JP2011021642A - アンギュラ玉軸受、建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置及びロボットアームの関節装置 - Google Patents

アンギュラ玉軸受、建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置及びロボットアームの関節装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アンギュラ玉軸受の組立幅内に保持器を収めつつ、玉径を大きくする限界を高める。
【解決手段】肩おとし外輪1と、内輪2と、複数の玉3と、保持器4とを備え、保持器4は、各ポケット41の内面部分42a,43aを形成された環状部42,43を組立幅Tの外輪背面側及び内輪背面側に有し、かつ該組立幅T内に収まるように設けられるアンギュラ玉軸受10において、外輪1の背面12から遠い側の外輪側端部15と内輪背面との間、または内輪2の背面22から遠い側の内輪側端部25と外輪背面との間の少なくとも一方に、周方向の環状配置空間16,26を設けられており、環状部42,43は、対応する側に設けられた環状配置空間16,26内で回転するように、かつ、各ポケット41の内面部分42a,43aと交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように軌道輪側方域42b,43bを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンギュラ玉軸受並びにこのアンギュラ玉軸受を使用した建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置及びロボットアームの関節装置に関する。
建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置やロボットアームの関節装置に使用される軸受は、低速回転で使用され、大きなラジアル負荷能力が要求される。ころ軸受は、内外輪ところが線接触しているので、ラジアル負荷能力が大きく該箇所の使用に適しているが、製造コストが高いという短所がある。そのため、製造コストが低い玉軸受のうちアンギュラ玉軸受の負荷能力を大きくしたものが提案されている。
アンギュラ玉軸受は、単列の肩おとし外輪を備えたアンギュラコンタクト玉軸受の一種であり、外輪の背面と内輪の背面とを押す一方向のアキシアル荷重のみを支持することができるようになっている。玉と軌道との接触面積がころに比して小さいため、アンギュラ玉軸受の負荷能力を高めた上で、スプロケット支持装置等に適用することが提案されている。
例えば、特許文献1に開示されたアンギュラ玉軸受は、肩おとし内輪と、打抜き保持器からなるかご形の保持器とを備えている。軌道溝は、アキシアル平面で視るとゴシックアーチ状になっており、玉と2点接触することができる。ラジアル負荷及びアキシアル負荷が2点の接触点に分散支持されるので、軸受サイズを大きくすることなく軸受の負荷能力が向上されている。外輪背面側の幅面と内輪背面側の幅面とで定まるアンギュラ玉軸受の組立幅を考えたとき、保持器は、両環状部で軸受設置空間を拡大しないようにするため、組立幅内に収まるように設けられている。
特開2005−201294号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたアンギュラ玉軸受のように、軌道溝をゴシックアーチ状にすると、軌道溝の加工が難しくなる。そこで、玉径を大きくすることでアンギュラ玉軸受の負荷能力を向上させることが考えられる。
ところが、図6に例示するように、玉径を大きくすると、保持器202のポケット203の大開口化を伴う。保持器202を組立幅Tから食み出すように太くすることは、スプロケット装置等の軸受設置空間の変更を招き得るので好ましくない。この前提のもとで単純に玉径を大きくするほど、図中に実線と二点鎖線で玉径を描いたように、保持器202の環状部204,205は、各ポケット203の内面部分でアキシアル方向に薄くなる。このため、保持器202の機械的強度を考慮すると、玉径を大きくすることに限界がある。
上述の事情に鑑み、この発明の課題は、アンギュラ玉軸受の組立幅内に保持器を収めつつ、玉径を大きくする限界を高めることにある。
上記の課題を解決するため、この発明は、単列の肩おとし外輪と、単列の内輪と、複数の玉と、前記玉を各ポケットに保持する保持器とを備え、組立幅は、外輪背面側の幅面と内輪背面側の幅面とで定まり、前記保持器は、前記各ポケットの内面部分を形成された環状部を前記組立幅の外輪背面側及び内輪背面側のうちの少なくとも一方に有し、かつ該組立幅内に収まるように設けられているアンギュラ玉軸受において、前記外輪の背面から遠い側の外輪軌道溝周縁と外輪嵌め合い面をつなぐ外輪側端部と前記内輪背面との間、または前記内輪の背面から遠い側の内輪軌道溝周縁と内輪嵌め合い面をつなぐ内輪側端部と前記外輪背面との間の少なくとも一方に、周方向の環状配置空間を設けられており、前記少なくとも一方の環状部は、対応する側に設けられた前記環状配置空間内で回転するように、かつ、前記各ポケット内面部分と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように軌道輪側方域を設けられている構成を採用した。
この発明において、「アキシアル」とは、軸受の回転の理論上の中心軸である軸受中心軸に平行なことをいう。また、「背面」とは、アキシアル荷重を支持する軌道輪の側面のことをいう。また、「背面側の幅面」とは、軸受中心軸に垂直な平面であって、アキシアル方向の軌道輪寸法が最大となる軌道輪の両側端のうち該軌道輪背面の側端と接する平面のことをいう。また、「組立幅」とは、外輪背面側の幅面と、内輪背面側の幅面との間のアキシアル距離をいう。また、「側端」とは、アキシアル方向の直線と交わる部材表面のことをいう。また、「周方向」とは、軸受中心軸回りの円周方向のことをいう。「環状」とは、周方向全周に亘ることをいう。また、「回転する」とは、保持器の一部として軸受中心軸回りに回転することをいう。また、「ラジアル平面」とは、軸受中心軸に垂直な平面のことをいう。
