JP2011020398A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温での膨張収縮が少なく、重量などに耐える強度がバランスよく保持された積層体を提供する。
【解決手段】芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルム複数枚を、接着剤層を介することなく積層した積層体であって、厚さが10μm以上で、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であることを特徴とするポリイミドフィルム積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの積層体に関するものであり、さらに詳しくはセラミック材に匹敵する低線膨張係数を有するポリイミドフィルム積層体に関するものである。
ポリイミドフィルムは、−269℃〜300℃までの広い温度範囲での物性変化が極めて少ないために、電気および電子分野での応用、用途が拡大している。電気分野では、例えば車両用モーターや産業用モーター等のコイル絶縁、航空機電線および超導電線の絶縁等に使用されている。一方、電子分野では、例えばフレキシブルプリント基板や、半導体実装用フィルムキャリヤーのベースフィルム、バーンインボードやビルトアップ多層配線基板の構成材料等に利用されている。このようにポリイミドフィルムは、種々の機能性ポリマーフィルムの中でも極めて信頼性の高いものとして、電気および電子分野で広く利用されている。
従来、情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料として、セラミックが用いられていた。セラミックからなる基材は耐熱性を有し、近年における情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得る。しかし、セラミックはフレキシブルでなく、薄くできないので使用できる分野が限定される。
そのため、有機材料からなるフィルムを電子部品の基材として用いる検討がなされ、ポリイミドからなるフィルム、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムが提案されている。ポリイミドからなるフィルムは耐熱性に優れ、また、強靭であるのでフィルムを薄くできるという長所を備えている。
これらのポリイミドフィルムは、一般的に線膨張係数が大きく温度変化による寸法変化が著しくて微細な配線をもつ回路の製造に適さない点等が問題となり、使用できる分野が限定される。
ポリイミドフィルムは、主として流延による溶液製膜で製造されており、その製法上厚いフィルムを作ることは困難であり、またはその生産性が極度に劣ったりしていた。そのため熱可塑性のポリイミドを通常のポリイミドフィルムと加熱ラミネーターや加熱プレス装置で貼り合わせることが提案されてはいるが、耐熱性に劣ったり、コストが嵩んだりする問題があった。
ポリイミドフィルム上に熱可塑性樹脂などの接着剤層を介して他の構造補強物を設ける試みもなされている。例えば結晶性ポリイミド成形体の表面に薄く非晶性ポリイミドを積層したポリイミド成形体(特許文献1参照)などが提案されている、これらは構造上の改良においては満足し得ても、熱可塑性樹脂の耐熱性の低さのゆえに、折角のポリイミドフィルムの耐熱性を台無しにする傾向を有していた。
その改良として、プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて熱圧着させたものからなり、該フィルム間の剥離強度が0.3kgf/cm以上であるポリイミドフィルム積層体が提案されている(特許文献2参照)。
特開平10−058628号公報 特開2002−234126号公報
しかしながら、耐熱性を維持しつつ、線膨張係数を低くしたポリイミドフィルムについてはこれまで提案されていなかった。
本発明は、これらの従来の技術の課題である積層体の層間剥離、または線膨張係数が高いための熱膨張などに対する不安などを同時に解決せんとするものであり、耐熱性のポリイミドを用い、ポリイミドの接着剤を使用しないで積層体を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを使用したポリイミドフィルムを、プラズマ処理したうえで積層することにより、線膨張係数が低めの特定範囲にあり、耐熱性をより高いレベルで具備したポリイミド積層体が得られることを見出した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
(1)芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルムを、接着剤層を介することなく積層した積層体であって、厚さが10μm以上で、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であることを特徴とするポリイミドフィルム積層体。
(2)厚さ方向での線膨張係数が、面方向での線膨張係数の5倍以上の値である上記(1)の積層体。
(3)積層体剥離強度が初期にて、3.0N/cm以上、PCT処理後および加熱処理後にて、2.0N/cm以上の値を示す上記(1)または(2)の積層体。
(4)積層体の剥離面の平均表面粗さRaが10nm以上である上記(1)〜(3)のいずれかの積層体。
(5)積層体の剥離面の表面元素比率O/Cが0.20〜0.35、かつA/Cが0.05未満である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。(ただしOは酸素、Cは炭素を表し、Aは炭素、窒素、酸素以外の元素を表し、ESCAにて観測される存在量が、0.1atom%以上のものである。)
本発明により、以下に示すような優れた性能のポリイミド積層体を提供することができる。芳香族テトラカルボン酸またはその反応性誘導体(例:無水物およびアミド形成性誘導体)(以下、これらを芳香族テトラカルボン酸類と総称することがある。)と、ベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミンまたはその反応性誘導体(例:アミド形成性誘導体)(以下、これらを芳香族ジアミン類と総称することがある。)との反応によって得られるポリイミドのフィルムを、接着剤層を介することなく積層した積層体であって、厚さが10μm以上で、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃のポリイミド積層体であり、高温での膨張収縮が少ない耐熱性と重量などに耐える強度がバランスよく保持された積層体である。したがって、高温での機械的治具や部品としてまたデバイス積層体などに有効に使用でき、絶縁性、耐熱性、耐熱寸法安定性に優れ、取り扱いなどにおける力学的な課題を解決することができる。
