JP2011026559A - 波長選択吸収性硬化性樹脂組成物 - Google Patents

波長選択吸収性硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】特定波長の光を選択的に吸収するとともに耐熱性が高く、製造工程で高温になる製品や、高温環境下で使用される用途にも好適に用いることができる硬化物を形成する波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】可視光波長の光の選択吸収性を示す硬化物を形成する硬化性樹脂組成物であって、前記組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分を含み、硬化性樹脂がエポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須として構成されることを特徴とする波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、波長選択吸収性硬化性樹脂組成物に関する。より詳しくは、光学フィルム等の光学デバイス用途に好適に用いることができる波長選択吸収性硬化性樹脂組成物に関する。
近年、電気・電子機器分野や光通信分野において、近赤外線等の特定波長の光を利用した多くの製品が製造されており、これに伴い、特定波長の光を選択的に吸収する成型品も広く用いられるようになっている。これらの成型品には、それぞれの製品の用途毎に異なる光学特性が求められ、例えば、光学フィルム等の光学デバイス用途では、可視光を吸収しながら、近赤外線を透過する光学特性を有するものが求められることが多く、そのような特性を有する成型品が開発されている。このような特定波長の光を選択的に吸収する成型品としては、主としてアクリル系熱可塑性樹脂に特定波長の光を吸収する色素を添加して製造される樹脂の硬化物が一般に広く流通している。
しかしながら、アクリル系熱可塑性樹脂は熱変形温度が低く、吸水率も比較的大きいため、成型品にかかる熱や製品の使用環境によって変形や破損のおそれがあり、ハンダリフロー工程等の熱がかかる加工工程を含む製品の材料として使用することは難しく、成型加工方法や用途が限られるものである。近年、これらの耐熱性や耐湿性を改善する目的でアクリル系樹脂に代えてノルボルネン系熱可塑性樹脂をベースとする樹脂組成物も提案されており、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に近赤外線吸収剤を配合してなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)や、特定構造のノルボルネン誘導体よりなる単量体を原料として得られる重合体の水素添加物と光選択吸収剤が含有されてなる組成物から形成されてなる成型品の表面に更に光選択吸収層が形成されてなる光選択吸収性樹脂成型品であって、可視光領域の光を遮断しながら、近赤外線領域の光を透過する特性を有するもの等が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
その他、光学フィルム等の光学デバイス用途に用いられる樹脂組成物として、熱可塑性樹脂に染顔料を配合した組成物であって、厚み1mmの試験片で測定された、波長λ=808nmにおける光線透過率が65%以下であり、かつ波長λ=850nmにおける光線透過率が70%以上である熱可塑性樹脂組成物等が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平6−200113号公報(第1−2頁) 特開2000−26635号公報(第1−2頁) 特開2007−238800号公報(第1−3頁)
上述のように、アクリル系樹脂の耐熱性、耐湿性を改善する目的でノルボルネン系熱可塑性樹脂が用いられているが、ノルボルネン系熱可塑性樹脂を用いた場合であっても、高温時の形態安定性は高いとはいえず、また、波長選択吸収剤として添加する色素についても耐熱性に乏しいものが多いことから、耐熱性は充分とはいえない。このため、特定波長の光を選択的に吸収するとともに、耐熱性が高く、高温時における変形等も充分に抑制された硬化物を与える樹脂組成物について検討する工夫の余地があった。特に、このような樹脂組成物が用いられる光学デバイス用途においては、可視光領域の光を吸収し、近赤外線領域の光を透過する性質を有するものの需要が多く、そのような光学特性を有しながら、耐熱性にも優れた樹脂組成物が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、特定波長の光を選択的に吸収するとともに耐熱性が高く、製造工程で高温になる製品や、高温環境下で使用される用途にも好適に用いることができる硬化物を形成する波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、特定波長の光を選択的に吸収し、かつ、耐熱性に優れた硬化物を形成する樹脂組成物について種々検討したところ、樹脂組成物を硬化性樹脂と硬化剤成分とを含むものとし、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂と不飽和イミド化合物とを含むものとすると、得られる硬化物が可視光波長領域の光の良好な吸収性を示すとともに、近赤外線領域の光を高い透過率で透過する光学特性を発揮するものとなることを見出した。また、エポキシ樹脂と不飽和イミド化合物とを組み合わせることにより、エポキシ樹脂が本来有している耐熱性が更に向上し、得られる硬化物が高温環境下でも優れた形状安定性を有する耐熱性に優れたものとなるとともに、高温環境下におかれた後であっても、良好な光学特性を維持できることを見出した。また、本発明者は、波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を特定範囲の熱軟化温度を有するものとしたり、硬化剤としてアミン系硬化剤を含むものとしたりすることで硬化物の可視光波長の光の吸収性が高まり、可視光波長領域の光の吸収性により優れたものとなることや、組成物を更にシラン化合物を含むものとすることで、硬化物の耐熱性が更に向上することも見出した。更に本発明者は、樹脂組成物を硬化性樹脂、硬化剤成分と色素とを含むものとし、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂と不飽和イミド化合物を必須として構成されるものを用い、色素として可視光領域の光を選択的に吸収する色素を用いると、エポキシ樹脂と不飽和イミド化合物とを含むことと、特定の色素を含むこととの2つの要因に起因して、得られる硬化物が可視光波長領域の光の優れた吸収性を示すとともに、近赤外線領域の光を高い透過率で透過する光学特性を発揮するものとなることをも見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、可視光波長の光の選択吸収性を示す硬化物を形成する硬化性樹脂組成物であって、前記組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分を含み、硬化性樹脂がエポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須として構成されることを特徴とする波長選択吸収性硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分を含むものであるが、これらをそれぞれ1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、これらを含む限り、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分を含む場合、その他の成分の含有量は、硬化性樹脂と硬化剤成分の合計100質量%に対して0.5〜900質量%であることが好ましい。