アンギュラ玉軸受の上述のアキシアル荷重の支持特性から、外輪の背面から遠い側の外輪軌道溝周縁と外輪嵌め合い面をつなぐ外輪側端部及び内輪背面側の幅面間、並びに内輪の背面から遠い側の内輪軌道溝周縁と内輪嵌め合い面をつなぐ内輪側端部及び外輪背面側の幅面間には、周方向の環状配置空間を適宜に設けることができる。これら環状配置空間は、対応する軌道輪の背面から遠い側の軌道溝周縁よりも嵌め合い面側に寄った位置にあるため、玉径の大きさとは無関係に確保することができる。このような環状配置空間は、保持器の環状部の回転空間に利用することができる。すなわち、環状部には、対応する側に設けられた環状配置空間内で回転するように軌道輪側方域を設けることができる。この軌道輪側方域をその環状部における各ポケットの内面部分と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けると、玉径を大きくしても、組立幅から食み出ないように環状部を補強し、ひいては保持器の機械的強度を補うことができる。したがって、この発明の構成によれば、アンギュラ玉軸受の組立幅内に保持器を収めつつ、玉径を大きくする限界を高めることができる。なお、軌道輪側方域は、対応する軌道輪の側端部と幅面との間の周方向の環状配置空間内に配置されるため、軸受組立時、軌道輪と保持器を同心かつアキシアル方向に組み合わせる支障とならない。
保持器は、組立幅の外輪背面側にのみ環状部を有するもの、又は組立幅の保持器の内輪背面側にのみ環状部を有するものにすることができる。外輪背面側にのみ環状部を設ける第1の形態の場合、環状配置空間は、内輪の背面から遠い側の内輪軌道溝周縁と内輪嵌め合い面をつなぐ内輪側端部及び外輪背面側の幅面間に設け、その環状部に軌道輪側方域を設ければよい。内輪背面側にのみ環状部を設ける第2の形態の場合、環状配置空間は、外輪の背面から遠い側の外輪軌道溝周縁と外輪嵌め合い面をつなぐ外輪側端部及び内輪背面側の幅面間に設け、その環状部に軌道輪側方域を設ければよい。また、保持器は、組立幅の外輪背面側及び内輪背面側の両方に環状部を有するものにすることもできる。この第3の形態の場合、前記外輪側端部及び内輪背面側の幅面間に第1の前記環状配置空間を設け、前記内輪側端部及び外輪背面側の幅面間に第2の前記環状配置空間を設け、内輪背面側の環状部に前記第1の環状配置空間内を回転する第1の前記軌道輪側方域を設け、外輪背面側の環状部に前記第2の環状配置空間内を回転する第2の前記軌道輪側方域を設ければよい。この発明において、「前記環状部のある前記外輪背面側及び内輪背面側の少なくとも一方の間に環状配置空間を設けられており、前記少なくとも一方の環状部は対応する側に設けられた前記環状配置空間内で回転するように軌道輪側方域を設けられている」とは、これら3形態を全て包含することを意味する。
前記環状配置空間は、軸受外部とラジアル方向に連通するように設けられており、前記軌道輪側方域は、ラジアル方向で考えてその側方にある軌道輪の前記側端部の差幅端と前記嵌め合い面との間に位置する部分をもつように設けられている構成を採用することが好ましい。ここで、「差幅端」とは、アキシアル方向の軌道輪寸法が最大となる軌道輪の両側端のうち背面と反対側の方の側端のことをいう。「その側方にある軌道輪」とは、上記第1の形態の場合、内輪のことをいい、第2の形態の場合、外輪のことをいい、第3の形態の場合、内輪背面側の環状部の第1の軌道輪側方域に関して外輪のことをいい、外輪背面側の環状部の第2の軌道輪側方域に関して内輪のことをいう。
環状配置空間を軸受外部とラジアル方向に連通するように設けると、ラジアル方向に最大化することができると共に、潤滑流体の流路を確保し易い。軌道輪側方域を、ラジアル方向で考えてその側方にある軌道輪の差幅端と嵌め合い面との間に位置する部分をもつように設けると、軸受内外径に影響を及ぼすことなく最大化した環状配置空間をラジアル方向に有効利用することができる。
前記軌道輪側方域は、前記各ポケットの内面部分と交わる全てのラジアル平面を含む幅に設ける必要はなく、所望の補強を得られる幅に設けることができる。補強目的から、全てのラジアル平面を含む幅に設けることが理想的である。
前記軌道輪側方域は、各ポケットの内面部分のうちアキシアル方向肉厚の最も薄いところと交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けられている構成を採用することが好ましい。
上記の理想が適わない場合でも、最も強度低下が懸念される幅域で環状部を補強することができる。
前記保持器は前記玉で案内される構成を採用することが好ましい。
保持器が玉で案内される、いわゆる転動体案内方式にすると、外輪及び内輪に保持器案内面が不要であり、外輪や内輪の幅を背面側へ詰め、環状配置空間の幅を確保し易くなる。特に、上記第3の形態を採用する場合、外輪及び内輪に保持器案内面を確保することが困難になるため、この構成が好適である。
なお、環状配置空間を軌道輪の嵌め合い面が残るように設け、その残した部分を利用して軌道輪側方域を案内する保持器案内面を形成することも考えられる。案内時にラジアル荷重を受ける環状部の機械的強度が比較的に求められ、軌道輪のラジアル方向肉厚が十分にないと、採用が困難であり、玉径の大径化に不向きなこと、また、保持器の軌道輪の加工形状が複雑になること、また、軌道輪のラジアル方向肉厚が十分にないと軌道輪のハウジングや軸への嵌合を行い難くなることから、玉径の大径化を考慮すると、転動体案内方式が好ましい。
上記第3の形態を採用する場合、保持器は、前記外輪背面側の環状部と、前記内輪背面側の環状部と、これら環状部間を前記各ポケットに分ける各仕切り部とが樹脂射出成形で一体の部品に形成されている構成を採用することが好ましい。
