JP2011027314A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各室外機に流入する冷媒量が互いに干渉して均液処理が遅れてしまうことを抑制することができる空気調和装置を得る。
【解決手段】圧縮機2、室外熱交換器4及びアキュームレーター6から少なくとも構成される室外機1を複数有する空気調和装置において、室外熱交換器4に流入する冷媒量を調整する複数の流量調整弁5と、室外熱交換器4のそれぞれの出口側の過熱度が所定値以下となり、かつ圧縮機2のそれぞれの吐出過熱度の差が所定の範囲内となるように、流量調整弁5を制御する制御装置14,23と、を備えるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数台の室外機を有する空気調和装置に関するものであり、特に均液・余剰冷媒処理に関するものである。
空気調和装置の大容量化に応じるため、複数の室外機と複数の室内機と共通のガス管と共通の液管とにより構成される空気調和機が開発されている。この種の空気調和装置としては、例えば、圧縮機回転数、ファン回転数、室外機流量制御弁の開度等により冷媒循環量を制御することで、各室外機のアキュームレーター(気液分離器)を均液管で接続することなく暖房時の均液・余剰冷媒処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、この種の空気調和装置としては、例えば、均液・余剰冷媒処理を実施するため、圧縮機等における過熱度を目標として室外機の流量調整弁の開度を制御するものもある(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献1に記載の空気調和装置では、暖房時における均液・余剰冷媒処理のために、圧縮機回転数、ファン回転数、室外機流量制御弁の開度等を制御している。そして、複数台の室外機への流量分配を制御して、室外機熱交換器の出口側の過熱度が各室外機ともに等しくなるようにしている。このため、特許文献1に記載の空気調和装置には、以下のような問題があった。
(1)室外機の出口側の過熱度において絶対値の目標値を定めないため、例えば室外機内の冷媒が高乾き度となり、室外機の能力が低下する恐れがある。また、例えば室外機内の冷媒が過度の湿り状態となり、アキュームレーター内に溜まった冷媒がオーバーフローすることで、圧縮機(室外機)の信頼性を損なう恐れがある。また、過熱度合わせの冷媒流量調整と、室内機側の負荷変動に応じた冷媒流量制御との対応がとれず、結果として追従できなかったり、時間を要する場合がある。そして、最悪の場合、1台の室外機にすべての余剰冷媒が溜まろうとしてしまうことが起こり得るため、それに備えようとすると各室外機のアキュームレーターの容積を十分に大きくしておく必要がある。
(2)アキュームレーターに設けた液面検知器により冷媒流量を制御するようにしているが、液面検知器のコスト・生産性・信頼性を考慮すれば、アキュームレーターの容積を十分大きくして液冷媒をオーバーフローさせない方が現実的である。しかし、これは室外機(空気調和装置)のコンパクト化、低コスト化が要求される現状と合致しない。
また、例えば特許文献2や特許文献3に記載の空気調和装置では、室外機の流量調整弁の開度を制御するとしても、アキュームレーターが起動時の液バック等の保護に使われている。このため、余剰冷媒処理のためにはさらにレシーバを併せて設ける必要があるため、空気調和装置が高コストとなる。
これらの問題点を解消するため、例えば「圧縮機2a、2b、室外熱交換器4a、4b及びアキュームレータ5a、5bから少なくとも構成される複数の室外機1a、1bを有する空気調和器において、共通の液配管11と各室外機1a、1bの各室外熱交換器4a、4bとの間に、各室外機1a、1bに流入する冷媒量を調整するための流量調整弁5a、5bをそれぞれ備え、また、各室外機1a、1bの室外熱交換器4a、4bの出口側の過熱度をある値を上限とする範囲内に収めるように、かつ、圧縮機2a、2bの吐出過熱度を一定の範囲内に収めるように、各流量調整弁5a、5bの開度をそれぞれ調整する制御装置14(室外流量制御手段34)を備えるものである。」(例えば特許文献4参照)というものが提案されている。
特開平11−142010号公報(第1−6,10,11頁、図1−8,13) 特開平8−200869号公報(第5−12頁、図1) 特開2005−121361号公報(第4−9頁、図1) 特開2007−225264号公報(要約、図1)
例えば特許文献4に示す従来の空気調和装置は、各々の室外機における圧縮機の吐出過熱度に基づいて、各々の室外機の室外熱交換器に接続された流量調整弁の開度が調整される。これにより、各室外機のアキュムレーターに貯留される冷媒量がほぼ均一になるように制御している。つまり、各室外機のアキュムレーターに貯留される冷媒量の調整は、他の室外機の冷媒量を考慮せずに行われている。このため、アキュムレーターに貯留されている冷媒量が異なる複数の室外機において、これらの室外機のアキュムレーターに貯留される冷媒量を共に増加させようと、これらの室外機の室外熱交換器に接続された流量調整弁の開度が共に大きく調整される場合がある。したがって、各室外機に流入する冷媒量が互いに干渉し、均液処理が遅れてしまうという課題があった。
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、各室外機に流入する冷媒量が互いに干渉して均液処理が遅れてしまうことを抑制することができる空気調和装置を得ることを目的とする。
本発明に係る空気調和装置は、圧縮機、室外熱交換器及びアキュームレーターから少なくとも構成される室外機を複数有する空気調和装置において、前記室外熱交換器に流入する冷媒量を調整する複数の流量調整弁と、前記室外熱交換器のそれぞれの出口側の過熱度が所定値以下となり、かつ前記圧縮機のそれぞれの吐出過熱度の差が所定の範囲内となるように、前記流量調整弁を制御する制御装置と、を備えるものである。