また、本発明の積層体は、接着剤を使用しないことで、センサーや回路などのデバイス積層体、特に耐熱寸法安定性に優れたセンサーや回路などのデバイス積層体などにも有効に使用することができる。
本発明におけるポリイミド(フィルム)積層体におけるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドであれば特に限定されない。
<ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類>
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、通常、置換基を有してもよいアミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、置換基を有してもよいフェニレンビスアミノベンゾオキサゾール、置換基を有してもよいビスアミノベンゾオキサゾロベンゼン、置換基を有してもよいジアミノジフェニルベンゾビスオキサゾールが挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2011020398
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを、全芳香族ジアミンの70モル%以上使用することが好ましい。
本発明においては、全芳香族ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<芳香族テトラカルボン酸類>
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類としては無水物が好ましく、特に、二無水物が好ましい。具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2011020398
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これらのテトラカルボン酸無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
<溶媒>
芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させたりしてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、これらの還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの線膨張係数が−10−5から+16+7(ppm/℃)と制御し易くなる。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等の炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、積層に供するポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(すなわち、自己支持性の前駆体フィルム)を得て、次いで、グリーンフィルムを加熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
本発明における積層体を構成するポリイミドフィルム(単層)の厚さは、特に限定されるものではないが、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、更には25μm以下が好ましい。積層加工時の作業性の点から、好ましい下限値は3μmである。これらのフィルムの面内での厚さムラは20%以下であることが好ましい。
本発明における該ポリイミド積層体の線膨張係数(以下、CTEということがある)は、積層体の面方向でのポリイミド積層体の線膨張係数と定義され、好ましくは−5ppm/℃〜+7ppm/℃であり、−1.0ppm/℃〜+5ppm/℃がより好ましい。
CTEが、−5ppm/℃〜+7ppm/℃の範囲を超える場合は、所定温度以上に曝された場合に、積層体の寸法が膨張または収縮して積層体の寸法安定性が発現しないことになる。
上記積層体は、特に温度変化に対して寸法安定性に優れるため、温度変化を伴う加工、微細加工、寸法安定な異種材料との積層に対して優れた特性を示す。
また、積層体の線膨張係数を前記範囲内に制御するためには低線膨張係数を有する単膜を積層することが必要となる。その方法としては高配向が期待できる芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類とを選定することが重要である。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類では、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体などが適しており、また、酸無水物ではピロメリット酸無水物や3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物が適する。
積層体の形成方法には、ポリイミドフィルム製造時のグリーンフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を積層してイミド化する方法や、ポリイミドフィルム面に大気圧(常圧)プラズマ処理や真空プラズマ処理などを施しグリーンフィルムと真空プレスして合体せしめる方法が挙げられる。本発明の積層体をの形成する方法は、ポリイミドフィルムをプラズマ処理しポリイミドフィルム同士を真空プレスや加熱加圧して積層する方法であって、プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて150℃以上の温度で、かつ20kg/cm2以上の圧力で3分間以上加熱加圧して積層する製造方法が好ましい。
プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを少なくとも2枚重ねて150℃以上の温度でかつ20kg/cm2以上の圧力で3分間以上加熱加圧する本発明の積層体を製造する方法において、プラズマ表面処理方法は、グロー放電等の公知の方法を採用することができる。ポリイミドフィルムのプラズマ表面処理を好ましく実施するには、内部電極型低温プラズマ発生装置中で、電極間に少なくとも1,000ボルト以上の放電電圧を与えてグロー放電を行い、ポリイミドフィルム表面を低温プラズマ雰囲気と接触させる。低温プラズマ処理のためのプラズマ用ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、酸素、空気、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、水蒸気、水素、亜硫酸ガス、シアン化水素などが例示され、これらは単独または二種以上のものを混合して使用することができる。特に、含酸素無機ガスの使用が好ましく、より好ましくは二酸化炭素と水蒸気であり、最も好ましくは二酸化炭素である。
