JP2011021241A - ニッケル−水素二次電池用水素吸蔵合金およびニッケル−水素二次電池 - Google Patents

ニッケル−水素二次電池用水素吸蔵合金およびニッケル−水素二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放置によっても作動電圧が低下しにくい希土類−マグネシウム−ニッケル−アルミニウム系水素吸蔵合金を提供する。
【解決手段】本発明の水素吸蔵合金は一般式が(LaaNdbcdl-vMgvNiwAlxZnyz(ただし、式中、AはSm,Gdから選択される少なくとも1種の元素であり、BはPr,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sc,Zr,Hf,Ca,Yから選択される少なくとも1種の元素であり、TはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Co,Ga,Fe,Sn,In,Cu,Si,P,Bから選択される少なくとも1種の元素である)と表され、0≦a、0≦b、0≦c、0≦d<0.1、a+b+c+d=1.0、0≦z≦0.5の関係を有し、0.08≦v≦0.12、0.10≦x≦0.20、0.10≦y≦0.20、3.15≦w+x+y+z≦3.30である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ニッケル−水素二次電池用水素吸蔵合金、およびこの水素吸蔵合金を負極活物質として用いたニッケル−水素二次電池に関する。
近年、デジタルカメラ、電動シェーバー、携帯電話、パーソナルコンピュータ、電動工具、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(PEV)など広範囲に亘ってニッケル−水素二次電池が用いられるようになった。このような背景にあって、特に、ニッケル−水素二次電池の負極活物質として用いられる水素吸蔵合金については、従来より使われてきた希土類−ニッケル系水素吸蔵合金に比べて水素吸蔵量が多くてニッケル−水素二次電池の高容量化に適している希土類−マグネシウム−ニッケル系水素吸蔵合金が提案されるようになった。
ところで、この種のニッケル−水素二次電池における電池特性の改善の一つとして、自己放電を抑制することが挙げられる。これは、自己放電が大きいニッケル−水素二次電池においては、この電池を放置しておくことにより電池容量が減少するようになる。このため、電池を使用する直前に、再度、充電しなければならないという事態が生じる。これに対して、自己放電が抑制されたニッケル−水素二次電池においては、電池容量がなくなった時点で充電しておけば、放置によっても電池容量が減少しないため、再度の充電を行うことなく、使用したいときにいつでも使用できるという利点がある。
そこで、長期に亘り自己放電が抑制されるニッケル−水素二次電池が特許文献1(特開2007−149647号公報)にて提案されるようになった。この特許文献1にて提案されたニッケル−水素二次電池においては、高容量化に適している希土類−マグネシウム−ニッケル系水素吸蔵合金が負極活物質として用いられているとともに、正極活物質の改良やセパレータやアルカリ電解液に工夫を加えるようにしている。これにより、長期に亘り自己放電が抑制されるニッケル−水素二次電池となるので、このように改良されたニッケル−水素二次電池を用いることにより、あたかも乾電池のように使用できることとなる。
特開2007−149647号公報
ところで、上述した特許文献1にて提案されるように、長期に亘り自己放電が抑制されたニッケル−水素二次電池であったとしても、放置による作動電圧の低下は十分に抑制できないという問題があった。このため、長期間放置されたニッケル−水素二次電池を、高い作動電圧が要求されるデジタルカメラや電動シェーバーなどの高作動電圧が必要な電子機器で使用しようとすると、電池容量が残っているにも係わらず、作動電圧が低いことに起因して、これらの電子機器が駆動できないという問題が生じた。
このような問題に対処するため、本発明者等は希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)−アルミニウム(Al)系水素吸蔵合金のBA比(B/A:希土類とマグネシウム成分に対するニッケル成分とアルミニウムなどの置換成分とのモル比)を3.35以下に規制することで、この種のニッケル−水素二次電池の放置による作動電圧の低下を抑制することを、特願2008−077911号にて提案した。
ところが、希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)−アルミニウム(Al)系水素吸蔵合金のBA比を3.35以下に規制しても、放置後の作動電圧の抑制やサイクル寿命に関しては不十分であることが分かった。
そこで、本発明は上記の如き問題を解決するためになされたものであって、放置によっても作動電圧が低下しにくい希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)−アルミニウム(Al)系水素吸蔵合金を提供し、かつこの水素吸蔵合金を用いて、作動電圧やサイクル寿命が向上したニッケル−水素二次電池を提供することを目的としてなされたものである。
