JP2011026908A - 建設機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械転倒時の横荷重のエネルギーを吸収する機能を発揮してキャブの変形抑制効果を高める。
【解決手段】オペレータが搭乗するキャブの左右片側に作業アタッチメントのブームが配置された油圧ショベル等の建設機械において、機械転倒時にキャブ4に作用する横荷重を荷重受け部材としてのブーム5に伝える荷重伝達部材13を、対ブーム取付点を支点として弾性変形し得る状態でブーム側面に取付ける。この荷重伝達部材13には突片19を設けるとともに、この突片19とブーム天板8の左端面8aとの間にクリアランスcを形成し、このクリアランスcの範囲で荷重伝達部材13を弾性変形させることによってエネルギーを吸収するようにした。
【選択図】図5

Description

本発明はオペレータが搭乗するキャブの左右片側に作業アタッチメントのブームが配置された油圧ショベル等の建設機械に関するものである。
油圧ショベルを例にとって背景技術を説明する。
油圧ショベルは、図7,8に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が地面に対して鉛直な縦軸Oまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体2のアッパーフレーム3の左右一側(一般的な左側の場合で説明する)にオペレータが搭乗する操縦室としてのキャブ4が設けられるとともに、このキャブ4の右側にブーム5を備えた作業アタッチメント6が起伏自在に取付けられて成っている。
図7中、7はアッパーフレーム3の後端部に設けられたカウンタウェイトである。
この油圧ショベルにおいて、機械の転倒(横転)時に、キャブ4にブーム5側(右側)に作用する横荷重W(図8参照)に対して、キャブ内にDLV(Deflection-Limiting Volume)と称されるオペレータ空間が確保されるようにキャブ4の変形(変位といわれる場合もある。図8中に二点鎖線で示す)を抑制し得ることがキャブ規格(ROPS)として定められている。
このROPS規格をクリアするための構成として、特許文献1,2に示されているようにブーム5の側面等に荷重伝達部材を設け、キャブ4からの横荷重Wをこの荷重伝達部材を介して荷重受け部材(ブーム5、またはブーム5等に取付けられた専用部材)に伝える構成をとるものが公知である。
特開2008−105669号公報 特開2008−291541号公報
ところが、公知技術によると、キャブ4が荷重伝達部材に接触した時点から直ちに横荷重を荷重受け部材に伝える構成、すなわち、荷重伝達部材によってキャブ4と荷重受け部材の接触を早めるだけの構成であるため、荷重のエネルギーそのものを低減することはできない。
このため、キャブ4のブーム側への移動を抑えることはできても、キャブ4の変形を抑えるという点ではなお不十分であった。
そこで本発明は、横荷重のエネルギーを吸収する機能を発揮してキャブの変形抑制効果を高めることができる建設機械を提供するものである。
請求項1の発明は、下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直な縦軸まわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体に、ブームを備えた作業アタッチメントが取付けられるとともに、この作業アタッチメントの左右片側にオペレータが搭乗するキャブが設けられた建設機械において、機械転倒時に上記キャブに作用するブーム方向への横荷重を受け止める荷重受け部材と、上記横荷重を上記キャブから荷重受け部材に伝える荷重伝達部材とを有し、この荷重伝達部材は、上記荷重受け部材との間にクリアランスが形成される状態で上記ブームに設けられたものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成において、上記荷重伝達部材は、ブームに対する取付点を支点として、上記クリアランスの範囲で弾性変形し得る状態で上記ブームに取付けられたものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、上記荷重伝達部材は、上記荷重受け部材側に突出する突片を有し、この突片と荷重受け部材との間に上記クリアランスが形成される状態でブームに設けられたものである。
請求項4の発明は、請求項3の構成において、上記ブームが、天板と、底板と、左右両側板とによって構成され、上記荷重伝達部材は、上記突片が上記荷重受け部材としてのブームの天板のキャブ側の端面に対してクリアランスを介して対向する状態でブームに取付けられたものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、上記荷重伝達部材に、同部材の後方からの荷重を受ける後側受け面が設けられたものである。
