JP2011031264A - 銅被覆アルミニウム線の製造方法 - Google Patents

銅被覆アルミニウム線の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅被覆アルミニウム線の製造にあたり、銅とアルミニウムの密着性不良に起因する銅層剥離をより確実に抑制し、伸線加工中の断線を防止することを目的とし、更に、容易な製造方法且つ低コストで、前記目的を達成することを目的とする。
【解決手段】溶接ボックス32内で銅テープの突合せ部のTIG溶接を行なう工程において、溶接前ダイス51の直前に設置したダイス前ノズル6から、銅テープ2のアルミニウム線1との接合面にアルゴンガスを吹き付けると共に、TIGトーチ7に備えたイナートガスノズル71から、銅テープ2のアルミニウム線1との接合面にアルゴンガスを吹き付け、更に、溶接ボックス32の上部に設置した上部ノズル8から、銅テープの溶接直前部にアルゴンガスを吹き付ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、純アルミニウム又はアルミニウム合金を主導体として用い、当該主導体の外周に銅を被覆した銅被覆アルミニウム線の製造方法に関する。
従来、電子機器、ケーブルの導体及び編組線、各種モータ用コイル等の線材として、純アルミニウム又はアルミニウム合金を主導体として用い、当該主導体の外周に銅を被覆した銅被覆アルミニウム線が用いられている。
この銅被覆アルミニウム線の製造は、通常以下の2工程により製造されている。第一の工程は、純アルミニウム又はアルミニウム合金で形成された芯材となるアルミニウム線に銅を被覆して、銅被覆アルミニウム線の複合線を製造する工程であり、銅テープにアルミニウム線を縦添えし、銅テープをアルミニウム線上に管状に成形し、銅テープの突合せ部をTIG(タングステンイナートガス)方式で溶接し、更に、管状に成形、溶接された銅テープを、ロールにより縮径し、芯材のアルミニウム線と密接させ、銅被覆アルミニウム線の複合線を製造する工程である(特許文献1参照。)。
第二の工程は、上記第一の工程で得られた銅被覆アルミニウム線の複合線を、複数のダイスを備える伸線機を用いてダイス伸線加工し、銅テープを芯材のアルミニウム線に密着させると共に、所定の径まで細線化する工程である。
上記第一工程において、銅テープを管状に成形させる際に、従来から金属ロールや合成樹脂製の板状ダイスを用いると共に、TIG方式でタングステン電極棒を用いて銅テープを溶接している。そして、溶接の際のアークの外乱によるブレを低減し、銅テープが溶けずに溶着しないことを防止するために、溶接ボックスを設置して、溶接ボックス内で銅テープの溶接を行なっている。
そして、溶接ボックス内では、アークの硬直性向上及び溶接部分のシールド用不活性ガスの提供のために、トーチケーブルを経てイナートガスノズルから溶接箇所に向けてアルゴンガスを流しており、又、銅の高温酸化変色を防止する目的で、アルゴンガスノズルを銅テープに近接させ、銅テープのアルミニウム線との接合面を含む溶接箇所付近にアルゴンガスを吹き付け、溶接ボックス内全体にアルゴンガスを流していた。しかし、アルゴンガスは高価であるため、銅の変色を回避するため等上記目的達成のための最小限の量を流していた。そして、この最小限の量とは、銅テープが溶接される箇所の直前部分の酸素濃度が1%或いはそれ以上の濃度となる量であった。
特開平4−230905号公報
ところで、銅被覆アルミニウム線における品質上の最大の問題点は、銅とアルミニウムの密着性不良に起因する銅層剥離であり、この銅層剥離が原因で伸線加工中に断線が生じるという問題があった。従って、銅被覆アルミニウム線の重要な要求品質のひとつに、銅とアルミニウムの密着性が挙げられ、従来から銅とアルミニウムの密着性を向上させるためにアルミニウム荒引線及び銅テープの洗浄や研磨といった前処理や、伸線加工で用いるダイスの減面率の検討等が行なわれていた。