900質量%を超えると、樹脂組成物の粘度が上昇し、ハンドリング性が低下するおそれがある。また、波長選択吸収性硬化性樹脂組成物から形成される硬化物が充分な耐熱性や可視光波長の光の選択吸収性を示さなくなるおそれがある。より好ましくは、1〜850質量%である。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物が含む硬化性樹脂は、エポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須として構成されるものであるが、エポキシ樹脂100質量%に対して、不飽和イミド化合物を5〜400質量%含むものであることが好ましい。エポキシ樹脂と不飽和イミド化合物との配合割合がこのような範囲であると、本発明の組成物から得られる硬化物が耐熱性等の物性により優れたものとなる。より好ましくは、8〜350質量%であり、更に好ましくは、10〜300質量%である。
なお、後述するように、本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物が、不飽和イミド化合物にも該当するシラン化合物を含むものである場合、当該シラン化合物も不飽和イミド化合物に含めて上記比率を満たすことが好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール・クレゾール・キシレノール・ナフトール・レゾルシン・カテコール・ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のフェノール類とホルムアルデヒド・アセトアルテヒド・プロピオンアルデヒド・ベンズアルデヒド・ヒドロキシベンズアルデヒド・サリチルアルデヒド・ジシクロペンタジエン・テルペン・クマリン・パラキシリレングリコールジメチルエーテル・ジクロロパラキシリレン・ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;トリスフェノール型エポキシ樹脂;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・テトラエチレングリコール・PEG600・プロピレングリコール・ジプロピレングリコール・トリプロピレングリコール・テトラプロピレングリコール・ポリプロピレングリコール・PPG・グリセロール・ジグリセロール・テトラグリセロール・ポリグリセロール・トリメチロールプロパン及びその多量体・ペンタエリスリトール及びその多量体・グルコース・フルクトース・ラクトース・マルトース等の単/多糖類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3′,4′−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸・ヘキサヒドロフタル酸・安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸・メラミン・ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、波長選択吸収性硬化性樹脂組成物が後述する熱軟化温度を満たすもの、及び、ポリエーテル変性のものが好ましい。より好ましくは、ポリエーテル変性のものである。
本発明における波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、熱軟化温度が−100〜100℃であることが好ましい。波長選択吸収性硬化性樹脂組成物として熱軟化温度がこのような範囲にあるものを用いると、可視光の選択吸収性をより高めることができる。より好ましくは、熱軟化温度が−80〜80℃のものであり、更に好ましくは、−60〜60℃ある。
波長選択吸収性硬化性樹脂組成物の熱軟化温度は、例えば、環球式自動軟化点試験器(ASP−MG、メイテック社製)を用いた環球式軟化点試験法により求めることができる。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物においては、エポキシ樹脂又は硬化剤成分の少なくとも一方がポリエーテル変性構造を有するものであることが好ましい。エポキシ樹脂又は硬化剤成分の少なくとも一方がポリエーテル変性構造を有することで可視光の選択吸収性をより高めることができる。すなわち、本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物においては、ポリエーテル変性エポキシ樹脂及び/又はポリエーテル変性構造を有する硬化剤を含むものであることが好ましい。より好ましくは、ポリエーテル変性エポキシ樹脂を含むものである。
本発明におけるポリエーテル変性エポキシ樹脂とは、構造中に下記式:
−(RO)α
(Rは、炭化水素基を表す。αは、2以上の自然数を表す。)で表される構造部位を少なくとも1つ有するエポキシ樹脂である。式中、Rは、炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4の炭化水素基である。αは、2〜10であることが好ましい。より好ましくは、2〜6である。
本発明におけるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が100〜5000g/molであることが好ましい。より好ましくは、120〜1500g/molであり、更に好ましくは、150〜1000g/molである。
本発明における不飽和イミド化合物は、下記一般式;
Figure 2011026559
(式中、Rは少なくとも一つの重合性炭素−炭素不飽和結合を有しており、かつ炭素水素基、芳香族化合物の環構造を有する基、複素環式化合物の環構造を有する基、脂環式化合物の環構造を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを表す。)で表される環式イミド基を分子中に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上有する化合物である。このような化合物を本発明中における不飽和イミド化合物として定義する。これらの不飽和イミド化合物は単独で付加重合を起こしにくいため、不飽和結合の電子密度e値に差がある2種以上を配合する、あるいは他の不飽和化合物とともに配合すると架橋構造を構築しやすくなり、耐熱性をより高めるので好ましい。
上記式中、Rとしては例えば、ビニル基(マレイミド)、ノルボルネンの2価基(ナジミイド、アルケニル置換ナジイミド)、アルケニル置換フェニレン基、アルケニル置換ナフチリデン基、アルケニル置換シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等がある。
