JP2011024698A - 血糖値測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】血糖値測定装置において、平衡温度を短時間かつ高精度で推算すること。
【解決手段】初めのt=0〜15sを除外し、t=15〜30sの区間のデータを用いて、最小2乗法で回帰直線を求め、その傾きαを算出する。そして、平衡温度上昇θmaxとαとの一次関数の傾きAを定める。そして、室温,性別,年齢等の項目に対して、Aに関するデータベースを作成し、これを用いて任意の被験者の平衡温度を推算する。この平衡温度から血糖値を測定する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、無侵襲で血液中の血糖値を測定する血糖値測定装置に関する。
糖尿病患者が適切なインシュリン注射を行うためには、血液中の血糖値を日々正確に測る必要がある。
血糖値の測定方法としては、患者から少量の血液を採血し、その血液中に含まれるグルコース濃度を測定する侵襲法がある。しかしこの侵襲法は患者から血液を採取する必要があるため身体的苦痛を与えるばかりでなく、採血用針等の消耗コストが嵩み、さらに針を介しての感染症の危険も伴う。
そこで、患者の身体的苦痛を与えることなく、かつ消耗品コストや感染症の危険を無くするために、無侵襲法による血糖値測定装置がある。
例えば、特許文献1として表示した特許第3767449号公報は、生体に所定の波長の光を照射し、その反射光を検出して血液中のグリコース濃度を測定する血糖測定装置が提案されている。
第3767449号公報
本発明は、特許文献1の従来技術よりも血糖の測定精度を上げるため、血流量に関するパラメータとして、体表から体表外への熱流量(単位時間当たりに流れる熱量)に着目した。
即ち、体表が一定の熱抵抗を有する部材に接触することで部材内に生じる温度勾配を測定して部材に流れる熱流量を検出し、血流量に関するパラメータをその熱流量から得る方法である。
しかしながらこの場合、平衡温度が得られるまでの時間が掛かるため、短い測定時間で平衡温度を予測することが重要となる。
本発明の目的は、血流量に関するパラメータを測定するために、人体からの熱流量を短時間で測定することで、血糖値を高精度に測ることが可能な血糖値測定装置を提供することにある。
上記目的は、一端に体表面接触部を有する熱伝導部材と、前記熱伝導部材の前記体表面接触部に隣接して設けられた第1の温度検出器と、前記熱伝導部材の他端に隣接して設けられた第2の温度検出器で構成される熱流束計測手段と、環境温度を測定する環境温度検出器と、前記体表面からの輻射熱を測定する輻射熱検出器と、前記体表面接触部に向けて少なくとも2つの異なる波長の光を照射する光源と、前記光が前記体表面で反射されて生じる反射光を検出する光検出器と、前記第1の温度検出器,前記第2の温度検出器,前記環境温度検出器,前記輻射熱検出器及び前記光検出器各々の出力を各々パラメータに変換する変換部と、前記パラメータと血糖値との関係を予め記憶し、前記パラメータを前記関係に適用して血糖値を算出する処理部とを有する演算部と、前記演算部から出力される結果を表示する表示部とを備えることにより達成される。
また上記目的は、前記熱流束計測手段に設けられた前記第1の温度検出器と、前記第2の温度検出器において、温度測定開始後、所定の時間間隔で前記第1の温度検出器と前記第2の温度検出器で得られる温度上昇曲線から、最小2乗法を用いて回帰直線を求め、前記回帰直線の傾きと前記第1の温度検出器,前記第2の温度検出器の平衡温度の関係を、各々予めデータベースとし、前記データベースから、任意の被験者の前記平衡温度を推算することで達成できる。
また上記目的は、前記体表面に指を用いることにより達成できる。
また上記目的は、前記熱流束計測手段は、ルーバ、またはファンにより冷却することにより達成できる。
