JP2011025166A - 酸化触媒及びこれを用いたエンジンの排ガス浄化装置 - Google Patents

酸化触媒及びこれを用いたエンジンの排ガス浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化触媒の車両等への搭載性を向上するとともに、エンジンの排ガス温度の変動に対し、酸化触媒の活性時間を長く維持する。
【解決手段】酸化触媒19は、両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル19bが形成された円筒状の担体19aと、この担体19aに担持された活性物質とを有する。酸化触媒19の長さをLとし直径をDとするとき、L/Dが0.5〜4の範囲に設定される。また酸化触媒19のセル19bの密度は600〜3900個/cm2の範囲に設定され、複数のセル19bを区画する隔壁19cの厚さは20〜320μmの範囲に設定される。更にエンジンの排気量を100%とするとき酸化触媒19の体積は20〜150%に設定される。
【選択図】図2

Description

本発明は、排ガス中のHC等を酸化しNOをNO2に転化する酸化触媒と、この酸化触媒を用いたエンジンの排ガスを浄化する装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジンの排気通路からEGRパイプを通って吸気通路にEGRガスが還流され、EGRパイプを流れるEGRガスの流量がEGR弁により調整され、更にEGRパイプを流れるEGRガスがEGRクーラを流通するエンジン冷却水により冷却されるディーゼルエンジンの排ガス浄化システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この排ガス浄化システムでは、排気通路に選択還元型触媒が設けられ、液体供給手段が選択還元型触媒より排ガス上流側の排気通路に挿入された液体噴射ノズルから尿素系液体が噴射される。上記選択還元型触媒より排ガス下流側の排気通路にアンモニアスリップ防止触媒が設けられ、エンジンの運転状況を検出する運転状況検出手段の検出出力に基づいてコントローラがEGR弁及び液体供給手段を制御する。また選択還元型触媒及びアンモニアスリップ防止触媒は排気管の直径より大径の筒状のコンバータに収容され、酸化触媒は排気管の直径より大径の筒状のハウジングに収容される。更に酸化触媒より排ガス下流側のハウジングには、エンジンの排ガスに含まれるパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタが収容される。
このように構成されたディーゼルエンジンの排ガス浄化システムでは、エンジンが低負荷であるとき、エンジンの排ガスの一部のEGRガスがEGRパイプ及びEGRクーラを通って吸気通路に還流されるので、エンジンにおける燃料の燃焼温度が低下し、NOxの発生を抑制できるとともに、排ガス温度が比較的低いので、EGRガスがEGRクーラを流通するエンジン冷却水を殆ど昇温させない。一方、エンジンが中負荷から高負荷であるとき、液体噴射ノズルから噴射された尿素系液体が速やかに加水分解してアンモニアに変換され、このアンモニアとエンジンの排ガスとが混合されて選択還元型触媒に導入され、排ガス中のNOxが選択還元型触媒にてアンモニアと反応してN2に還元される。このときEGRガスが吸気通路に還流されず、EGRクーラを流通するエンジン冷却水がEGRガスにより加熱されないので、エンジンを速やかに冷却できる。なお、選択還元型触媒を通過した余剰のアンモニアはアンモニアスリップ防止触媒にて酸化されてN2及び水が生成される。この結果、エンジンの全ての負荷領域、即ち排ガス温度が低温域から高温域までの広い温度範囲にわたって、排ガス中のNOxを除去することができるので、大気に排出される排ガス中のNOxを効率良く低減できるようになっている。
特開2004−270565号公報(請求項1、段落[0007]、段落[0023])
