JP2011020379A - 合成樹脂製枠体の成形方法 - Google Patents

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【課題】 金型の構成要素を削減して、製造面で簡素で煩雑ではない、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体の成形方法を提供する。
【解決手段】 溶融する樹脂を中心部から周方向に流して縁周ゲートから周形状のキャビティに注入され、キャビティに連通するゲートを樹脂の溶融状態においてゲートカットされ、合成樹脂製枠体を取り出す合成樹脂製枠体の成形方法であって、
上記ゲートカットが、キャビティ内に充填された後に、上動してきた環状の凸部がキャビティの注入口を閉塞する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体の成形方法に関する。
従来、自動車などのスピードメーター等の枠体、額縁などの枠体、コンピューターのディスプレーの枠体や、液晶テレビ或いはプラズマテレビ等のディスプレー用の枠体など、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体が提供されている。そして、その成形は、枠体成形用の金型の周部キャビティに溶融樹脂原料の注入ゲートを直接設け、周部キャビティをいわば溶融原料の湯の流路として当該周部キャビティに溶融原料を打ち込み、成形する方法であった。
しかしながら、かかる方法で成形すると、周部キャビティがいわば溶融原料の湯の流路として用いられるため、その流れに応じた成形品が成形され、また注入ゲート付近と、当該注入ゲートより最も遠い部分の溶融原料の性状は相違するため、性状的には一定品質の合成樹脂成形品を成形し難い問題があった。特に、周部キャビティの途中で一方側から流れてきた溶融原料と他方側から流れてきた溶融原料とがぶつかり合う部位ではその傾向が大きい。
かかる点で、特許文献1は、次の成形方法を採用している。すなわち、図9の9A、9B、9Cに示す様に、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体の成形方法であって、移動型と固定型とからなり、該移動型と固定型の空隙にてキャビティ22を形成する金型であり、かつキャビティ22に連通し、合成樹脂製枠体の開口部の周縁に対応する位置の全体に亘って溶融樹脂原料を注入できる注入ゲート23と、これに連通する供給口241を有する溶融樹脂原料の貯留部24と、供給口241、注入ゲート23の連通を遮断する移動可能な閉鎖部25とを有する、移動型と固定型からなる金型を用いて、溶融樹脂原料を貯留部に一旦貯留し、その後、前記貯留部24に貯留された溶融樹脂原料の圧力により、閉鎖部25がスライド移動し、該溶融樹脂原料がキャビティ22内に注入され、その後、移動型が移動し、注入ゲート23と供給口241との連通を封鎖するともに、キャビティの幅方向が狭くなり、溶融樹脂原料がキャビティ全体に充填されて成形がなされ、その後、金型を開いて成形された合成樹脂製枠体を取り出すことによって成形する成形方法である。
特開2007−276170号公報
しかし上記成形方法は、溶融樹脂原料を前記貯留部に一旦貯留する貯留工程を必要とする。また前記貯留工程後、前記貯留部に貯留された溶融樹脂原料の充填圧により、前記閉鎖部がスライド移動しなければならない。また前記樹脂注入工程後は、前記移動型が移動し、前記注入ゲートと前記供給口との連通を封鎖するともに、前記キャビティの少なくとも一部の幅方向が狭くなることにより、溶融樹脂原料が前記キャビティ全体に充填されて成形がなされるゲートカットを必要とする。従って、製造上、煩雑であり、一挙に手間がいらずに製造できる方法が求められている。
本発明の課題は、金型の構成要素を削減して、製造面で簡素で煩雑ではない、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体の成形方法を提供するところにある。
本発明は、溶融する樹脂を中心部から周方向に流して縁周ゲートから周形状のキャビティに注入され、キャビティに連通するゲートを樹脂の溶融状態においてゲートカットされ、合成樹脂製枠体を取り出す合成樹脂製枠体の成形方法であって、
上記ゲートカットが、キャビティ内に充填された後に、上動してきた環状の凸部がキャビティの注入口を閉塞する、合成樹脂製枠体の成形方法である。
従って、本発明の成形方法によれば、単にゲートカットが、キャビティ内に充填された後に、上動してきた環状の凸部がキャビティの注入口を閉塞することで達成されるため、単なる移動型と固定型との組み合わせで行われるので、製造面で煩雑ではない。
