JP2011025276A - アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法 - Google Patents

アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウム合金製ブレージングシートを用いて、フラックスを使用することなく均一で良好なろう付性が得られる、アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法は、Mg:0.2〜1.0mass%を含有するアルミニウム合金の心材と、前記心材の片面又は両面にクラッドされており、Mg:0.05〜0.2mass%、Si:4〜13mass%を含有するアルミニウム合金のろう材と、を備えるブレージングシートを、酸素濃度が10ppm以下の非酸化性ガス雰囲気中において無フラックスでろう付加熱する、ことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法に関するものであり、詳しくはフラックスを使用しないろう付方法に関するものである。
アルミニウム材料は熱伝導性が高いため、自動車をはじめとする熱交換器に多く使用されている。熱交換器の多くには、アルミニウム合金を心材として、その片面又は両面にろう材をクラッドしたブレージングシートが使用され、加熱によるろう付工程によりアルミニウム部材を金属的に接合することで、良好な放熱性を有する熱交換器を製造することができる。
熱交換器のろう付方法としては、真空ろう付法とCAB(Controlled Atmosphere Brazing:制御雰囲気ろう付)法とが主流となっている。いずれのろう付方法においても、ろう付を可能にするためにはアルミニウム合金の表面を覆う酸化皮膜を破壊することが必要である。
真空ろう付法ではMgを含有したろう材を使用することで、真空中で蒸発したMgが酸化皮膜を破壊している。しかし、真空ろう付法は高真空度を必要とするため、高価な設備が必要であり、また真空度管理が容易ではない。また、CAB法では、ろう付中にろう材溶融に先立って溶融するフラックスによって酸化皮膜を破壊している。しかし、CAB法ではフラックス塗布工程が必要であり、さらにフラックス塗布時のフラックス粉末の飛散は作業環境を悪化させる。また、複雑な構造のろう付部材のようにフラックス塗布が困難な部位においては、フラックス付着量が不足し、ろう付性が低下する。
これらの問題点に対し、フラックスを使用しない(以下、無フラックスともいう)で非酸化性雰囲気においてろう付する方法が提案されている。特許文献1には、被ろう付物に対する雰囲気ガスの流れを抑制するための覆いと、覆いの内部にMg蒸気の供給元とを備えたろう付方法が提案されている。特許文献1のろう付方法は、Mg蒸気によりアルミの酸化皮膜が還元されろう付を可能にするものである。しかし、このろう付方法では被ろう付物に覆いを被せるため、被ろう付物の昇温速度が遅くなり、生産効率が低下する欠点がある。また、覆いと被ろう付物の容積比率によりろう付性が変化するため、複雑な形状の熱交換器の全てのろう付部を均一にろう付することは困難である。
特許文献2には、心材にMgを含有するブレージングシートを用いて、熱交換器用チューブ等の中空構造体を形成し、その内部にはフラックスを塗布せずにろう付する方法が提案されている。また、特許文献3には、心材にMgを含有するブレージングシートを用いて、フラックスを塗布せずに、酸素濃度を制限したろう付炉内でろう付する方法が提案されている。特許文献2、3のろう付方法は、いずれも、ブレージングシートの心材に添加したMgがろう付昇温中にブレージングシートのろう材表面に拡散し、ろう材表面の酸化皮膜をMgが還元破壊することにより、ろう付を可能にするものである。これらの方法では、ろう材表面の酸化を防ぐために、ろう材のMg添加量はできるだけ少ない方が良いとしている。
