JP2011018040A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 装置の長期使用において適正に安定した帯電、現像高圧設定を維持することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 感光体の表面電位が0Vの部分に現像バイアスを印加して第一のパッチを形成させると共に、前記帯電手段に帯電バイアスを印加して、第二のパッチを感光体上に形成する。そして、前記第1のパッチの濃度と前記第2のパッチの濃との差に基づいて、画像形成条件を調整する。
【選択図】 図10

Description

本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において、総画像形成枚数(耐久枚数)や環境等によって、感光体の帯電電位が変化してしまうことが問題となっている。例えば、トナーとキャリヤを含む二成分現像剤を用いる画像形成装置において、感光体の帯電電位と現像電位の差が一定値以上になった場合には、感光体にキャリヤが付着して感光体を傷つけたり、本体内を汚染したりする。また、帯電電位と現像電位の差が一定値以下になった場合には、地かぶりと呼ばれる画像不良が発生する。
感光体の帯電電位が目標値からずれる一因は、耐久枚数が増えると、感光体の暗減衰量が増加するためであると考えられている。この、暗減衰量は前露光装置を備えた装置において顕著に減衰することが知られている。また、感光体と接触して帯電する帯電部材を用いる場合、帯電部材が汚れて抵抗値が変動することも感光体の帯電電位が目標値からずれる要因と考えられている。
そこで、特許文献1には、帯電された感光体の電位をセンサで測定し、その結果に基づき帯電バイアスを調整する装置が開示されている。これにより、感光体の帯電電位を所望の値に保つことができ、地かぶり等の画像不良の発生を抑制していた。
特開2006−189654号公報
一方、近年、コンパクトな画像形成装置が市場で求められている。画像形成装置をコンパクトにするためには各要素のサイズを小さくし、高密度で配置する必要がある。そのため、感光体表面の電位を電位センサで測定するためのスペースを確保することが難しくなってきた。一例を挙げて説明すると、感光体ドラムの直径が60mm程度であれば、感光体の周りに、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングブレードに加えて電位センサを設けることができた。しかしながら、直径が30mm程度の感光体ドラムを用いる画像形成装置では、電位センサを設けるスペースを確保することができなくなった。
そこで、本発明の目的は電位センサを用いることなく地かぶり等の画像不良の発生を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は「感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記感光体に露光する露光手段と、前記露光手段によって形成された静電像をトナーで現像する現像手段と、前記静電像をトナーで現像したトナー像の濃度を検知する検知手段と、前記感光体の表面電位が0Vの部位に形成した第一のパッチの濃度と、前記帯電手段に所定の帯電バイアスを印加して帯電した部位に形成した第二のパッチの濃度と、の差に基づいて画像形成条件を制御する制御手段と」を有することを特徴とする。
本発明によれば、電位センサを用いることなく、地かぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。
画像形成装置の概略断面構成図である。 現像装置とトナー補給装置を説明するための図である。 現像バイアスA、Bの時間波形を示す図である。 現像バイアスA、Bによる現像特性を示す図である。 現像バイアスの切り換えタイミングを示すタイミングチャートである。 画像形成時の、感光ドラムの表面の画像域、非画像域を示す図である。 帯電ローラの通常環境における帯電特性を説明する図である。 長期使用前後における画像形成時の感光体表面電位と現像電位の模式図である。 調整制御について説明するための図である。 実施例1に係る調整制御を説明するためのフローチャートである。 実施例2に係る調整制御を説明するためのフローチャートである。 実施例2に係るパッチ濃度と現像コントラストの関係を説明するための図である。
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を用いて説明する。
まず、画像形成装置の全体構成と動作について簡単に説明する。続いて、現像バイアスの波形と現像特性の関係について説明する。最後に、耐久・環境を考慮して画像形成条件を調整する制御についてフローチャートを用いて説明する。
§1.{画像形成装置の全体構成及び動作}
先ず、図1を用いて、本実施例の画像形成装置100の全体構成及び動作について説明する。本実施例の画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられ4つの画像形成部(第1、第2、第3、第4の画像形成部)1(1Y、1M、1C、1Bk)を有する電子写真方式のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、画像形成装置本体に接続された外部の機器からの画像信号に応じて、4色フルカラー画像を記録材(記録用紙、プラスチックフィルム、布等)Pに形成することができる。外部機器としては、原稿読み取り装置、パーソナルコンピュータ等のホスト機器、或いは、デジタルカメラなどである。
第1〜第4の画像形成部1(1Y、1M、1C、1Bk)は、矢印方向に回転する像担持体としての円筒型の感光体(以下、「感光ドラム」という。)2(2Y、2M、2C、2Bk)を有する。第1〜第4の画像形成部1(1Y、1M、1C、1Bk)において感光ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)上に形成されたトナー像を、中間転写体としての中間転写ベルト8上へ転写する。そして、中間転写ベルト8上のトナー像を記録材P上に転写することで記録画像を形成する。なお、以下の説明において4つの画像形成部1(1Y、1M、1C、1Bk)のそれぞれにおいて共通に設けられる要素には、Y、M、C、Bkの添え字を与えた同一符号を付す。それらを特に区別して説明する必要がない場合には、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に付した添え字Y、M、C、Bkは省略し、総括的に説明する。