また上記目的は、前記データベースは室温,性別,年齢,既往歴等の項目に対して各々グループ分けされた形態で作成することにより達成される。
本発明によれば、血流量に関するパラメータを測定するために、人体からの熱流量を短時間で測定することで、血糖値を短時間で高精度に測ることが可能な血糖値測定装置を提供できる。
本装置における血流量の測定原理を示す熱回路網。 各種センサによる測定値と、それから導出されるパラメータとの関係を図示した説明図。 無侵襲血糖値測定装置の上面図。 本発明の第一実施例を示す測定部の断面図。 本発明の第二実施例を示す測定部の断面図。 本発明の第三実施例を示す測定部の断面図。 被験者A,Bの温度上昇曲線。 平衡温度上昇と回帰直線の傾きの関係。 データベースの一例。 光学センサ部の断面図。 装置内におけるデータ処理の流れを示す概念図。 本発明によるグルコース濃度算出値および酵素電極法によるグルコース濃度測定値のプロット図。 装置の操作手順を示す図。
以下、本発明の一実施例を図にしたがって説明する。
最初に、人体からの熱放散量について考える。熱放散量の主因である対流熱伝達は環境温度(室温)と体表温の間の温度差が関係し、他の要因である輻射による熱放散量はステファン・ボルツマンの法則により体表面の絶対温度の4乗に比例する。従って、人体からの熱放散量には、室温と体表温が関係していることが分かる。
一方、熱産生量に関係するもう一つの要因である酸素供給量は、ヘモグロビン濃度と、ヘモグロビン酸素飽和度と、血流量の積として表される。
ここでヘモグロビン濃度は、酸素結合型ヘモグロビンと還元(脱酸素)型ヘモグロビンのモル吸光係数が等しくなる波長(等吸光波長)の吸光度より測定できる。
ヘモグロビン酸素飽和度は上記の等吸光波長の吸光度と、酸素結合型ヘモグロビンと還元(脱酸素)型ヘモグロビンのモル吸光係数の比が既知の最低限他の1波長の吸光度を測定し、連立方程式を解くことにより測定できる。
すなわち、ヘモグロビン濃度とヘモグロビン酸素飽和度は、最低2波長の吸光度測定によって得ることができる。残るのは血液の流量である。
血流量は種々の方法で測定することが可能であるが、その測定方法の一例を図を使って以下説明する。
図1は本装置における血流量の測定原理を示す熱回路網図である。
図1において、人体は、その深部温度を37℃一定に保つよう人体外界と熱交換している。そこで、人体の深部温度Tcと体表面温度T1間に流れる熱流量Qを測定すれば、TcとT1間の熱抵抗R1が求まる。この熱抵抗R1、すなわち人体組織の熱伝導率は血流量と相関があるため、血流量Qが推定できる。この熱流量Qを測定するためには、ある一定の熱抵抗R2を有するブロックを用意し、体表面と体表面に接触したブロックの両端の温度(T1及びT2)を測定すれば良い(Q=R2/(T2−T1))。ブロックを通過する熱は、T2から熱抵抗R3を経由して、室温T4へ放熱される。
1は以下の式で求める。
Figure 2011024698
ここでTcは上述した通り37℃一定であり、R2を固定してT1とT2を測定すればR1が求まり、R1との相関がある血流量が推定できる。
また、輻射温度計により、体表面温度T3も測定することで、体表面からの輻射伝熱量も推定できる。R1から、血流量を示唆するパラメータX5とする。
以上の説明から、前記モデルによって血中グルコース濃度を求めるために必要な測定量は、室温(環境温度)、体表面に接触されるブロック内の温度勾配、体表面からの輻射による温度及び最低限2波長の吸光度であることが分かる。
図2は、本装置における各種センサによる測定値と、それから導出されるパラメータとの関係を図示した説明図である。