しかし、このような処理、工夫が行なわれていても、銅とアルミニウムの密着性不良に起因する銅層剥離が生じることもあり、より確実に銅層剥離を抑制することが求められていた。更に、前処理を行なうことにより、製造工程数が増えてしまい、製造が複雑となり、高コストとなってしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、銅被覆アルミニウム線の製造にあたり、銅とアルミニウムの密着性不良に起因する銅層剥離をより確実に抑制し、伸線加工中の断線を抑制することを目的とし、更に、容易な製造方法且つ低コストで、前記目的を達成することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明は、純アルミニウム又はアルミニウム合金を主導体として用い、当該主導体の外周に銅を被覆した銅被覆アルミニウム線の製造において、アルミニウム線に銅テープを縦添え成形した後、溶接ボックス内で銅テープの突合せ部のTIG溶接を行なう工程において、アルミニウム線及び銅テープ進行方向に向かって、溶接前ダイスの後方側に設置したダイス前ノズルから、銅テープのアルミニウム線との接合面に直接アルゴンガスを吹き付けると共に、TIGトーチに備えたイナートガスノズルから、銅テープのアルミニウム線との接合面に直接アルゴンガスを吹き付け、更に、溶接ボックスの上部に設置した上部ノズルから、銅テープの溶接直前部にアルゴンガスを吹き付けることを特徴とする銅被覆アルミニウム線の製造方法である。
又、上記方法において、前記溶接ボックスに進入する前において、銅テープのアルミニウム線との接合面にアルゴンガスを吹き付けることを特徴とする銅被覆アルミニウム線の製造方法である。
又、上記方法において、前記溶接直前部の酸素濃度を1.0%未満としたことを特徴とする銅被覆アルミニウム線の製造方法である。
又、上記方法において、前記溶接直前部の酸素濃度を0.5%以下としたことを特徴とする銅被覆アルミニウム線の製造方法である。
以上のような本発明によれば、銅被覆アルミニウム線の製造にあたり、銅とアルミニウムの密着性を向上させることが可能となり、銅とアルミニウムの密着性不良に起因する銅層剥離を抑制することが出来、伸線加工中の断線を抑制することが可能となった。更に、このような製造において、製造方法を容易とすることが出来、且つ低コストで製造を行なうことが出来た。
銅被覆アルミニウム線の一部製造工程概念図 銅被覆アルミニウム線の成形ボックス及び溶接ボックス付近での製造工程概念図 銅テープの溶接直前部の酸素濃度と密着性との関係を示すグラフ図 銅テープの溶接直前部の酸素濃度と密着完了までの加工度との関係を示すグラフ図 銅テープの溶接直前部の酸素濃度と伸線製出量との関係を示すグラフ図
以下本発明の実施の形態を説明する。本発明は、銅被覆アルミニウム線の製造方法であって、純アルミニウム又はアルミニウム合金を主導体として芯材に用い、当該主導体の外周に被覆材として銅を被覆した銅被覆アルミニウム線の製造において、アルミニウム線に銅テープを縦添え成形した後、溶接ボックス内で銅テープの突合せ部のTIG溶接を行なう工程において、アルミニウム線及び銅テープ進行方向に向かって、溶接前ダイスの後方側に設置したダイス前ノズルから、銅テープのアルミニウム線との接合面に直接アルゴンガスを吹き付けると共に、TIGトーチに備えたイナートガスノズルから、銅テープのアルミニウム線との接合面に直接アルゴンガスを吹き付け、更に、溶接ボックスの上部に設置した上部ノズルから、銅テープの溶接直前部にアルゴンガスを吹き付けることを特徴とする銅被覆アルミニウム線の製造方法である。
銅被覆アルミニウム線の主導体としては、純アルミニウム(電気用アルミニウム)、例えばJIS H2110のアルミニウム純度99.80%以上の純アルミニウムや、アルミニウム合金を用いることが出来、アルミニウム合金としては、特に限定されず、非鉄材料系複合材料も使用できるが、高張力系のもの、例えばJIS H4040:2006「アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線」の中の5056合金が好適に使用できる。