更に説明すると、感光ドラム2の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ3、現像手段としての現像装置4、一次転写手段としての一次転写ローラ5、クリーニング手段としてのクリーニング装置6が配置されている。また、感光ドラム2の図中上方には、静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光手段であるレーザースキャナ(露光装置)7が配置されている。また、各画像形成部1の感光ドラム2と対向して中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10、従動ローラ11に掛け回されており、駆動ローラ9に伝達される駆動力により図中矢印方向に周回移動する。一次転写ローラ5と感光ドラム2とが対向する位置で、中間転写ベルト8が感光ドラム2に接触して一次転写部(一次転写ニップ)N1(N1Y、N1M、N1C、N1Bk)が形成される。また、中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ10に対向する位置に二次転写手段としての二次転写ローラ12が設けられている。二次転写対向ローラ10と対向する位置で二次転写ローラ12が中間転写ベルト8に接触して二次転写部(二次転写ニップ)N2が形成される。
本実施例では、画像形成装置100は、第1〜第4の画像形成部1Y、1M、1C、1Bkの全てを用いてフルカラー画像を形成することができるフルカラー画像形成モードを有している。また、画像形成装置100は、第4の画像形成部1Bkのみを用いてブラック単色の画像を形成する単色画像形成モードを備えている。
先ず、フルカラーの画像形成モードでの画像形成動作を説明する。画像形成動作が開始すると、各画像形成部1(1Y、1M、1C、1Bk)において回転する感光ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)の表面が帯電ローラ3(3Y、3M、3C、3Bk)によって一様に帯電される。このとき、帯電ローラ3(3Y、3M、3C、3Bk)には、帯電バイアス電源より帯電バイアスが印加される。
次いで、露光装置7(7Y、7M、7C、7Bk)から、それぞれの画像形成部に対応する分解色の画像信号に従ってレーザー光が発される。これにより、各感光ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)は、対応する分解色の画像情報に応じて露光され、その上にその画像信号に応じた静電像(潜像)が形成される。
各感光ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)上に形成された静電像は、各現像装置4(4Y、4M、4C、4Bk)内に収容されたトナーによってトナー像として現像される。本実施例では、現像方式として反転現像方式が採用されており、感光ドラム2上の露光部(明部電位部)に現像装置4からのトナーが付着する。
各感光ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト8上で重なり合うようにして、各一次転写部N1において順次に中間転写ベルト8上に転写(一次転写)される。この時、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5Bk)には、一次転写バイアス電源よりトナーの正規の帯電極性とは逆極性の一次転写バイアスが印加される。こうして、中間転写ベルト8上に、4色のトナー像が重ね合わされた多重トナー像が形成される。
なお、一次転写後に感光ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)の表面に残ったトナー(一次転写残トナー)は、クリーニング装置6(6Y、6M、6C、6Bk)によって回収される。
一方、中間転写ベルト8上のトナー像の移動とタイミングに合わせて、記録材収納カセット(図示せず)に収容された記録材Pが、供給ローラ15などにより二次転写部N2に搬送される。そして、中間転写ベルト8上の多重トナー像は、二次転写部N2において記録材P上に一括して転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ12には、二次転写バイアス電源よりトナーの正規の帯電極性とは逆極性の二次転写バイアスが印加される。
次いで、記録材Pは、定着手段としての定着装置14へと搬送部材等により搬送される。定着装置14によって加熱、加圧されることで、記録材P上のトナーは溶融、混合されて、記録材Pに定着され、記録材上にフルカラー画像が形成される。その後、記録材Pは機外に排出される。なお、二次転写部N2で記録材Pに転写されずに中間転写ベルト8に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写ベルトクリーナー13により回収される。
次に、画像形成モードにおける画像形成動作について説明する。単色画像形成モードにおいては、第4の画像形成部1Bkにおいてのみ、感光ドラム2Bk上にトナー像が形成される。そして、このトナー像が中間転写ベルト8に一次転写された後、記録材Pに二次転写される。第4の画像形成部1Bkにおけるトナー像の画像形成動作、一次転写動作、二次転写動作自体は、上述のフルカラー画像形成モード時と同じである。
§2.{現像装置に関する詳しい説明}
以下に、現像装置の詳細な構成について説明した後に、トナーとキャリヤについて説明する。なお、トナーパッチの光学濃度に基づきトナーの補給量と現像バイアスの調整については次項で説明する。
■(現像器の構成について)
次に、図2を参照して、現像装置4(4Y、4M、4C、4Bk)及び現像装置4にトナーを補給するトナー補給装置49について説明する。本実施例では、各現像装置4Y、4M、4C、4Bkの構成は同一である。従って、総括して現像装置4として説明する。また、本実施例では、トナー補給装置49の構成は、全ての現像装置4(4Y、4M、4C、4Bk)にて同一の構成とされる。図2において、現像装置4は図1中上方から見た平面図として示し、トナー補給装置49は感光ドラム2の軸線方向(即ち、感光ドラム表面移動方向と直交する方向)に沿う正面断面図として示す。
