JP2011020017A - 液状体吐出装置、及びヘッド保守装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドキャップにおける排出路がヘッドキャップに開口する排出開口の付近では、付着物が集中して付着し易い。当該部分の付着物を除去し易い液状体吐出装置、及びヘッド保守装置を提供する。
【解決手段】液状体吐出装置は、液状体を吐出する吐出ノズルを備える液状体吐出ヘッドと、液状体吐出ヘッドの吐出ノズルが形成されたノズル形成面を封止するヘッドキャップと、ヘッドキャップに連通する給排流路と、給排流路に連通し、給排流路を介してヘッドキャップ内の気体又は液体を吸引する吸引手段と、給排流路に連通し、給排流路を介してヘッドキャップ内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、液状体を吐出する吐出ノズルを有する吐出ヘッドを備える液状体吐出装置、及び吐出ヘッドの保守を実施するヘッド保守装置に関する。
従来から、液状体を吐出する吐出ノズルを有する吐出ヘッドを備え、液状体を吐出して描画対象物上の任意の位置に着弾させることによって、描画対象物の任意の位置に液状体を配置する液状体吐出装置が知られている。このような液状体吐出装置を用いることによって、カラー液晶装置のカラーフィルター膜などのような機能膜の材料を含む液状体を、任意の位置に任意の量だけ精度良く塗布することが可能である。特に、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドは、その吐出ノズルから微小な液滴を選択的に吐出して位置精度良く着弾させることができるため、精密な平面形状及び膜厚を有する膜を形成することができる。
近年では、例えば銀(Ag)などの金属微粒子を溶媒に分散させた分散系金属インク(金属配線用インク)を使用することで、基板上の配線パターンなどの形成にも利用されている。液滴吐出ヘッドを用いて配線パターンを形成することで、微細な配線パターンや狭ピッチの配線パターンを効率よく高精度で製造することを可能にしている。
液滴吐出ヘッドは、別設のタンクなどから液状体が供給されると共に、供給された液状体を内部に設けたインク室(キャビティ)に一時的に貯留する。そして、ノズルプレートに多数形成された吐出ノズルからインク室に貯留した液状体を液滴として吐出する。
液状体は、液滴吐出ヘッドから好適に吐出できると共に、固化して特有の機能を有する膜を形成する液状体であって、液滴吐出ヘッドが待機しているとき、インク室に貯留した液状体が乾燥してしまう可能性がある。液状体が乾燥すると、増粘して吐出量が変化するだけでなく、部分的に固化してしまうことで、吐出ノズルの孔の目詰まりや吐出時の飛行曲がりなどを起こしてしまうことがある。乾燥し始めた液状体を液滴吐出ヘッドから除去するために、ヘッド吸引装置などのヘッド保守装置が用いられている。
ヘッド吸引装置などのヘッド保守装置においても、吸引した液状体がヘッド吸引装置などの内部で乾燥して付着することで、ヘッド吸引装置などの機能が損なわれて低下する可能性があった。ヘッド吸引装置の付着物を除去する手段を有する装置として、特許文献1には、吸引ユニットのヘッドキャップに洗浄液を供給する供給手段を備える、吸引ユニット、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器が、開示されている。
特許文献2には、吸引ユニットの吐出ヘッドに当接する部分を覆う位置に空間を形成する底部及び側壁を配設し、当該空間に洗浄液を供給することで、ヘッドキャップの全体に機能液を供給することができる吸引装置、およびそれを備えた液滴吐出装置が開示されている。
特開2008−80209号公報 特開2008−142653号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された装置においても、ヘッドキャップにおける洗浄後の洗浄液などを排出するための排出路を設けることは必須である。排出路がヘッドキャップに開口する排出開口の付近では、ヘッドキャップ内を洗浄して付着物などを含んだ洗浄液が集中して通過するために、それらの付着物が沈殿したり再付着したりして、付着物が集中して付着し易いという課題があった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例にかかる液状体吐出装置は、液状体を吐出する吐出ノズルを備える液状体吐出ヘッドと、前記液状体吐出ヘッドの前記吐出ノズルが形成されたノズル形成面を封止するヘッドキャップと、前記ヘッドキャップに連通する給排流路と、前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内の気体又は液体を吸引する吸引手段と、前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備えることを特徴とする。
本適用例にかかる液状体吐出装置によれば、ヘッドキャップ内の液体の吸引と、ヘッドキャップ内への洗浄液の供給とは、ヘッドキャップに連通する給排流路を介して実施される。ヘッドキャップ内を洗浄するために供給されて、ヘッドキャップ内を洗浄して付着物などを含んだ洗浄液は、吸引手段によって吸引されて、ヘッドキャップに開口した給排流路の開口から給排流路を通って排出される。給排流路の開口の周辺から給排流路は、付着物などを含んだ洗浄液が集中するため、付着物などが沈殿したり再付着したりする可能性が高い。同じ給排流路の開口の周辺から給排流路は、洗浄液が供給される際の流路でもある。このため、洗浄液が供給される際に供給される洗浄液によって、給排流路の開口の周辺から給排流路を洗浄することができる。また、洗浄液がヘッドキャップから吸引される際と、洗浄液がヘッドキャップに供給される際とで、洗浄液が流動する向きが異なっている。これにより、洗浄液が流動する向きが単一の向きである場合にくらべて、給排流路の開口の周辺から給排流路における付着物などを落とし易くすることができる。
[適用例2]上記適用例にかかる液状体吐出装置において、前記吸引手段は、前記給排流路に連通する吸引流路と、前記吸引流路を開閉可能な吸引路開閉手段と、を備えることが好ましい。
この液状体吐出装置によれば、吸引路開閉手段によって、給排流路を介してヘッドキャップに連通する吸引流路を開閉することができる。吸引流路を開放することで、吸引流路を介してヘッドキャップ内の洗浄液などを吸引して排出することができる。吸引流路を閉鎖することで、ヘッドキャップ内及び給排流路に供給された洗浄液が吸引流路から流出することを、実質的に停止することができる。
[適用例3]上記適用例にかかる液状体吐出装置において、前記洗浄液供給手段は、前記給排流路に連通する供給流路と、前記供給流路を開閉可能な供給路開閉手段と、を備えることが好ましい。
この液状体吐出装置によれば、供給路開閉手段によって、給排流路を介してヘッドキャップに連通する供給流路を開閉することができる。供給流路を開放することで、供給流路及び給排流路を介してヘッドキャップ内に洗浄液を供給することができる。供給流路を閉鎖することで、ヘッドキャップへの洗浄液の供給を供給動力源を停止することなどによって停止する場合にくらべて、迅速かつ確実に停止することができる。また、ヘッドキャップ内の洗浄液などが洗浄液供給手段に逆流することを抑制することができる。