上記不飽和イミド化合物と配合する他の不飽和化合物としては、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、スチレン、α−メチルスチレン、trans−スチルベン、ビニルフェロセン、4−ビニルピリジン、2−イソプロペニルナフタレン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、インドール、ベンゾフラン、フラン、ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2−ピラン、4H−クロメンに代表される環状ビニルエーテル、酢酸フルフリルに代表されるフラン誘導体、n−オクタデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルに代表されるアルキルビニルエーテル、ケテンアセタール、酢酸イソプロペニル、1−アミノ−1−メトキシエチレンに代表されるケトン、エステル、ラクトン、アルデヒド、アミド、ラクタム等のカルボニル化合物のエノールエーテル、エノールエステル、アリルアセテート、ビニルアセテート、1,2−ジメトキシエチレン、p−ジオキセン、2−クロロエチルビニルエーテル、2−フュニルビニルアルキルエーテル、2−フェニルアルケニルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルアルケニルエーテル、エチルビニルスルフィド、スチリルアルケニルチオエーテル、p−オキサジエン、シクロペンチン、シクロヘキセン、ジビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、ジメチルジビニルシラン等が好適である。
本発明における不飽和イミド化合物としては、マレイミド化合物が好ましい。マレイミド化合物としては1分子中に2個以上マレイミド基を有する化合物ならば全て使用可能である。モノマレイミド化合物は毒性が強く、本発明に使用するには好ましくない。
上記マレイミド化合物としては、ビスマレイミド、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N’−p,p’−ジフェニルジメチルシリルビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−メチレンビス(3−クロロ−p−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’−ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’−m−キシレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、N−フェニルマレイミドとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアルデヒドなどのアルデヒド化合物との共縮合物が好適である。また、下記一般式:
Figure 2011026559
(式中、Rは、
Figure 2011026559
又は、
Figure 2011026559
よりなる2価の基を表す。Qは、2つの芳香環に直結する基であり、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、6フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基及びオキシド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。)で表されるビスマレイミド化合物が好適である。具体的には、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、下記一般式:
Figure 2011026559
(式中、Qは、置換基があってもよい芳香環からなる2価の基を表す。nは、繰り返し数を表し、平均で0〜10の数である。)で表される化合物等が好適である。上記Qとしては、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の基の2価の基(フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチリデン基等)が好ましい。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂中のエポキシ樹脂100質量%に対して硬化剤成分を10〜1000質量%含むものであることが好ましい。硬化剤成分の含有量が10質量%より少ないか、又は、1000質量%より多いと、硬化物が充分に硬化しないおそれがある。より好ましくは、エポキシ樹脂100質量%に対して15〜800質量%であり、更に好ましくは、20〜500質量%である。
本発明における硬化剤成分としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の多価フェノール化合物等のフェノール系硬化剤;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類;トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス−(アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルスルホン、トルエンジアミン、1,3−ジアミノ−2,4−ジエチルトルエン、ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)メタン並びにこれらの誘導体等のアミン系硬化剤、及び、これらにポリエーテル構造を導入したもの等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記硬化剤成分の中でも、上述したようにポリエーテル構造を導入したものが好ましい。ポリエーテル構造を導入したものの中では、フェノール系硬化剤にポリエーテル構造を導入したものがより好ましい。
また、アミン系硬化剤も好ましい。すなわち、硬化剤成分がアミン系硬化剤を含むものであることは、本発明の好ましい実施形態の1つである。硬化剤成分がアミン系硬化剤を含むものであると、可視光の選択吸収性をより高めることができる。アミン系硬化剤としては、耐熱性が向上することから芳香族アミンが好ましく、上述したものの中でも、1,3−ジアミノ−2,4−ジエチルトルエン、ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)メタン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス−(アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルスルホン、トルエンジアミン及びこれらの誘導体が好ましい。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、更に硬化のための硬化促進剤を含むことが好ましく、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジルフェニル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物;ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’−ジメチルピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。
硬化促進剤の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物における含有量としては、エポキシ樹脂100質量%に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.2〜5質量%である。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物におけるエポキシ当量は、100〜5000g/molであることが好ましい。より好ましくは、120〜1500g/molであり、更に好ましくは、150〜1000g/molである。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、更にシラン化合物を含むものであることが好ましい。シラン化合物を含むことで、樹脂組成物から得られる硬化物が更に耐熱性に優れたものとなり、高温環境下において、また、高温下におかれた後、常温に戻された後であっても、より優れた形状安定性と光学特性を発揮するものとすることができる。シラン化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
