JP2011023381A - 積層モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波領域において電気的特性及び/又は熱伝導性に優れ、耐衝撃性にも優れた、小型化可能で、高性能な省電力型の積層モジュールを提供すること。
【解決手段】脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料からなる誘電体層と、表面平坦度が3μm以下の、金属材料からなる導体層とを含む積層基板と、前記積層基板の内部に配置されている、少なくとも上下2層の前記誘電体層に挟まれた前記導体層に形成された導体パターンからなる受動素子と、前記積層基板の表面に配置されているか;又は前記積層基板の表面に一部が配置され、かつ前記積層基板の内部に残部が配置されているか;又は前記積層基板の内部に配置されている能動素子と、を含む積層モジュール。
【選択図】図8

Description

本発明は、積層モジュールに関する。より詳しくは、高速伝送を扱うデジタル回路から、無線を利用した通信機器まで広範に利用可能な積層モジュールに関する。
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器分野における実装方法の小型化、高密度化への指向は著しく、それに伴い、材料の面でも、よりすぐれた耐熱性、寸法安定性、電気特性及び成型性が要求されている。特に情報、通信機器においては、有線系のデジタル回路から無線アナログ回路まで、より高周波化が進んでおり、特に高周波領域での省電力化が求められている。
従来、高周波用積層モジュールとしては、低温焼成セラミック(LTCC)を用いてなる複数の構成層を積層し多層化したものが知られていた。しかしながら、LTCCを用いて積層モジュールを得る場合、焼成工程や厚膜印刷工程等の製造工程数が多いこと、焼成時にクラックが発生したり、反りが発生するなど、焼成材料特有の問題が多いこと、該積層モジュールは、LTCCとプリント基板との熱膨張係数の違いなどによりクラックが発生しやすく、耐衝撃性にも弱いことなど、多くの問題があることから、構成層の材料として有機樹脂材料への要求が年々高まっている。
かかる状況にあって、有機樹脂材料で構成層を形成し、その複数枚を積層した多層化構造を有する積層モジュールがこれまでに提案されている。例えば、特許文献1には、積層基板と、能動素子と、受動素子と、外部接続端子と、接地用パターンと、貫通ビアホールと、ブラインドビアホールと、インナービアホールとを含んでなり、前記積層基板の構成層の少なくとも一部が有機樹脂材料と機能性材料粉末とを混合したハイブリッド材料からなる積層モジュールが開示されている。当該積層モジュールにおいては、受動素子の少なくとも一部は積層基板の内部に形成された導体パターンを含む旨記載されている。前記有機樹脂材料としては、熱硬化性有機樹脂材料や熱可塑性有機樹脂材料等が用いられ、熱硬化性有機樹脂材料としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、又はビニルベンジル樹脂等が、熱可塑性有機樹脂材料としては、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、グラフト樹脂、ポリアリレート樹脂等が記載され、中でも、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、BTレジン等が好ましい旨記載されている。
特開2003−273520号公報
しかしながら、本発明者らが前記ハイブリッド材料を用いてなる積層モジュールの特性を評価したところ、高周波領域において未だ充分な誘電特性や熱電導性が得られず消費電力が大きくなり、さらに、形状的にも大きなものとなり、小型化が困難であるという問題が認められた。
本発明の課題は、高周波領域において電気的特性及び/又は熱伝導性に優れ、耐衝撃性にも優れた、小型化可能で、高性能な省電力型の積層モジュールを提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ノルボルネン系ポリマーと誘電体粉末とを含むハイブリッド材料からなる誘電体層と、所定の表面平坦度を有する、金属材料からなる導体層とを含む積層基板を用い、該基板の内部において、少なくとも上下2層の前記誘電体層に挟まれた前記導体層に導体パターンからなる受動素子を配置して作製した積層モジュールは、所望の特性を発現しうることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料からなる誘電体層と、表面平坦度が3μm以下の、金属材料からなる導体層とを含む積層基板と、
前記積層基板の内部に配置されている、少なくとも上下2層の前記誘電体層に挟まれた前記導体層に形成された導体パターンからなる受動素子と、
前記積層基板の表面に配置されているか;又は前記積層基板の表面に一部が配置され、かつ前記積層基板の内部に残部が配置されているか;又は前記積層基板の内部に配置されている能動素子と、
を含む積層モジュール、
〔2〕前記有機樹脂材料中の脂環式構造を有するモノマー単位の割合が50モル%以上である前記〔1〕記載の積層モジュール、
〔3〕前記ハイブリッド材料における有機樹脂材料と機能性材料粉末との含有量割合が、重量比(有機樹脂材料/機能性材料粉末)で100/50〜100/600である前記〔1〕又は〔2〕記載の積層モジュール、
〔4〕機能性材料粉末が低損失フィラー及び/又は高熱伝導性フィラーである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の積層モジュール、
〔5〕前記誘電体層の熱伝導率が0.5〜50W/(m・K)である前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の積層モジュール、並びに
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕いずれかに記載の積層モジュールを備えてなる電子機器、
を提供することができる。
本発明によれば、高周波領域において電気的特性及び/又は熱伝導性に優れ、耐衝撃性にも優れた、小型化可能で、高性能な省電力型の積層モジュールを提供することができる。
積層基板を、その構成層が水平になるように設置したときの断面の模式図である。 積層モジュールの一例として無線通信機器の送信部Txモジュールを示すブロック図である。 図2の送信部Txモジュールに含まれるパワーアンプ部PAの回路図の一例である。 パワーアンプ部PAをバンドパスフィルタBPFと積層モジュール化した、従来のPA積層モジュールの一例の分解斜視図である。 図4のPA積層モジュールの完成状態における斜視図である。 図4のPA積層モジュールの完成状態における内部の接続構造の一例を概略的に示す断面図である。 図5のPA積層モジュールにおいて表面に配置されていた受動素子70を、積層基板100の内部に配置してなる、本発明の積層モジュールの一例の斜視図である。 図5のPA積層モジュールにおいて表面に配置されていた受動素子70に加え、BPF1を、積層基板100の内部に配置してなる、本発明の積層モジュールの一例の斜視図である。 バンドパスフィルタの回路の一例である。 インダクタ素子(L)及びコンデンサ素子(C)を積層基板の内部に配置して作製したバンドパスフィルタ部分の一例の斜視図である。 各種材料で作製したインダクタ素子のQ値の測定結果である。 λ/4共振器によるバンドパスフィルタの一構成例である。 λ/2共振器によるバンドパスフィルタの一構成例である。 各種材料で作製したバンドパスフィルタの共振周波数温度特性(TCF)の測定結果である。 各種材料で作製したマイクロストリップラインの伝送損失の測定結果である。 各種材料で作製した1.8GHz帯バンドパスフィルタの通過帯域における伝送損失の測定結果である。
