JP2011021439A - 鉄道用枕木及び鉄道用枕木の製造方法 - Google Patents

鉄道用枕木及び鉄道用枕木の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】全体の重量を低減した上で、従来より強度の高い鉄道用合成枕木を提供する。
【解決手段】枕木の両端側の部位を、レールを支持するレール支持部2とし、前記両レール支持部2同士をレール支持部2より断面積の小さい連結材6で連結し、レール支持部2及び連結材6が合成樹脂により形成されている鉄道用合成枕木に対して、レール支持部2を非発泡の熱硬化性樹脂によってブロック状に形成し、熱硬化性樹脂には弾性材料からなる固形充填材を混合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道軌道に用いられて、上方に敷設されるレールを支持する鉄道用枕木に関するものであり、さらに詳細には合成樹脂を素材とする枕木に関するものである。
耐用年数が長く、且つ重量が軽い枕木を提供するために、木やコンクリートの代わりに繊維強化樹脂を素材とした枕木、即ち、合成枕木が使用されることがある。このような合成枕木は、木製の枕木より耐用年数が長く、コンクリート製の枕木に比べてはるかに軽いという利点がある。しかしながら、合成枕木はコンクリート製の枕木に比べて軽いとはいえ、絶対的な重量は相当に重いため、より軽い合成枕木が望まれていた。そのような合成枕木を提供する技術が、特許文献1に開示されている。
特開平10−131103号公報
ここで、特許文献1に開示されている発明は、合成枕木のレール支持部の断面積を小さくし、全体の重量を低減したものである。具体的に説明すると、合成枕木の強度の低下を抑制しながら軽量化を図るため、中心曲げモーメントが弱い位置、即ち、枕木両端のレール支持部同士によって挟まれる、枕木の中心側の位置の断面積を小さくすることにより、枕木を軽量化すると共に、軽量化に伴う強度の低下の影響を小さくするものである。
しかしながら、特許文献1に開示されている発明は、軽量化に伴う強度の低下の影響が小さいものの、圧縮強度が低く、レールの固定にタイプレートを使用しなければならない等の強度における問題があった。そこで、より強度の高い軽量化された合成枕木の開発が嘱望されていた。
そこで本発明は、全体の重量を低減した上で、より強度の高い鉄道用合成枕木を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、上面の両端側の部位でレールを支持して軌道を構成する枕木であって、両端側の部位にレール支持部を有し、前記両レール支持部同士をレール支持部より断面積の小さい連結材で連結し、レール支持部及び連結材が合成樹脂により形成される鉄道用合成枕木において、レール支持部はブロック状であり、非発泡の熱硬化性樹脂により形成され、前記熱硬化性樹脂には弾性材料からなる固形充填材が混合されていることを特徴とする鉄道用枕木である。
本発明の鉄道用枕木は、レール支持部が非発泡性の熱硬化性樹脂により形成されているので、発泡ウレタン等の発泡性樹脂を用いた場合に比べて圧縮強度が高い。また、レール支持部を形成する熱硬化性樹脂に固形充填材が混合されているので、レール支持部の強度が高い。
なお、このとき固形充填材の圧縮弾性率が5000MPa以上であることが望ましい。なぜなら、後述の実験結果に示されるように、枕木にタイプレートを介して圧力が2.5MPa掛かっても、タイプレートが元の位置から1mm以上変位することのない、列車の運用時に安定性の高い枕木を提供することができるためである。
請求項2の発明は、前記レール支持部の少なくともレールが接する上面に補強繊維が配されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道用枕木である。
本発明の鉄道用枕木では、レールが接する上面に補強繊維が配されているので、レールから伝わる衝撃に強い。そのため、列車の運行時の振動等によるレール支持部の破損を防ぐことができる。
請求項3の発明は、前記連結材が繊維強化された熱硬化性樹脂により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道用枕木である。