なお、本発明におけるシラン化合物としては、下記のようにシロキサン結合とイミド結合とを有するものと、イミド結合を有さないものとがあるが、イミド結合を有さないものは、下記平均組成式におけるa=0の場合に該当する。
上記シラン化合物としては、シロキサン結合とイミド結合とを有するものが好ましい。シラン化合物がこのようなものであると、優れた耐熱性を発揮するものとなる。
シロキサン結合とイミド結合とを有するシラン化合物としては、下記平均組成式:
XaYbZcSiOd
(式中、Xは、同一若しくは異なって、イミド結合を含む有機骨格を表し、Zは、同一若しくは異なって、イミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表される形態が好ましい。すなわち、Xの係数aは、0<a≦3の数であり、Yの係数bは、0≦b<3の数であり、Zの係数cは、0≦c<3の数である。Oの係数dは、0<d<2である。
上記平均組成式:XaYbZcSiOdにおいて、Yとしては、水酸基、OR基であることが好ましい。より好ましくは、OR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基であるOR基である。また、Zとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの芳香族残基、不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは置換基があってもよい。より好ましくは、置換基があってもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基などの芳香族残基である。
上記シラン化合物は、例えば、
Figure 2011026559
(式中、X、Y及びZは、同一若しくは異なって、上述と同様である。n及びnは、重合度を示し、nは、0でない正の整数であり、nは、0又は正の整数である。)で示される。なお、Y/Z−は、Y又はZが結合していることを表し、X1〜2−は、Xが1又は2個結合していることを表し、(Z/Y)1〜2−は、Z又はYが1個結合するか、Z又はYが2個結合するか、Z及びYが1個ずつ、合計2個結合することを表す。Si−(X/Y/Z)は、X、Y及びZから選ばれる任意の3種がケイ素原子に結合していることを示す。上記式において、Si−OmとSi−Omは、Si−OmとSi−Omの結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−OmとSi−Omが交互又はランダムに共縮合している形態、Si−OmからなるポリシロキサンとSi−Omのポリシロキサンが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
上記シラン化合物としては、上記平均組成式:XaYbZcSiOdで表すことができるが、該シラン化合物のシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。(SiO以外の構造は、イミド結合を有する有機骨格(イミド結合を必須とする構造)X、水素原子、水酸基等のY、イミド結合を含まない有機基Zであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。上記(SiOにおいて、nは、重合度を表すが、該重合度は、主鎖骨格の重合度を表し、イミド結合を有する有機骨格は、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ず1つのイミド結合を有する有機骨格が存在していなくてもよい。また、イミド結合を有する有機骨格は、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、上述したように、1つのケイ素原子に2以上のイミド結合を有する有機骨格が結合していてもよい。これらは、以下においても同様である。
上記主鎖骨格(SiOにおいて、mは、1.0以上2.0未満の数であることが好ましい。より好ましくは、m=1.5〜1.8である。
上記nは、重合度を表し、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは、1〜2000であり、更に好ましくは、1〜1000であり、特に好ましくは、n=1〜200である。
上記nが2である場合のシラン化合物としては、ケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格が少なくとも1個結合してなる構成単位(構成単位(I))が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、
Figure 2011026559
(式中、AはY又はZであり、X、Y及びZは、上述と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(I)2つを含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(I)2つを含むホモポリマーの形態と、構成単位(I)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)がある。
本発明におけるシラン化合物(シラン化合物(i))は、上記構造を有するものであれば特に限定されないが、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(1):
Figure 2011026559
(式中、Rは、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(以下、シラン化合物(1)とも言う。)であることが好ましい。
なお、「上記平均組成式におけるXは、下記式(1)で表されるシラン化合物」とは、「上記平均組成式:XaYbZcSiOd(式中、X、Z、Y、a、b、c及びdは、上述のとおりである。)におけるXが式(1)である平均組成式を有するシラン化合物」を言う。以下、下記式(2)等においても同様である。
上記Rにおいて、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造とは、Rが芳香族化合物の環構造(芳香環)を有する基、複素環式化合物の環構造(複素環)を有する基及び脂環式化合物の環構造(脂環)を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを表す。Rとしては、フェニレン基、ナフチリデン基、ノルボルネンの2価基、(アルキル)シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等が好ましい。なお、Rがフェニレン基である場合、上記Xが下記式(2)で表されるシラン化合物となり、Rが(アルキル)シクロヘキシレン基である場合、上記Xが下記式(3)で表されるシラン化合物となり、Rがナフチリデン基である場合、上記Xが下記式(4)で表されるシラン化合物となり、Rがノルボルネンの2価基である場合、上記Xが下記式(5)で表されるシラン化合物となり、Rがシクロヘキセニル基である場合、上記Xが下記式(6)で表されるシラン化合物となる。
