JP2008212947A - 複合材の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低い加工度で、接合性の良好な複合材を得ることができる複合材の製造方法および製造装置を提供するものである。
【解決手段】本発明に係る複合材の製造方法は、異種金属板1A〜1Cの接合面を重ね合わせ、その重ね合わせた異種金属板1A〜1Cを冷間圧延接合して複合材10を製造する方法であり、異種金属板1A〜1Cを、酸素濃度を100ppm以下にした不活性ガス25の雰囲気に通すと共に、その不活性ガス25の雰囲気で各接合面の活性化処理を行った後、これら異種金属板1A〜1Cを重ね合わせると共に冷間圧延接合を行うものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る複合材の製造方法は、異種金属板1A〜1Cの接合面を重ね合わせ、その重ね合わせた異種金属板1A〜1Cを冷間圧延接合して複合材10を製造する方法であり、異種金属板1A〜1Cを、酸素濃度を100ppm以下にした不活性ガス25の雰囲気に通すと共に、その不活性ガス25の雰囲気で各接合面の活性化処理を行った後、これら異種金属板1A〜1Cを重ね合わせると共に冷間圧延接合を行うものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、複合材の製造方法および製造装置に関するものである。
冷間圧延により、金属材同士をクラッドし、複合材(クラッド材)を製造する方法として、(1)圧延一回当たりに50%以上の加工度を加える方法、(2)イオンミリング法(特許文献1)、(3)極低圧不活性ガス中クラッド(特許文献2)、(4)真空中クラッド(特許文献3)等が挙げられる。
ここで、(3)の極低圧不活性ガス中クラッドは、10〜1.0×10-2Paの極低圧不活性ガス中で、接合材の接合面をスパッタエッチングすることで、活性化する方法である。また、(4)の真空中クラッドは、真空度1.33×10-4〜1.33×10-1Pa(1×10-6〜10-3Torr)の真空槽内で、イオンエッチング法により活性化処理を行い、接合させる方法である。
前述した(1)については、ワイヤーブラシを使用した研磨により、接合面の清浄化を実施しても、表面が酸化し易い材料では、研磨直後に再び酸化が起こり、一回当たり60%程度の高い加工度が必要となり、高い圧延荷重が必要となる。このため、幅の広いクラッド材を製造する場合、高い圧延荷重を有する高価な圧延機が必要となる。また、金属材を大きく変形させることにより、クラッド材の接合界面形状が不均一となるおそれがあり、クラッド後の加工に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、(2)についても、圧延に要する圧延率が50%と高く、(1)と同様の理由で高価な圧延機が必要となる。また、イオンビームガンも高価であるため、装置設備として非常に高価なものとなる。さらに、イオンビーム径が最大でも20cmと小さく、広幅材の製造には適していない。
さらに、(3),(4)とも、チャンバー内での処理のため量産には適しておらず、特に(4)は高真空を必要とするため、装置が高価なものとなる。
そこで本発明の目的は、低い加工度で、接合性の良好な複合材を得ることができる複合材の製造方法および製造装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、異種金属板の接合面を重ね合わせ、その重ね合わせた異種金属板を冷間圧延接合して複合材を製造する方法において、上記異種金属板を、酸素濃度を100ppm以下にした不活性ガス雰囲気に通すと共に、その不活性ガス雰囲気で各接合面の活性化処理を行った後、これら異種金属板を重ね合わせると共に冷間圧延接合を行うことを特徴とする複合材の製造方法である。
請求項2の発明は、活性化処理する上記異種金属板を重ね合わせて本体ガス室内に送り込むと共に、各異種金属板を本体ガス室内で相互に分離し、それらの各接合面を金属製のブラシで研磨して活性化処理した後、これらの異種金属板を重ね合わせて本体ガス室から送り出すと共に、これらを冷間圧延接合する請求項1記載の複合材の製造方法である。