[適用例4]上記適用例にかかる液状体吐出装置において、前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液を貯留する洗浄液タンクを備え、前記洗浄液タンク内の前記洗浄液の液位を前記ヘッドキャップ内の液位より鉛直方向において相対的に高くすることで、前記ヘッドキャップに前記洗浄液を供給することが好ましい。
この液状体吐出装置によれば、洗浄液タンク内の洗浄液の液位とヘッドキャップ内の液位との差による圧力によって、洗浄液を洗浄液タンクからヘッドキャップに送ることができる。洗浄液が洗浄液タンクからヘッドキャップに供給されると、洗浄液タンク内の洗浄液の液位とヘッドキャップ内の液位との差が小さくなるため、単位時間あたりの供給量が減少する。一般的に、単位時間あたりの供給量が少ないと、ヘッドキャップ内の液位が所定の液位となった状態を検出して、当該状態において、洗浄液の供給を停止することが容易である。洗浄液タンク内の洗浄液の量を調整することで、ヘッドキャップ内の液位が所定の液位に近くなった状態での単位時間あたりの供給量を少なくして、ヘッドキャップ内の液位を所定の液位にすることを容易にすることができる。
[適用例5]上記適用例にかかる液状体吐出装置において、前記洗浄液が、前記液状体吐出ヘッドから吐出される機能液の主溶媒であることが好ましい。
この液状体吐出装置によれば、液状体吐出ヘッドから吐出される機能液の主溶媒が、洗浄液としてヘッドキャップに供給される。ヘッドキャップの付着物は、主に液状体吐出ヘッドから吸引された機能液によるものであるため、機能液の主溶媒によって、容易に溶解することができる。
[適用例6]本適用例にかかるヘッド保守装置は、液状体を吐出する吐出ノズルを備える液状体吐出ヘッドにおける前記吐出ノズルが形成されたノズル形成面を封止するヘッドキャップと、前記ヘッドキャップに連通する給排流路と、前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内の気体又は液体を吸引する吸引手段と、前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備えることを特徴とする。
本適用例にかかるヘッド保守装置によれば、ヘッドキャップ内の液体の吸引と、ヘッドキャップ内への洗浄液の供給とは、ヘッドキャップに連通する給排流路を介して実施される。ヘッドキャップ内を洗浄するために供給されて、ヘッドキャップ内を洗浄して付着物などを含んだ洗浄液は、吸引手段によって吸引されて、ヘッドキャップに開口した給排流路の開口から給排流路を通って排出される。給排流路の開口の周辺から給排流路は、付着物などを含んだ洗浄液が集中するため、付着物などが沈殿したり再付着したりする可能性が高い。同じ給排流路の開口の周辺から給排流路は、洗浄液が供給される際の流路でもある。このため、洗浄液が供給される際に供給される洗浄液によって、給排流路の開口の周辺から給排流路を洗浄することができる。また、洗浄液がヘッドキャップから吸引される際と、洗浄液がヘッドキャップに供給される際とで、洗浄液が流動する向きが異なっている。これにより、洗浄液が流動する向きが単一の向きである場合にくらべて、給排流路の開口の周辺から給排流路における付着物などを落とし易くすることができる。
[適用例7]上記適用例にかかるヘッド保守装置において、前記吸引手段は、前記給排流路に連通する吸引流路と、前記吸引流路を開閉可能な吸引路開閉手段と、を備えることが好ましい。
このヘッド保守装置によれば、吸引路開閉手段によって、給排流路を介してヘッドキャップに連通する吸引流路を開閉することができる。吸引流路を開放することで、吸引流路を介してヘッドキャップ内の洗浄液などを吸引して排出することができる。吸引流路を閉鎖することで、ヘッドキャップ内及び給排流路に供給された洗浄液が吸引流路から流出することを、実質的に停止することができる。
[適用例8]上記適用例にかかるヘッド保守装置において、前記洗浄液供給手段は、前記給排流路に連通する供給流路と、前記供給流路を開閉可能な供給路開閉手段と、を備えることが好ましい。
このヘッド保守装置によれば、供給路開閉手段によって、給排流路を介してヘッドキャップに連通する供給流路を開閉することができる。供給流路を開放することで、供給流路及び給排流路を介してヘッドキャップ内に洗浄液を供給することができる。供給流路を閉鎖することで、ヘッドキャップへの洗浄液の供給を供給動力源を停止することなどによって停止する場合にくらべて、迅速かつ確実に停止することができる。また、ヘッドキャップ内の洗浄液などが洗浄液供給手段に逆流することを抑制することができる。
[適用例9]上記適用例にかかるヘッド保守装置において、前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液を貯留する洗浄液タンクを備え、前記洗浄液タンク内の前記洗浄液の液位を前記ヘッドキャップ内の液位より鉛直方向において相対的に高くすることで、前記ヘッドキャップに前記洗浄液を供給することが好ましい。
このヘッド保守装置によれば、洗浄液タンク内の洗浄液の液位とヘッドキャップ内の液位との差による圧力によって、洗浄液を洗浄液タンクからヘッドキャップに送ることができる。洗浄液が洗浄液タンクからヘッドキャップに供給されると、洗浄液タンク内の洗浄液の液位とヘッドキャップ内の液位との差が小さくなるため、単位時間あたりの供給量が減少する。一般的に、単位時間あたりの供給量が少ないと、ヘッドキャップ内の液位が所定の液位となった状態を検出して、当該状態において、洗浄液の供給を停止することが容易である。洗浄液タンク内の洗浄液の量を調整することで、ヘッドキャップ内の液位が所定の液位に近くなった状態での単位時間あたりの供給量を少なくして、ヘッドキャップ内の液位を所定の液位にすることを容易にすることができる。
[適用例10]上記適用例にかかるヘッド保守装置において、前記洗浄液が、前記液状体吐出ヘッドから吐出される機能液の主溶媒であることが好ましい。
このヘッド保守装置によれば、液状体吐出ヘッドから吐出される機能液の主溶媒が、洗浄液としてヘッドキャップに供給される。ヘッドキャップの付着物は、主に液状体吐出ヘッドから吸引された機能液によるものであるため、機能液の主溶媒によって、容易に溶解することができる。
液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。 (a)は、液滴吐出ヘッドをノズルプレート側から見た外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの圧力室周りの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズル部の構造を示す断面図。 (a)は、吸引ユニットの全体構成を示す説明図。(b)は、キャップ装置と給排液管の断面を示す説明図。 洗浄液を用いてキャップ室などを洗浄する洗浄工程を示すフローチャート。 ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。 キャップユニットの概略構成を示す平面図。