本発明の鉄道用枕木では、連結材が繊維強化された熱硬化性樹脂により形成されているので、連結材の強度が高い。そのため、連結材の断面積を小さくしても十分な強度を確保することができる。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの鉄道用枕木を製造する方法であって、レール支持部を形成する型内に前記補強繊維及び前記固形充填材を配し、予め形成された熱硬化性樹脂からなる連結材を配した後、型内に熱硬化性樹脂を注入することを特徴とする鉄道用枕木の製造方法である。
本発明の鉄道用枕木の製造方法では、型内に補強繊維及び固形充填材を配し、予め形成された熱硬化性樹脂からなる連結材を配した後、型内に熱硬化性樹脂を注入して製造する。そのため、レール支持部の所定の位置に固形充填材や補強繊維を配することが容易である。
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかの鉄道用枕木を製造する方法であって、成形型がレール支持部を形成する第一の部分と、連結材を形成する第二の部分を有しており、前記第一の部分に補強繊維及び前記固形充填材を配し、前記第二の部分に補強繊維を配した後、成形型内に熱硬化性樹脂を注入して製造することを特徴とする鉄道用枕木の製造方法である。
本発明の鉄道用枕木の製造方法では、成形型がレール支持部を形成する第一の部分と、連結材を形成する第二の部分を有しており、前記第一の部分に補強繊維及び前記固形充填材を配し、前記第二の部分に補強繊維を配した後、型内に熱硬化性樹脂を注入して製造する。そのため、レール支持部及び連結材の所定の位置に固形充填材や補強繊維を配することが容易である。
本発明によれば、全体の重量を低減した上で、従来より強度の高い鉄道用合成枕木を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における枕木の斜視図である。 本発明の第2の実施形態における枕木の斜視図である。 本発明の第3の実施形態における枕木の斜視図である。 図3の枕木のA−A断面図である。
以下本発明の具体的な実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態における枕木1は、図1に示される様に、両端部にレール支持部2を備えており、両レール支持部2を連結材6により連結している。以下詳細に説明する。
レール支持部2はブロック状であり、略方光体状の形状となっている。具体的に説明すると、レール支持部2は上面の投影面積が下面の投影面積に比べて小さくなっており、レール支持部2の側面は、上面から下面に向かうにつれて外側へ広がるように傾いている。
加えて、レール支持部2の上面は傾斜しており、枕木1の端部側から中心に向かうにつれて低くなっている。
そして、レール支持部2の上面には溝3が設けられている。溝3は底面3aと側面3bから形成されており、底面3aは上側から見た形が平行四辺形状である。側面3bは溝3の両端部分に設けられており、底面3aとレール支持部2の上面の間に配されている。
この溝3の底面3aには埋め込み栓5が設けられている。埋め込み栓5は、周知のレール締結用タイプレートや板バネ式締結装置等の部材を固定するためのボルトをねじ込む部分である。
レール支持部2の底面近傍にはフランジ部4が設けられている。フランジ部4はレール支持部2の底面近傍を取り囲むように配されており、フランジ部4の部分はレール支持部2の外側に向かって突出している。
該レール支持部2は、熱硬化性樹脂によって形成されたものである。使用される樹脂は不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等、適宜なものが使用される。
ここで、レール支持部2を形成する熱硬化性樹脂には、固形の充填材(図示せず)が混合されている。充填材には、珪砂、フライアッシュ、炭酸カルシウム、FRPの粉砕片、鉄粉、ガラス繊維チョップ等の適宜なものが使用される。なお、これらの充填材は必要に応じて複数種類のものを混合してもよい。その際には、各充填材の圧縮弾性率は5000MPaに満たないものでもよく、充填材全体として圧縮弾性率は5000MPa以上となるようにすればよい。
なお、熱硬化性樹脂に混合する充填材の量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して、充填材100重量部以上1000重量部以下であることが望ましい。これは、熱硬化性樹脂に対する充填材の量が少なすぎると、熱硬化性樹脂の硬化収縮によって成形品内部に亀裂が入ってしまうためである。加えて、熱硬化性樹脂に対する充填材の量が多すぎると、充填材の表面を十分に濡らすことが出来なくなり、接着力が不足してしまい、強度が十分でなくなってしまうためでもある。