請求項3の発明は、上記本体ガス室内の不活性ガス雰囲気を陽圧とし、上記異種金属板を本体ガス室内に送り込む送り込み口および異種金属板を本体ガス室から送り出す送り出し口から不活性ガスを吹き出す請求項1又は2記載の複合材の製造方法である。
請求項4の発明は、上記冷間圧延接合時の加工度が50%以下である請求項1から3いずれかに記載の複合材の製造方法である。
請求項5の発明は、異種金属板を送り出す送り出し装置と、送り出された各異種金属板の接合面に活性化処理を行う活性化処理装置と、活性化処理後の各異種金属板の接合面を重ね合わせて冷間圧延接合を行う圧延機と、圧延され、複合化された複合材を巻き取る巻き取り装置とを有する複合材の製造装置において、上記活性化処理装置が、内部が密閉空間となる本体ガス室と、その本体ガス室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、本体ガス室の上記各異種金属板が送り込まれる送り込み口に設けられ、各異種金属板を重ね合わせる第1重合ローラ及び各異種金属板を相互に分離させる分離ローラと、本体ガス室の各異種金属板が送り出される送り出し口に設けられ、各異種金属板を重ね合わせる第2重合ローラとを備えたことを特徴とする複合材の製造装置である。
本発明は、異種金属板を50%以下という低い加工度で冷間圧延接合しても、安価に、良好な接合強度の複合材を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
本発明の好適一実施の形態に係る複合材の製造方法を、図1に示す製造装置を用いて説明する。
図1に示すように、送り出しリール2A〜2Cに巻かれた被クラッド材(異種金属板)1A〜1Cを送り出した後、脱脂を目的とした洗浄槽3A〜3Cに通して洗浄する。
洗浄後の被クラッド材1A〜1Cを、活性化処理装置に送り込む。より具体的には、被クラッド材1A〜1Cを、材料入口(送り込み口)4を通して本体ガス室5内に送り込む。被クラッド材1A〜1Cを本体ガス室5内に送り込む際に、本体ガス室5の材料入口4に設けられた第1重合ローラ12により重ね合わせる。本体ガス室5には、不活性ガス供給手段11からポンプを介して酸素濃度を100ppm以下にした不活性ガス25が供給され、本体ガス室5内は不活性ガス25で満たされ陽圧に保たれており、材料入口4からは本体ガス室5内の不活性ガス25が外側へ向かって吹き出しており、大気の流入を防いでいる。不活性ガス25の酸素濃度は好ましくは50ppm以下である。
重ね合わせた被クラッド材1A〜1Cが材料入口4を完全に通過する際に、材料入口4に設けられた分離ローラ13により被クラッド材1A〜1Cを相互に分離する。相互に分離された被クラッド材1A〜1Cの各接合面をステンレス鋼製のワイヤーブラシ6A〜6Hで研磨し、活性化処理を行う。
活性化処理された被クラッド材1A〜1Cを、本体ガス室5の材料出口(送り出し口)7を通して本体ガス室5から送り出す。この本体ガス室5から送り出す際に、材料出口7に設けられた第2重合ローラ14により被クラッド材1A〜1Cを再び重ね合わせ、この状態のままクラッド圧延機ロール8へ送り込む。この時、図2に示すように、材料出口7からは本体ガス室5内の不活性ガス25が、重ね合わせた被クラッド材1A〜1Cに沿って外側へ向かって吹き出しており、被クラッド材1A〜1Cを不活性ガスでシールドしている。
重ね合わせ、不活性ガスでシールドされた被クラッド材1A〜1Cをクラッド圧延機ロール8で冷間圧延接合してクラッド材10とし、このクラッド材10を巻取機9に巻き取る。
材料入口4、材料出口7から吹き出された不活性ガスは、適宜回収し、再度本体ガス室5内に供給するようにしてもよい。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係る複合材の製造装置では、被クラッド材1A〜1Cの接合面を、活性化処理装置からクラッド圧延機ロール8の入口近傍までの間、材料入口4及び材料出口7を除いて本体ガス室5で覆っている。そして、この本体ガス室5内は不活性ガス25で満たされ陽圧に保持されていることから、材料入口4及び材料出口7から、不活性ガス25が本体ガス室5の外に向かって常時吹き出している。