銅被覆アルミニウム線の銅被覆層は特に限定されないが、銅とアルミニウムの断面積における銅の面積割合である、銅被覆占積率を1〜20%とすることが好ましい。1%未満であると、銅被覆層が破れ易く、断線、接続不良の原因となるからであり、20%以上であると、伸線時に芯材のアルミニウム線が断線し易くなる場合があるからである。銅テープの一例として、銅純度が99.96%以上のJIS C1020等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
銅被覆アルミニウム線の複合線を製造する工程は、純アルミニウム又はアルミニウム合金で形成された芯材のアルミニウム線に銅を被覆して、銅被覆アルミニウム線の複合線を製造する工程であり、アルミニウム線としては、連続鋳造圧延された荒引線や当該荒引線を伸線加工して形成した線材を用いることが出来る。この工程の具体例として、図1及び図2に示すように、アルミニウム線1を芯材供給装置11から繰り出し、ストレーナー12で伸直化する。必要に応じて、表面洗浄装置13で洗浄し、研磨装置14でステンレス製或いは合成樹脂製等のブラシで研磨することとしてもよい。又、銅テープ2は銅テープ供給装置21から繰り出される。必要に応じて、研磨装置22で研磨することとしてもよい。
そして、造管方式を用い、アルミニウム線1及び銅テープ2を成形装置を内蔵する成形ボックス31に導入し、成形ボックス31内で銅テープ2にアルミニウム線1を縦添えし、アルミニウム線1を覆うように、銅テープ2をアルミニウム線1上に樹脂製の板状ダイスにより連続的に管状に成形する。このような状態のアルミニウム線1及び銅テープ2は、成形ボックス31に隣接して設けられた溶接ボックス32に送られ、溶接ボックス32内で銅テープ2の突合せ部をTIG(タングステンイナートガス)方式で連続的に溶接し、管状の銅テープ2がアルミニウム線1を覆うように形成し、更に、管状に成形、溶接された銅テープ2を、ロール55により縮径し、心材のアルミニウム線1との密接を図り、形成された銅被覆アルミニウム線の複合線4が溶接ボックス32から送り出されて、キャタピラ33を介して巻取り機34にて巻取られる。尚、溶接ボックス32内外において、溶接の前後においてダイス51,52により銅テープ2のアルミニウム線1への密接、密着が図られる。
尚、伸線加工工程は、上記工程で得られた、芯材のアルミニウム線を銅テープが覆う銅被覆アルミニウム線の複合線を、公知の伸線機を用いて伸線加工し、所定の径まで細線化すると共に、アルミニウム線と銅テープとを完全に密着させて銅被覆アルミニウム線を製造する工程であり、複数のダイスを用いて、徐々に細線化する。ここで、銅被覆アルミニウム線の複合線の線径は特に限定されない。又、この伸線加工工程において、銅被覆アルミニウム線の複合線を引っ張る線速は通常の範囲であればよく、例えば出口線速で上流側では50m〜500m/分程度、下流側で500m〜2000m/分程度でよい。
次に溶接ボックス内での工程を図2を参照して詳細に説明する。溶接ボックス32内に送られた、アルミニウム線1上に銅テープ2が管状に形成された状態のアルミニウム線1及び銅テープ2は、銅テープ2が未溶接のまま、溶接前ダイス51に通される。又、この溶接ボックス32内での工程において、銅テープ2の突合せ部は、アルミニウム線1の上側に位置している。
溶接ボックス32内には、矢印Xで示すアルミニウム線1及び銅テープ2進行方向に向かって溶接前ダイス51の後方側に、銅テープ2のアルミニウム線1との接合面に直接アルゴンガスを吹き付けるためのダイス前ノズル6が、銅テープ2の突合せ部に向けて設けられている。ダイス前ノズル6は、特に限定されないが、例えばその先端を銅テープ2と0.1〜5cmの間隔をおいて設けることが出来る。又、ダイス前ノズル6は、溶接前ダイス51に出来るだけ接近させて設けることが好ましい。
又、アルミニウム線1及び銅テープ2進行方向に向かって溶接前ダイス51の前方側にTIGトーチケーブルを経てアルゴンガスが送られるイナートガスノズル71を備えたTIGトーチ7が設置され、イナートガスノズル71は銅テープ2の溶接が行なわれる箇所に向けて設置されている。