装置内におけるガス雰囲気の圧力は0.001〜10トル(Torr)の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0トルである。このようなガス圧力下で放電電極間に、例えば、周波数10KHz〜2GHzの高周波で、10W〜100KWの電力を与えることにより安定なグロー放電を行わせることができる。放電周波数帯域は、高周波以外に低周波、マイクロ波、直流などを用いることができる。低温プラズマ発生装置としては、内部電極型であることが好ましいが、場合によって外部電極型であってもよいし、またコイル炉などの容量結合、誘導結合のいずれであってもよい。電極の形状については特に制限はなく、それらは平板状、リング状、棒状、シリンダー状等種々可能であり、さらには処理装置の金属内壁を一方の電極としてアースした形状のものであってもよい。電極間に1,000ボルト以上の電圧を印加し、安定な低温プラズマ状態を維持するには、入力電極にかなりの耐電圧を持った絶縁被覆を施す必要がある。
プラズマ処理に適する放電電力密度は5〜2000W・min/m2の範囲が好ましく、更には、10〜1500W・min/m2が好ましい。5W・min/m2未満では、改質効果が十分でなく、2000より大きい場合は、表面の脆化が進行し、十分な強度を保有する積層体が得られない。
本発明においては、積層に使用するプラズマ表面処理されたポリイミドフィルムの表面元素比率はO/Cが0.30〜0.45が望ましい。O/Cが0.30未満の場合、プラズマ処理による改質効果が十分でなく、O/Cが0.45より大きい場合は、表面の脆化が進行し、十分な強度を保有する積層体が得られない。
また、A/Cは、0.05未満であることが望ましく、好ましい下限値は0である。(ただしAは、炭素、窒素、酸素以外の元素を意味し、ESCAにて観測される存在量が、0.1atom%以上のものである。)0.05以上では、接着に関与しない元素が増加するため積層界面での強固な接着を阻害される。ここで、A/Cが0.05未満とは、炭素、窒素、酸素以外の元素が複数含まれている場合には、含まれている複数の元素の合計値が炭素に対して0.05未満ということである。したがって、個別の元素について、A/Cが0.05未満でも、複数の元素を合算したA/Cが0.05以上であれば積層界面での強固な接着が阻害される。
すなわち、本発明のポリイミド積層体を製造する方法での重要なポイントの一つは、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルムの表面を、積層前の時点で、表面元素比率O/Cが0.30〜0.45で、かつA/Cが0.05未満となるようにプラズマ処理の条件を制御することであり、上記のプラズマ処理方法の採用によってその制御が可能となる。
また、このようにして作成された本発明の積層体を構成するポリイミドフィルムの剥離面の表面元素比率O/Cは0.20〜0.35である。言い換えると、本発明の積層体は、積層体の厚さ方向に、元素比率O/Cが0.20〜0.35の接合層を形成する。そのような接合層は、n枚のポリイミドフィルムを積層する場合には、(n−1)層形成される。
このようにしてポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理する場合、そのプラズマ処理するフィルム面は、片面でもよいが、その両面をプラズマ処理するのが好ましい。得られたプラズマ表面処理ポリイミドフィルムは、これらを少なくとも2枚重ねて、接着剤等を介することなく、熱圧着し積層体を得る。プラズマ表面処理されたポリイミドフィルムを積層し、熱圧着するに際し、その熱圧着手段は特に制限されず、加熱ロールを用いることや、平板の熱板間に裁断積層されたフィルムをシリンダー等で加圧することもできる。
熱圧着の際、真空(減圧)下で加熱加圧することが、得られる積層体に気泡等の欠点が生じにくい点から好ましい。また面内の圧力むらの軽減のために、鏡面板、クッション板等を積層体の上下または内部に用いても差し支えない。その加熱加圧条件としては、任意の条件が選択可能ではあるが、得られる積層体の耐熱性の観点から、150℃以上で加熱加圧する必要があり、180℃以上かつ20kg/cm2以上の条件で、3分以上加熱加圧することが好ましい。積層加工の温度、圧力、時間は、層構成に応じて、適宜設定すればよい。
加熱温度の上限値は、通常、400℃程度であり、加圧圧力の上限値は、通常、1000kg/cm2程度である。積層は、2枚以上、4〜2000枚のプラズマ表面処理ポリイミドフィルムを重ねて、熱圧着することにより、シート状から板体状の積層体を得ることができる。得られた積層体の厚さは10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、さらに100μm以上、なおさらには250μm以上、そのうえさらに500μm以上が好ましく、その上限は特にない。この製法の繰り返しによって通常0.2〜100mm、好ましくは0.5〜20mmの積層体を容易に得ることができる。
本発明においては、積層体剥離強度が初期にて、3.0N/cm以上、プレッシャークッカーテスト(PCT)処理(例えば、121℃、100%、2atm、96hrs)後、および加熱処理(例えば、150℃、168hrs)後にて、2.0N/cm以上の値を示すことが望ましい。初期剥離強度が3.0N/cm未満では、層間の接着力が不十分であり、センサーや回路などのデバイス積層体などで使用される際のレーザーやドリルでの穴加工やルーター等の外形加工にて、クラックや剥離が発生しやすい。また、PCT処理及び加熱処理後の剥離強度が2.0N/cm未満では、高温または高湿環境で使用される場合、他部材との熱膨張や湿度膨張による応力に対して、クラックや剥離が発生しやすい。
ポリイミドの成型体の他の形成方法としては、ポリイミド粒子を圧縮成型する方法がある。この方法では一般的に、厚さ方向と面方向は同一の線膨張係数の値を有する成型体しか得ることができない。本発明の積層体の一つの特徴は、厚さ方向の線膨張係数が面方向の5倍以上の値を有するフィルム単膜を積層することで、厚さ方向の線膨張係数が面方向の5倍以上の値を有することである。面方向に対する厚さ方向の線膨張係数は、5倍以上が好ましく、更には10倍以上がより好ましい。このような厚さ方向と面方向とに異方性を有する積層体を成型することにより、面方向に低い線膨張を有する成型体を実現できる。