上記目的を達成するため、本発明の水素吸蔵合金は、一般式が(LaaNdbcdl-vMgvNiwAlxZnyz(ただし、式中、AはSm,Gdから選択された少なくとも1種の元素であり、BはPr,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sc,Zr,Hf,Ca,Yから選択された少なくとも1種の元素であり、TはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Co,Ga,Fe,Sn,In,Cu,Si,P,Bから選択された少なくとも1種の元素である)と表され、一般式におけるa,b,c,dは0≦a、0≦b、0≦c、0≦d<0.1、a+b+c+d=1.0、0≦z≦0.5の関係を有し、一般式におけるMgのモル比は0.08以上で0.12以下(0.08≦v≦0.12)、Alのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦x≦0.20)、Znのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦y≦0.20)であり、かつ、La,Nd,A,B,Mg成分に対するNi,Al,Zn,T成分のモル比が3.15以上で3.30以下(3.15≦w+x+y+z≦3.30)である。
ここで、上記の如き一般式で表される亜鉛(Zn)を含む希土類元素−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)−アルミニウム(Al)系水素吸蔵合金をニッケル−水素二次電池用の負極活物質として用いると、放置後の作動電圧の低下が抑制され、かつサイクル寿命も向上することが明らかになった。この場合、Znのモル比が0.10未満であると放置後の作動電圧が低下し、Znのモル比が0.20を超えても放置後の作動電圧が低下することが明らかになった。このことから、Znのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦y≦0.20)であるのが望ましいということができる。
また、Mgのモル比が0.08未満であるとサイクル寿命が大幅に低下し、Mgのモル比が0.12を超えるとサイクル寿命および放置後の作動電圧が共に低下することが明らかになった。このことから、Mgのモル比は0.08以上で0.12以下(0.08≦v≦0.12)であるのが望ましいということができる。また、Alのモル比が0.10未満であると放置後の作動電圧およびサイクル寿命が共に低下し、Alのモル比が0.20を超えるとサイクル寿命が大幅に低下することが明らかになった。このことから、Alのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦x≦0.20)であるのが望ましいということができる。
また、B/A比(希土類とMg成分に対するNiとAlとZnと上記一般式におけるT成分の量論比(モル比))が3.15未満であるとサイクル寿命が大幅に低下し、B/A比が3.30を超えると放置後の作動電圧およびサイクル寿命の両方が低下することが明らかになった。このことから、B/A比は3.15以上で3.30以下(3.15≦w+x+y+z≦3.30)であるのが望ましいということができる。
この場合、c>a+bの関係を有するように希土類のA成分(SmあるいはGd)の含有割合を高めると、放置後の作動電圧の低下が抑制されることか明らかになった。また、c>a+bの関係を有し、かつd<0.02の関係を有するように希土類のA成分(SmあるいはGd)の含有割合を高めるとともに、B成分(例えば、Pr)の含有割合を低下させると、放置後の作動電圧の低下がさらに抑制されることか明らかになった。
そして、このような亜鉛(Zn)を含む希土類元素−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)系水素吸蔵合金を負極活物質として用いてニッケル−水素二次電池を構成する場合、ニッケル正極に固溶元素として亜鉛(Zn)を含有させると、サイクル寿命および放置後の作動電圧が格段に向上することが明らかになった。これは、ニッケル正極にZnを固溶させることより、充放電サイクルの進行に伴うニッケル正極の膨化が抑制されるために、サイクル寿命が向上するとともに、ニッケル正極に固溶されたZnが存在することで、負極から電解液中へのZnの溶出が抑制されるとともに、ニッケル正極から電解液中へのZnの溶出も抑制されたことで、負極の水素吸蔵合金へのZn固溶の効果がさらに高まり、放置後の作動電圧が向上したと考えられるからである。
このことから、亜鉛(Zn)を固溶させた希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)系水素吸蔵合金を負極活物質とする負極と、亜鉛(Zn)を固溶させたニッケル正極とを組み合わせて用いると、サイクル寿命および放置後の作動電圧が格段に向上したニッケル−水素二次電池を得ることが可能となる。
本発明においては、亜鉛(Zn)を含む希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)系水素吸蔵合金の亜鉛(Zn)量、マグネシウム(Mg)量、アルミニウム(Al)量およびB/A比を適切な範囲に制御しているので、高温放置後の作動電圧の低下を抑制できる水素吸蔵合金を得ることが可能となる。そして、このような亜鉛(Zn)を含む希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)系水素吸蔵合金を用いることにより、高温放置後でも作動電圧の低下が抑制された、使い勝手の良いニッケル−水素二次電池を提供することが可能になる。
本発明のニッケル−水素二次電池を模式的に示す断面図である。
ついで、本発明の実施の形態を以下に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
1.水素吸蔵合金
水素吸蔵合金は以下のようにして作製されている。この場合、希土類成分としてのランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)およびプラセオジム(Pr)と、マグネシウム(Mg)と、ニッケル(Ni)と、アルミニウム(Al)と、亜鉛(Zn)とを所定のモル比の割合で混合し、この混合物をアルゴンガス雰囲気中で溶解させ、これを溶湯急冷して一般式が(LaaNdbSmcPrdl-vMgvNiwAlxZnyと表される水素吸蔵合金α1,β1〜β5,γ1〜γ4,δ1〜δ4,ε1〜ε4,ζ1〜ζ2のインゴットを作製した。