上記式(1)において、x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数である。
なお、x+yとしては、0以上10以下の整数であればよいが3〜7であることが好ましく、より好ましくは、3〜5であり、特に好ましくは、3である。
上記yとしては、0又は1であり、0であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(i)又は(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(2):
Figure 2011026559
(式中、R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(2)ともいう。)であることが好ましい。
上記R〜Rとしては、全てが水素原子である形態が好ましい。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(i)又は(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(3):
Figure 2011026559
(式中、R〜R12及びR9´〜R12´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(3)ともいう。)であることが好ましい。
上記R〜R12及びR9´〜R12´としては、R10若しくはR11がメチル基で残りの全てが水素原子である形態、又は、R〜R12及びR9´〜R12´全てが水素原子である形態、又は、R〜R12及びR9´〜R12´全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、R10又はR11がメチル基で残りの全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(i)又は(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(4):
Figure 2011026559
(式中、R13〜R18は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(4)ともいう。)であることが好ましい。
上記R13〜R18としては、全てが水素原子である形態、又は、全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(5):
Figure 2011026559
(式中、R19〜R24は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物であることが好ましい。
上記R19〜R24としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(i)又は(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(6):
Figure 2011026559
(式中、R25〜R28、R25´及びR28´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(6)ともいう。)であることが好ましい。
上記R25〜R28、R25´及びR28´としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(i)、シラン化合物(1)〜(6))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(7):
Figure 2011026559
(式中、R29は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。)で表されるシラン化合物であることが好ましい。
上記R29は、上記シラン化合物(1)において説明したRと同様であることが好ましい。
上記シラン化合物の特に好ましい形態としては、R29がフェニレン基であるポリ(γ−フタロイミドプロピルシルセスキオキサン)、R29がメチルシクロヘキシレン基であるポリ{γ−(へキサヒドロ−4−メチルフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン}、R29がナフチリデン基であるポリ{γ−(1,8−ナフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン}、R29がノルボルネンの2価基であるポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}、R29がシクロヘキセニル基であるポリ{(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン}である。これらの化合物の構造は、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSを測定して同定することができる。
上記シラン化合物の含有量としては、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100質量%に対して、5〜400質量%であることが好ましい。このような範囲とすることにより、優れた耐熱性を示すとともに、成型性にも優れた樹脂組成物となる。より好ましくは、8〜350質量%であり、更に好ましくは、10〜300質量%である。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物はまた、色素として波長400〜1050nmの領域における分光吸収極大波長が750nm以下であり、かつ波長650nmにおける吸光度を1とした場合に、波長800nmにおける吸光度が0.2以下である波長選択吸収性色素を含むものであることが好ましい。このような色素を含むと、得られる硬化物が可視光波長領域の光の優れた吸収性を示すとともに、近赤外線領域の光を高い透過率で透過する光学特性をより顕著に発揮するものとなる。
また、エポキシ樹脂と不飽和イミド化合物を必須として構成される硬化性樹脂と、このような特定の色素とを組み合わせたものとすることにより、エポキシ樹脂の骨格や樹脂を硬化させる際に用いられる硬化剤の種類に関わらず、充分な可視光領域の光の選択吸収性と耐熱性とを有する硬化物を形成することができ、使用される用途において要求される特性に応じて種々のエポキシ樹脂や硬化剤等を用いることのできる、設計の自由度の高い樹脂組成物とすることが可能となる。
すなわち、可視光波長の光の選択吸収性を示す硬化物を形成する硬化性樹脂組成物であって、上記組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分と共に色素を含み、上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須として構成され、上記色素は、波長400〜1050nmの領域における分光吸収極大波長が750nm以下であり、かつ波長650nmにおける吸光度を1とした場合に、波長800nmにおける吸光度が0.2以下である波長選択吸収性色素を必須とする波長選択吸収性硬化性樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