本発明においては、室外熱交換器のそれぞれの出口側の過熱度が所定値以下となり、圧縮機のそれぞれの吐出過熱度の差が所定の範囲内となるように、前記流量調整弁を制御している。このため、アキュムレーターに貯留されている冷媒量が異なる複数の室外機において、これらの室外機のアキュムレーターに貯留される冷媒量を共に増加させる状況であっても、各室外機に流入する冷媒量が互いに干渉して均液処理が遅れてしまうことを抑制することができる。
本発明の実施の形態に係る空気調和装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置の冷房運転における構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置の暖房運転における構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る空気調和装置における凝縮器から蒸発器までの冷媒状態を示すモリエル線図である。 本発明の実施の形態に係る空気調和装置における流量調整弁の開度を変化させた際の室外機の状態を表す特性図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置が行う制御処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る室外機1a,1bの状態を判断するための特性図である。 本発明の実施の形態に係る流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定するための特性図である。
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置を示す構成図である。以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここでは室外機が2台、室内機が2台接続されているものとして説明する。
本実施の形態に係る空気調和装置は、2台の室外機1a,1b、及び2台の室内機8c,8d等から構成されている。室外機1a,1bのそれぞれには、ガス分岐管19a,19bと、液分岐管20a,20bと、が接続されている。ガス分岐管19aとガス分岐管19bとは、接続点13において接続されている。液分岐管20aと液分岐管20bとは、接続点12において接続されている。また、室内機8c,8dのそれぞれには、ガス枝管21c,21dと、液枝管22c,22dとが、接続されている。ガス枝管21c,21dは、共通ガス配管7を介してガス分岐管19a,19bと接続されている。液枝管22c,22dは、共通液配管11を介して液分岐管20a,20bと接続されている。
なお、本実施の形態では、以上の管を含め、主に液(気液二相の場合も含む)が通過する管を液管とし、主にガスが通過する管をガス管というものとする。また、室外機1a,1bとガス分岐管19a,19b及び液分岐管20a,20bとの接続関係、室内機8c,8dとガス枝管21c,21d及び液枝管22c,22dとの接続関係の詳細については後述する。
室外機1a,1bは、圧縮機2a,2b、流路切り替え弁である四方弁3a,3b、室外熱交換器4a,4b、流量調整弁5a,5b、アキュムレーター6a,6b、及び制御装置14a,14b(詳細は後述する)等から構成されている。
圧縮機2a,2bは、その吸入側が、アキュムレーター6a,6bと接続されており、その吐出側が四方弁3a,3bと接続されている。四方弁3a,3bのその他の接続口は、室外熱交換器4a,4bの一方の端部、アキュムレーター6a,6b及びガス分岐管19a,19bと接続されている。つまり、四方弁3a,3bの流路を切り替えることにより、圧縮機2a,2bと室外熱交換器4a,4bとを接続する流路(冷房運転時の冷媒流路)と、圧縮機2a,2bとガス分岐管19a,19bとを接続する流路(暖房運転時の冷媒流路)と、が切り替えられる。
室外熱交換器4a,4bの他方の端部は、液分岐管20a,20bと接続されている。この液分岐管20a,20bには、室外熱交換器4a,4bへ流入する冷媒の量を調整する流量調整弁5a,5bが設けられている。
なお、本実施の形態では流路切り替え弁として四方弁3a,3bを用いたが、例えば複数の二方弁で流路切り替え弁を構成してもよい。また、例えば暖房運転のみを行う空気調和装置であれば、流路切り替え弁を設ける必要はない。また、本実施の形態では室外機1a,1bの内部に流量調整弁5a,5bが設けられているが、流量調整弁5a,5bは室外機1a,1bの外部に設けられてもよい。
室内機8c,8dは、室内熱交換器9c,9d、膨張弁10c,10d、及び制御装置23c,23d(詳細は後述する)等から構成されている。室内熱交換器9c,9dは、一方の接続口がガス枝管21c,21dと接続されており、他方の接続口が膨張弁10c,10dと接続されている。また、膨張弁10c,10dは、液枝管22c,22dとも接続されている。
ここで、圧縮機2a,2bは、例えばインバーター回路を有しており、インバーター回路から供給される電力の周波数により回転数が制御され、容量制御が行われるタイプである。また、流量調整弁5a,5b及び膨張弁10c,10dは、例えば開度が可変に制御される電子膨張弁である。これらの制御は、前述した制御装置14a,14b、23c及び23dが行う。
また、本実施の形態に係る空気調和装置には、圧力センサーや温度センサーが複数設けられている。
圧力センサー15a,15bは、圧縮機2a,2bの吐出側に設けられており、圧縮機2a,2bから吐出された冷媒の圧力を計測する。圧力センサー16a,16bは、圧縮機2a,2bの吸入側に設けられており、圧縮機2a,2bが吸入する冷媒の圧力を計測する。
温度センサー17a,17bは、圧縮機2a,2bの吐出側に設けられており、圧縮機2a,2bから吐出された冷媒の温度(又はこの冷媒が流れる配管の温度)を計測する。温度センサー18a,18bは、室外熱交換器4a,4bと四方弁3a,3bとの間(室外熱交換器4a,4bのガス側出口)に設けられており、室外熱交換器4a,4bから流出した冷媒の温度(又はこの冷媒が流れる配管の温度)を計測する。