本発明の積層モジュールは、脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料からなる誘電体層と、表面平坦度が3μm以下の、金属材料からなる導体層とを含む積層基板を用いてなるものであり、前記積層基板の内部において、少なくとも上下2層の前記誘電体層に挟まれた前記導体層に導体パターンからなる受動素子を配置してなることを1つの大きな特徴とする。
(積層基板)
本発明に用いる、脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料からなる誘電体層(以下、誘電体層Aという。)と、表面平坦度が3μm以下の、金属材料からなる導体層(以下、導体層Aという。)とを含む積層基板は、その内部において、少なくとも上下2層の誘電体層Aに挟まれた導体層Aに導体パターンからなる受動素子を配置可能なものである。該積層基板は具体的に、誘電体層と導体層とを交互に積層してなる積層基板であって、前記誘電体層の少なくとも2層が誘電体層Aからなり、前記導体層の少なくとも1層が導体層Aからなるものである。該積層基板において、誘電体層は2以上、導体層は1以上存在しておればよく、本発明に用いる積層基板は、2つの誘電体層と1つの導体層とから構成される積層基板であってもよい。その場合、誘電体層は誘電体層Aからなり、導体層は導体層Aからなる。本発明に用いる積層基板には、誘電体層A以外に、その他の公知の誘電体層、例えば、前記特許文献1に記載の誘電体層や、LTCCからなる誘電体層が含まれていてもよく、導体層A以外に、その他の公知の導体層、例えば、表面平坦度が3μm以下の導体層を構成し得ない、表面平坦性に劣る金属材料からなる導体層が含まれていてもよい。本発明の効果を良好に発現させる観点から、積層基板を構成する全ての誘電体層が誘電体層Aであり、かつ全ての導体層が導体層Aであるのが好ましい。前記各層の総数は、所望する積層モジュールの特性に応じて適宜選択すればよい。誘電体層と導体層が複数存在する場合、誘電体層と導体層はそれぞれ同一種類の層からなっても、相異なる種類の層からなってもよい。
本発明に用いる積層基板において、特に限定されるものではないが、誘電体層の厚さとしては、通常、0.1〜500μm、導体層の厚さとしては、通常、0.1〜100μmである。
本発明に用いる積層基板を構成する誘電体層の内、誘電体層Aの割合は特に限定されるものではない。本発明の効果を良好に発現させる観点から、受動素子が配置される、積層基板の内部に存在する導体層Aと、当該受動素子とは無関係に積層基板に形成される、例えば、マイクロストリップラインやストリップラインに対する、前記導体層Aを挟んで存在する、上下2つの接地導体層B及びB’のそれぞれとに挟まれる誘電体層の少なくとも1層が、好ましくは、前記導体層Aと、前記接地導体層B及びB’のそれぞれとに挟まれる全ての誘電体層が、誘電体層Aにより構成されているのが好適である。
また、本発明に用いる積層基板を構成する導体層の内、導体層Aの割合は特に限定されるものではない。本発明の効果を良好に発現させる観点から、受動素子が配置される、積層基板の内部に存在する導体層Aと、当該受動素子とは無関係に積層基板に形成される、例えば、マイクロストリップラインやストリップラインに対する、前記導体層Aを挟んで存在する、上下2つの接地導体層B及びB’との、少なくとも3層が、好ましくは、前記導体層Aと、前記接地導体層B及びB’と、前記導体層Aと前記接地導体層B及びB’のそれぞれとに挟まれる全ての導体層とが、導体層Aにより構成されているのが好適である。
前記ハイブリッド材料に用いられる、脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる有機樹脂材料とは、1以上のポリマー及び/又は1以上のポリマー架橋体から構成される有機樹脂材料であって、少なくとも1つの前記ポリマー又は前記ポリマー架橋体が、脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる、有機樹脂材料である。ここで、ポリマーとは、2以上のモノマーが重合反応してなり、分子内架橋及び/又は水素添加されていてもよい重合物をいう。ポリマー架橋体とは、2以上のポリマーが分子間架橋されてなる架橋物をいう。本発明に用いる積層基板の耐衝撃性、耐熱性、及びQ値(誘電損失と導体損失との和の逆数)を向上させる観点から、有機樹脂材料中の脂環式構造を有するモノマー単位の割合としては、通常、50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%である。有機樹脂材料中の脂環式構造を有するモノマー単位の割合とは、有機樹脂材料を構成する全ポリマー(ポリマー架橋体を構成するポリマーを含む。以下、同じ。)中の全てのモノマー単位における脂環式構造を有するモノマー単位の含有割合をいう。有機樹脂材料中における、脂環式構造を有するモノマー単位の存在や、該単位の割合は、例えば、NMR法(核磁気共鳴法)により確認し、求めることが出来る。なお、有機樹脂材料を構成する全ポリマー中の全てのモノマー単位において、脂環式構造を有するモノマー単位以外の残部は、脂環式構造を有するモノマー以外のモノマー単位からなり、特に限定されるものではない。
前記脂環式構造とは、飽和又は不飽和の環式炭化水素構造である。有機樹脂材料を構成するポリマー中、脂環式構造は主鎖に存在していても、側鎖に存在していても良いが、積層基板の機械的強度や耐熱性を向上させる観点から、主鎖に存在しているのが好ましい。脂環式構造としては、特に限定されるものではないが、一般に、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルカジエン構造、シクロアルカトリエン構造などが挙げられる。脂環式構造としては、積層基板の機械的強度や耐熱性を向上させる観点から、シクロアルカン構造、中でもノルボルナン構造が好ましい。脂環式構造は、単環構造であっても、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環など)構造であってもよい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、特に限定されないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。炭素原子数がこの範囲にあると、得られる積層基板において機械的強度と耐熱性が高度にバランスされ、好適である。
有機樹脂材料は、通常、脂環式構造含有ポリマー(脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなるポリマー)単独、又は脂環式構造含有ポリマー及び脂環式構造含有ポリマー以外のポリマーから構成される。得られる積層基板のQ値、耐熱性、低吸水性、及び機械的強度を向上させる観点から、有機樹脂材料は脂環式構造含有ポリマー単独で構成されているのが好ましい。また、脂環式構造含有ポリマーとしては、脂環式構造を有するモノマー単位のみからなるものが好ましい。有機樹脂材料中、脂環式構造含有ポリマー部分の割合は、通常、20〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは100重量%である。