そして、ダイス前ノズル51及びイナートガスノズル71から銅テープ2の突合せ部であって溶接が行なわれる箇所の前箇所に直接アルゴンガスを連続して一定量吹き付けることにより、銅テープ2のアルミニウム線1との接合面は、溶接前ダイス51の前で連続して一定量アルゴンガスを直接吹き付けられ、更に、溶接前ダイス51を通過後、溶接の直前まで連続して一定量アルゴンガスを直接吹き付けられる。
更に、溶接ボックス32の上部に、アルゴンガスを吹き付けるための上部ノズル8が、銅テープ2の溶接直前部10、即ち、銅テープ2の溶接が行なわれている箇所の直前部分、具体的には銅テープ2の溶接前ダイス51から銅テープ2の溶接が行なわれている箇所間、に向いて設けられている。そして、上部ノズル8から溶接直前部10にアルゴンガスを連続して一定量吹き付けている。これにより、銅テープ2の溶接直前部10周辺及び溶接直前部10のアルミニウム線1との接合面には、上部ノズル8からも連続して一定量アルゴンガスを吹き付けられる。
又、溶接ボックス32の前、例えば図2に示すように、溶接ボックス32直前に隣接して設けられた成形ボックス31の入り口311の外側、或いは成形ボックス31内に銅テープ2のアルミニウム線1との接合面にアルゴンガスを吹き付けるための溶接ボックス前ノズル9を設け、溶接ボックス32に挿入される前に、銅テープ2が管状に形成される前に、或いは形成される途中で銅テープ2のアルミニウム線1との接合面にアルゴンガスを吹き付けることが好ましい。
このようにして、銅テープ2が管状に形成される前、或いは形成される途中で銅テープ2のアルミニウム線1との接合面にアルゴンガスを吹き付けることで、より効率的に銅テープ2とアルミニウム線1との間の空間の酸素濃度を低減させることが出来る。
このように銅テープのアルミニウム線との接合面に直接充分な量のアルゴンガスを直接吹き付けると共に、溶接直前部にも充分な量のアルゴンガスを吹き付けることにより、銅テープとアルミニウム線との間の空間の酸素を除去すると共に酸素濃度を低濃度で一定に保ち、銅管の裏側、即ち銅テープのアルミニウム線との接合面の酸化を抑制出来、又、銅テープの裏ビードの酸化低減を図ることが出来、銅テープのアルミニウム線との密着性を向上させることが可能となっている。更に、銅とアルミニウムの密着性不良に起因する銅層剥離を抑制することが出来、伸線加工中の断線を抑制することが可能となっている。
このように銅テープのアルミニウム線との接合面にアルゴンガスを吹き付けると共に、溶接直前部にも充分な量のアルゴンガスを吹き付けることにより、溶接ボックス内において、銅テープとアルミニウム線との間の空間を含む溶接直前部の酸素濃度を1.0%未満とすることが好ましい。より好ましくは、酸素濃度を0.7%以下とする。更に好ましくは酸素濃度を0.5%以下とする。更に好ましくは酸素濃度を0.1%以下とする。更に好ましくは酸素濃度を0.01%以下とする。
このように溶接直前部の酸素濃度を1.0%未満とすることにより、より確実に銅テープのアルミニウム線との密着性を向上させることが可能となる。
銅テープとアルミニウム線との間の空間を含む溶接直前部の酸素濃度を1.0%未満とするためには、例えば容積24,035cmの溶接ボックスを使用する場合、アルゴンガスの流量を、イナートガスノズルから15リットル/分、ダイス前ノズルから10リットル/分、上部ノズルと溶接ボックス前ノズルから合わせて10リットル/分とすることで、溶接直前部の酸素濃度を0.7%とすることが出来る。
ここで、上部ノズル8は溶接直前部10を向き、溶接直前部10にアルゴンガスを吹き付けられた状態である必要がある。上部ノズル8を溶接直前部10に向けず、他の方向例えば上方或いは水平方向等他の方向に向けた場合、溶接ボックス32は密閉されていないので、銅テープ2とアルミニウム線1との間の空間を含む溶接直前部10の酸素濃度を一定且つ低く保つことが出来ず、銅テープ2のアルミニウム線1との密着性を向上させることが出来なくなり、或いは、充分な量のアルゴンガス、例えば酸素濃度1.0%未満とするためには極めて多量のアルゴンガスを流す必要があり、アルゴンは高価であるため、低コストを実現できず、高コストとなり、実用的ではなくなるためである。尚、上部ノズルを斜め上方にむけて設置し、上記流量のアルゴンガスを流した場合、溶接直前部の酸素濃度は、1.0%であった。