しかし、心材のMgが表面に到達するまでは酸化皮膜が破壊されないため、ブレージングシートのろう材の厚さによりMgが表面に到達するタイミングが異なる。特に、ろう材厚さが厚いブレージングシートではMgが表面に到達するタイミングが遅れるため、ろう付によるフィレットの形成が遅くなる。熱交換器は異なる板厚の複数種類のブレージングシートから構成されるため、部位によりろう材の厚さが異なり、均一にろう付加熱した場合においてもフィレットが形成するタイミングが異なり、全てのろう付部位を均一にろう付することが難しい。例えば、ろう材厚さが薄いブレージングシートにおいては早期にフィレットを形成するため、心材がろう材により浸食されるエロージョンが発生しやすい。また、ろう材厚さが厚いブレージングシートにおいてはフィレットの形成が遅れるため、フィレット形成が不完全となる問題がある。
特許文献4は真空ろう付け用のブレージングシートに関するものであり、ブレージングシートの心材とろう材の両方からMgを供給して真空ろう付を行う方法が提案されている。これにより、ろう付加熱中の真空雰囲気中へのMgの飛散を抑制し、真空ろう付炉の汚れを防止している。真空ろう付ではMgの蒸発が激しく起こり、材料中のMgによる酸化皮膜破壊の効果が大きい。一方、大気圧下での無フラックスろう付では、真空ろう付方法と同じくMgにより酸化皮膜を破壊するが、真空ろう付に比べて酸化膜の破壊力が小さく、また破壊を阻害する酸化マグネシウムが生成しやすい。そのため、材料中のMg量の影響が大きく、実際の製品では各部位において均一で良好なろう付性を有する安定したろう付をすることが困難である。
特開平9−85433号公報 特開2004−25297号公報 特開2004−358519号公報 特開昭61−99597号公報
本発明は、アルミニウム合金製ブレージングシートを用いて、フラックスを使用することなく均一で良好なろう付性が得られる、アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法を提供することを目的とする。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法は、
Mg:0.2〜1.0mass%を含有するアルミニウム合金の心材と、前記心材の片面又は両面にクラッドされており、Mg:0.05〜0.2mass%、Si:4〜13mass%を含有するアルミニウム合金のろう材と、を備えるブレージングシートを、酸素濃度が10ppm以下の非酸化性ガス雰囲気中において無フラックスでろう付加熱する、
ことを特徴とする。
上記ろう付方法において、前記ブレージングシートの前記心材のMg含有量をA(mass%)、前記ろう材のMg含有量をB(mass%)、前記ろう材のクラッド厚さをC(μm)、前記ろう付加熱時の被ろう付物の温度が580℃を超える時間をt(分)としたとき、0.1<t×A/C+B<0.25の関係を満たす、
こととしてもよい。
また、前記心材が、Mg:0.2〜1.0mass%、Si:0.1〜1.2mass%、Fe:0.05〜2.0mass%、Cu:0.1〜1.2mass%、Mn:0.05〜2.0mass%をさらに含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記ろう材が、Mg:0.05〜0.2mass%、Si:4〜13mass%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる、
こととしてもよい。
本発明のろう付方法によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートを用いて、フラックスを用いずにろう付製品を製造することが可能であり、生産効率がよく安定したろう付性を確保することができる。
実施例において使用されたミニコアを示す断面図である。 実施例において、値(t×A/C)及びB並びにフィン接合率の関係を示す図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のろう付方法では、ブレージングシートの心材とろう材の両方に適正量のMgを添加することが重要となる。心材に添加されたMgはろう付加熱の昇温中にろう材側へ拡散し、ろう材表面に到達したMgはろう材表面の酸化皮膜を破壊し、ろう付を可能にしている。換言すれば、ろう材が溶融温度に到達し、酸化皮膜が破壊されれば、ろう付は可能である。しかし、ろう材が溶融温度に到達しても、心材に添加したMgがろう材表面まで十分に拡散していない状況では、酸化皮膜は破壊されず、溶融ろうはフィレットを形成しないでブレージングシートの表面に留まった状態となる。この傾向は、ろう材厚さが厚いブレージングシートにおいて顕著となり、フィレット形成のタイミングが遅れることになる。