脂環式構造含有ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、及びビニル脂環式炭化水素重合体などが挙げられる。中でも、得られる積層基板の機械的強度及び耐熱性等を向上させる観点から、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン重合体、及びビニル脂環式炭化水素重合体が好ましく、ノルボルネン系重合体、及びビニル脂環式炭化水素重合体がより好ましく、ノルボルネン系重合体が特に好ましい。これらの重合体は水素添加されたものであってもよい。
ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマ−の開環重合体、ノルボルネン系モノマ−とこれと開環共重合可能なその他のモノマ−との開環重合体、ノルボルネン系モノマ−の付加重合体、及びノルボルネン系モノマ−とこれと付加共重合可能なその他のモノマ−との付加重合体などが挙げられる。中でも、得られる積層基板の機械的強度及び耐熱性等を向上させる観点から、ノルボルネン系モノマ−の開環重合体が好ましい。
本発明においてノルボルネン系モノマ−とは、ノルボルネン環構造を分子内に有する環状オレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類などが挙げられる。
ノルボルネン系モノマ−としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの。以下、同じ。)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、テトラシクロ[7.4.0.02,7.110,13]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。ノルボルネン系モノマ−は、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの炭素数1〜30の炭化水素基や、カルボキシル基及び酸無水物基などの極性基を置換基として有していてもよいが、得られる積層基板を低誘電正接とする観点から、極性基を持たない、すなわち、炭素原子と水素原子のみで構成されるものが好ましい。これらのノルボルネン系モノマ−は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系モノマ−と開環共重合可能なその他のモノマ−としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、及びシクロオクテンなどの単環の環状オレフィンモノマ−などが挙げられる。ノルボルネン系モノマ−と開環共重合可能なその他のモノマ−は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系モノマ−の開環重合体、又はノルボルネン系モノマ−とこれと開環共重合可能なその他のモノマ−との開環重合体は、モノマ−成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、ルテニウムを中心原子とする錯体、中でもヘテロ環構造を有するカルベン化合物と、その他の中性電子供与体とがルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体からなるメタセシス重合触媒を用いるのが好適である。ここで、中性電子供与体とは、中心金属原子から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子をいう。重合反応形態は、特に限定されるものではなく、塊状重合であっても溶液重合であってもよい。
ノルボルネン系モノマ−の付加重合体、又はノルボルネン系モノマ−とこれと付加共重合可能なその他のモノマ−との付加重合体は、これらのモノマ−を、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合反応を行うことにより得ることができる。ノルボルネン系モノマ−と付加共重合可能なその他のモノマ−としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、及び1−ペンテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロオクテンなどの単環の環状オレフィン;1,4−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。ノルボルネン系モノマ−と付加共重合可能なその他のモノマ−は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
有機樹脂材料を構成する脂環式構造含有ポリマー以外のポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、前記特許文献1に記載の、熱硬化性有機樹脂材料や熱可塑性有機樹脂材料などの公知の樹脂が挙げられる。
本発明において、前記ハイブリッド材料に用いる機能性材料粉末とは、得られる積層モジュールの電気的損失の抑制など、該モジュールの省電力化に寄与する機能を有する材料粉末である。ここで、粉末とは、レーザー散乱回折式粒度分布計で測定した全粒子の50体積%が含まれるメディアン径で0.001〜70μmの大きさを有する粒子群をいう。機能性材料粉末の取り扱い容易性の観点から、前記メディアン径としては、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜15μm、最も好ましくは、0.1〜5μmである。一方、粉末の形状は特に限定されるものではなく、球状、粒状、不定形状、樹枝状、針状、棒状、及び扁平状等のいかなる形状であってもよい。
前記機能性材料粉末は、有機物からなるものであっても、無機物からなるものであってもよいが、無機物からなるものが好ましい。かかる機能性材料粉末としては、通常、低損失フィラー及び/又は高熱伝導性フィラーが好適に用いられる。
前記低損失フィラーとは、高周波領域において、有機樹脂材料よりも大きい比誘電率、及び/又は低い誘電正接を持つフィラーをいう。本発明において、比誘電率及び誘電正接は、例えば、トリプレート共振器法により測定することができる。
低損失フィラーによれば、得られる積層基板の誘電率及び/又はQ値を高めることができる。特に、得られる積層基板のQ値を高める観点から、低損失フィラーとしては、その構造はアモルファスであっても結晶構造であってもよいが、構造的欠損が少ないものが好ましい。ここで、構造的欠損が少ないとは、ダングリングボンドが少ないことを言う。本発明において、誘電率及びQ値は、例えば、トリプレート共振器法により測定することができる。
低損失フィラーとしては、その比誘電率が、通常、5〜10,000、好ましくは10〜5,000、より好ましくは20〜1,000、さらに好ましくは50〜500、特に好ましくは60〜300であるものが好適に用いられる。中でも、積層基板の誘電率とQ値とを高める観点から、低損失フィラーとしては、金属酸化物が好ましく、金属複合酸化物がより好ましい。かかる低損失フィラーを用いてなる積層基板を用いれば、小型化、及び省電力化された、所望の積層モジュールが効率よく得られる。なお、小型化には、低背化も含み得る。
