以下、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的上面図および模式的断面図である。図1(a)に半導体レーザ装置1000Aの模式的上面図が示され、図1(b)に図1(a)のA−A線における半導体レーザ装置1000Aの模式的断面図が示されている。
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aは、波長約400nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、青紫色半導体レーザ素子と呼ぶ。)1、波長約650nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤色半導体レーザ素子と呼ぶ。)2および波長約780nmのレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤外半導体レーザ素子と呼ぶ。)3を備える。
本実施の形態において、青紫色半導体レーザ素子1はGaN基板上に半導体層を形成することにより作製される。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3はGaAs基板上に半導体層を形成することにより作製される。詳細は後述する。
図1に示すように、青紫色半導体レーザ素子1において、上面にはp電極12が形成され、下面にはn電極15が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面10が形成されている。
赤色半導体レーザ素子2の上面にはn電極23が形成され、下面にはp電極22が形成されている。赤色半導体レーザ素子2にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面20が形成されている。
赤外半導体レーザ素子3の上面にはn電極33が形成され、下面にはp電極32が形成されている。赤外半導体レーザ素子3にはp型半導体とn型半導体との接合面であるpn接合面30が形成されている。
青紫色半導体レーザ素子1のp電極12の上面の一部にはんだ膜Hが形成されている。なお、図1のp電極12の上面においては、2つのはんだ膜Hが所定の間隔Lをおいて形成されている。これにより、p電極12の一部が露出している。
赤色半導体レーザ素子2のp電極22がはんだ膜Hを介してp電極12上に接合されている。また、赤外半導体レーザ素子3のp電極32がはんだ膜Hを介してp電極12上に接合されている。
これにより、赤色半導体レーザ素子2のp電極22と青紫色半導体レーザ素子1のp電極12とが電気的に接続され、赤外半導体レーザ素子3のp電極32と青紫色半導体レーザ素子1のp電極12とが電気的に接続される。これにより、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12、赤色半導体レーザ素子2のp電極22および赤外半導体レーザ素子3のp電極32が共通の電極となっている。
図1(a)および図1(b)においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。X方向およびY方向は、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面10,20,30に平行な方向である。Z方向は青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面10,20,30に垂直な方向である。
青紫色半導体レーザ素子1のp電極12とn電極15との間に電圧が印加されることにより、pn接合面10における所定の領域(以下、青紫色発光点と呼ぶ。)11から波長約400nmのレーザ光がX方向に出射される。
赤色半導体レーザ素子2のp電極22とn電極23との間に電圧が印加されることにより、pn接合面20における所定の領域(以下、赤色発光点と呼ぶ。)21から波長約650nmのレーザ光がX方向に出射される。
赤外半導体レーザ素子3のp電極32とn電極33との間に電圧が印加されることにより、pn接合面30における所定の領域(以下、赤外発光点と呼ぶ。)31から波長約780nmのレーザ光がX方向に出射される。
図2は図1の半導体レーザ装置1000Aをヒートシンク上に組み立てた際の模式的断面図である。図1の半導体レーザ装置1000Aを光ピックアップ装置に用いる場合、図2に示すように、半導体レーザ装置1000AをCu、CuWまたはAl等の金属からなるヒートシンク500上に取り付ける。そして、ワイヤ1W,2Wb,3Wb,4Waを用いてp電極12,22,32およびn電極23,33,15の配線を行う。
上述のように、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12、赤色半導体レーザ素子2のp電極22および赤外半導体レーザ素子3のp電極32は電気的に接続されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12、赤色半導体レーザ素子2のp電極22および赤外半導体レーザ素子3のp電極32が共通に接続され、アノードコモンの結線が実現される。
青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通のp電極12は、ワイヤ1Wにより図示しない駆動回路に接続される。
赤色半導体レーザ素子2のn電極23は、ワイヤ2Wbにより図示しない駆動回路に接続される。また、赤外半導体レーザ素子3のn電極33はワイヤ3Wbにより図示しない駆動回路に接続される。
青紫色半導体レーザ素子1のn電極15の配線は、n電極15をヒートシンク500の表面に接合することにより行う。これにより、n電極15とヒートシンク500の表面とが電気的に接続される。ヒートシンク500はワイヤ4Waにより図示しない駆動回路に接続される。
ワイヤ1Wとワイヤ4Waとの間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができ、ワイヤ1Wとワイヤ2Wbとの間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができ、ワイヤ1Wとワイヤ3Wbとの間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aの製造方法について説明する。図3〜図6は第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。図3〜図6においても、図1のX,Y,Z方向が定義されている。
図3(a)に示すように、青紫色半導体レーザ素子1を作製するために、n−GaN基板1sの一方の面上に積層構造を有する半導体層1tを形成する。また、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3を青紫色半導体レーザ素子1上に接合するために、p電極12を形成した後、半導体層1t上の所定の領域(2箇所)に、Au−Snからなるはんだ膜Hを形成する。
はんだ膜Hはp電極12の中央部でY方向に離間するように形成されている。p電極12の中央部にはX方向に延びる断面凸状の図示しないリッジ部が形成される。p電極12のリッジ部の下方には青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11が形成される。なお、青紫色半導体レーザ素子1のn電極15は後の工程で形成される。
