定し、実際の作製時
にはカード基材温度が本発明に規定した温度になるよう
に制御を行う。
【0021】実際の熱プレスの際には先ず接着前のIC
カードの部材が圧縮用金属板12bの上に置かれる。尚、
普通は、1枚分のICカードが置かれるわけではなく、
例えば5×10枚分のICカードが接着後打ち抜いて得
られるような複数のICカードに加工される積層物13が
置かれる。続いて、圧縮用金属板12a、12bがその積層物
13を軽く挟むようにテーブル11aおよび/または11bが
下降、上昇する。その後、サーモオイルが加熱されてテ
ーブル11a、11bが昇温される。温度上昇の結果、熱可塑
性フィルムおよび/またはカード基材が流動状態に達す
る。その後成形加圧を開始する。加圧は緩慢に行えば行
うほど平坦なカード表面が得られるが、生産性を考える
とあまり遅すぎることは現実的ではない。圧力制御の方
法の典型的な例では加圧は10分後に10kPaに達する
程度に制御される。10kPaに到達後約5分間その圧力
および温度状態を保持し、その後、圧力を保持したまま
冷却を開始する。
【0022】温度上昇時は、カード全体に熱を行き渡ら
せるために温度上昇速度は10℃/min以下、好ましくは5
℃/min以下、0.5℃/min以上で行う。温度をゆっくり
上げると、内部温度が均等になりやすいが、時間がかか
る欠点がある。また、特に加圧の開始時は、低圧力から
緩慢に行うと表面性の良いカードが選られ易い。なお、
積層物13を挟む前にあらかじめテーブル11a、11bを昇
温しておく方法もある。この方法の場合、積層物13を
昇温させる時間を短縮させることが出来る点で有利であ
る。しかし、カード部材の内部温度を均一することが難
しく、また、カード部材等の急な熱膨脹が起こるので、
温度制御を入念に行う必要がある。
【0023】以上の説明では積層物13を単層で配置した
例を説明した。大量生産を考慮する場合は積層物13を図
中縦方向に複数積層させ、その積層物間にそれぞれ圧縮
用金属板を挟んで、一度に多量の積層物を熱プレスする
こともある。
【0024】冷却時は、カード基材のTGの近傍の温度
域を通過する際の冷却速度を10℃/min以下、好まし
くは5℃/min以下の条件で冷却を行うことが好まし
い。冷却速度10℃/minを越えると均一な冷却がおこ
りにくくなり、アンテナ等の内蔵物が存在する部分と存
在しない部分との収縮差が生じ、カード表面に微妙な凸
凹が発生する。更に、カード基材が100μm以上の厚
さを有するものの場合カード表面と内部の温度差が生じ
易いため、5℃/min以下の条件で冷却することがより
好ましい。また、あまり冷却速度が遅すぎると時間がか
かりすぎる。従って非能率的にならないことを考慮し
て、この冷却速度を0.5℃/min以上に確保することが
好ましい。この際の温度制御は圧縮用金属板やテーブル
に挿入した温度センサーからの信号を使用して行った。
ここでTGの近傍の温度域とは、インレットシートの片
側または両側にあるカード基材のすべての部分が、冷却
の際にTGを通過する時にこの速度以下になるようにあ
る程度の幅を持たせる必要がある。この幅を含めてTG
近傍の温度とした、普通の厚み例えば200μm程度の
カード基材では±2から3℃程度であるが、厚いカード
基材等を考慮した場合は、±5℃の範囲が好ましい。
【0025】本発明に用いる表裏カード基材の表面はオ
フセット印刷、シルクスクリーン印刷により所望の絵
柄、説明文字等が印刷される。カードは成型後、打抜き
され、カード化されるが印刷は打抜き前後で行われる。
またオーバーコートのニスの印刷は、絵柄や説明文など
の印刷後に塗工、印刷して、その後に成形しても良い
し、カードを成形後にニスを印刷、塗工しても良い。更
に透明オーバーシートのラミネート加工、ザグリ加工、
ハイブリットIC加工、バーコード、ナンバリング加
工、磁気ストライプ加工、写真貼り付け等の工程をへて
多機能ICカードに加工される。
【0026】本発明はICカードの製造時に、熱可塑性
フィルムの加熱溶融後、少なくとも加圧の状態を保った
まま、カード基材TGの近傍の温度域を通過する際の冷
却速度を制御することにより、カード基材の収縮が均一
に行われ、全体の平面性が保持されたアンテナ、コンデ
ンサーパターンのカード基材への浮き上がりを防止した
高品質のICカードが得られ、かつ製造工程が簡便化で
き、これからの大量使用のニーズに応えられる製造方法
を提供するものである。
【0027】
【実施例】実施例1 (1)厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(製品名:SGA帝人株式会社製)に厚さ35μm銅箔アン
テナ回路をエッチング法で形成した。さらに、高さ20μ
mの接続用バンプを印刷したICチップ(4mm×4mm、25