ここで、波長400〜1050nmでの分光吸収極大波長とは、波長400〜1050nmの領域において、最も高い吸光度を示す波長を意味する。したがって、色素の全波長領域における吸収極大波長が、400〜750nmの間にある場合には、当該波長が波長400〜1050nmでの分光吸収極大波長となる。色素の全波長領域における吸収極大波長が、400nm未満の領域にある場合には、400nmが、波長400〜1050nmでの分光吸収極大波長となる。650nmの吸光度に対する波長800nmの吸光度が0.2以上であると、800〜1000nmの近赤外光透過性が著しく損なわれる可能性があり、好ましくない。より好ましくは、0.1以下であり、更に好ましくは0.05以下である。
なお、色素の光の吸収強度は、以下のUV−Visスペクトル測定装置、条件により測定することができる。
機器:UV3100PC(島津製作所社製)
条件:測定波長領域400nm〜900nm、スリット幅8mm、1mm厚試験片
上記波長選択吸収性色素としては、上述の吸収特性を満たし、硬化性樹脂に均一に溶解または分散する物であれば特に限定されず、アントラキノン系、トリフェニルメタン系、ナフトキノン系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、スクアリリウム系、シアニン系、ポルフィリン系、アザポルフィリン系、フタロシアニン系、サブフタロシアニン系、キニザリン系、ポリメチン系、ローダミン系、オキソノール系、キノン系、アゾ系、キサンテン系、アゾメチン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリドン系、イソインドリノン系、インダンスロン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、キノリン系、トリフェニールメタン系等の通常用いられる色素化合物を広く使用することができる。これらの中でも後述する260℃の温度で3分加熱しても分解や変質しない耐熱性を有するものが好ましく、特にフタロシアニン系化合物が好ましい。
本発明の波長選択吸収性樹脂組成物は、上記のような波長選択吸収性色素としての機能を発揮する化合物を1種含むものであってもよく、2種以上含むものであってもよい。また、色素が2種以上の化合物から構成されるものであっても、色素全体として、上記のような光学特性を満たす物であれば、本発明における波長選択吸収性色素として使用することができる。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物における波長選択吸収性色素の含有量は、組成物全体100質量%に対して、0.001〜5質量%であることが好ましい。波長選択吸収性色素の含有量がこのような範囲であると、組成物から得られる硬化物が、優れた可視光波長の光の吸収性を示すものとなる。より好ましくは、組成物全体100質量%に対して、0.005〜3質量%であり、更に好ましくは、組成物全体100質量%に対して、0.01〜1質量%である。
上記波長選択吸収性色素は、250℃の温度で3分加熱しても、分解や変質しないものであることが好ましい。波長選択吸収性硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、用途によっては、ハンダリフロー工程に供されることがある。波長選択吸収性色素がこのような耐熱性の高いものであると、ハンダリフロー工程に供された後でも、色素が本来の光の吸収特性を維持することができ、組成物がエポキシ樹脂と不飽和イミド化合物とを含むことに加え、波長選択吸収性色素を含むことによる光の選択吸収性も充分に発揮されることになる。波長選択吸収性色素としては、より好ましくは、260℃の温度で3分加熱しても、分解や変質しないものであり、更に好ましくは、265℃の温度で3分加熱しても、分解や変質しないものである。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、可視光波長の光の選択吸収性を示す硬化物を形成するものであるが、可視光波長の光の選択吸収性を示すとは、可視光領域以外の領域に光の吸収性を示さない波長領域があり、かつ、可視光領域に含まれる波長の光のいずれかに吸収性を示すことである。また、可視光領域の光の少なくとも一部に吸収性を示すものであればよく、可視光領域以外の領域に光の吸収性を示さない波長領域がある限り、可視光領域の波長の光全体について吸収性を示す場合も本発明における光の選択吸収に該当する。可視光領域の波長の光全体を吸収する場合には、硬化物が可視光遮光性を有することになる。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、このような光学特性を有する硬化物を形成するものであるが、特に上記波長選択吸収性色素は、波長400〜1050nmの領域における分光吸収極大波長が750nm以下であり、かつ波長650nmにおける吸光度を1とした場合に、波長800nmにおける吸光度が0.2以下であるものであり、このような色素を含むことで、可視光波長領域における光の遮光性を示し、それより長波長の領域に光の吸収性を示さない波長領域を有する光学特性がより顕著に発揮されることになる。
なお、本発明においては、硬化物を通過する前後で光の強度が低下していれば、光の吸収性を示すことになるが、硬化物を通過する前後で光の強度が80%以上低下していることが好ましい。
光の強度の低下は、上述した色素の光の吸収強度測定と同じ装置、同じ条件により測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、150℃における粘度が0.01〜60Pa・sであることが好ましい。樹脂組成物がこのような適度な粘度有するものであると、注型する際のハンドリング性に優れたものとなる。より好ましくは、0.02〜40Pa・sである。
樹脂組成物の粘度は、例えば、B型粘度計((株)東京計器製)を用いて、150±1℃で測定することができる。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、耐熱性に優れることにより、高温に晒される環境下においても好適に用いることができ、良好な光学特性を発揮することができる。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、以下の条件で測定した硬化物の5%重量減少温度が270℃以上であることが好ましい。硬化物の5%重量減少温度がこのような値であると、優れた耐熱性を有しているということができる。より好ましくは、280℃以上である。
[硬化物の5%重量減少温度測定条件]
硬化物を切り出して測定用試料とし、熱重量分析(TGA)を以下の装置、条件により行い、硬化物の5%重量減少温度を測定する。
測定機器:TG−DTA2000SA(Bruker AXS社製)
条件:温度領域30〜500℃、昇温速度10℃/min、流通ガス乾燥空気100ml/min、秤量10〜20mg、試料形状縦3mm×横3mm×厚さ1mm直方体
本発明はまた、可視光波長の選択吸収性を示す硬化物を形成する硬化性樹脂組成物であって、該組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分を含み、該硬化物は、厚さ1mmの試験片の波長650nmの光透過率が20%以下であり、波長800nmの光透過率が50%以上であって、かつ、熱重量分析による5%重量減少温度が270℃以上であることを特徴とする波長選択吸収性硬化性樹脂組成物でもある。