この時、被クラッド材1A〜1Cを重ね合わせた状態で、本体ガス室5内に送り込むと共に本体ガス室5から送り出しているので、材料入口4及び材料出口7における各開口箇所は1箇所だけである。このため、本体ガス室5の内圧をそれ程大きくしなくても、大気が本体ガス室5内に流入するのを容易に防ぐことができると共に、不活性ガス25の酸素濃度を100ppm以下に保持することができる。特に、材料出口7においては、重ね合わせた被クラッド材1A〜1Cに沿って不活性ガス25を吹き出しているため、被クラッド材1A〜1Cが、材料出口7から出てクラッド圧延機ロール8に入るまでの間、不活性ガス25でガスシールドされ、大気と接触しなくなることから、接合面の酸化を防止することができる。
このように、被クラッド材1A〜1Cを、活性化処理後すぐに各接合面の酸化を防止した状態でクラッド圧延機ロール8に送り込んでいるため、50%以下、好ましくは30%以下という低い加工度で冷間圧延接合を行っても、良好な接合強度を得ることができる。よって、低い圧延荷重で冷間圧延接合を行うことができ、幅広のクラッド材10を製造する場合においても高価な圧延機を必要としない。また、被クラッド材1A〜1Cを大きく変形させる必要がないため、クラッド材10の接合界面形状が不均一となるおそれはなく、クラッド後のクラッド材10の加工に悪影響を及ぼすおそれもない。
また、本体ガス室5内における不活性ガス25は陽圧に保持されており、前述した特許文献2,3記載の方法のように、本体ガス室5内を極低圧や真空に保持する必要が無いので、チャンバーは不要であり、量産に適していると共に装置も安価となる。
(実施例1)
厚さ0.1mmのCu板(第1被クラッド材)と、厚さ0.1mmのステンレス鋼板(第2被クラッド材)を準備し、図1に示した製造装置を用いて、各被クラッド材の接合面を、酸素濃度が3ppmのアルゴンガス(不活性ガス)雰囲気下で活性化処理した。その後、第1,第2被クラッド材の接合面を重ね合わせ、アルゴンガスでガスシールドしながら加工度(圧下率)30%でクラッド圧延し、クラッド材を作製した。
(実施例2)
不活性ガスを窒素とし、実施例1と同様にして、クラッド材を作製した。
(実施例3)
酸素濃度を30ppmとし、実施例2と同様にして、クラッド材を作製した。
(実施例4)
酸素濃度を100ppmとし、実施例2と同様にして、クラッド材を作製した。
(比較例1)
厚さ0.175mmのCu板(第1被クラッド材)と、厚さ0.175mmのステンレス鋼板(第2被クラッド材)の各接合面を、酸素濃度が1000ppm超の大気下で活性化処理した。その後、第1,第2被クラッド材の接合面を重ね合わせ、加工度60%でクラッド圧延し、クラッド材を作製した。
(比較例2)
Cu板の厚さを0.1mm、ステンレス鋼板の厚さを0.1mm、加工度を30%とし、比較例1と同様にして、クラッド材を作製した。
(比較例3)
酸素濃度を200ppmとし、実施例1と同様にして、クラッド材を作製した。
厚さ0.1mmのCu板(第1被クラッド材)と、厚さ0.1mmのステンレス鋼板(第2被クラッド材)を準備し、図1に示した製造装置を用いて、各被クラッド材の接合面を、酸素濃度が3ppmのアルゴンガス(不活性ガス)雰囲気下で活性化処理した。その後、第1,第2被クラッド材の接合面を重ね合わせ、アルゴンガスでガスシールドしながら加工度(圧下率)30%でクラッド圧延し、クラッド材を作製した。
(実施例2)
不活性ガスを窒素とし、実施例1と同様にして、クラッド材を作製した。
(実施例3)
酸素濃度を30ppmとし、実施例2と同様にして、クラッド材を作製した。
(実施例4)
酸素濃度を100ppmとし、実施例2と同様にして、クラッド材を作製した。
(比較例1)