前記金属複合酸化物としては、ペロブスカイト構造を有するものが高い比誘電率を示すので好ましい。ペロブスカイト構造を有する金属複合酸化物は、一般に式ABXで表される構造を有し、Aサイトの陽イオンとXサイトの陰イオンであるO2−が同程度の大きさを有し、このAサイトとXサイトから構成される立方晶系単位格子の中にAサイトよりも小さなサイズの陽イオンがBサイトに位置するものである。上式において、A及びBは互いに異なる金属イオンを表し、AとBの価数の合計は6である。具体的には、BaTiO、CaTiO、SrTiO、PbTiO、PbZrO、BaMnOなどのA2+4+で表されるもの;KNbO、KTaO、NaNbO、NaTaOなどのA5+で表されるもの;BiFeO、BiAlO、YFeO、GdFeO、LaAlOなどのA3+3+で表されるもの;が挙げられる。
前記ペロブスカイト構造を有する金属複合酸化物としては、複合ペロブスカイト型化合物であってもよい。複合ペロブスカイト型化合物は、2種以上のペロブスカイト構造を有する金属複合酸化物を固溶させることにより得られる。複合ペロブスカイト型化合物によれば、得られる積層基板の誘電率やQ値を高めることができ、さらに誘電率の温度特性をも容易に制御可能となる。複合ペロブスカイト型化合物としては、例えば、Li0.5Nd0.5TiOやLi0.5Sm0.5TiOなどが挙げられる。
一方、高熱伝導性フィラーとは、熱伝導率が1W/mK以上であるフィラーをいう。該熱伝導率としては、好ましくは10W/mK以上である。本発明において、熱伝導率は、例えば、レーザフラッシュ法により測定することができる。高熱伝導性フィラーによれば、得られる積層基板の熱伝導率を高め、優れた放熱性を付与することができる。
高熱伝導性フィラーとしては、その構造が、アモルファスよりも、ダイヤモンド類似結晶構造か、グラファイト構造をとるものが好ましい。ダイヤモンド類似結晶構造をとるものとしては、例えば、石英、クリストバライト、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、及び酸化ベリリウムなどが、グラファイト構造をとるものとしては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び窒化珪素などが挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、金属粒子、炭素繊維、及びカーボンブラックなどの導電性粉末を、例えば、公知の方法に従って表面改質し、絶縁化させたものを用いることもできる。
以上の機能性材料粉末は、前記有機樹脂材料との親和性を高める観点から、公知のシランカップリング剤で表面処理されたものであってもよい。かかる表面処理の方法は公知であり、また、表面処理が施された機能性材料粉末は市販品として入手可能である。
機能性材料粉末は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。用いる機能性材料粉末の特性に応じて所定のものを適宜選択し、所定の配合割合で組合わせて用いることにより、得られる積層基板において、例えば、誘電率、Q値、及び熱伝導率からなる群から選択される少なくとも1種の特性値を任意に優れたものとすることができる。かかる積層基板を用いて得られる積層モジュールは、電気的損失が抑えられ、省電力化される。機能性材料粉末としては、積層基板の誘電率を特に大きく向上させる観点から、BaTiOやSrTiOなどが好適に用いられる。また、高い誘電率とQ値をバランスよく高める観点から、CaTiOやLi0.5Nd0.5TiOなどが好適に用いられる。積層基板に優れた放熱性を付与する観点から、高熱伝導率である、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、及び石英などが好適に用いられる。
なお、本発明の所望の効果の発現が阻害されない範囲であれば、機能性材料粉末以外の公知の充填剤、例えば、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び燐酸エステルなどの難燃剤や、着色剤などを併用してもよい。
本発明に用いる積層基板において誘電体層を構成するハイブリッド材料中、有機樹脂材料と機能性材料粉末との含有量割合は、得られる積層基板の誘電率、Q値、又は熱伝導率を向上させる観点から、重量比(有機樹脂材料/機能性材料粉末)で、通常、100/50〜100/600、好ましくは100/100〜100/400である。
本発明に用いる積層基板は、公知の方法に従って適宜製造可能であるが、機械的強度に優れた積層基板を効率的に製造する観点から、以下の方法(I)又は方法(II)により、好ましくは方法(II)により、架橋性樹脂成形体を得、当該成形体を用いて製造するのが好ましい。
前記架橋性樹脂成形体を製造するための方法(I)は、有機樹脂材料を構成するためのポリマーを適当な溶媒に溶解し、機能性材料粉末及び架橋剤を混合して、ワニスを得、該ワニスを成形・乾燥する方法である。一方、方法(II)は、塊状重合可能なモノマー、機能性材料粉末、架橋剤、及び重合触媒を含む重合性組成物を塊状重合する方法である。方法(I)のワニス、及び方法(II)の重合性組成物は、所望により、強化繊維に含浸させてもよい。その場合、得られる架橋性樹脂成形体はプリプレグとなる。
前記方法(I)において、ワニスの調製に用いられる溶媒としては、前記ポリマーを溶解できるものであれば限定されないが、乾燥容易性の観点から、沸点が30〜250℃のものが好ましく、50〜200℃のものがより好ましい。かかる溶媒としては、鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素などの公知の溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は、ワニスの固形分濃度が、通常、5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは20〜60重量%になる範囲である。
ワニスの調製は、例えば、前記ポリマーを溶媒に溶解し、機能性材料粉末、架橋剤、及び所望によりその他の成分を加え、公知の方法に従って混合すればよい。架橋剤は、有機樹脂材料を構成するためのポリマーにおいて分子内や分子間での架橋反応を誘起できるものであれば、特に限定されるものではない。その他の成分としては、例えば、架橋助剤、架橋遅延剤、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などが挙げられる。
ワニスの成形及び乾燥は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、及びナイロンなどからなる樹脂フィルムや、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀などからなる金属箔などの支持体上にワニスを塗布し、乾燥して溶媒を除去することにより行うことができる。ワニスを強化繊維に含浸させる場合は、例えば、前記支持体上に後述するような強化繊維を置き、その上にワニスを注ぎ、所望により、さらに保護フィルムを重ね、上方からローラーなどで押圧することにより行うことができる。
ワニスの乾燥条件は、溶媒の種類により適宜選択すればよいが、架橋性樹脂成形体を得るためには極力架橋反応が生じないのが好ましく、乾燥温度としては、架橋反応が生ずる温度未満とするのが好ましい。乾燥温度は、用いる架橋剤の特性に応じて適宜決定することができる。乾燥温度は、通常、20〜300℃である。
方法(II)では、塊状重合可能なモノマーを含む重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体を得る。重合性組成物は、前記ワニスと比較して粘度が低く、強化繊維に対して速やかに満遍なく含浸し得る。従って、本方法によれば、重合性組成物を強化繊維に含浸させる場合、強化繊維に対するポリマー成分の含浸性と密着性に優れたプリプレグが得られる。