又、TIG溶接において、不活性ガスとしてはアルゴンガス以外にも窒素ガス等が用いられているが、本発明において用いるガスはアルゴンガスである。窒素ガスの場合には、ブローホールが生じる。
銅テープとアルミニウム線との密着性を評価するために、従来から引張試験片の先端絞り値の測定結果で良否を判断していた。絞りは、絞り率=1−(破断部分の最小径/最初の径)の計算式であらわす事が出来、数値が大きいほど密着性が良好であると判断している。
そこで、線径9.5mmのJIS H2110のアルミニウム純度99.80%以上の純アルミニウムのアルミニウム線、厚さ0.4mmのJIS C1020の銅テープを用いて、成形装置で銅テープにアルミニウム線を縦添えし、アルミニウム線を覆うように、銅テープをアルミニウム線上に樹脂製の板状ダイスにより連続的に管状に成形し、溶接ボックス内で銅テープの突合せ部をTIG(タングステンイナートガス)方式で連続的に溶接し、更に、管状に成形、溶接された銅テープを、ロールにより縮径し、芯材のアルミニウム線を銅テープが覆う線径9.75mmの銅被覆アルミニウム線の複合線を、更に複数のダイスを用いて伸線加工し、順に8.2mm、7.0mm、6.1mm、5.4mmの径まで細線化した銅被覆アルミニウム線を製造した。尚、銅被覆占積率は15%とした。この際、溶接ボックス内の溶接直前部の酸素濃度を、上部ノズルの向きとアルゴンガスの流量を変化させて変化させた。酸素濃度の測定は、0.01%まで測定可能なジルコニア型酸素センサ(新コスモス電機株式会社製 COSMOS XP−3180 GAS1 O)を用い、銅テープの溶接されている箇所から斜め上方10cmの位置にセンサプローブを設置して行なった。溶接直前部を直接測定しない理由は、溶接直前部は加熱されており、センサプローブが破損してしまうからであり、この程度の離間では、酸素濃度の変化は生じないからである。このようにして製造した銅被覆アルミニウム線にJISに規定された金属材料引張試験に則って引張試験を行い、銅テープとアルミニウム線との密着性を測定した。結果を表1及び図3に示す。
Figure 2011031264
表1及び図3から明らかなように、比較例のように溶接直前部の酸素濃度が1%以上であると、絞り率が悪いが、実施例の1%未満から急激に絞り率がよくなり、銅テープとアルミニウム線との密着性が向上することが分かる。特に酸素濃度が0.7%以下になると、絞り率が30%を超え、更に、酸素濃度が0.5%、0.1%、0.01%となるに従い、絞り率が32%、37%、40%となり、銅テープとアルミニウム線との密着性が飛躍的に向上することが分かる。
銅テープとアルミニウム線との密着は、伸線加工により行なわれ、伸線加工中に完了するが、銅テープとアルミニウム線との密着が完了する線径が太いほど、言い換えれば、造管後の加工度が低いほど、銅テープとアルミニウム線との密着性がよい。そこで、酸素濃度による銅被覆アルミニウム線の銅テープとアルミニウム線との密着完了線径との関係について実験を行なった。実験では、密着完了線径と、式、2Ln(加工開始線径/密着完了線径)で示すことが出来る、密着完了時の銅被覆アルミニウム線の加工度を測定した。
実験は、溶接ボックス内の溶接直前部の酸素濃度を変化させて、実施例1と同条件で銅被覆アルミニウム線を複数種製造し、線径9.75mmの銅被覆アルミニウム線の複合線を、複数のダイスを用いて伸線加工し、順に8.2mm、7.0mm、6.1mm、5.4mm、4.78mm、4.21mm、3.7mm、3.26mm、2.87mm、2.53mm、2.01mm、1.60mm、1.42mm、1.13mm、0.90mmの径まで細線化し、夫々の線径において、JISに規定された金属材料引張試験に則って引張試験を行い、引張試験片の破断面を観察して密着完了を判断した。ここで、「密着完了」とは、引張試験片の破断面を観察時にアルミニウム線と銅テープに一切の単独部分、即ちアルミニウム線と銅テープの間の隙間が目視確認されない状態をいう。結果を表2及び図4に示す。
Figure 2011031264