本発明における積層体を剥離した後の、剥離面の平均表面粗さRaは、10nm以上が好ましく、更に好ましくは15nm以上であり、その上限は特に制限はされない。剥離面の平均表面粗さRaが10nm未満の場合には、積層体の層間の破壊モードは脆性的であり十分な密着性が得られない。この場合、積層体の外形加工時に、容易に剥離が進行し、積層体としての形状保持が阻害される。平均表面粗さRaが10nm以上の場合には、層間の破壊モードは、凝集破壊や材料破壊に代表される極めて強固な積層体として形成される。なお、平均表面粗さRaは、後述の直接位相干渉型顕微鏡VertScanで測定された値であり、JIS B0601−1994の算術平均粗さ(Ra)と同等である。
本発明における積層体を剥離した剥離面の表面元素比率はO/Cが0.20〜0.35が望ましい。剥離面のO/Cが0.20未満の場合、プラズマによるフィルムの改質の効果が十分でなく、O/Cが0.35より多きい場合は、強固な界面の接着が得られない。O/Cが0.20〜0.35の範囲では、積層体の破壊はプラズマによる改質層とフィルム内部との破壊が同時に進行することにより強固な接着が発現する。
また、A/Cは、0.05未満であることが望ましい。(ただしAは、炭素、窒素、酸素以外の元素を意味し、ESCAにて観測される存在量が、0.1atom%以上のものである。)A/Cが0.05以上では、接着に関与しない元素が増加するため積層界面での強固な接着が阻害される。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムおよび積層体の厚さ測定
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて異なる5点を測定し、その平均値を表す。
3.ポリイミドフィルム、積層体の引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフ(登録商標)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。測定したサンプル数は、N=3で、測定結果はそれらの平均値を示す。
4.ポリイミドフィルム、積層体の面方向および厚さ方向での線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、40〜50℃、50〜60℃、などのように10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を450℃まで行った。50℃から400℃までの全測定値の平均値を、それぞれMD方向のCTE(平均値)、TD方向のCTE(平均値)として算出した。フィルム面または積層体の面方向での値は、前記MD値とTD値の平均値を以って面方向での線膨張係数(CTE)とし、一方、厚さ方向の値を厚さ方向での線膨張係数(CTE)とした。測定したサンプル数は、N=3で、測定結果はそれらの平均値を示す。
熱機械分析装置 : ブルカーAXS社製 TMA4000S
サンプル長さ : 10mm
サンプル幅 : 2mm
昇温開始温度 : 25℃
昇温終了温度 : 450℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : アルゴン
5.ポリイミドフィルムおよび積層体剥離面の表面組成分析
酸素/炭素比(O/C比)、および珪素/炭素比(Si/C比)については、光電子分光法(ESCA)で測定した。プラズマ処理を施した直後のポリイミドフィルムを、試料ホルダー上に両面テープで固定し、予備排気室で十分に排気した。その後、試料を測定室のチャンバー内に投入し、表面組成を分析した。X線源としてMg Kαを用い、出力は10kV、20mAに設定した。検出器のパスエネルギーは75eV、光電子の脱出角度は90度とした。測定は0.1eVピッチで行い,測定時間は1ピッチあたり200msとし7回以上積算を行った。また測定中試料チャンバー内の真空度を3×10-5Pa以下とした。測定時の帯電に伴うピークの補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー値を285.0eVに合わせた。
C1sピーク面積は結合エネルギー281〜295eVの範囲、O1sピーク面積は528〜541eVの範囲、Si2pのピーク面積は結合エネルギー98〜109eVの範囲でそれぞれShirley法のバックグラウンドを引くことにより求めた。バックグラウンドを引く際の2端点強度はそれぞれの端点付近の10点の強度を数値平均した値を用いた。
酸素/炭素比(O/C比)は、上記O1sピーク面積に対するC1sピーク面積の比を、珪素/炭素比(Si/C比)は上記Si2pピーク面積に対するC1sピーク面積の比を、それぞれ装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本実施例ではX線光電子分光測定装置として Shimazu−Kratos社製、「ESCA3400」を用いた。
なお、以下の実施例では、AをSiとして記述している。但し、AはSiに限定されるわけではなく、観測される元素に応じて上記と同様の解析により元素比を算出することができる。
6.積層体の剥離強度測定
積層体の接着性の評価(積層体構成の各フィルム間の接着性の評価)は、積層体を作成した直後、プレッシャークッカーテスト(PCT)処理(121℃、100%、2atm、96hrs)後、及び加熱処理(150℃、168hrs)後、に下記の条件で、180度剥離試験をおこなうことで剥離強度を測定した。測定したサンプル数は、N=3で、測定結果はそれらの平均値を示す。
試験機 : (株)島津製作所製 オートグラフAG−IS
サンプル長さ: 100mm
サンプル幅 : 3mm
測定温度 : 25℃
剥離速度 : 50mm/min
雰囲気 : 大気
7.積層体剥離面の表面粗さ分析
積層体構成の各フィルムの剥離面の突起の観測方法:直接位相干渉型顕微鏡VertScan((株)菱化システム製)を用いフィルムの表面観察(モード:wave560M、観察視野:75×75μm2)を実施し、平均表面粗さ(Ra)を算出した。
8.吸湿リフロー試験