一方、ろう材にMgが存在すると、ろう付加熱の昇温中にろう材表面に酸化マグネシウムを形成するため、ろう材溶融後の酸化皮膜の破壊が困難になる。そのため、従来ではろう材のMg含有量を低く抑えて、心材から拡散したMgのみで酸化膜を破壊してろう付するのが良いと考えていた。しかし、ろう材にMgを添加してブレージングシートにおけるろう付加熱時の挙動を詳細に観察した結果、ろう材に少量のMgが添加されていると、ろう材の溶融直後にフィレットを形成することが確認された。ろう材にMgが添加されている材料では、加熱前からろう材表面にMgが存在することになるため、ろう材厚さに関係なく、ろう溶融直後に酸化皮膜を破壊してフィレットを形成することが可能となる。
しかし、ろう材のMg量が多すぎると、ろう溶融前に厚い酸化マグネシウム皮膜を形成するため、ろう付は不可能になる。ろう材のMg量は低く抑える必要があるが、ろう材の少量のMgのみでは、ろう溶融直後に小さなフィレットは形成するものの、その後にさらに温度が上昇して溶融ろう材量が増えても、大きなフィレット形成には至らず、良好なフィレットは形成されない。そこで、本発明では、ろう材に溶融直後には、ろう材に添加したMgによりろう材表面の酸化皮膜を破壊して小さな起点となるフィレットを形成し、その後で心材に添加したMgがろう材側に拡散することでMgによる酸化皮膜破壊作用を継続的に維持し、フィレットを大きく成長させることを可能にした。
心材とろう材のそれぞれのMg含有量が適正なブレージングシートを使用することにより、いずれのろう材厚さのブレージングシートにおいてもろう材の溶融直後にフィレットを形成し、昇温中の溶融ろう材量の増加に伴ってフィレットが成長する。熱交換器のように板厚が異なりろう材の厚さが異なるブレージングシートを組み合わせた構成においても、いずれの部位でも同時にフィレットが形成されるため、ろう付性の良好な熱交換器を製造することが可能となる。また、ろう材が厚いブレージングシート部材においてもフィレット形成のタイミングが早まるため、短時間でろう付加熱を完了することが可能となり、過加熱によるエロージョンの発生を防止することが可能になる。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ろう付されるブレージングシートの成分を適切な範囲に規定することで、フラックスを使用しないで安定したろう付性が確保できることを見出した。以下、各元素の限定理由について説明する。
[1.心材]
ブレージングシートの心材のMg含有量を0.20〜1.0mass%としたのは、下記の理由による。すなわち、0.20mass%未満では心材からろう材への拡散するMg量が少なく、ろう材溶融後に酸化皮膜を破壊してフィレットを成長させるのに十分な量のMgがろう材表面に存在しないため、良好なろう付性が得られないからである。また、Mg含有量が1.0mass%を超えるとろう材表面へのMgの拡散量が多すぎるため、ろう材表面に酸化マグネシウムが生成してしまいろう付性が低下するからである。
心材へのMg以外の元素添加についてはSi,Fe,Cu,Mnを添加することが有効である。
心材へのSi添加はブレージングシートの強度を向上させる。Siの添加量は0.10〜1.2mass%が好ましい。Si含有量が少ないと強度向上の効果が少なく、Si含有量が多いと心材の融点が低下するためろう付加熱で溶融してしまう。
心材へのFe添加は結晶粒を微細化してブレージングシートの成形性を改善する。Feの添加量は0.05〜2.0mass%が好ましい。Fe含有量が少ないとその効果が不十分であり、Fe含有量が多すぎるとろう付時にろう拡散を引き起こし、強度低下の原因となる。
心材へのCu添加はブレージングシートの強度を向上させる。Cuの添加量は0.10〜1.2mass%が好ましい。Cu含有量が少ないと強度向上の効果が少なく、Cu含有量が多いと心材の融点が低下するためろう付加熱で溶融してしまう。