現像装置4は、非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリヤ粒子(キャリヤ)とを主成分として備える二成分現像剤(現像剤)が収納された現像容器(現像装置本体)44を有する。現像容器44内には、現像剤攪拌搬送部材として第1の攪拌搬送スクリュー43aと第2の攪拌搬送スクリュー43bとの2本のスクリューが配置されている。現像容器44の感光ドラム2と対向する部分は一部開口しており、この開口部にから一部露出するように現像剤担持体としての現像スリーブ41が回転可能に配置されている。現像スリーブ41の内部には、磁界発生手段としてのマグネットロール(図示せず)が固定配置されている。マグネットロールは周方向に複数の磁極を有し、現像容器44内の現像剤を磁気力により引きつけて現像スリーブ41上に担持させると共に、感光ドラム2と対向する現像位置では現像剤の穂立ち(磁気ブラシ)を形成する。
現像スリーブ41、第1、第2の攪拌搬送スクリュー43a、43bは相互に平行に配設されている。また、これら現像スリーブ41、第1、第2の攪拌搬送スクリュー43a、43bは、感光ドラム2の軸線方向と平行に配設されている。現像容器44の内部は、隔壁44dによって第1室(現像室)44aと第2室(攪拌室)44bに分割されている。現像室44aと攪拌室44bは、現像容器44の長手方向両端部(図2中の左端及び右端)において連通している。
第1の攪拌搬送スクリュー43aは現像室44a内に、また、第2の攪拌搬送スクリュー43bは攪拌室44b内に配設されている。これら第1、第2の攪拌搬送スクリュー43a、43bは、モータ52の回転によってギヤ列54を介して同じ方向に回転駆動される。この回転により、攪拌室44b内の現像剤は、第2の攪拌搬送スクリュー43bによって攪拌されながら図2中左方に移動して、連通部を介して現像室44a内へと移動する。また、現像室44a内の現像剤は第1の攪拌搬送スクリュー43aによって攪拌されながら図2中右方に移動して、連通部を介して攪拌室44b内に移動する。つまり、現像剤は、第1、第2の攪拌搬送スクリュー43a、43bの2本のスクリューによって攪拌されながら現像容器44内を循環して搬送される。
現像剤中のトナーは、上述のような攪拌搬送によって電荷が付与される。本実施例では、トナーの補給は、攪拌室44b内での現像剤搬送方向上流端部側の上部に設けられたトナー補給口44cから行われる。攪拌室44bの図中右端側には、内部の状態を外部から目視するための窓部が設けられている。
現像スリーブ41は、モータ51によって図1中の矢示方向(反時計回り)に回転駆動される。現像スリーブ41は、その回転により、規制ブレード(不図示)によって表面に層状に塗布された現像剤を感光ドラム2に対向する現像位置に搬送する。現像位置にて、現像スリーブ41上の現像剤はマグネットロールの磁気力により穂立ちして、感光ドラム2の表面に接触または近接する磁気ブラシを形成する。こうして現像位置に搬送された現像剤(二成分現像剤)から、感光ドラム2上の静電像にトナーが供給される。これにより、静電像の画像部にトナーが選択的に付着し、静電像はトナー像として現像される。
更に説明すると、感光ドラム2上の静電像が現像位置に達するときに、現像バイアス電源(図示せず)によりAC電圧とDC電圧とが重畳された現像バイアスが現像スリーブ41に印加される。このとき、現像スリーブ41はモータ51により図1中の矢示方向に回転駆動され、上述の現像バイアスによって現像剤中のトナーが、感光ドラム2の表面の静電像に応じて感光ドラム2上に転移する。
■(トナー及びキャリヤについて)
以下に本実施例において用いるトナーとキャリヤについて説明する。本実施例において、トナーは、結着樹脂、着色剤、そして必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。トナーは、重合法により製造した負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は5μm以上8μm以下が好ましい。本実施例では、トナーの体積平均粒径は6.2μmである。
また、キャリヤは、例えば、表面酸化或いは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属、及びそれらの合金、または酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。そして、キャリヤは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、抵抗率が107Ω・cm以上、好ましくは108Ω・cm以上である。本実施例では、キャリヤとして抵抗率が108Ω・cmのものを用いた。本実施例では、低比重磁性キャリヤとして、フェノール系のバインダー樹脂に磁性金属酸化物及び非磁性金属酸化物を所定の比で混合し、重合法により製造した、樹脂磁性キャリヤを使用した。本実施例で用いたキャリヤの体積平均粒径は35μm、真密度は3.6〜3.7g/cm、磁化量は53A・m/kgである。
■(トナー補給機構と制御部について)
上述のような現像動作によって二成分現像剤中のトナーが消費され、現像容器44内の現像剤のトナー濃度(現像剤のうちトナーの比率)が徐々に減少する。そこで、補給手段としてのトナー補給装置49によって現像容器44にトナーを補給してトナー濃度を一定に保つように制御する。トナー補給装置49は、現像装置4に補給すべきトナーを収納するトナー容器(トナー補給槽、トナー貯蔵部)46を有する。トナー容器46の図中下部左端には、トナー排出口48が設けられている。トナー排出口48は、現像装置4のトナー補給口44cに連結される。また、トナー容器46には、トナー排出口48に向けてトナーを搬送するトナー補給部材としてのトナー補給スクリュー47が設けられている。トナー補給スクリュー47はモータ53によって回転駆動される。