以下、液状体吐出装置、及びヘッド保守装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。実施形態は、吐出ノズルを有する液状体吐出ヘッドの一例としての、液滴を吐出する吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッド、を備える液滴吐出装置を例にして説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
<液滴吐出法>
最初に、液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒーターにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えない、駆動電圧を調整することによって、液滴の大きさを容易に調整することができるなどの利点を有する。本実施形態では、液状材料選択の自由度が高いこと、及び液滴の制御性が良いことから上記ピエゾ方式を用いる。
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出装置の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
図1に示すように、液滴吐出装置1は、描画ユニット2と、ワークユニット3と、機能液供給ユニット4と、保守ユニット5とを備えている。
描画ユニット2は、液状体としての機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド17(図2参照)を有している。
ワークユニット3は、液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台30を有している。
機能液供給ユニット4は、機能液タンクと、給液管と、給液チューブとを有し、当該給液チューブが、液滴吐出ヘッド17に接続されており、給液チューブを介して機能液が液滴吐出ヘッド17に供給される。
液滴吐出ヘッド17が液状体吐出ヘッドに相当する。
保守ユニット5は、液滴吐出ヘッド17の吐出状態などの検査を実施する各装置、液滴吐出ヘッド17の各種の保守を実施する吸引ユニット50などの各装置、及びこれらの装置を移動可能に支持する移動装置5aを備えている。吸引ユニット50は、キャップ装置51と洗浄液供給装置71と排液装置81とを備えている。吸引ユニット50のキャップ装置51などのように液滴吐出ヘッド17に臨んだ状態で使用される各装置は、移動装置5aの移動プレートに固定されている。移動装置5aは、これらの各装置を、当該装置が使用される際に、液滴吐出ヘッド17に臨む位置に移動する。
液滴吐出装置1は、また、これら各ユニットなどを総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。描画ユニット2と、ワークユニット3と、保守ユニット5の主要部とは、平面視長方形形状の定盤9の上に配設されている。吐出装置制御部6は、定盤9の下側に収容されている。
ワークユニット3は、定盤9の長手方向(この方向を、「X軸方向」と表記する。)に延在するように配設されている。ワークユニット3の上方には、描画ユニット2が、配設されている。描画ユニット2は、ワークユニット3と直交する方向(この方向を、「Y軸方向」と表記する。)に延在している。描画ユニット2は、定盤9に固定された2本の支持柱で支持されて、ワークユニット3の上方でワークユニット3と交差している。また、定盤9の傍らには、機能液供給ユニット4の機能液タンクなどが配置されている。描画ユニット2の一方の支持柱の近傍には、保守ユニット5がワークユニット3と並んで配設されている。
描画ユニット2は、液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を有するヘッドキャリッジ25と、ヘッドキャリッジ25が吊設された移動枠22とを備えている。移動枠22を、Y軸走査機構によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド17をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
ワークユニット3は、ワーク載置台30を、X軸走査機構によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台30に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
描画を実施する際は、描画ユニット2が備える液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワークWと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド17とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
液滴吐出ヘッド17の保守を実施する際は、描画ユニット2が備える液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向の保守ユニット5に臨む位置まで移動して停止する。当該位置の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、保守ユニット5のいずれかの装置が移動して、保守作業が実施される。例えば、吸引ユニット50のキャップ装置51が移動装置5aによって移動させられて、液滴吐出ヘッド17に臨む位置に位置させられる。昇降装置によってヘッドキャリッジ25又はキャップ装置51を昇降させることによって、液滴吐出ヘッド17とキャップ装置51とを当接させて、液滴吐出ヘッド17をキャップ装置51で封止し、吸引ユニット50による液滴吐出ヘッド17の吸引を実施する。
<液滴吐出ヘッド>
次に、図2を参照して、液滴吐出ヘッド17について説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドをノズルプレート側から見た外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの圧力室周りの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズル部の構造を示す断面図である。
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド17は、接続針42を一対有する液体導入部41と、液体導入部41の側方に連なるヘッド基板43と、液体導入部41に連なるポンプ部45と、ポンプ部45に連なるノズルプレート46と、を備えている。液体導入部41のそれぞれの接続針42には、それぞれ配管接続部材が接続されて、当該配管接続部材を介して給液チューブが接続され、給液チューブに接続された機能液供給ユニット4から機能液が供給される。ヘッド基板43には、ヘッドコネクター47が一対実装されており、当該ヘッドコネクター47を介してフレキシブルフラットケーブル(FFCケーブル)が接続される。液滴吐出ヘッド17は、FFCケーブルを介して吐出装置制御部6と接続されており、FFCケーブルを介して信号の授受が行われる。ポンプ部45とノズルプレート46とにより、略方形状のヘッド本体44が構成されている。