一方、図3(b)に示すように、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3を作製するために、n−GaAs基板50の一方の面上にAlGaAsからなるエッチングストップ層51を形成し、エッチングストップ層51上にn−GaAsコンタクト層5を形成する。
そして、n−GaAsコンタクト層5上にAlGaInP系の積層構造を有する半導体層2tおよびAlGaAs系の積層構造を有する半導体層3tを互いに離間するように形成する。さらに、半導体層2t上にp電極22を形成し、半導体層3t上にp電極32を形成する。なお、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極23,33は後の工程で形成される。また、図3(b)では図示しないが、半導体層2t,3tにも、X方向に延びる断面凸状のリッジ部が形成されている。
次に、図4(c)に示すように、半導体層1t上のp電極12の所定の領域(はんだ膜Hの形成された領域)に、半導体層2t上に形成されたp電極22および半導体層3t上に形成されたp電極32をはんだ膜Hを介して接合する。
なお、このとき、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50はともに約300〜500μm程度の厚みを有する。これにより、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50の取り扱いが容易となり、p電極12へのp電極22,32の接合が容易に行われる。
また、青紫色半導体レーザ素子1のn−GaN基板1sは透明である。これにより、p電極12へのp電極22,32の接合位置をn−GaN基板1sを通して目視により確認することができる。それにより、青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の位置決めが容易となる。
なお、本実施の形態において、青紫色半導体レーザ素子1の基板はn−GaN基板1sに限らず、他の透光性の基板を用いてもよい。この場合、上述のように、青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の位置決めが容易となる。
図4(d)に示すように、n−GaAs基板50をエッチングまたは研磨等により所定の薄さに加工した後、エッチングストップ層51までエッチングする。
その後、図5(e)に示すように、エッチングストップ層51が除去された後、半導体層2t,3tの上方におけるn−GaAsコンタクト層5上の領域にn電極23,33をそれぞれパターニングにより形成する。
図5(f)に示すように、半導体層2tおよび半導体層3tが形成されていない部分のn−GaAsコンタクト層5をエッチングにより除去する。これにより、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が作製される。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細は後述する。
そして、図6(g)に示すように、n−GaN基板1sを研磨により薄くした後、n−GaN基板1sの下面に、n電極15を形成する。これにより、青紫色半導体レーザ素子1が作製される。青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細は後述する。
最後に、上記のように作製された青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をY方向にへき開により棒状に分離して、共振器端面を形成する。共振器端面に保護膜を形成した後、チップ状にさらに細かく、X方向に沿って裁断する。これにより、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aが完成する。
図7に基づいて青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
図7は青紫色半導体レーザ素子1の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
青紫色半導体レーザ素子1の製造時においては、上述のようにn−GaN基板1s上に積層構造を有する半導体層1tが形成される。
図7(a)に示すように、n−GaN基板1s上には、積層構造を有する半導体層1tとして、n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102、n−GaN光ガイド層103、MQW(多重量子井戸)活性層104、アンドープAlGaNキャップ層105、アンドープGaN光ガイド層106、p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
図7(b)に示すように、MQW活性層104は4つのアンドープGaInN障壁層104aと3つのアンドープGaInN井戸層104bとが、交互に積層された構造を有する。
ここで、例えば、n−AlGaNクラッド層102のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102およびn−GaN光ガイド層103にはSiがドープされている。
また、アンドープGaInN障壁層104aのGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。アンドープGaInN井戸層104bのGa組成は0.90であり、In組成は0.10である。p−AlGaNキャップ層105のAl組成は0.30であり、Ga組成は0.70である。
さらに、p−AlGaNクラッド層107のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。p−AlGaNクラッド層107にはMgがドープされている。アンドープGaInNコンタクト層108のGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。
上記の半導体層1tのうち、p−AlGaNクラッド層107には、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riは約1.5μmの幅を有する。
アンドープGaInNコンタクト層108は、p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riの上面に形成される。
p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108の上面に、SiO2 からなる絶縁膜4が形成され、アンドープGaInNコンタクト層108上に形成された絶縁膜4がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したアンドープGaInNコンタクト層108上にPd/Pt/Auからなるp電極110が形成される。さらに、p電極110の上面および絶縁膜4の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp電極12が形成される。
このように、n−GaN基板1sの一面側に積層構造を有する半導体層1tが形成される。さらに、n−GaN基板1sの他面側にはTi/Pt/Auからなるn電極15が形成される。
この青紫色半導体レーザ素子1では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層104の位置に青紫色発光点11が形成される。なお、本例では、MQW活性層104が図1のpn接合面10に相当する。
図8に基づいて赤色半導体レーザ素子2の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