硬化性樹脂及び硬化剤成分を含む樹脂組成物であって、その硬化物がこのような光学特性を有するものであれば、可視光遮光性と近赤外線領域の光透過性が要求される光デバイス用途に好適に用いることができ、また、このような耐熱性を有するものであると、従来のアクリル系熱可塑性樹脂等を用いた樹脂組成物を使用することができなかった耐熱性が要求される用途にも好適に用いることができ、より幅広い用途への適用が可能となる。
以下においては、この特性を満たす波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を本発明の第2の形態の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物と記載し、上述した、エポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須とする硬化性樹脂と硬化剤成分とを含み、可視光波長の光の選択吸収性を示す硬化物を形成する波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を本発明の第1の形態の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物と記載する。
本発明の第2の形態の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物において、硬化物の波長650nmの光透過率は、20%以下であるが、好ましくは、15%以下である。また、波長800nmの光透過率は、50%以上であるが、好ましくは、55%以上である。
硬化物の熱重量分析による5%重量減少温度は270℃以上であるが、好ましくは、280℃以上である。
硬化物の光透過率は、上述した測定方法により測定することができる。
硬化物の熱重量分析による5%重量減少温度は、上述と同様の方法により測定することができる。
上記光学特性、及び、耐熱性を満たす硬化物を形成する本発明の第2の形態の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須とする硬化性樹脂と硬化剤成分とを含む樹脂組成物であることが好ましい。すなわち、上述した本発明の第1の形態の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物が、本発明の第2の形態の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物の特性を有するものであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を硬化するための温度としては、70〜250℃が好ましい。より好ましくは、80〜200℃である。また、硬化時間としては、1〜15時間が好ましい。より好ましくは、3〜10時間である。
上述のようにして得られる硬化物としては、異形品等の成型体、フィルム、シート、ペレット等を挙げることができ、このような波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる成型体もまた、本発明の1つである。なお、波長選択吸収性硬化性樹脂組成物の硬化物中、不飽和イミド化合物とエポキシ樹脂とは、別々に硬化していても良いが、本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物の硬化物においては、互いに何らかの作用を及ぼし合って硬化しているものと推察される。すなわち、エポキシ樹脂のネットワークのすきまをイミド樹脂のネットワークが埋めるような形態をとり、お互いが絡まりあうような状態となるために、本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた耐熱性を示すこととなると考えられる。
本発明の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、上述の構成よりなり、可視光領域の光を吸収しながら近赤外線領域の光を透過するという、光学デバイス用途において求められるこの多い光学特性を有するとともに、優れた耐熱性を有し、光学デバイス用途の中でも、これまでのアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂に色素を添付した成型品では使用が難しかった高温環境下で使用される製品や、製造工程で高温になる製品の材料としても好適に用いることができる硬化物を形成する樹脂組成物である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記実施例及び比較例では、下記のようにして、評価、測定を行った。
(1)硬化物の光透過率測定
各実施例及び比較例で得られた成型物を、縦3mm×横3mm×厚さ1mm直方体の形状に切り出して測定用試料とし、UV−Visスペクトル測定を以下の装置、条件により行うことで、硬化物の光透過率を測定した。
機器:UV3100PC(島津製作所社製)
条件:測定波長領域400nm〜900nm、スリット幅8mm、1mm厚試験片
(2)硬化物の耐熱性評価
各実施例及び比較例で得られた成型物から測定用試料を切り出して、熱重量分析(TGA)を以下の装置、条件により行うことで、硬化物の5%重量減少温度を測定した。
機器:TG−DTA2000SA(Bruker AXS社製)
条件:温度領域30〜500℃、昇温速度10℃/min、流通ガス乾燥空気100ml/min、秤量10〜20mg、試料形状縦3mm×横3mm×厚さ1mm直方体
実施例1〜11、及び、比較例1、2
表1に示す組成を120℃で混合し、得られた樹脂組成物を平板ガラス(キャビティ間隔1mm)に注型した。180℃にて1時間硬化させて脱型した後、窒素雰囲気下で180℃、3時間硬化させ、縦10mm×横10mm×厚さ1mmの成型品を得た。なお、表1中の配合量はそれぞれ重量部で表されている。
得られた成型品のUV−Visスペクトル測定、及び、TGA分析により、各硬化物の光透過率、及び、5%重量減少温度を測定した。また、耐ハンダリフローを想定し、260℃、3分間のアニーリングを行い、その後のUV−Visスペクトル測定を行った。結果を表2〜4に示す。
Figure 2011026559
表1中で用いたエポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、不飽和イミド化合物、シラン化合物、色素、及び、硬化促進剤としては、それぞれ以下のものを用いた。また、これらの構造を以下に示す。
エポキシ樹脂A:トリスフェノール型エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名「EPPN501H」)
エポキシ樹脂B:ポリエーテル変性型エポキシ樹脂(DIC社製、商品名「EXA4850−150」)
エポキシ樹脂C:ポリエーテル変性型エポキシ樹脂
合成方法:攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた100mL4つ口フラスコに、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「EX−214L」)32.33gと、ビスフェノールA(東京化成工業社製)37.96gを投入し、乾燥窒素流通下で120℃まで昇温した。トリフェニルホスフィン(和光純薬社製)0.35gを投入して反応させながら徐々に昇温し、150℃で3時間反応させて透明な液状樹脂として得た。H−NMR、13C−NMRを測定し目的の化合物であることを確認した。
エポキシ樹脂D:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名「1004AF」)