ポンプ部45の基部側、すなわちヘッド本体44の基部側は、液体導入部41及びヘッド基板43を受けるべく方形フランジ状にフランジ部49が形成されている。このフランジ部49には、液滴吐出ヘッド17を固定する小ねじ用のねじ孔(雌ねじ)49aが一対形成されている。液滴吐出ヘッド17は、液滴吐出ヘッド17を保持するためのヘッド保持部材を貫通してねじ孔49aに螺合したヘッド止めねじにより、ヘッド保持部材に固定される。
ノズルプレート46のノズル形成面46aには、ノズルプレート46に形成されており液滴を吐出する吐出ノズル48から成るノズル列48Aが、2本形成されている。2本のノズル列48Aは相互に平行に列設されており、各ノズル列48Aは、等ピッチで並べた例えば180個(図示では模式的に表している)の吐出ノズル48で構成されている。ヘッド本体44のノズル形成面46aには、その中心線を挟んで2本のノズル列48Aが配設されている。
液滴吐出ヘッド17が液滴吐出装置1に取付けられた状態では、ノズル列48AはY軸方向に延在する。2列のノズル列48Aをそれぞれ構成する吐出ノズル48同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置がずれている。1ノズルピッチは、例えば140μmである。X軸方向の同じ位置において、それぞれのノズル列48Aを構成する吐出ノズル48から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。ノズル列48Aにおける吐出ノズル48のノズルピッチが140μmの場合、当該一直線状に連なる着弾位置の中心間距離は、設計上では、70μmである。
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド17は、ノズルプレート46にポンプ部45を構成する圧力室プレート31が積層されており、圧力室プレート31に振動板32が積層されている。
圧力室プレート31には、液体導入部41から振動板32の液供給孔33を経由して供給される機能液が常に充填される液たまり35が形成されている。液たまり35は、振動板32と、ノズルプレート46と、圧力室プレート31の壁とに囲まれた空間である。また、圧力室プレート31には、ヘッド隔壁37によって区切られた圧力室38が形成されている。振動板32と、ノズルプレート46と、2個のヘッド隔壁37とによって囲まれた空間が圧力室38である。
圧力室38は吐出ノズル48のそれぞれに対応して設けられており、圧力室38の数と吐出ノズル48の数とは同じである。圧力室38には、2個のヘッド隔壁37の間に位置する供給口36を介して、液たまり35から機能液が供給される。ヘッド隔壁37と圧力室38と吐出ノズル48と供給口36との組は、液たまり35に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル48がノズル列48Aを形成している。図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル48を含むノズル列48Aに対して液たまり35に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル48がもう一列のノズル列48Aを形成しており、対応するヘッド隔壁37と圧力室38と供給口36との組が、1列に並んでいる。
振動板32の圧力室38を構成する部分には、それぞれ圧電素子39の一端が固定されている。圧電素子39の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド17全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子39は電極層と圧電材料とを積層した活性部を有し、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)においては振動板32の厚さ方向)に縮む。活性部が縮むことで、圧電素子39の一端が固定された振動板32が圧力室38と反対側に引張られる力を受ける。振動板32が圧力室38と反対側に引張られることで、振動板32が圧力室38の反対側に撓む。これにより、圧力室38の容積が増加することから、機能液が液たまり35から供給口36を経て圧力室38に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子39が振動板32を押圧する。振動板32が押圧されることで、圧力室38側に戻る。これにより、圧力室38の容積が急激に元に戻る、すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室38内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室38に連通して形成された吐出ノズル48から機能液が液滴となって吐出される。
吐出装置制御部6は、圧電素子39への印加電圧の制御、すなわち駆動信号を制御することにより、複数の吐出ノズル48のそれぞれに対して、機能液の吐出制御を行う。より詳細には、吐出ノズル48から吐出される液滴の体積や、単位時間あたりに吐出する液滴の数などを変化させることができる。これにより、基板上に着弾した液滴同士の距離や、基板上の一定の面積に着弾させる機能液の量などを変化させることができる。例えば、ノズル列48Aに並ぶ複数の吐出ノズル48の中から、液滴を吐出させる吐出ノズル48を選択的に使用することにより、ノズル列48Aの延在方向では、ノズル列48Aの長さの範囲であって吐出ノズル48のピッチ間隔で、複数の液滴を同時に吐出することができる。ノズル列48Aの延在方向と略直交する方向では、基板と吐出ノズル48とを相対移動させて、当該相対移動方向において、当該吐出ノズル48が対向可能な、基板の任意の位置に吐出ノズル48から吐出される液滴を配置することができる。
<吸引ユニット>
次に、吸引ユニット50について、図3を参照して説明する。図3は、吸引ユニットの構成を示す説明図である。図3(a)は、吸引ユニットの全体構成を示す説明図であり、図3(b)は、キャップ装置と給排液管の断面を示す説明図である。
図3(a)に示すように、吸引ユニット50は、キャップ装置51と洗浄液供給装置71と排液装置81とを備えている。
図3に示すように、キャップ装置51は、ヘッドキャップ52と、キャップ支持部61と、給排液管66と、を備えている。
ヘッドキャップ52は、キャップベース53と封止部材54と吸収材59とを備えている。キャップベース53は、例えばステンレス鋼などのような腐食され難い材料で略直方体形状に構成されており、一面にキャップ凹部56が形成されている。キャップ凹部56は、キャップベース53の一面に開口する略直方体形状の凹部である。キャップベース53は、ヘッドキャップ52が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では、キャップ凹部56の開口が重力加速度方向の上側を向く状態になる。
