JP2011016162A - クラウニング付歯車の製造方法及び装置 - Google Patents

クラウニング付歯車の製造方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】正確な形状のクラウニングを効率よく形成することができ、安定して高い品質を確保しやすい、クラウニング付歯車と、クラウニング付歯車の製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】冷間鍛造によってクラウニングが形成された歯車において、歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されている。
【選択図】図12

Description

本発明は、クラウニング付歯車と、クラウニング付歯車の製造方法及び装置に関する。クラウニング付歯車は、歯車の歯すじの方向に適当なふくらみをつけて、歯厚が軸方向中心部から軸方向両端部に向って薄くなる歯車である。
鍛造加工によるクラウニング付歯車の製造方法は、特開2007−167862(特許文献1)、特開2003−245746(特許文献2)、特開2003−220442(特許文献3)等に開示されている。
特許文献1においては、クラウニングのない内歯歯車状の歯形を内周面に有するコアが、リングの内壁面の中に、リングの軸心方向に圧入され、そのとき、コアの外周面が変形し、それに伴ってコアの内周面の歯形にクラウニングが付けられる片側クラウニング法や、クラウニングのない内歯歯車状の歯形を内周面に有するコアが、その外周面に、クラウニングをつけるための締め代用の増量部を有し、そのようなコアが、リングのテーパ状内壁面の中に、リングの軸心方向に圧入され、増量部が変形してテーパ状となり、それに伴ってコアの内周面の歯形にクラウニングが付けられる片側クラウニング法が記載されている。
特許文献2に記載されているクラウンギヤの冷間鍛造装置においては、内周面又は外周面の一方の面に歯厚が全長に亘って略等厚となる成型歯を形成し、他方の面をテーパー面に形成してなる環状のダイスを、そのテーパー面を介してダイスガイドにテーパー嵌合させ、少なくとも一方のテーパー面の軸方向両端部に半径方向に膨出する環状の膨出部を設け、外周又は内周に粗歯が形成された中間製品をダイスに嵌合させるとともにその粗歯をダイスの成型歯に噛合させ、ダイスとダイスガイドとのうちの少なくとも一方を他方に対してダイスが半径方向に弾性変形する軸方向に相対移動させるダイスパンチを設ける。
特許文献3においては、歯厚が一定の外歯歯車である粗材の歯をクラウニング付歯形に成形するクラウニング付歯形の鍛造成形方法が示されている。上パンチの押圧により粗材の歯を下端から第1空間に挿入して歯の下端から中央部までクラウニングを成形し、第1空間と上ダイの第2空間が滑らかに繋がるように下ダイと上ダイを密着させた後、下ダイ内に保持された粗材を下パンチの押圧により上端から第2空間に挿入して歯の上端から中央部にクラウニングを成形する。
特開2007−167862 特開2003−245746 特開2003−220442
特許文献1に記載の片側クラウニング成形方法によって両端にクラウニングを付ける場合は、歯車を1つの型の中に入れたまま、歯車の上半分と下半分にクラウニングを付けることができず、一回目に片側を成形し、反対側は歯車を型から出して反転してから、二回目の成形をしなければならない。二回目の成形荷重により一回目に成形したクラウニングの精度を悪化させてしまう恐れがある。
特許文献2に記載の発明によれば、大量生産時にクラウニング量を上下個別に調節することが容易にできない。ダイスガイドのテーパー穴に膨出部を設けるので、膨出部を形成することが容易ではない。調整作業が困難であり、効率が悪いだけでなく、安定した品質が確保しがたい。
特許文献3の発明においては、互いに密着させる上ダイと下ダイとを使用して、粗材の歯を下ダイの第1空間と上ダイの第2空間で別々にクラウニングを成形する。効率が悪いだけでなく、安定した品質が確保しがたい。
本発明の目的は、正確な形状のクラウニングを効率よく形成することができ、安定して高い品質を確保しやすい、クラウニング付歯車と、クラウニング付歯車の製造方法及び装置を提供することである。
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
(1)冷間鍛造によってクラウニングが形成された歯車において、歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されていることを特徴とするクラウニング付歯車。
(2)前述のクラウニング付歯車を製造する方法において、
予めクラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品を準備しておき、
内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型を使用して、型の下側係合面をテーパ穴付リングに設定して、型の円筒歯形の下側部分を、ピッチ円が軸方向に円弧形状の曲面に沿うように弾性変形させ、かつ、型の円筒歯形の上側部分は円筒形状のままとし、
被加工品を型の中に挿入して、まず、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形し、そのとき、被加工品の上側部分はクラウニングなしの円筒形状のままとし、
その後、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形することを特徴とするクラウニング付歯車の製造方法。
(3)被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持されることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
