JP2011021236A - 冶金炉発生排ガスの改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボンや非燃焼成分など堆積がなく、効率的な炭酸ガス改質反応を導くことにより、排ガスの増熱と共に炭酸ガスの排出削減とを同時に実現することのできる、高温排ガスの改質方法を提案する。
【解決手段】冶金炉から排出される高温の排ガスに還元剤を添加し、その排ガス中に含まれる炭酸ガスと還元剤とによる改質反応を導いて該排ガスの改質を行うにあたり、前記還元剤として、炭素数が5以上30以下である炭化水素と水との混合物を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄設備、例えば、転炉や溶融還元炉のような冶金炉から発生する炭酸ガス含有排ガスを改質して熱エネルギーとして有効に回収する技術に関する。特に、本発明では、排ガスの顕熱を利用することにより、外部から供給する還元剤と排ガス中の炭酸ガスとの改質反応によって、該排ガスの熱エネルギーを増大させると共に炭酸ガスの排出量を削減するのに有効な技術を提案する。
近年、地球環境を保護し地球温暖化を防止するために、炭酸ガスの排出削減が重要な課題となっている。特に、製鉄所において、炭酸ガスの排出削減は、企業の将来性にも関わる最重要の課題となっている。従来、そのための各種の提案がなされてきたが、本格的な炭酸ガス削減技術は、未だ完成していないのが実情である。
一般に、製鉄所では、転炉や溶融還元炉などから多量の炭酸ガスを含む高温の排ガスが発生する。これらの排ガスは、炭酸ガスの他に一酸化炭素や水素などを含むため、製鉄所内の各種設備を稼動させるエネルギー源としても利用されている。また、こうした高温の排ガスの顕熱を利用するという観点からは、ボイラーに供給して低圧のスチームを発生させることで、廃熱回収を行うことも一般的である。しかしながら、製鉄所での低圧スチームの利用価値は低く、むしろ高温の排出ガスを化学的に利用できるようにすることが望まれている。
ところで、メタンなどの各種炭化水素やメタノール、ジメチルエーテルなどの含酸素化合物等は、炭酸ガスや水蒸気と反応して一酸化炭素や水素に改質されることが知られている。この反応を利用した廃熱回収技術として、特許文献1には、転炉等の精錬設備から発生する、二酸化炭素および/または水蒸気を含む高温の排ガス中に、炭化水素を含む気体および/または液体を供給して改質反応を起こさせ、該排ガス中の一酸化炭素と水素を増加させることにより、排ガスの潜熱を増大させる「増熱」を図る方法が開示されている。
この文献1に開示の方法では、転炉排ガス中に天然ガスを吹込んで、下記(1)式の改質反応を行わせる際に、この反応が完了していると考えられる位置の温度を375℃程度まで低下させることとしている。しかしながら、発明者らの研究によれば、改質反応の完了温度は800℃よりも低くなると、カーボンの生成が顕著となり、排ガス回収設備内にカーボンやダストの堆積を招くという問題があることを突き止めた。その上、改質反応は、完了温度が低下すると、改質反応効率の低下を招き、二酸化炭素の転化率も低下することもわかった。
CH+CO→2CO+2H (1)
また、特許文献2には、転炉から排出するガスの温度が600℃以上となる位置に石炭を供給し、排ガスと石炭とを対向接触させることによって、下記(2)式の改質反応を行わせて一酸化炭素を生成させ、排ガスの増熱を図る方法が開示されている。
CO+C→2CO (2)
この文献2に開示の方法では、安価な石炭を用いて改質反応を行わせる点において優れているが、石炭に含まれる非燃焼成分(SiO、Al等)が煙道内に堆積したり、転炉内に落下してスラグ量の増大を招くという問題がある。
また、特許文献3には、転炉から発生する排ガスの温度が1300℃以上である位置にメタンおよび水蒸気を添加して下記(3)式の水性ガス反応を行なわせ、排出ガス中の一酸化炭素と水素の増量を図って熱エネルギーを増大させる方法およびその装置が開示されている。
CH+HO→CO+3H (3)