この発明においては、環状部を樹脂射出成形のようにアキシアル平面形状を任意に設定し易い加工方法で形成することが好ましい。例えば、アンギュラ玉軸受で一般的な打抜き保持器にすると、軌道輪側方域の幅が板厚に制限され、環状部の最薄肉部分と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように軌道輪側方域を形成するにはポケット穴あけをアキシアル方向に冗長に打抜くことを要し、好ましくない。もみ抜き加工だと、軌道輪側方域を削り出す分、切削量が増えてしまう。一般に、射出成形体は、鉄、黄銅等の金属製又はセラミックス製の同形体に比して機械的強度を得ることが困難なため、玉径を大きくするに当たって強度不足が起こり易い。このため、保持器は、第3の形態のものとし、両方の環状部と、これら環状部間を各ポケットに分ける各仕切り部とを樹脂射出で一体の部品に成形することが好ましい。両方の環状部で機械的強度を確保し易く、各ポケットの内面を一部品にまとめて成形することができる。
射出樹脂のみだと機械的強度が不足する場合、環状部に補強環材を一体化すればよい。ここで、「補強環材」とは、環状部を形成する射出樹脂よりも機械的強度に優れた素材からなり、樹脂環部に入れ込まれた状態で補強効果を奏するものをいう。環状部に補強環材を入れ込むことにより保持器寸法の拡大を避けられる。従来の環状部等で玉径を大きくするほど、補強環材を入れ込むことが困難になる。
上述のような補強環材を採用する場合、前記保持器は、前記軌道輪側方域に入り込んだ補強環材を有する構成を採用することが好ましい。ここで、「軌道輪側方域に入り込んだ」とは、補強環材の全部が軌道輪側方域に入り込んだ態様に限定されず、一部が軌道輪側方域に入り込み、他の部分が環状部の他の部分に入り込んで、環状部の外に食み出した態様をも含む意味である。この構成には、内輪背面側の環状部のみを補強環材で補強する態様、外輪背面側の環状部のみを補強環材で補強する態様、又は両方の環状部をそれぞれ別の補強環材で補強する態様が含まれる。
軌道輪側方域に補強環材を入り込むように設ければ、環状配置空間を利用して環状部に補強環材を入れ込む空間を得られるので、補強環材を設けつつ、玉径を大きくする限界を高めることができる。
射出樹脂はポリフェニレンサルファイドである構成を採用することができる。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、一般的な射出成形用の合成樹脂の中でも機械的強度に優れた範疇の樹脂のため、樹脂成形体の機械的強度の確保に好適である。
この発明に係るアンギュラ玉軸受は、非分離形軸受及び分離形軸受のいずれにも構成することができる。ここで、「非分離形軸受」とは、外輪及び内輪を部分肩おとし形状とし、複数の玉が外輪軌道溝と内輪軌道溝間に組み込まれた軸受組立状態になると、外輪及び内輪の肩おとし側の肩と複数の玉との接触により外輪と内輪とをアキシアル方向に分離することができない軸受をいう。非分離形軸受は、軸受の取り扱い性の向上を図ったものであり、最低限、軌道輪、玉、保持器等の自重で内外輪が分離することのないように設けられている。ここで、「部分肩おとし状」とは、軌道輪の背面から遠い側の軌道溝周縁が溝底からラジアル方向に高さをもつことをいう。一方、「分離形軸受」とは、上記の軸受組立状態からサブユニットに分離することができる軸受をいう。「サブユニット」とは、軸受から自由に分離することができる、軌道輪、保持器及び玉が付いた軌道輪、又は保持器付き玉のことをいう。「保持器及び玉が付いた軌道輪」とは、保持器と内外輪のいずれか一方の軌道輪とが複数の玉を介して一体に維持されたまま、分離相手である他方の軌道輪からアキシアル方向に分離することができる部品集合体のことをいう。「保持器付き玉」とは、外輪及び内輪から分離した状態で、複数の玉のそれぞれが自重でポケットから抜け落ちず、かつ複数の玉からなる玉セットの所定の内接円径及び外接円径を越えたポケットからの抜け出しを生じないように保持器に保持された部品集合体のことをいう。「所定の内接円径及び外接円径」は、保持器付き玉に対して外輪及び内輪のそれぞれを肩おとし側からアキシアル方向に組み合せ可能な径に設定される。自由なサブユニットの分離を実現するため、サブユニットの分離相手の軌道輪は全肩おとし形状とされる。ここで、「全肩おとし形状」とは、軌道輪のうち軌道溝の溝底を通るラジアル平面を境として背面側の部分に、該溝底よりも軸受中心軸側に位置する部分をもたないことをいう。
前記保持器及び前記複数の玉は保持器付き玉になっている構成を採用することが好ましい。
この発明においては、保持器の機械的強度を優先すると、環状配置空間の幅を確保するべく、非分離形軸受に構成することができない場合がある。また、軌道輪の背面と遠い側の軌道溝周縁に十分な高さをもたせることができず、外輪と内輪の自然な分離を不可能とした非分離形軸受にしても分離方向のアキシアル荷重が軌道輪に負荷されることで分離を生じる恐れがある。サブユニットとして保持器付き玉を構成すれば、外輪及び内輪の分離を許しても、玉が保持器から脱落せず、軸受取り扱い性を良好に保つことができる。
また、前記外輪及び前記内輪は、互いに組み合せ相手を特定し合う識別記号を表示されている構成を採用することも好ましい。
保持器付き玉を採用し、外輪と内輪の分離を許容すると、外輪と内輪との不適合な組み合せ選択による軸受組立が発生し得る。例えば、内外輪のはめあい面、軌道溝等の寸法誤差に由来した内部すきまの誤差を軽減するため、外輪の寸法誤差と内輪の寸法誤差とを相殺する内外輪の組み合せで軸受を出荷することがある。軸系を備えた装置の現場で一対以上の分離形軸受を組み立てるとき、出荷時の内外輪の組み合せが現場で誤って組み替えられ、内部すきまの誤差を拡大させる内外輪の組み合せで軸受を組み立てられる可能性が懸念される。また、玉径は同じでも内外輪の幅が異なる一対以上の分離形軸受を組み立てる場合も、誤って保持器の軌道輪側方域が軌道輪の側端部と干渉するような誤組み合せが起り得る。外輪及び内輪に互いの組み合せ相手を特定し合う識別記号を表示しておけば、表示の判読から正しい内外輪を選択し易くなり、誤組立を防止することができる。識別記号は、外輪又は内輪の識別記号を見れば、組み合せ相手となる内輪又は外輪の識別記号が一つに特定される関係にあればよく、同一形状の図形、同一文字等を適宜に採用することができる。
