JP2011026479A - 燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バイオマスや廃棄物から製造された原料ガスであっても、高温燃料電池用の燃料ガスとして必要とされる水素を含む状態にされる実用的な燃料ガスを得る。
【解決手段】 炭化ガス化炉1からの原料ガスを高温分解装置2で高温の雰囲気に曝す前に原料ガスの性状に応じて水蒸気導入路11から水蒸気を添加し、熱分解性の不純物を除去すると共に水性シフト反応を生じさせ、原料ガスの組成を調整して水素を増加させ、高温燃料電池用の燃料ガスとして必要とされる水素を含む状態にされる実用的な燃料ガスを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、露点を上回る温度にガス温度を維持して運転する乾式法により不純物を除去して高温型燃料電池の燃料ガスとする燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法に関する。
近年、資源の有効利用や廃棄物の減量化が求められており、バイオマスから製造した原料ガスや廃棄物から製造した原料ガスを燃料ガスとすることが考えられている。多様な燃料ガスには環境に影響を与える不純物が含まれているため、多成分の不純物を除去して品質を高める、いわゆる燃料ガスの精製技術が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1では、湿式のガス精製を用いて、還元性ガス中の不純物を除去する有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置が提案されている。即ち、特許文献1で開示された技術は、アルカリ洗浄液を用いたスクラバによる水溶性の酸性ガス及びダストの除去、シフト反応装置(触媒反応器)によるCOのHへの変換、湿式脱硫装置によるHSやCOの除去、という工程を備えている。この技術では、廃棄物のガス化装置から、Hを含むアンモニア合成プロセス向けとしてアンモニア合成に適した組成の燃料ガスが得られる。
燃料ガスの精製技術の分野においては、特許文献1で提案されているように、不純物を除去してHを含むアンモニア合成プロセス向けとしてアンモニア合成に適した組成の燃料ガスを得ること、即ち、特定の組成の燃料ガスを得る技術が知られている。このため、環境に影響を与える不純物を除去して用途を特定した燃料ガスを得ることはできる。しかし、不純物が特定されていない種々の原料ガスから多成分の不純物を除去するため、高温型燃料電池用の燃料ガスとして適用できる実用的な燃料を得ることができないことがあるのが実情であった。
また、様々なバイオマスから製造した原料ガスや種々の廃棄物から製造した原料ガスの性状は、Hに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多いことがあり、そのような性状の原料ガスでは、MCFC9の反応に必要なHが不十分な燃料ガス(アノードガス)となる。すなわち、Hが少ないためMCFC9が発電性能を発揮するのに必要なHが不十分なだけではなく、水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)に必要なHOが少ないので、MCFC9ではCOを用いて発電しなければならず充分な発電性能が出せないという課題があった。
特開平10−236801号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物を高温の乾式法により一括して除去することができ、しかも、高温型燃料電池用の燃料ガスとして最適な燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法を提供することを目的とする。
特に、バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスにはタールやダイオキシン、重金属類、軽金属類、酸性ガス類等不特定の多種の不純物が含まれているが、このような、バイオマスや廃棄物から製造された原料ガスであっても、高温型燃料電池用の燃料ガスとして使用できるレベルに不純物が除去され、水素が主体となった実用的な燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の燃料ガス精製設備は、露点を上回る温度に原料ガスの温度を維持して運転する乾式法により、原料ガスから不純物を除去して高温型燃料電池用の燃料ガスとする燃料ガス精製設備において、前記原料ガスの性状に応じて前記原料ガスに水蒸気を添加することで前記原料ガスの組成を調整する水蒸気添加手段を備えたことを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、原料ガスの性状に応じて水蒸気添加手段により水蒸気を添加して水素濃度が高くなるように原料ガスの組成を調整するので、高温型燃料電池用の燃料ガスとして適用しやすい燃料ガスを得ることができる。