この文献3に開示の方法では、水蒸気の添加によって起こる反応ではCOとHの発生だけであり、二酸化炭素が絡む改質反応が起らないため、COの削減に何ら寄与しないという問題がある。
特開2000−212615号公報 特開平5−117668号公報 特開平2−11715号公報
上述したように、転炉や溶融還元炉などの冶金炉から発生する、炭酸ガス含有排出ガスの顕熱を利用して、排ガスの潜熱分を増大((1)式の吸熱分を反応生成物の燃焼熱の形で蓄積する)させる、所謂、増熱を図る従来技術では、カーボンの堆積や炭酸ガスの反応効率低下を招いたり、SiOやAl等の非燃焼成分の堆積を招いたり、あるいは、炭酸ガスが反応に関与しないため、排ガスの増熱および炭酸ガスの排出削減に効果がないという課題があった。
そこで、本発明の目的は、カーボンや非燃焼成分などの堆積がなく、効率的な炭酸ガス改質反応を導くことにより、排ガスの増熱と共に炭酸ガスの排出削減とを同時に実現することのできる、高温排ガス改質方法を提案することにある。
従来技術が抱えている上述した課題を克服し、高温排ガスの増熱と炭酸ガスの排出削減とを同時に実現するために、本発明は、転炉や溶融還元炉などの冶金炉から排出される高温の排ガスに還元剤を添加し、その排ガス中に含まれる炭酸ガスと還元剤とによる改質反応を導いて該排ガスの改質を行うにあたり、前記還元剤として、炭素数が5以上30以下である炭化水素と水との混合物を用いることを特徴とする冶金炉発生排ガスの改質方法を提案する。
上記のように構成される本発明では、さらに次のような構成にすることが、より好ましい解決手段を提供することができる。
(1)前記炭化水素は、炭素数が5以上30以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素のうちから選ばれる少なくとも1種からなること、
(2)前記炭化水素に混合する前記水の量は、炭化水素比で5mass%以上35mass%以下とすること、
(3)前記還元剤は、前記炭化水素と前記水をエマルジョン化したものであること。
(1)前述したように構成される本発明によれば、転炉等の冶金炉から排出される高温の排ガスの顕熱を有効に利用することができると同時に、還元剤の添加によって炭酸ガス改質反応を導く際に、前記排ガス中の炭酸ガスの還元剤として、炭素数が5以上30以下の炭化水素と水との混合物を用いることにしたので、排気系設備中にカーボンや非燃焼成分の発生、堆積がなく、排ガスの増熱と炭酸ガスの排出削減を効率よく同時に達成することができるようになる。
(2)本発明によれば、炭素数が5以上30以下の炭化水素の熱分解を、水を混合することによって抑制できるから、該炭化水素の熱分解によるカーボン(煤)の生成を抑制できる。これは、C鎖が長くなることにより炭化水素の反応性が向上して分解温度が低下するのを、水を混合することで抑制できるからである。
(3)また、本発明によれば、還元剤として廃鉱物油等の安価なものを使用することができ、排ガスの増熱と炭酸ガスの排出削減とを低コストで実現することができる。
本発明の一実施形態を説明するための、転炉排ガス回収設備の略線図である。 水/ヘキサンの混合割合に対する、CO転化率、カーボン生成量および出口温度の関係を示すグラフである。 水/ヘキサンの混合割合に対する、CO/H比および低位発熱量(LHV)の関係を示すグラフである。
本発明は、カーボンや非燃焼成分などが煙道へ堆積するようなことがなく、炭酸ガス改質反応を効率的に進行させて、排ガスの増熱と炭酸ガスの排出削減とを並行して実現するために有効な高温排ガスの改質方法である。具体的には、冶金炉(以下、「転炉」の例で述べる)から排出される800℃以上、好ましくは1000℃以上の高温排ガス(以下、「オフガス」という)に還元剤を添加し、排ガス中の炭酸ガスとの反応を導くにあたり、炭酸ガスの還元剤として、炭素数が5以上30以下の炭化水素と水との混合物を用いることにより、オフガスの増熱と炭酸ガスの排出削減とを同時に実現できるようにする方法である。
