JP2011027006A - エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】低温環境下でエンジンを正常に作動させることにある。
【解決手段】エンジンにはエンジン回転数を一定に保持するガバナ機構が設けられる。このガバナ機構はリンク機構45を介してキャブレターに連結される。ガバナ機構は、エンジン回転数が上昇するとスロットルバルブを閉じるようにキャブレターを制御する一方、エンジン回転数が低下するとスロットルバルブを開くようにキャブレターを制御する。このように、ガバナ機構の動作をキャブレターに伝達するリンク機構45にはリンクカバー50が取り付けられる。これにより、雪の付着を防止して凍結によるリンク機構45の作動不良を回避することが可能となる。また、リンクカバー50には冷却風をシリンダ22に向けて案内する導風板53が設けられる。これにより、冷却風を暖めて温風を生成することが可能となり、温風を用いてキャブレターの凍結を防止することが可能となる。
【選択図】図7

Description

本発明は、低温環境下で使用されるエンジンに関する。
低温環境下で使用されるエンジンにあっては、各作動部の凍結防止対策を施すことが重要となっている。例えば、気化熱が奪われて低温となるキャブレターを備えたエンジンにおいては、所謂アイシング現象によってキャブレターが正常に作動しないおそれがあるため、キャブレターの凍結防止対策が必須となっている。そこで、冷却ファンからシリンダに送られた冷却風を、シリンダからキャブレターに送るようにしたエンジンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、温風によってキャブレターを暖めることができるため、キャブレターの凍結を防止してエンジンを正常に作動させることが可能となる。
特開2003−56408号公報
しかしながら、低温環境下でエンジンを正常に作動させるためには、キャブレターだけでなく他の作動部に対しても凍結防止対策を施すことが必要であった。例えば、除雪機等に搭載されるエンジンにおいては、エンジン回転数が一定に保たれて使用されることから、エンジン回転数に応じてキャブレターを調整するガバナ機構を備えている。このガバナ機構はリンク機構を介してキャブレターに連結されるため、リンク機構が凍結して作動不能となった場合には、キャブレターを調整することができずに、エンジン故障や運転不調を招くことになっていた。
本発明の目的は、低温環境下でエンジンを正常に作動させることにある。
本発明のエンジンは、冷却風を生成する冷却ファンと、クランク軸に回転駆動され、遠心力によって作動するガバナ機構と、エンジン吸気系に設けられ、混合気を生成するキャブレターと、前記ガバナ機構と前記キャブレターとに接続され、前記ガバナ機構の動作を前記キャブレターに伝達するリンク機構と、前記リンク機構を覆うカバー部と、前記冷却ファンからの風をエンジン高温部に案内する第1導風部とを備えるリンクカバーとを有することを特徴とする。
本発明のエンジンは、前記カバー部と前記第1導風部とは一体成型されることを特徴とする。
本発明のエンジンは、前記エンジン高温部からの気流を前記キャブレターに案内する第2導風部を有することを特徴とする。
本発明によれば、リンクカバーのカバー部によってリンク機構を覆うようにしたので、リンク機構の凍結を防止してエンジンを正常に作動させることが可能となる。また、リンクカバーに第1導風部を設けるようにしたので、冷却風をエンジン高温部に向けて案内することができ、冷却風を暖めて温風を生成することが可能となる。これにより、温風を用いてキャブレターの凍結を防止することができ、エンジンを正常に作動させることが可能となる。
本発明の一実施の形態であるエンジンが搭載される除雪機を示す斜視図である。 図1の矢印A方向からエンジンを示す側面図である。 図1の矢印B方向からエンジンを示す側面図である。 エンジンを示す斜視図である。 (A)はガバナ機構を示す斜視図である。(B)はガバナ機構の作動状態を示す断面図である。 リンク機構の構成を示す概略図である。 (A)は燃料タンクを外した状態のエンジンを示す分解斜視図である。(B)は燃料タンクに加えてリンクカバーを外した状態のエンジンを示す分解斜視図である。 リンクカバーの構造を示す斜視図である。 冷却風の送風径路を示す説明図である。 冷却風の送風径路を示す説明図である。 他の形式の除雪機を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるエンジン10が搭載される除雪機11を示す斜視図である。