モータ53の回転は、画像形成装置本体が備えるエンジン制御部60の制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)61によって制御される。トナー容器46内に所定量のトナーが収納されている状態でのモータ53の回転時間と、トナー補給スクリュー47によってトナー排出口48(トナー補給口44c)を介して現像容器44内に補給されるトナー量との関係は予め実験等によって求められている。その結果は、例えば図2において、テーブルデータとしてCPU61に接続されたROM(Read Only Memory)62(或いはCPU61内)に格納されている。つまり、CPU61は、モータ53の回転時間を制御(調整)することによって、現像容器44に対するトナーの補給量を調整するようになっている。なお、本実施例では図2に示されるように、現像装置4には、記憶装置23が設けられている。この記憶装置23として、本実施例では、読み書き可能なEPROM(Erasable Programmable ROM)を使用した。記憶装置23は、現像装置4を画像形成装置100にセットすることによってCPU61と電気的に接続され、現像装置4の画像形成処理情報を画像形成装置本体側から読み書きすることができる。
§3.{パッチ形成時の現像バイアスと制御タイミングについて}
以下に、トナーを用いてパッチ画像を形成し、そのパッチ画像の濃度に基づき画像形成装置の各部を制御する制御方法について説明する。まず、通常画像形成時に印加する現像バイアスの波形(波形A)と、パッチ画像形成時に印加する現像バイアスの波形(波形B)について図3を用いて説明する。続いて、各現像バイアス波形における、現像コントラストと濃度の関係について図4を用いて説明する。続いて、トナーでパッチを形成するタイミングについて、図5、図6を用いて説明する。
■(パッチ画像形成とパッチ濃度検出のための構成について)
本実施例では、所定の基準電位に帯電した状態を感光ドラム2に形成した後、この感光ドラムを所定の現像条件で現像することにより感光ドラム2上に画像濃度検出用の基準トナー像(参照トナー像、パッチ画像)を形成する。これらのパッチ画像形成の指示は、図2中に示されるCPU61が行う。そして、このパッチ画像を中間転写ベルト8へ転写した後、パッチ画像の濃度を画像濃度検知手段(画像濃度センサ)17で検知する。
画像濃度センサ17は、パッチ画像の画像濃度(トナー付着量)に応じた濃度信号をCPU61に入力する。CPU61は、画像濃度センサ17からの濃度信号と、予めCPU61内に記憶された初期基準信号とを比較し、その比較結果に基づいてトナー補給装置49の駆動時間を制御する。なお、画像濃度センサ17としては、一般的な光反射型の光学センサを使用することができる。
パッチ形成時の動作についてさらに詳しく説明する。制御手段としてのCPUはROM62に予め記録された環境テーブルを読み出す。環境テーブルには温度、湿度情報に応じたプロセス条件、現像バイアスや転写バイアスなどのプロセス条件の設定値が予め記憶されたものが記録されている。CPUは環境センサから画像形成装置の雰囲気環境(温度・湿度)を取得し、環境テーブルに基づき、画像形成条件を決定する。
なお、後述するパッチの濃度から画像形成条件を調整する際には、露光装置7が画像形成条件に与える影響を緩和するため、露光装置で露光することなくパッチ画像を形成する。即ち、帯電された感光ドラム2上に対しレーザー露光を行わずに、現像バイアスと感光ドラム2の電位(帯電ローラ3により帯電されたが、露光装置7による露光が行われていない領域の電位)との間の電位差により、パッチ潜像のコントラスト電位を形成する。次いで、このパッチ潜像を現像してパッチ画像を形成し、これを現像してパッチ画像を形成する。これを「アナログパッチ画像方式」と呼ぶ。
ここで、「レーザー露光を行わない」とは、像露光手段である半導体レーザーに駆動電圧が入力され、感光体電位が減衰しない程度の微弱発光がなされている場合も含むものである。
なお、「デジタルパッチ画像方式」とは、PWM(Pulse Width Modulation)方式で画像露光してパッチ潜像を形成、これを現像する方式を指す。本実施例の画像形成装置は通常画像形成時にPWM方式で画像露光をしてシート上に画像を形成する。
■(現像バイアス波形と現像特性について)
次に、本実施例における現像バイアスについて説明する。画像形成装置は、図2に示すように、制御手段としてのCPU61に接続された、現像バイアス出力手段としての現像バイアス用の高圧電源装置29を有する。高圧電源装置29は、2つの高圧電源(現像バイアス印加電源)、即ち、第1、第2の高圧電源29a、29bを有している。現像装置毎に、第1の高圧電源29aは現像バイアスAを、また第2の高圧電源29bは現像バイアスBを印加できるようになっている。高圧電源装置29は、第1、第2の高圧電源29a、29bの出力を選択的に現像スリーブ41に対して印加可能とする現像バイアス切り替え手段29cを有し、現像スリーブ41に印加される現像バイアスが選択的に切り換えられる。
図3(a)及び図3(b)は、現像スリーブ41に印加する交番電圧である現像バイアスA、Bの時間波形(横軸は時間、縦軸は現像スリーブ41に印加する電圧)を示す図である。また、図4(a)及び図4(b)は、現像装置に現像バイアスA、Bを印加した時の現像特性を示すグラフである。なお、図4の横軸は、現像コントラスト電位(絶対値)、図4の縦軸はセンサにより検知されたパッチ画像濃度である。
図3(a)の現像バイアスAは、矩形波の所定数のパルス部とブランク部とを交互に有する波形を持つバイアス(ブランクパルスバイアス)である。矩形波の所定数のパルス部とは、交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像スリーブ41に印加することにより交番電界が形成される交番部であり、ブランク部とは、直流電圧のみを現像スリーブ41に印加することにより一定電界が形成される休止部である。
このような現像バイアスAを用いると、図4(a)に示すように、現像装置4内のトナー濃度が変動しても感光ドラム2上に形成されるトナー像の画像濃度には反映されにくい。図中、理想的な実線に対し、現像装置内のトナー濃度を変動させたときの画像濃度を点線で示す。そのため、現像バイアスAは、画像濃度を安定化させることができる現像特性を持っている。また、ブランクパルスバイアスは、ハイライト部の高画質現像に優れ、地かぶりが発生しにくく、更に長期使用においてもトナー粒度分布が安定するという特性がある。一方、この現像バイアスAは、トナー濃度変動が、形成されるトナー像の画像濃度に反映されにくい。このような特性上、この現像バイアスにおいてトナー像の画像濃度変動から現像剤のトナー濃度を制御すると、現像剤にかかる負荷が大きくなる傾向があり、現像剤の劣化を早めやすい。