キャップベース53において、重力加速度方向の上側に開口したキャップ凹部56の底面には、キャップベース53の外面(下面)に貫通する給排液孔57が開口している。
キャップベース53の外面(下面)における給排液孔57の開口には、給排液管66が接続されている。
給排液管66は、円柱形状の外形を有し、一端には、外径が給排液孔57の内径に嵌合する係合端66aが形成されている。係合端66aが形成されている端の反対側の端面には、係合凹部66bが形成されている。係合凹部66bが形成されている端の近くの側面には、係合凹部66cが形成されている。給排液管66には、給排液流路67が形成されている。給排液流路67は、係合端66aの端面から係合凹部66bの底面に貫通する給排液流路67aと、係合凹部66cの底面から給排液流路67aの側壁に貫通する給排液流路67bとを有している。
給排液管66は、係合端66aを給排液孔57に嵌合させることで、給排液孔57に接続されている。これにより、給排液管66に形成されている給排液流路67が、給排液孔57からキャップ凹部56に連通している。給排液流路67、又は給排液流路67及び給排液孔57が、給排流路に相当する。
封止部材54は、機能液に対して耐食性を有するゴム状弾性体材料を用いて形成されている。封止部材54は、平面視形状がキャップ凹部56の開口の形状と略相似形状の外形形状と内側開口とを有する額縁形状を有し、キャップ凹部56の開口の縁に沿って、図示省略した封止部材ホルダーによってキャップベース53に固定されている。封止部材54の封止凸部54aが、キャップベース53の上面から突出している。封止部材54とキャップ凹部56とで、キャップ室55を構成している。
封止凸部54aの平面視形状は、2列のノズル列48Aの周囲でノズル形成面46aに当接する形状になっている。ヘッドキャップ52が液滴吐出ヘッド17に当接する場合、キャップベース53から突出している封止凸部54aがノズル形成面46aに当接する。このとき、ゴム状弾性体材料から成る封止凸部54aは、弾性変形してノズル形成面46aに密着する。キャップ室55は、図3に二点鎖線で示したように、液滴吐出ヘッド17によって封止されて、給排液孔57、又は液滴吐出ヘッド17に形成された液状体の流路を介してのみ外部と連通可能な封止空間となる。吐出ノズル48に対しては、キャップ室55が、吐出ノズル48を封止する封止空間になっている。
キャップ室55には、吸収材59が配設されている。吸収材59は、多孔質の素材などの液体を吸着保持することが可能な素材で形成されている。
キャップ支持部61は、キャッププレート62と、ベースホルダー63と、キャップ押圧機構64と、を備えている。
キャッププレート62が、液滴吐出装置1に、移動装置5aの移動プレートを介して固定されている。キャッププレート62にはベースホルダー63が固定されている。ベースホルダー63にはキャップベース孔63aが形成されており、ヘッドキャップ52のキャップベース53が、キャップベース孔63aに、鉛直方向に摺動自在に遊嵌している。ヘッドキャップ52は、キャップベース53が、キャップ押圧機構64を介してベースホルダー63に対して離接方向に移動可能に取り付けられている。
キャップ押圧機構64は、ヘッドキャップ52がキャッププレート62の面に略垂直な方向(キャップ装置51が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では鉛直方向)に移動する方向に弾性変形可能である。キャップ押圧機構64が弾性変形した抗力によって、ヘッドキャップ52が、キャッププレート62から離れる方向に押圧され、キャップベース53から突出したキャップ突起53aがベースホルダー63に当接することによって、ヘッドキャップ52の鉛直方向の位置が定まっている。
キャップ押圧機構64は、ヘッドキャップ52が液滴吐出ヘッド17などに当接した状態で、ヘッドキャップ52に加えられた当接力によって変形し、変形抗力によって、ヘッドキャップ52を液滴吐出ヘッド17などに押付ける力をヘッドキャップ52に加える。
キャップ押圧機構64による押し付け力によって、液滴吐出ヘッド17に当接したゴム状弾性体材料から成る封止凸部54aは、弾性変形してノズル形成面46aに確実に密着する。封止凸部54aがノズル形成面46aに密着することで、キャップ室55は、確実に、給排液孔57、又は液滴吐出ヘッド17の液状体の流路を介してのみ外部と連通可能な、吐出ノズル48を封止する封止空間となる。
洗浄液供給装置71は、中継タンク72と、給液管74と、給液バルブ76と、洗浄液供給タンク73と、洗浄液ポンプ78とを備えている。給液管74は一端が給排液管66に接続されており、もう一端が中継タンク72に接続されている。
給液管74の一端は、上述した給排液管66の係合凹部66cに嵌合されており、給液管74の給液管流路74aが給排液管66の給排液流路67における給排液流路67bに連通している。上述したように給排液管66の給排液流路67はキャップ凹部56に連通しており、中継タンク72とキャップ凹部56とは、給液管流路74a及び給排液流路67を介して連通している。給液管74の中間には、給液バルブ76が取り付けられている。給液バルブ76は吐出装置制御部6によって制御されて、給液管流路74aを開閉する。また、開放状態を調整することで流量の調整も実施可能である。中継タンク72には、洗浄液供給タンク73から洗浄液ポンプ78によって洗浄液が送り込まれ、貯留される。給液バルブ76が開放されると、中継タンク72における洗浄液の液位と、キャップ凹部56における洗浄液の液位と、の差による圧力によって、中継タンク72からキャップ凹部56に洗浄液が供給される。
洗浄液供給装置71が、洗浄液供給手段に相当する。給液管流路74aが、供給流路に相当し、給液バルブ76が、供給路開閉手段に相当する。中継タンク72が、洗浄液タンクに相当する。
排液装置81は、排液タンク82と、排液管84と、排液バルブ86と、吸引ポンプ88とを備えている。
排液管84は一端が給排液管66に接続されており、もう一端が排液タンク82に接続されている。排液管84の一端は、上述した給排液管66の係合凹部66bに嵌合されており、排液管84の排液管流路84aが給排液管66の給排液流路67における給排液流路67aに連通している。上述したように給排液管66の給排液流路67はキャップ凹部56に連通しており、排液タンク82とキャップ凹部56とは、排液管流路84a及び給排液流路67を介して連通している。排液管84の中間には、排液バルブ86が取り付けられている。排液バルブ86は吐出装置制御部6によって制御されて、排液管流路84aを開閉する。排液タンク82には、吸引ポンプ88が接続されており、吸引ポンプ88によって吸引することで、排液タンク82内を負圧にすることができる。
吸引ポンプ88によって排液タンク82内を負圧にすることで、排液タンク82に連通するキャップ凹部56内の気体や液体をキャップ凹部56から排液タンク82に吸引することができる。