前述のように、室外機1a,1b、室内機8c,8dには、例えばマイクロコンピューターで構成された制御装置14a,14b,23c,23dがそれぞれ設けられており、圧力センサー15a,15b、圧力センサー16a,16b、温度センサー17a,17b、温度センサー18a,18bが検出したデーター、空気調和装置の使用者からの運転内容(負荷要求)の指示等に基づいて、圧縮機2a,2bの運転(起動、停止等)、四方弁3a,3bの流路切り替え、室外熱交換器4a,4bにおける熱交換量、膨張弁10c,10dの開度、流量調整弁5a,5bの開度等を制御する。そして、制御装置14a,14b,23c,23dの各々は、例えば各種データー等を互いに送受信できるものとする。
なお、以下では、各制御装置14a,14bの制御をまとめて説明する場合、制御装置14として説明する。また、各制御装置23c,23dの制御をまとめて説明する場合、制御装置23として説明する。ここでは各制御装置14a,14b,23c,23dを各室外機1a,1b、室内機8c,8dに分けて設置しているが、一箇所にまとめて設置してもよい。また、制御装置14a,14b,23c,23dを1つの制御装置として構成してもよい。制御装置14,23の機能を実行する内部構成については後述する。
次に、この空気調和装置での運転動作について説明する。まず冷房運転時の動作について説明する。四方弁3a,3bは、図1の実線方向に管が接続される。また、流量調整弁5a,5bは全開又は全開に近い状態、膨張弁10c,10dは適度な開度に設定される。この場合の冷媒の流れは以下のようになる。
圧縮機2a,2bから吐出された高圧高温ガスの冷媒は、四方弁3a,3bを通り、室外熱交換器4a,4bで凝縮、液化され、流量調整弁5a,5bを通る。このとき、流量調整弁5a,5bは全開又は全開に近い状態となっているので、流量調整弁5a,5bを通過する冷媒は、さして減圧することなく高圧の液冷媒として共通液配管11に供給される。その後、共通液配管11に供給された高圧の液冷媒は、室内機8c,8d内に入り、膨張弁10c,10dで減圧されて低圧二相冷媒となる。膨張弁10c,10dで減圧された低圧二相冷媒は、室内熱交換器9c,9dで蒸発、ガス化し、共通ガス配管7、四方弁3a,3b、アキュムレーター6a,6bを通り、圧縮機2a,2bに吸入される。
図2は、冷房運転における制御装置14及び制御装置23の構成を示す図である。次にこの空気調和装置での制御装置14及び制御装置23により行われる、冷房運転時の制御動作について説明する。
なお、制御装置14及び制御装置23を構成する各制御手段は、制御装置14に設けられていてもよいし、制御装置23に設けられていてもよい。このため、図4では、制御装置14及び制御装置23を区別することなく示している。
本実施の形態に係る空気調和装置は、制御装置14又は制御装置23に、圧縮機制御手段30、室外熱交換量制御手段31、室内過熱度制御手段32、室外流量制御手段33、及び室内過冷却度制御手段34を備えている。なお、冷房運転時の制御動作の説明を容易とするため、図2には、冷房運転時の制御に必要な圧縮機制御手段30、室外熱交換量制御手段31、室内過熱度制御手段32及び室外流量制御手段33を示す。このため、暖房運転時の制御に必要な室内過冷却度制御手段34は、図3(暖房運転時の制御動作の説明)で後述する。
冷房運転では室内熱交換器9c,9dが蒸発器となる。このため、室内熱交換器9c,9dで所定の熱交換能力が発揮されるように蒸発温度(蒸発器の二相冷媒温度)が設定され、この蒸発温度を実現する圧力の値を低圧目標値として設定する。そして、圧縮機制御手段30はインバーター回路による圧縮機2a,2bの回転数制御を行う。圧縮機2a,2bの運転容量は圧力センサー16a,16bで計測される圧力が定められた目標値、例えば飽和温度10℃に相当する圧力となるよう制御される。圧縮機2a,2bの回転数制御により凝縮温度(凝縮器の二相冷媒温度)も変化する。このため、室外機1a,1b(圧縮機2a,2b)の性能、信頼性を確保するために、凝縮温度として一定の範囲が設定され、この凝縮温度を実現する圧力の値を高圧目標値として設定する。
また、圧縮機制御手段30と室外熱交換量制御手段31とにより、圧力センサー15a,15bで計測される圧力が目標範囲内になるよう、室外熱交換器4a,4bとの伝熱媒体である空気を搬送するファンの回転数が制御される。ファンの回転数は、室外熱交換器4a,4bの熱交換量や室内熱交換器9c,9dの熱交換量から予め定められた状態を元に制御される。なお、室外熱交換器4a,4bとの伝熱媒体が水等の場合、圧縮機制御手段30と室外熱交換量制御手段31とにより、圧力センサー15a,15bで計測される圧力が目標範囲内になるよう、水等を搬送するポンプの流量が制御される。
また、室内過熱度制御手段32により、室内熱交換器9c,9dの出口の過熱度が目標(温度)値となるよう、膨張弁10c,10dの開度が制御される。この目標値としては、予め定められた目標値、例えば5℃を用いる。目標となる出口過熱度に制御することで、室内熱交換器9c,9d内において二相状態の冷媒が占める割合を好ましい状態に保つことができる。
また、室外流量制御手段33により、流量調整弁5a,5bは、予め定められた初期開度、例えば全開又は全開に近い開度に制御される。
本実施の形態では、圧縮機制御手段30、室外熱交換量制御手段31及び室外流量制御手段33は各室外機1a,1bにある制御装置14a,14bに設けられ、室内過熱度制御手段32は室内機8c,8dの制御装置23c,23dに設けられている。
次に、暖房運転時の動作について説明する。四方弁3a,3bは、図1の破線方向に管が接続される。流量調整弁5a,5bの開度は、室外機内の冷媒分布状態が各室外機で同様になり、なおかつ流量調整弁5a,5bの前後で適度な差圧が生じるように、予め設定される。この場合に冷媒の流れは次のようになる。