この結果、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物を高温の乾式法により一括して除去することができ、しかも、高温型燃料電池用の燃料ガスとして最適な燃料ガスを得ることが可能になる。
そして、請求項2に係る本発明の燃料ガス精製設備は、請求項1に記載の燃料ガス精製設備において、前記原料ガスを高温雰囲気に曝すことで前記原料ガスに含まれる熱分解性の不純物を除去する高温分解手段を備え、前記水蒸気添加手段からの前記水蒸気を添加することで前記原料ガスの組成を調整することを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、熱分解性の不純物を除去する高温分解手段に水蒸気を添加して水性ガスシフト反応を促進し、燃料組成を調整して水素濃度が高い燃料ガスを得ることができる。
また、請求項3に係る本発明の燃料ガス精製設備は、請求項1に記載の燃料ガス精製設備において、前記水蒸気添加手段により水蒸気が添加された前記原料ガスの水性ガスシフト反応を行なわせることで、前記原料ガスの組成調整を行う改質手段を備えたことを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、改質手段により水蒸気が添加された原料ガスを水性ガスシフト反応させることで、燃料組成を調整して水素濃度が高い燃料ガスを得ることができる。
また、請求項4に係る本発明の燃料ガス精製設備は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料ガス精製設備において、前記原料ガスの性状を検出する性状検出手段を備え、前記性状検出手段により、前記原料ガス中のHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多いことが検出された際に、前記水蒸気添加手段により前記水蒸気が添加されることを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、性状検出手段によりHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多いことが検出された際に原料ガスに水蒸気を添加するので、水素濃度が高い燃料ガスを的確に得ることができる。
また、請求項5に係る本発明の燃料ガス精製設備は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料ガス精製設備において、前記原料ガスに含まれる固体・粒子不純物を物理的な濾過により除去する物理的濾過手段と、前記原料ガスに含まれるハロゲン化物を除去するハロゲン化物除去手段と、前記原料ガスに含まれる硫化物を除去する脱硫手段とを備えたことを特徴とする。
請求項5に係る本発明では、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物を高温の乾式法により一括して除去することができる。
上記目的を達成するための請求項6に係る本発明の燃料ガス精製設備の運転方法は、原料ガス中のハロゲン化物を除去し、ハロゲン化物が除去された前記原料ガスを流通させて重金属類を吸着剤に吸着させ、ハロゲン化物が除去された前記原料ガスを流通させて触媒により硫化物を除去する燃料ガス精製設備において、前記原料ガスの性状に応じて水蒸気を添加し、水性シフト反応を促進して前記原料ガス中の水素を増加させることを特徴とする。
請求項6に係る本発明では、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物を高温の乾式法により一括して除去することができ、しかも、高温型燃料電池用の燃料ガスとして最適な燃料ガスを得ることが可能になる。
本発明の燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法は、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物を高温の乾式法により一括して除去することができ、しかも、高温型燃料電池用の燃料ガスとして用いることができる燃料ガスを得ることが可能になる。