しかし、上記従来の特許文献1に示された排ガス浄化システムでは、酸化触媒の温度が排ガス温度に左右されるため、酸化触媒として温まり易くかつ冷え難いものが望ましいけれども、そのような触媒は現在のところ存在しない。例えば、酸化触媒として、白金等の活性物質を担持したメタル担体を用いると、排ガス温度の上昇時には触媒温度が上がり易くなるけれども、排ガス温度の下降時には触媒温度が急速に低下してしまい、エンジンの排ガス温度の変動に対し、酸化触媒の活性時間を長く維持できないという不具合があった。また、上記従来の特許文献1に示された排ガス浄化システムでは、排気管に排ガス上流側から順に酸化触媒、パティキュレートフィルタ、選択還元型触媒及びアンモニアスリップ防止触媒が設けられ、比較的大型のシステムであるため、小型車にはこのシステムを搭載することが困難となる問題点もあった。更に、上記従来の特許文献1に示された排ガス浄化システムでは、大径の酸化触媒及びパティキュレートフィルタを通過した排ガスが小径の排気管に流入し、この小径の排気管内で尿素系液体が排ガスに添加されるため、排ガスの圧力損失が大きくなり、上記尿素系液体が添加された排ガスが再び大径の選択還元型触媒に流入するため、排ガスの熱損失が大きくなってしまう問題点もあった。
本発明の目的は、酸化触媒の車両等への搭載性を向上できるとともに、エンジンの排ガス温度の変動に対し、酸化触媒の活性時間を長く維持できる、酸化触媒及びこれを用いたエンジンの排ガス浄化装置を提供することにある。本発明の別の目的は、排ガスの圧力損失及び熱損失を小さくすることができるとともに、尿素系液体の排ガスへの分散性を向上できる、エンジンの排ガス浄化装置を提供することにある。
本発明の第1の観点は、図1及び図2に示すように、両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル19bが形成された円筒状の担体19aと、この担体19aに担持された活性物質とを有する酸化触媒19において、長さをLとし直径をDとするとき、L/Dが0.5〜4の範囲に設定され、セル19bの密度が600〜3900個/cm2の範囲に設定され、複数のセル19bを区画する隔壁19cの厚さが20〜320μmの範囲に設定され、エンジンの排気量を100%とするとき体積が20〜150%に設定されたことを特徴とする酸化触媒である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1及び図2に示すように、担体19aがコージェライトにより形成されたハニカム担体であるか或いはステンレス鋼により形成されたメタル担体であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、図1に示すように、エンジン11の排気管13bに設けられた第1の観点又は第2の観点の酸化触媒19と、この酸化触媒19より排ガス下流側の排気管13bに設けられた選択還元型触媒付フィルタ17又は選択還元型触媒と、酸化触媒19と選択還元型触媒付フィルタ17又は選択還元型触媒との間の排気管13bに挿入された液体噴射ノズル23aを有しこの液体噴射ノズル23aから尿素系液体23bを噴射する液体供給手段23とを備えたエンジンの排ガス浄化装置である。
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、液体噴射ノズル23aを挿入した部分の排気管13bの内径が酸化触媒19を収容したハウジング21の内径と略同一になるように拡大されたことを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、選択還元型触媒付フィルタ17又は選択還元型触媒より排ガス下流側にアンモニアスリップ防止触媒18が設けられたことを特徴とする。
本発明の第1の観点の酸化触媒では、酸化触媒において、L/Dを0.5〜4の範囲に設定し、セル密度を600〜3900個/cm2の範囲に設定し、隔壁の厚さを20〜320μmの範囲に設定し、体積をエンジン排気量の20〜150%に設定したので、酸化触媒の体積を従来と同等に維持しつつ酸化触媒を細長くすることができる。この結果、酸化触媒の車両等への搭載性を大幅に向上できるとともに、エンジンの排ガス温度の変動に対し、酸化触媒の活性時間を長く維持できる。