圧縮機2a,2bから吐出された高圧高温ガスの冷媒は四方弁3a,3bを通り共通ガス配管7に流入する。共通ガス配管7を通り室内機8に供給されたガス冷媒は室内機8c,8d内の室内熱交換器9c,9dで凝縮、液化された後、膨張弁10c,10dで減圧され、中間圧で液飽和状態に近い二相冷媒となる。中間圧の冷媒は共通液配管11を通った後、室外機1a,1bに分配され室内機1a,1bに流入する。このとき、各室外機1a,1bの冷媒流量を流量調整弁5a,5bで適度に調節しているため、流量調整弁5a,5bを通った冷媒は低圧二相状態となる。低圧二相状態となった冷媒は室外熱交換器4a,4bで蒸発し、ガス化した後、アキュムレーター6a,6bを通り、圧縮機2a,2bに吸入される。
図3は、暖房運転における制御装置14及び制御装置23の構成を示す図である。次にこの空気調和装置での制御装置14及び制御装置23により行われる、暖房運転時の制御動作について説明する。
なお、制御装置14及び制御装置23を構成する各制御手段は、制御装置14に設けられていてもよいし、制御装置23に設けられていてもよい。このため、図3では、制御装置14及び制御装置23を区別することなく示している。また、図3には、暖房運転時の制御に必要な制御手段を示している。
暖房運転では室内熱交換器9c,9dが凝縮器となる。このため、室内熱交換器9c,9dで所定の熱交換量が発揮されるように凝縮温度が設定され、この凝縮温度を実現する高圧の圧力値を高圧目標値として設定する。そして、圧縮機制御手段30はインバーター回路による圧縮機2a,2bの回転数制御を行う。圧縮機2a,2bの運転容量は圧力センサー15a,15bで計測される高圧の圧力値が定められた目標値、例えば飽和温度50℃に相当する圧力になるよう制御される。圧縮機2a,2bの回転数制御により、室外熱交換器4a,4bの蒸発温度も変化する。このため、室外機1a,1b(圧縮機2a,2b)の性能、信頼性を確保するために、蒸発温度として一定の範囲が設定され、この蒸発温度を実現する圧力の値を低圧目標値として設定する。
また、圧縮機制御手段30と室外熱交換量制御手段31とにより、圧力センサー16a,16bで計測される圧力が目標範囲内になるよう、室外熱交換器4a,4bとの伝熱媒体である空気を搬送するファンの回転数が制御される。ファンの回転数は、室外熱交換器4a,4bの熱交換量や室内熱交換器9c,9dの熱交換量から予め定められた状態を元に制御される。なお、室外熱交換器4a,4bとの伝熱媒体が水等の場合、圧縮機制御手段30と室外熱交換量制御手段31とにより、圧力センサー16a,16bで計測される圧力が目標範囲内になるよう、水等を搬送するポンプの流量が制御される。
また、室内過冷却度制御手段34により、室内熱交換器9c,9dの出口側の過冷却度(以下、室内熱交換器出口過冷却度という)が目標値(温度)となるように、膨張弁10c,10dの開度が制御される。この目標値としては、予め定められた目標値、例えば10℃を用いる。
また、室外流量制御手段33は、後述する圧縮機吐出過熱度及び蒸発器出口過熱度に基づいて流量調整弁5a,5bの開度を制御する。
本実施の形態では、圧縮機制御手段30、室外熱交換量制御手段31及び室外流量制御手段33は各室外機1a,1bにある制御装置14a,14bに設けられ、室内過冷却度制御手段34は室内機8c,8dの制御装置23c,23dに設けられる。
ここで、暖房運転と冷房運転の違いに着目すると、冷房運転では共通液配管11に高圧の液冷媒が存在する一方、暖房運転では共通液配管11に中間圧の液相冷媒又は飽和温度に近い二相冷媒が存在する。したがって、暖房運転では冷房運転に比べて共通液配管11内を流れる冷媒の量が少なく、その分発生した余剰冷媒はアキュムレーター6a,6bに液冷媒として溜まることになる。大容量化した空気調和装置では共通液配管11、液分岐管20a,20b及び液枝管22c,22dの管径や配管長が増加するが、これに比例して冷媒量も増加するため、余剰冷媒の量もさらに増大することになる。
そこで、本実施の形態では、室外流量制御手段33が圧力センサー15a,15bや圧力センサー16a,16bが計測する圧力値及び温度センサー17a,17bや温度センサー18a,18bが計測する温度値に基づいて、制御装置14又は制御装置23が流量調整弁5a,5bの開度を制御する。そして、制御装置14又は制御装置23は、余剰冷媒の総量と、アキュムレーター6a,6bのそれぞれに貯留される余剰冷媒の量と、を制御する。
なお、一般的に熱交換器の容積は室内熱交換器9c,9dより室外熱交換器4a,4bの方が大きい。このため、暖房運転時には、室内熱交換器9c,9dを凝縮器として使うので、室内熱交換器9c,9dと室外熱交換器4a,4bとの容積差分の余剰冷媒も発生する。つまり、この容積差分の余剰冷媒と前述の液管内余剰冷媒との和が、暖房運転時に発生する余剰冷媒となる。そして、この余剰冷媒に安全率を掛け合わせたものがアキュムレーター6a,6bの容積となる。従来、この安全率は、1つの室外機のアキュムレーターに余剰冷媒が集中した場合等を考慮した値となっていた。
空気調和装置における熱交換器容積、液管長さ及び冷媒充填量は多種多様である。しかしながら、空気調和装置の能力と余剰冷媒量との関係にはほぼ線形性があり、余剰冷媒量は空気調和装置の能力に基づいて推定することができる。
空気調和装置の室外機を1台で構成する場合、空気調和装置の能力に見合った分の容積のアキュムレーターを設ければよい。つまり、空気調和装置の能力が大きくなると、アキュムレーターの容積も大きくなる。
一方、空気調和装置の室外機を複数台で構成する場合、均液制御が十分に機能せずに一台の室外機に余剰冷媒が集中する状態も考慮すると、各室外機のアキュムレーターの容積は、空気調和装置の室外機を1台で構成する場合と同じ容積としなくてはならない。このように、室外機を複数台で構成した空気調和装置は、発生する余剰冷媒量が同じであっても、空気調和装置におけるアキュムレーターの容積の総計が均液制御の良否によって大きく異なり、コスト・コンパクト性に影響を及ぼす。そこで、本実施の形態では、均液制御を十分に機能させるための制御を行う。