請求項6の発明は、請求項5の構成において、上記後側受け面が、上から見てブーム基端側に向かって先下がりの傾斜面に形成されたものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの構成おいて、上記荷重伝達部材が、本体と、ブームに取付けられる取付部とから成り、上記本体が、周囲が閉じた箱状に構成されたものである。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの構成において、上記荷重伝達部材が上記ブームに対して着脱自在に取付けられたものである。
本発明によると、機械転倒時にキャブに作用する横荷重を荷重伝達部材を介して荷重受け部材に伝える構成を前提として、荷重伝達部材を、荷重受け部材との間にクリアランスが形成される状態でブームに設けたから、荷重伝達部材がクリアランスの範囲で変形した後、荷重受け部材に接触して荷重伝達作用が開始される。
すなわち、クリアランス内での荷重伝達部材の変形作用によって横荷重のエネルギーが吸収され、このエネルギー吸収機能によってキャブにかかる荷重そのものを低減させることができる。
このため、キャブの変形を抑える点の効果を高めることができる。
この場合、請求項2の発明によると、荷重伝達部材がブームに対する取付点を支点に弾性変形してエネルギー吸収機能を発揮するため、塑性変形によって同機能を得る構成とした場合と比較して、荷重伝達部材の強度のばらつきや荷重のかかり方等にかかわらず、ほぼ同方向に確実に変形してエネルギー吸収機能及び荷重伝達機能を果たす。
請求項3,4の発明によると、荷重伝達部材に突片を設け、この突片と荷重受け部材との間にクリアランスを形成したから、荷重受け部材に接触する部分が突片に特定されることから、荷重伝達作用が確実となる。また、クリアランスの寸法管理が容易で荷重伝達部材のブームへの取付けが簡単となる。
この場合、請求項4の発明によると、ブームが天、底、左右両側の各板で構成される場合に、突片がブーム天板のキャブ側の端面に接触する構成としたから、荷重受け部材(天板8)そのものが変形するおそれがなく、キャブ変形抑制効果が確実となる。
ところで、図7,8に示す油圧ショベルにおいて、上部旋回体2の後端部に大重量のカウンタウェイト7が設けられているため、機械が真横ではなく、キャブ4の左後側が先に着地する態様でねじれ気味に転倒し、キャブ4に斜め後方から荷重が加わる可能性がある。
この場合、請求項5,6の発明によると、荷重伝達部材に、後方からの荷重を受ける後側受け面を設けたから、上記荷重に対してもエネルギー吸収機能及び荷重伝達機能を発揮させることができる。
とくに、後側受け面を垂直面ではなく、上から見てブーム基端側に向かって先下がりの傾斜面に形成した請求項6の発明によると、キャブの変形の仕方にばらつきがあっても後側受け面がキャブに確実に接触してエネルギー吸収機能及び荷重伝達機能を発揮する。
請求項7の発明によると、荷重伝達部材を、周囲が閉じた箱状の本体と、ブームに取付けられる取付部とによって構成したから、同部材全体として軽量で、ブーム総重量の増加を抑えながら必要な強度及び剛性を確保し、荷重伝達機能を確実に発揮させることができる。
請求項8の発明によると、荷重伝達部材をブームに対して着脱自在に取付けたから、ROPS規格を他の構成(たとえばキャブに補強フレームを取付ける構成)でクリアする機械や、同規格の対象外となる機械については荷重伝達部材を取外したり、ユーザーの要望に応じてさらに大強度のものに取り替えたりすることができる。
本発明の実施形態にかかる油圧ショベルのアッパーフレームとブームの一部の斜視図である。 図1の一部拡大図である。 図2の側面図である。 同平面図である。 図4のV−V線断面図である。 (a)は図5の状態からキャブが荷重伝達部材に接触した状態、(b)はさらに荷重伝達部材が弾性変形してブームに接触した状態をそれぞれ示す図5相当図である。 油圧ショベルの全体概略斜視図である。 同正面図である。
本発明の実施形態を図1〜図6によって説明する。
実施形態において、図7,8に示す部分と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
実施形態では、ブーム5を荷重受け部材とし、機械転倒時にキャブ4に作用する横荷重をブーム5で受け止める構成をとっている。
ブーム5は、天、底板8,9と左右両側板10,11とによって箱形に構成され、基端部が、図7,8に示す上部旋回体2のアッパーフレーム3にブームフットピン12によって取付けられている。これにより、ブーム5がブームフットピン12を中心として起伏自在となっている。