図8は赤色半導体レーザ素子2の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。また、本実施の形態では、赤色半導体レーザ素子2はn−GaAsコンタクト層5上に半導体層2tを形成することにより作製するとしているが、以下の説明では、n−GaAsコンタクト層5に代えてn−GaAs基板5X上に半導体層2tを形成する。このn−GaAs基板5XにはSiがドープされている。
図8(a)に示すように、n−GaAs基板5X上には、積層構造を有する半導体層2tとして、n−GaAs層201、n−AlGaInPクラッド層202、アンドープAlGaInP光ガイド層203、MQW(多重量子井戸)活性層204、アンドープAlGaInP光ガイド層205、p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
図8(b)に示すように、MQW活性層204は2つのアンドープAlGaInP障壁層204aと3つのアンドープInGaP井戸層204bとが、交互に積層された構造を有する。
ここで、例えば、n−AlGaInPクラッド層202のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。n−GaAs層201およびn−AlGaInPクラッド層202にはSiがドープされている。
アンドープAlGaInP光ガイド層203のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
また、アンドープAlGaInP障壁層204aのAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。アンドープInGaP井戸層204bのIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。アンドープAlGaInP光ガイド層205のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
さらに、p−AlGaInP第1クラッド層206のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。p−InGaPエッチングストップ層207のIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。
p−AlGaInP第2クラッド層208のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
p−コンタクト層209は、p−GaInP層とp−GaAs層との積層構造を有する。このp−GaInPのGa組成は0.5であり、In組成は0.5である。
なお、上記したAlGaInP系材料の組成は、一般式(Ala Gab )0.5 Inc Pd で表した時のaがAl組成であり、bがGa組成であり、cがIn組成であり、dがP組成である。
p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209のp−GaInPおよびp−GaAsにはZnがドープされている。
上記において、p−InGaPエッチングストップ層207上へのp−AlGaInP第2クラッド層208の形成は、p−InGaPエッチングストップ層207の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaInP第2クラッド層208の上面にp−コンタクト層209が形成される。
これにより、上記の半導体層2tのうち、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209からなるリッジ部Riは約2.5μmの幅を有する。
p−InGaPエッチングストップ層207の上面、p−AlGaInP第2クラッド層208の側面ならびにp−コンタクト層209の上面および側面に、SiO2 からなる絶縁膜210が形成され、p−コンタクト層209上に形成された絶縁膜210がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−コンタクト層209上にCr/Auからなるp電極211が形成される。さらに、p電極211の上面および絶縁膜210の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp電極22が形成される。
このように、n−GaAs基板5Xの一面側に積層構造を有する半導体層2tが形成される。さらに、n−GaAs基板5Xの他面側にはAuGe/Ni/Auからなるn電極23が形成される。
この赤色半導体レーザ素子2では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層204の位置に赤色発光点21が形成される。なお、本例では、MQW活性層204が図1のpn接合面20に相当する。
図9に基づいて赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細について作製方法とともに説明する。
図9は赤外半導体レーザ素子3の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。また、本実施の形態では、赤外半導体レーザ素子3はn−GaAsコンタクト層5上に半導体層3tを形成することにより作製するとしているが、以下の説明では、n−GaAsコンタクト層5に代えてn−GaAs基板5X上に半導体層3tを形成する。このn−GaAs基板5XにはSiがドープされている。
図9(a)に示すように、n−GaAs基板5X上には、積層構造を有する半導体層3tとして、n−GaAs層301、n−AlGaAsクラッド層302、アンドープAlGaAs光ガイド層303、MQW(多重量子井戸)活性層304、アンドープAlGaAs光ガイド層305、p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
図9(b)に示すように、MQW活性層304は2つのアンドープAlGaAs障壁層304aと3つのアンドープAlGaAs井戸層304bとが、交互に積層された構造を有する。
ここで、例えば、n−AlGaAsクラッド層302のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。n−GaAs層301およびn−AlGaAsクラッド層302にはSiがドープされている。
アンドープAlGaAs光ガイド層303のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。また、アンドープAlGaAs障壁層304aのAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。アンドープAlGaAs井戸層304bのAl組成は0.10であり、Ga組成は0.90である。アンドープAlGaAs光ガイド層305のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。
さらに、p−AlGaAs第1クラッド層306のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。p−AlGaAsエッチングストップ層307のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30である。
p−AlGaAs第2クラッド層308のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。