図1に示すように、除雪機11の前部に設けられるハウジング12には、雪を掻き込む螺旋状のオーガ13が収容されている。ハウジング12のほぼ中央部に形成される開口部14には、雪を上方に吹き飛ばすインペラ15が設けられている。また、ハウジング12の開口部14には、インペラ15によって飛ばされた雪を案内するシュータ16が接続されている。オーガ13およびインペラ15を回転駆動するため、除雪機11には動力源としてのエンジン10が搭載されている。さらに、エンジン10には図示しない除雪用の動力伝達機構が組み付けられ、この動力伝達機構を介してオーガ13およびインペラ15にエンジン動力が伝達されている。
また、除雪機11にはエンジン10に駆動される駆動輪17が設けられている。エンジン10には図示しない走行用の動力伝達機構が組み付けられ、この動力伝達機構を介して駆動輪17にエンジン動力が伝達されている。さらに、除雪機11には作業者によって操作される操作ハンドル18が設けられている。操作ハンドル18の近傍には、オーガ13やインペラ15を駆動する際に操作される除雪用クラッチレバー、駆動輪17を駆動する際に操作される走行用クラッチレバー、シュータ16の投雪方向を調整する調整レバー等が設けられている。なお、図示する除雪機11は駆動輪17を備えているが、これに限られることはなく、駆動輪17に代えてクローラ(無限軌道)を設けるようにしても良い。
続いて、除雪機11に搭載されるエンジン10の構造について説明する。図2は図1の矢印A方向からエンジン10を示す側面図である。図3は図1の矢印B方向からエンジン10を示す側面図である。図4はエンジン10を示す斜視図である。なお、図3の側面図は、後述するファンカバー31の一部を切り欠いて示した側面図となっている。
図2に示すように、クランク軸20を収容するクランクケース21には、シリンダ22およびシリンダヘッド23が傾斜して組み付けられている。また、シリンダヘッド23の図示しない排気ポートにはマフラー24が接続されており、このマフラー24はシリンダヘッド23の上方に設置されている。なお、シリンダ22およびシリンダヘッド23には第2導風部としてのシリンダカバー25が取り付けられている。また、マフラー24には第2導風部としてのマフラーカバー26が取り付けられている。図3に示すように、エンジン吸気系を構成するシリンダヘッド23の図示しない吸気ポートには、混合気を生成するキャブレター27が接続されている。また、キャブレター27には第2導風部としてのキャブレターカバー28が取り付けられている。さらに、キャブレター27に燃料を供給するため、クランクケース21の上方には燃料タンク29が搭載されている。キャブレター27には吸気量を調整する図示しないスロットルバルブが組み込まれ、このスロットルバルブにはスロットルレバー27aが連結されている。
図3および図4に示すように、クランクケース21には下部に吸気口30を備えたファンカバー31が組み付けられている。このファンカバー31内にはクランク軸20に連結される冷却ファン32が収容されている。冷却ファン32によって生成される冷却風は、シリンダカバー25やマフラーカバー26の内側に設けられる隙間に案内される。これにより、エンジン高温部であるシリンダ22、シリンダヘッド23、マフラー24に対し、冷却風が吹き付けられるようになっている。さらに、ファンカバー31内には、クランク軸20にワンウェイクラッチ機構を介して連結されるリコイルプーリ33が収容されている。リコイルプーリ33にはロープが巻き付けられており、このロープに連結されるハンドル34を引くことでエンジン10を始動させることが可能となる。なお、クランクケース21には、コネクタ35を備えた始動用モータ36が組み付けられている。コネクタ35に外部電源を接続して始動用モータ36を駆動することにより、エンジン10を始動することが可能となっている。