フェノール系硬化剤A:ノボラック型フェノール樹脂(DIC社製、商品名「TD−2131」)
フェノール系硬化剤B:ポリエーテル変性フェノール樹脂
合成方法:攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた100mL4つ口フラスコに、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコールEX−850L」)32.46gと、ビスフェノールA(東京化成工業社製)37.96gを投入し、乾燥窒素流通下で120℃まで昇温した。トリフェニルホスフィン(和光純薬社製)0.35gを投入して反応させながら徐々に昇温し、150℃で3時間反応させて透明な黄色固定を得た。H−NMR、13C−NMRを測定し、目的の化合物であることを確認した。
フェノール系硬化剤C:ビフェニル型フェノール樹脂(日本化薬社製、商品名「GPH65」)
アミン系硬化剤:ジエチルトルエンジアミン(ETHYL社製、商品名「ETHACURE−100」)
不飽和イミド化合物A:4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド(大和化成工業杜製、商品名「BMI−7000」)
不飽和イミド化合物B:アニリン、ホルムアルデヒド及び無水マレイン酸の縮合物(大和化成工業社製、商品名「BMI−2300」)
不飽和イミド化合物C:
合成方法:攪拌装置、温度センサー、Dean−Stark trapを備え付けた200mL4つ口フラスコに、トルエン67.95gと、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル12.59gと、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物19.46gを投入し、室温で攪拌しながら乾燥窒素流通下で15分間反応させた。p−トルエンスルホン酸一水和物を投入し、98℃まで昇温して縮合水を回収しながら3時間反応後、120℃まで昇温して5時間保持した後に室温まで冷却した。得られた反応液をメタノールに投入し、沈殿物をろ過して固形分を濾出した。さらに得られた固形分をメタノールで洗浄後、再度濾過して白色固体を収率90%で得た。H−NMR、13C−NMRを測定し、目的の化合物であることを確認した。
シラン化合物:ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピル}シルセスキオキサン
合成方法:国際公開第08/099904号公報の明細書に準じて合成した。
色素A:フタロシアニン系色素(1)
色素B:フタロシアニン系色素(2)
色素C:サブフタロシアニン系色素
硬化促進剤A:1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(東京化成工業社製)
硬化促進剤B:2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(ナカライテスク社製、商品名「DMP−30」)
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上記実施例1〜8と比較例1、2との比較から、エポキシ樹脂と不飽和イミド化合物とを含む組成物から得られた硬化物は、可視光領域の光の吸収性(可視光遮光性)と近赤外線領域の光の透過性とを有し、かつ、耐熱性に優れたものとなることが確認された。また、実施例1〜5の比較から、エポキシ樹脂と不飽和イミド化合物とを含む組成物の中でも、ポリエーテル変性エポキシ樹脂を用いる、あるいは、アミン系硬化剤を用いることで可視光遮光性が向上し、これらを両方とも用いるのがなお良いことが確認された。更に、実施例5と実施例7との比較から、イミド化合物に加え、シラン化合物を含むものとすると、更に耐熱性が向上することが確認された。
また、実施例9〜11の結果から、エポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須とする硬化性樹脂と硬化剤成分と共に、可視光領域の光を吸収し、近赤外領域の光を吸収しない特性を有する特定の色素を含み、更にシラン化合物を含む樹脂組成物とすると、組成物がアミン系硬化剤を含まなくても、樹脂組成物から得られる硬化物は、可視光領域の光の吸収性(可視光遮光性)と近赤外線領域の光の透過性とを有し、かつ、耐熱性に優れたものとなることが確認された。特に、実施例9の結果から、組成物がアミン系硬化剤を含まず、また、エポキシ樹脂としてポリエーテル変性のものを用いなくても、優れた可視光領域の光の吸収性(可視光遮光性)と近赤外線領域の光の透過性とを有する硬化物が得られることが確認された。なお、実施例11では、波長600nmでわずかに光の透過が確認され、700nmでいったん透過が0となり、800nmで大きな光の透過が確認されているが、これは、色素の特性によるものである。
なお、上記実施例、比較例においては、エポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、不飽和イミド化合物、色素等の組成物中の各構成成分について、それぞれ1〜4種類を用いて組成物を製造した例が示されているが、これらの組成物中における基本的な作用機構は、すべて同様であることから、上記実施例、比較例の結果から、本明細書において開示した種々の形態について、本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。

Claims (7)

  1. 可視光波長の光の選択吸収性を示す硬化物を形成する硬化性樹脂組成物であって、
    該組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分を含み、
    硬化性樹脂がエポキシ樹脂及び不飽和イミド化合物を必須として構成されることを特徴とする波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
  2. 前記波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、熱軟化温度が−100〜100℃であることを特徴とする請求項1記載の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂又は硬化剤成分の少なくとも一方がポリエーテル変性構造を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤成分は、アミン系硬化剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
  5. 前記波長選択吸収性硬化性樹脂組成物は、更にシラン化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
  6. 可視光波長の選択吸収性を示す硬化物を形成する硬化性樹脂組成物であって、
    該組成物は、硬化性樹脂及び硬化剤成分を含み、
    該硬化物は、厚さ1mmの試験片の波長650nmの光透過率が20%以下であり、波長800nmの光透過率が50%以上であって、かつ、熱重量分析による5%重量減少温度が270℃以上であることを特徴とする波長選択吸収性硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の波長選択吸収性硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる成型体。
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