上述したように、ヘッドキャップ52が液滴吐出ヘッド17に当接した状態では、キャップ凹部56を含むキャップ室55は、給排液孔57、又は液滴吐出ヘッド17の液状体の流路を介してのみ外部と連通可能な吐出ノズル48を封止する封止空間である。吸引ポンプ88を稼動させて排液タンク82内を負圧にすることによって、キャップ室55を負圧にすることで、液滴吐出ヘッド17の液状体の流路に在る機能液を吸引することができる。排液装置81が、吸引手段に相当する。排液管流路84aが、吸引流路に相当し、排液バルブ86が、吸引路開閉手段に相当する。
<洗浄工程>
次に、キャップ室55などを洗浄する洗浄工程について、図4を参照して説明する。図4は、洗浄液を用いてキャップ室などを洗浄する洗浄工程を示すフローチャートである。
図4のステップS21では、中継タンク72に洗浄液を供給する。上述したように、洗浄液は、洗浄液供給タンク73から洗浄液ポンプ78によって供給されて、中継タンク72に貯留される。洗浄液は、例えば機能液の主溶媒が用いられる。洗浄液は、少なくとも、中継タンク72における洗浄液の液位が、封止部材54の封止凸部54aの上端より高くなる量だけ供給する。
次に、ステップS22では、排液バルブ86を閉じて、排液管流路84aを閉鎖する。
次に、ステップS23では、給液バルブ76を開けて、給液管流路74aを開放する。
次に、ステップS24では、キャップ室55に洗浄液を供給する。上述したように、給液バルブ76が開放されたことによって、中継タンク72とキャップ凹部56とは、給液管流路74a及び給排液流路67を介して連通している。洗浄液は、中継タンク72に、中継タンク72における洗浄液の液位が封止部材54の封止凸部54aの上端より高くなる量だけ供給されており、液位の差による圧力によって、中継タンク72からキャップ室55のキャップ凹部56に供給される。なお、中継タンク72に予め供給する洗浄液の量を、キャップ室55が洗浄液で略満液となる時点で、中継タンク72における洗浄液の液位が、封止部材54の封止凸部54aの上端近くまで下がるような量にすることで、当該時点での時間あたりの洗浄液の供給量を少なくすることができる。
洗浄液が給排液流路67及び給排液孔57を通ってキャップ室55のキャップ凹部56に供給されるため、給排液流路67や、給排液孔57や、キャップ凹部56における給排液孔57の開口の周囲は、供給される洗浄液によって洗浄される。
次に、ステップS25では、予め定められた所定量の洗浄液がキャップ室55に供給されたか否かを判定する。所定量は、例えば、キャップ室55が満液となる量である。所定量の洗浄液がキャップ室55に供給されたか否かを判定するためには、供給量を測定してもよいし、キャップ室55内における洗浄液の液面位置などの状態を測定してもよい。
ステップS25において所定量の洗浄液がキャップ室55に供給されていなかった場合(ステップS25でNO)には、ステップS24に戻り、ステップS24を継続する。
ステップS25において所定量の洗浄液がキャップ室55に供給されていた場合(ステップS25でYES)には、ステップS26に進む。
ステップS25の次にステップS26では、給液バルブ76を閉鎖する。給液バルブ76を閉じて、給液管流路74aを閉鎖することで、キャップ室55への洗浄液の供給を停止する。
次に、ステップS27では、キャップ室55の内部を洗浄した洗浄液を排出するための排液吸引を開始する。上述したように、吸引ポンプ88によって吸引することによって排液タンク82内を負圧にする。
次に、ステップS28では、排液バルブ86を開くことで、排液管流路84aを開放する。
次に、ステップS29では、キャップ室55内の洗浄を実施してキャップ室55内に付着していた付着物などを含んだ洗浄液を排出する。排液バルブ86が開放されたことによって、上述したように、排液タンク82とキャップ凹部56とは、排液管流路84a及び給排液流路67を介して連通している。吸引ポンプ88によって吸引することによって排液タンク82内が負圧になっているため、キャップ室55内に満たされている付着物などを含んだ洗浄液が排液タンク82に排出される。洗浄液の排出は、キャップ室55内の付着物などを含んだ洗浄液を充分排出できるだけの時間をかけて実施する。
ステップS29の次にステップS30では、予め指定された回数の洗浄を実施したか否かを、すなわち、ステップS22からステップS29の各工程を実施する洗浄工程を指定回数実施したか否かを判定する。
予め指定された回数の洗浄を実施してなかった場合(ステップS30でNO)には、ステップS22に戻り、ステップS22からステップS29の各工程を繰り返す。このとき、中継タンク72に供給されている洗浄液の量がステップS22からステップS29の各工程を繰り返すのに必要な量に満たない場合には、ステップS21に戻り、ステップS21からステップS29の各工程を繰り返す。
予め指定された回数の洗浄を既に実施してあった場合(ステップS30でYES)には、洗浄液を用いてキャップ室55などを洗浄する洗浄工程を終了する。
<ヘッドユニット>
次に、複数の液滴吐出ヘッド17を備える吐出ユニットが備えるヘッドユニット121の概略構成について、図5を参照して説明する。図5は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット121が液滴吐出装置1と略同様の構成を備える液滴吐出装置に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と同一方向である当該液滴吐出装置のX軸及びY軸と一致している。
図5に示したように、ヘッドユニット121は、キャリッジプレート123と、キャリッジプレート123に搭載された6個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、キャリッジプレート123に固定されており、ヘッド本体44がキャリッジプレート123に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズルプレート46(ヘッド本体44)が、キャリッジプレート123の面より突出している。図5は、ノズルプレート46(ノズル形成面46a)側から見た図である。6個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド17を有するヘッド組125を2群形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド17のノズル列48AはY軸方向に延在している。
一つのヘッド組125が有する3個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド17の、一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル48に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル48が半ノズルピッチずれて位置するように、位置決めされている。仮に、ヘッド組125が有する3個の液滴吐出ヘッド17において、全ての吐出ノズル48のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル48は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド17が有するそれぞれのノズル列48Aを構成する吐出ノズル48から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組125を構成している。
