JP2011020358A - 合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネット - Google Patents

合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネット Download PDF

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Abstract

【課題】 材料のロスが少なく、伸縮性を付与し易く、厚み等の自由度が大きく、製造コストを抑えることができる合成樹脂製ネットの製造方法を提供する。
【解決手段】 の本発明の合成樹脂製ネットの製造方法は、熱可塑性の合成樹脂製シートに複数のスリットを設ける第1の工程と、設けられたスリットを穴形状に変化させる力が付与された状態で加熱成形する第2の工程とを含む。合成樹脂製シートにシート状物品をラミネートする第3の工程をさらに有することは好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネットに関し、例えば、シート状若しくは任意形状を有する合成樹脂製ネットや、そのような合成樹脂製ネットの少なくとも一面に生地等のシート状物品を有する物品の製造に適用し得る。
なお、この明細書において、「合成樹脂製ネット」という用語は、シート状物品が付かない合成樹脂製ネットだけでなく、場合によっては、シート状物品を有する合成樹脂製ネットをも意味するものとする。
従来の合成樹脂製ネットの製造方法は概ね4種類に分類することができる。第1は、合成樹脂製シートに対して、打ち抜き等によって穴開けを行ってネットを形成する方法である(特許文献1参照)。第2は、合成樹脂製の線材を編むことでネットを形成する方法である。この方法の変形例として、押し出し成形を利用した方法を挙げることができる。すなわち、複数箇所から樹脂を押し出して線材を形成させながら、同時に形成された線材を絡ませてネットを形成する方法である(特許文献2参照)。第3は、射出成形によって直接合成樹脂製ネットを形成する方法である(特許文献3参照)。第4は、多数の山形の突起部分を配列した中間部材を成形によって形成した後、全ての山形の突起部分を麓側で切断することによってそこに穴を開けてネットを形成する方法である。
特開2001−323469 特開平10−272703 特開平9−39114
第1の方法の場合、打ち抜かれた部分が全て不要なカスとなってしまい、材料のロスが大きい。また、合成樹脂製シートが、打ち抜きに耐えられる強度を有しているため、形成された合成樹脂製ネットが伸縮性に乏しいものとなり易い。
第2の方法の場合、この方法を実行する装置が複雑で高価なものになり易い。また、種々の厚みを有する合成樹脂製ネットを同じ装置構成で形成するのは難しいという課題を有する。
第3の方法の場合も、この方法を実行する装置が複雑で高価なものになり易い。多様な合成樹脂製ネットを形成する場合、種類毎に高価な金型が必要になってしまう。また、この方法で形成した合成樹脂製ネットが伸縮性に乏しいものとなり易い。
第4の方法の場合も、切断されて除外された突起部分が不要なカスとなってしまい、材料のロスが大きい。多数の山形の突起部分を配列した中間部材を成形によって形成するため、金型が高価なものとなり、そのため、合成樹脂製ネットのバリエーションを多くすることがし難い。
そのため、材料のロスが少なく、伸縮性を付与し易く、厚み等の自由度が大きく、製造コストを抑えることができる合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネットが望まれている。
かかる課題を解決するために、第1の本発明の合成樹脂製ネットの製造方法は、熱可塑性の合成樹脂製シートに複数のスリットを設ける第1の工程と、設けられたスリットを穴形状に変化させる力が付与された状態で加熱成形する第2の工程とを含むことを特徴とする。
第1の本発明の合成樹脂製ネットは、熱可塑性の合成樹脂製シートに複数のスリットを設けた後、設けられたスリットを穴形状に変化させる力が付与された状態で加熱成形することにより製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、材料のロスが少なく、伸縮性を付与し易く、厚み等の自由度が大きく、製造コストを抑えることができる合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネットを提供できる。