重合性組成物は、例えば、塊状重合可能なモノマー、重合触媒、架橋剤、機能性材料粉末、及び所望により、前記その他の成分を公知の方法により混合することで調製することができる。その他の成分としては更に連鎖移動剤を用いてもよい。
塊状重合可能なモノマーとしては、例えば、前記の、ノルボルネン系モノマ−、及びノルボルネン系モノマ−とこれと開環共重合可能なその他のモノマ−を、重合触媒としては、前記メタセシス重合触媒を用いるのが好ましい。架橋剤は、有機樹脂材料を構成するためのポリマーにおいて分子内や分子間での架橋反応を誘起できるものであれば、特に限定されるものではないが、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。
得られた重合性組成物を、例えば、公知の方法に従って前記支持体上に塗布し、所望により乾燥させ、次いで開環重合することにより、フィルム状や板状等の架橋性樹脂成形体を得ることができる。また、例えば、方法(I)の場合に準じて、得られた重合性組成物を、公知の方法に従って強化繊維に含浸させ、次いで開環重合することにより、プリプレグを得ることができる。前記強化繊維としては、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維などの無機繊維;などが挙げられる。強化繊維の形状としては、例えば、マット、クロス、及び不織布などが挙げられる。強化繊維は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量としては、架橋性樹脂成形体中、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層基板の誘電特性と機械的強度が高度にバランスされ、好適である。
強化繊維に重合性組成物を含浸後、含浸物を所定温度に加熱して開環重合させることによりポリマーが含浸したプリプレグが得られる。その際の加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。開環重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、開環重合のピーク温度をラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。
以上の方法(I)又は(II)において、例えば、支持体に、金属材料として後述のような金属箔を用い、当該支持体と架橋性樹脂(又はプリプレグ)との積層体として架橋性樹脂成形体を得れば、当該成形体を積層し、所望により、各種ホールの形成や回路のパターンニングを行い、次いで硬化(架橋性樹脂の架橋)することにより、容易に、本発明に用いる積層基板を得ることができる。
一方、以上の方法(I)又は(II)において、架橋性樹脂成形体をプリプレグ単体として得た場合には、例えば、以下の方法により、本発明に用いる積層基板を容易に作製することができる。
本発明に用いる積層基板は、上記のようにして得られた、誘電体層Aを形成するための、2以上の架橋性樹脂成形体と、導体層Aを形成するための、1以上の金属材料と、所望により、誘電体層又は導体層を形成し得る、その他の公知の材料とを、得られる積層基板において誘電体層と導体層とが交互に積層されるようにして積層し、次いで硬化することにより効率よく製造することができる。積層基板の製造時においては、誘電体層となる層に対し、公知の方法に従って、貫通ビアホール、ブラインドビアホール、及びサーマルビアホール等のための孔を形成してもよいし、形成されたホール内に導電性ペースト(例えば、Agなど)を充填して、電気的接続導体や放熱路を形成してもよい。また、導体層となる層に対し、公知の方法に従って回路のパターンニングを行ってもよい。
本発明に用いる積層基板において導体層Aを構成する金属材料としては、該積層基板において表面平坦度が3μm以下の導体層(金属層)を構成し得るものであれば、特に限定されない。当該金属材料としては、例えば、後述するような金属箔の他、めっきなどが挙げられる。導体層Aの表面平坦度としては、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。一方、該表面平坦度の下限は、通常、10nm程度である。導体層Aの表面平坦度がかかる範囲にあれば、得られた積層基板を用いてなる積層モジュールにおいては、高周波伝送においてノイズ、遅延、及び伝送ロス等の発生が充分に抑えられ、好ましい。導体層Aを構成する金属材料として、例えば、後述するような金属箔を用いれば、生産効率よく所望の積層基板を得ることができる。ここで、表面平坦度とは、図1に示すように各構成層が水平になるように設置した積層基板(X側が上、Y側が下)の断面において、誘電体層と導体層との境界線の、積層基板の上下方向における最上点を通って水平に補助線1を引き、また、誘電体層と導体層との境界線の、積層基板の上下方向における最下点を通って水平に補助線2を引いたときの、補助線1と補助線2との最短距離Lをいう。本発明においては、1つの積層基板から得られた、研磨してなる任意の3つの断面の光学顕微鏡画像(倍率:10000倍)をそれぞれ用い、上記のようにして求めた3つの表面平坦度の値の平均値を、導体層Aの表面平坦度の値として用いる。
金属材料としては、その表面の粗度(Rz)が、通常、3μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である金属箔が好適に用いられる。一方、Rzの下限は、通常、10nm程度である。本発明において、Rzは、AFM(原子間力顕微鏡)により測定することができる。前記金属箔としては、回路基板で一般に用いられるものを特に限定なく用いることができる。例えば、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが挙げられ、中でも銅箔が好適に用いられる。金属箔の厚さは、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常、0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜20μm、最も好ましくは2〜15μmの範囲である。金属箔は、その表面が、シランカップリング剤、チオールカップリング剤、チタネートカップリング剤、各種接着剤などで処理されているものが好ましく、シランカップリング剤で処理されているものがより好ましい。
積層基板の各材料の積層と硬化は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことができる。加熱温度は、架橋剤により架橋反応が誘起される温度以上である。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合、通常、1分間半減期温度以上、典型的には、100〜300℃の範囲である。また、プレス圧力としては、通常、0.1〜20MPaである。熱プレスは、真空下、又は減圧雰囲気下で行ってもよい。
以上により得られる積層基板は、後述の積層モジュールの製造に好適に用いられる。該積層基板においては、誘電体層が有機樹脂材料を用いてなる前記ハイブリッド材料から構成されており、LTCCを用いた従来の積層基板と異なり、その加工工程において、クラックや層間剥離が生じにくく、機械的強度に優れており、製品としての信頼性に優れている。また、層間の絶縁抵抗がクラックによって劣化することがないので、コンデンサをパターン形成するのに都合がよい。しかも、各種ホールや、該ホールに導電性ペーストを充填してなる電気的接続導体や放熱路を容易に形成可能である。このため、層間において位置ズレを生じることなく、各種ビアを確実に形成可能である。