本発明の第2の観点の酸化触媒では、比較的温まり難く冷め難いコージェライト製のハニカム担体を用いた酸化触媒であっても、或いは比較的温まり易く冷め易いステンレス鋼製のメタル担体を用いた酸化触媒であっても、エンジンの排ガス温度の変動に対し、酸化触媒の活性時間を長く維持できる。
本発明の第3の観点の排ガス浄化装置では、酸化触媒の体積を従来と同等に維持しつつ酸化触媒を細長くすることができるので、酸化触媒の車両等への搭載性を大幅に向上できるとともに、エンジンの排ガス温度の変動に対し、酸化触媒の活性時間を長く維持できる。
本発明の第4の観点の排ガス浄化装置では、酸化触媒を収容するハウジングを細くし、液体噴射ノズルを挿入した部分の排気管の内径をハウジングの内径と略同一になるように拡大したので、排ガスの圧力損失を小さくすることができる。また液体噴射ノズルを挿入した部分の排気管の内径を拡大して、この排気管の内径と選択還元型触媒付フィルタ又は選択還元型触媒の外径との差を小さくしたので、排ガスの熱損失を小さくすることができるとともに、尿素系液体の排ガスへの分散性を向上できる。
本発明の第5の観点の排ガス浄化装置では、選択還元型触媒付フィルタ又は選択還元型触媒を通過した余剰のアンモニアがアンモニアスリップ防止触媒にて酸化されるので、アンモニアが大気中に排出されることはない。
本発明実施形態及び実施例2のエンジンの排ガス浄化装置の構成図である。 本発明実施形態及び実施例1の酸化触媒の斜視図である。 従来例及び比較例1の酸化触媒の斜視図である。 排ガス温度の昇降時における本実施形態及び従来例の酸化触媒の活性温度の確保時間の比較を示す図である。 本実施形態及び従来例の酸化触媒のL/Dに対する活性温度確保時間の変化を示す図である。 エンジンを冷機状態から任意の過渡運転を行った場合における実施例1及び比較例1の酸化触媒の温度の経時変化を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ディーゼルエンジン11の吸気ポートには吸気マニホルド12aを介して吸気管12bが接続され、排気ポートには排気マニホルド13aを介して排気管13bが接続される。吸気管12bには、ターボ過給機14のコンプレッサケース14aと、ターボ過給機14により圧縮された吸気を冷却するインタクーラ15とがそれぞれ設けられ、排気マニホルド13aに近い排気管13bにはターボ過給機14のタービンケース14bが設けられる。図示しないがコンプレッサケース14a内にはコンプレッサホイールが回転可能に設けられ、タービンケース14bにはタービンホイールが回転可能に設けられ、これらのホイールはシャフトにより連結される。エンジン11から排出される排ガスのエネルギによりタービンホイール及びシャフトを介してコンプレッサホイールが回転し、このコンプレッサホイールの回転により吸気管12b内の吸入空気が圧縮されるように構成される。
上記吸気マニホルド12aと吸気管12bとにより吸気通路12が構成され、上記排気マニホルド13aと排気管13bにより排気通路13が構成される。また排気マニホルド13aと吸気管12bとはエンジン11をバイパスするようにEGRパイプ16にて連通接続され、このEGRパイプ16には排気マニホルド13aから吸気管12bに向って排ガスの一部であるEGRガスが還流されるように構成される。更にEGRパイプ16には、このEGRパイプを流れるEGRガスの流量を調整するEGR弁16aと、EGRパイプ16を流れるEGRガスをエンジン冷却水により冷却するEGRクーラ16bとが設けられる。
一方、タービンケース14bより排ガス下流側の排気管13bには選択還元型触媒付フィルタ17が設けられる。選択還元型触媒付フィルタ17より排ガス下流側の排気管13bにはアンモニアスリップ防止触媒18が設けられ、選択還元型触媒付フィルタ17より排ガス上流側であってタービンケース14bより排ガス下流側の排気管13bには酸化触媒19が設けられる。選択還元型触媒付フィルタ17及びアンモニアスリップ防止触媒18は排気管13bの直径より大径の筒状のコンバータ20に収容され、酸化触媒19は排気管13bの直径より大径でありかつコンバータ20より小径である筒状のハウジング21に収容される。