そして、発明の燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法は、特に、バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスにはタールやダイオキシン、重金属類、軽金属類、酸性ガス類等不特定の多種の不純物が含まれているが、このような、バイオマスや廃棄物等の不特定物から製造された原料ガスであっても、高温燃料電池用の燃料ガスとして使用できるレベルに不純物が除去されると共に、高温燃料電池用の燃料ガスとして必要とされる水素を含む状態にされる実用的な燃料ガスを得ることが可能になる。
本発明の第1実施例に係る燃料ガス精製設備の概略系統図である。 ガス組成の経時変化を表すグラフである。 ガス組成の経時変化を表すグラフである。 出力電圧の経時変化を表すグラフである。 出力電圧の経時変化を表すグラフである。 本発明の第2実施例に係る燃料ガス精製設備の概略系統図である。
本願発明は、石炭、重質油、オリマルジョン、紙ごみや生活廃棄物などの廃棄物、バイオマス、ゴミ固形燃料(Refuse Derived Fuel、RDF)、古紙と廃プラスチックからなる固形燃料(Refuse Paper and Plastic Fuel、RPF)等を部分酸化して得られた原料ガス、即ち、不純物として何が入っていても除去して高温燃料電池用の燃料ガスとして用いることができる燃料ガスを得る設備である。多成分の不純物を除去するにあたり、露点を上回る温度に原料ガスの温度を維持して除去が実施され(乾式法)、下流で除去する不純物が上流側の除去プロセスに悪影響を与えない(邪魔しない)システムが構築されている。
特に、バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスにはタールやダイオキシン、重金属類、軽金属類、酸性ガス類等不特定の多種の不純物が含まれているが、このような、バイオマスや廃棄物から製造された原料ガスであっても、高温燃料電池(溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池)用の燃料ガスとして使用できるレベルに不純物が除去されると共に、高温燃料電池用の燃料ガスとして必要とされる水素を含む状態の燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備としている。
図1に基づいて本発明の燃料ガス精製設備の第1実施例を説明する。図1には本発明の第1実施例に係る燃料ガス精製設備の系統の概略を示してある。
図1に示した燃料ガス精製設備は、バイオマスをガス化した原料ガスの温度を、露点を上回る温度で運転する乾式法により、原料ガスから不純物を除去すると共に、水素濃度が高い状態の燃料ガスにして高温型燃料電池である溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)の燃料として供給する設備を想定している。
バイオマス、紙ごみや生活廃棄物などの廃棄物等(ガス化原料)が炭化ガス化炉1で部分酸化され原料ガスが得られる。炭化ガス化炉1で得られた原料ガスは高温分解手段としての高温分解装置2に送られる。高温分解装置2では原料ガスを1000℃以上(1100℃〜1200℃)の高温雰囲気に曝すことで、原料ガスに含まれる熱分解性の不純物であるタール・芳香族炭化水素等の不飽和炭化水素及びダイオキシン類等の有機塩素化合物が除去される。
高温分解装置2で不純物処理を行うと、熱分解性の不純物のうちタールや炭化水素類に代表される有機化合物は、主にCOやH等の燃料成分に変換され、ダイオキシンに代表される有機塩素化合物は毒性が低減されて塩化水素等の不純物とCOやH等の燃料成分に変換される。
熱分解性の不純物が除去された原料ガスは物理的濾過手段としてのバグフィルター3に送られる。バグフィルター3は並列に2系統備えられ、交互に切り替えながら運転する。その際、バグフィルター3には粉末状のハロゲン化物除去剤(消石灰など)が吹き込まれて、バグフィルター3の表面をハロゲン化物除去剤が覆う状態(プレコート)にされている。バグフィルター3は1系統のみで運用することもできる。その際には、バグフィルター3には粉末状のハロゲン化物除去剤(消石灰など)が連続的に吹き込まれる。いずれの場合でもバグフィルター3ではダスト、チャー等の固体・粒子不純物である固体状不純物がハロゲン化物除去に使われた粉末状のハロゲン化物除去剤と共に除去される。この時、凝縮性の水銀等の重金属類単体や重金属類を含むガス状化合物等の重金属類や、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の揮発性の軽金属類が同時に除去される。