前記ハイブリッド材料を構成する有機樹脂材料は、一般に、誘電損失が小さいという点で優れた材料である。更に、ハイブリッド材料を構成する機能性材料粉末の種類を適宜選択することにより、積層基板に対し、所望の電気的特性を付与することができる。例えば、機能性材料粉末として低損失フィラーを用いる場合には、材料粉末の選択により、積層基板の誘電率を低い状態から高い状態まで容易に調整することができ、又は有機樹脂材料のみを用いた積層基板よりもQ値を高くでき、又は有機樹脂材料のみを用いた積層基板よりも誘電率を高くすることができる。更に、機能性材料粉末の選択によっては、高周波領域で、比較的高いQ値と誘電率とを有する積層基板を得ることもできる。かかる特性は、例えば、ストリップライン、バンドパスフィルタ、インピーダンス整合回路、遅延回路及びアンテナ回路等を構成する場合に要求される。
一方、機能性材料粉末を適宜選択することで、得られる積層基板の熱伝導性を変化させることもできる。例えば、機能性材料粉末として高熱伝導性フィラーを適宜用いれば、誘電体層の熱伝導率を0.5〜50W/(m・K)の範囲で容易に調整可能であり、放熱性に優れた積層基板を得ることができる。
また、ハイブリッド材料と金属箔とを予め積層してなるもの、例えば、ハイブリッド材料に銅箔を貼り付けた銅張り積層板を用いれば、銅箔を適宜パターンニングし、かつ積層することで、容易に所望の積層基板を得ることができる。パターンニングや積層は、公知の方法に従って実施可能であり、コストダウン及び作業性の改善を図ることができる。このように、本発明に用いる積層基板は、LTCCを用いた従来の積層基板と比べて、非常に生産効率に優れるという利点も有する。
(受動素子)
本発明の積層モジュールにおいて、受動素子は、前記積層基板の内部において、少なくとも上下2層の誘電体層Aに挟まれた導体層Aに形成された導体パターンとして配置されている。導体パターンは、受動素子として機能し得るものである限り、特に限定されるものではない。本発明に用いる積層基板において受動素子は1以上存在させることができる。受動素子を2以上存在させる場合、各受動素子は、積層基板中、同一の導体層Aに存在していても、別々の導体層Aに存在していてもよい。また、本発明の積層モジュールにおいて、用いる受動素子は、その少なくとも1つが積層基板の内部に所定の形態で配置されていればよく、例えば、積層基板の表面に配置されているものがあってもよい。
積層基板の内部に配置される受動素子は、積層基板と一体的に形成することができる。受動素子は、積層基板の製造の際、例えば、下層の誘電体層Aの上に導体層Aとなる金属材料を積層し、当該金属材料を公知の方法に従ってパターンニングし、次いで上層の誘電体層Aとなる前記ハイブリッド材料を積層することで形成することができる。このようにして形成される受動素子は、誘電損失が低く、周波数温度特性に優れたものである。また、以上のようにして受動素子を形成することから、本発明の積層モジュールは、生産効率が高く、小型化及び省電力化され、しかも信頼性に優れたものとなる。
本発明に用いる受動素子としては、特に限定されるものではないが、例えば、バンドパスフィルタを始めとする各種高周波フィルタ(バンドエミッションフィルタ、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、ダイプレクサ、及びデュプレクサ等)、及びバランやカプラ等が挙げられる。
本発明に用いられる積層基板では、誘電体層Aを構成する有機樹脂材料と機能性材料粉末、及び所定の表面平坦度を有する導体層Aを構成する金属材料といった所定の構造部材が組合わせて用いられており、その結果、それらの材料の各特性が相乗的に向上するものと推定される。かかる積層基板の内部において、少なくとも上下2層の誘電体層Aに挟まれた導体層Aに導体パターンからなる受動素子を配置することで、構造部材の特性と有機的に関連して、得られる積層モジュールにおいては、その信頼性が格段に向上すると共に、電気的損失が顕著に抑えられるものと推定される。
(積層モジュール)
本発明の積層モジュールは、前記積層基板と、当該積層基板の内部に所定の形態で配置された受動素子と、前記積層基板の表面及び/又は内部に配置されている能動素子とを含んでなる。また、当該積層モジュールは、通常、外部接続端子と、接地用電極と、ビアホールとをさらに含む。本発明において、積層基板の表面とは、積層基板の上面、例えば、種々のチップ部品が積層される主面、又は該上面の反対側に位置する下面(又は裏面)を言う。また、配置とは、所定位置にパターン形成されていること、又は所定位置に実装されていることをいう。
本発明の積層モジュールに用いる能動素子としては、特に限定はなく、例えば、送信増幅器(Power Amp)、低雑音増幅器(Low Noise AMP)、電圧制御発振器(VCO)、又はそれらが多段に集積化されたICなどの公知の能動素子が挙げられる。これらの能動素子は、所望により、以下の3つの形態で、すなわち、前記積層基板の表面に配置されるか;又は前記積層基板の表面に一部が配置され、かつ前記積層基板の内部に残部が配置されるか;又は前記積層基板の内部に配置される。ここで、前記積層基板の表面に一部が配置され、かつ前記積層基板の内部に残部が配置される、とは、能動素子の一部が積層基板の表面に位置し、該素子の残りの部分が積層基板の内部に埋設される形で位置するようにして、能動素子が積層基板に配置されていることをいう。能動素子は、実装部品として、公知の方法に従って所望の形態で積層基板に配置することができる。本発明の積層基板において能動素子は1以上存在させることができる。能動素子を2以上存在させる場合、各能動素子は、同一の形態で存在していても、相異なる形態で存在していてもよい。
前記外部接続端子としては、例えば、電源端子及び信号端子などが挙げられる。かかる外部接続端子と共に、接地用電極が、積層基板の表面に配置される。外部接続端子と接地用電極とは、積層基板の同一表面に共に配置されていても、各々相異なる表面に配置されていてもよい。
前記ビアホールとしては、例えば、貫通ビアホール、ブラインドビアホール、及びインナービアホールなどが挙げられる。
貫通ビアホールは、積層基板を厚さ方向に貫通して存在しており、その一端が、外部接続端子又は接地用電極に導通している。ブラインドビアホールは、積層基板の表面に設けられた導体パターンと、次層の導体パターンとの間を接続し、当該導体パターンを前記外部接続端子又は前記接地用電極に導通させる。受動素子は、導体層Aにおいて、該素子として機能する導体パターンとして配置されており、一方、能動素子は、通常、導体パターン上に実装部品として配置されており、貫通ビアホール及びブラインドビアホールによれば、積層基板の表面及び/又は内部に配置された能動素子、及び積層基板の内部に配置された受動素子を、外部接続端子又は接地用電極に導通させることができる。また、インナービアホールは、積層基板の内層に形成された導体パターンの間を、積層基板の厚さ方向に導通させるものであり、積層基板の表面に、その一端が出ることはない。
従来の有機樹脂材料、例えば、FR−4等の汎用樹脂材料を用いてなる積層基板を用いてなる積層モジュールでは、インダクタ、コンデンサ、及びバンドパスフィルタ等の受動素子を該積層基板の内部に配置した場合、所望の電機的特性や熱伝導性が得られず、受動素子の内蔵は実質的に不可能であり、積層基板の表面に部品実装されていた。これに対し、前記積層基板を用いてなる、本発明の積層モジュールは、受動素子が積層基板に内蔵され、従って、従来のものよりも小型化可能であり、高周波領域(100MHz以上、特に100MHz以上100GHz以下の領域)での使用において非常に電気的損失が少なく、あるいは放熱性に優れており、消費電力を低く抑えることができる。