図2において、図1で述べた通り体表面と接触するブロックを用意し、その2箇所に設置した2個の温度センサによって2種類の温度T1とT2を測定する。別途、体表面の輻射温度T3と室温T4を測定する。また、ヘモグロビンの吸収に関係する少なくとも2種類の波長で吸光度A1,A2を測定する。温度T1〜T4から「血流量」に関するパラメータが得られ、温度T3から「輻射伝熱量」に関するパラメータが得られ、温度T3と温度T4から「対流伝熱量」に関するパラメータが各々得られる。また吸光度A1から「ヘモグロビン濃度」に関するパラメータが得られ、吸光度A1とA2から「ヘモグロビン酸素飽和度」に関するパラメータが得られる。
図3は、本発明の一実施例を備えた無侵襲血糖値測定装置の上面図である。
図3において、無侵襲血糖値測定装置100上面には操作部11、測定対象となる指が置かれる測定部12、測定結果の表示,装置の状態や測定値等を表示する表示部13が設けられている。操作部11には無侵襲血糖値測定装置100上面の操作を行うための4個の押しボタン11a〜11dが配置されている。測定部12にはカバー14が設けられ、このカバー14を開けると(図はカバーを開けた状態を示す)、楕円型の周縁を持つ指置き部15が位置している。指置き部15の中には、輻射温度センサ部の開口端16と熱流束センサ部17と光学センサ部18とが設けられている。
なお、本実施例の無侵襲血糖値測定装置100では、体表面として指先の腹の皮膚を使うが、他の体表面を使うことも可能である。
ところで、前述した熱抵抗R1を求めるためには、平衡温度T1,T2が必要であるが、実際の測定では下記問題点がある。
(1)指からブロック以外へ流れる漏れ熱流量が大きいと、測定誤差が大きくなる。
(2)平衡温度となるまでに必要な測定に時間がかかってしまう。
図4は測定部12の詳細を示す断面図である(光学センサ部は省略)。
図4において、図3に示した熱流束センサ部17は熱伝導部材20と、指21が熱伝導部材20に接触する部分に隣接して設置されたサーミスタ22(T1)と、熱伝導部材20の下端に設置されたサーミスタ23(T2)とで構成されている。熱伝導部材20の周囲の筐体24は、測定部位である指21からの熱が熱伝導部材20を介して筐体24へ多く漏れるのを防ぐために、断熱構造(例えば、筐体24の熱伝導率を熱伝導部材20の熱伝導率より小さくするか、筐体24を真空断熱構造にする等)とするのが望ましい。
空洞部25は、体温測定が終了してから外枠27を介して室温まで自然空冷するための空間である。また、指21の腹を見通せる装置内部の位置には光学測定のための赤外線レンズ29が設置されている。この赤外線レンズ29の下方には赤外線透過窓30を介して焦電検出器31が配置されている。また、焦電検出器31に近接して別のサーミスタ32が設置されている。
この赤外線レンズ29は指21からの電磁波を集光するものである。集光された電磁波を集電検出器31に近接して設けられたサーミスタ32で指21の表面温度を検出するものである。
なお、この光学測定については図10の説明の欄で述べる。
図5は他の実施例を備えた測定部の詳細を示す断面図である。
図5において、上記空洞部25の冷却を促進するために、外枠27にルーバ40を設けた場合である。こうすることで、空洞部25の冷却が促進され、室温までの冷却時間を短縮できる。
図6は他の実施例を備えた測定部の詳細を示す断面図である。
図6において、上記空洞部25の冷却を更に促進するために、外枠27にファン50を設けた場合である。こうすることで、空洞部25の冷却が冷却風51により促進され、室温までの冷却時間を大幅に短縮できる。
次に、平衡温度を推算する方法について説明する。
図7はサーミスタ22で測定した被験者A,B(共に男性で年齢差小)の初期からの温度上昇値(以後、温度上昇と称する)を示す図である。
図7において、ここで測定部位は右の人差し指である。図中、縦軸は温度上昇θ、横軸は時間t、細い実線は被験者Aの温度上昇、細い破線は被験者Bの温度上昇、太い実線は被験者Aの平衡温度上昇θmax、太い破線は被験者Bの平衡温度上昇θmaxを各々示している。ここで、θ,θmaxは次式の通りである。
Figure 2011024698