また、図2に示すように、クランクケース21内にはエンジン回転数を一定に調節するガバナ機構40が収容されている。ここで、図5(A)はガバナ機構40を示す斜視図である。また、図5(B)はガバナ機構40の作動状態を示す断面図である。図5(A)および(B)に示すように、ガバナ機構40は、クランク軸20によって回転駆動されるガバナケース41を有している。ガバナケース41内には、遠心力によって傾動するウエイト42が設けられるとともに、ウエイト42の傾動動作によって押し出されるプッシュロッド43が設けられている。また、L字形状のガバナシャフト44は、クランクケース21に回動自在に組み付けられている。このガバナシャフト44の先端部は、プッシュロッド43に対向して配置されている。そして、ガバナケース41の回転数が上昇してウエイト42が外側に傾動すると、プッシュロッド43が押し出されてガバナシャフト44を回動させることになる。
このガバナシャフト44の回動動作をキャブレター27に伝達するため、ガバナシャフト44とキャブレター27との間にはリンク機構45が設けられている。ここで、図6はリンク機構45の構成を示す概略図である。図6に示すように、クランクケース21から突出するガバナシャフト44には、ガバナレバー46が取り付けられている。また、リンク機構45のガバナレバー46とキャブレター27のスロットルレバー27aとは、ガバナロッド47を介して連結されている。エンジン回転数が上昇してプッシュロッド43が押し出されると、ガバナレバー46は後述するガバナスプリング48に抗して矢印a方向に回動し、スロットルバルブを閉じる方向にスロットルレバー27aを操作する。一方、エンジン回転数が低下してプッシュロッド43の押し出し力が低下すると、ガバナスプリング48によってガバナレバー46は矢印b方向に引き込まれ、スロットルバルブを開く方向にスロットルレバー27aが操作される。このように、エンジン負荷の変動に伴ってエンジン回転数が変動する状況であっても、遠心力に応じて作動するガバナ機構40によってエンジン回転数が一定に保たれるようにスロットルレバー27aが調整される。
また、ガバナレバー46には、ガバナスプリング48を介してスピードコントロールレバー49(以下、コントロールレバーという)が連結されている。図3および図4に示すように、エンジン10の側面部に設けられるコントロールレバー49は、所望のエンジン回転数を得るために操作されるレバーとなっている。図6に示すように、コントロールレバー49を高速側に操作すると、ガバナスプリング48が伸びてバネ力が大きく設定される。これにより、ガバナレバー46が矢印b方向に強く引き込まれるため、ガバナ機構40によって調整されるエンジン回転数を高く設定することが可能となる。一方、コントロールレバー49を低速側に操作すると、ガバナスプリング48が縮んでバネ力が小さく設定される。これにより、ガバナレバー46が矢印b方向に弱く引き込まれるため、ガバナ機構40によって調整されるエンジン回転数を低く設定することが可能となる。
このように、リンク機構45を介してキャブレター27が制御されるため、エンジン回転数を適切に制御するためには、リンク機構45の作動状態を良好に保つことが必要である。特に、寒冷地において使用される除雪機用のエンジンにあっては、露出するリンク機構に対して雪が付着することから、リンク機構が凍結して作動不能となるおそれがある。そこで、本発明のエンジン10にはリンクカバー50が設けられており、リンクカバー50によってリンク機構45を覆うようにしている。以下、リンクカバー50の構造および機能について説明する。
図7(A)は燃料タンク29を外した状態のエンジン10を示す分解斜視図である。また、図7(B)は燃料タンク29に加えてリンクカバー50を外した状態のエンジン10を示す分解斜視図である。さらに、図8はリンクカバー50の構造を示す斜視図である。まず、図7(A)および(B)に示すように、クランクケース21上に配置されるリンクカバー50は、クランクケース21の上面と燃料タンク29との間に設けられている。リンクカバー50には、ガバナレバー46を覆うカバー部51が形成されている。このカバー部51はガバナレバー46を囲う壁52を備えており、壁52によってクランクケース21と燃料タンク29との隙間が塞がれている。このように、壁52を備えるリンクカバー50を設けることにより、ガバナレバー46に対する雪の付着を防止することが可能となる。これにより、ガバナレバー46の凍結による作動不良を防止することができ、キャブレター27を適切に制御することが可能となる。なお、リンクカバー50のカバー部51は部分的に切り欠かれているが、これらの切り欠きは燃料タンク29との干渉を避けるための切り欠きとなっている。
また、寒冷地において使用される除雪機用のエンジン10にあっては、前述したリンク機構45の凍結を防止するだけでなく、気化熱を奪われて低温となるキャブレター27の凍結を防止することが重要となる。そこで、図8に示すように、リンクカバー50には壁52から延びる第1導風部である導風板53が形成されている。