この場合、希土類成分としては、モル比でランタン(La)が0.30で、ネオジム(Nd)が0.30で、サマリウム(Sm)が0.30で、プラセオジム(Pr)が0.10となるように配合して、希土類成分のモル比が0.9で、マグネシウム(Mg)成分のモル比が0.10で、希土類成分とマグネシウム(Mg)成分(以下では、A成分という)とのモル比が1(A=1)となるように混合した。そして、亜鉛(Zn)が無添加で、A成分に対するニッケル(Ni)とアルミニウム(Al)成分と亜鉛(Zn)成分(以下ではB成分というが、この場合はZn成分は0となる)のモル比(B/A)が3.20(B/A=3.20)となり、一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni3.05Al0.15と表されるものを水素吸蔵合金α1とした。
また、亜鉛(Zn)を添加するとともにA成分に対するB成分のモル比(B/A)が3.20(B/A=3.20)の一定値となるように亜鉛(Zn)のモル比を0.08〜0.23まで変化させたものを水素吸蔵合金β1〜β5とした。なお、亜鉛(Zn)のモル比が0.08で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.97Al0.15Zn0.08と表されるものを水素吸蔵合金β1とした。同様に、Znのモル比が0.10で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.95Al0.15Zn0.10と表されるものを水素吸蔵合金β2とし、Znのモル比が0.15で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.90Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金β3とし、Znのモル比が0.20で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.85Al0.15Zn0.20と表されるものを水素吸蔵合金β4とし、Znのモル比が0.23で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.82Al0.15Zn0.23と表されるものを水素吸蔵合金β5とした。
また、Mgのモル比を0.06〜0.15まで変化させてもA成分のモル比が1になるようにし、かつ亜鉛(Zn)を添加するとともにA成分に対するB成分のモル比(B/A)が3.20(B/A=3.20)の一定値となるように変化させたものを水素吸蔵合金γ1〜γ4とした。なお、Mgのモル比が0.08で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.08Ni3.30Al0.15Zn0.10と表されるものを水素吸蔵合金γ1とした。同様に、Mgのモル比が0.10で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni3.30Al0.15Zn0.10と表されるものを水素吸蔵合金γ2とし、Mgのモル比が0.20で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.20Ni3.30Al0.15Zn0.10と表されるものを水素吸蔵合金γ3とし、Mgのモル比が0.23で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.23Ni3.30Al0.15Zn0.10と表されるものを水素吸蔵合金γ4とした。
また、亜鉛(Zn)を添加するとともにA成分に対するB成分のモル比(B/A)が3.20(B/A=3.20)の一定値となるようにアルミニウム(Al)のモル比を0.08〜0.23まで変化させたものを水素吸蔵合金δ1〜δ4とした。なお、アルミニウム(Al)のモル比が0.08で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.97Al0.08Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金δ1とした。同様に、Alのモル比が0.10で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.95Al0.10Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金δ2とし、Alのモル比が0.20で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.85Al0.20Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金δ3とし、Alのモル比が0.23で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.82Al0.23Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金δ4とした。