選択還元型触媒付フィルタ17は選択還元型触媒を担持したパティキュレートフィルタからなる。パティキュレートフィルタは、図示しないが、排ガスの通過可能な多孔質の隔壁で区画されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(貫通孔)が形成されたコージェライト製の円筒状の担体と、複数のセル(貫通孔)の相隣接する入口部と出口部を交互に実質的に封止する封止部材とを有する。また選択還元型触媒は、図示しないがパティキュレートフィルタの隔壁にコーティング(担持)された銅イオン交換ゼオライト(Cu−ZSM−5)等の触媒である。この銅イオン交換ゼオライト触媒はNa型のZSM−5ゼオライトのNaイオンをCuイオンとイオン交換した物質である。なお、銅イオン交換ゼオライトを用いた触媒ではなく、鉄イオン交換ゼオライト、ゼオライト、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム又は酸化タングステン等を用いた触媒であってもよい。またアンモニアスリップ防止触媒18は、図示しないが両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(貫通孔)が形成されたコージェライト製の円筒状のハニカム担体に白金やパラジウム等の活性物質をコーティング(担持)したり、或いは両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(貫通孔)が形成されたステンレス鋼製の円筒状のメタル担体に白金やパラジウム等の活性物質をコーティング(担持)することにより形成される。
酸化触媒19は、図2に詳しく示すように、両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル19b(貫通孔)が形成された円筒状の担体19aと、この担体19aに担持された活性物質とを有する。酸化触媒19の担体19aは、コージェライト製のハニカム担体であり、排ガスの通過不能な隔壁19cで区画することにより複数のセル19b(貫通孔)が形成される。また活性物質は白金やパラジウム等であり、隔壁19c表面にコーティング(担持)される。酸化触媒19の長さをLとし直径をDとするとき、L/Dが0.5〜4、好ましくは1.0〜2.5の範囲に設定される。また酸化触媒19のセルの密度は600〜3900個/cm2、好ましくは1200〜2600個/cm2の範囲に設定される。酸化触媒19の複数のセル19bを区画する隔壁19cの厚さは20〜320μm、好ましくは20〜80μmの範囲に設定される。更にエンジン11の排気量を100%とするとき酸化触媒19の体積は20〜150%、好ましくは50〜80%に設定される。
ここで、L/Dを0.5〜4の範囲内に限定したのは、L/Dが0.5未満では温度差が生じ難く、4を越えると酸化触媒19が長過ぎて排ガスの流通抵抗が大きくなり圧力損失が大きくなるからである。また酸化触媒19のセル19bの密度を600〜3900個/cm2の範囲内に限定したのは、600個/cm2未満では表面積が不足し、3900個/cm2を越えるとセルが細くなり過ぎて排ガスの圧力損失が大きくなるからである。酸化触媒19の隔壁19cの厚さを20〜320μmの範囲内に限定したのは、20μm未満では酸化触媒19の所定の機械的強度を確保できず、320μmを越えると必要最小限のセル19bの密度を確保できないからである。更に酸化触媒の体積をエンジン排気量の20〜150%の範囲内に限定したのは、20%未満では排ガス中のHC等の酸化率やNOのNO2への転化率が低下し、150%を越えると必要以上に体積が増大し製造コストを押上げるからである。即ち、本発明の酸化触媒19は従来の酸化触媒より細長くなるけれども、体積は同等に維持される。なお、この実施の形態では、酸化触媒の担体として、コージェライト製のハニカム担体を挙げたが、ステンレス鋼製のメタル担体であってもよい。このメタル担体は、帯板状のステンレス鋼箔上に波板状のステンレス鋼箔を固定した状態で、帯板状のステンレス鋼箔を螺旋状に巻いてステンレス鋼板製の短管内に挿入することにより形成される。