この発明に係るアンギュラ玉軸受は、ロボットアームの関節装置においてアームを動かす駆動力が入力される減速機の出力軸を支持したり、建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置においてスプロケットを走行体側に固定するハウジングに支持したりするのに好適である。これらの装置に使用されるアンギュラ玉軸受は、軸受設置用の装置内部空間を大きくすることなく、ラジアル負荷能力の向上が要求されるからである。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、玉径の大きさと無関係に確保可能な環状配置空間を設け、保持器の環状部に環状配置空間内を回転する軌道輪側方域を設け、軌道輪側方域を各ポケットの内面部分と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けたため、玉径を大きくしても、アンギュラ玉軸受の組立幅内に保持器を収めつつ、環状部を軌道輪側方域で補強することにより保持器の機械的強度を補うことができ、ひいては、玉径を大きくする限界を高めることができる。
この発明の第1実施形態のアンギュラ玉軸受をアキシアル平面で切断した部分断面図 外輪と内輪に同一の識別記号が付されたアンギュラ玉軸受の部分正面図であり、(a)は外輪の背面側端部面に識別記号が付されていることを示す図、(b)は内輪の背面側端部面に識別記号が付されていることを示す図 この発明の第2実施形態のアンギュラ玉軸受を示す図 図1のアンギュラ玉軸受をロボットアームの関節装置に使用した一例を示す要部断面図 図1のアンギュラ玉軸受を走行減速機に使用した一例を示す要部断面図 従来のアンギュラ玉軸受をアキシアル平面で切断した部分断面図
以下、この発明の第1実施形態に係るアンギュラ玉軸受を図面に基いて説明する。図1、図2に示すように、アンギュラ玉軸受10は、単列の肩おとし外輪1と、単列の肩おとし内輪2と、外輪軌道溝11と内輪軌道溝21の間に組み込む複数の玉3、3、3・・・と、これら玉3、3、3・・・を各ポケット41に保持する保持器4とを備える。なお、図1は、アンギュラ玉軸受1の設計上の正規の状態において、玉セットのピッチ径上にある玉3の中心及び軸受中心軸を含むアキシアル平面の切断面を示している。
外輪1の背面12は、外輪1の基準側面になっている。内輪2の背面22は、内輪2の基準側面になっている。アンギュラ玉軸受1の組立幅Tは、外輪背面側の幅面と内輪背面側の幅面とで定まる。組立幅Tを定める外輪背面側の幅面は、外輪1の背面12に接するラジアル平面と考えてよい。組立幅Tを定める内輪背面側の幅面は、内輪2の背面22に接するラジアル平面と考えてよい。図1中では背面12が外輪背面側の幅面を示し、背面22が内輪背面側の幅面を示すことになる。以下、外輪背面側の幅面を示すときにも符号12を用い、内輪背面側の幅面を示すときにも符号22を用いる。
アンギュラ玉軸受10は、分離形軸受になっている。具体的には、外輪1は、全肩おとし状に設けることにより、サブユニットになっている。内輪2は、部分肩おとし状に設けることにより、保持器4及び複数の玉3、3、3・・・と共に内輪アセンブリを構成可能となっている。
外輪1及び内輪2の肩おとしから明らかなように、アンギュラ玉軸受10は、図示省略のハウジングと軸間に組み込まれた状態で外輪1の背面12をアキシアル方向Aに押し、内輪2の背面22をアキシアル方向A’に押すことになる相対的な一方向のアキシアル荷重を支持することができる。
保持器4は、組立幅Tの外輪背面側及び内輪背面側の両方に環状部42、43を有する。
保持器4は、外輪背面側の環状部42と、内輪背面側の環状部43と、これら環状部42、43間を各ポケット41に分ける各仕切り部44とを樹脂射出成形で一体の部品に形成されている。射出樹脂は、ポリフェニレンサルファイドである。射出樹脂は、射出成形保持器用として周知のものから適宜に選択することができる。
各ポケット41の内面全域は、両方の環状部42、43と、周方向に隣り合う仕切り部44、44とで形成されている。各ポケット41のポケット内面形状は、図1の位置にある玉3にポケットすきまを空けて沿う球面に従うかご形になっている。各ポケット41の内面は、外径側開口縁及び内径側開口縁と玉3の玉径との関係で保持器付き玉を構成可能になっている。このため、複数の玉3、3、3・・・のそれぞれは、外輪1及び内輪2から分離した状態で玉3の自重による抜け落ちを防止されると共に、複数の玉3、3、3・・・からなる玉セットの所定の内接円径及び外接円径を越えたポケットからの抜け出しを生じないように保持器4に保持される。なお、ポケット41の内面を球面形状でなく、円筒面状といった他の形態にすることもできる。玉3の抜け落ち防止等は、複数個所に突出する爪部といった周知の抜止め部で行うこともできる。
各ポケット41は、その内面形状の球面性から、図1のアキシアル平面において最大開口部をもつ。このことから、環状部42は、図1のアキシアル平面形状で幅面12側に描かれた保持器断面部からなり、この断面形状で周方向全周に亘る部分と考えてよい。環状部43は、図1のアキシアル平面形状で幅面22側に描かれた保持器断面部からなり、この断面形状で周方向全周に亘る部分と考えてよい。環状部42、43に形成された各ポケット41の内面部分42a、43aは、図1のアキシアル平面において円弧状の部分のみと考えてよい。他のポケット内面部分は、周方向に隣り合う仕切り部44、44に形成されている。
保持器4は、外輪背面側の環状部42に入り込んだ第1の補強環材45と、内輪背面側の環状部43に入り込んだ第2の補強環材46とを有する。環状部42、43は、補強環材45、46をアキシアル方向に嵌め込むための周溝部をもつ。補強環材45、46は、射出樹脂よりも剛性に優れた鋼製のものが利用されている。補強環材45、46は、環状部42、43の周溝部に圧入により一体化されている。
保持器4は、玉3で案内される、転動体案内方式になっている。保持器4のアキシアル方向変位及び偏心は、ポケット41の内面に接触する玉3と外輪軌道溝11又は内輪軌道溝21との接触で所定の範囲内に規制される。
上述のように、この保持器4は、両方の環状部42、43と、各仕切り部44と、第1の補強環材45と、第2の補強環材46とからなり、組立幅T内に収まるように設けられている。なお、組立幅Tの外輪背面側及び内輪背面側は、その幅Tのアキシアル方向二等分位置を通るラジアル平面を境とした両側を意味することは勿論である。