<キャップユニット>
次に、ヘッドユニット121の複数の液滴吐出ヘッド17に対応する複数のヘッドキャップ52を備えるキャップユニット151の概略構成について、図6を参照して説明する。図6は、キャップユニットの概略構成を示す平面図である。図6に示したX軸及びY軸は、キャップユニット151が液滴吐出装置1と略同様の構成を備える液滴吐出装置に取り付けられた状態において、図5に示したX軸及びY軸と一致している。
キャップユニット151は、ヘッドキャップ52と、キャップ支持部161と、給排液管66(図3参照)と、を備えている。
キャップユニット151は、上述したキャップ装置51が備えるヘッドキャップ52と給排液管66とを、6組備えている。
キャップ支持部161は、キャップユニットプレート162と、ベースホルダー63と、キャップ押圧機構64(図3参照)と、を備えている。
キャップユニットプレート162が、液滴吐出装置に、移動機構を介して固定されている。キャップユニットプレート162には、ベースホルダー63が、6個固定されている。ベースホルダー63には、上述したキャップ装置51と同様に、ヘッドキャップ52が固定されている。ヘッドキャップ52は、キャップ装置51と同様に、キャップ押圧機構64による押し付け力によって、液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル48を封止する封止空間を形成する。
6個のヘッドキャップ52のそれぞれは、キャップユニットプレート162において、ヘッドユニット121の6個の液滴吐出ヘッド17を、6個のヘッドキャップ52によって同時に封止できる位置に配設されている。
それぞれのヘッドキャップ52に対応して、吸引ユニット50と同様の洗浄液供給装置71と排液装置81とが配設されている。
実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)洗浄液供給装置71によって、ヘッドキャップ52に洗浄液を供給することができる。キャップ室55を洗浄液で浸すことで、洗浄液に浸された部分の付着物などを洗浄することができる。
(2)給排液流路67や、給排液孔57や、キャップ凹部56における給排液孔57の開口の周囲は、キャップ室55内の洗浄液などを排出する際の、洗浄液などの流路であり、キャップ室55内の付着物などが含まれた洗浄液が集中して通過するため、洗浄液に含まれる付着物などが付着し易い。当該部分は、キャップ室55内の洗浄液などを排出する際の、洗浄液などの流路であると共に、キャップ室に洗浄液を供給する際の洗浄液の流路である。付着物が付着し易い部分に新しい洗浄液を流動させることで、付着物が除去され易くすることができる。また、洗浄液などを排出する際と、洗浄液を供給する際と、では液体の流動方向が反対になるため、液体の流動方向が一定である場合に比べて、付着物を除去し易くすることができる。
(3)洗浄液供給装置71は、給液管74の給液管流路74aを開閉することができる給液バルブ76を備えている。給液バルブ76を用いることで、中継タンク72からヘッドキャップ52への洗浄液の供給を迅速に停止することができる。また、洗浄液が給排液管66の給排液流路67の方から中継タンク72の方に、逆流することを抑制することができる。ヘッドキャップ52から排液装置81によって洗浄液などが吸引されている際に、当該吸引力によって中継タンク72などの洗浄液が吸引されることを、実質的になくすることができる。
(4)排液装置81は、排液管84の排液管流路84aを開閉する排液バルブ86を備えている。排液バルブ86を閉じることで、洗浄液が給排液管66の給排液流路67から排液タンク82の方に、自然に流出することを実質的になくすることができる。
(5)中継タンク72における洗浄液の液位と、キャップ室55における洗浄液の液位と、の差による圧力によって、中継タンク72からキャップ室55に洗浄液が供給される。洗浄液が供給されるにしたがって、中継タンク72における液位は低下し、キャップ室55における液位は上昇するため、液位の差による圧力が減少して、単位時間あたりの供給量が減少する。これにより、供給を停止する時点での単位時間あたりの供給量を少なくして供給を停止する時点の時間的許容誤差を大きくすることができる。
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
(変形例1)前記実施形態においては、キャップ装置51は給排液管66を備え、給排流路としての給排液管66の給排液流路67に、供給流路としての給液管流路74a及び吸引流路としての排液管流路84aが接続されていたが、給排流路を供給流路や吸引流路とは別に設けることは必須ではない。供給流路又は吸引流路の一方の流路をヘッドキャップに接続し、他方の流路をヘッドキャップに接続された流路の中間に接続する構成であってもよい。この場合、ヘッドキャップに接続された流路が、供給流路又は吸引流路に相当すると共に、給排流路にも相当する。
(変形例2)前記実施形態においては、洗浄液供給装置71は、給液管74の流路を開閉する給液バルブ76を備えていたが、洗浄液供給装置が洗浄液の流路を開閉する装置を備えることは必須ではない。例えば、給液装置の駆動源の稼動状態を制御することによって洗浄液の供給状態を制御する構成であってもよい。
(変形例3)前記実施形態においては、排液装置81は、排液管84の流路を開閉する排液バルブ86を備えていたが、排液装置が排液の流路を開閉する装置を備えることは必須ではない。例えば、排液装置の駆動源の稼動状態を制御することによって洗浄液の供給状態を制御する構成であってもよい。
(変形例4)前記実施形態においては、中継タンク72における洗浄液の液位と、キャップ室55における洗浄液の液位と、の差による圧力によって、中継タンク72からキャップ室55に洗浄液が供給される構成であった。しかし、中継タンクを設けることも、液位の差を利用して洗浄液を供給することも必須ではない。給液装置の駆動源によって、洗浄液の貯留タンクから直接ヘッドキャップに洗浄液を供給する構成であってもよい。
(変形例5)前記実施形態においては、キャップユニット151が備える複数のヘッドキャップ52のそれぞれのヘッドキャップ52に対して1個の洗浄液供給装置71と排液装置81とを備える構成であったが、複数のヘッドキャップのそれぞれに対して洗浄液供給装置及び排液装置を設けることは必須ではない。複数のヘッドキャップに対して共通の洗浄液供給装置及び排液装置を設ける構成であってもよい。なお、複数のヘッドキャップに対して共通の洗浄液供給装置を設ける構成では、前記実施形態のように、中継タンクにおける洗浄液の液位と、キャップ室における洗浄液の液位と、の差による圧力によって洗浄液を供給する構成にすることで、複数のキャップ室における洗浄液の液位を均一にし易くすることができる。