さらに、レール支持部2の上面は補強繊維7により補強されている。補強繊維7にはガラス繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の適宜のものが使用される。なお、これらの繊維を使用する際には、チョップドストランドマット、コンティニュアスマット、ロービングクロス、不織布等マット状のものロービング等の長繊維状のもの、チョップ等単繊維状のものなどの適宜な形状で用いる。
連結材6は板状の部材であり、枕木1の両端部に配された2つのレール支持部2の間に配されている。連結材6は両レール支持部2に挿入された状態で固定されており、両レール支持部2を連結している。
この連結材6は、熱硬化性樹脂に形成されており、熱硬化性樹脂には不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の適宜なものが使用される。この連結材6を形成する熱硬化性樹脂は必要に応じて繊維強化してもよく、繊維強化する際には、ガラス繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の適宜の繊維をチョップドストランドマット、コンティニュアスマット、ロービングクロス、不織布等マット状のものロービング等の長繊維状のもの、チョップ等単繊維状のものなどの適宜な形状で使用する。
次に、第1の実施形態における枕木1の製造方法について説明する。なお枕木1の成分は表1の通りである。なお、グレードとは品種のことである。
Figure 2011021439
まず、埋め込み栓5と、レール支持部2の上面及び側面に配されるチョップマット(チョップドストランドマット)を金型内に設置する。次にFFU74で形成した連結材6を金型の所定の位置に配置する。そして珪砂とガラス繊維チョップを混合したもの(固形の充填材)を配置する。レール支持部2の下面部分に配されるチョップマットを金型内に配置して、金型を密閉する。
密閉した金型と樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)を貯留するタンクをホースで接続し、型内部を0.3kg/cm2に減圧する。そして、不飽和ポリエステル樹脂に3kg/cm2の圧力を掛けて金型内に注入する。
そして、金型を加熱することにより、不飽和ポリエステル樹脂を熱硬化させて、脱型する。以上により、図1に示す枕木1が製造される。
なお、以下では第2の実施形態及び第3の実施形態を説明するが、第1の実施形態における枕木1と同様の構造及び材料については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態の枕木20は、図2に示されるように両端部にレール支持部2を備えており、レール支持部2同士の間を連結材40により連結している。
レール支持部2は前記した第1の実施形態と略同じ形状であるが、溝3の底面3aに埋め込み栓5を設けていないため、底面3aが平面になっている点で異なっている。
また、連結材40は板状の部材であり、厚さ(断面積)が連結材6の2倍になっている。
第2の実施形態における枕木20の製造方法および成分は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第3の実施形態の枕木20は、図3に示されるように両端部にレール支持部2を備えており、レール支持部2同士の間を連結材41により連結している。
連結材41は断面が「H」字形状の柱状の部材である(図3,4参照)。なお、この連結材41は非発泡の繊維強化樹脂(FRP)で繊維強化されている
次に、第3の実施形態における枕木21の製造方法について説明する。なお枕木21の成分は表2の通りである。
Figure 2011021439
まず、埋め込み栓5と、レール支持部2の上面及び側面に配されるチョップマット(チョップドストランドマット)を金型内のレール支持部2を形成する部分に設置する。次に金型内の連結材41を形成する部分にガラス繊維(ガラスロービング)を配置する。そして、金型内のレール支持部2を形成する部分に、珪砂とガラス繊維チョップを混合したもの(固形の充填材)を配置する。レール支持部2の下面部分に配されるチョップマットを金型内に配置して、金型を密閉する。