Figure 2011024698
ここで、温度T(℃)、添字のi:初期状態、max:平衡である。
指を温度センサに一定の押付圧力で接触させてからの温度上昇曲線の特徴を分類すると、初めの部分は、指の表面温度や温度センサの初期温度の影響、また指から温度センサへの伝熱が反映されると考えられる一方、ある程度時間が経過してからは、指の深部での生体反応により、指深部から表面への伝熱が反映されると考えられる。そこで本発明では、初めの部分は、ばらつきが多いために除外した上で、ある程度時間が経過してばらつきが小さくなる区間に着目して、この区間の温度上昇曲線を用いて、平衡温度を予測することを考案した。
具体的に説明すると、まず図7中において、初めのt=0〜15sを除外し、t=15〜30sの区間のデータ(白丸で図示)を用いて、最小2乗法で回帰直線を求め(白丸に上書きされているのが回帰直線)、その傾きαを算出する。そして図8に示す通り、縦軸に平衡温度上昇θmax、横軸に回帰直線の傾きαでプロットし、原点を通る直線(α=0の時、θmax=0)を引き、その傾きAを定める。ここでα,Aは次式の通りである。
Figure 2011024698
Figure 2011024698
式(4)のβは回帰直線の切片である(本発明の推算では用いない)。図8では、同類の被験者A(黒四角で図示),B(黒三角で図示)、及び原点(黒丸で図示)の3点で直線を引き、被験者A,B共に直線上に乗っていることを確認したが、原点を用いることにより、少なくとも同類の被験者のデータが一つあれば、傾きAが一意的に定まることを示している。
図8で決定した式(5)を用いて、被験者A,Bと同様の他の被験者が、同じ室温(初期温度)で体温を測定すると、約40s程の測定時間で、正確な平衡温度Tmaxが推算される。即ち、本発明は、種々の初期条件において、予め温度上昇曲線と平衡温度を実験的に求め、これらをデータベース化して、同類の被験者に対して、平衡温度を短時間かつ高精度で推算するものであり、換言すると、データベースの整備が重要となる。
データベース例を図9に示す。これは、室温と性別と年齢別に応じて、式(5)の傾きAを纏めたものである(図9では、A1〜A176の176通り)。図9では、室温を20〜30℃の0.99℃刻み、年齢構成を11〜90歳まで10歳刻み、そして性別有りの条件で傾きAを纏めたが、必要に応じて各々の項目の範囲や刻みの変更や、既往歴等の条件と付け加えて、データベースを作成しても良い。なお、上述の平衡温度推算法は、サーミスタ23に対しても同様に適用でき、最終的に式(1)より、血流量と相関があるR1が推定できる。
図10は2個の光源62,63と1個の検出器64によって2波長測定を行うための構成例を示す図である。
図10において、図3に示した光学センサ部18による光学測定について述べると、光学センサ部18は、酸素供給量を求めるために必要なヘモグロビン濃度とヘモグロビン酸素飽和度とを測定するためのものである。ヘモグロビン濃度とヘモグロビン酸素飽和度を測定するには最低2波長での吸光度測定が必要であり、図10は2個の光源62,63と1個の検出器64によって2波長測定を行うための構成例を示している。
光学センサ部18には2個の受光用光ファイバー60,61の端部が位置する。光ファイバー60は光照射用の光ファイバーであり、光ファイバー61は受光用の光ファイバーである。光ファイバー60は支線となるファイバー60a,60bにつながり、それらの末端には2つの波長の光源62,63が配されている。受光用光ファイバー61の末端には、検出器64が配されている。光源62は波長810nmの光を出し、発光ダイオード63は波長950nmの光を出す。波長810nmは、酸素結合型ヘモグロビンと還元型(脱酸素)型ヘモグロビンのモル吸光係数が等しくなる等吸光波長であり、波長950nmは酸素結合型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンのモル吸光係数の差が大きい波長である。