(変形例6)前記実施形態においては、洗浄液は、機能液の主溶媒であったが、洗浄液が機能液の主溶媒であることは必須ではない。ヘッドキャップに付着した付着物を溶解したり、ヘッドキャップの面から剥離させたりして、ヘッドキャップを洗浄できる液状体であればどのようなものであってもよい。
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17は、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドであったが、液状体吐出ヘッドがインクジェット方式の液滴吐出ヘッドであることは必須ではない。液状体を配置する液状体吐出ヘッドは、インクジェット方式とは異なる方式の吐出ヘッドであってもよい。
(変形例8)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17は、一種類の機能液を吐出する構成であったが、液滴吐出ヘッドが吐出する液状体の種類は一種類に限らない。液滴吐出ヘッドは、複数の液状体供給経路及びそれぞれの液状体供給経路が連通して液状体を供給することができるノズル列を備える構成であってもよい。
(変形例9)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17は、ノズル列48Aを2列備えており、それぞれのノズル列48Aは180個の吐出ノズル48を有する構成であったが、液滴吐出ヘッドにおける吐出ノズルの構成は液滴吐出ヘッド17におけるような構成に限らない。液滴吐出ヘッドが有する吐出ノズルの数は何個であってもよいし、液滴吐出ヘッドにおける吐出ノズルの配列も、例えば1列に配列するなど、どのような配列であってもよい。
(変形例10)前記実施形態においては、液滴吐出装置のヘッドユニット121は6個の液滴吐出ヘッド17を備えていたが、ヘッドユニットが備える液滴吐出ヘッドの数は、6個に限らない。ヘッドユニットは、何個の液滴吐出ヘッドを備える構成であってもよい。ヘッドユニットに対応するキャップユニットにおけるヘッドキャップの数も、ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの数に対応して、何個のヘッドキャップを備えていてもよい。
(変形例11)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は1個のヘッドユニット21を備えていたが、液状体吐出装置が備えるヘッドユニットは1個に限らない。液状体吐出装置は、何個のヘッドユニットを備える構成であってもよい。
1…液滴吐出装置、2…描画ユニット、5…保守ユニット、5a…移動装置、17…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、46…ノズルプレート、46a…ノズル形成面、48…吐出ノズル、50…吸引ユニット、51…キャップ装置、52…ヘッドキャップ、53…キャップベース、54…封止部材、54a…封止凸部、55…キャップ室、56…キャップ凹部、57…給排液孔、61…キャップ支持部、62…キャッププレート、66…給排液管、66a…係合端、66b…係合凹部、66c…係合凹部、67…給排液流路、67a,67b…給排液流路、71…洗浄液供給装置、72…中継タンク、74…給液管、74a…給液管流路、76…給液バルブ、81…排液装置、82…排液タンク、84…排液管、84a…排液管流路、86…排液バルブ、88…吸引ポンプ。

Claims (10)

  1. 液状体を吐出する吐出ノズルを備える液状体吐出ヘッドと、
    前記液状体吐出ヘッドの前記吐出ノズルが形成されたノズル形成面を封止するヘッドキャップと、
    前記ヘッドキャップに連通する給排流路と、
    前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内の気体又は液体を吸引する吸引手段と、
    前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備えることを特徴とする液状体吐出装置。
  2. 前記吸引手段は、前記給排流路に連通する吸引流路と、
    前記吸引流路を開閉可能な吸引路開閉手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の液状体吐出装置。
  3. 前記洗浄液供給手段は、前記給排流路に連通する供給流路と、
    前記供給流路を開閉可能な供給路開閉手段と、を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液状体吐出装置。
  4. 前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液を貯留する洗浄液タンクを備え、前記洗浄液タンク内の前記洗浄液の液位を前記ヘッドキャップ内の液位より鉛直方向において相対的に高くすることで、前記ヘッドキャップに前記洗浄液を供給することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液状体吐出装置。
  5. 前記洗浄液が、前記液状体吐出ヘッドから吐出される機能液の主溶媒であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体吐出装置。
  6. 液状体を吐出する吐出ノズルを備える液状体吐出ヘッドにおける前記吐出ノズルが形成されたノズル形成面を封止するヘッドキャップと、
    前記ヘッドキャップに連通する給排流路と、
    前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内の気体又は液体を吸引する吸引手段と、
    前記給排流路に連通し、前記給排流路を介して前記ヘッドキャップ内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備えることを特徴とするヘッド保守装置。
  7. 前記吸引手段は、前記給排流路に連通する吸引流路と、
    前記吸引流路を開閉可能な吸引路開閉手段と、を備えることを特徴とする、請求項6に記載のヘッド保守装置。
  8. 前記洗浄液供給手段は、前記給排流路に連通する供給流路と、
    前記供給流路を開閉可能な供給路開閉手段と、を備えることを特徴とする、請求項6又は7に記載のヘッド保守装置。
  9. 前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液を貯留する洗浄液タンクを備え、前記洗浄液タンク内の前記洗浄液の液位を前記ヘッドキャップ内の液位より鉛直方向において相対的に高くすることで、前記ヘッドキャップに前記洗浄液を供給することを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のヘッド保守装置。
  10. 前記洗浄液が、前記液状体吐出ヘッドから吐出される機能液の主溶媒であることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載のヘッド保守装置。
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