図1に戻って、選択還元型触媒付フィルタ17より排ガス上流側であって酸化触媒19より排ガス下流側の排気管13bには、液体供給手段23の液体噴射ノズル23aが挿入される。この液体噴射ノズル23aを挿入した部分の排気管13bの内径、即ち選択還元型触媒付フィルタ17及び酸化触媒19間の排気管13bの内径は、酸化触媒19を収容したハウジング21の内径と略同一になるように拡大される。また液体供給手段23は、選択還元型触媒付フィルタ17に向って尿素系液体23bを噴射する上記液体噴射ノズル23aと、尿素系液体23bを貯留する液体タンク23cと、液体タンク23c及び液体噴射ノズル23aを連通接続する液体供給管23dと、この液体供給管23dに設けられ液体噴射ノズル23aへの尿素系液体23bの流量を調整する液体調整弁23eと、液体調整弁23e及び液体タンク23c間の液体供給管23dに設けられ液体タンク23c内の尿素系液体23bを液体噴射ノズル23aに圧送するポンプ23fとを有する。上記尿素系液体23bとしては、この実施の形態では尿素水溶液を用いたが、アンモニア水やアンモニア誘導物質等を用いてもよい。また液体調整弁23eは液体供給管23dの開度を変更することにより、液体噴射ノズル23aへの尿素水溶液23bの流量を調整可能に構成される。
選択還元型触媒付フィルタ17より排ガス上流側であって液体噴射ノズル23aより排ガス下流側のコンバータ20には排ガスの温度を検出する温度センサ24が挿入され、エンジン11のクランク軸11aにはこの軸の回転速度を検出する回転センサ26が設けられ、更に燃料噴射ポンプのロードレバー(図示せず)にはこのレバーの変位量を検出することによりエンジン11の負荷を検出する負荷センサ27が設けられる。上記温度センサ24、回転センサ26及び負荷センサ27の各検出出力はマイクロコンピュータからなるコントローラ28の制御入力に接続され、コントローラ28の制御出力はEGR弁16a、液体調整弁23e及びポンプ23fにそれぞれ接続される。なお、回転センサ26及び負荷センサ27により運転状況検出手段25が構成される。
またコントローラ28にはメモリ29が設けられ、このメモリ29には、排ガス温度、エンジン回転及びエンジン負荷に応じたEGR弁16aの開度、液体調整弁23eの開度及びポンプ23fの作動又は不作動が予めマップとして記憶される。そして、コントローラ28は温度センサ24、回転センサ26及び負荷センサ27の各検出出力に基づいてエンジン11の運転状況を把握し、その運転状況からメモリ29に記憶された条件に従ってEGR弁16a、液体調整弁23e及びポンプ23fを制御し、その運転状況に応じて、所定の時期に最適な量のEGRガスを吸気管12bを通してエンジン11に供給し、所定の時期に最適な量の尿素水溶液23bを液体噴射ノズル23aから噴射するように構成される。
このように構成されたエンジン11の排ガス浄化装置では、酸化触媒19の体積を従来と同等に維持しつつ酸化触媒19を細長くしたので、酸化触媒19の車両等への搭載性を大幅に向上できる。またエンジン11の排ガス温度の変動に対し、酸化触媒19の活性時間を長く維持できる。具体的には、排ガス温度が上昇して酸化触媒19の活性温度を越えると、先ず酸化触媒19の入口温度が活性温度に達し、時間の経過に伴って酸化触媒19の入口側から出口側に向って徐々に活性温度に達し、所定時間後に酸化触媒19の全長にわたって活性温度に達する。次にこの状態から排ガス温度が下降して酸化触媒19の活性温度未満になると、先ず酸化触媒19の入口温度が活性温度未満になり、時間の経過に伴って酸化触媒19の入口側から出口側に向って徐々に活性温度未満になり、所定時間後に酸化触媒19の全長にわたって活性温度未満になる。このため、酸化触媒19が細長いと、酸化触媒19が活性温度以上に保たれる時間が長くなる。