p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309にはZnがドープされている。
上記において、p−AlGaAsエッチングストップ層307上へのp−AlGaAs第2クラッド層308の形成は、p−AlGaAsエッチングストップ層307の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaAs第2クラッド層308の上面にp−GaAsコンタクト層309が形成される。
これにより、上記の半導体層3tのうち、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309からなるリッジ部Riは約2.8μmの幅を有する。
p−AlGaAsエッチングストップ層307の上面、p−AlGaAs第2クラッド層308の側面ならびにp−GaAsコンタクト層309の上面および側面に、SiNからなる絶縁膜310が形成され、p−GaAsコンタクト層309上に形成された絶縁膜310がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−GaAsコンタクト層309上にCr/Auからなるp電極311が形成される。さらに、p電極311の上面および絶縁膜310の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp電極32が形成される。
このように、n−GaAs基板5Xの一面側に積層構造を有する半導体層3tが形成される。さらに、n−GaAs基板5Xの他面側にはAuGe/Ni/Auからなるn電極33が形成される。
この赤外半導体レーザ素子3では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層304の位置に赤外発光点31が形成される。なお、本例では、MQW活性層304が図1のpn接合面30に相当する。
以上、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12の少なくとも一部が赤色半導体レーザ素子2と赤外半導体レーザ素子3との間で露出しているので、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12への配線を容易に行うことができる。
また、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12上に接合されているので、青紫色半導体レーザ素子1の一面の同じ側から赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3への配線を容易に行うことができる。
これにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3への配線の自由度が向上される。
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいては、赤色半導体レーザ素子2のn電極23が青紫色半導体レーザ素子1との接合部と反対側の面に位置し、赤外半導体レーザ素子3のn電極33が青紫色半導体レーザ素子1との接合部と反対側の面に位置するので、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12、赤色半導体レーザ素子2のn電極23および赤外半導体レーザ素子3のn電極33への配線を半導体レーザ装置1000Aの一方側から行うことができる。したがって、半導体レーザ装置1000Aの製造が容易となっている。
また、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12は半導体層1t側の面に形成され、赤色半導体レーザ素子2のn電極23はn−GaAsコンタクト層5側の面に形成され、赤外半導体レーザ素子3のn電極33はn−GaAsコンタクト層5側の面に形成され、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2t側の面および赤外半導体レーザ素子3の半導体層3t側の面が青紫色半導体レーザ素子1のp電極12に接合されている。
このように、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1t側の面側に、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2t側の面と、赤外半導体レーザ素子3の半導体層3t側の面とが接合されている。
これにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の半導体層1t,2t,3tが近くに位置し、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の発光点間の間隔が短くなる。
それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31をともに半導体レーザ装置1000Aの中心に近づけることができる。その結果、レーザ光をレンズ等で集光する場合に青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の光の取り出し効率がともに向上する。
さらに、上記の半導体レーザ装置1000Aでは青紫色半導体レーザ素子1のp電極12に、赤色半導体レーザ素子2のp電極22および赤外半導体レーザ素子3のp電極32が電気的に接続されているので、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3への配線の数を低減することができる。それにより、半導体レーザ装置1000Aの配線が単純になるとともに、配線の手間が少なくなっている。
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aにおいて、青紫色半導体レーザ素子1のn−GaN基板1sは透光性基板である。これにより、青紫色半導体レーザ素子1の一面側に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3を接合する際にn−GaN基板1sを通して赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3を目視することができる。
それにより、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の位置決めが容易となっている。したがって、接合位置の調整を正確に行うことができる。その結果、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31の位置精度を向上させることができる。
また、青紫色半導体レーザ素子1には、窒化物系半導体からなるn−GaN基板1sが用いられている。この場合、n−GaN基板1sが熱伝導率の高い窒化物系半導体からなるので、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1tの放熱性が向上する。それにより、青紫色半導体レーザ素子1の温度特性が向上し、信頼性が向上する。
本実施の形態において、半導体レーザ装置1000Aは青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3を集積することにより作製している。しかしながら、これに限らず、集積される複数の半導体レーザ素子は、他の波長の光を出射する半導体レーザ素子であってもよい。
図2に示すように、本実施の形態では、半導体レーザ装置1000Aをヒートシンク500上に取り付けているが、半導体レーザ装置1000Aは、AlN、SiC、Siもしくはダイヤモンド等の絶縁性材料またはCu、CuWもしくはAl等の導電性材料からなるヒートシンク上に取り付けられてもよい。