図4は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置における凝縮器から蒸発器までの冷媒状態を示すモリエル線図である。この図4は、暖房運転時のモリエル線図である。また、図4には、流量調整弁5a,5bの開度を変えた3つのモリエル線図(O,A,B)が示されている。O,A,Bはほぼ同じエンタルピー線上であるが、区別するためにずらして記している。
以下、図4に基づいて流量調整弁5a,5bの開度と液管内の冷媒量の関係について説明する。なお以下では、蒸発圧力、凝縮圧力はおおよそ一定であり、高低差圧を占めるのは流量調整弁5a,5bの圧損、液管の圧損、及び膨張弁10c,10dの圧損であるとして説明する。
モリエル線図上で冷媒状態が状態Oとなっている場合、この状態より流量調整弁5a,5bの開度を減少させると、流量調整弁5a,5b通過前後の冷媒の圧力差が増大し、冷媒状態はA側に変化する。このとき、蒸発圧力及び凝縮圧力はおおよそ一定であるので、膨張弁10c,10d通過前後の冷媒の圧力差も減少し、膨張弁10c,10dの開度が大きくなる。また、液管内の圧力上昇や、液管内の冷媒の乾き度の低下によって液管内の冷媒密度が増加すること等により、液管内に存在する冷媒量が増加する。さらに、液管内の冷媒の乾き度が低下することにより、液管圧損も減少する。
逆に状態Oより流量調整弁5a,5bの開度を増加させると、流量調整弁5a,5b通過前後の冷媒の圧力差が減少し、モリエル線図上の冷媒状態はB側に変化する。このとき、蒸発圧力及び凝縮圧力はおおよそ一定であるので、膨張弁10c,10d通過前後の冷媒の圧力差も増大し、膨張弁10c,10dの開度が小さくなる。また、液管内の圧力低下や、液管内の冷媒の乾き度の増大によって液管内の冷媒密度が減少すること等により、液管内に存在する冷媒量が減少する。さらに、液管内の冷媒の乾き度が増大することにより、液管圧損も増大する。
続いて、流量調整弁5a,5bの開度を変化させた際の室外機1a,1bの状態を説明する。
図5は、流量調整弁5a,5bの開度を変化させた際の室外機1a,1bの状態を表す特性図である。この図5は、暖房運転時における室外機1a,1bの状態を表している。
図4で示したように、流量調整弁5a,5bの開度を減少させると、液管内の冷媒量が増加する。
液管内の冷媒増加分によりアキュムレーター6a,6bの液冷媒量が減少するが、流量調整弁5a,5bの開度が図中の開度Aまでは、アキュムレーター6a,6b内に冷媒が存在している状態となっている。このため、圧縮機2a,2bの吸入側における乾き度(以下、圧縮機吸入乾き度という)は1近傍となる。この結果、圧縮機2a,2bの吐出側の過熱度(以下、圧縮機吐出過熱度という)は一定値近傍で若干増加する程度であり、圧縮機2a,2bの信頼性は確保される。また、蒸発器である室外熱交換器4a,4bにおける冷媒滞留量に変化はなく、その出口過熱度(以下、蒸発器出口過熱度という)は0近傍となる。このため、室外熱交換器4a,4bの熱交換性能は高い。
流量調整弁5a,5bの開度が開度Aよりも小さくなると、アキュムレーター6a,6b内に液冷媒が存在しない状態となる。このため、室外熱交換器4a,4bの冷媒滞留量が減少し、蒸発器出口過熱度が増加する。そして、室外熱交換器4a,4bの熱交換能力が低下して蒸発温度も低下するため、空気調和装置の暖房能力が低下して性能(COP:成績係数)が低下する。また、圧縮機吐出過熱度及び圧縮機吸入乾き度は大きく増加し、圧縮機内が温度上昇して信頼性を損なう恐れがある。
また、流量調整弁5a,5bの開度の減少に伴って膨張弁10c,10dの開度を増加させる必要があるが、最終的には膨張弁10c,10dの開度が全開又は全開に近い状態となる。このため、凝縮器である室内熱交換器9c,9dの室内熱交換器出口過冷却度が目標値以上となってしまい、要求される暖房能力を発揮できない恐れがある。また、膨張弁10c,10dの開度制御による室外機1a,1bへの冷媒の流量分配ができなくなる。
逆に、図4で示したように、流量調整弁5a,5bの開度を増加させると、液管内の冷媒量が減少する。
液管内の冷媒増減少により、アキュムレーター6a,6bの液冷媒量が増加し、アキュムレーター6a,6b内の液面が高くなる。しかしながら、流量調整弁5a,5bの開度が図中の開度Bまでは、アキュムレーター6a,6bの気液分離が機能する状態となる。このため、圧縮機吸入乾き度は1近傍となる。この結果、圧縮機吐出過熱度は一定値近傍で若干減少する程度であり、圧縮機2a,2bの信頼性は確保される。また、蒸発器である室外熱交換器4a,4bにおける冷媒滞留量に変化はなく、蒸発器出口過熱度は0近傍となる。このため、室外熱交換器4a,4bの熱交換性能は高い。
流量調整弁5a,5bの開度が開度Bよりも大きくなると、アキュムレーター6a,6bの気液分離が機能しない状態となる。このため、アキュムレーター6a,6bの代わりに室外熱交換器4a,4bに冷媒が滞留し始める。これにより、蒸発器出口過熱度は変化しないが室外熱交換器4a,4bの出口側が液バック状態となる。さらに、圧縮機吐出過熱度及び圧縮機吸入乾き度は大きく減少し、圧縮機2a,2bの信頼性が損なわれる恐れがある。
以上より、流量調整弁5a,5bの開度を好ましい状態である図5の開度Aと開度Bの範囲内に調整すれば、室外熱交換器4a,4bの蒸発器出口乾き度を1近傍の低過熱度に制御することができ、圧縮機吐出過熱度をある一定値以上又は圧縮機吸入乾き度を1近傍に制御することができる。このため、目的とする均液・余剰冷媒処理を実現することができる。そして、このことは本実施の形態のように2つの室外機1a,1bの構成だけによるものではなく、3台以上の室外機を有する空気調和装置についても同様のことが言える。
図6は、本実態の形態に係る制御装置が行う制御処理を示すフローチャートである。この図6に基づいて、制御装置14(特に制御装置14a,14b)が行う制御、特に室外流量制御手段33が行う流量調整弁5a,5bの開度の制御について説明する。なお、この図6は、暖房運転時における制御装置14の制御について示している。
まず、ステップS0で、圧縮機2a,2b等が起動して、空気調和装置による暖房運転が開始される。そして、ステップS1で、制御装置14を構成する各制御手段は、各センサーの初期状態検知に応じた初期設定による固定値を設定する。