心材へのMn添加はブレージングシートの強度を向上させる。Mnの添加量は0.05〜2.0mass%が好ましい。Mn含有量が少ないと強度向上の効果が少なく、Mn含有量が多いと成形性が低下して、成形加工時にブレージングシートが割れてしまう。
これらの添加元素以外にも、例えばろう付け製品の耐食性改善を目的として犠牲防食効果を得るためにZn,Sn,In等の元素を添加することができる。
[2.ろう材]
ブレージングシートのろう材のMg量を0.05〜0.2mass%としたのは以下の理由による。すなわち、Mg含有量が0.05mass%未満では、ろう材の溶融直後には心材からのMg拡散量が不十分であり、ろう材表面の酸化皮膜を破壊することができずフィレット形成のタイミングが遅れるため、健全なフィレットが形成されないからである。また、Mg含有量が0.2mass%を超えると、ろう付加熱の昇温時にろう材表面に酸化マグネシウムを生成し、ろう材溶融後にろう材表面の酸化皮膜の破壊が困難になり、良好なろう付性が得られないからである。
ブレージングシートのろう材のSiは融点を低下させて、ろう材としてフィレットの形成に寄与する。Si含有量を4〜13mass%としたのは、4mass%未満では十分な量の溶融ろう材が生成せず、13mass%を超えると心材の浸食が顕著になり良好なろう付性が得られず、またブレージングシートの製造性も低下するからである。なお、ろう材へのMg,Si以外の添加成分として、例えばFe,Cu,Zn等の元素を添加することも可能である。
次に、ろう付加熱を行う際の非酸化性ガス雰囲気について説明する。非酸化性ガスは、例えば工業的に使用される窒素ガスやアルゴンガスである。本発明のフラックスを使用しないろう付方法では、Mgの存在によりアルミの酸化皮膜を還元して破壊し、ろう付を可能にしている。しかし、Mgの酸化皮膜破壊力はフラックスの酸化皮膜破壊力に比べて小さいと考えられる。そのために、非酸化性ガス雰囲気中の酸素濃度がろう付性に大きな影響を与える。そのため、雰囲気の酸素濃度は10ppm以下にする必要がある。10ppmを超える酸素濃度の雰囲気だと、酸化マグネシウムの生成が促進されてMgによる酸化皮膜の破壊が困難になり、ろう付性が低下する。
以上、心材及びろう材の組成を上述の如く規定したブレージングシートを、酸素濃度が10ppm以下の非酸化性ガス雰囲気中において無フラックスでろう付加熱することにより、良好で安定したろう付をすることができる。
また、上記の組成のブレージングシートをろう付する場合、以下の条件を満たすことがより好ましい。すなわち、心材のMg含有量をA(mass%)、ろう材のMg含有量をB(mass%)、ろう材のクラッド厚さをC(μm)、ろう付加熱時の被ろう付物の温度が580℃を超える時間をt(分)とした時に、0.1<t×A/C+B<0.25の関係式を満たすようにすることが好ましい。それは以下の理由による。
本発明では、ろう材表面に存在するMgにより材料表面の酸化皮膜を還元破壊することでろう付を可能にしている。そのため、ろう材が溶融してフィレットを形成する時点で所定量のMgがろう材中に存在することが必要となる。本発明のブレージングシートでは、ろう材のMg含有量よりも心材のMg含有量が多いため、ろう付加熱中には心材からろう材中へMgが拡散する。したがって、ろう付加熱中のろう材中のMg含有量は、ろう材に予め存在するMg量と心材から拡散してきたMg量との合計となる。なお、ろう材に予め存在するMgはろう材のMg含有量B(mass%)となる。
心材からろう材へのMg拡散は、全てろう付加熱途中の昇温過程で起こる。ここで、ろう材が溶融する前の低温域では固相心材から固相ろう材への拡散であるのに対して、ろう材が溶融した後の高温域では固相心材から液相ろう材への拡散であり、後者の固相心材から液相ろう材への拡散速度のほうが明らかに大きい。そのため、心材からろう材へ拡散するMg含有量は、ろう材溶融後のMgの拡散量に左右される。本発明で使用するろう材の溶融温度は約580℃であるため、被ろう付物の温度が580℃を超える温度条件で固相心材から液相ろう材へのMgの拡散が進行する。