このブーム5における基端側の左側面、すなわち、ブーム5を最大限またはその近くに倒した状態でキャブ4の右前側の上部と対向する側面(左側板10)に、荷重伝達部材13がキャブ4の右側面と近接対向する状態で設けられている(図5参照)。
この荷重伝達部材13は、図2以降に詳しく示すように、周囲(上下、左右、前後の各面)が閉じた箱状の本体14と、この本体14のブーム側の側面(右側面)に設けられた板状の取付部15とから成り、次のように取付けられている。
(I) 取付部15は、下部が本体14よりも下方に突出する状態で本体14に取付けられ、この取付部15の、下方突出部分(部材全体の下部)が、ブーム5の左側板10に溶接等で固定された厚板状の上下両側取付座16,17に上下各複数本のボルト18…によって取付けられている。
これにより、荷重伝達部材13が、対ブーム取付点(正確には上側取付座16に対する取付部分)を支点として左右方向に弾性変形し得る状態となり、かつ、ボルト18の着脱によってブーム5に対して着脱し得る状態となっている。
(II) 取付部15のブーム側の面(右側面)の中間上部寄りの位置に、ブーム側に突出する突片19が、荷重伝達部材13の前後方向のほぼ全幅に亘って設けられ、この突片19と、ブーム天板8のキャビン側(左側)端面8aとの間にクリアランスcが形成されている。
これにより、荷重伝達部材13が、ブーム側にクリアランスcの範囲で弾性変形し得る状態となっている。
また、本体14の後側に、上から見てブーム基端側に向かって先下がりの傾斜面となった後側受け面20が形成されている。
この構成において、機械の転倒時に、図6(a)に示すようにキャブ4に横荷重Wが加えられると、まず、キャブ4が傾いて荷重伝達部材13の本体14に接触し、横荷重Wが同部材13に伝達され始める。
この段階では突片19とブーム天板8の左端面8aとの間にクリアランスcが保たれている。
次の段階では、図6(b)に示すように横荷重Wによって荷重伝達部材13がブーム側(右側)に弾性変形し、クリアランスcが無くなった時点から横荷重Wがブーム5に伝えられる。
これにより、横荷重Wがブーム5で受け止められるため、キャブ4のそれ以上の変形(横移動)が抑制され、キャブ4内のDLVが確保される。
また、機械の転倒の仕方によってキャブ4に後方荷重が作用した場合は、キャブ4の右前側の上部が荷重伝達部材13の後側受け面20に接触するため、この後方荷重も同部材13に加えられ、かつ、同部材13を介してブーム5に受け止められる。
このように、機械の転倒時に、荷重伝達部材13がクリアランスcの範囲で弾性変形した後、荷重受け部材としてのブーム5に接触して荷重伝達作用が開始される構成としたから、荷重伝達部材13の弾性変形作用によって横荷重Wのエネルギーが吸収され、このエネルギー吸収機能によってキャブ4にかかる横荷重Wそのものを低減させることができる。
このため、キャブ4の変形を抑える点の効果を高めることができる。
この場合、荷重伝達部材13が塑性変形ではなく、ブーム5に対する取付点を支点とする弾性変形によってエネルギー吸収機能を発揮するため、塑性変形によって同機能を得る構成とした場合と比較して、荷重伝達部材13の強度のばらつきや荷重のかかり方等にかかわらず、ほぼ同方向に確実に変形してエネルギー吸収機能及び荷重伝達機能を果たす。
また、荷重伝達部材13に突片19を設け、この突片19とブーム5との間にクリアランスcを形成したから、ブーム5に接触する部分が突片19に特定されることから、荷重伝達作用が確実となる。また、クリアランスcの寸法管理が容易で荷重伝達部材13のブーム5への取付けが簡単となる。
この場合、突片19がブーム天板8のキャブ側の端面8aに接触する構成としたから、荷重受け部材(ブーム天板8)そのものが変形するおそれがなく、キャブ変形抑制効果が確実となる。
さらに、カウンタウェイト7の影響によって機械が真横ではなく、キャブ4の左後側が先に着地する態様でねじれ気味に転倒し、キャブ4に斜め後方から荷重が加わった場合にも、後側受け面20によってエネルギー吸収機能及び荷重伝達機能を発揮させることができる。
とくに、後側受け面20を垂直面ではなく、上から見てブーム基端側に向かって先下がりの傾斜面に形成したから、キャブ4の変形の仕方にばらつきがあっても後側受け面20がキャブ4に確実に接触してエネルギー吸収機能及び荷重伝達機能を発揮する。
加えて、荷重伝達部材13を、周囲が閉じた箱状の本体14と、ブーム5に取付けられる取付部15とによって構成したから、同部材13全体として軽量で、ブーム総重量の増加を抑えながら必要な強度及び剛性を確保し、荷重伝達機能を確実に発揮させることができる。