半導体レーザ装置1000Aのパッケージとしては、金属製のキャンパッケージまたは樹脂製のフレームパッケージ等を用いてもよく、半導体レーザ装置1000Aを収納できるものであればよい。
(第2の実施の形態)
図10は第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bは以下の点で第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと構造が異なる。
図10に示すように、本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1に形成される青紫色発光点11の一方側(Y方向)に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が並ぶように接合されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12の一端側が露出している。また、上述のように赤色半導体レーザ素子2には赤色発光点21が形成されており、赤外半導体レーザ素子3には赤外発光点31が形成されている。
このように、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の外側の領域で青紫色半導体レーザ素子1のp電極12を露出させることにより、そのp電極12の露出部分にワイヤを接続することができる。
この場合、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のp電極の配線の自由度が増加する。また、青紫色半導体レーザ素子1上に、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が一体的に作製されたモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子を接合することができる。
また、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bによれば、赤色半導体レーザ素子2を中心に配置することができる。それにより、Y方向に青紫色発光点11、赤色発光点21、赤外発光点31の順で発光点を配置することが可能となっている。
さらに、青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置を変更することにより、赤色発光点21と赤外発光点31との位置関係を変更することも可能である。
ここで、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bの製造方法について説明する。
図11〜図15は第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す模式的工程断面図である。図11〜図15においても、図1のX,Y,Z方向が定義されている。
初めに、第1の実施の形態において説明したように、青紫色半導体レーザ素子1を作製するために、n−GaN基板(n−GaNウェハ)1sの一方の面上に積層構造を有する半導体層1tおよびp電極12を順に形成する。そして、p電極12上の所定の領域にはんだ膜Hを形成する。図11に、半導体層1t、p電極12およびはんだ膜Hの形成されたn−GaN基板1sの一例が示されている。
図11においては、半導体層1tに2つの青紫色発光点11が形成されている。p電極12上では、Y方向における青紫色発光点11の両側にそれぞれはんだ膜Hが、互いに離間するように形成されている。2つの青紫色発光点11の上部には、それぞれ図示しないリッジ部が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1のn電極15は後の工程で形成される。
なお、図11はn−GaN基板(n−GaNウェハ)1sの一部を抜き出して図示したものである。したがって、実際には、n−GaN基板(n−GaNウェハ)1s上の半導体層1tにさらに複数の青紫色発光点11が形成されている。
一方、図12に示すように、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3を作製するために、それぞれの素子の共通基板としてn−GaAs基板(n−GaAsウェハ)50を用意する。そこで、n−GaAs基板50の一方の面上にエッチングストップ層51およびn−GaAsコンタクト層5を順に形成する。
そして、n−GaAsコンタクト層5上にAlGaInP系の積層構造を有する半導体層2tおよびAlGaAs系の積層構造を有する半導体層3tを互いに離間するように形成する。さらに、半導体層2t上にp電極22を形成し、半導体層3t上にp電極32を形成する。
図12においては、n−GaAsコンタクト層5上に2つの半導体層2tおよび2つの半導体層3tが形成されている。それにより、それぞれの半導体層2t,3tに赤色発光点21および赤外発光点31が形成されている。
なお、図12はn−GaAs基板(n−GaAsウェハ)50、エッチングストップ層51およびn−GaAsコンタクト層5の一部を抜き出して図示したものである。したがって、実際には、n−GaAsコンタクト層5上にはさらに複数の半導体層2tおよび半導体層3tが形成されている。それにより、それらの半導体層2tにさらに赤色発光点21が形成され、それらの半導体層3tにさらに赤外発光点31が形成されている。
半導体層2t,3tの赤色発光点21および赤外発光点31の上部には、それぞれ図示しないリッジ部が形成されている。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極23,33は後の工程で形成される。
次に、図13に示すように、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50の貼り合わせを行う。この貼り合わせは、n−GaN基板1s上に形成されたはんだ膜Hに、n−GaAs基板50上に形成されたp電極22,32を接合することにより行われる。
その後、n−GaAs基板50をエッチングまたは研磨等により所定の薄さに加工し、エッチングストップ層51までエッチングする。そして、エッチングストップ層51を除去し、図14に示すように、n−GaAsコンタクト層5上の所定の領域にn電極23,33をそれぞれパターニングにより形成する。
具体的には、n−GaAsコンタクト層5における半導体層2tの形成領域にn電極23を形成し、n−GaAsコンタクト層5における半導体層3tの形成領域にn電極33を形成する。
次に、図15に示すように、半導体層2tおよび半導体層3tが形成されていない部分のn−GaAsコンタクト層5をエッチングにより除去する。これにより、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が作製される。
また、n−GaN基板1sを研磨により薄くした後、n−GaN基板1sの下面に、n電極15を形成する。これにより、青紫色半導体レーザ素子1が作製される。
最後に、上記のように作製された青紫色半導体レーザ素子1をY方向に沿ってへき開により棒状に分離する。それにより、共振器端面が形成される。その後、共振器端面に保護膜を形成し、X方向に沿ってチップ状にさらに細かく裁断する。この裁断は、図15の一点鎖線CT1を基準とする。これにより、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Bが完成する。