外輪1は、背面12から遠い側の外輪軌道溝周縁13と外輪嵌め合い面14をつなぐ外輪側端部15を有する。内輪2は、背面22から遠い側の内輪軌道溝周縁23と内輪嵌め合い面24をつなぐ内輪側端部25を有する。
背面22から遠い側の内輪軌道溝周縁23は、図1のアキシアル平面において内輪軌道溝21の円弧状が終わる変曲点と考えてよい。背面12から遠い側の外輪軌道溝周縁13は、外輪1を全肩おとし状にしたため、外輪軌道溝11の溝底と考えてよい。外輪1を部分肩おとし状にする場合、図1のアキシアル平面において外輪軌道溝周縁13は、内輪軌道溝周縁23と同じく変曲点となる。
外輪側端部15及び内輪背面側の幅面22間に、周方向の第1の環状配置空間16を設けられている。環状配置空間16は、ラジアル方向で考えて外輪軌道溝周縁13と外輪嵌め合い面14との間にあり、周方向で考えて全周に亘る空間になっている。
第1の環状配置空間16は、軸受外部とラジアル方向に連通するように設けられている。このため、外輪1は、外輪側端部15の範囲内に差幅端15aをもつ。外輪側端部15は、軸受外径を定める外輪嵌め合い面14に連続する外径側面取り域15bと、内径側面取り域15cと、内径側面取り域15cと外輪軌道溝周縁13との間の部分とで形成されている。差幅端15aは、両面取り域15b、15cをつなぐ稜部になっている。
なお、差幅端15aは、軸受中心軸に垂直な外輪正面にすることもできる。内径側面取り域15cと外輪軌道溝周縁13との間の部分は、外輪1の分離容易化、潤滑流体の流路拡大のため、幅面22に向かって次第に拡径する形状になっている。このため、係る部分も外輪側端部15に含まれる。係る部分は、軸受中心軸を中心とした円筒面とし、保持器案内面に使用することもできる。
内輪背面側の環状部43は、対応する側に設けられた第1の環状配置空間16内で回転するように、かつ前記内面部分43aと交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように第1の軌道輪側方域43bを設けられている。
第1の軌道輪側方域43bは、各ポケット41の内面部分42aのうちアキシアル方向肉厚の最も薄い内径側開口縁と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けられている。また、軌道輪側方域43bは、ラジアル方向で考えてその側方にある外輪側端部15の差幅端15aと外輪嵌め合い面14との間に位置する部分をもつように設けられている。係る軌道輪側方域43bをもたない環状部と比して、環状部43は、機械的強度が増している。
内輪背面側の環状部43の内外径を大きくすると共に、ポケット41の内面部分43aの全域を図示の回転角θ1が大きい位置に設けるほど、内面部分43aのアキシアル方向肉厚を設け易くなり、第1の環状配置空間16内に第1の軌道輪側方域43bを設け易くなる。なお、回転角θ1は、図1のアキシアル平面において玉3の中心から幅面22側に向かうアキシアル方向の直線を0°とし、その玉3の中心回りで0°から軸受外径側へ回転させる回転の角度をいう。
内径側面取り域15cを設けると、内面部分43aの回転角θ1を大きくし易くなり、軌道輪側方域43bと外輪1との間に潤滑流体の流通経路を得易くなる。外径側面取り域15bは、接した潤滑流体を軸受外部から軌道輪側方域43b及び内径側面取り域15c間へ導くように設けられている。なお、潤滑流体は、種類を特に限定されず、液体油、ミストオイル等を適宜に使用することができる。
内輪側端部25及び外輪背面側の幅面12間に、周方向の第2の環状配置空間26を設けられている。環状配置空間26は、ラジアル方向で考えて内輪軌道溝周縁23と内輪嵌め合い面24との間にあり、周方向で考えて全周に亘る空間になっている。
第2の環状配置空間26は、軸受外部とラジアル方向に連通するように設けられている。このため、内輪2は、内輪側端部25の範囲内に差幅端25aをもつ。内輪側端部25は、軸受内径を定める内輪嵌め合い面24に連続する内径側面取り域25bと、外径側面取り域25cとで形成されている。差幅端25aは、両面取り域25b、25cをつなぐ稜部になっている。なお、差幅端25aは、軸受中心軸に垂直な内輪正面にすることもできる。
外輪背面側の環状部42は、対応する側に設けられた第2の環状配置空間26内で回転するように、かつ前記内面部分42aと交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように第2の軌道輪側方域42bを設けられている。
第2の軌道輪側方域42bは、各ポケット41の内面部分42aのうちアキシアル方向肉厚の最も薄い外径側開口縁と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けられている。また、軌道輪側方域42bは、ラジアル方向で考えてその側方にある内輪側端部25の差幅端25aと内輪嵌め合い面24との間に位置する部分をもつように設けられている。係る軌道輪側方域42bをもたない環状部と比して、環状部42は、機械的強度が増している。
環状部42の内外径を小さくすると共に、ポケット41の内面部分42aの全域を図示の回転角θ2が大きい位置に設けるほど、内面部分42aのアキシアル方向肉厚を設け易くなり、第2の環状配置空間26内に第2の軌道輪側方域42bを設け易くなる。なお、回転角θ2は、図1のアキシアル平面において玉3の中心から幅面12側に向かうアキシアル方向の直線を0°とし、その玉3の中心回りで0°から軸受内径側へ回転させる回転の角度をいう。
外径側面取り域25cを設けると、内面部分42aの回転角θ2を大きくし易くなり、軌道輪側方域42bと内輪2との間に潤滑流体の流通経路を得易くなる。内径側面取り域25bは、潤滑流体を軸受外部から軌道輪側方域42b及び外径側面取り域25c間へ導くため、軌道輪側方域42bの内輪背面側の側端に向けられている。