(4)被加工品の下側部分にクラウニングを形成するときに、被加工品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、被加工品の一方の端面のみを型の軸心方向に押圧して、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形に接触させて被加工品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮し、それと同時に、被加工品の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出し、その突き出しのときに被加工品の歯形の歯先が型の歯形に接触しない状態を維持し、
次に、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
(5)被加工品の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
(6)被加工品の上側部分と下側部分に互いに異なるクラウニング量を付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
(7)被加工品の中心に貫通穴が形成されていて、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
(8)被加工品の中心に貫通穴が形成されておらず、センターピンを使用せずに、型に入れたまま、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
(9)前述のクラウニング付歯車を製造する装置において、
内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型と、型の下側係合面を設定するためのテーパ穴付リングとを設け、型の下側係合面がテーパ穴付リングに設定された状態において型の下側係合面がテーパ穴付リングに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分が円弧状に弾性変形されているとともに、型の円筒歯形の上側部分が円筒形状に維持され、その状態において、円筒歯形を有する被加工品が型の中に挿入されて、被加工品の下側部分にクラウニング付歯形を成形するとともに、被加工品の上側部分の歯形は円筒形状を維持し、
外側パンチが内側テーパを有し、型の上側係合面が外側パンチの内側テーパによって押圧されて、型の上側部分が内向きに弾性変形され、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形が成形されることを特徴とするクラウニング付歯車の製造装置。
(10)型の下端に位置決め座金を設けて、テーパ穴付リングに対する型の位置を決めることによりクラウニング量を調整することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
(11)クラウニング量を調整するために、テーパ穴付リングの上に外側パンチ停止位置調整手段が設けられていることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
(12)被加工品の中心に貫通穴が形成されており、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、外側パンチ、パンチスリーブ及びノックアウトスリーブを用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
(13)被加工品の中心に貫通穴が形成されておらず、センターピンを使用せずに、外側パンチ、パンチピン及びノックアウトピンを用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
(14)被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持されることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
(15)被加工品の下側部分にクラウニングを形成するときに、被加工品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、被加工品の一方の端面のみを型の軸心方向に押圧して、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形に接触させて被加工品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮し、それと同時に、被加工品の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出し、その突き出しのときに被加工品の歯形の歯先が型の歯形に接触しない状態を維持し、続いて、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
(16)前述のクラウニング付歯車を製造するための金型であって、クラウニング付歯車の歯底の円弧形状に相当する円弧形状が金型の外側に形成されており、金型の内側に円筒歯形が形成されており、金型が弾性変形する型材で作られていることを特徴とする金型。
(17)弾性変形をしやすくするために、金型の厚みが、入口で小さく、最奥位置で大きくなっていることを特徴とする前述の金型。
本発明の第1実施例によるクラウニング付歯車を製造する一連の工程の1つを示す。 図1に続く工程を示す。 図2に続く工程を示す。 図3に続く工程を示す。 図1〜4の工程で使用する金型の一例を示す概略断面図。 図1〜4の工程で使用するテーパ穴付リングを示す概略断面図。 図5に示す金型と図6に示すテーパ穴付きリングとを組合せた状態を示す概略断面図。 本発明の第2実施例によるクラウニング付歯車を製造する一連の工程の1つを示す。 図8に続く工程を示す。 図9に続く工程を示す。 図10に続く工程を示す。 (A)は、従来の歯面研磨法によるクラウニング付歯車の製造例を示し、(B)は、本発明によるクラウニング付歯車の製造例を示す。