上記の製造方法においては、青紫色半導体レーザ素子1のX方向に沿った裁断の位置(図15の一点差線CT1)を変更してもよい。例えば、図15の一点差線CT2を基準として裁断してもよい。この場合、青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置を容易に変更することができる。
(第3の実施の形態)
図16は第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Cは以下の点で第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと構造が異なる。
図16に示すように、本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1上の中央部に段差が設けられ、凸状部が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1の凸状部にはpn接合面10が形成され、青紫色発光点11が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1の凸状部の両側に延びるp電極12上の所定の領域にはんだ膜Hが形成され、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が接合されている。
これにより、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31の各々が略直線上に位置しているので、半導体レーザ装置1000Cおよび光ピックアップ装置の設計が容易となっている。
(第4の実施の形態)
図17は第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dは以下の点で第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと構造が異なる。
図17に示すように、本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1上の一端部側に段差が設けられ、凸状部が形成されている。青紫色半導体レーザ素子1の凸状部にはpn接合面10が形成され、青紫色発光点11が形成されている。そして、青紫色半導体レーザ素子1の凸状部の一方側(Y方向)に延びるp電極12上の所定の領域にはんだ膜Hが形成され、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が接合されている。
これにより、青紫色発光点11、赤色発光点21および赤外発光点31の各々が略直線上に位置しているので、半導体レーザ装置1000Dおよび光ピックアップ装置の設計が容易となっている。
また、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dによれば、青紫色半導体レーザ素子1の凸状部の一方側(Y方向)に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が並ぶように接合されている。赤色半導体レーザ素子2には赤色発光点21が形成されており、赤外半導体レーザ素子3には赤外発光点31が形成されている。
これにより、本実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Dにおいては、赤色半導体レーザ素子2を中心に配置することができる。それにより、Y方向に青紫色発光点11、赤色発光点21、赤外発光点31の順で発光点を配置することが可能となっている。
また、青紫色半導体レーザ素子1上の赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の配置を変更することにより、赤色発光点21と赤外発光点31との位置関係を変更することも可能である。
(第5の実施の形態)
図18は第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的断面図である。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Eは以下の点で第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと構造が異なる。
図18に示すように、本実施の形態では、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3が青紫色半導体レーザ素子1のn電極15上に接合されている。
これにより、青紫色半導体レーザ素子1のpn接合面10が赤色半導体レーザ素子2のpn接合面20および赤外半導体レーザ素子3のpn接合面30からZ方向に離間する。
それにより、青紫色半導体レーザ素子1の青紫色発光点11を赤色発光点21および赤外発光点31から離間させることができる。
(第6の実施の形態)
図19は第6の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的上面図である。図20(a)は図19のA1−A1線における半導体レーザ装置1000Fの模式的断面図を示し、図20(b)は図19のB1−B1線における半導体レーザ装置1000Fの模式的断面図を示す。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第6の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Fは以下の点で第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと構造および製造方法が異なる。
図19および図20に示すように、本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1に接合される赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の構造が第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと異なる。
赤色半導体レーザ素子2の半導体層2tと、赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tとが連結部BRにより連結されている。赤色半導体レーザ素子2と赤外半導体レーザ素子3との間の領域において、連結部BRに円形状の孔部PHが形成されている。この孔部PHの直径Wは、半導体層2t,3tの間隔Lよりも小さい。
連結部BRは、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2tまたは赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tの一部を含んでいてもよい。例えば、連結部BRは赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3において電流の流れを制限する電流狭窄層(例えば、図8および図9の絶縁膜210,310)であってもよいし、p型のコンタクト層であってもよい。
図21は図19および図20の半導体レーザ装置1000Fをヒートシンク上に組み立てた際の模式的断面図である。図19および図20の半導体レーザ装置1000Fを光ピックアップ装置に用いる場合、図21に示すように、半導体レーザ装置1000Fをヒートシンク500上に取り付ける。そして、ワイヤ1W,2Wb,3Wb,4Waを用いてp電極12,22,32およびn電極23,33,15の配線を行う。それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