0μm厚さ)を厚さ50μmの異方導電性フィルム接着剤
(製品名:FC161A、日立化成製)を用いて前記アンテナ
端子に接続した。 (2)カード基材に三菱樹脂製PETGフィルム(製品名:PG-
WHI厚さ300μm、TG60℃、ビカット軟化温度70℃)を
用い、カードの表裏に配置し、前記アンテナとチップを
接続した部材を熱可塑性フィルム(東亜合成製ポリエス
テル系接着フィルム、アロンメルトPES-111EES厚さ150
μmビカット軟化点65℃)の間に挟み、枚様に重ねたカ
ード基材を、積層物13として図3に示した熱プレス装
置を用いて熱プレスした。圧縮用金属板12a、12bとして
金属板(厚さ1mm、SUS304製、川崎製鉄社製)
を使用し、120℃まで昇温し、カード基材と熱可塑性フ
ィルムが溶融状態になった後、圧力10kPaで圧縮し
た。
【0028】(3)圧縮後、圧力を保ったまま、カード温
度70℃から50℃の間を冷却速度3℃/minで冷却したの
ち、打抜き機でカードを打抜き、ICカードのサンプル
を得た。得られたカードは、全体の平面性が良好で、チ
ップ、アンテナ、コンデンサーパターンなどのカード基
材への浮き上がりもなく、優れた外観を備えていた。ま
た、カード基材とシート状の熱可塑性フィルムの層間強
度は10N/cmと強く、人手では簡単に剥離することが不
可能で良好な層間強度を持ったカードであることが確か
められた。この層間強度の規定は「識別カード−物理特
性」:JIS X 6301(1998)に定められおり、同規定に記
載される、6N/cm以上の層間はく離強度を十分満足する
ものである。
【0029】比較例1 実施例1の(3)において、カード温度80℃から40℃まで
を冷却速度20℃/minで冷却した以外は実施例1と同様
の条件でICカードのサンプルを得た。得られたカード
は、チップ、アンテナ、コンデンサーパターンがカード
基材へ浮き上がり、ひずんだ表面性を有する物だった。
しかし、カード基材とシート状の熱可塑性フィルムの層
間強度は10N/cmと強固な物であった。
【0030】比較例2 実施例1の(3)において、冷却する際に圧力を大気開放
にしてカード温度80℃から40℃までを冷却速度5℃/min
で冷却した以外は実施例1と同様の条件でICカードの
サンプルを得た。得られたカードは、チップ、アンテ
ナ、コンデンサーパターンがカード基材へ浮き上がり、
ひずんだ表面性を有する物だった。カード基材とシート
状の熱可塑性フィルムの層間強度は10N/cmと強固な物
であった。
【0031】
【発明の効果】ICカード組立ての熱プレス工程におい
て、カード基材を冷却する際のTG近辺の冷却速度を一
定速度以下に制御し、かつ加圧状態を保っておくことに
より、得られたカードのカード基材は、望ましからざる
収縮や結晶化を押さえることができ、内蔵しているアン
テナやチップやコンデンサー等の電機部品の形状の影響
を受けず、カード基材へのそれらのパターンの浮き上が
りもなく、平滑で優れた外観を備えた表面を持つカード
が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】非接触ICカードの一例の構造を示す断面図で
ある。
【図2】非接触ICカードの他の例の構造を示す断面図
である。
【図3】本発明に使用する熱プレス装置の構成を概略的
に示す断面図である。
【符号の説明】
5,6 カード基材 4,7 熱可塑性フィルム 3 ICチップ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともエチレングリコール、テレフタ
    ル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの3成分
    を重合した変性ポリエステル樹脂のプラスチックフィル
    ムを用いたカード基材と、熱可塑性フィルムと、ICチ
    ップ等の内蔵部品を備えたインレットとを少なくとも積
    層し、真空雰囲気中で熱可塑性フィルムが流動状態下に
    なるように加熱し、成形加圧した後に、少なくとも加圧
    状態を維持して、該カード基材のガラス転移点温度(T
    G)近傍の温度を通過して冷却する際に0.5℃/min以
    上、10℃/min以下の冷却速度で除冷却を行うICカー
    ドの製造方法。
  2. 【請求項2】前記加熱し、成形加圧する際に、前記カー
    ド基材も流動状態下になる温度で加熱する請求項1記載
    のICカードの製造方法。
  3. 【請求項3】前記ガラス転移点温度(TG)近傍の温度
    が、該ガラス転移点温度(TG)±5℃の間である請求
    項1又は2記載のICカードの製造方法。
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