玉径を大きくするほど、各仕切り部44の周方向肉厚も薄くなる。このため、各仕切り部44における呼び作用線L方向の肉厚は、軸受中心軸を中心とし、かつ呼び作用線Lを含む円錐面上で最大となり、ここから環状部42、43に向かって次第に保持器内外径の両側から薄くなっている。係る円錐面上は、玉径が周方向に最大となるところを含み、しかも玉3に最も周方向に押され易い。この部分で各仕切り部44の機械的強度を高めることができる。ここから上述のように各仕切り部44を薄く変化させると、各仕切り部44が回転角θ1、θ2を大きくする支障になることを避けることができ、ひいては軌道輪側方域42b、43bを環状配置空間26、16に配し易くなる。
第1の補強環材45の全部が第2の軌道輪側方域42bに入り込んでいる。第2の補強環材46の一部は、第1の軌道輪側方域43bに入り込み、残りの部分は環状部43の他の部分に入り込んでいる。
外輪1及び内輪2は、互いに組み合せ相手を特定し合う識別記号17、27を表示されている。識別記号17、27は、同一図形で背面12、22に表示されている。表示方法、表示位置は、外輪1と内輪アセンブリとに分離した状態で、外輪1、内輪2から読み取れる限り特に問わない。例えば、外輪嵌め合い面14、内輪嵌め合い面24に表示したり、文字、精度を示す数字を表示したりすることもできる。
上述の構成を有するアンギュラ玉軸受10は、玉3の玉径の大きさと無関係に確保可能な第1の環状配置空間16及び第2の環状配置空間26を設け、保持器4の環状部43に第1の環状配置空間16内を回転する第1の軌道輪側方域43bを設け、保持器4の環状部42に第2の環状配置空間26内を回転する第2の軌道輪側方域42bを設け、これら軌道輪側方域42b、43bを、各ポケット41の内面部分42a、43aと交わるラジアル平面上に位置するように設けたため、組立幅Tが同一の図6の比較例と比して、玉3の玉径を大きくしても、組立幅T内に保持器4を収めつつ、環状部42、43を軌道輪側方域42b、43bで補強することによりかご形の保持器4の機械的強度を補うことができ、ひいては、玉径を大きくする限界を高めることができる。
アンギュラ玉軸受10は、環状配置空間16、26を軸受外部とラジアル方向に連通するように設けたため、環状配置空間16、26をラジアル方向に最大化することができると共に、潤滑流体の流路を外輪側端部15と軌道輪側方域43bとの間、内輪側端部25と軌道輪側方域42bとの間に設け易い。
アンギュラ玉軸受10は、軌道輪側方域43bを、ラジアル方向で考えてその側方にある外輪1の差幅端15aと嵌め合い面14との間に位置する部分をもつように設け、軌道輪側方域42bを、ラジアル方向で考えてその側方にある内輪2の差幅端25aと嵌め合い面24との間に位置する部分をもつように設けたため、軸受内外径に影響を及ぼすことなく、最大化した環状配置空間16、26をラジアル方向に有効利用することができる。
アンギュラ玉軸受10は、軌道輪側方域42b、43bを、各ポケット41の内面部分42a、43aのうちアキシアル方向肉厚の最も薄いポケット開口縁と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けたため、最も強度低下が懸念される幅域で環状部42、43を補強することができる。
アンギュラ玉軸受10は、いわゆる転動体案内方式を採用したため、外輪1の内径面、内輪2の外径面に保持器案内面が不要であり、外輪1、内輪2の幅を背面12、22側へ詰め、第1の環状配置空間16、第2の環状配置空間26の幅を確保し易い。
アンギュラ玉軸受10は、環状部4を樹脂射出成形したため、アキシアル平面形状を任意に設定し易く、両方の環状部42、43をもつかご形保持器のため、環状部42等の一体射出成形を採用しても機械的強度を確保し易く、各ポケット41の内面を一部品にまとめて成形することができる。
アンギュラ玉軸受10は、軌道輪側方域42b、43bに補強環材45、46が入り込むため、環状配置空間26、16を利用して環状部42、43に補強環材45、46を入れ込む空間を得られるので、補強環材45、46を設けつつ、玉径を大きくする限界を高めることができる。なお、補強環材45は、軌道輪側方域42bの内径面に入れ込むこともできる。補強環材46は、軌道輪側方域43bの外径面に入れ込むこともできる。
アンギュラ玉軸受10は、環状部42等を成形する射出樹脂がポリフェニレンサルファイド(PPS)であるため、一般的な射出樹脂を用いつつ環状部42等の機械的強度を確保し易い。
アンギュラ玉軸受10は、保持器4及び複数の玉3、3、3・・・が保持器付き玉になっているため、外輪1及び内輪2の分離を許すような環状配置空間16、26の幅に設定しても、玉が保持器から脱落せず、軸受取扱い性を良好に保つことができる。
また、アンギュラ玉軸受10は、外輪1及び内輪2が互いに組み合せ相手を特定し合う識別記号17、27を表示されているため、外輪1と内輪2の分離を許容しても、誤組立を防止することができる。
この発明に係るアンギュラ玉軸受は、非分離形にすることもできる。この一例として、第2実施形態を図3に示す。なお、以下では第1実施形態との相違点を述べ、同一の考えで第2実施形態に適用可能な構成要素の説明を省略する。図3は図1と同じアキシアル平面の切断面を示す。
図3に示すように、外輪50及び内輪51は、部分肩おとし形状に設けられている。外輪50、内輪51、各玉52及び一体形の保持器53の関係は、外輪50又は内輪51を用いた軌道輪アセンブリに対して内輪51又は外輪50を同心かつアキシアル方向に組み合せる軸受組立が可能であり、かつ軸受組立状態で外輪50等の自重による外輪50と内輪51のアキシアル方向分離を生じないように設定されている。
外輪50、内輪51は、第1の環状配置空間54、第2の環状配置空間55の幅をラジアル方向全域で最大化するため、上述の非分離性を少なくとも備えた所定の非分離性を実現する最低限の幅に設けられている。
第1の軌道輪側方域56、第2の軌道輪側方域57は、内輪背面側の環状部58、外輪背面側の環状部59における各ポケットの内面部分60、61と交わる全てのラジアル平面上に位置するように設けられている。このため、第2実施形態は、第1実施形態と比して潤滑性能よりも保持器の機械的強度を優先する場合に好適である。