ここで、図9および図10は冷却風の送風径路を示す説明図である。なお、図9および図10においては、白抜きの矢印を用いて冷却風の送風径路を示している。図9に示すように、冷却ファン32を回転させることにより、ファンカバー31の吸気口30から外気が取り込まれ、ファンカバー31の図示しない送風口から冷却風が送風される。続いて、冷却風は、燃料タンク29とリンクカバー50の導風板53とに沿って、シリンダカバー25やマフラーカバー26の内側に案内される。すなわち、冷却ファン32から出力される冷却風は、導風板53によってシリンダ22、シリンダヘッド23、マフラー24に案内され、これらのエンジン高温部を冷却する。そして、シリンダ22やマフラー24から熱を奪って温風となった気流は、シリンダカバー25やマフラーカバー26からキャブレターカバー28内に案内され、キャブレター27を暖めることになる。このように、シリンダ22やマフラー24の周囲を通過して暖められた温風をキャブレター27に案内することができ、キャブレター27の凍結を防止して正常に作動させることが可能となる。
前述したように、シリンダ22やマフラー24を冷却した冷却風をキャブレター27に案内するためには、まず冷却ファン32からシリンダ22やマフラー24に対する送風径路を確保する必要がある。このため、従来のエンジンにおいては、冷却ファン32からの冷却風をシリンダ22やマフラー24に向けて案内する導風板を別途設けるようにしていた。これに対し、本発明のエンジン10においては、冷却風を案内する導風板53がリンクカバー50のカバー部51に一体成型されている。これにより、導風板を単独で設置する場合に比べて、製造コストや組立コストを大幅に削減することが可能となる。また、燃料タンク29と導風板53に沿って冷却風を案内することができるため、冷却ファン32からの冷却風を有効に活用できる。さらに、リンクカバー50は柔軟性を有するプラスチック材料を用いて形成されている。これにより、リンクカバー50を変形させることができるため、クランクケース21に燃料タンク29を固定する際の緩衝材としてリンクカバー50を機能させることが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示するエンジン10はオーガ13を備えた除雪機11に搭載されているが、これに限られることはなく、他の形式の除雪機や他の装置に対して本発明のエンジン10を適用しても良い。ここで、図11は他の形式の除雪機60を示す斜視図である。図11に示すように、除雪機60の前部に設けられるハウジング61には、雪を掻き出すためのブラシ62が収容されている。このような除雪機60に搭載されるエンジン63であっても、凍結のおそれがある低温環境下で使用されることから、本発明を有効に適用することが可能となる。
10 エンジン
20 クランク軸
22 シリンダ(エンジン高温部)
23 シリンダヘッド(エンジン高温部)
24 マフラー(エンジン高温部)
25 シリンダカバー(第2導風部)
26 マフラーカバー(第2導風部)
27 キャブレター
28 キャブレターカバー(第2導風部)
40 ガバナ機構
45 リンク機構
50 リンクカバー
51 カバー部
53 導風板(第1導風部)
63 エンジン

Claims (3)

  1. 冷却風を生成する冷却ファンと、
    クランク軸に回転駆動され、遠心力によって作動するガバナ機構と、
    エンジン吸気系に設けられ、混合気を生成するキャブレターと、
    前記ガバナ機構と前記キャブレターとに接続され、前記ガバナ機構の動作を前記キャブレターに伝達するリンク機構と、
    前記リンク機構を覆うカバー部と、前記冷却ファンからの風をエンジン高温部に案内する第1導風部とを備えるリンクカバーとを有することを特徴とするエンジン。
  2. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    前記カバー部と前記第1導風部とは一体成型されることを特徴とするエンジン。
  3. 請求項1または2記載のエンジンにおいて、
    前記エンジン高温部からの気流を前記キャブレターに案内する第2導風部を有することを特徴とするエンジン。
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