また、荷重伝達部材13をブーム5に対して着脱自在にボルト止めしたから、ROPS規格を他の構成(たとえばキャブ4に補強フレームを取付ける構成)でクリアする機械や、同規格の対象外となる機械については荷重伝達部材13を取外したり、ユーザーの要望に応じてさらに大強度のものに取り替えたりすることができる。
他の実施形態
(1) キャブ4に作用する横荷重Wを荷重受け部材に伝達する構成に関して、上記実施形態では、横荷重Wを荷重伝達部材13の突片19を介してブーム天板8の左端面8aに伝達する構成をとったが、横荷重Wを突片19を介してブーム左側板10、もしくはブーム5に設けられた油圧配管や配管用ブロック、またはブーム5やアッパーフレーム3に取付けた専用の荷重伝達部材に伝達する構成をとってもよい。
また、突片19ではなく、荷重伝達部材13の本体14を荷重受け部材に接触させてエネルギー吸収作用及び荷重伝達作用を行わせる構成をとってもよい。この場合、本体14と荷重受け部材との間にクリアランスcを形成することになる。
(2) 横荷重Wのエネルギーを荷重伝達部材13で吸収する構成に関して、上記実施形態のように同部材13の弾性変形を利用するのが望ましいが、同部材13の塑性変形を利用する構成をとってもよい。
(3) 荷重伝達部材13の後側受け面20を垂直(ブーム長さ方向に対して直角)に設けてもよい。
(4) 本発明は油圧ショベルに限らず、ハイブリッド式のショベルや電気ショベル(バッテリを動力源とするバッテリショベルを含む)、ショベルを母体として構成される解体機や破砕機等を含めて、キャブとブーム付きの作業アタッチメントとを備えた建設機械に広く適用することができる。
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 アッパーフレーム
4 キャブ
5 荷重受け部材としてのブーム
6 作業アタッチメント
8 ブーム天板
8a ブーム天板の左端面
9 ブーム底板
10 ブーム左側板
11 ブーム右側板
13 荷重伝達部材
14 荷重伝達部材の本体
15 同取付部
16,17 上下両側取付座
18 ボルト
19 突片
20 後側受け面
c クリアランス
W 横荷重

Claims (8)

  1. 下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直な縦軸まわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体に、ブームを備えた作業アタッチメントが取付けられるとともに、この作業アタッチメントの左右片側にオペレータが搭乗するキャブが設けられた建設機械において、機械転倒時に上記キャブに作用するブーム方向への横荷重を受け止める荷重受け部材と、上記横荷重を上記キャブから荷重受け部材に伝える荷重伝達部材とを有し、この荷重伝達部材は、上記荷重受け部材との間にクリアランスが形成される状態で上記ブームに設けられたことを特徴とする建設機械。
  2. 上記荷重伝達部材は、ブームに対する取付点を支点として、上記クリアランスの範囲で弾性変形し得る状態で上記ブームに取付けられたことを特徴とする請求項1記載の建設機械。
  3. 上記荷重伝達部材は、上記荷重受け部材側に突出する突片を有し、この突片と荷重受け部材との間に上記クリアランスが形成される状態でブームに設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械。
  4. 上記ブームが、天板と、底板と、左右両側板とによって構成され、上記荷重伝達部材は、上記突片が上記荷重受け部材としてのブームの天板のキャブ側の端面に対してクリアランスを介して対向する状態でブームに取付けられたことを特徴とする請求項3記載の建設機械。
  5. 上記荷重伝達部材に、同部材の後方からの荷重を受ける後側受け面が設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械。
  6. 上記後側受け面が、上から見てブーム基端側に向かって先下がりの傾斜面に形成されたことを特徴とする請求項5記載の建設機械。
  7. 上記荷重伝達部材が、本体と、ブームに取付けられる取付部とから成り、上記本体が、周囲が閉じた箱状に構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の建設機械。
  8. 上記荷重伝達部材が上記ブームに対して着脱自在に取付けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の建設機械。
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