表2及び図4から明らかなように、比較例のように溶接直前部の酸素濃度が1%以上であると、密着完了線径が1.42mm以下、加工度が3.85以上であるが、実施例の酸素濃度が0.5%以下であると、密着完了線径が1.60mm以上、加工度が3.62以下となり、実施例のように酸素濃度が1%未満であると、銅テープとアルミニウム線との密着が完了する線径が太くなり、言い換えれば、造管後の加工度が低くなり、銅テープとアルミニウム線との密着性が向上することが分かる。特に酸素濃度が0.5%以下になると、密着完了線径が1.6mm以上となり、更に、酸素濃度が0.1%、0.01%となるに従い密着完了線径が2.01mm、2.53mmとなり、銅テープとアルミニウム線との密着性が飛躍的に向上することが分かる。
実施例1及び2により、造管加工時の溶接ボックス内の溶接直前部の酸素濃度を1%未満とすると、銅テープとアルミニウム線との密着性が向上することが証明されたので、次に、この密着性の向上と伸線製出量(断線頻度)の改善との関係について実験を行なった。ここで、伸線製出量とは、断線1回当りに伸線可能であった重量を意味し、数値が大きいほうが、断線がなく、伸線加工性がよいことを示す。
実験は、溶接ボックス内の溶接直前部の酸素濃度を変化させて、実施例1と同条件で銅被覆アルミニウム線を複数種製造し、線径9.75mmの銅被覆アルミニウム線の複合線を、複数のダイスを用いて伸線加工し、順に8.2mm、7.0mm、6.1mm、5.4mm、4.78mm、4.21mm、3.7mm、3.26mm、2.87mm、2.53mm、2.01mm、1.60mm、1.42mm、1.13mm、0.90mmの径まで無断線で細線化した後、線径0.90〜0.135mmまで伸線する過程での伸線製出量を比較した。結果を表3及び図5に示す。
Figure 2011031264
表3及び図5から明らかなように、比較例のように溶接直前部の酸素濃度が1%以上であると、伸線製出量が極めて悪いが、実施例の1%未満から急激に伸線製出量がよくなることが分かる。特に酸素濃度が0.5%では、伸線製出量が2.83トン/回と、1%の0.643トン/回と比較して、約4.4倍となり、0.05%では、伸線製出量が4.87トン/回と、1%の0.643トン/回と比較して、約7.6倍となり、伸線製出量が飛躍的に向上することが分かる。
1 アルミニウム線
2 銅テープ
31 成形ボックス
32 溶接ボックス
4 銅被覆アルミニウム線の複合線
6 ダイス前ノズル
7 TIGトーチ
71 イナートガスノズル
8 上部ノズル
9 溶接ボックス前ノズル

Claims (4)

  1. 純アルミニウム又はアルミニウム合金を主導体として用い、当該主導体の外周に銅を被覆した銅被覆アルミニウム線の製造において、アルミニウム線に銅テープを縦添え成形した後、溶接ボックス内で銅テープの突合せ部のTIG溶接を行なう工程において、アルミニウム線及び銅テープ進行方向に向かって、溶接前ダイスの後方側に設置したダイス前ノズルから、銅テープのアルミニウム線との接合面に直接アルゴンガスを吹き付けると共に、TIGトーチに備えたイナートガスノズルから、銅テープのアルミニウム線との接合面に直接アルゴンガスを吹き付け、更に、溶接ボックスの上部に設置した上部ノズルから、銅テープの溶接直前部にアルゴンガスを吹き付けることを特徴とする銅被覆アルミニウム線の製造方法。
  2. 前記溶接ボックスに進入する前において、銅テープのアルミニウム線との接合面にアルゴンガスを吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の銅被覆アルミニウム線の製造方法。
  3. 前記溶接直前部の酸素濃度を1.0%未満としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の銅被覆アルミニウム線の製造方法。
  4. 前記溶接直前部の酸素濃度を0.5%以下としたことを特徴とする請求項1から3のうち何れか1項に記載の銅被覆アルミニウム線の製造方法。
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