本発明の積層モジュールは、その目的とする機能に応じて、公知の方法に従って適宜製造することができる。かかる積層モジュールとしては、例えば、パワーアンプモジュールなどが挙げられる。かかる積層モジュールは、例えば、無線通信機器の送信部に好適に用いられる。
本発明によれば、さらに、本発明の積層モジュールを備えてなる電子機器を提供することができる。本発明の電子機器は、小型で省電力型であることに加え、広範囲な使用環境に対しても性能が安定している。当該電子機器としては、例えば、携帯電話端末、携帯無線情報端末、及び無線LAN装置などが挙げられる。これらの電子機器は、公知の方法に従って適宜製造することができる。
以下、本発明の積層モジュールについて具体的態様を挙げ、図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。各図面に記載の態様は単なる例示であって、本発明はそれらの態様に限定されるものではない。
(無線通信機器の送信部Txモジュールの例)
図2に積層モジュールの一例として、無線通信機器の送信部Txモジュールのブロック図を示す。
Txモジュールは、電圧制御発振器VCO、ミキサMIX、パワーアンプ部PA、及びバンドパスフィルタBPFを備える。VCOで高周波搬送波を発生させ、信号入力端子BB INよりベースバンド信号を入力し、MIXで高周波搬送波とベースバンド信号を混合した高周波信号を作り出す。次にPAで高周波信号を増幅し、BPFを通して、必要な高周波信号だけが選択され、信号出力端子TX OUTを介してアンテナ部へと接続される。
図2に示すTxモジュールにおいてはPAとBPFとが積層モジュール化されている。以下、当該積層モジュール(PA積層モジュール)により具体的に説明する。
(PA積層モジュール)
図3に、図2のTxモジュールに含まれるPAの回路図の一例を示す。PAは、半導体素子の2段構成からなるIC1と、入力整合回路部IM1と、出力整合回路部OM1と、バイアス回路部BC1とを含んでいる。
IC1は、信号入力端子Pin1から入力された信号を増幅する役割を担い、IM1は、Pin1でのインピーダンス(50Ω)をIC1の入力インピーダンスに整合させ、Pin1から入力された信号をインピーダンス不整合による損失なくIC1の入力へ伝送する役割を担う。OM1は、IC1の出力インピーダンスをBPF入力端子で見たインピーダンス(50Ω)に整合させ、IC1から出力された信号をインピーダンス不整合による損失を生じることなく、BPF入力端子へ伝送させる役割を担い、BC1は、直流電力を供給し、IC1に含まれる半導体を増幅素子として動作させる役割を担う。IM1は、インダクタL1とコンデンサC1とがL型に接続された回路で構成される。更に、IM1にはコンデンサC2が備えられている。OM1は、インダクタL2とコンデンサC3とのL型回路で構成される。更に、OM1の出力端にはコンデンサC4が接続されている。また、BC1のインダクタL3とL4は、IC1で増幅された信号を電源端子Vcc1へ漏洩させないよう、高インピーダンスを持つインダクタ素子により構成される。また、インダクタ素子の代わりにλ/4の長さの配線パターンを用いる場合もある。インダクタL3とL4のそれぞれには、接地コンデンサC5とC6が接続されている。
図4は、PAとBPFを積層基板の表面に配置してなる、PAをBPFと積層モジュール化した、従来のPA積層モジュールの分解斜視図であり、図5は、図4のPA積層モジュールの完成状態における斜視図であり、図6は、図4のPA積層モジュールの完成状態における内部の接続構造〔(a)及び(b)〕を概略的に示す断面図である。積層基板100におけるパターンの配置については、特に限定はない。
PA積層モジュールは、積層基板100と、能動素子であるIC1と、BPF1と、インダクタ素子やコイル素子等の受動素子60及び70と、Vcc1、Pin1、BPF入力端子、BPF出力端子、Tx Outと、接地用パターンGNDと、貫通ビアホール40と、ブラインドビアホール30と、インナービアホール20、導体パターン50とを備える。受動素子60は、図3のBC1を構成する受動素子であり、受動素子70は、図3のIM1及びOM1をそれぞれ構成する受動素子である(図3参照)。
積層基板100は、図4に示すように、5枚の誘電体層101〜105を含む。誘電体層101〜105は順次に積層されている。能動素子であるIC1は、積層基板100の表面側に位置する構成層101の上に配置されている。IC1の電極は、ワイヤーボンディング又は半田付け等により、構成層101上に形成された導体パターンに接続されている。
図6において、貫通ビアホール40は、積層基板100を厚さ方向に貫通し、接地導体層GNDに導通している。ブラインドビアホール30は、積層基板100の表面に設けられた導体層50と、次層の導体層50との間を接続する。インナービアホール20は、積層基板100の内部に形成された導体層50を接続する。ブラインドビアホール30は、一端が積層基板100の内部で終端されており、インナービアホール20は両端が積層基板100の内部で終端されている。
図7は、図5のPA積層モジュールの表面に実装されたインダクタ素子やコイル素子等の受動素子70(図3におけるL1、C1、C2、L2、C3、及びC4)を、積層基板100の内部に配置してなる、本発明の積層モジュールの斜視図である。受動素子70を内部に配置することで点線で表された部分を削ることができ、モジュールが小型化されている。
図8は、図5のPA積層モジュールの表面に実装されたインダクタ素子やコイル素子等の受動素子70(図3におけるL1、C1、C2、L2、C3、及びC4)に加え、BPF1を、積層基板100の内部に配置してなる、本発明の積層モジュールの斜視図である。受動素子70とBPF1を積層基板の内部に配置することで点線で表された部分を削ることができ、モジュールが非常に小型化されている。
図7と図8とから分かるように、受動素子を積層基板の内部にパターン化することにより、積層基板100表面の実装面積が増加し、集積化、小型化に有利となる。更に、部品点数の削減、半田付け数の低減により、生産性及び信頼性の向上に大きく寄与する。
図8に示したPA積層モジュールの積層基板100の内部に配置されたBPF1は、インダクタ素子又はコンデンサ素子をパターン化して、積層基板の内部を構成する導体層の少なくとも1層を用いて形成されているが、インナービアホールを用いて複数の導体層を使用する場合もある。
なお、図7と図8の積層モジュールは、図4〜6の積層モジュールとは、受動素子の一部が所定の形態で積層基板の内部に配置され、各構成要素の材料が異なる以外、基本的な構成は同様である。図7と図8の積層モジュールにおいて、積層基板100は、有機樹脂材料としてのノルボルネン系ポリマーと、機能性材料粉末としてのCaTiOとからなるハイブリッド材料から構成される誘電体層101〜105と、表面平坦度が1μm以下の、銅箔から構成される導体層50とが交互に積層されてなる。有機樹脂材料中の脂環式構造を有するモノマー単位の割合は80モル%である。また、ハイブリッド材料中の有機樹脂材料と機能性材料粉末との含有量割合は、重量比(有機樹脂材料/機能性材料粉末)で100/200である。誘電体層101〜105の熱伝導率は0.8W/(m・K)である。
