JP2011016924A - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い破断特性を有し、タイヤコードとの接着性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】(a)天然ゴム50質量部以上、(b)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム20〜50質量部、(c)ブタジエンゴム0〜20質量部(ただし、前記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計は100質量部である)、(d)窒素吸着比表面積が20〜100m2/gのカーボンブラックを30〜70質量部、(e)硫黄を下記規定量および(f)ジチオジカプロラクタムを0.5〜4.0質量部含有し、前記(e)成分および(f)成分の質量比が、(e)/(f)として0.2〜0.8であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物と、好ましくはカーカス層(4)におけるカーカスを該ゴム組成物で被覆した空気入りタイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、高い破断特性を有し、タイヤコードとの接着性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
タイヤに使用されるタイヤコード、とくにタイヤの骨格を形成するカーカスを被覆するゴム組成物は、高い破断特性およびカーカスとの接着性が求められる。また、走行時の発熱によりカーカスには熱的負荷が課されるため、高温時においてもその特性が損なわれないことが必要である。
下記特許文献1には、ジエン系ゴムと気相成長炭素繊維とを配合してなるカーカス被覆用ゴム組成物が開示されている。しかし、破断特性およびカーカスとの接着性については、今だ改善の余地があった。
なお、下記特許文献2〜3には、ジチオジカプロラクタムをタイヤ用途に使用する例が挙げられているが、特定のゴム成分の特定量、特定のカーボンブラックの特定量、ジチオジカプロラクタムの特定量、硫黄とジチオジカプロラクタムとの特定配合比を組み合わせ、本発明の効果を獲得することについては、何ら開示または示唆がない。
特開2007−211194号公報 特開平8−283463号公報 特開平9−235416号公報
本発明の目的は、高い破断特性を有し、タイヤコードとの接着性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明は以下のとおりである。
1.(a)天然ゴム50質量部以上、(b)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム20〜50質量部、(c)ブタジエンゴム0〜20質量部(ただし、前記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計は100質量部である)、(d)窒素吸着比表面積が20〜100m2/gのカーボンブラックを30〜70質量部、(e)硫黄を下記規定量および(f)ジチオジカプロラクタムを0.5〜4.0質量部含有し、前記(e)成分および(f)成分の質量比が、(e)/(f)として0.2〜0.8であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
2.タイヤコードを被覆するために用いられることを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
3.カーカスを被覆するために用いられることを特徴とする前記2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定のゴム成分の特定量、特定のカーボンブラックの特定量、ジチオジカプロラクタムの特定量、硫黄とジチオジカプロラクタムとの特定配合比を組み合わせることにより、高い破断特性を有し、タイヤコードとの接着性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、とくにカーカスを被覆するのに有用である。
空気入りタイヤの一例の部分断面図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、乗用車用の空気入りタイヤの一例の部分断面図である。
図1において、空気入りタイヤは左右一対のビード部1およびサイドウォール2と、両サイドウォール2に連なるトレッド3からなり、ビード部1、1間にゴム組成物により被覆されたカーカスが埋設されたカーカス層4が装架され、カーカス層4の端部がビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。また、トレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
以下に説明する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤコード、例えばスチールコードや繊維コードを被覆するのに有用であり、とくに繊維コードからなるカーカスを被覆するのに有用である。
(ゴム成分)
本発明で使用されるゴム成分は、(a)天然ゴム(NR)50質量部以上、(b)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)20〜50質量部、(c)ブタジエンゴム(BR)0〜20質量部からなる。ただし、前記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計は100質量部である。
さらに好ましいゴム成分の配合割合は、前記(a)成分が50〜80質量部、(b)成分が20〜40質量部、(c)成分が0〜10質量部である。
(カーボンブラック)
本発明で使用される(d)カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)(注:JIS K6217−2に準拠して測定)が20〜100m2/gである必要がある。窒素吸着比表面積(NSA)が20m2/g未満では、補強性が低くなり好ましくない。逆に100m2/gを超えると、圧延加工性が悪化したり、発熱性が増大するため好ましくない。さらに好ましくは、窒素吸着比表面積(NSA)が、20〜80m2/gであるカーボンブラックである。
(ジチオジカプロラクタム)
本発明で使用される(f)ジチオジカプロラクタム(DTDC)は、次の一般式(1)で表すことができる。
[化1]