バグフィルター3で不純物が除去された原料ガスは昇圧機4で昇圧されて水銀除去器5に送られる。水銀除去器5には水銀除去剤として、例えば、銅を主体として水銀を吸収する銅系吸収剤が充填されている。原料ガスを水銀除去器5に流通させることにより、水銀単体・重金属類を含むガス状化合物が水銀除去剤に吸着され水銀が除去される。
尚、水銀除去剤として、触媒作用あるいは化学反応性を有する成分を担持させ水銀との化学反応により生成した塩を吸着することで水銀を除去する添着活性炭を用いることも可能である。
水銀が除去された原料ガスは複合反応器6に送られる。複合反応器6には、ハロゲン化物吸収剤7が充填されると共に、脱硫剤8が充填されている。原料ガスを複合反応器6に流通させることにより、ハロゲン化物・硫黄化合物等の酸性ガスが除去される(ハロゲン化物除去手段、脱硫手段)。
ハロゲン化物吸収剤7としては、バグフィルター3で用いられた消石灰(ハロゲン化物除去剤)よりも、ハロゲン化物を低濃度まで除去できるナトリウム系のハロゲン化物吸収剤が用いられ、消石灰で除去し切れなかったハロゲン化物が除去される。
脱硫剤8としては、例えば、酸化亜鉛系脱硫剤が用いられ、酸化亜鉛系脱硫剤は、硫化カルボニル(COS)や硫化水素(HS)等の硫黄化合物を極低濃度まで除去して、溶融炭酸塩型燃料電池等の高温燃料電池の燃料として要求される清浄度(HS+COS<1ppm)を達成することができる。酸化亜鉛系脱硫剤自体が水素化触媒の機能を持っているため、硫化カルボニル(COS)を始めとする有機硫黄化合物を除去することができる。
複合反応器6でハロゲン化物、硫黄化合物等の酸性ガスが除去されて精製された燃料ガスは、高温型燃料電池としての溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)9に供給される。尚、高温型燃料電池としては、固体酸化物型燃料電池(SOFC)を適用することも可能である。
上述した燃料ガス精製設備には、原料ガスの性状に応じて原料ガスに水蒸気を添加する水蒸気添加手段が備えられている。
具体的には、高温分解装置2の入口側には水蒸気導入路11が接続され、水蒸気導入路11には流量調整弁13が設けられている。流量調整弁13により水蒸気導入路11から導入される水蒸気の導入時期、導入量が制御される。水銀除去器5の上流側には原料ガスの性状であるガス成分を検出する性状検出手段としてのガスクロマトグラフィー12が備えられている。ガスクロマトグラフィー12で検出された原料ガスのガス成分に応じて流量調整弁13が動作され、原料ガスのガス成分に応じて水蒸気の導入時期、導入量が制御される。
高温分解装置2に送られる原料ガスに水蒸気が導入され、水蒸気が導入された原料ガスが高温分解装置2で高温雰囲気に曝されることにより、水蒸気により水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)が生じ、原料ガスの組成が調整される。水素濃度が高い燃料ガスを得るため、ガスクロマトグラフィー12で、原料ガス中のHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多いことが検出された際、流量調整弁13が制御されて水蒸気が導入される。
原料ガス中のHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多い場合、即ち、H及びHOが少ない場合、MCFC9の反応に必要なHが不十分な燃料ガス(アノードガス)となる。Hに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多い状態の原料ガスに水蒸気を導入することにより、水性ガスシフト反応(COとHとなる上式右側への反応)が促進され、水素濃度が高い燃料ガスを得ることができる。
ガス化される原料により、水素や水蒸気(H及びHO)の濃度が極端に低く、COやCOが主体となる原料ガスとなる場合がある。COやCOが主体となる燃料ガスとなった場合、Hを主燃料とする高温型燃料電池(MCFC9)では発電反応が遅くなり十分な発電性能が得られないことになる。