拡散速度が時間により変化しない定常状態においては、拡散速度は心材とろう材のMg濃度差に比例し、拡散するMgの総量は時間に比例することが知られている。心材とろう材とのMg濃度差については、本発明ではブレージングシートのろう材のMg含有量が少ないことから、心材のMg含有量にほぼ対応すると考えられる。溶融した液相ろう材の内部におけるMg拡散速度は極めて速いため、心材からろう材へ拡散したMgは短時間のうちにろう材全体に均一に拡散し、ろう材内におけるMg濃度は均一となる。以上の考えより、本発明では、心材からろう材へ拡散するMg総量は心材のMg含有量A(mass%)と被ろう付物の温度が580℃を超える時間t(分)の積t×Aで示され、拡散によるろう材中のMg濃度の増加量はろう材量に対応するろう材厚さC(μm)で割った値t×A/Cに対応するとした。したがって、ろう材中のMg含有量はt×A/C+Bに対応することになる。
上記考えの下に検証実験を行った結果、0.1<t×A/C+B<0.25の関係を満たすことにより、より安定したろう付性を確保することができる。0.1≧t×A/C+Bだとろう材のMg濃度が低くなり、ろう材表面の酸化皮膜を破壊することができないためろう付性は低下する。また、t×A/C+B≧0.25だとろう材のMg濃度が高くなるため、ろう材表面に酸化マグネシウムを形成してろう付性は低下する。
以上、本発明の実施形態では、心材とろう材とから構成されるブレージングシートについて述べたが、同様の主旨でMgの添加量を制御することにより、様々な構成のフラックスを使用しないろう付用のブレージングシートを適用することができる。たとえば、ろう材の反対の面に犠牲材をクラッドしたブレージングシートや、ろう材/第1の心材/第2の心材の3層構造として第1の心材を本発明の心材成分とするブレージングシート等が適用可能である。
次に、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法の実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
先ず、表1の組成のろう材(合金記号b1〜b10)と表2の組成の心材(合金記号c1〜c9)とを組み合わせて、表3及び表4に記載する板厚及びクラッド厚さ(表3及び表4の記号C)の片面ろう材クラッドのブレージングシートを作製した。作製方法は、通常のブレージングシートの製造方法、すなわち、鋳造合金を熱間圧延によりクラッド材とし、冷間圧延及び焼鈍を行って作製した。表1において、ろう材合金b2〜b6及びb8は合金組成がそれぞれ本発明で規定する範囲内であり、ろう材合金b1、b7、b9及びb10は合金組成がそれぞれ本発明の範囲外である。また、表2において、心材合金c2〜c5及びc7〜c9は合金組成がそれぞれ本発明で規定する範囲内であり、心材合金c1及びc6は合金組成がそれぞれ本発明の範囲外である。なお、表1及び表2の合金組成において、Alの欄の「残部」は不可避的不純物を含むものとする。
Figure 2011025276
Figure 2011025276
Figure 2011025276
Figure 2011025276
次に、このブレージングシートを用いて図1に示す試験用のミニコア10を作製した。ここでは、先ず、ブレージングシートを20×70mmに切断し、熱交換器のチューブ材相当(ブレージングシート1)とした。なお、上述のように、ブレージングシート1は心材2と、その片面にクラッドされたろう材3と、を備えている。また、板厚0.1mmのJIS3003ベア材を使用し、これを巾20mmに切断後、コルゲート加工して、コルゲートフィン4とした。続いて、ブレージングシート1のろう材3側の面とコルゲートフィン4の20山分を組み合わせてステンレス製ワイヤー(図示せず)で固定し、図1の形状のミニコア10を作製した。
ミニコア10のろう付加熱には、非酸化性ガスとして窒素ガスを導入した置換室と加熱室の2室で構成されたろう付炉を使用した。加熱室の内壁はカーボンからなる構造の加熱炉を用いた。この加熱炉は、昇温することにより、炉内の残留酸素が炉壁のカーボンと反応し、低酸素雰囲気を維持することが可能である。加熱室の温度は615℃に設定し、炉内の酸素濃度は8ppmとした。このような条件で、各ミニコア10を、フラックスを塗布せずに置換室内に設置し、置換室の酸素濃度が25ppm以下に低下した後、加熱室内に移送した。そして、ミニコア10の温度が580℃に到達後より所定の時間経過後、再び置換室に移送して冷却し、ろう付加熱を完了した。このとき、加熱室内のミニコア10の最高到達温度は600℃であった。