第1の実施形態に係る合成樹脂製ネットの製造方法の手順を示す工程図である。 第1の実施形態に係る合成樹脂製ネットの製造方法における各工程終了時のワークの形状を示す概略平面図である。 第1の実施形態で合成樹脂製シートに設けるスリット形状の変形例を示す概略平面図である。 第2の実施形態に係る合成樹脂製ネットの製造方法の手順を示す工程図である。 第2の実施形態の変形例の手順を示す工程図である。 第3の実施形態における第1の工程が終了した段階の合成樹脂製シートを示す概略平面図である。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネットの第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態に係る合成樹脂製ネットの製造方法の手順を示す工程図であり、図2は、各工程の終了時のワークの形状を示す概略平面図である。
第1の実施形態の合成樹脂製ネットの製造方法は、第1の工程P1と第2の工程P2とを有する。第1の工程P1では、処理対象のワークである合成樹脂製シート1に対して多数のスリット2を設ける。第2の工程P2では、スリット2が設けられた後の合成樹脂製シート1の、スリットに直交する方向の両端を逆方向に引っ張って、スリット部分が穴のようになった形状の状態にし、その状態のまま加熱して成形する。加熱成形が終了し、常温に復帰した際には、合成樹脂製ネット3が形成されている。
ここで、処理対象の合成樹脂製シート1は、熱可塑性樹脂であればその材質は問われないものであり、発泡体であっても良い。例えば、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂等の多く生産されている合成樹脂を適用することができる。合成樹脂製シート1の厚みは、加熱成形が可能な厚みであれば良く、加熱成形が可能であれば1cm程度であっても良い。
図2(A)は、スリット2が設けられた後の合成樹脂製シート1を示す概略平面図である。スリット2の形成方法は問われないものである。例えば、カッタによってスリット2を設けるようにしても良く、また例えば、レーザビームやウオータージェットを照射してスリット2を設けるようにしても良い。
図2(A)は、全てのスリット2が合成樹脂製シート1の長手方向に沿って設けられた例を示している。同一直線上に複数のスリット2が設けられている。同一直線上に設けられた隣接するスリット2、2間の連結距離(上側スリットの下端から下側スリットの上端の距離)dは、例えば、スリット2の長さの1/3程度に選定されている。また、スリット2が設けられている隣接する直線間の距離も、例えば、スリット2の長さの1/3程度に選定されている。隣接する直線のスリットの上下方向の位置は、同一直線上に設けられた隣接するスリット2、2の中心間距離の半分だけずれている。
スリット2の形状や配置は、図2(A)に示すものに限定されない。図3(A)は、スリット2の形状が波形の例を示し、図3(B)は、スリット2の形状がS字状の例を示している。
上述のようにスリット2が配置された合成樹脂製シート1は、その左右の端部を逆方向に引っ張ると、スリット2の部分が穴形状に変化し、その穴形状も引張り力によって変わるものとなる。図2(B)は、図2(A)に示すスリット2の部分が変化した穴形状が、正方形になる程度の引張り力を加えた場合を示している。このような引張り力を付与しつつ加熱成形を行うことで、スリット2の部分が穴形状に変化した合成樹脂製シート1の全体の形状が、熱を加えられない限り、恒久的なものとなり、合成樹脂製ネットが形成されたことになる。
図2(B)は、加熱成形での金型の加圧面が平面状のものである場合を示している。しかしながら、金型の加圧面は平面状に限定されない。例えば、第1の実施形態の合成樹脂製ネットの用途が、靴の中敷きのような場合には、金型は、中敷きの面に応じた緩やかな曲面を持つものとなる。
第2の工程P2における引張り力付与(外力付与)、加熱、成形は、これらがワークに対して実行されるのであれば、その順序や並行処理の有無等は任意である。例えば、加熱後に、引張り力などの外力付与を開始し、その後、成形するようにしても良い。また例えば、外力付与と成形とを並行的に実行するようにしても良い。例えば、スリットが設けられた合成樹脂製シート1をお湯に浸して加熱し、加熱された合成樹脂製シート1を引張りながら、骨折箇所近傍の人間の表面に、冷却シート等を介して押し当てて成形させ、添え木として機能するような合成樹脂製ネットを形成させることができる。
なお、加熱成形によって得られた合成樹脂製ネットは、それ自体が販売品となっても良く、さらに所望の加工がなされて販売品となっても良い。所望の加工として、円形その他の任意形状の抜き切断を挙げることができる。また、2次加工(2次の加熱成形)で所望の曲面を付与するようにしても良い。なお、シート状物品を伴う合成樹脂製ネットの形成については、第2の実施形態で後述する。