本発明によるクラウニング付歯車は、冷間鍛造によってクラウニングが形成された歯車である。
本発明によるクラウニング付歯車においては、歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されている。歯車の一端側の第1部分と他端側の第2部分(鍛造加工時の状態で見れば上側部分と下側部分)に同一のクラウニング量を付けてもよいし、互いに異なるクラウニング量を付けてもよい。
本発明によるクラウニング付歯車を製造する方法及び装置においては、好ましくは、クラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品を予め数多く準備しておく。そのような被加工品は、任意の製造方法で製造できる。例えば、被加工品は、冷間鍛造によって製造してもよいし、切削加工で製造してもよい。
内側に円筒歯形を有するとともに外側に下側係合面と上側係合面を有しかつ弾性変形しうる型(ダイスやコアともいう)と、テーパ穴付リングと、内側テーパを有する外側パンチとを巧みに組合わせる。テーパ穴付リングのテーパ穴に型の下側係合面を設定する。とくに、テーパ穴付リングのテーパと型の下側係合面とを係合させて、型の円筒歯形の下側部分の歯先を円弧状の面(仮想の面)に沿うように弾性変形させる。型の円筒歯形の上側部分は本来の円筒形状のままにしておく。
冷間鍛造のために、被加工品を型の中に挿入して、まず、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を成形する。そのとき、被加工品の上側部分は、クラウニングなしの円筒形状のままとする。
その後、外側パンチを下降させて、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを係合させる。そのとき、外側パンチによって型の上側部分が押圧されて内向きに弾性変形される。そのように弾性変形された型の上側部分によって、被加工品の上側部分が押圧され、そこにクラウニング付歯形が冷間鍛造の形で成形される。
次に、外側パンチが上昇して、外側パンチが型と係合しなくなったとき、弾性変形されていた型の上側部分の形状は元の状態に復帰する。
被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持される。好ましくは、被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形する冷間鍛造の途中、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底とが全く接触しないようにする。
クラウニング付歯車を製造する装置の好適な例においては、被加工品の上方にパンチ(形状はスリーブ又はピン)を設け、被加工品の下方にノックアウト(形状はスリーブ又はピン)を設け、さらに、内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面及び下側係合面を有しかつ弾性変形しうる型と、内側テーパを有する外側パンチと、型を内側に設定するためのテーパ穴付リングとが設けられている。
型の下側係合面がテーパ穴付リングのテーパの所定位置に設定された状態において、型の下側部分がテーパ穴付リングによって内向きに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分は、ピッチ円が仮想の円弧状の面に沿うように内向きに弾性変形されている。このとき、型の円筒歯形の上側部分は、本来の円筒形状に維持されている。
そのような状態において、円筒歯形である被加工品が型の最奥位置まで挿入されて、被加工品の下側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。このとき、被加工品の上側部分の歯形は本来の円筒形状に維持されている。
外側パンチは、型の上側係合面に係合して型の上側部分を内向きに変形させるための内側テーパを有する。
外側パンチが下降すると、型の上側係合面が外側パンチの内側テーパによって内向きに押圧されて、型の上側部分が内向きに弾性変形される。その結果、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。
好ましくは、クラウニング量の調整のために、例えば、被加工品の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けたり、互いに異なるクラウニング量を付けたりするために、座金を使用する。とくに、型の下端に位置決め用の座金を設けて、テーパ穴付リングに対する型の位置を適当に決めることにより、被加工品の下側部分のクラウニング量を調整する。このような型の位置決め用の座金と組み合わせて、テーパ穴付リングの上面に外側パンチ停止位置調整手段(最適には締付リングと座金で構成する)を設けて、外側パンチの下降時の停止位置を調節して、被加工品の上側部分のクラウニング量を調整する。
これらの座金の高さは、単数の座金を入れかえて(互いに高さの異なる複数の座金から最適の1つを選ぶことによって)調整してもよいし、複数の座金の組合わせを変更して調整してもよい。
被加工品の中心に貫通穴が形成されている場合は、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、外側パンチ、パンチスリーブ、ノックアウトスリーブ等を用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付ける。