本実施例の燃料ガス精製設備では、高温分解装置2に送られる原料ガスに対し、ガスクロマトグラフィー12で検出された原料ガスの性状に応じて流量調整弁13を制御し、水蒸気導入路11から水蒸気を導入して水素濃度が高くなるように水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)を生じさせている。このため、原料ガスの性状に拘わらず水素濃度が高い燃料ガスを得ることができ、精製された燃料ガスをMCFC9に供給した際に、水素濃度が高い燃料ガスにより高い発電性能を維持することができる。
図2に基づいて水蒸気導入路11から水蒸気を導入した際の燃料ガスの状況を説明する。
図2には燃料ガスの成分(水素:H、一酸化炭素:CO、メタン:CH)濃度の経時変化を表すグラフを示してある。比較のため、図3には水蒸気を導入しない場合の燃料ガスの成分(水素:H、一酸化炭素:CO、メタン:CH)濃度の経時変化を表すグラフを示してある。
図2に示した燃料ガスの状況は、炭化ガス化炉で発生させた原料ガスを、燃料ガス精製設備で各種不純物を除去して精製すると共に、ガスクロマトグラフィー12で検出された原料ガスの性状に応じて流量調整弁13を制御し、水蒸気導入路11から水蒸気を導入して水素濃度が高くなるように水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)を生じさせたときの燃料ガスの状況である。
図2に示すように、水蒸気を導入して3時間が経過した時の燃料ガスの成分濃度は、Hが約9.5vol%であり、COが約10.0vol%であり、CHが約0.1vol%であった。水蒸気を導入して6時間が経過した時の燃料ガスの成分濃度は、Hが約13.0vol%であり、COが約13.0vol%であり、CHが約1.0vol%であった。そして、水蒸気を導入して7時間が経過した時の燃料ガスの成分濃度は、Hが約12.0vol%であり、COが約12.0vol%であり、CHが約1.0vol%であった。
従って、ガスクロマトグラフィー12で検出された原料ガスの性状に応じて流量調整弁13を制御し、水蒸気導入路11から水蒸気を導入して水素濃度が高くなるように水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)を生じさせていることにより、燃料ガスの水素濃度を長時間に亘り高く維持することができることが確認された。
これに対し水蒸気を導入しない場合の燃料ガスの成分濃度の経時変化を図3に基づいて説明する。
図3に示した水蒸気を導入しない場合の燃料ガスの成分濃度の経時変化は、炭化ガス化炉で発生させた原料ガスを、燃料ガス精製設備で各種不純物を除去して精製するところまでは同じであるが、ガスクロマトグラフィー12で検出された原料ガスの性状が流量調整弁13を制御すべき範囲に入っていても、あえて流量調整弁13を開けず水蒸気導入路11からは水蒸気を導入しない場合の燃料ガスの成分濃度の経時変化である。
図3に示すように、3時間が経過した時の燃料ガスの成分濃度は、Hが約7.0vol%であり、COが約12.5vol%であり、CHが約0.9vol%であった。6時間が経過した時の燃料ガスの成分濃度は、Hが約7.0vol%であり、COが約11.0vol%であり、CHが約1.2vol%であった。そして、7時間が経過した時の燃料ガスの成分濃度は、ガス化炉の運転条件変更によりガス化性能が低下したためHが約3.2vol%であり、COが約3.3vol%であり、CHが約0.5vol%であった。これにより、水蒸気を導入しない場合、燃料ガスの水素濃度が低いままで推移することが確認された。
図4に基づいて水蒸気導入路11から水蒸気を導入して精製された燃料ガスにより運転されたMCFC9の発電性能を説明する。
図4には図2に示した燃料ガスにより運転されたMCFC9の出力電圧と電流密度の経時変化を示してある。比較のため、図5には図3に示した燃料ガスにより運転されたMCFC9の出力電圧と電流密度の経時変化を示してある。
図4に示すように、水素濃度が高い(約10.0vol%〜約12.0vol%)燃料ガスにより運転されたMCFC9は、6時間が経過して7時間近くまで所定の電流密度(100mA/cm)で発電しても所定の出力電圧(900mV以上)が維持されていることが判る。これにより、長時間に亘り高い発電性能を維持することができることが確認された。
これに対し図3に示した燃料ガス(水蒸気を導入しない場合の燃料ガス)により運転されたMCFC9の出力電圧と電流密度の経時変化を図5に基づき説明する。