次に、ステップS2で、空気調和装置の運転開始後に一定時間(例えば5分、10分等)が経過したかどうかを判断する。ここで、暖房運転開始時に流量調整弁5a,5bの開度をその前後において差圧が発生する程度の開度にしておくと、室外熱交換器4a,4bを流れる冷媒が低圧となってしまう。このとき、室外熱交換器4a,4bは、着霜によって能力低下となり低圧目標値に回復するまでに時間を要したり、さらには回復できないなどの起動不良を起こす恐れがある。そこで、例えば、暖房運転開始時には流量調整弁5a,5bの開度を全開又は全開に近い状態とする。これにより、前述の能力低下や起動不良を防止することができる。その後、流量調整弁5a,5bの開度は、室外流量制御手段33による制御が実施されるまで、全開又は全開に近い状態のまま維持される。
ステップS2で運転開始後に一定時間が経過したものと判断されると、圧力センサー15a,15b、圧力センサー16a,16b、温度センサー17a,17b、温度センサー18a,18bが検出したデーター、室内機8c,8dの使用状況(負荷)等の情報(データー)に基づいて、室外流量制御手段33以外の制御手段は各制御対象の制御を行う(ステップS3)。そして、ステップS4で、流量調整弁5a,5bを制御する時間間隔に基づいて時間経過を判断する。
ここで、室外流量制御手段33以外の制御手段の各々は、それぞれ固有の時間間隔(例えば1分)毎に制御対象の制御を行う。一方、室外流量制御手段33は、それよりも十分大きい時間間隔(例えば5分)で後述のステップS5a,S5bを実行し、流量調整弁5a,5bを制御するものとする。これはハンチング等の発生を防止し制御を安定させるためである。なお、後述のステップS5a,S5bにおいて室外流量制御手段33は流量調整弁5a,5bを制御するが、流量調整弁5a,5bの両方に同じ制御が行われるのではなく、流量調整弁5a,5bは室外機1a,1bの状態等に応じて個別に制御が行われる。
ステップS5aでは、ステップS6a〜ステップS13aの処理が行われる。同様に、ステップS5bでは、ステップS6b〜ステップS13bの処理が行われる。
まずステップS6a,S6bでは、各室外機1a,1bの室外熱交換器4a,4bにおける蒸発器出口過熱度を演算する。室外熱交換器4aの蒸発器出口過熱度は、(温度センサー18aの温度)−(圧力センサー16aで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算される。室外熱交換器4bの蒸発器出口過熱度は、(温度センサー18bの温度)−(圧力センサー16bで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算される。
また、ステップS6a,S6bでは、圧縮機2a,2bの圧縮機吐出過熱度を演算する。圧縮機2aの圧縮機吐出過熱度は、(温度センサー17aの温度)−(圧力センサー15aで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算される。圧縮機2bの圧縮機吐出過熱度は、(温度センサー17bの温度)−(圧力センサー15bで計測される圧力から換算される飽和温度)により演算される。
なお、上記の演算に用いた飽和温度は、制御装置14(室外流量制御手段33)の記憶手段(図示せず)に記憶されている圧力―飽和温度換算テーブルのデーターと、計測される圧力の値とに基づいて換算される。
ステップS7a,S7bでは、圧縮機吐出過熱度及び蒸発器出口過熱度に基づいて各室外機1a,1bの状態を判断する。この室外機1a,1bの状態は、図7に示す特性図(テーブル)を用いて判断する。図7を用いて判断された室外機1a,1bの状態は、流量調整弁5a,5bの開度操作を行う判断基準となる。なお、図7に示す特性図(テーブル)は、例えば制御装置14(室外流量制御手段33)の記憶手段(図示せず)に記憶されている。
図7は、室外機1a,1bを判断するための特性図である。
図7に示すように、圧縮機吐出過熱度には二つの閾値(例えば30℃と35℃)が設けられており、蒸発器出口過熱度には一つの閾値(例えば3℃)が設けられている。ステップS7a,S7bでは、この図7とステップS6a,S6bで演算された圧縮機吐出過熱度及び蒸発器出口過熱度に基づいて、室外機1a,1bの状態を(1)〜(5)の5つの状態に分類する。
なお、図7に示す閾値(本発明の所定値に相当)はあくまでも一例であり、空気調和装置の構成(運転能力や使用冷媒等)に応じて適宜決定すればよい。
状態(1)は、圧縮機吐出過熱度<35℃(閾値2)かつ蒸発器出口過熱度≧3℃(閾値)となる状態である。圧縮機に吸入される冷媒状態は湿り気味あるいは液バック状態である。しかしながら、蒸発器出口乾き度がある程度高いので、時間が経過すると、圧縮機に吸入される冷媒は、湿り状態が解消される可能性がある。
状態(2)は、圧縮機吐出過熱度≧35℃(閾値2)かつ蒸発器出口過熱度≧3℃(閾値)となる状態である。圧縮機に吸入される冷媒状態は、かなり乾いた状態である。アキュムレーター6a,6bに余剰冷媒がなく、室外機1a,1bは性能低下の恐れがある。
状態(3)は、圧縮機吐出過熱度<30℃(閾値1)かつ蒸発器出口過熱度<3℃(閾値)となる状態である。圧縮機に吸入される冷媒状態は液バック状態であり、今後もこの状態が続く。
状態(4)は、圧縮機吐出過熱度≧35℃(閾値2)かつ蒸発器出口過熱度<3℃(閾値)となる状態である。蒸発器出口乾き度はほぼ0近傍で、室外機1a,1bの性能が確保できる状態である。
状態(5)は、30℃(閾値1)≦圧縮機吐出過熱度<35℃(閾値2)かつ蒸発器出口過熱度<3℃(閾値)となる状態である。状態(4)と同じく蒸発器出口過熱度はほぼ0近傍で室外機1a,1bの性能を確保できる状態であるが、圧縮機に吸入される冷媒状態が少し湿り気味の状態である。
再び図6に着目すると、ステップS7a,S7bの後、ステップS8a,S8bでは、ステップS7a,S7bで得られた室外機1a,1bの状態に基づいて流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定する。つまり、流量調整弁5a,5bの開度をどの程度変化させるかを決定する。この流量調整弁5a,5bの開度の増減は、図8に示す特性図(テーブル)を用いて決定する。