Figure 2011016924
ジチオジカプロラクタム(DTDC)は、市販品を利用することができ、例えばラインヘミー社製のレノグランCLD−80(EPDM中にDTDC成分を80%の割合で分散したもの)等が挙げられる。
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、(a)天然ゴム50質量部以上、(b)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム20〜50質量部、(c)ブタジエンゴム0〜20質量部(ただし、前記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計は100質量部である)、(d)窒素吸着比表面積が20〜100m2/gのカーボンブラックを30〜70質量部、(e)硫黄を下記規定量および(f)ジチオジカプロラクタム0.5〜4.0質量部を含有し、前記(e)成分および(f)成分の質量比が、(e)/(f)として0.2〜0.8であることを特徴とする。
前記(d)カーボンブラックの配合量が30質量部未満では、補強性が低くなり好ましくない。逆に70質量部を超えると、圧延加工性が悪化したり、発熱性が増大するため好ましくない。
前記(f)ジチオジカプロラクタムの配合量が0.5質量部未満では、所望の効果が得られないため好ましくない。逆に4.0質量部を超えると破断特性およびタイヤコードとの接着性が悪化する。
前記(e)硫黄および(f)ジチオジカプロラクタムの質量比が0.2未満では、破断特性およびタイヤコードとの接着性が悪化する。0.8を超えると破断特性およびタイヤコードとの接着性が悪化する。
本発明のゴム組成物において、(d)カーボンブラックの配合割合は、さらに好ましくは、40〜60質量部である。
また、(f)ジチオジカプロラクタムの配合割合は、さらに好ましくは、0.5〜2.5質量部である。
また、さらに好ましい前記(e)成分および(f)成分の質量比は、(e)/(f)として0.3〜0.7である。
本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、無機充填剤、補強用充填剤、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。本発明では、ジチオジカプロラクタムを加硫系(加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋促進剤等)の添加時に添加することができる。また本発明では、充填剤としてのシリカは添加してもしなくてもよい。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。また本発明のゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜5および比較例1〜5
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、ジチオジカプロラクタム、加硫促進剤および硫黄を除く成分を1.7リットルのB型バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。放出時の組成物の温度は、150℃であった。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、ジチオジカプロラクタム、加硫促進剤および硫黄を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で10分間および20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。ゴム組成物および加硫ゴム試験片について、以下に示す試験法で物性を測定した。
粘度:JIS K6300に準拠して100℃にて測定した。比較例1の値を100として、指数表示した。指数が大きいほど粘度が高いことを示す。
破断伸び:JIS K6251に準拠して、3号ダンベルにより室温または100℃の環境下で測定した。比較例1の値を100として、指数表示した。指数が大きいほど破断伸びに優れることを示す。
糸/ゴム接着性:レゾルシンホルマリン(RF)処理したポリエステルコード(1500デニール、2本撚り)を、厚さ12.5mm、幅12.5mmの未加硫シートでサンドイッチし、160℃、20分の条件で加硫した。ついでASTM D2229に準拠して、室温または100℃の環境下において、そのサンプルからコードを引抜き、そのときの引抜力を評価した。比較例1の値を100として、指数表示した。指数が大きいほど引抜力が高く、ポリエステルコードとゴム組成物との接着性に優れていることを示す。
Figure 2011016924
*1:NR(STR−20)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製、Nipol 1502)
*3:BR(日本ゼオン(株)製、BR1220)
*4:カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名シースト3、窒素吸着比表面積(NSA)=79m2/g)
*5:カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名シーストSO、窒素吸着比表面積(NSA)=42m2/g)
*6:カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名シースト 6、窒素吸着比表面積(NSA)=117m2/g)
*7:亜鉛華(正同化学工業(株)製、酸化亜鉛3種)
*8:ステアリン酸(日油(株)製、ビーズステアリン酸YR)
*9:老化防止剤(精工化学(株)製、オゾノン6C)
*10:硫黄(細井化学工業製、油処理硫黄)
*11:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、ノクセラー)
*12:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーNS−P)
*13:ジチオジカプロラクタムDTDC(ラインヘミー社製、レノグランCLD−80(EPDM中にDTDC成分を80%の割合で分散したもの。表1ではレノグランCLD−80量を記載した)
上記の表から明らかなように、実施例1〜5で調製されたゴム組成物は、特定のゴム成分の特定量、特定のカーボンブラックの特定量、ジチオジカプロラクタムの特定量、硫黄とジチオジカプロラクタムとの特定配合比を組み合わせているので、高い破断特性を有し、タイヤコードとの接着性にも優れている。また粘度も低く成形加工性に優れる。
これに対し、比較例1のゴム組成物は、ジチオジカプロラクタムを配合していないので、破断伸びおよび糸/ゴム接着性に改善が見られない。
比較例2のゴム組成物は、硫黄とジチオジカプロラクタムとの配合比が本発明で規定する下限を下回っているので、破断伸びおよび糸/ゴム接着性が比較例1と比べてもさらに悪化する結果となった。
比較例3のゴム組成物は、DTDC配合量が本発明で規定する上限を超えているので、破断伸びおよび糸/ゴム接着性が比較例1と比べてもさらに悪化する結果となった。
比較例4のゴム組成物は、硫黄とジチオジカプロラクタムとの配合比が本発明で規定する上限を超えているので、破断伸びおよび糸/ゴム接着性が比較例1と比べてもさらに悪化する結果となった。
比較例5のゴム組成物は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が本発明の範囲外であるので、粘度が上昇し、成形加工性が悪化た。
比較例6のゴム組成物は、NRおよびSBRの配合量が本発明の範囲外であるので、破断伸びおよび糸/ゴム接着性が比較例1と比べてもさらに悪化する結果となった。
1 ビード部
2 サイドウォール
3 トレッド
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層

Claims (4)

  1. (a)天然ゴム50質量部以上、(b)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム20〜50質量部、(c)ブタジエンゴム0〜20質量部(ただし、前記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計は100質量部である)、(d)窒素吸着比表面積が20〜100m2/gのカーボンブラックを30〜70質量部、(e)硫黄を下記規定量および(f)ジチオジカプロラクタムを0.5〜4.0質量部含有し、前記(e)成分および(f)成分の質量比が、(e)/(f)として0.2〜0.8であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. タイヤコードを被覆するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. カーカスを被覆するために用いられることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
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