転炉から排出されるオフガスは、通常、10〜20Vol%程度のCOと50〜80Vol%程度のCOを含有し、発熱量が1500〜2000kcal/Nm程度、転炉操業中の炉口部における温度が、1200〜1800℃程度の排ガスである。本発明では、この転炉オフガス中に、炭酸ガスの還元剤として、炭素数が5以上30以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素の中から選ばれる少なくとも1種と水との混合物を用いることにより、該オフガスの増熱と炭酸ガスの排出削減が同時に達成される。増熱されたオフガス、即ち、改質オフガスは、例えば、製鉄所内の各種熱源として使われる(燃焼させる)ため、最終的には炭酸ガスを排出することになるものの、製鉄所内で用いられる重油等の補助燃料を増熱分相当量削減でき、その分の炭酸ガス削減に貢献できるようになる。
図1は、本発明にかかる排ガス改質方法の一例を説明するための、転炉の排ガス回収設備の略線図である。この図に示すように、転炉1から発生するオフガスは、スカート2、下部フード3、上部フード4、1次集塵機(湿式集塵機)5、2次集塵機13等を経て排出される間に、2次集塵機13の出側に配設したガス分析計6にて連続的または半連続的に、あるいは間欠的に酸素濃度が計測されることが好ましい。なお、該オフガス中の酸素濃度が1Vol%より多いときは、後述する理由により改質反応用還元剤の添加(注入)量を制御する制御弁7を閉とすると同時に、ガス流路切替弁8を閉にし、該オフガスがフレア9側に流れるようにすることが好ましい。
上記回収設備中のガス分析計6は、その形式はとくに限定しないが、酸素濃度の他、炭酸ガス濃度(流量)やオフガス流量の計測もできるものを用いることが好ましいが、別にガス流量計15を設けるようにしてもよい。このガス分析計6の計測値からは、演算装置12により炭酸ガスの流量を求めることができ、ひいては改質反応用還元剤の注入量を決定することができる。
例えば、酸素濃度が1Vol%以下まで低下し、かつ、1次集塵機5の入側に配設された温度計10で計測されるオフガス温度が600℃以上であれば、ガス流路切替弁8を開にし、オフガスがガスホルダー(図示せず)側に流れるようにすると同時に、流量制御弁7を開として、例えば、酸素上吹きランス11の側管から改質反応用還元剤の添加を行う。その他、スカート2部や上部・下部フード3、4から還元剤の吹込みを行ってもよい。
還元剤は、オフガス中の酸素濃度が1vol%以下となったときに添加を開始することが好ましい。その理由は、オフガス中の酸素濃度が1vol%より多いと、オフガス中の水素ガスや還元剤中の水素原子が酸素と反応して水蒸気が発生し、この水蒸気と添加した還元剤中の炭化水素とが反応して上述した(3)式の改質反応が進行するため、所期した二酸化炭素の転化率が低下し、二酸化炭素の削減効果が低減するからである。また、オフガス中の酸素濃度が1vol%より多いときに還元剤を添加すると、発火や爆発を起こす危険性もある。
また、発明者らは、オフガス中の酸素濃度が1vol%よりも多い時に生成する水蒸気は、還元剤中の炭化水素との反応性が高く好ましくないが、予め還元剤に混合した水は、炭化水素との反応性が低く、カーボンの生成抑制に有効であることを新規に見出した。その理由は、オフガスは高温であり、また、オフガス中の酸素と炭化水素との反応は燃焼反応であるため、生成した水蒸気はOHラジカル等の活性種を生じやすいのに対して、予め還元剤として混合した水分子は、混合時には温度が低いため、そのような活性種を生じにくいためと推定される。
本発明において用いる炭酸ガス用還元剤としての炭化水素は、炭素数が5以上30以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素の中から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは炭素数が5以上25以下、より好ましくは炭素数が5以上20以下のものから選択する。炭素数が5未満の炭化水素では、沸点が常温にほぼ等しく、水と混合する時に乳化分散機などの混合機から与えられる機械的エネルギーを受けると揮発し、混合状態を維持できなくなるため使用できない。一方、炭素数が30より大きい炭化水素では、融点が常温よりも高く、ハンドリングが困難となるばかりでなく、水と均一に混合することも著しく困難であり、使用できない。