図8は、流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定するための特性図である。なお、図8において例えば動作Aは減少\維持とあるが、減少、維持又は増加とは室外機1a,1bの流量調整弁5a,5bの開度の変化を表している。また、\の前は圧縮機吐出過熱度が最小(ここでは室外機2台のため小さい方)、\の後は圧縮機吐出過熱度が最大(ここでは室外機2台のため大きい方)の室外機の流量調整弁5a,5bの開度操作を示す。
ステップS8a,S8bでは、まず室外機1a,1b間の圧縮機吐出過熱度の偏差(室外機1aの圧縮機吐出過熱度と室外機2aの圧縮機吐出過熱度の差の絶対値)を演算する。そして、室外機1a,1b間の圧縮機吐出過熱度の偏差が閾値(例えば3℃)以上の場合、図8のi)を用いて流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定する。また、室外機1a,1b間の圧縮機吐出過熱度の偏差が閾値(例えば3℃)未満の場合、図8のii)を用いて流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定する。
なお、閾値の値はあくまでも一例であり、圧縮機の特性等に応じて適宜変更してもよい。閾値が小さければ小さいほど、室外機1a,1b間の圧縮機吐出過熱度が等しくなるように運転することになる。また、室外機が3台以上の場合、圧縮機吐出過熱度が最大となる室外機と圧縮機吐出過熱度が最大となる室外機とを選択し、これら室外機の圧縮機吐出過熱度と図8を用いて、これら室外機に設けられた流量調整弁の開度の増減を決定すればよい。
室外機1a,1bの状態が共に(2)の状態である場合を一例として、図8を用いて流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定する方法について説明する。
状態が(2)ということは、室外機1a,1bは共に、アキュムレーター6a,6bに余剰冷媒がない状態である。このため、各室外機単体に着目すると、流量調整弁5a,5bの開度を共に増加させることとなる。しかしながら、例えば室外機1a内の冷媒量が室外機1b内の冷媒量よりも少ない場合、流量調整弁5a,5bの開度を共に増加させると、室外機に流入する冷媒量が互いに干渉し、室外機1a内の冷媒量の増加が抑制されてしまう。つまり、室外機に流入する冷媒量が互いに干渉し、均液処理が遅れてしまう。
そこで、本実施の形態では、各室外機の冷媒量を考慮して、流量調整弁5a,5bの開度の増減を決定する。
例えば、室外機1aの圧縮機吐出過熱度が室外機1bの圧縮機吐出過熱度よりも3℃以上高い場合、室外機1a内の冷媒量が室外機1b内の冷媒量よりも少ない状態と判断する。このため、図8のi)に示すDのように流量調整弁5a,5bの開度を変化させる。つまり、制御装置14(室外流量制御手段33)は、室外機1bよりも冷媒量の少ない室外機1aに設けられた流量調整弁5aの開度を増加する。一方、制御装置14(室外流量制御手段33)は、室外機1aよりも冷媒量の多い室外機1bに設けられた流量調整弁5bの開度を維持する。これにより、室外機1bに流入する冷媒量よりも室外機1aに流入する冷媒量の方が多くなり、均液処理が促進される。
また、例えば、室外機1aの圧縮機吐出過熱度と室外機1bの圧縮機吐出過熱度との差が3℃未満の場合、室外機1a内の冷媒量と室外機1b内の冷媒量とはほぼ等しいと判断する。このため、図8のii)に示すVのように流量調整弁5a,5bの開度を変化させる。つまり、制御装置14(室外流量制御手段33)は、流量調整弁5a,5b共に開度を増加させる。これにより、室外機1a,1bを、その性能を確保できる状態(例えば状態(4))にいち早くすることができる。
なお、流量調整弁5a,5bの開度の増減の変化量は、例えば変化前と約5%異なるようにする。
再び図6に着目すると、ステップS8a,S8bの後、ステップS9a,S9bでは流量調整弁5a,5bの開度の上限値および下限値を求める。流量調整弁5a,5bの開度範囲を固定してもよいが、流量調整弁5a,5bの開度範囲を調整した方が望ましい。図5の好ましい状態の範囲は、室外機1a,1bを流れる冷媒の流量等によって変化し、一意的に決まらないためである。ここでステップS9a,S9bはステップS3より後であれば、これより前のステップにおいて算出するようにしてもよい。
ステップS10a,S10bでは、開度を変更した後の流量調整弁5a,5bの開度が、ステップS9で求めた範囲内(上限値と下限値の間)に収まっているかを判断する。開度を変更した後の流量調整弁5a,5bの開度がステップS9で求めた範囲内に収まっていない場合、流量調整弁5a,5bの開度を修正する。例えば、開度を変更した後の流量調整弁5a,5bの開度が下限値以下の場合、流量調整弁5a,5bの開度を下限値に修正する(S11a,S11b)。また、開度を変更した後の流量調整弁5a,5bの開度が上限値以上の場合、開度を上限値に修正する(S12a,S12b)。その後、制御装置14(室外流量制御手段33)は、流量調整弁5a,5bに指令を送信し、流量調整弁5a,5bが決定した開度になるように制御する(S13a,S13b)。そして、またステップS3に戻り順に処理を始める。
以上のように、室外流量制御手段33において上述のような流量調整弁5a,5bの制御を行い、圧縮機吐出過熱度を一定値以上に設定すると共に室外機1a,1b間で圧縮機吐出過熱度を等しく(所定の範囲内)することにより、圧縮機吸入乾き度を高く保つと共に室外機1a,1b間における圧縮機吸入状態の不均一を是正することができる。このため、圧縮機2a,2bの信頼性向上を図ることができる。特に、圧縮機2a,2bの軸受け部分の信頼性を確保する上で実運転時において必要な分の冷凍機油の潤滑性能を確保する効果がある。また、蒸発器出口過熱度を1近傍の低い過熱度に設定することにより(閾値以下に設定することにより)、室外熱交換器4a,4bにおける熱交換性能を高く保ち、空気調和装置全体の性能を改善する効果がある。