第1の実施形態によれば、合成樹脂製ネットを形成させる際に、スリットの形成による多少のカスは出るが、穴形状を有する、スリット形成時のカスに比べてかなり大きなカスが出ることはなく、材料を有効に利用できている。そのため、材料面から、製造コストを抑えることができる。
また、第1の実施形態によれば、合成樹脂製シートに対するスリット形成、及び、スリットが形成された外合成樹脂製シートに対する力を付与した加熱成形という単純な2工程で合成樹脂製ネットを形成することができる。そのため、製造に必要な装置構成や設備を、簡単、安価なものとし得る。
さらに、厚みが異なる合成樹脂製ネットを同一設備、同一装置で容易に形成することができる。すなわち、第1の実施形態の製造方法は、厚みに対する対応力が高いものとなっている。
さらにまた、第1の実施形態によれば、加熱成形時の金型の成形面の選定により、バリエーションに富んだ合成樹脂製ネットを同一設備、同一装置で容易に形成することができる。
また、第1の実施形態によれば、スリットを穴形状に変化させているため、合成樹脂製ネットの形成後においても、少なくともスリットの直交方向に対して伸縮性が良好なものである。スリットの長手方向に平行な方向を中心とした折曲げ性も高いものである。すなわち、伸縮性や折曲げ性が求められた用途に適したものである。
(B)第2の実施形態
次に、本発明による合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネットの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図4は、第2の実施形態に係る合成樹脂製ネットの製造方法の手順を示す工程図であり、第1の実施形態の手順を示す図1との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
第2の実施形態の合成樹脂製ネットの製造方法は、第1の実施形態におけると同様な第1の工程P1及び第2の工程P2の後に、シート状物品のラミネートを行う第3の工程P3を有する。
この第3の工程P3では、形成された合成樹脂製ネットの一面又は両面にシート状物品をラミネートする。ラミネートされるシート状物品は、生地(例えばカーボンファイバで織られたものを含む)、フェルト、プラスチック(プラスチック発泡体を含む)、皮革、合成皮革、不織布、紙、金属箔等の既存のシート状物品を適用できる。合成樹脂製ネットとシート状物品との接合には接着剤を用いても良い。また、合成樹脂製ネットとシート状物品とを重ねた状態で加熱加圧することにより、接着剤を用いることなく、合成樹脂製ネットとシート状物品とを接合させるようにしても良い(特開2002−307544号公報参照)。
なお、所望の曲面を付与することは、ラミネートを行う前に実行するようにしても良く、また、接合のために、合成樹脂製ネットとシート状物品とを重ねた状態で加熱加圧する際に合わせて行うようにしても良く、さらに、合成樹脂製ネットとシート状物品とを接合した後に行うようにしても良い。
合成樹脂製ネットとシート状物品との機能分けは任意であって良い。例えば、合成樹脂製ネットが芯材、補強材として機能するものであっても良い。また例えば、合成樹脂製ネットは、その網目によって他の部材(例えば各種センサ)を取り付けることを基本機能としたものであっても良い。シート状物品は、合成樹脂製ネットの網目を塞ぐものとして機能しても良く、また、装飾など、シート状物品の方が中心部材になっていても良い。上述した靴の中敷きに適用する場合、カーボンファイバで織られた生地をラミネートすることにより、生地が消臭効果を発揮するようにしても良い。
図5は、第2の実施形態に係る合成樹脂製ネットの製造方法の変形例における手順を示す工程図である。
この変形例では、ラミネートの工程P3を加熱成形工程P2より先に実行する。従って、ラミネート工程P3では、スリットが設けられた合成樹脂製シートにシート状物品をラミネートし、加熱成形工程P2では、シート状物品が接合された合成樹脂製シートの、スリットに直交する方向の両端を逆方向に引っ張って、スリット部分が穴のようになった形状の状態にし、その状態のまま加熱して成形する。この変形例の場合、ラミネート後に加熱成形されるので、シート状物品は伸縮性に富んでいることを要する。
合成樹脂製ネットの両面にそれぞれ、表面用シート状物品及び裏面用シート状物品をラミネートする場合において、図4に示すように、表面用シート状物品及び裏面用シート状物品のラミネートを共に加熱成形後に行うようにしても良く、図5に示すように、表面用シート状物品及び裏面用シート状物品のラミネートを共に加熱成形前に行うようにしても良く、表面用シート状物品及び裏面用シート状物品の一方のラミネートを加熱成形前に行うと共に他方のラミネートを加熱成形後に行うようにしても良い。