本実施の形態では、図19および図20に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の一方の面に形成されるp電極12が、連結部BRに形成された孔部PHを通じて露出している。
これにより、連結部BRの孔部PHを通じて青紫色半導体レーザ素子1のp電極12にワイヤボンディングを行うことができる。それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通のp電極12へのワイヤボンディングが、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極23,33と同じ側から行うことができるので配線の自由度が高くなっている。
なお、本実施の形態において、孔部PHは円形状を有するとしているが、孔部PHの形状は特に限定されない。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3間に形成されるのであれば、孔部PHは正方形状を有してもよいし、三角形状を有してもよい。
(第7の実施の形態)
図22は第7の実施の形態に係る半導体レーザ装置の一例を示す模式的上面図である。図23(a)は図22のA2−A2線における半導体レーザ装置1000Gの模式的断面図を示し、図23(b)は図22のB2−B2線における半導体レーザ装置1000Gの模式的断面図を示す。以下の説明においても、図1と同様にX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第7の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Gは以下の点で第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと構造および製造方法が異なる。
本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の構造が第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Aと異なる。
上述のように青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3はリッジ部を有する。図23では、青紫色半導体レーザ素子1のリッジ部Riが示されている。
図22および図23に示すように、青紫色半導体レーザ素子1の半導体層1t上にはリッジ部Riの上面を除き、絶縁膜SUが形成されている。リッジ部Riおよび絶縁膜SUの上面には、さらに3つのp電極12,13,14が互いに分離するように形成されている。
青紫色半導体レーザ素子1のp電極12はリッジ部Riの上面を含む領域に形成され、Y方向におけるp電極12の一方側にp電極13が形成され、Y方向におけるp電極12の他方側にp電極14が形成されている。
また、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通の基板(n−GaAs基板50)は分離されていない。それにより、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は間隔Lをおいて一体的に形成されている。以下、共通の基板により一体的に形成された赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をモノリシック赤色/赤外半導体レーザ素子と呼ぶ。
n−GaAs基板50の面上に赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通のn電極233が形成されている。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3は、共通の基板(n−GaAs基板50)を含む連結部BRにより連結されている。赤色半導体レーザ素子2と、赤外半導体レーザ素子3との間の領域において、連結部BRに複数の孔部QHが設けられている。なお、連結部BRは、赤色半導体レーザ素子2の半導体層2tまたは赤外半導体レーザ素子3の半導体層3tの一部を含んでもよい。例えば、連結部BRは図8のn−GaAs層201およびn−AlGaInPクラッド層202または図9のn−GaAs層301およびn−AlGaAsクラッド層302を含んでもよい。
本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1上に形成されるp電極12,13,14が、n−GaAs基板50に形成された複数の孔部QHを通じて外部に露出している。
また、青紫色半導体レーザ素子1においては、絶縁膜SU上でp電極12,13,14が互いに分離されている。それにより、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12、p電極13に接合される赤色半導体レーザ素子2のp電極22およびp電極14に接合される赤外半導体レーザ素子3のp電極32は、互いに電気的に分離されている。
図24は、図22および図23の半導体レーザ装置1000Gをヒートシンク上に組み立てた際の模式的断面図である。図22および図23の半導体レーザ装置1000Gを光ピックアップ装置に用いる場合、図24に示すように、半導体レーザ装置1000Gをヒートシンク500上に取り付ける。そして、ワイヤ1W,2Wa,2Wb,3Waを用いてp電極12,22,32およびn電極233,15の配線を行う。
具体的には、n電極15がステム500の上面に接合される。これにより、n電極15とステム500とが電気的に接続される。
赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通電極となるn電極233がワイヤ2Wbによりステム500の上面に電気的に接続される。
これにより、ステム500が青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通のn電極となり、カソードコモンの結線が実現される。
青紫色半導体レーザ素子1のp電極12はワイヤ1Wにより図示しない駆動回路に接続される。ワイヤ1Wは、半導体レーザ装置1000Gの上方からn−GaAs基板50の孔部QHを通じてp電極12に接続されている。
青紫色半導体レーザ素子1上のp電極13はワイヤ2Waにより図示しない駆動回路に接続される。これにより、赤色半導体レーザ素子2のp電極22と駆動回路とが電気的に接続される。ワイヤ2Waは、半導体レーザ装置1000Gの上方からn−GaAs基板50の孔部QHを通じてp電極13に接続されている。
青紫色半導体レーザ素子1上のp電極14はワイヤ3Waにより図示しない駆動回路に接続される。これにより、赤外半導体レーザ素子3のp電極32と駆動回路とが電気的に接続される。ワイヤ3Waは、半導体レーザ装置1000Gの上方からn−GaAs基板50の孔部QHを通じてp電極14に接続されている。
ステム500とワイヤ1Wとの間に電圧を印加することにより青紫色半導体レーザ素子1を駆動することができ、ステム500とワイヤ2Waとの間に電圧を印加することにより赤色半導体レーザ素子2を駆動することができ、ステム500とワイヤ3Waとの間に電圧を印加することにより赤外半導体レーザ素子3を駆動することができる。このように、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3をそれぞれ独立に駆動することができる。
上述のように、本実施の形態では、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12、p電極13に接合される赤色半導体レーザ素子2のp電極22およびp電極14に接合される赤外半導体レーザ素子3のp電極32が、互いに電気的に分離されている。
これにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のp電極12,22,32にそれぞれ任意の電圧を与えることができる。したがって、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の駆動方式を任意に選択することができる。
また、青紫色半導体レーザ素子1に形成されるp電極12,13,14が、n−GaAs基板50の孔部QHを通じて外部に露出している。
これにより、n−GaAs基板50の孔部QHを通じて青紫色半導体レーザ素子1のp電極12,13,14にワイヤボンディングを行うことができる。
それにより、青紫色半導体レーザ素子1、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のそれぞれのp電極12,22,23へのワイヤボンディングが、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn電極233と同じ側から行うことができるので、配線の自由度が高くなっている。
なお、本実施の形態において、孔部PHは円形状を有するとしているが、孔部PHの形状は特に限定されない。赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3間に形成されるのであれば、孔部PHは正方形状を有してもよいし、三角形状を有してもよい。
さらに、第7の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Gの製造時においては、複数の半導体レーザ装置1000Gのへき開工程で良好なスクライブラインを得ることができる。詳細を説明する。
図25(a)に、第7の実施の形態に係る半導体レーザ装置1000Gの製造時に形成されるスクライブラインの概略図を示す。図25(b)に、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3間でn−GaAs基板50が分離された半導体レーザ装置1000Xの製造時に形成されるスクライブラインの概略図を示す。なお、図25において、電極の図示は省略する。
複数の半導体レーザ装置1000Gが形成されたn−GaN基板(n−GaNウェハ)1sおよびn−GaAs基板(n−GaAsウェハ)50のへき開時には、例えば図25(a)のD2−D2線に示されるようにY方向に沿ったスクライブラインが形成される。その後、図25(a)のD1−D1線に示されるようにX方向に沿ったスクライブラインが形成される。
それにより、n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50が棒状にへき開された後、チップ状に裁断され、個々の半導体レーザ装置1000Gが完成する。
この場合、n−GaAs基板50はD2−D2線に示されるスクライブライン上で平坦になっている。それにより、n−GaAs基板50の全体にわたって均一なスクライブラインが容易に形成される。その結果、Y方向に沿うへき開が良好に行われ、平坦なへき開面が得られる。その結果、良好な共振器端面を容易に得ることができる。
なお、図25(a)に示すように、n−GaAs基板50がD2−D2線上で平坦である場合には、D2−D2線におけるn−GaAs基板50の端部にのみスクライブ傷を形成するだけでも、容易にウェハのへき開を行うことができる。
これに対して、図25(b)に示すように、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3のn−GaAs基板50が青紫色半導体レーザ素子1上で分離された半導体レーザ装置1000X(第1〜第5の実施の形態に対応する)について説明する。
この場合、D2−D2線で示されるスクライブラインは凹凸のある面上に形成される。それにより、複数のn−GaAs基板50のY方向における端部TAに深い傷が入る場合がある。端部TAに深い傷が入る場合には、良好な共振器端面を得ることが容易でない。
また、図25(b)の半導体レーザ装置1000Xにおいては、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3ごとにn−GaAs基板50がY方向で分離されているため、分離されたn−GaAs基板50の全てにスクライブライン(またはスクライブ傷)を形成しなければ、全ての半導体レーザ装置1000Xのへき開は困難である。
なお、図25(b)の半導体レーザ装置1000Xの製造時においては、例えば、図5(e)または図14に示したn−GaAs基板50の分離工程の前に予めY方向に沿ったスクライブラインをn−GaAs基板50に形成することにより、均一かつ良好なスクライブラインを得ることも可能である。しかしながら、スクライブラインの形成された状態でn−GaAs基板50に後工程の処理が施されると、後工程(例えば、図5(e)および図5(f)の工程)の処理時にn−GaAs基板50が割れやすくなり、歩留まりが低下する。
本実施の形態においては、赤色半導体レーザ素子2および赤外半導体レーザ素子3の共通基板であるn−GaAs基板50が分離されていない。これにより、n−GaAs基板50に対するスクライブラインまたはスクライブ傷の形成が容易かつ良好に行われる。それにより、複数の半導体レーザ装置1000Gのへき開時に、平坦で良好なへき開面を得ることができる。その結果、良好な共振器端面を得ることができる。
n−GaN基板1sおよびn−GaAs基板50の貼り合わせ後に、n−GaAs基板50はウェットエッチングにより薄型化される。
ここで、n−GaAs基板50はウェットエッチングされやすく、n−GaN基板1sはウェットエッチングされにくい。したがって、n−GaAs基板50のエッチング量を容易に制御することができる。
なお、本実施の形態においては、上記のようにn−GaAs基板50のウェットエッチングを行った後、n−GaN基板1sを研磨等により薄型化してもよい。この場合、高い硬度を有するn−GaN基板1sがn−GaAs基板50よりも薄型化されることにより、半導体レーザ装置1000Gのへき開が容易となる。また、良好なへき開面を得ることができる。
以上、第1〜第7の実施の形態において、n−GaN基板1sは第1の基板に相当し、波長約400nmのレーザ光は第1の波長の光に相当し、半導体層1tは第1の半導体層に相当し、青紫色半導体レーザ素子1は第1の半導体レーザ素子に相当する。
また、n−GaAsコンタクト層5、n−GaAs基板50,5Xは第2の基板に相当し、波長約650nmのレーザ光は第2の波長の光に相当し、半導体層2tは第2の半導体層に相当し、赤色半導体レーザ素子2は第2の半導体レーザ素子に相当する。
さらに、n−GaAsコンタクト層5、n−GaAs基板50,5Xは第3の基板に相当し、波長約780nmのレーザ光は第3の波長の光に相当し、半導体層3tは第3の半導体層に相当し、赤外半導体レーザ素子3は第3の半導体レーザ素子に相当する。
また、青紫色半導体レーザ素子1のp電極12は第1の電極に相当し、赤色半導体レーザ素子2のn電極23は第2の電極に相当し、赤外半導体レーザ素子3のn電極33は第3の電極に相当する。
さらに、青紫色半導体レーザ素子1のn電極15は第4の電極に相当し、赤色半導体レーザ素子2のp電極22は第5の電極に相当し、赤外半導体レーザ素子3のp電極32は第6の電極に相当する。
絶縁膜SUは絶縁層に相当し、n−GaAs基板50,5X、n−GaAsコンタクト層5および共通の連結部BRは連結部に相当し、孔部PH,QHは開口に相当する。