また本発明の成形方法によれば、従来の如く、貯留部に一旦貯留する貯留工程を必要とせず、前記閉鎖部を必要とせず、また前記固定型と前記移動型によることがない。また本発明の成形方法によれば、前記ゲートカットは前記キャビティの少なくとも一部の幅方向が狭くなることなく製造される。
また本発明の成形方法によれば、溶融する樹脂を中心部から周方向に流して縁周ゲートから周形状のキャビティに注入され、キャビティに連通するゲートを樹脂の溶融状態においてゲートカットされ、合成樹脂製枠体を取り出す方法であるため、成形された枠体には不要な固化部分が付着することなく、不要部を切り離す工程を必要としない。また一連の工程は、連続して繰り返し行うことができるので、効率的な製造方法でもある。
本発明に係る成形方法の一実施形態によって得られた、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体の一例を示す平面図である。 同背面図である。 本発明に係る成形方法の一実施形態を示す概略断面図であって、周形状のキャビティに注入され充填された状態を示している。 同概略断面図であって、充填完了時に独立移動コアが移動し、独立移動コアの環状の凸部がキャビティの注入口を閉塞して成型品とゲートを分断する状態を示している。 本発明に係る成形方法の他実施形態によって得られた、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体の他例を示す背面図である。 本発明に係る成形方法の他実施形態によって得られた、内側に開口部を有する合成樹脂製枠体のさらに他例を示す平面図である。 同成型時点で分離端部を有する背面図である。 同さらに他例を示す背面図である。 従来の成形方法の一例を示す概略図である。9Aは貯留工程における金型の概要を示した要部拡大図である。9Bは樹脂注入工程における金型の概要を示した要部拡大図である。9Cはゲートカット工程における金型の概要を示した要部拡大図である。
以下、図面を用いて本発明を詳述する。ただし、本発明は、図面に示された態様に限られるものではない。
本発明で成形されるのは、図1や図2のような内側に開口部11を有する合成樹脂製枠体10である。当該枠体10は自動車のスピードメーターの枠体である。図1や図2では枠体10形状及び開口部11形状は一部が直線部をなしている円形のものを示したが、3連の自動車のスピードメーターの枠体や(図5〜図7)、その他5連の自動車のスピードメーターの枠体なども含まれる。また図8の様に長方形の合成樹脂製枠体16でも差し支えない。本発明の成形方法では、枠体10形状及び開口部11形状を限定することなく使用できる。ただし本発明では、枠体10形状及び開口部11形状が円形状のような連続する形状の成形であっても、ウエルドラインが発生しないという有利な特徴がある。
また本発明の成形方法による効果を十分発揮させるためには、図1や図2のように、内側に開口部11を有する合成樹脂製枠体10の外側形状と開口部11形状とが相似形状であるほうが好ましい。例えば枠体10外側形状が長方形であり、開口部11形状が円形状のような枠体においても、もちろん本発明の成形方法による成形も可能である。ただしウエルドラインの発生抑制効果は、相似形状の枠体の場合よりも若干劣る。前記例示形状において、もし完全にウエルドラインの発生を完全に抑えたいならば、本発明の成形方法で、一旦開口部形状を長方形で成形し、その後円形状など所望の開口部を切断する方法を採ることもできる。
本発明に用いられる原料は、熱可塑性樹脂原料であれば特に制限なく使用できる。また着色剤等通常の射出成形で用いられる添加剤を原料に添加することもできる。なかでもアルミニウム粉末などメタリック用着色剤を添加した樹脂原料を用いた場合、従来の射出成形による成形では、ウエルドラインが明確に現れるので添加を控えていたものであるが、本発明の成形法では、かかるメタリック用着色剤を添加して成形した場合でも外観上ウエルドラインが表れないという有利な特徴がある。また透明又は半透明の熱可塑性樹脂原料を用いて本発明の成形方法で成形すれば、上記同様外観上ウエルドラインが現れないという有利な特徴がある。
内側に開口部11を有する合成樹脂製枠体10を成型するために、本発明で用いる金型は、移動型211と固定型212とからなり、該移動型211と固定型212の空隙にてキャビティ213を形成する金型であり、かつ図3及び図4に示すように、以下の(1)〜(3)をすくなくとも備えたものである。