本発明で用いることのできる炭化水素のうち、炭素数5の飽和炭化水素としては、ペンタンやイソペンタン、ネオペンタンなどを挙げることができ、炭素数5の不飽和炭化水素としては、ペンテンやペンタジエンを例示することができる。また、炭素数6の飽和炭化水素としては、ヘキサンやメチルペンタン、ジメチルブタン、エチルブタンを、炭素数6の不飽和炭化水素としては、ヘキセンやヘキサジエンを、炭素数6の脂環式炭化水素としては、シクロヘキサンやメチルシクロペンタンを例示することができる。また、炭素数7の飽和炭化水素としては、ヘプタンとその異性体を例示することができる。また、炭素数8の飽和炭化水素としては、オクタンやメチルヘプタン、ジメチルヘキサン、エチルヘキサン、イソオクタンを、炭素数8の不飽和炭化水素としては、オクテンやオクタジエンを、炭素数8の脂環式炭化水素としては、シクロオクタンやメチルシクロヘプタン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンを例示することができる。
本発明では、前掲の種々の炭化水素を用いることができるが、重合する可能性のない飽和炭化水素を用いることが特に好ましい。飽和炭化水素であれば、ペンタンやヘキサンのような直鎖炭化水素であっても、イソペンタンやメチルヘキサンのような分岐炭化水素であっても、シクロヘキサン、メチルシクロヘプタンのような脂環式炭化水素であってもよい。
還元剤に含まれる前記炭化水素に混合する水は、該炭化水素(還元剤)自体の熱分解を抑制するために用いられるものであって、比較的多量とすることが好ましい。その好適範囲は、炭化水素比で5mass%以上35mass%以下である。この割合(水の量)が5mass%未満では、カーボンの生成抑制作用が乏しく、一方、35mass%より多いと、水の揮発によるオフガス温度の低下が大きくなり、改質反応効率の低下を招くと共に、改質ガスの燃焼熱の低下を招く。また、35mass%より多いと、水が冶金炉内に落下して溶鋼温度の低下をもたらし、エネルギー消費量が増大する可能性もあり好ましくない。特に、カーボン生成抑制効果に着目した場合、水の量は20〜32mass%程度にすることが好ましい。
還元剤としての炭化水素と水との混合状態は、オフガス中に円滑に供給できる状態にすることが好ましく、そのためにはエマルジョンの状態であることが有効であり、より安定供給するためにエマルジョンの状態にする。炭化水素と水との混合物をエマルジョン化するための方法は、特に、限定はないが、乳化分散機やホモジナイザー、エマルジョン燃料製造装置など種々の装置を用いることができる。なお、乳化剤を添加してエマルジョンとすることもでき、乳化剤を用いる場合は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性など乳化剤の種類は問わない。ただし、通常、長時間に亘って安定なエマルジョンを維持する必要性がないため、乳化剤の添加はコスト高となる分、不利である。その
次に、前記還元剤と前記オフガスとが接触する時間、即ち、オフガス滞留時間は、0.01〜50秒程度、好ましくは0.1〜20秒程度となるように、反応系、例えば、図1に示す例では、還元剤吹込み位置であるランス11〜上部フード4〜輻射部の間で調整するのがよい。このガス滞留時間を0.01秒以上とすると、改質反応が完了するのに必要な反応時間が得られ、未反応の還元剤がリークすることがなく経済的である。一方、このガス滞留時間を50秒以内、より好ましくは20秒以内に限定すると、反応を確実に完了させることができる一方で、煙道(フード長)をむやみに長くする必要がなくなるので、オフガスの設備コストを抑えることができる。