2個の光源62,63は時分割的に発光し、光源62,63から発生された光は光照射用光ファイバー60から被検者の指21に照射される。指に照射された光は指21の皮膚で反射し、受光用光ファイバー61に入射して検出器64によって検出される。指に照射された光が指の皮膚で反射されるとき、一部の光は皮膚を通して組織内部に侵入し、毛細血管を流れる血液中のヘモグロビンによる吸収を受ける。検出器64による測定データは反射率Rであり、吸光度は近似的にlog(1/R)で計算される。波長810nmと波長950nmの光について各々照射を行い、各々についてRを測定し、log(1/R)を求めることにより、波長810nmの吸光度A1と波長950nmの吸光度A2が測定される。
還元型ヘモグロビン濃度を[Hb]、酸素結合型ヘモグロビン濃度を[HbO2]とすると、吸光度A1および吸光度A2は次式で表される。
Figure 2011024698
Hb(810nm)とAHb(950nm)、AHbO2(810nm)とAHbO2(950nm)はそれぞれ還元型ヘモグロビン,酸素結合型ヘモグロビンのモル吸光係数であり各波長で既知である。aは比例係数である。ヘモグロビン濃度[Hb]+[HbO2]、ヘモグロビン酸素飽和度[HbO2]/([Hb]+[HbO2])は上式から次のように求められる。
Figure 2011024698
なお、ここでは2波長による吸光度測定によってヘモグロビン濃度とヘモグロビン酸素飽和度を測定する例について説明したが、3波長以上で吸光度を測定することによって、妨害成分の影響を低減し測定精度を高めることも可能である。
図11は、装置内におけるデータ処理の流れを示す概念図である。
図11において、本実施例の装置にはサーミスタ22,サーミスタ23,焦電検出器31,サーミスタ32,検出器64からなる5個のセンサがある。検出器64では波長810nmの吸光度と波長950nmの吸光度を測定するため、装置には6種類の測定値が入力されることになる。
5種類のアナログ信号は、それぞれA1〜A5の増幅器を経由して、AD1〜AD5のアナログ・デジタル変換器によってデジタル変換される。デジタル変換された値からパラメータxi(i=1,2,3,4,5)が計算される。xiを具体的に表記すると以下のとおりとなる(a1〜a5は比例係数)。
Figure 2011024698
つづいて、実際の多数の健常者および糖尿病患者のデータから得られたパラメータxiの平均値と標準偏差から正規化パラメータを算出する。各パラメータxiから正規化パラメータXi(i=1,2,3,4,5)を次の式で計算する。
Figure 2011024698
前述の5つの正規化パラメータをもって、最終的な表示を行うためのグルコース濃度への変換計算が行われる。処理計算に必要なプログラムは、装置に組み込まれたマイクロプロセッサに内蔵されたROMに記憶されている。また、処理計算に必要なメモリー領域は、同様に装置に組み込まれているRAMに確保される。計算処理された結果は、液晶表示部に表示される。
ROMには処理計算に必要なプログラム構成要素として、特にグルコース濃度Cを求めるための関数が入っている。この関数は以下のように定められたものである。まず、Cは以下の式(10)で表現される。ai(i=0,1,2,3,4,5)は、複数の測定データから前もって決定されている。aiを求める手順は以下の通りである。
(1)正規化パラメータとグルコース濃度Cの関係を示す重回帰式を作成する。
(2)最小二乗法によって得られた式から正規化パラメータに関する正規方程式(連立方程式)を求める。
(3)正規方程式から係数ai(i=0,1,2,3,4,5)の値を求め、重回帰式に代入する。
初めに、グルコース濃度Cと正規化パラメータX1,X2,X3,X4,X5の関係を示す次の回帰式(10)を作る。
Figure 2011024698