密閉した金型と樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)を貯留するタンクをホースで接続し、型内部を0.3kg/cm2で減圧する。そして、不飽和ポリエステル樹脂に3kg/cm2の圧力を掛けて金型内に注入する。
そして、金型を加熱することにより、不飽和ポリエステル樹脂を熱硬化させて、脱型する。以上により、図3,4に示す枕木21が製造される。
前述の実施形態において、レール支持部2の上面に補強繊維を配したが、補強繊維はレール支持部2の下面や側面に配しても構わない。また、配置する補強繊維の量は任意であるが、補強繊維を上面に配する場合に量が少なすぎると、振動による割れを防止する効果が減少するため、800g/m2以上が望ましい。
また、本発明の枕木に用いる連結材を形成する樹脂は、発泡のものでも非発泡のものでも構わない。加えて、連結材の形状及び本数は上記した実施形態に限るものではなく、適宜設定してよい。
上記した実施形態において、枕木1,21と埋め込み栓5を一体に形成する例を示したが、枕木と一体化する部材や部品等はこれに限るものではない。例えば、レールの締結装置を取り付ける部品が一体化されていても構わない。即ち、線バネ式締結装置を取り付けるためのショルダー等が一体化されていても構わない。
上記した本発明の枕木の製造方法において、熱硬化性樹脂を注入する方法は、ポンプで熱硬化性樹脂に圧力を掛けて注入する方法でも構わないし、型の内部を真空ポンプにて負圧にして、大気圧下に容器に入れた樹脂を型につないだホースを介して吸引させる方法でも構わない。また、樹脂に圧力をかけて注入することと、型の内部を負圧にすることを同時に行っても構わない。
(比較例1)
本発明の枕木を製造する際に、充填材の種類及び量を変更したこと以外は同じ条件で実験を行った。充填材の枕木全体の体積に対する割合は、少なすぎると硬化収縮により亀裂が発生する可能性があり、多すぎると、樹脂が含浸しにくくなるので、今回の実験では、枕木全体の体積に対して30%〜60%となるように設定した。その結果を表3に示す。
Figure 2011021439
「圧縮変位」とは、枕木にタイプレートを介して圧力が2.5MPa掛かった時の、タイプレートの元の位置からの位置の変化量を表わす。この「圧縮変位」の値を枕木の圧縮による撓みの基準とした。なお、「全体圧縮弾性率」とは枕木全体の圧縮弾性率の値である。
「圧縮変位」が1mm以上変位すると、列車を安定した状態で運行及び停車させるという目的において好ましくない。しかし、充填材に珪砂、FRP粉砕片を用いる、即ち、固形充填材の圧縮弾性率を5000MPa以上とすることにより、圧縮変位が1mm以下である、運用時に安定性の高い枕木を製造できることが示された。
1,20,21 枕木
2 レール支持部
6,40,41 連結材
7 補強繊維

Claims (5)

  1. 上面の両端側の部位でレールを支持して軌道を構成する枕木であって、両端側の部位にレール支持部を有し、前記両レール支持部同士をレール支持部より断面積の小さい連結材で連結し、レール支持部及び連結材が合成樹脂により形成される鉄道用合成枕木において、
    レール支持部はブロック状であり、非発泡の熱硬化性樹脂により形成され、前記熱硬化性樹脂には弾性材料からなる固形充填材が混合されていることを特徴とする鉄道用枕木。
  2. 前記レール支持部の少なくともレールが接する上面に補強繊維が配されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道用枕木。
  3. 前記連結材が繊維強化された熱硬化性樹脂により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道用枕木。
  4. 請求項1乃至3の何れかの鉄道用枕木の製造方法であって、型内に前記補強繊維及び前記固形充填材を配し、予め形成された熱硬化性樹脂からなる連結材を配した後、型内に熱硬化性樹脂を注入して製造することを特徴とする鉄道用枕木の製造方法。
  5. 請求項1乃至3の何れかの鉄道用枕木の製造方法であって、成形型がレール支持部を形成する第一の部分と、連結材を形成する第二の部分を有しており、前記第一の部分に補強繊維及び前記固形充填材を配し、前記第二の部分に補強繊維を配した後、型内に熱硬化性樹脂を注入して製造することを特徴とする鉄道用枕木の製造方法。
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