厚さ0.175mmのCu板(第1被クラッド材)と、厚さ0.175mmのステンレス鋼板(第2被クラッド材)の各接合面を、酸素濃度が1000ppm超の大気下で活性化処理した。その後、第1,第2被クラッド材の接合面を重ね合わせ、加工度60%でクラッド圧延し、クラッド材を作製した。
(比較例2)
Cu板の厚さを0.1mm、ステンレス鋼板の厚さを0.1mm、加工度を30%とし、比較例1と同様にして、クラッド材を作製した。
(比較例3)
酸素濃度を200ppmとし、実施例1と同様にして、クラッド材を作製した。
実施例1〜4及び比較例1〜3の各クラッド材について剥離試験を行い、剥離強度を測定した。その結果を表1に示す。
剥離強度の評価方法は、図3に示すように、クラッド材を幅10mmに切り出し、クラッド材を構成する第1及び第2被クラッド材21,22を上下方向に一定の速度で引張り、剥離に要する荷重を剥離強度(N/10mm)とした。表1の剥離強度の欄における不等号「<」は、表示した剥離強度以上でどちらかの被クラッド材が破断したことを示している。
表1に示すように、実施例1〜4の各クラッド材では、加工度を30%に低減して製作しても、比較例1に示す従来のクラッド条件(大気中での接合面研磨後に、加工度60%でクラッド圧延)で製作したクラッド材と同等の剥離強度を得ることができた。
また、実施例1〜4の各クラッド材は、比較例2に示す大気中、加工度30%の条件で製作したクラッド材、比較例3に示す酸素濃度200ppmの条件で製作したクラッド材と比較して、高い剥離強度、すなわち接合強度を得ることができた。
1A〜1C 被クラッド材(異種金属板)
10 クラッド材(複合材)
25 不活性ガス
10 クラッド材(複合材)
25 不活性ガス
Claims (5)
- 異種金属板の接合面を重ね合わせ、その重ね合わせた異種金属板を冷間圧延接合して複合材を製造する方法において、上記異種金属板を、酸素濃度を100ppm以下にした不活性ガス雰囲気に通すと共に、その不活性ガス雰囲気で各接合面の活性化処理を行った後、これら異種金属板を重ね合わせると共に冷間圧延接合を行うことを特徴とする複合材の製造方法。
- 活性化処理する上記異種金属板を重ね合わせて本体ガス室内に送り込むと共に、各異種金属板を本体ガス室内で相互に分離し、それらの各接合面を金属製のブラシで研磨して活性化処理した後、これらの異種金属板を重ね合わせて本体ガス室から送り出すと共に、これらを冷間圧延接合する請求項1記載の複合材の製造方法。
- 上記本体ガス室内の不活性ガス雰囲気を陽圧とし、上記異種金属板を本体ガス室内に送り込む送り込み口および異種金属板を本体ガス室から送り出す送り出し口から不活性ガスを吹き出す請求項1又は2記載の複合材の製造方法。
- 上記冷間圧延接合時の加工度が50%以下である請求項1から3いずれかに記載の複合材の製造方法。
- 異種金属板を送り出す送り出し装置と、送り出された各異種金属板の接合面に活性化処理を行う活性化処理装置と、活性化処理後の各異種金属板の接合面を重ね合わせて冷間圧延接合を行う圧延機と、圧延され、複合化された複合材を巻き取る巻き取り装置とを有する複合材の製造装置において、上記活性化処理装置が、内部が密閉空間となる本体ガス室と、その本体ガス室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、本体ガス室の上記各異種金属板が送り込まれる送り込み口に設けられ、各異種金属板を重ね合わせる第1重合ローラ及び各異種金属板を相互に分離させる分離ローラと、本体ガス室の各異種金属板が送り出される送り出し口に設けられ、各異種金属板を重ね合わせる第2重合ローラとを備えたことを特徴とする複合材の製造装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-02-28 JP JP2007049774A patent/JP2008212947A/ja active Pending
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