一方、図3(b)の現像バイアスBは、矩形波パルスバイアスであり、交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像スリーブ41に印加することにより交番電界が形成される交番部を繰り返し有する。このような現像バイアスBを用いると、図4(b)に示すように、現像装置4内の現像剤のトナー濃度に対して、形成(現像)される画像(トナー像)の濃度が忠実に反映、再現される現像特性を持つ。図中、理想的な実線に対し、現像装置4内のトナー濃度を変動させたときの画像濃度を点線で示す。そのため、現像バイアスBを用いると、現像剤のトナー濃度の変動量が画像濃度の変動量に敏感に反映する。この現像バイアスBは、現像剤のトナー濃度変動に対して、形成されるトナー像の画像濃度が敏感に変動するため、現像剤のトナー濃度を制御する場合に適している。これにより、現像器内で現像剤が適切なトナーキャリア比で攪拌され、現像剤の劣化を抑制することができる。更に、トナー濃度変動に対して、形成されるトナー像の画像濃度が敏感に変動するため、感光ドラム2の膜厚変動によるトナー濃度変動が緩和される。
このように、現像バイアスAは、現像剤のトナー濃度の変動量に対しトナー像の画像濃度(トナー付着量)の変動量が追随し難い、即ち、トナー像の濃度を安定させる現像バイアスである。また、現像バイアスBは、現像剤のトナー濃度の変動量を敏感にトナー像の画像濃度(トナー付着量)の変動量に反映させる現像バイアスである。そこで、パッチ潜像の現像に用いる現像バイアスを、現像バイアスAから現像バイアスBに切り換える。これにより、非画像域において形成するパッチ画像の、画像濃度センサ17による検知出力値の信頼性を高めることができる。このため、現像剤の負荷を軽減することができ、また画像域での出力画像の濃度を安定化することができる。
■(パッチ画像形成のタイミングについて)
続いて、通常画像形成時とパッチ画像形成時の露光・現像バイアスについてタイミングチャートを用いて説明する。図5は画像形成時とパッチ画像形成時の各画像形成部の状態を説明するためのタイミングチャートである。
上述のように、通常画像形成時にはコントラスト電位と濃度の関係をより線形に近い状態にするために、現像装置に現像バイアスAを印加して画像を形成する。また、シートに転写される画像(画像域C)と画像(画像域D)パッチ画像を形成する場合は、露光装置で露光しないアナログパッチ画像方式でパッチ潜像を形成し、現像装置に現像バイアスBを印加する。これにより、パッチ画像を中間転写ベルト上に形成する。このパッチ画像は連続矩形波(現像バイアスB)を印加する。これにより、感光体の帯電電位と現像バイアスの直流成分との差(いわゆる、現像コントラスト)に対して、形成されるパッチ画像の濃度が鋭敏に変化する。
以下に、各画像形成部の動作についてタイミングチャートを用いて説明する。図5(a)及び図5(b)は、通常画像形成時及びパッチ画像形成時の現像バイアスの切り換えタイミングチャートである。同図中の「潜像」は潜像を形成している期間、「現像」は現像スリーブ41が回転している期間を示す。また、「現像バイアスA、B」は現像バイアスA、Bがそれぞれ現像スリーブ41に印加されている期間を示す。
本実施例では、予め決められた所定期間(例えば、所定画像出力枚数)毎に、記録材Pに記録して出力する画像を形成している画像形成時以外の所定タイミングで、パッチ検知方式によるトナー補給制御を行う。画像形成時以外の所定タイミング(非画像形成時)としては、画像形成動作前若しくは後の準備動作時、または、複数の記録材に連続して画像形成を行っているときの記録材と記録材との間に相当するタイミング等が挙げられる。
図6(a)及び図6(b)に、通常画像形成時、及びパッチ画像形成時における複数の記録材Pに連続して画像を形成する場合の、感光ドラム2上の画像域C、D、非画像域Eを示す。なお、同図中の矢印は感光ドラム2の表面の移動方向を表している。
連続画像形成中の動作におけるアナログパッチ画像の形成過程を、図6を参照して説明する。感光ドラム2上の画像域Cに形成すべき通常の画像の静電潜像がデジタル潜像で形成される。そのデジタル潜像が現像装置4と対向した現像位置に達したとき、現像装置4の現像スリーブ41に図3(a)に示す現像バイアスAが印加されて、潜像が現像される。そして、次の通常画像の静電潜像を形成するまでの間に、感光ドラム2上に通常画像形成時(図6(a))よりも大きく広げた非画像域E(図6(b))を形成し、その非画像域Eにパッチ画像を形成し、パッチの濃度に基づき各種調整を行う。
つまり、非画像域Eにおいて、感光ドラム2に対しレーザー露光を行わずに、Vd(暗部電位)のみの帯電を行って、現像バイアス電位Vdcとの間の電位差のアナログ潜像を形成する。そのパッチ潜像が現像位置に達したとき、現像スリーブ41に印加する現像バイアスを図3(a)の現像バイアスAから、図3(b)の現像バイアスBへと切り換える。潜像は、切り換えられた現像バイアスBにより現像されて、アナログパッチ画像を形成する。そして、次の画像域Dが現像位置に達したときに、現像バイアスを再び現像バイアスBから現像バイアスAに切り換えて、画像域D上に出力画像の潜像を現像する。なお、画像濃度センサの目標信号値は、現像装置の使用状況、使用環境に応じて最適な目標値に設定変更される。
■(トナー補給制御について)
以下に、上記パッチ画像の濃度に基づき、トナー補給量を制御する制御手順について簡単に説明する。トナー補給量を制御する場合、上述したように、画像形成装置100の初期設置時のパッチ画像の濃度を、画像濃度センサ17で検知して、その検知出力値をパッチ目標信号値としてCPU61に取り込む。CPU61は、その取り込んだパッチ目標信号値を使用してトナー容器46から現像装置4の現像容器44に補給するトナーの量を制御する。即ち、CPU61は、パッチ目標信号値と、その後に行われるトナー補給制御時において検知されたトナー補給用のパッチ画像の濃度、即ち、画像濃度センサ17の出力値とが同じとなるように、現像容器44への補給トナー量を制御する。
レーザー露光を行ってパッチ潜像を形成する「デジタルパッチ画像方式」を採用した場合、感光ドラム2の使用による劣化、環境による変動等により、感光ドラム2の特性、特に光感度特性が初期設置時と変化することがある。このため露光装置7のレーザー出力で感光ドラム2を露光して得られた電位と、本来得られるべき初期設置時の電位との間に差が生じ、感光ドラム2上に形成される画像濃度がこの電位差により所望の値から外れてしまう。この誤差を含んだ画像濃度値によってトナー補給制御を行うと、現像装置4内のトナー濃度が所望の範囲外となってしまい、画像濃度変動、トナーかぶりなどが発生して画像不良となる可能性がある。