つづいて、酵素電極法によるグルコース濃度測定値Ciとの誤差が最小になるような重回帰式を求めるため、最小二乗法を用いる。残差の二乗和をDとすると、Dは次式で表される。
Figure 2011024698
残差の二乗和Dが最小になるのは、式(11)をa0,a2,…,a5で偏微分してゼロとなるときなので、次式が得られる。
Figure 2011024698
C,X1〜X5の平均値をCmean,X1mean〜X5meanとするとXimean=0(i=1〜5)であるので、式(10)から式(13)が得られる。
Figure 2011024698
また、正規化パラメータ間の変動・共変動は、式(14)で表され、正規化パラメータXi(i=1〜5)とCとの共変動は、式(15)で表される。
Figure 2011024698
Figure 2011024698
式(13)(14)(15)を式(12)に代入して整理すると、連立方程式(正規方程式)式(16)が得られ、これを解くことでa1〜a5が求まる。
Figure 2011024698
定数項a0は式(13)を用いて求める。以上で求めたai(i=0,1,2,3,4,5)は装置製造時にROMに格納されている。装置による実際の測定では、測定値から求めた正規化パラメータX1〜X5を回帰式(10)に代入することで、グルコース濃度Cが算出される。
次にグルコース濃度の算出過程の具体例を示す。予め健常者および糖尿病患者に対して測定した多数のデータから式(10)の係数が決められており、マイクロプロセッサのROMには下記のグルコース濃度の算出式が格納されている。
Figure 2011024698
1〜X5はパラメータx1〜x5を正規化したものである。パラメータの分布が正規分布であると仮定すると、正規化パラメータの95%は−2〜+2の間の値をとる。
健常者の測定値の一例として、正規化パラメータX1=+0.10,X2=−0.02,X3=+0.04,X4=−0.20,X5=+0.20を上記の式に代入するとC=94mg/dlとなる。
また、糖尿病患者の測定値の一例として、正規化パラメータX1=−1.10,X2=+0.10,X3=−0.84,X4=−1.04,X5=−0.20を上記の式に代入するとC=221mg/dlとなる。
従来の測定方法である、採血によって得た血液を試薬と反応させ、この反応によって発生した電子量を測定して血糖値を測定する酵素電極法による測定結果と本発明の一実施例による測定結果について以下に述べる。健常者の測定値の一例として、酵素電極法によるグルコース濃度が89mg/dlのとき、同時刻に本法による測定から得た正規化パラメータX1=+0.10,X2=−0.02,X3=+0.04,X4=−0.20,X5=+0.20を上記の式に代入するとC=94mg/dlとなる。また、糖尿病患者の測定値の例として、酵素電極法によるグルコース濃度が238mg/dlのとき、同時刻に本法による測定から得た正規化パラメータX1=−1.10,X2=+0.10,X3=−0.84,X4=−1.04,X5=−0.20を上記の式に代入するとC=221mg/dlとなる。上記の結果より、本発明による方法によって、高精度でグルコース濃度を求められることが確認された。
図12は、縦軸を本法によるグルコース濃度の算出値、横軸を酵素電極法によるグルコース濃度の測定値として、複数の患者に対してそれぞれの測定値をプロットした図である。本法の様に酸素供給量・血流量を測定することで良好な相関が得られる。
図13に装置の操作手順を示す。
図13において、操作部のボタンを押し装置の電源を入れると、液晶表示器に「ウォーミングアップ」が表示され、装置内の電子回路がウォーミングアップされる。同時に、チェックプログラムが作動し、電子回路を自動的にチェックする。「ウォーミングアップ」が終了すると、液晶表示部に「指を置いてください」と表示される。指置き部に指を置くと、液晶表示部にカウントダウンが表示される。カウントダウンが終了すると、液晶表示部に「指を離してください」と表示される。指置き部から指を離すと、液晶表示部に「データ処理中」が表示される。その後、液晶表示部に血糖値が表示される。