また、亜鉛(Zn)を添加するとともにA成分に対するB成分のモル比(B/A)が3.10〜3.35(3.10≦B/A≦3.35)に変化するようにニッケル(Ni)のモル比を変化させたものを水素吸蔵合金ε1〜ε4とした。なお、Niのモル比が2.80で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.80Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金ε1とした。同様に、Niのモル比が2.85で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni2.85Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金ε2とし、Niのモル比が3.00で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni3.00Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金ε3とし、Niのモル比が3.05で一般式が(La0.3Nd0.3Sm0.3Pr0.10.90Mg0.10Ni3.05Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金ε4とした。
さらに、希土類成分として、モル比でランタン(La)が0.20で、ネオジム(Nd)が0.20で、サマリウム(Sm)が0.50で、プラセオジム(Pr)が0.10となるように配合して、希土類成分のモル比が0.9で、マグネシウム(Mg)成分のモル比が0.10で、A成分のモル比が1(A=1)となるように混合した。そして、亜鉛(Zn)を添加するとともにA成分に対するB成分のモル比(B/A)が3.20(B/A=3.20)の一定値となるように、ニッケル(Ni)とアルミニウム(Al)成分と亜鉛(Zn)成分を混合し、一般式が(La0.20Nd0.20Sm0.50Pr0.100.90Mg0.10Ni2.90Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金ζ1とした。
また、希土類成分として、モル比でランタン(La)が0.20で、ネオジム(Nd)が0.20で、サマリウム(Sm)が0.58で、プラセオジム(Pr)が0.02となるように配合して、希土類成分のモル比が0.9で、マグネシウム(Mg)成分のモル比が0.10で、A成分のモル比が1(A=1)となるように混合した。そして、亜鉛(Zn)を添加するとともにA成分に対するB成分のモル比(B/A)が3.20(B/A=3.20)の一定値となるように、ニッケル(Ni)とアルミニウム(Al)成分と亜鉛(Zn)成分を混合し、一般式が(La0.20Nd0.20Sm0.58Pr0.020.90Mg0.10Ni2.90Al0.15Zn0.15と表されるものを水素吸蔵合金ζ2とした。
2.水素吸蔵合金負極
水素吸蔵合金負極11はパンチングメタルからなる負極芯体に水素吸蔵合金スラリーが充填されて形成されている。この場合、上述のように作製された水素吸蔵合金α1,β1〜β5,γ1〜γ4,δ1〜δ4,ε1〜ε4,ζ1〜ζ2のインゴットを、1000℃のアルゴンガス雰囲気で10時間の熱処理を行ってインゴットにおける結晶構造を調整した。この水素吸蔵合金を不活性雰囲気中で機械的に粉砕し、篩分けにより400メッシュ〜200メッシュの間に残る合金粉末を選別した。なお、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定すると、質量積分50%にあたる平均粒径は30μmで、最大粒径は45μmであった。
この後、得られた水素吸蔵合金粉末100質量部に対し、ポリアクリル酸ナトリウム0.4質量部と、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.1質量部と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(溶媒は水で、固形分が60質量部のもの)2.5質量部とを加えて混練して、水素吸蔵合金スラリーを調製した。そして、得られた水素吸蔵合金スラリーをパンチングメタル(例えば、ニッケルメッキ鋼板製で、厚みが60μmのもの)からなる負極芯体の両面に塗着した後、100℃で乾燥させ、所定の充填密度になるように圧延した後、所定の寸法になるように裁断して水素吸蔵合金負極11(a1,b1〜b5,c1〜c4,d1〜d4,e1〜e4,f1〜f2)をそれぞれ作製した。この場合、負極1枚当たりの水素吸蔵合金粉末量が9.0gで、AAサイズとなるような水素吸蔵合金負極11とした。
ここで、水素吸蔵合金α1を用いたものを負極a1とした。また、水素吸蔵合金β1を用いたものを負極b1とし、水素吸蔵合金β2を用いたものを負極b2とし、水素吸蔵合金β3を用いたものを負極b3とし、水素吸蔵合金β4を用いたものを負極b4とし、水素吸蔵合金β5を用いたものを負極b5とした。また、水素吸蔵合金γ1を用いたものを負極c1とし、水素吸蔵合金γ2を用いたものを負極c2とし、水素吸蔵合金γ3を用いたものを負極c3とし、水素吸蔵合金γ4を用いたものを負極c4とした。また、水素吸蔵合金δ1を用いたものを負極d1とし、水素吸蔵合金δ2を用いたものを負極d2とし、水素吸蔵合金δ3を用いたものを負極d3とし、水素吸蔵合金δ4を用いたものを負極d4とした。また、水素吸蔵合金ε1を用いたものを負極e1とし、水素吸蔵合金ε2を用いたものを負極e2とし、水素吸蔵合金ε3を用いたものを負極e3とし、水素吸蔵合金ε4を用いたものを負極e4とした。さらに、水素吸蔵合金ζ1を用いたものを負極f1とし、水素吸蔵合金ζ2を用いたものを負極f2とした。
3.ニッケル正極
ニッケル正極12は、発泡ニッケルからなる正極基板に活物質スラリー(ニッケルスラリー)が充填されて形成されている。この場合、活物質スラリー(ニッケルスラリー)は以下のようにして調製されている。