上記の第1及び第2実施形態はかご形保持器を例にしたが、内輪背面側の環状部43、58又は外輪背面側の環状部42、59の一方のみを設けたつの形保持器にすることもできる。図示省略するが、内輪背面側の環状部43、58のみを設ける場合、少なくとも第1の環状配置空間16、54と第1の軌道輪側方域43b、56を設ければよい。外輪背面側の環状部42、59のみを設ける場合、少なくとも第2の環状配置空間26、55と第2の軌道輪側方域42b、57を設ければよい。
次に、この発明の実施形態のアンギュラ玉軸受10をロボットアームの関節装置に使用した一例を図4に基づいて説明する。図4に示したロボットアームの関節装置は、偏心差動型減速機からなる減速機71を有する。減速機71は、その出力軸72がアームと一体化される旋回部材73を動かすようになっている。
具体的には、減速機71は、旋回部材73と基座側との間に固定されるケース74と、ケース74内に配され、旋回部材73に一体化されたキャリアからなる出力軸72と、ケース74の内周に設けられたピン歯に噛み合う外歯付ピニオン75とを備え、そのピニオン75の外歯が、ケース74のピン歯よりも若干少なくなるように設けられている。出力軸72とケース74との間には、主軸受76が装着されている。
主軸受76は、上記実施形態に係るアンギュラ玉軸受1を背面組合せ軸受としたものである。主軸受76は、出力軸72をケース74に対し回転可能に支持するように出力軸72の外周とケース74の内周間に介在されている。出力軸72の両側フランジ部とケース74の両端部との間にはシール部材77が介装されており、主軸受76は、グリース潤滑の環境下にある。
ピニオン75の貫通孔には、複数のクランクピン78が挿通されており、クランクピン78は、軸受を介して出力軸72に対して回転可能に支持されている。また、クランクピン78は、中央部に偏心した2個のクランク部79を有し、これらクランク部79がニードル軸受80を介した状態でピニオン75に挿入されている。
旋回部材73には、モータ81が取り付けられている。モータ81の出力軸の先端に外歯車82が固定され、前記クランクピン78のうちの1つに外歯車83が固定されている。この外歯車82,83とは直接噛み合っており、外歯車82の回転駆動力が外歯車83に伝達されることにより、前記のクランクピン78が回転される。
また、外歯車83には、軸受を介して旋回部材73に回転可能に支持された歯車84が直接噛み合っている。この歯車84は外歯車83からの回転駆動力を受けて回転し、前記のクランクピン78以外の他のクランクピン78に噛み合い、回転トルクを分配するようになっている。
上記の構成により、モータ81を駆動してクランクピン78を回転させると、ピニオン75が偏心回転しながらケース74のピン歯と噛み合う。このとき、ピニオン75は、ケース74が基座側に固定されているため、クランク部49が1回転したときに外歯とピン歯の数の差分だけケース74に対して回転する。そのため、クランクピン78に伝達された回転駆動力は、高比で減速されて出力軸72に取り出され、旋回部材73に伝達される。
アームを動かす駆動力が入力される減速機71の出力軸72は、低速回転で使用され、大きなラジアル負荷能力が要求されるので、出力軸72の支持に、この発明に係るアンギュラ玉軸受1を採用すれば、減速機71の寿命や耐衝撃性の向上が可能となる。
次に、この発明に係るアンギュラ玉軸受10を建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置に使用した一例を図5に基づいて説明する。図5に示した建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置は、スプロケット100と、走行体側に固定するハウジング110と、スプロケット100の内周とハウジング110の外周との間に組み込んだアンギュラ玉軸受10,10とを備えている。
この種の走行減速機は、例えば、油圧ショベル、ショベル系掘削機、ブルドーザ、ローダ、トレンチャ、ダンパ、スクレーパ、パイプレイヤなどの履帯式建設機械に適用され、特にショベル、ブルドーザによく利用されている。
スプロケット100は、回転ドラム101と、この回転ドラム101の外周部に取り付けられたスプロケットホイル102とからなる。スプロケットホイル102には、履帯130が掛け回される。
ハウジング110は、油圧ショベル又はブルドーザの走行サイドフレーム(図示省略)に固定される。
ハウジング110は内周部を有し、その内方には、油圧モータ140が設けられている。ハウジング110の外周部には、回転ドラム101の内周部との間にアンギュラ玉軸受10,10を装着するための軸受座111が設けられている。
アンギュラ玉軸受10,10は、上記実施形態に係るものであり、スプロケット100をハウジング110に対し回転自在に支持する。なお、アンギュラ玉軸受10,10は、背面組合せ軸受として構成されており、それぞれに所定の予圧が付与されている。
油圧モータ140の出力軸141は、この出力軸141の回転を減速してスプロケット100に伝達する減速機150に接続されている。減速機150は、回転ドラム101の油圧モータ140と反対側に取り付けられたケーシング160の内部に設けられている。なお、ケーシング160の回転ドラム101と反対側の側面は、着脱式のカバー161になっている。
減速機150は、ケーシング160の内周に設けられたリングギヤ151と、油圧モータ140の出力軸141に結合されたプロペラシャフト152の第1サンギヤ153aと、第1サンギヤ153aとリングギヤ151との間に設けられた遊星歯車減速機構とからなる。遊星歯車減速機構は、第1キャリア154a、第1ピン155a、第1プラネタリギヤ156a、第2サンギヤ153b、第2キャリア154b、第2ピン155b、第2プラネタリギヤ156b、第3サンギヤ153c、第3キャリア154c、第3ピン155c、第3プラネタリギヤ156cからなる周知の構成のものが採用されている。
油圧モータ140が駆動されると、前述の遊星歯車減速機構により回転力が増大する。最終段減速部である第3キャリア154cはハウジング110に結合されており、回転不可能となっている。第3プラネタリギヤ156cの自転力がリングギヤ151を回転させ、ケーシング160、回転ドラム101を介してリングギヤ151と一体化されているスプロケットホイル102が一体回転し、履帯130が移動させられ、建設機械の走行が行われる。