この時点で、表示された血糖値は、日時・時間とともにICカードに記憶される。表示された血糖値を読み取ったら、操作部のボタンを押す。装置は、約1分後に次の測定を待つ「指を置いてください」が液晶表示部に表示された状態になる。
以上のごとく本発明は、一端に体表面との接触部を有する熱伝導部材と、この熱伝導部材の前記体表面接触部に隣接して設けられた第1の温度検出器と、前記熱伝導部材の他端に隣接して設けられた第2の温度検出器で構成される熱流束計測手段と、環境温度を測定する環境温度検出器と、前記体表面からの輻射熱を測定する輻射熱検出器と、前記体表面接触部に向けて少なくとも2つの異なる波長の光を照射する光源と、前記光が前記体表面で反射されて生じる反射光を検出する光検出器と、前記第1の温度検出器,前記第2の温度検出器,前記環境温度検出器,前記輻射熱検出器及び前記光検出器各々の出力を各々パラメータに変換する変換部と、前記パラメータと血糖値との関係を予め記憶し、前記パラメータを前記関係に適用して血糖値を算出する処理部とを有する演算部と、前記演算部から出力される結果を表示する表示部とを備えることにより、平衡温度を短時間かつ高精度で推算することができるものである。
11 操作部
12 測定部
13 表示部
14 カバー
15 指置き部
16 輻射温度センサ部の開口端
17 熱流束センサ部
18 光学センサ部
20 熱伝導部材
21 指
22,23,26,32 サーミスタ
24 筐体
25 空洞部
27 外枠
29 赤外線レンズ
30 赤外線透過窓
31 焦電検出器
40 ルーバ
50 ファン
51 冷却風
60,61 光ファイバー
62,63 光源
64 検出器

Claims (5)

  1. 一端に体表面との接触部を有する熱伝導部材と、この熱伝導部材の前記体表面接触部に隣接して設けられた第1の温度検出器と、前記熱伝導部材の他端に隣接して設けられた第2の温度検出器で構成される熱流束計測手段と、環境温度を測定する環境温度検出器と、前記体表面からの輻射熱を測定する輻射熱検出器と、前記体表面接触部に向けて少なくとも2つの異なる波長の光を照射する光源と、前記光が前記体表面で反射されて生じる反射光を検出する光検出器と、前記第1の温度検出器、前記第2の温度検出器、前記環境温度検出器、前記輻射熱検出器及び前記光検出器各々の出力を各々パラメータに変換する変換部と、前記パラメータと血糖値との関係を予め記憶し、前記パラメータを前記関係に適用して血糖値を算出する処理部とを有する演算部と、前記演算部から出力される結果を表示する表示部とを備えることを特徴とする血糖値測定装置。
  2. 請求項1記載の血糖値測定装置において、
    温度測定開始後、所定の時間間隔で前記第1の温度検出器と前記第2の温度検出器で得られる温度上昇曲線から最小2乗法を用いて回帰直線を求め、前記回帰直線の傾きと前記第1の温度検出器,前記第2の温度検出器の平衡温度の関係を各々予めデータベースとし、前記データベースから任意の被験者の前記平衡温度を推算することを特徴とする血糖値測定装置。
  3. 請求項1記載の血糖値測定装置において、
    前記体表面に指を用いることを特徴とする血糖値測定装置。
  4. 請求項1記載の血糖値測定装置において、
    前記熱流束計測手段は、ルーバまたはファンにより冷却することを特徴とする血糖値測定装置。
  5. 請求項1記載の血糖値測定装置において、
    前記データベースは室温,性別,年齢,既往歴等の項目に対して各々グループ分けされた形態で作成されたことを特徴とする血糖値測定装置。
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