この作用及び効果は、比較的温まり難く冷め難いコージェライト製のハニカム担体19aを用いた酸化触媒19であっても、或いは比較的温まり易く冷め易いステンレス鋼製のメタル担体を用いた酸化触媒であっても、同様である。例えば、本実施形態の酸化触媒と従来例の酸化触媒を鋼板製のハウジングに断熱材を介してそれぞれ収容した状態で排気管に接続し、この排気管に排ガスを導入して、この排ガスの温度を昇温した後、所定時間経過後に降温させると、酸化触媒の各部位の温度は図4に示すように変化する。即ち、図3に示す従来例の酸化触媒では、活性温度確保時間t1が短かくなるのに対し、図2に示す本実施形態の酸化触媒では、活性温度確保時間t2が長くなる。また酸化触媒のL/Dを変化させると、図5に示すように、酸化触媒のL/Dが大きくなるに従って、酸化触媒の活性温度の確保時間は次第に長くなる。
このように構成されたエンジン11の排ガス浄化装置の動作を説明する。エンジンの低負荷運転時(排ガス温度が80〜180℃と低い場合)では、即ちエンジン11始動直後やエンジン11の軽負荷運転時では、選択還元型触媒付フィルタ17の入口側の排ガス温度が低過ぎて選択還元型触媒付フィルタ17によりNOxを殆ど還元できないので、コントローラ28は温度センサ24、回転センサ26及び負荷センサ27の各検出出力に基づいてEGR弁16aを制御しEGRパイプ16を所定の開度で開く。これによりエンジン11の排ガスの一部であるEGRガスがEGRパイプ16、EGRクーラ16b、吸気管12b及び吸気マニホルド12aを通ってエンジン11に還流されるので、エンジン11における燃料の燃焼温度が低下し、NOxの発生を抑制できる。また排ガス温度が低いため、EGRガスがEGRクーラ16bを通過しても、EGRガスがEGRクーラ16bを流通するエンジン冷却水を殆ど昇温させない。なお、ポンプ23fは不作動のままにし、かつ液体調整弁23eにより液体供給管23dを閉じて、液体噴射ノズル23aから尿素水溶液23bを噴射しない状態に保つ。
エンジンの中負荷から高負荷運転時(排ガス温度が180℃以上と高い場合)では、即ちエンジン11が中負荷運転又は高負荷運転に移行すると、選択還元型触媒付フィルタ17の入口側の排ガス温度が高くなり選択還元型触媒付フィルタ17の選択還元型触媒にてNOxを還元可能になるので、コントローラ28は温度センサ24、回転センサ26及び負荷センサ27の各検出出力に基づいてポンプ23fを作動させるとともに液体調整弁23eを制御して液体供給管23dを所定の開度で開く。同時にEGR弁16aを制御してEGRパイプ16を閉じる。エンジン11の排ガスに含まれるNOxの大部分はNOであり、この酸化触媒19にてNO2に酸化され、このNO2は選択還元型触媒付フィルタ17の選択還元型触媒に吸着される。
一方、液体噴射ノズル23aから噴射された尿素水溶液23bは加水分解してアンモニアが生成される。このとき液体噴射ノズル23aを挿入した部分の排気管13bの内径が酸化触媒19を収容するハウジング21の内径と略同一になるように拡大したので、排ガスの圧力損失を小さくすることができる。また液体噴射ノズル23aを挿入した部分の排気管13bの内径を拡大して、この排気管13bの内径と選択還元型触媒付フィルタ17の外径との差を小さくしたので、排ガスの熱損失を小さくすることができるとともに、尿素系液体23bの排ガスへの分散性を向上できる。
(NH2)2CO + H2O → CO2 + 2NH3 …(1)
上記式(1)は尿素水溶液23bが加水分解してアンモニアが生成される化学反応式を示す。この生成されたアンモニアは排ガスとともに選択還元型触媒付フィルタ17に導入され、このフィルタ17の選択還元型触媒にて上記アンモニアと上記排ガス中のNOx(NO及びNO2)とが反応し、NOx(NO及びNO2)がN2に還元される。
NO + NO2 + 2NH3 → 3N2 + 3H2O …(2)
4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2O …(3)