次に、ろう付後のサンプル(ミニコア10)について、チューブ材相当のブレージングシート1とコルゲートフィン4との接合状況を観察し、フィン接合率を測定した。フィン接合率は、コルゲートフィン4の接合長さをコルゲートしたフィンの山数の総和に相当する接合長さで割って算出した。評価結果を表3(No.1〜35)及び表4(No.36〜72)に示す。本発明例のブレージングシートでろう付したサンプル(表3及び表4で「実施例」として表したもの:No.9〜13,16〜20,23〜27,36〜54,57〜61,64〜72)については、いずれも70%以上のフィン接合率が得られ、良好なろう付性となっている。
また、図2に、本実施例の各条件におけるフィン接合率を、値(t×A/C)を縦軸とし値Bを横軸として、グラフにプロットして示す。図2において、フィン接合率が90%以上のものを「○」、70%以上かつ90%未満のものを「△」で表記した。また、図2の2本の太い実線は、上述の関係式の境界値、すなわち、t×A/C+B=0.25及びt×A/C+B=0.1を示す。さらに、図2の2本の破線は、ろう材で規定されたMg含有量の境界値、すなわち、B=0.2及びB=0.05を示す。図2から明らかなように、0.1<t×A/C+B<0.25の関係式を満たすサンプルにおいては90%以上のフィン接合率が得られ、ろう付欠陥の少ない、より好ましい健全なフィレットが形成された。
一方、比較例については以下のような結果となった。ろう材のMg含有量が本発明の範囲よりも少ないNo.1,8,15,22,29と、ろう材のMg含有量が本発明の範囲よりも多いNo.7,14,21,28,35では、フィン接合率は大きく低下し、ろう付性が劣る結果となった。ろう材のSi含有量が本発明の範囲よりも少ないNo.55,62と、ろう材のSi含有量が本発明の範囲よりも多いNo.56,63では、フィンの接合率は大きく低下し、ろう付性が劣る結果となった。また、心材のMg含有量が本発明の範囲よりも少ないNo.1〜7と、心材のMg含有量が本発明の範囲よりも多いNo.29〜35においても、フィン接合率は大きく低下し、ろう付性が劣る結果となった。
1 ブレージングシート
2 心材
3 ろう材
4 コルゲートフィン
10 ミニコア

Claims (3)

  1. Mg:0.2〜1.0mass%を含有するアルミニウム合金の心材と、前記心材の片面又は両面にクラッドされており、Mg:0.05〜0.2mass%、Si:4〜13mass%を含有するアルミニウム合金のろう材と、を備えるブレージングシートを、酸素濃度が10ppm以下の非酸化性ガス雰囲気中において無フラックスでろう付加熱する、
    ことを特徴とする、アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法。
  2. 前記ブレージングシートの前記心材のMg含有量をA(mass%)、前記ろう材のMg含有量をB(mass%)、前記ろう材のクラッド厚さをC(μm)、前記ろう付加熱時の被ろう付物の温度が580℃を超える時間をt(分)としたとき、0.1<t×A/C+B<0.25の関係を満たす、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法。
  3. 前記心材が、Mg:0.2〜1.0mass%、Si:0.1〜1.2mass%、Fe:0.05〜2.0mass%、Cu:0.1〜1.2mass%、Mn:0.05〜2.0mass%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
    前記ろう材が、Mg:0.05〜0.2mass%、Si:4〜13mass%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートのろう付方法。
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