特に、低コスト化や小型化に伴い、高機能、高額部品である感光体電位測定センサを装備しない装置でトナー補給用のパッチ画像に基づいてトナー補給量を制御する場合、現像装置4内における現像剤のトナー濃度のバラツキが大きくなることがある。この場合、現像剤にかかる負荷が増し、かぶり等の異常画像の増加や、現像剤の寿命低下といった弊害が発生するおそれがある。
そのため、感光ドラム2の光感度特性の変化による、感光ドラム2上におけるレーザー照射部の電位のバラツキをなくすために、アナログパッチ形成方法を採用する。即ち、レーザー露光無しでトナー補給用のパッチ潜像を安定した電位で形成し、これを現像してパッチ画像を形成する。なお、感光体電位が十分に制御された状態でデジタルパッチ画像方式を用いてトナー濃度を制御することも可能である。しかし、本実施例では後述する帯電電位補正用パッチがアナログパッチであることが好ましく、トナー濃度制御用パッチと併用可能で制御時間上有利なため、アナログパッチ方式を採用する。
§4.{パッチ濃度に基づく画像形成条件調整について}
以下に、感光体の表面電位を電位センサで測定した結果を用いて画像形成条件を変更する代わりに、パッチ画像の光学濃度に基づき画像形成条件を調整する制御について詳しく説明する。
まず、本実施例の帯電装置としての帯電ローラの帯電特性と、耐久による感光体の帯電電位の低下について図を用いて説明する。その後、光学濃度で現像コントラスト電位に相当する電位を特定できる理由について説明する。その後に、それを利用してどのように画像形成条件(ここでは、帯電バイアスを調整する)を調整するかについて、フローチャートを用いて説明する。本実施例においてパッチ画像の濃度に基づき、帯電バイアスを調整する例を挙げて説明する。無論、画像かぶりや、キャリヤ付着を防止するために、パッチ画像の濃度に基づき、現像バイアスを調整しても、露光条件を調整する構成を採用しても良い。つまり、帯電条件以外の画像形成条件として、現像条件、露光条件、それら複数を調整してもよい。
■(帯電ローラの帯電特性と感光体の耐久特性について)
以下に、帯電電位の補正について詳しく説明する。本実施例では導電ゴムローラを帯電部材として用いており(以下、「帯電ローラ」という。)、この帯電ローラには帯電電位目標よりも少し高いDCバイアスにACバイアスを重畳した高圧が、交流及び直流高圧電源により印加されている。これらの高圧電源の制御は、CPU61が行う。図7は、本実施例で用いた帯電ローラの通常環境(温度:20度、湿度:30%)における帯電特性を示している。画像形成装置は潜像のゴースト画像を防止するため、波長660nmのLED(Light Emitting Diode)からなる前露光装置(図示せず)を備える。これにより、帯電した感光体表面電位は本前露光により発生したキャリヤ(正孔又は電子)により減衰し、帯電印加バイアスに対して現像位置での帯電電位は50V程度低くなる。
次に、トナーかぶり発生の原因について説明する。図8は、長期使用前後における画像形成時の感光体表面電位と現像電位の関係を模式的に示す図である。長期使用により帯電ローラの抵抗が上昇し、また感光体の光劣化により暗減衰量が増加することから印加するDCバイアス値に対し現像装置位置における帯電電位がより低下してしまう。したがって、図8に示すように、帯電電位と現像電位の差(以下、「Vback」という。)が小さくなる。これにより、非画像部にトナーが付着して、「かぶり」と呼ばれる画像不良が生じる。
■(0Vパッチを用いた電位低下の算出手順についての説明)
前述のとおり、かぶり等の画像不良の発生を抑制するためには、感光体の電位を測定すればよい。しかし、装置の小型化のために小径の感光体ドラムを用いる場合、電位センサを設けることが困難である。さらに、感光体の電位を測定する電位センサは光学濃度センサと比べて高価である。そのため、電位センサと比べると安価な光学濃度センサを用いて感光体の耐久使用に伴う帯電電位の低下の量を測定する手順について説明する。
本実施例の制御装置はトナーパッチの濃度に基づき、帯電電位がどの程度低下しているのかを算出し、算出された結果に基づき、帯電印加バイアス(DC高圧条件)を補正する。具体的には、感光ドラム2の表面電位を0V及び少なくとも1以上の他の電位において露光手段による像露光を行わずに複数のパッチ画像を形成する。そして、この複数のパッチ濃度を画像濃度センサ17により検知する。この検知結果に基き作像時における帯電DC高圧設定に対する感光ドラム2の表面電位を算出し、作像時における適正な、即ち、所定の画像濃度となるように帯電装置2AのDC高圧条件を補正する。
図9は具体的な制御内容を説明するための図である。図9の左側は耐久初期の高圧設定及び電位の状態を示す図である。耐久初期において、帯電装置に印加する直流帯電バイアス(以下、帯電DC)を600Vとした時、感光体の帯電電位は550Vとなる。また、現像装置に印加する直流現像バイアス(以下、現像電位)を400V、露光装置を用いて最大露光量で露光した個所の電位は200Vとなる。
しかしながら、耐久使用を行うと、感光体の帯電電位が目標とする帯電電位よりも低下してしまう。この帯電電位の低下量は使用状況や環境条件によって異なる。そのため、従来は電位センサを用いて帯電電位の低下量を把握して、画像形成条件を適宜調整して画像不良の発生を抑制していた。これに対して、本実施例では、0Vパッチの濃度を基準として、帯電電位の低下量を算出する。
まず、帯電装置に0Vの直流帯電バイアスを印加して、感光体表面の電位を0Vにする。0Vに帯電された部分を現像装置に100Vの直流現像バイアスを印加する。これにより、0Vパッチ(以下、第一パッチ)を形成する。帯電DC0V印加の際も、ACバイアスは重畳されており、帯電電位はほぼ0Vに収束するため、このときのアナログパッチ濃度は現像コントラスト100Vに対応する静電像が現像されたときのトナーパッチの濃度であることが解る。なお、0Vに帯電するため暗減衰による帯電電位の低下もない。