回転ドラム101とハウジング110との回転摺動部には、外部からの土砂、泥水の侵入を防ぐためラビリンス部170が形成されている。ラビリンス部170の内側には、フローティングシール部171が設けられている。フローティングシール部171は、回転ドラム101、ハウジング110の内周部に対向するOリング溝が形成された一対のリング部材と、Oリングとからなる周知の構成のものが採用されている。フローティングシール部171は、走行減速機内からの油漏れや走行減速機内への異物侵入を防止する。
上記のスプロケット支持装置において、アンギュラ玉軸受1は、上記実施例で説明したように、径寸法の大きい玉が用いられ、ラジアル負荷能力が大きい。すなわち、軸受の剛性が増大する。その分、フローティングシール部171への負担を軽減し、又は、回転ドラム101の薄肉化を図り、走行減速機をコンパクトにすることができる。また、回転ドラム101が薄肉なため、回転ドラム101とケーシング160とを溶接することが可能になる。溶接によれば、ボルト、ボルト穴の形成が不要になり、製造コストを低減することができる。
1 肩おとし外輪
2 肩おとし内輪
3 玉
4 保持器
10 アンギュラ玉軸受
12 背面(幅面)
13 外輪軌道溝周縁
14 外輪嵌め合い面
15 外輪側端部
15a 差幅端
16 環状配置空間
17 識別記号
22 背面(幅面)
23 内輪軌道溝周縁
24 内輪嵌め合い面
25 内輪側端部
25a 差幅端
26 環状配置空間
27 識別記号
41 ポケット
42 環状部
42a 内面部分
42b 軌道輪側方域
43 環状部
43a 内面部分
43b 軌道輪側方域
44 仕切り部
45 補強環材
46 補強環材
71 減速機
72 出力軸
100 スプロケット
110 ハウジング
T 組立幅

Claims (11)

  1. 単列の肩おとし外輪(1)と、単列の内輪(2)と、複数の玉(3)と、前記玉(3)を各ポケット(41)に保持する保持器(4)とを備え、組立幅(T)は、外輪背面側の幅面と内輪背面側の幅面とで定まり、前記保持器(4)は、前記各ポケット(41)の内面部分(42a,43a)を形成された環状部(42,43)を前記組立幅(T)の外輪背面側及び内輪背面側のうちの少なくとも一方に有し、かつ該組立幅(T)内に収まるように設けられているアンギュラ玉軸受(10)において、
    前記外輪(1)の背面(12)から遠い側の外輪軌道溝周縁(13)と外輪嵌め合い面(14)をつなぐ外輪側端部(15)と前記内輪背面との間、または前記内輪(2)の背面(22)から遠い側の内輪軌道溝周縁(23)と内輪嵌め合い面(24)をつなぐ内輪側端部(25)と前記外輪背面との間の少なくとも一方に、周方向の環状配置空間(16,26)を設けられており、
    前記少なくとも一方の環状部(42,43)は、対応する側に設けられた前記環状配置空間(16,26)内で回転するように、かつ、前記各ポケット(41)の内面部分(42a,43a)と交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように軌道輪側方域(42b,43b)を設けられていることを特徴とするアンギュラ玉軸受。
  2. 前記環状配置空間(16,26)は、軸受外部とラジアル方向に連通するように設けられており、
    前記軌道輪側方域(42b,43b)は、ラジアル方向で考えてその側方にある軌道輪の前記側端部(15,25)の差幅端(15a,25a)と前記嵌め合い面(14,24)との間に位置する部分をもつように設けられている請求項1に記載のアンギュラ玉軸受。
  3. 前記軌道輪側方域(42b,43b)は、前記各ポケット(41)の内面部分(42a,43a)のうちアキシアル方向肉厚の最も薄いところと交わるラジアル平面上に位置する部分をもつように設けられている請求項1又は2に記載のアンギュラ玉軸受。
  4. 前記保持器(4)は前記玉(3)で案内される請求項1から3のいずれか1つに記載のアンギュラ玉軸受。
  5. 前記保持器(4)は、前記外輪背面側及び内輪背面側の両方に前記環状部(42,43)を有しており、
    前記外輪側端部(15)及び内輪背面側の幅面間に第1の環状配置空間(16)を設けられ、前記内輪側端部(25)及び外輪背面側の幅面間に第2の環状配置空間(26)を設けられており、
    前記内輪背面側の環状部(43)に第1の前記軌道輪側方域(43b)を設けられ、前記外輪背面側の環状部(42)に第2の前記環状配置空間(26)を設けられており、
    前記保持器(4)は、前記外輪背面側の環状部(42)と、前記内輪背面側の環状部(43)と、これら環状部(42,43)間を前記各ポケット(41)に分ける各仕切り部(44)とを樹脂射出成形で一体の部品に形成されている請求項1から4のいずれか1つに記載のアンギュラ玉軸受。
  6. 前記保持器(4)は前記軌道輪側方域(42b,43b)に入り込んだ補強環材(45,46)を有する請求項5に記載のアンギュラ玉軸受。
  7. 射出樹脂はポリフェニレンサルファイドである請求項5又は6に記載のアンギュラ玉軸受。
  8. 前記保持器(4)及び前記複数の玉(3)は保持器付き玉になっている請求項1から7のいずれか1つに記載のアンギュラ玉軸受。
  9. 前記外輪(1)及び前記内輪(2)は、互いに組み合せ相手を特定し合う識別記号(17,27)を表示されている請求項8に記載のアンギュラ玉軸受。
  10. アームを動かす駆動力が入力される減速機(71)と、該減速機(71)の出力軸(72)に装着された請求項1から9のいずれか1つに記載のアンギュラ玉軸受とを有するロボットアームの関節装置。
  11. スプロケット(100)と、走行体側に固定するハウジング(110)と、前記スプロケット(100)の内周と前記ハウジング(110)の外周との間に組み込んだ請求項1から9のいずれか1つに記載のアンギュラ玉軸受とを備えた建設機械用走行減速機のスプロケット支持装置。
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