図5に示すように、水蒸気を導入しない場合の燃料ガスは水素濃度が低く(約6.0vol%〜約7.0vol%)、水素濃度が低い燃料ガスにより運転されたMCFC9は、所定の電流密度(100mA/cm)で発電すると、運転開始直後から出力電圧が漸減し、4時間を経過する前に出力電圧が下限値(600mV程度)近傍に低下することが判る。一旦発電を停止して出力電圧を回復させた場合であっても、1時間を経過する前に出力電圧が下限値(600mV程度)近傍に低下することが判る。これにより、水蒸気を導入しない場合の燃料ガスを用いると、長時間に亘り高い発電性能を維持することができないことが確認された。
バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスにはタールやダイオキシン、重金属類、軽金属類、酸性ガス類等不特定の多種の不純物が含まれているが、上述した燃料ガス精製設備を用いることにより、バイオマスや廃棄物から製造された原料ガスであっても、MCFC9の燃料ガスとして使用できるレベルに不純物が除去されると共に、MCFC9の燃料ガスとして必要とされる水素を含む状態にされる実用的な燃料ガスを得ることが可能になる。
図6に基づいて本発明の燃料ガス精製設備の第2実施例を説明する。図6には本発明の第2実施例に係る燃料ガス精製設備の系統の概略を示してある。
図6に示した燃料ガス精製設備は、石炭と酸化剤(酸素、空気)の反応により生成された石炭ガス化ガス(原料ガス)の温度を、露点を上回る温度で運転する乾式法により、石炭ガス化ガスから不純物を除去すると共に、水素濃度が高い状態の燃料ガスにして高温型燃料電池である溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)の燃料として供給する設備を想定している。
図に示すように、石炭ガス化炉21で生成されて物理的濾過手段22(石炭ガス化炉21の構成要素)で固体不純物が除去された石炭ガス化ガスのハロゲン化物を、約450℃(露点を上回る運転温度)で除去するハロゲン化物除去装置23と、ハロゲン化物除去装置23によりハロゲン化物が除去された石炭ガス化ガスが導入され、石炭ガス化ガスを約450℃(露点を上回る運転温度)で硫化物を除去する脱硫装置24が備えられている。脱硫装置24で硫化物が除去されて燃料ガスが得られ、精製された燃料ガスは溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)9に供給される。
尚、水銀を除去する水銀手段、アンモニアを除去するアンモニア除去手段等を備えることも可能である。
ハロゲン化物除去装置23では、アルカリ系としてナトリウム系のハロゲン化物吸収剤であるアルミン酸ナトリウム(NaAlO)がペレット状に成形されて使用され、ハロゲン化物である塩化水素(HCl)及びフッ化水素(HF)が同時に除去される。脱硫装置24では、亜鉛フェライト脱硫剤がハニカム形状化されて使用され、亜鉛フェライト脱硫剤に石炭ガス化ガスを接触させることで、硫化硫黄(HS)や硫化カルボニル(COS)等が極低濃度まで除去される。
上述した燃料ガス精製設備には、第1実施例と同様に、石炭ガス化ガス(原料ガス)の性状に応じて石炭ガス化ガスに水蒸気を添加する水蒸気添加手段が備えられている。
具体的には、脱硫装置24とMCFC9の間には改質触媒25が備えられ、改質触媒25の入口側には水蒸気導入路11が接続されている。水蒸気導入路11には流量調整弁13が設けられ、流量調整弁13により水蒸気導入路11から導入される水蒸気の導入時期、導入量が制御される。
ハロゲン化物除去装置23の上流側には石炭ガス化ガスの性状であるガス成分を検出する性状検出手段としてのガスクロマトグラフィー12が備えられている。ガスクロマトグラフィー12で検出された石炭ガス化ガスのガス成分に応じて流量調整弁13が動作され、石炭ガス化ガスのガス成分に応じて水蒸気の導入時期、導入量が制御される。
改質触媒25に送られる石炭ガス化ガスに水蒸気が導入され、水蒸気が導入された石炭ガス化ガスが改質触媒25で改質される。改質触媒25では、水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)により石炭ガス化ガスの組成が調整される。水素濃度が高い燃料ガスを得るため、ガスクロマトグラフィー12で、石炭ガス化ガス中のHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多いことが検出された際、流量調整弁13が制御されて水蒸気が導入される。