6NO2 + 8NH3 → 7N2 + 12H2O …(4)
上記式(2)〜式(4)は排ガス中のNOx(NO及びNO2)がアンモニアと反応してN2に還元される化学反応式を示す。また選択還元型触媒付フィルタ17を通過した余剰のアンモニアはアンモニアスリップ防止触媒18にて酸化され、N2及び水が生成される。この結果、エンジン11の全ての負荷領域、即ち排ガス温度が低温域から高温域までの広い温度範囲にわたって、大気に排出される排ガス中のNOxを効率良く低減できる。
なお、この実施の形態では、本発明の酸化触媒をディーゼルエンジンの排気管に設けたが、本発明の酸化触媒をガソリンエンジンの排気管に設けてもよい。また、この実施の形態では、本発明の排ガス浄化装置をターボ過給機付ディーゼルエンジンに適用したが、本発明の排ガス浄化装置を自然吸気型ディーゼルエンジンに適用してもよい。更に、この実施の形態では、コンバータに選択還元型触媒付フィルタを収容したが、コンバータに選択還元型触媒を収容してもよい。この選択還元型触媒は、両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(貫通孔)が形成されたコージェライト製の円筒状のハニカム担体に銅イオン交換ゼオライト(Cu−ZSM−5)等の触媒をコーティング(担持)したり、或いは両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(貫通孔)が形成されたステンレス鋼製の円筒状のメタル担体に銅イオン交換ゼオライト(Cu−ZSM−5)等の触媒をコーティング(担持)することにより形成される。上記選択還元型触媒を用いる場合には、この選択還元型触媒の直前又は直後のコンバータにパティキュレートフィルタが収容される。このパティキュレートフィルタは、排ガスの通過可能な多孔質の隔壁で区画されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(貫通孔)が形成されたコージェライト製の円筒状の担体と、複数のセル(貫通孔)の相隣接する入口部と出口部を交互に実質的に封止する封止部材とを有する。この場合、選択還元型触媒とパティキュレートフィルタとが別体となるため、装置が大型化するけれども、アンモニアスリップ防止触媒を小径(排気管の内径と略同一か或いは排気管の内径より僅かに大径にする)にしてコンバータより排ガス下流側の排気管に設けることにより、装置の大型化を防止できるか或いは装置の大型化は僅かで済む。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図2に示すように、白金を担持した金属製のハニカム担体19aからなる円筒状の酸化触媒19を用意した。この酸化触媒19の長さLは240mmであり、直径Dは110mmであった。これによりL/Dは2.2であった。また酸化触媒19のセル19bの密度は1935個/cm2であり、酸化触媒19の隔壁19cの厚さは50μmであった。更に酸化触媒19の体積は2280ccであった。この酸化触媒19を実施例1とした。
<比較例1>
図3に示すように、白金を担持したコージェライト製のハニカム担体9aからなる円筒状の酸化触媒9を用意した。この酸化触媒9の長さLは76mmであり、直径Dは190.5mmであった。これによりL/Dは0.4であった。また酸化触媒9のセル9bの密度は1935個/cm2であり、酸化触媒9の隔壁9cの厚さは127μmであった。更に酸化触媒9の体積は2166ccであった。この酸化触媒9を比較例1とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1及び比較例1の酸化触媒を鋼板製のハウジングに断熱材を介して収容した状態で内径57.2mmの排気管に接続した。排気管に排ガスを導入して、エンジンを冷機状態から任意の過渡運転を行った場合における、実施例1及び比較例1の酸化触媒の温度の経時変化を図6に示す。具体的には、先ずエンジンのアイドリング状態における酸化触媒の入口及び出口の温度を測定した。次にエンジンの回転速度及び負荷を徐々に上昇させて210秒後の酸化触媒の入口及び出口の温度を測定した。更にエンジンの回転速度及び負荷を徐々に下降させて220秒後の酸化触媒の入口及び出口の温度を測定した。なお、図6の折れ線グラフは、触媒の入口側及び出口側の温度のうち高い方の温度をプロットしたものである。