また、加熱成形工程P2及びラミネート工程P3を同時に行うようにしても良い。この場合のラミネート方法は、合成樹脂製ネットとシート状物品とを重ねた状態で加熱加圧することにより、接着剤を用いることなく、合成樹脂製ネットとシート状物品とを接合させる方法となっている。
第2の実施形態によれば、製造コストが安価な合成樹脂製ネットを利用して、合成樹脂製ネットにシート状物品をラミネートした物品を得ることができ、その物品の製造コストも抑えることができる。
(C)第3の実施形態
次に、本発明による合成樹脂製ネットの製造方法及び合成樹脂製ネットの第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
第3の実施形態の製造方法も、第1の実施形態に係る図1や、第2の実施形態に係る図4又は図5に示す手順に従うものである。但し、合成樹脂製シートに対して多数のスリットを設ける第1の工程P1の詳細が、既述した実施形態とは異なる。
図6は、第3の実施形態における第1の工程P1が終了した段階の合成樹脂製シート1を示す概略平面図である。すなわち、第3の実施形態における第1の工程P1では、スリット2を、合成樹脂製シート1の全面に設けるのではなく、合成樹脂製シート1の一部の領域にスリット2を設ける。
図6(A)及び図6(B)は、円形の合成樹脂製シート1の中央部の円形領域R1にスリット2が設けられ、円形領域R1の周囲の円環領域R2にはスリット2が設けられていない例を示している。図6(A)は、全てのスリット2が同一方向に向かう直線状のものを示しており、図6(B)は、スリット2が螺旋状に配列されたものを示している。図6(C)は、長円状の合成樹脂製シート1の長手方向中央部の領域R3にスリット2が設けられ、長手方向の両端側の領域R4及びR5にはスリット2が設けられていない例を示している。
スリット2が設けられた領域R1、R3は、後続の第2の工程P2によってネット状になる領域であり、一方、スリット2が設けられていない領域R2、R4、R3は、後続の第2の工程P2を経てもネット状にならない領域である。すなわち、第3の実施形態の製造方法を適用すると、ネット状領域と非ネット状領域とが混在する合成樹脂製ネットを形成することができる。
例えば、図6(A)又は図6(B)に示すような、中央部の円形領域R1にスリット2が設けられた合成樹脂製シート1を加熱成形する際には、平面から半球状に盛り上がった部分を有する金型と平面から半球状に凹んだ金型とを利用し、金型の半球状部分にスリット2が設けられた円形領域R1を合わせて加熱成形すれば、ハット状の物品を形成することができ、しかも、山形部分だけをネット構成とすることができる。ここで、円形領域R1が半球状部分に押されることは、スリット2を穴化するための外力が加わったことになる。
第3の実施形態によれば、部分的にネット形状の合成樹脂製ネットを容易かつ安価に形成することができる。
(D)他の実施形態
上記第2の実施形態では、図4又は図5に示したように、スリットが設けられた合成樹脂製シートに対してシート状物品をラミネートするものを示したが、合成樹脂製シートに対してシート状物品をラミネートした後、スリットを設け、加熱成形により合成樹脂製ネットを形成させるようにしても良い。
上記各実施形態の説明でも、本発明の合成樹脂製ネットの用途に言及したが、本発明の合成樹脂製ネットの用途が上述の例に限定されないことは勿論である。
1…合成樹脂製シート、2…スリット、3…合成樹脂製ネット。

Claims (4)

  1. 熱可塑性の合成樹脂製シートに複数のスリットを設ける第1の工程と、
    設けられたスリットが穴形状に変化する力が付与された状態で加熱成形する第2の工程と
    を含むことを特徴とする合成樹脂製ネットの製造方法。
  2. 上記合成樹脂製シートにシート状物品をラミネートする第3の工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製ネットの製造方法。
  3. 上記第1の工程では、上記合成樹脂製シートの一部の領域に対して複数のスリットを設け、スリットが設けられている領域とスリットが設けられていない領域とを混在させることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製ネットの製造方法。
  4. 熱可塑性の合成樹脂製シートに複数のスリットを設けた後、設けられたスリットが穴形状に変化する力が付与された状態で加熱成形することにより製造されたことを特徴とする合成樹脂製ネット。
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JPS4950071A (ja) * 1972-09-13 1974-05-15
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