石炭ガス化ガス中のHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多い場合、即ち、H及びHOが少ない場合、MCFC9の反応に必要なHが不十分な燃料ガス(アノードガス)となる。Hに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多い状態の原料ガスに水蒸気を導入することにより、水素濃度が高くなる水性ガスシフト反応になり、水素濃度が高い燃料ガスを得ることができる。
つまり、改質触媒25で改質される石炭ガス化ガスに対し、ガスクロマトグラフィー12で検出された石炭ガス化ガスの性状に応じて流量調整弁13を制御し、水蒸気導入路11から水蒸気を導入して水素濃度が高くなるように水性ガスシフト反応(CO+HO→CO+H)を生じさせている。このため、石炭ガス化ガスの性状に拘わらず水素濃度が高い燃料ガスを得ることができ、精製された燃料ガスをMCFC9に供給した際に、水素濃度が高い燃料ガスにより高い発電性能を維持することができる。
本発明は、露点を上回る温度に原料ガスの温度を維持して運転する乾式法により原料ガスから不純物を除去して高温型燃料電池の燃料ガスとする燃料ガス精製設備及び燃料ガス精製設備の運転方法の産業分野で利用することができる。
1 炭化ガス化炉
2 高温分解装置
3 バグフィルター
4 昇圧器
5 水銀除去器
6 複合反応器
7 ハロゲン化物吸収剤
8 脱硫剤
9 溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)
11 水蒸気導入路
12 ガスクロマトグラフィー
13 流量調整弁
21 石炭ガス化炉
22 物理的濾過手段
23 ハロゲン化物除去装置
24 脱硫装置
25 改質触媒

Claims (6)

  1. 露点を上回る温度に原料ガスの温度を維持して運転する乾式法により、原料ガスから不純物を除去して高温型燃料電池用の燃料ガスとする燃料ガス精製設備において、
    前記原料ガスの性状に応じて前記原料ガスに水蒸気を添加することで前記原料ガスの組成を調整する水蒸気添加手段を備えた
    ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
  2. 請求項1に記載の燃料ガス精製設備において、
    前記原料ガスを高温雰囲気に曝すことで前記原料ガスに含まれる熱分解性の不純物を除去する高温分解手段を備え、
    前記水蒸気添加手段からの前記水蒸気を添加することで前記原料ガスの組成を調整する
    ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
  3. 請求項1に記載の燃料ガス精製設備において、
    前記水蒸気添加手段により水蒸気が添加された前記原料ガスの水性ガスシフト反応を行なわせることで、前記原料ガスの組成調整を行う改質手段を備えた
    ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料ガス精製設備において、
    前記原料ガスの性状を検出する性状検出手段を備え、
    前記性状検出手段により、前記原料ガス中のHに対してCOが充分に多く、且つ、HOに対してCOが充分に多いことが検出された際に、前記水蒸気添加手段により前記水蒸気が添加される
    ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料ガス精製設備において、
    前記原料ガスに含まれる固体・粒子不純物を物理的な濾過により除去する物理的濾過手段と、
    前記原料ガスに含まれるハロゲン化物を除去するハロゲン化物除去手段と、
    前記原料ガスに含まれる硫化物を除去する脱硫手段とを備えた
    ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
  6. 原料ガス中のハロゲン化物を除去し、ハロゲン化物が除去された前記原料ガスを流通させて重金属類を吸着剤に吸着させ、ハロゲン化物が除去された前記原料ガスを流通させて触媒により硫化物を除去する燃料ガス精製設備において、
    前記原料ガスの性状に応じて水蒸気を添加し、水性シフト反応を促進して前記原料ガス中の水素を増加させる
    ことを特徴とする燃料ガス精製設備の運転方法。
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