例えば、転炉オフガス中の炭酸ガス濃度が15Vol%で、炭素数が5以上30以下の炭化水素としてヘキサン(C14)を選択し、これに水を15mass%混合したものを還元剤とした場合、還元剤添加位置におけるオフガス温度が1200℃以上の場合、炭酸ガスと当量の還元剤を添加し、滞留時間を0.5〜5秒とすると、改質反応を完了させることができ、その反応完了時のガス温度は600℃以上となる。
なお、還元剤の添加位置は、前記ガス滞留時間ならびに添加位置におけるオフガスの温度を考慮して決定することが好ましい。例えば、ガス滞留時間が、前述したように、0.01〜50秒、好ましくは0.1〜20秒の場合、還元剤の添加位置は、オフガス温度ができるだけ高い温度となる位置とすることが好ましい。図1は、還元剤を酸素上吹きランスの側管から注入する例である。このように、本発明において、その添加位置として、ランス11に注目した理由は、このランス11は上吹き転炉の操業に不可欠な設備であり、これを還元剤添加用に利用することは実用的だからである。ただし、本発明では、添加位置を上記のランス側管部で行うだけではない。例えば、スカート2、上部フード4や下部フード3の上部などにノズルを設置して、還元剤の添加を行ってもよい。
とくに、転炉オフガス中の炭酸ガス量が比較的少ない場合などでは、反応時間が短くてよいので、上部フード4よりもさらに上部の輻射部で還元剤の添加を行なってもよい。また、その添加位置は1箇所だけに限らず、複数個所としてもよい。例えば、ランス11の側管と下部フード3の上部の2個所で行うようにしてもよい。
本発明では、炭素数が5以上30以下の炭化水素と水との混合物、あるいは、エマルジョンを還元剤とするため、還元剤はオフガスにミスト状に噴霧して注入することが好ましい。この場合、その液滴径は、炭酸ガスとの接触が効率的であればよく、好ましくは0.01〜1000μm、より好ましくは0.1〜100μmである。
(実施例1)
この実施例は、内径12mm、長さ5mのアルミナチューブからなる模擬試験炉を用いて実施した例である。この試験炉は、アルミナチューブの上流側フランジに、還元剤導入口と熱電対保護管とを取付たものである。還元剤の添加は、上流側フランジから1.5m下流の位置となるように、また、ガス温度の計測制御は、上流側フランジから1m下流の位置となるようにし、還元剤導入管と熱電対保護管とはフランジ貫通型とした。また、下流側フランジには、熱電対挿入口、水冷によるガス冷却設備を取付け、さらに、ガス冷却設備の下流側に積算式ガス流量計とガス分析装置とを取付けた。アルミナチューブ全体は電気炉で覆われているが、上流側1mのヒーターのみを通電してこの部分を転炉模擬ガスの予熱ゾーンとし、それより下流側のヒーターは通電せず、断熱反応ゾーンとした。なお、前述したように還元剤は、予熱ゾーンの下流0.5mの位置で注入されるため、実際の断熱反応ゾーンの長さは3.5mである。
転炉模擬ガスとして、CO:20Vol%、N:80Vol%の混合ガスを用いた。また、還元剤としては、ヘキサン(C14)と水とのエマルジョンを採用し、下表に示す割合の混合物をそれぞれ準備した。
Figure 2011021236
還元剤は、改質実験開始前に、室温でホモジナイザーによって分散−乳化させ、実験中も常時、ホモジナイザーによって分散させてエマルジョン化したものを模擬試験炉に供給した。なお、乳化剤は用いなかった。模擬ガス流量は、1L/minに、還元剤流量は、還元剤が完全に均一であると仮定した時の気体換算のヘキサン流量が26mL/minになるように定量ポンプを調節した。予熱ゾーンの温度は1300℃に固定した。この実験条件の下で、下流側フランジに取付けた熱電対により断熱反応ゾーンの出口温度を計則したところ、表に示した実験番号の順に、それぞれ、700℃、698℃、696℃、692℃、689℃、687℃、687℃、692℃であった。なお、断熱ゾーンでのガス滞留時間は2〜6秒であった。
出口ガスの流量とガス分析結果とから炭酸ガス転化率と物質収支を計算した。カーボンの生成は、各実験後の配管内の目視確認により行ったが、小規模の実験のため定量化するのは困難であった。そこで、C原子の物質収支実測値(%)と100(%)との差分をカーボン生成量とした。