(1)溶融する樹脂1を中心部2から円周方向3に流して周形状のゲート4から周形状のキャビティ213に注入される充填工程、
(2)上動する独立移動コア214の環状の凸部215がキャビティ213の注入口216を閉鎖し、キャビティ213に連通するゲート4を樹脂の溶融状態においてカットするゲートカット工程、
(3)合成樹脂製枠体を取り出す型開き工程
本発明の成形方法に用いる金型21は、通常の射出成形と同じく、移動型211と固定型212からなり、該移動型211と固定型212の空隙によってキャビティ213が形成される。続いて、溶融する樹脂1を中心部2から円周方向3に流して周形状のゲート4から周形状のキャビティ213に注入される。
本発明の成形方法に用いる金型21の注入する前記ゲート4は、前記のキャビティ213に連通し、前記の合成樹脂製枠体10の開口部の周縁5に対応する位置の全体に亘って溶融樹脂原料を注入できるものである。すなわち、通常の射出成形のゲートノズルのように特定の一点に存在するゲートではなく、成形される枠体10の開口部の周縁5に相当する部分に線状に一周して存在するゲートである。注入ゲート4をこのようにすることにより、内側に開口部11を有する合成樹脂製枠体10の成形においては、原料樹脂注入後、樹脂流れの乱れを抑制することができる。
この状態では円筒体の独立移動コア214は図3に示す様な独立移動コア214先端部にある環状の凸部215がキャビティ213の注入口をオープンにしている。溶融する樹脂が周形状のキャビティに充填完了すると、図4に示す様に、独立移動コアが上に移動し、独立移動コアの環状の凸部がキャビティの注入口216を閉鎖して溶融する樹脂の成型品とゲートを分断するものである。なお、独立移動コア214は固定型212の内周壁212aと内型217の外周壁217aの間隙218を上下摺動するようになっている。
続いて冷却されて成型され、成型後移動型211が固定型212から離れることにより型開きが行われ、成形品を取り出す。
ところで本発明の方法は、例えば前記のスピードメーターの如く、内側に開口部11を有する1つの合成樹脂製枠体10を成型することができるが、これに限らず、図5に示す次の3連の合成樹脂製枠体12も成型することができる。
すなわち、それは、溶融する樹脂を中心部から周方向に流して周形状のゲートから周形状のキャビティに注入され、さらにキャビティから再び第2のゲートを通過するように周方向に流して第2のキャビティに注入し、キャビティ及び第2のキャビティに連通するゲート及び第2ゲートを樹脂の溶融状態においてゲートカットされ、合成樹脂製枠体を取り出す合成樹脂製枠体の成形方法であって、
上記ゲートカットが、キャビティ内に充填された後に、上動してきた各環状の凸部がキャビティの注入口を閉塞する合成樹脂製枠体の成形方法である。
すなわち、ゲートカット工程を、3つのそれぞれ独立した円筒体の独立移動コアを用い、溶融する樹脂の中心部から最も遠い位置の円筒体の独立移動コアから最も近い位置の円筒体の独立移動コアにまで順次上動して閉鎖すれば、一度に、内側に開口部11を有する3連の合成樹脂製枠体10を成型することができる。
なお、前記の内側に1つの円形状の開口部11を有する方法でも3連の合成樹脂製枠体13を成型することができる。すなわち、図6及び図7に示す様に、キャビティを円形状に加えて両側にC字状とし、キャビティ内の成型品のC字状の先端部14を自由端部にし、この自由端部と連結し得る15穴を設けて、両者を物理的に連結するものである。この方法であれば、4連でも5連でも枠体を成型することができる。なお、この場合、ウェルドラインがC字状の先端部にできるが、連結する自由端部にしていることから、問題はない。
本発明は、自動車などのスピードメーター等の枠体、額縁などの枠体、コンピューターのディスプレーの枠体や、液晶テレビ或いはプラズマテレビ等のディスプレー用の合成樹脂製枠体の成形方法として好適に利用することができる。
1 溶融する樹脂
2 中心部
3 円周方向
4 周形状のゲート
10 枠体
11 開口部
213 キャビティ
215 環状の凸部

Claims (1)

  1. 溶融する樹脂を中心部から周方向に流して周形状のゲートから周形状のキャビティに注入され、キャビティに連通するゲートを樹脂の溶融状態においてゲートカットされ、合成樹脂製枠体を取り出す合成樹脂製枠体の成形方法であって、
    上記ゲートカットが、キャビティ内に充填された後に、上動してきた環状の凸部がキャビティの注入口を閉鎖する合成樹脂製枠体の成形方法。
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