積層体をJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council) LEVEL 1の条件下(85℃/85%RH−168hr+245℃/3sec×3回)で試験した。すなわち、85℃/85%RHの高湿雰囲気に168時間放置した試験サンプルを取り出し、245℃のハンダ浴に3秒間浸漬する試験を3回くり返した。試験後の外観を検査し、剥がれ,膨れ,変色の全く見られないものを○、剥がれ,膨れ,変色が僅か見られるものを△、剥がれ,膨れ,変色が見られるものを×、とそれぞれ評価した。測定したサンプル数は、N=3で行った。
〔参考例1〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒(株)製)1.22質量部とN−メチル−2−ピロリドン420質量部を、接液部および輸液用配管がオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L製である容器に入れ、ホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備え、接液部および輸液用配管がオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L製である反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを反応容器内に入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液421.2質量部とピロメリット酸二無水物217質量部を加えて、25℃にて24時間攪拌することで、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。ポリアミド酸溶液Aの還元粘度(ηsp/C)は3.8であった。
〔参考例2〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒(株)製)7.6質量部およびN−メチル−2−ピロリドン390質量部を、接液部および輸液用配管がオーステナイト系ステンレス鋼SUS316L製である容器に入れ、ホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを反応容器内に入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を397.6質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌することで、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。ポリアミド酸溶液Bの還元粘度(ηsp/C)は3.7であった。
〔ポリイミドフィルムの作成〕
参考例1〜2で得たポリアミド酸溶液を、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、90〜115℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、ポリアミド酸溶液AおよびBからなるグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるようにピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンにさしこむ事により把持した。フィルムが破断しないように、かつ不必要なタルミ生じないようにピンシート間隔を調整した。最終ピンシート間隔が1140mm、となるように搬送し、第1段が170℃で2分、第2段として230℃で2分、第3段485で6分、の各条件で段階的に加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈するフィルム1〜フィルム4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルム1〜3の特性の測定結果を表1に記載する。
Figure 2011020398
<実施例1>
気圧0.2トル(Torr)、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)25W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。なお、放電電力密度は、装置に依存して異なるが本明細書における実施例および比較例は、同一の装置を用いて実施している。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例2>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)70W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例3>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例4>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)680W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)「製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例5>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)1100W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例6>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後10枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ380μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例7>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後100枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ3800μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例8>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源による高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.3(厚さ5μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後10枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ50μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例9> 実施例3のプレス条件違い(温度350℃)