続いて、帯電装置に600Vの直流帯電バイアスを印加する。耐久使用に伴い、帯電装置に600Vの直流の帯電バイアスを印加した時、感光体の帯電電位は使用状況によって変化してしまう。ここで、耐久初期と同様に、帯電電位が550Vになると想定し、パッチ濃度が第一パッチと同様に現像コントラストが100Vに対応するように、現像装置に直流の現像バイアスを650V印加してアナログパッチ(以下、第二パッチ)を形成する。前述の通り、耐久使用に伴い、感光体の帯電電位が低下する。図9の右側の高圧設定及び電位の状態を示す図からも解るように、耐久後の感光体の帯電電位は620Vまで低下したとき、第二パッチの現像コントラストは120Vとなり、第二パッチの濃度は第一パッチの濃度よりも高くなる。このような現象から、耐久後の感光体の帯電電位を算出することができる。
具体的には、第一パッチは耐久状態に関らず現像コントラストが100Vに対応する濃度になる。第二パッチを、直流帯電バイアスを600V、直流現像バイアスを650Vで形成する。初期と同様に、感光体の帯電電位が550Vとなった場合は、第二パッチの濃度は第一パッチの濃度と同様に現像コントラスト100Vに対応する濃度となる。
しかしながら、感光体の帯電電位が耐久使用によって低下した場合、現像コントラストが100Vより大きくなる。そのため、第二パッチの濃度は第一パッチの濃度よりも高い値になる。つまり、現像コントラスト100Vのパッチ濃度(第一パッチの濃度)に対し、第二パッチの濃度がどの程度濃くなったかに基づき、耐久使用に伴う感光体の帯電電位の低下を予測することが可能となる。無論、第一パッチの濃度と第二パッチの濃度が同等の場合は、耐久使用に伴う感光体の帯電電位の低下が無いものと判断して、画像形成条件である帯電DC高圧設定を補正する必要はない。
帯電装置に印加する直流の帯電バイアスの補正方法は、求める帯電電位の精度により様々な方法が考えられる。本実施例では、現像コントラスト100Vのパッチ濃度(第一パッチの濃度)に対し、第二パッチの濃度の増減比率に応じてVback(帯電電位と現像電位の差)を補正する方法を採用した。
例えば、第一パッチの濃度(現像コントラスト100Vに対応)が1.0であるとする。このとき、第二パッチ(帯電DC印加600V、現像電位650V)の濃度が1.2であったと想定する。このとき、現像コントラストが100Vの第一パッチの濃度が1.0であるため、第二パッチの濃度が1.2から第二パッチを形成する際の現像コントラストが120Vであったことが解る。これにより、第二パッチを形成する際の感光体の帯電電位Vd2は530Vに低下しているものと判断することができる。つまり、現在の現像コントラストは、第一パッチの現像電位をVdc1、第二パッチの現像電位をVdc2、第一パッチの検知濃度をD1、第二パッチの検知濃度をD2とすれば、
Vd2=Vdc2―Vdc1×D2/D1
で表すことができる。
そこで、Vback(帯電電位と現像電位の差)を耐久初期と同じように150Vとするために、帯電電位Vdの低下分20V(550−530V)を帯電印加DCバイアスに加算し、620Vに変更するように制御する。これにより、耐久使用に伴う感光体の帯電電位の低下分を補い、感光体の帯電電位を耐久初期の550Vとほぼ同じ維持することが可能となる。なお、本実施例の方法では現像剤の使用劣化による現像性の変化は問題とならない。なぜなら、同じ現像コントラストでの現像量、すなわち画像濃度が異なる場合においても、その劣化状態での一定の現像コントラストに対する濃度同士で第一パッチと第二パッチの比較ができるためである。
さらに厳密に言うと、感光体の帯電電位の低下は帯電印加DCの設定値により若干異なる。具体的には、帯電ローラにDC600Vを印加したとき、感光体の帯電電位が550Vになるような、帯電ローラと感光体を用いて、帯電ローラにDC800Vを印加すると、感光体の帯電電位は735Vとなった。
つまり、帯電DC高圧設定を高くすることにより感光体の電界が強くなり減衰量が増え、帯電電位低下分がより大きくなる傾向がある。したがって、使用の経過に伴い補正するDC設定を上げていった場合には、相応の補正をしていけばよいことになる。具体的には、初期の帯電DCバイアスから100V補正するに際して、8V余分に補正すればよい。前の例で説明すると、第一パッチと第二パッチの濃度に基づき、帯電バイアスを20V補正する場合は、21.6V(20+8/100×20=21.6V)補正する。そのため、耐久使用後に感光体の帯電電位を550Vにするために帯電ローラに印加するバイアスを621.6Vに変更する。
本実施例において、所定の数の、例えば、20枚の画像出力(画像形成動作)毎に、非画像域において第一パッチ画像の形成を行い、前述の如くトナー補給量を制御する。また、所定の数の、例えば1000枚の画像形成動作終了毎に、帯電電位補正用の第二パッチも続けて形成し、帯電高圧及び現像高圧を補正する。
■(フローチャートを用いた調整制御の説明)
上述のように、第一パッチの濃度と第二パッチの濃度に基づき、耐久使用に伴う感光体の帯電電位の低下を算出する制御についてフローチャートを用いて説明する。図10は本実施例に係る画像形成条件を調整するための調整制御の手順を示すフローチャートである。以下に、制御手段としてのCPUがプログラムに従い、画像形成部を制御する手順について説明する。
各ステップにおけるCPUの制御内容について詳しく説明する。
S101は、入力された画像形成信号に基づき、画像形成を行うステップである。制御手段としてのCPUは入力された画像形成信号に従い、記録材上に画像を形成する。
S102は所定枚数毎に帯電バイアスを調整するための調整工程を実行するためのステップである。制御手段としてのCPUは通算の画像形成枚数をカウントするカウンター(不図示)から画像形成枚数を取得する。画像形成枚数が1000枚毎にS103からS105の調整工程を実行する。前回調整工程が実行されてから1000枚に満たない場合は連続して画像形成を行う(S106)。
S103は耐久による感光体の帯電電位の低下を算出するためのトナーパッチを形成するためのステップである。制御手段としてのCPUは帯電装置に帯電直流バイアス0Vを印加させると共に、現像装置に現像直流バイアス100Vを印加させて感光体上に第一パッチを形成させる。同様に、帯電直流バイアスを600V、現像直流バイアスを650Vにして感光体上に第二パッチを形成させる。
S104は形成された第一パッチと第二パッチから感光体の帯電電位に対応する情報を算出するためのステップである。制御手段としてのCPUは濃度センサから取得した第一パッチの濃度と第二パッチの濃度に基づき、前述の現像コントラスト電位と濃度の関係から感光体の帯電電位を算出する。