即ち、まず、金属ニッケルに対して、コバルトが1質量%となるように、硫酸ニッケルと硫酸コバルトとからなる混合水溶液を撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、反応液中のpHを13〜14に安定させて、複合粒子からなる水酸化ニッケルを溶出させる。得られた複合粒子からなる水酸化ニッケルに対して、10倍量の純水で3回洗浄した後、脱水、乾燥させることにより、水酸化ニッケル活物質を調製する。ついで、得られた水酸化ニッケル活物質に40質量%のHPCディスパージョン液を混合して、活物質スラリー(ニッケルスラリー)を調製する。この後、得られた活物質スラリーの所定量を発泡ニッケルからなる正極基板に所定の充填密度になるように充填し、乾燥後、所定の厚みになるように圧延し、所定の寸法に切断して、AAサイズとなるニッケル正極12としている。このようにして作製された正極をニッケル正極x1とした。
3.ニッケル−水素二次電池
ついで、上述のようにして作製された水素吸蔵合金負極11(a1,b1〜b5,c1〜c4,d1〜d4,e1〜e4,f1〜f2)とニッケル正極12(x1)とを用い、これらの間に、公知のポリプロピレン製あるいはナイロン製の不織布からなるセパレータ13を介在させて渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。ついで、得られた電極群を鉄にニッケルメッキを施した有底筒状の外装缶(底面の外面は負極外部端子となる)17内に収納した後、負極集電体14を外装缶17の内底面に溶接した。一方、正極集電体15より延出する集電リード部15aを正極端子を兼ねるとともに外周部に絶縁ガスケット19が装着された封口体18の底部に溶接した。なお、封口体18には正極キャップ18aが設けられていて、この正極キャップ18a内に所定の圧力になると変形する弁体18bとスプリング18cよりなる圧力弁(図示せず)が配置されている。
ついで、外装缶17の上部外周部に環状溝部17aを形成した後、アルカリ電解液を注液し、外装缶17の上部に形成された環状溝部17aの上に封口体18の外周部に装着された絶縁ガスケット19を載置した。この後、外装缶17の開口端縁17bをかしめることにより、公称容量が2500mAhでAAサイズのニッケル−水素二次電池10(A1,B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2)を作製した。この場合、アルカリ電解液としては、リチウム、カリウムを含有した30質量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を用いた。
ここで、水素吸蔵合金負極a1を用いたものを電池A1とした。同様に、水素吸蔵合金負極b1を用いたものを電池B1とし、水素吸蔵合金負極b2を用いたものを電池B2とし、水素吸蔵合金負極b3を用いたものを電池B3とし、水素吸蔵合金負極b4を用いたものを電池B4とし、水素吸蔵合金負極b5を用いたものを電池B5とした。また、水素吸蔵合金負極c1を用いたものを電池C1とし、水素吸蔵合金負極c2を用いたものを電池C2とし、水素吸蔵合金負極c3を用いたものを電池C3とし、水素吸蔵合金負極c4を用いたものを電池C4とした。また、水素吸蔵合金負極d1を用いたものを電池D1とし、水素吸蔵合金負極d2を用いたものを電池D2とし、水素吸蔵合金負極d3を用いたものを電池D3とし、水素吸蔵合金負極d4を用いたものを電池D4とした。また、水素吸蔵合金負極e1を用いたものを電池E1とし、水素吸蔵合金負極e2を用いたものを電池E2とし、水素吸蔵合金負極e3を用いたものを電池E3とし、水素吸蔵合金負極e4を用いたものを電池E4した。さらに、水素吸蔵合金負極f1を用いたものを電池F1とし、水素吸蔵合金負極f2を用いたものを電池F2した。
4.電池試験
(1)活性化処理
これらの各電池A1,B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2を用い、25℃の温度雰囲において、電池容量(公称容量)に対して、0.1Itの充電電流で16時間充電した後、1時間休止した。その後、25℃の温度雰囲で0.2Itの放電電流で電池電圧が0.5Vになるまで放電させた。このような充電・休止・放電を2サイクル繰り返して行って、各電池A1,B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2の活性化処理を行った。
(2)初期作動電圧の測定
これらの各電池A1,B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2に上述のように活性化処理を施した後、25℃の温度雰囲で1.0Itの充電電流で1時間充電した後、1時間休止した。その後、25℃の温度雰囲で1.0Itの放電電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させ、放電時間から初期の電池容量を求めた。そして、このように初期の電池容量を求めた際に、放電時間の中間地点での電池電圧を初期作動電圧として求めた。そして、求めた初期作動電圧において、電池A1の初期作動電圧を基準電圧とし、この基準電圧との差電圧を初期作動電圧(mV)として求めると、下記の表1に示すような結果が得られた。
(3)放置後作動電圧の測定
ついで、上述のように初期作動電圧を求めた各電池A1,B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2を、25℃の温度雰囲で1.0Itの充電電流で1時間充電した後、1時間休止した。その後、60℃の温度雰囲で1ヶ月間放置した後、25℃の温度雰囲で1.0Itの放電電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させ、放電時間から高温(60℃)放置後の電池容量を求めた。そして、このように高温(60℃)放置後の電池容量を求めた際に、放電時間の中間地点での電池電圧を高温(60℃)放置後の作動電圧として求めた。そして、求めた高温(60℃)放置後の作動電圧と先に求めた初期作動電圧との差電圧を放置後作動電圧(mV)として求めると、下記の表1に示すような結果が得られた。