また、圧縮機吐出過熱度を一定値以上にし蒸発器出口を乾き度1近傍の低過熱度の状態(上述した状態(4))になるように流量調整弁5a,5bの開度を制御することにより、各室外機1a,1b内における冷媒分布状態が同一(均一)の状態になるように近づけることができる。このため、各室外機1a,1b内に大きな偏りなく(余剰)冷媒を分配することができる。したがって、複数台の室外機を備えた従来の空気調和装置と異なり、各室外機1a,1b内にはその室外機の能力に応じた容積のアキュムレーター6a,6bを設ければよい。このため、空気調和装置を構成する室外機の台数にかかわらず(室外機1台で空気調和装置を構成する場合や室外機複数台で空気調和装置を構成する場合にかかわらず)室外機に設けるアキュムレーターの容積を分けずにすむ。したがって、空気調和装置(室外機)の生産性向上、コスト低減の効果を得られる。
また、本実施の形態の空気調和装置によれば、制御装置14の室外流量制御手段33が圧力センサー15a,15b、圧力センサー16a,16b、温度センサー17a,17b及び温度センサー18a,18b等の測定から得られる物理量に基づいて蒸発器出口過熱度及び圧縮機吐出過熱度を演算し、流量調整弁5a,5bの開度の増減又は維持を判断する。このように流量調整弁5a,5bの開度を適度に調整することにより、各室外機1a,1bにおける室外熱交換器4a,4bの出口側において、冷媒を乾き度1近傍の低過熱度に制御することができる。このため、室外熱交換器4a,4bに存在する冷媒を凡そ一定の状態に保ち、なおかつ室外熱交換器4a,4bの性能を十分高く確保して、空気調和装置を安定して運転させることができる。
また、圧縮機2a,2bの圧縮機吐出過熱度を一定の範囲内かつ等しくなるように制御することにより、アキュムレーター6a,6bから液冷媒がオーバーフローすることなく室外機の信頼性を確保しつつ安定な運転を行うことができる。そして、室外機1a,1bにおける蒸発器出口過熱度及び圧縮機吐出過熱度が一定になるようにしたので、室外機1a,1b内の冷媒量をほぼ均一にすることができる。さらに、制御装置における演算により均液・余剰冷媒処理を行うことができるので、レシーバー等の機器を新たに設けなくてもよく、空気調和装置の低コスト化を実現できる。
なお、圧縮機吐出過熱度は、圧縮機吸入乾き度の他に、圧縮機運転時の吐出、吸入圧力に強く依存する。ここで、圧縮機の運転状態が低圧縮比なほど、圧縮機吐出過熱度が低下することがわかっている。このため、暖房時のような外気温度が低い環境での運転においては圧縮機吐出過熱度に設ける閾値を低くするように補正してもよい。
1a,1b 室外機、2a,2b 圧縮機、3a,3b 四方弁、4a,4b 室外熱交換器、5a,5b 流量調整弁、6a,6b アキュムレーター、7 共通ガス配管、8c,8d 室内機、9c,9d 室内熱交換器、10c,10d 膨張弁、11 共通液配管、12 接続点、13 接続点、14a,14b 制御装置、15a,15b 圧力センサー、16a,16b 圧力センサー、17a,17b 温度センサー、18a,18b 温度センサー、19a,19b ガス分岐管、20a,20b 液分岐管、21c,21d ガス枝管、22c,22d 液枝管、23c,23d 制御装置、30 圧縮機制御手段、31 室外熱交換量制御手段、32 室内過熱度制御手段、33 室外流量制御手段、34 室内過冷却度制御手段。

Claims (7)

  1. 圧縮機、室外熱交換器及びアキュームレーターから少なくとも構成される室外機を複数有する空気調和装置において、
    前記室外熱交換器に流入する冷媒量を調整する複数の流量調整弁と、
    前記室外熱交換器のそれぞれの出口側の過熱度が所定値以下となり、かつ前記圧縮機のそれぞれの吐出過熱度の差が所定の範囲内となるように、前記流量調整弁を制御する制御装置と、
    を備えることを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記圧縮機の吐出過熱度が最も高い前記室外機において、該室外機の前記室外熱交換器における出口側の過熱度、及び該室外機の前記圧縮機における吐出過熱度から、該室外機の状態を判断し、
    前記圧縮機の吐出過熱度が最も低い前記室外機において、該室外機の前記室外熱交換器における出口側の過熱度、及び該室外機の前記圧縮機における吐出過熱度から、該室外機の状態を判断し、
    これら室外機の状態に基づいて、これら室外機の前記室外熱交換器に接続された前記流量調整弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記制御装置は、前記流量調整弁の開度範囲を予め設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
  4. 前記制御装置は、前記室外機を流れる冷媒流量に基づいて、当該室外機の前記室外熱交換器に接続された流量調整弁の開度範囲を補正することを特徴とする請求項3に記載の空気調和装置。
  5. 前記制御装置は、前記室外機を流れる冷媒流量に基づいて、当該室外機の前記室外熱交換器に接続された前記流量調整弁の開度を補正することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
  6. 前記制御装置は、
    前記流量調整弁の開度の増減を判断した場合、
    前記流量調整弁の増減後の開度が前記開度範囲を超えると判断すると、
    増減後の開度が前記開度範囲となるように前記流量調整弁の開度を修正することを特徴とする請求項3記載の空気調和装置。
  7. 前記流量調整弁の開度の制御間隔を、前記空気調和装置の他の機器の制御間隔よりも長くすることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の空気調和装置。
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