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下に厚さ3mmのザイロンフェルトクッションを置いて、真空プレス装置を用いて350℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例10> 実施例3のプレス条件違い(温度200℃)
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて200℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<実施例11> 実施例3のプレス条件違い(圧力50kg/cm2)
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、50kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体はルーター加工、ドリル加工等の外形加工にも十分耐えるものであった。
<比較例1>
プラズマ処理をしていないポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μ)mを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は厚さ76μmの板状体であった。積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。CTE測定および剥離強度の測定の実施を試みたが、サンプリング時に積層体が容易に層間剥離してしまい測定不能であった。
<比較例2>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)2220W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。積層体は、微粘着性を有するものの外力により容易に剥離するものであった。
<比較例3>
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.2(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて280℃、130kg/cm2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。
<比較例4> (加工温度100℃)
気圧0.2トル、二酸化炭素雰囲気下で内部電極方式のプラズマ源に高周波電圧を印加し、放電電力密度(E値)520W・min/m2で、ポリイミドフィルムNO.1(厚さ38μm)の両面をプラズマ処理した。
このフィルムを20cmに裁断後2枚重ね合わせて、上下にガラステフロン(登録商標)製の厚さ3mmのクッション板を置いて、真空プレス装置を用いて100℃、130kg/cm2の条件で30分プレス後圧力を開放し、積層体を取り出した。
得られた積層体は、厚さ76μmの板状体であった。積層体のCTE特性及び積層に使用したフィルムの元素比率を表2、積層体の180度剥離強度及び剥離面の表面粗さ、剥離面の元素比率、吸湿リフロー試験の結果を表3に示す。
Figure 2011020398
Figure 2011020398
本発明の製造方法の特徴は、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルムの表面を、プラズマ処理を施すことで所定の表面元素比率(O/C比およびA/C比)を有するように改質し、表面改質された該ポリイミドフィルムを加熱、加圧することで、積層体を作製することである。このようにして作成された積層体は、厚さが10μm以上で、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃という、優れた低膨張性能を有していた。さらに、積層体の層間剥離の強度は、初期、PCT試験後、および加熱放置試験後、実用上十分な強度を有していた。さらに、JEDEC LEVEL 1という厳しい吸湿処理後であっても、良好なハンダリフロー性能を有していた。
本発明の積層体製造方法により接着剤層を介することなく積層された積層体は、高温での膨張収縮が少ない耐熱性と重量などに耐える強度がバランスよく保持されたものである。高温での機械的治具や部品としてまたデバイス積層体などに有効に使用でき、絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた、取り扱いなどにおける力学的な課題を解決しうる積層体である。本発明の積層体製造方法は、接着剤を使用せずに厚板を作成できるため、センサーや回路などのデバイス積層体などにも有効に使用することができ、絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた、取り扱いなどにおける力学的な課題を解決することができる。また、接着剤を使用しないことで、高温使用に耐える、センサー、プローブ、集積回路、およびこれらの複合デバイスなどにも有効に使用できる基材を提供することができるため、産業界への寄与は大きい。

Claims (5)

  1. 芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルムを、接着剤層を介することなく積層した積層体であって、厚さが10μm以上で、面方向での線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であることを特徴とするポリイミドフィルムの積層体。
  2. 厚さ方向での線膨張係数が、面方向での線膨張係数の絶対値の5倍以上の値である請求項1記載の積層体。
  3. 積層体剥離強度が初期にて、3.0N/cm以上、PCT処理後および加熱処理後にて、2.0N/cm以上の値を示す請求項1〜2いずれかに記載の積層体。
  4. 積層体の剥離面の平均表面粗さRaが10nm以上である請求項1〜3いずれかに記載の積層体。
  5. 積層体の剥離面の表面元素比率O/Cが0.20〜0.35、かつA/Cが0.05未満である請求項1〜4いずれかに記載の積層体。
    (ただしOは酸素、Cは炭素を表し、Aは炭素、窒素、酸素以外の元素を表し、ESCAにて観測される存在量が、0.1atom%以上のものである。)
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