(4)サイクル寿命の測定
また、上述のように活性化した後、これらの各電池A1,B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2を、25℃の温度雰囲気で、1.0Itの充電電流で1時間充電した後、25℃の温度雰囲気で1時間休止させる。ついで、25℃の温度雰囲気で、1.0Itの放電電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させて電池容量を測定した。このような電池容量の測定サイクルを繰り返し行って、放電できなくなるまでのサイクル数(サイクル寿命)を求めた。そして、得られたサイクル数(サイクル寿命)において、電池A1のサイクル数(サイクル寿命)を100とし、他の電池B1〜B5,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4,F1〜F2のサイクル数(サイクル寿命)をそれとの比率(%)で求めると、下記の表1に示すような結果となった。
Figure 2011021241
なお、上記表1において、一般式が(LaaNdbSmcPrdl-vMgvNiwAlxZnyと表される水素吸蔵合金において、Laのモル比はa×(1−v)となり、Ndのモル比はb×(1−v)となり、Smのモル比はc×(1−v)となり、Prのモル比はd×(1−v)となり、Mgのモル比はvとなり、Niのモル比はwとなり、Alのモル比はxとなり、Znのモル比はyとなる。
そして、上記表1の結果から以下のことが明らかになった。即ち、希土類、Mg,Alのモル比が等しく、Znを含まない水素吸蔵合金を用いた電池A1と、Znをモル比で0.15含有した水素吸蔵合金を用いた電池B3とを比較すると、電池B3は電池A1よりも、初期作動電圧は若干低下するが、放置後の作動電圧の低下は抑制されているとともに、サイクル寿命も向上していることが分かる。このことから、放置後の作動電圧の低下を抑制するためには、水素吸蔵合金にZnを含有させることが有効であることが分かる。
そこで、希土類、Mg,Alのモル比が等しく、Znを含有した水素吸蔵合金を用いた電池B1〜B5の結果からZnのモル比の適切な範囲を以下で検討した。
まず、Znをモル比で0.10まで下げた水素吸蔵合金を用いた電池B2においては、電池A1よりも放置後の作動電圧およびサイクル寿命の両方が良好な値を示していることが分かる。ところが、Znをモル比で0.08まで下げた水素吸蔵合金を用いた電池B1においては、サイクル寿命こそ電池B2とほぼ同等であるが、放置後の作動電圧は電池B2より低下し、電池A1に近い値まで低下していることが分かる。このことから、Znのモル比の下限値は0.10に設定するのが望ましいということができる。
一方、Znをモル比で0.20まで上げた水素吸蔵合金を用いた電池B4においては、電池B1よりも、初期作動電圧は若干低下するが、放置後の作動電圧の低下は抑制されているとともに、サイクル寿命も若干向上していることが分かる。ところが、Znをモル比で0.23まで上昇させた水素吸蔵合金を用いた電池B5においては、初期作動電圧およびサイクル寿命は電池B4とほぼ同等であるが、放置後の作動電圧は電池B2よりも低下していることが分かる。このことから、Znのモル比の上限値は0.20に設定するのが望ましいということができる。
ついで、希土類、Al,Znのモル比が等しく、かつMgのモル比を変化させた水素吸蔵合金を用いた電池C1〜C4の結果からMgのモル比の適切な範囲を以下で検討した。
まず、Mgをモル比で0.08とした水素吸蔵合金を用いた電池C2においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧の低下が見られないことが分かる。これに対して、Mgをモル比で0.06に下げた水素吸蔵合金を用いた電池C1においては、電池B3に対して、放置後の作動電圧に変化は見られないものの、サイクル寿命が大幅に低下していることが分かる。これは、Mgのモル比があまりにも低下させると、水素吸蔵合金の水素吸蔵量、すなわち、水素吸蔵合金電極にしたときの電気化学容量が低下するため、サイクル寿命が低下したものと考えられる。このことから、Mgのモル比の下限値は0.08に設定するのが望ましいということができる。
一方、Mgをモル比で0.12とした水素吸蔵合金を用いた電池C3においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧の低下が見られないことが分かる。これに対して、Mgをモル比で0.15とした水素吸蔵合金を用いた電池C4においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧が共に低下していることが分かる。これは、希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金においては、Mgのモル比があまりに増加すると、AB2相の偏析が発生して微粉化が起こりやすくなり、耐食性が低下してサイクル寿命が低下したと考えられる。これは、微粉化により表面積が増えることで電解液との接触面積が増大するようになってZn溶出が激しくなるため、結果として、高温放置によりZn固溶の効果が低下して高温放置後の作動電圧の維持も出来なくなったものと考えられる。このことから、Mgのモル比の上限値は0.12に設定するのが望ましいということができる。
ついで、希土類、Mg,Znのモル比が等しく、かつAlのモル比を変化させた水素吸蔵合金を用いた電池D1〜D4の結果からAlのモル比の適切な範囲を以下で検討した。