図6から明らかなように、実施例1の酸化触媒は、比較例1の酸化触媒より、エンジンの回転及び負荷の上昇時における酸化触媒の温度の上昇速度が速いことが分かった。これは、実施例1の酸化触媒が金属製のハニカム担体の特性、即ち暖まり易くかつ冷め易いという特性によるものであると考えられる。一方、エンジンの回転及び負荷の下降後においても実施例1及び比較例1の酸化触媒の温度が上昇するとともに、実施例1の酸化触媒の方が比較例1の酸化触媒より、エンジンの回転及び負荷の下降時における酸化触媒の温度が高いことが分かった。ここで、エンジンの回転及び負荷の下降後においても実施例1及び比較例1の酸化触媒の温度が上昇したのは、熱が伝達するのに時間の遅れが生じたためであると考えられる。また実施例1の酸化触媒の方が比較例1の酸化触媒より、エンジンの回転及び負荷の下降時における酸化触媒の温度が高くなったのは、実施例1の酸化触媒では、触媒の全長Lが長いことから、その材質が金属製であるにも拘らず、触媒の温度低下は起こり難いためであると考えられる。上述のことから、殆ど全ての領域で実施例1の酸化触媒の方が比較例1の酸化触媒より温度が高くなる、即ち実施例1の酸化触媒の方が比較例1の酸化触媒より触媒入口又は触媒出口のいずれかの温度が高くなることが分かった。この結果、実施例1の酸化触媒では、触媒活性の温度域から触媒全体が逸脱することが少ないので、酸化触媒の一部が活性温度域に入っている確率が高いということができる。
11 ディーゼルエンジン
13b 排気管
17 選択還元型触媒付フィルタ
18 アンモニアスリップ防止触媒
19 酸化触媒
19a 担体
19b セル
19c 隔壁
21 ハウジング
23 液体供給手段
23a 液体噴射ノズル
23b 尿素系液体

Claims (5)

  1. 両端が開放されかつ排ガスの流通方向に延びる複数のセル(19b)が形成された円筒状の担体(19a)と、前記担体(19a)に担持された活性物質とを有する酸化触媒(19)において、
    長さをLとし直径をDとするとき、L/Dが0.5〜4の範囲に設定され、
    前記セル(19b)の密度が600〜3900個/cm2の範囲に設定され、
    前記複数のセル(19b)を区画する隔壁(19c)の厚さが20〜320μmの範囲に設定され、
    エンジン(11)の排気量を100%とするとき体積が20〜150%に設定された
    ことを特徴とする酸化触媒。
  2. 担体(19a)がコージェライトにより形成されたハニカム担体であるか或いはステンレス鋼により形成されたメタル担体である請求項1記載の酸化触媒。
  3. エンジン(11)の排気管(13b)に設けられた請求項1又は2に記載の酸化触媒(19)と、前記酸化触媒(19)より排ガス下流側の排気管(13b)に設けられた選択還元型触媒付フィルタ(17)又は選択還元型触媒と、前記酸化触媒(19)と前記選択還元型触媒付フィルタ(17)又は前記選択還元型触媒との間の排気管(13b)に挿入された液体噴射ノズル(23a)を有しこの液体噴射ノズル(23a)から尿素系液体(23b)を噴射する液体供給手段(23)とを備えたエンジンの排ガス浄化装置。
  4. 液体噴射ノズル(23a)を挿入した部分の排気管(13b)の内径が酸化触媒(19)を収容したハウジング(21)の内径と略同一になるように拡大された請求項3記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  5. 選択還元型触媒付フィルタ(17)又は選択還元型触媒より排ガス下流側にアンモニアスリップ防止触媒(18)が設けられた請求項3記載のエンジンの排ガス浄化装置。
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