S105はS104で算出された感光体の帯電電位に基づき、画像形成条件を調整するためのステップである。制御手段としてのCPUはS104で算出された感光体の電位に基づき、適切な現像コントラストとVbackが確保できるように、直流帯電バイアスの値を制御(補正する)する。
以上のような構成により、150K枚を出力した状態(耐久後)の画像形成装置において、直流帯電バイアスを約55V補正した。これにより、非画像部へのトナーかぶりや、感光体へのキャリヤ付着による画像不良が発生することなく、良好な状態を維持することができた。
実施例1と同一の部分に関しては、同一符号を付すことによって、説明を省略する。本実施例では、第一パッチ、第二パッチに加え、第三パッチを形成することにより、より正確に画像形成条件を補正する。
本実施例においては、帯電DC:0Vと現像DC:100Vで第一パッチを形成し、帯電DC:600V、現像DC:650Vで第二パッチを形成する。そして、第二パッチの濃度が第一パッチの濃度に対して増加していた場合には、帯電DC印加0Vと現像バイアスを100Vより上昇させた第三パッチを打つ。
実施例1では、帯電DC:0Vと現像DC:100V(現像コントラスト100V)で第一パッチを形成し、第一パッチの濃度P1が1.0となる。また、帯電DC:600V、現像DC650Vで第二パッチを形成したとき、第二パッチの濃度P2が1.2であった場合には、現像コントラストが120Vと判断する。つまり、第二パッチ形成時の帯電電位Vd2は530Vに低下しているものと判断した。
しかしながら、現像コントラストとパッチ濃度の関係が必ずしも比例関係にあるとは限らない。図12は、パッチ濃度と現像コントラストの関係を説明する図である。図12の縦軸はパッチ濃度、横軸は現像コントラストである。ここで、調整制御時に、画像形成装置の現像特性が図中のAのような現像特性であったとする。
実施例1の方法によれば、P1、P2の結果から直線Bに基き仮の補正値Y=20Vが算出される。しかしながら、実際に第二パッチが出力されたのは位置(1)のポイントであるから補正量にずれが生じる。そこで、実施例1では帯電電位Vdの低下分20V(550−530V)を帯電印加DCバイアスに加算し、620Vとして制御を終了していた。
本実施例においては、現像特性を考慮して以下のように画像形成条件を補正する。図11は本実施例の調整制御を説明するためのフローチャートである。以下に各ステップについて詳しく説明する。なお、S201〜S203及びS208はS101〜S103及びS106と略同一のため説明を省略する。
S204は第一パッチの濃度と第二パッチの濃度に基づき処理を変更するためのステップである。制御手段としてのCPUは第二パッチの濃度が第一パッチの濃度よりも低下した場合、S206の処理を実行する。また、第一パッチの濃度が第二パッチの濃度未満の場合は、S205の処理を実行する。
S205は第一パッチの濃度が第二パッチの濃度未満の場合に実行されるステップである。画像形成装置は耐久使用に伴い、感光体の帯電電位が低下する傾向にある。しかしながら、第一パッチの濃度が第二パッチの濃度未満となった場合、感光体の帯電電位が上昇していることとなる。この場合においても、制御手段としてのCPUは第一パッチの濃度と第二パッチの濃度とに基づいて画像形成条件を実施例1に開示の手法で調整する(エラー処理を入れても良い)。
S206は第二パッチの濃度が第一パッチの濃度以上の場合に実行されるステップである。CPUは第一パッチの濃度と第二パッチの濃度との差から補正すべき補正量(20V)を算出する。そして、第一パッチの現像コントラスト(100V)よりも算出された補正量の2倍(40V)分だけ現像コントラストの大きい第三パッチ(現像コントラスト140V)を形成する。具体的には、帯電装置に直流バイアス0Vを印加し、現像装置に直流バイアス140Vを印加して第三パッチを形成する。
そして、制御手段としてのCPUは、第一パッチの濃度と第三パッチの濃度と第二パッチの濃度に基づき、第二パッチを形成した際の現像コントラストを精度よく算出する。具体的には、第三パッチの濃度をP3とすると、
(P2−P1)/(P3−P1)+Vdc1
により現像コントラストを精度良く得ることができる(S207)。P3が1.25であった場合は、第二パッチの現像コントラストは132Vとなる。従って、作像時の帯電DC印加値は32V上乗せし632Vとすることで、Vback150Vが保証される。
以上説明したように、本発明によれば、帯電電位0Vにおいてアナログパッチを形成し、濃度を測定することにより非画像部へのトナーカブリや、感光体へのキャリヤ付着による画像不良の発生を抑制することができる。
なお、第一パッチを形成するために感光体の帯電電位0Vでアナログパッチを形成する際、前露光により十分に0V電位に収束する感光体であれば帯電バイアスを印加する必要はない。また、0V近傍であって、印加バイアスに対する帯電電位が十分把握される領域であれば使用可能である。また形成するパッチの数や高圧設定も限定的ではなく、必要精度、使用環境、現像特性に応じて如何様にも変更することができ、同時に露光手段の補正を行い現像コントラストを補正で可能であることはいうまでもない。帯電方式もまた帯電ローラ方式に限定されることなく、コロナ帯電、ブラシ帯電等を用いても同様である。
1 画像形成部
2 感光ドラム(像担持体)
3 帯電ローラ(帯電手段)
4 現像装置(現像手段)
7 露光装置(露光手段)
17 画像濃度センサ(濃度検知手段)
61 CPU(制御手段)

Claims (2)

  1. 感光体と、
    前記感光体を帯電する帯電手段と、
    前記帯電手段によって帯電された前記感光体に露光する露光手段と、
    前記露光手段によって形成された静電像をトナーで現像する現像手段と、
    前記静電像をトナーで現像したトナー像の濃度を検知する検知手段と、
    前記感光体の表面電位が0Vの部分に形成した第一のパッチの濃度と、前記帯電手段に所定の帯電バイアスを印加して帯電した部分に形成した第二のパッチの濃度と、の差に基づいて画像形成条件を制御する制御手段と、を有する画像形成装置。
  2. 前記帯電手段は前記感光体と接触して帯電する帯電ローラであって、
    前記第一のパッチを形成するために、前記帯電ローラに0Vの直流バイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。
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