まず、Alをモル比で0.10とした水素吸蔵合金を用いた電池D2においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧の低下が見られないことが分かる。これに対して、Alをモル比で0.08に下げた水素吸蔵合金を用いた電池D1においては、電池B3に対して、放置後の作動電圧およびサイクル寿命の両方が低下していることが分かる。これは、Alのモル比を低下させると、水素吸蔵合金の耐食性が低下し、放置後の作動電圧およびサイクル寿命が低下したと考えられる。このことから、Alのモル比の下限値は0.10に設定するのが望ましいということができる。
一方、Alをモル比で0.20とした水素吸蔵合金を用いた電池D3においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧の低下が見られないことが分かる。これに対して、Alをモル比で0.23とした水素吸蔵合金を用いた電池D4においては、電池B3に対して、放置後の作動電圧に変化は見られないものの、サイクル寿命が大幅に低下していることが分かる。これは、Alのモル比を増大させると、水素吸蔵合金の耐食性が大幅に低下し、サイクル寿命が大幅に低下したと考えられる。このことから、Alのモル比の上限値は0.20に設定するのが望ましいということができる。
ついで、希土類、Mg,Al,Znのモル比が等しく、かつNiのモル比を変化させて、B/A比(希土類とMg成分に対するNiとAlとZn成分の量論比(モル比))を変化させた水素吸蔵合金を用いた電池E1〜E4の結果からB/A比の適切な範囲を以下で検討した。
まず、Niをモル比で2.85としてB/A比を3.15とした水素吸蔵合金を用いた電池E2においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧の低下が見られないことが分かる。これに対して、Niをモル比で2.80としてB/A比を3.10とした水素吸蔵合金を用いた電池E1においては、電池B3に対して、放置後の作動電圧に変化は見られないものの、サイクル寿命が大幅に低下していることが分かる。このことから、B/A比の下限値は3.15に設定するのが望ましいということができる。
一方、Niをモル比で3.00としてB/A比を3.30とした水素吸蔵合金を用いた電池E3においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧の低下が見られないことが分かる。これに対して、Niをモル比で3.05としてB/A比を3.35とした水素吸蔵合金を用いた電池E4においては、電池B3に対して、放置後の作動電圧およびサイクル寿命の両方が低下していることが分かる。このことから、B/A比の上限値は3.30に設定するのが望ましいということができる。
ついで、Mg,Al,Znのモル比およびB/A比が等しく、かつ希土類成分のモル比を変化させた水素吸蔵合金を用いた電池F1,F2の結果から希土類成分のモル比の適切な範囲を以下で検討した。
ここで、Smの含有割合を高めて、LaおよびNdのモル比を0.18とし、Smのモル比を0.45とし、Prのモル比を0.09とした、即ち、一般式を(LaaNdbcdl-vMgvNiwAlxZnyzと表した場合のa=0.18、B=0.18、c=0.45、d=0.09(c=0.45>a+b=0.36)である水素吸蔵合金を用いた電池F1においては、電池B3に対して、サイクル寿命はほぼ同等であるのに対して、放置後の作動電圧の低下が抑制されていることが分かる。
そして、Smの含有割合をさらに高めて、LaおよびNdのモル比を0.18とし、Smのモル比を0.522とし、Prのモル比を0.018とした、即ち、一般式を(LaaNdbcdl-vMgvNiwAlxZnyzと表した場合のa=0.18、B=0.18、c=0.522、d=0.018(c=0.45>a+b=0.36、d<0.02)である水素吸蔵合金を用いた電池F2においては、電池B3に対して、サイクル寿命はほぼ同等であるのに対して、放置後の作動電圧の低下がさらに抑制されていることが分かる。
これは、LaとNdの合計のモル比がSmのモル比よりも小さいと、即ち、a+b<cの関係を有するようにSmの含有割合を高めると、放置後の作動電圧低下の抑制効果がより強力に発現され、特に効果が大きくなるのが、希土類成分中のSmのモル比がLaとNdの合計のモル比を超えることであると考えられるからである。また、a+b<cの関係を有し、かつd<0.02の関係を有するようにPrのモル比を低下させると、放置後の作動電圧低下の抑制効果がさらに強力に発現されると考えられる。
5.ニッケル正極(正極中のZn量)について
ついで、ニッケル正極中への亜鉛(Zn)添加の影響について検討を行った。そこで、まず、金属ニッケルに対して、亜鉛が3質量%で、コバルトが1質量%となるように、硫酸ニッケルと硫酸亜鉛と硫酸コバルトとからなる混合水溶液を撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、反応液中のpHを13〜14に安定させて、複合粒子からなる水酸化ニッケルを溶出させた。得られた複合粒子からなる水酸化ニッケルに対して、10倍量の純水で3回洗浄した後、脱水、乾燥させることにより、水酸化ニッケル活物質を調製した。ついで、得られた水酸化ニッケル活物質を用いて、上述と同様にニッケル正極12を作製し、これをニッケル正極x2とした。
ついで、このニッケル正極x2と、上述した水素吸蔵合金負極b3とを用いて、上述と同様に、公称容量が2500mAhでAAサイズのニッケル−水素二次電池10を作製し、これを電池G1とした。ついで、この電池G1を、上述同様に活性化した後、上述と同様な電池試験を行って、初期作動電圧、高温(60℃)放置後の作動電圧およびサイクル寿命を求め、初期作動電圧においては、電池A1との差電圧(mV)で示し、高温(60℃)放置後の作動電圧においては、初期作動電圧との差電圧(mV)で示し、サイクル寿命においては、電池A1のサイクル寿命を100とし、それとの相対比で示すと、下記の表2に示すような結果となった。なお、下記の表2には、上述した電池A1および電池B3の結果も併せて示している。