図2は、横軸に水の混合率(図中、水/ヘキサン(mass%)と記載)、左縦軸にCO転化率と時間あたりに換算したカーボン生成量を、右縦軸に出口温度を示した。また、図3に、この実験例における改質ガス中のCO/H比、並びに、ドライガス組成から計算した低位発熱量(図中、LHVと記載)を示した。
図2、3から明らかなように、ヘキサンに水を混合してなる還元剤を用いることによって、カーボンの生成が顕著に抑制されることがわかる。特に、より好適な範囲内の水添加量(20〜32mass%)では、カーボン生成量が少ないのみならず、水無添加に比べ低位発熱量が大きく、効率的な改質が行なわれていることが明らかであった。
(実施例2)
本実施例では、下表に示すように種々の炭化水素と水との混合物からなる還元剤を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にて改質実験を行なった。実験番号9、10は還元剤をエマルジョン化していないものによる実験である。そのため、炭化水素と水とは別々のポンプによって還元剤導入口に供給したが、この時、表に示す混合率となるよう、定量ポンプによって炭化水素と水の流量を調節した。一方、実験番号11、12では、実施例1と同様にして、改質実験開始前に、還元剤をホモジナイザーによって分散・乳化させたが、この時の温度を50℃とした以外の還元剤の準備方法は実施例1と同様とした。なお、実施例1と同様、模擬ガス流量は1L/minに、予熱ゾーンの温度は1300℃であった。
表2に示すように、炭素鎖の長い炭化水素であっても、水を混合することによって効率的に改質が行なえることが明らかである。特に、C1634のような融点の高い炭化水素の場合、エマルジョン化することによって炭酸ガス含有排ガスへの改質剤の供給も容易となり、工業的な利用価値が高い。一方、ヘキサン(C14)やオクタン(C18)のような低融点物質の場合、エマルジョン化しなくても炭酸ガス含有排ガスへの供給が容易である。ただし、転化率、カーボン生成量、LHVなどの反応評価結果を実施例1と比較すると、エマルジョン化しないで供給すると反応効率が若干低下することがわかる。しかし、エマルジョン化のための装置が不要になることから、比較的低分子量の炭化水素を用いる場合は、エマルジョン化しない方法も有効と考えられる。
Figure 2011021236
本発明は、転炉の排ガスだけでなく、多量の炭酸ガスを含む高温のガスが排出される溶融還元炉や非鉄精錬で用いられる各種の炉などの冶金炉の排ガス改質技術として有用である。
1 転炉
2 スカート
3 下部フード
4 上部フード
5 1次集塵機
6 ガス分析計
7 制御弁
8 ガス流路切替弁
9 フレア
10 温度計
11 酸素上吹きランス
12 演算装置
13 2次集塵機
15 ガス流量計

Claims (4)

  1. 冶金炉から排出される高温の排ガスに還元剤を添加し、その排ガス中に含まれる炭酸ガスと還元剤とによる改質反応を導いて該排ガスの改質を行うにあたり、前記還元剤として、炭素数が5以上30以下である炭化水素と水との混合物を用いることを特徴とする冶金炉発生排ガスの改質方法。
  2. 前記炭化水素は、炭素数が5以上30以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素のうちから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載の冶金炉発生排ガスの改質方法。
  3. 前記炭化水素に混合する前記水の量は、炭化水素比で5mass%以上35mass%以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の冶金炉発生排ガスの改質方法。
  4. 前記還元剤は、前記炭化水素と前記水をエマルジョン化したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冶金炉発生排ガスの改質方法。
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