図9にバンドパスフィルタの回路の一例を、図10にインダクタ素子及びコンデンサ素子をパターン化して作製したバンドパスフィルタ部分の一例の斜視図を示す。積層基板100内に形成したバンドパスフィルタは、フィルタ内の電力漏れを防ぎ、なおかつ外部からのノイズを防止するために、上下を接地電極で覆われ、なおかつ周囲を、通過周波数のλ/2以下の間隔に配置され、接地電極に導通している、インナービアホール又はスルーホールによって囲まれている。
バンドパスフィルタにおいて、通過周波数帯域における電力損失の程度は最も重要な特性の一つであるが、インダクタ素子及びコンデンサ素子をパターン化してなるバンドパスフィルタにおいては、インダクタ素子の電力損失がバンドパスフィルタ全体の損失の大部分を占める。本発明においては、有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料を、例えば、プリプレグの形態で、導体層の表面平坦度が1μm以下となる銅箔と張り合わせて銅張り積層板を作製し、当該銅張り積層板を用いて容易に所望の積層基板を作製可能である。得られる積層基板において、プリプレグ部分は誘電体層を、銅箔部分は導体層を、それぞれ構成する。かかる積層基板では、導体層を構成する銅箔の表面を流れる高周波電流の抵抗値を下げることができる。これにより、インダクタ素子の損失を大幅に下げることが可能になる。図11に各種材料で作製したインダクタ素子のQ値の10GHzまでの測定結果を示す(インダクタ条件:ライン幅とライン間の間隔いずれも80μm)。1GHz以上において、樹脂材料(BTレジン)、低温焼成セラミック(LTCC)のQ値はいずれも20〜37であるのに対し、本発明に係る有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料で作製したインダクタ素子のQ値は40〜48と優れており、損失の小さなバンドパスフィルタを作製するのに有利であることが分かる。
バンドパスフィルタ回路は、上述のようにインダクタ素子やコンデンサ素子などの集中定数の組み合わせに限らず、分布定数を用いて形成することも可能であり、例えば、図12に示すようなλ/4共振器によるバンドパスフィルタ、図13に示すようなλ/2共振器によるバンドパスフィルタ等を積層基板100内に形成することが可能である。このような分布定数による回路においても、本発明に係る有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料を用いてなる共振器はQ値が優れており、低損失なバンドパスフイルタを作製するのに有利である。
更に、上述のバンドパスフィルタ等の各種フィルタは、モジュールの使用環境温度に対して共振周波数が変化しないことが求められる。本発明の積層モジュール内に形成したバンドパスフィルタは、有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料を用いてなるが、各材料の組み合わせにより、共振周波数の温度特性を調整することが可能である。
図14に、本発明に用いるハイブリッド材料を用いてなる共振器の共振周波数温度特性(TCF)と、公知の他の材料を用いてなる共振器のTCFの測定結果を示す。TCFは、各材料にてマイクロストリップライン型半波長共振器(共振周波数2〜10GHz)を作製し、−25℃〜+100℃の温度範囲における共振周波数をベクトルネットワークアナライザによりそれぞれ測定し、共振周波数の変化に基づき絶対値として求めた。
汎用樹脂材料(FR−4;エポキシ樹脂)が約200ppm/℃、BTレジン(HL830;ビスマレイミド・トリアジン樹脂)が約140ppm/℃、低温焼成セラミック(LTCC)が60〜80ppm/℃であるのに対し、本発明に用いるハイブリッド材料を用いてなるバンドパスフィルタのTCFは約30〜45ppm/℃と際立って優れており、広範囲の環境温度に対し、優れた信頼性を確保するものであることが分かる。
上述のように、本発明に用いる、有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料は、プリプレグの形態で、導体層の表面平坦度が1μm以下となる、表面平坦性に優れた銅箔と張り合わせて銅張り積層板として用いることが可能であり、得られる積層基板では、導体層を構成する銅箔の表面を流れる高周波電流の抵抗値を下げることができる。また、有機樹脂材料の電機特性に依存して誘電体層の誘電正接を0.06以下に抑えることが可能であり、これにより、ストリップライン又はマイクロストリップラインの信号伝送損失を従来材料より低減することができる。
図15に、各種材料で作製したマイクロストリップラインの伝送損失の測定結果を示す。伝送損失は、ベクトルネットワークアナライザにより測定した。
汎用樹脂材料(FR−4)、高機能樹脂材料(BTレジン)、及び低温焼成セラミック(LTCC)と比較して、本発明に係るハイブリッド材料を用いてなるものでは伝送損失が優れており、周波数が高くなるほど優位性が顕著になることが分かる。
従って、モジュール基板上の配線において、ICのような能動素子同士を、ICとBPFのように、能動素子と受動素子とを、又はBPF出力端子からアンテナ入力端子のように、受動素子同士を、ストリップライン又はマイクロストリップラインの伝送ライン(通常、50Ωライン)で接続する場合、従来の汎用樹脂材料(FR−4)や、低温焼成セラミック(LTCC)等を用いた基板と比較して、本発明に係るハイブリッド材料を用いた基板では伝送損失が少なく、優れた省電力型のモジュールを作製することが可能である。
図16には、各種材料で作製した1.8GHz帯バンドパスフィルタの通過帯域における伝送損失の測定結果を示す。該測定結果によれば、本発明に係るハイブリッド材料を用いてなるものでは、従来の材料(FR−4及びLTCC)を用いてなるものより伝送損失が優れており、省電力化に有効であることが分かる。
20 インナービアホール
30 ブラインドビアホール
40 貫通ビアホール
60 受動素子
70 受動素子
100 積層基板
101〜105 構成層(誘電体層)

Claims (6)

  1. 脂環式構造を有するモノマー単位を含有してなる有機樹脂材料と機能性材料粉末とを含有してなるハイブリッド材料からなる誘電体層と、表面平坦度が3μm以下の、金属材料からなる導体層とを含む積層基板と、
    前記積層基板の内部に配置されている、少なくとも上下2層の前記誘電体層に挟まれた前記導体層に形成された導体パターンからなる受動素子と、
    前記積層基板の表面に配置されているか;又は前記積層基板の表面に一部が配置され、かつ前記積層基板の内部に残部が配置されているか;又は前記積層基板の内部に配置されている能動素子と、
    を含む積層モジュール。
  2. 前記有機樹脂材料中の脂環式構造を有するモノマー単位の割合が50モル%以上である請求項1記載の積層モジュール。
  3. 前記ハイブリッド材料における有機樹脂材料と機能性材料粉末との含有量割合が、重量比(有機樹脂材料/機能性材料粉末)で100/50〜100/600である請求項1又は2記載の積層モジュール。
  4. 機能性材料粉末が低損失フィラー及び/又は高熱伝導性フィラーである請求項1〜3いずれか記載の積層モジュール。
  5. 前記誘電体層の熱伝導率が0.5〜50W/(m・K)である請求項1〜4いずれか記載の積層モジュール。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の積層モジュールを備えてなる電子機器。
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