Figure 2011021241
上記表2の結果から以下のことが明らかになった。即ち、Znを固溶させたニッケル正極を用いた電池G1においては、電池B3に対して、サイクル寿命および放置後の作動電圧が格段に向上していることが分かる。
これは、サイクル寿命については、ニッケル正極にZnを固溶させることより、充放電サイクルの進行に伴うニッケル正極の膨化が抑制された結果と考えられる。一方、放置後の作動電圧については、ニッケル正極に固溶されたZnが存在することで、負極から電解液中へのZnの溶出が抑制されるとともに、ニッケル正極から電解液中へのZnの溶出も抑制されたことで、負極の水素吸蔵合金へのZn固溶の効果がさらに高まったものと考えられる。
これらのことから、亜鉛(Zn)を固溶させた希土類−マグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)系水素吸蔵合金を負極活物質とする負極と、亜鉛(Zn)を固溶させたニッケル正極とを組み合わせて用いると、サイクル寿命および放置後の作動電圧が格段に向上したニッケル−水素二次電池を得ることができるようになるということができる。
この場合、水素吸蔵合金においては、Mgのモル比は0.08以上で0.12以下(0.08≦v≦0.12)、Alのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦x≦0.20)、Znのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦y≦0.20)であり、La,Nd,A,B,Mg成分に対するNi,Al,Zn,T成分のモル比が3.15以上で3.30以下(3.15≦w+x+y+z≦3.30)の条件を満たすのが望ましい。
なお、上述した実施形態においては、一般式が(LaaNdbcdl-vMgvNiwAlxFeyzと表される水素吸蔵合金において、A元素としてサマリウム(Sm)、B元素としてプラセオジム(Pr)を用いるとともに、T元素を用いない例について説明した。ところが、本発明においては、A元素としてはサマリウム(Sm)に代えてガドリニウム(Gd)を用いてもよい。また、B元素としてはプラセオジム(Pr)に代えて、Zr,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sc,Hf,Ca,Yから選択して用いるようにしてもよい。さらに、T元素としてはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Co,Ga,Zn,Sn,In,Cu,Si,P,Bから選択して用いるようにしてもよい。なお、この場合は、上記一般式におけるa,b,c,dは0≦a,0≦b,0≦c,0≦d<0.1,a+b+c+d=1,0≦z≦0.5の関係を有する必要がある。
10…ニッケル−水素二次電池、11…水素吸蔵合金電極、11c…芯体露出部、12…ニッケル電極、12c…芯体露出部、13…セパレータ、14…負極集電体、15…正極集電体、15a…集電リード部、17…外装缶、17a…環状溝部、17b…開口端縁、18…封口体、18a…正極キャップ、18b…弁板、18c…スプリング、19…絶縁ガスケット

Claims (4)

  1. 水素吸蔵合金を負極活物質とするニッケル−水素二次電池用水素吸蔵合金であって、
    前記水素吸蔵合金は一般式が(LaaNdbcdl-vMgvNiwAlxZnyz(ただし、式中、AはSm,Gdから選択される少なくとも1種の元素であり、BはPr,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sc,Zr,Hf,Ca,Yから選択される少なくとも1種の元素であり、TはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Co,Ga,Fe,Sn,In,Cu,Si,P,Bから選択される少なくとも1種の元素である)と表され、
    前記一般式におけるa,b,c,dは0≦a、0≦b、0≦c、0≦d<0.1、a+b+c+d=1.0、0≦z≦0.5の関係を有し、
    前記一般式におけるMgのモル比は0.08以上で0.12以下(0.08≦v≦0.12)、Alのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦x≦0.20)、Znのモル比は0.10以上で0.20以下(0.10≦y≦0.20)であり、
    かつ、前記La,Nd,A,B,Mg成分に対する前記Ni,Al,Zn,T成分のモル比が3.15以上で3.30以下(3.15≦w+x+y+z≦3.30)であることを特徴とするニッケル−水素二次電池用水素吸蔵合金。
  2. 前記一般式におけるa,b,cがa+b<cの関係を有することを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵合金。
  3. 前記一般式におけるdがd<0.02の関係を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素吸蔵合金。
  4. 水素吸蔵合金を負極活物質とする負極と水酸化ニッケルを主正極活物質とする正極とセパレータとからなる電極群をアルカリ電解液とともに外装缶内に備えたニッケル−水素二次電池であって、
    前記水素吸蔵合金は請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素吸蔵合金であるとともに、
    前記水酸化ニッケルを主正極活物質とする正極は固溶元素として亜鉛(Zn)を含有していることを特徴とするニッケル−水素二次電池。
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