被加工品の中心に貫通穴が形成されていない場合は、センターピンを使用せずに、外側パンチ、パンチピン、ノックアウトピン等を用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付ける。
被加工品が貫通穴を有する場合も、被加工品が貫通穴を有さない場合も、被加工品の下側部分にクラウニングを形成するとき、好ましくは、「突き出し」加工をする。
「突き出し」加工と、「絞り」加工および「張り出し」加工とは、被加工品の、冷間鍛造による形状の変化と加工圧のかかり方が、基本的に相違している。
絞り加工は、被加工品の横断面を全体的に絞る鍛造加工(つまり被加工品の横断面を全体的に減少させる鍛造加工)であるので、その分、軸心方向の寸法(長さ)がわずかに増加する。
これとは逆に、張り出し加工は、被加工品の横断面を全体的に張り出す加工である。張り出し加工の場合は、歯先部に欠肉が生じないように、被加工品の材料を型の歯形内に充満させるので、その分、軸心方向の寸法(長さ)がわずかに減少する。
また、絞り加工では、全周にわたって、被加工品の横断面の全体を減少させるので、型の入り口部分に加工圧が集中する。そのため、歯形表面に軸心方向に沿って筋が付きやすい欠点がある。
これとは逆に、張り出し加工では、被加工品の歯形が全体的に型の歯形よりも小さいため、被加工品は、型の入口から奥まで型の中にスムーズに入る。加工圧が集中するのは、型の最も奥の位置である。その型の最奥位置で、被加工品の両端面が互いにパンチ等で軸心方向に押圧された瞬間に、加工圧は急激に増大する。
「絞り」加工および「張り出し」加工のいずれの場合も、加工の際に、被加工品の歯形の歯先は、型の歯形に密に接触する。もし仮に張り出し加工のときに被加工品の歯形の歯先を型の歯形に密に接触させないとすると、被加工品の歯先部分に欠肉が生じてしまう。このような被加工品は不良品である。また、絞り加工のときに被加工品の歯形の歯先を型の歯形に密に接触させないことは実際上ありえず、それでは「絞り」の作用が生じない。
これに対し、「突き出し」加工は、被加工品を型の入口から中に入れて軸心方向に最奥位置まで移動させていく間に、被加工品の一方の端面のみを押圧して、被加工品の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで非常に広い範囲にわたって型の歯形に接触させて被加工品の歯形を型の歯形によって圧縮すると同時に、被加工品の歯先を半径の外向き方向に突き出す。そのとき、被加工品の歯先と型の歯形との間に隙間が存在するようにする。
このような突き出し加工で重要なことは、被加工品を型の入口から中に入れて軸心方向に最奥位置まで移動させていく間に、つねに被加工品の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形が接触して被加工品の広い範囲を圧縮し、しかも、そのとき、被加工品の歯先と型の歯形との間に、小さな空間を存在させることである。
以上説明したように、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を成形する工程で採用する「突き出し」加工においては、被加工品が型の中に入って最奥位置まで移動する間に、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで非常に広い範囲にわたって型の歯形が接触し、かつ、被加工品の歯先と型の歯形との間に、常に隙間が存在するので、非常に精密な冷間鍛造ができるのである。
このような「突き出し」加工に続けて、同じ型の中で、外側パンチによって型の上側部分が押圧されて内向きに弾性変形される。そして、弾性変形された型の上側部分によって、被加工品の上側部分が押圧され、そこにクラウニング付歯形が冷間鍛造の形で成形される。このときも、被加工品の歯先と型の歯形との間に、常に隙間が存在するので、非常に精密な冷間鍛造ができるのである。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
図12において、上側の(A)は、歯面研磨法によって円筒歯車100を研磨してクラウニング付歯車200に製造する従来例を示している。この場合、円筒歯車100は、ピッチ円101、歯底102および歯先103が、すべて軸方向両端間で円筒形状に沿って形成されているのに対し、クラウニング付歯車200は、ピッチ円201が軸方向両端間で円弧形状に沿って形成されている。
下側の(B)は、本発明により、円筒歯車100からクラウニング付歯車300を製造する一例を示している。
(B)の円筒歯車100は、(A)と同じものであるが、(B)のクラウニング付歯車300は、(A)のクラウニング付歯車200とは基本構成が本質的に相違している。
従来例のクラウニング付歯車200を示す(A)においては、ピッチ円201のみが軸方向両端間で仮想の円弧形状に沿って形成されており、歯底202と歯先203は仮想の円筒形状に沿って形成されている。
これに対し、本発明のクラウニング付歯車300を示す(B)においては、歯先303のみが軸方向両端間で仮想の円筒形状に沿って形成されており、ピッチ円301が軸方向両端間で仮想の円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底302が軸方向両端間で仮想の円弧形状の曲面に沿って形成されている。
なお、図12には示されていないが、クラウニング付歯車300の両端の一方又は両方に種々の表面形状の部分を付加することも可能である。
図1〜7を参照して、中心に貫通穴のあるクラウニング付歯車を製造する一連の工程を説明する。
図1に符号10で示されているのは、クラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品である。このような被加工品10を予め数多く準備しておく。
被加工品10は、中心に貫通穴10cが形成されていて、図2に示すように、その貫通穴10cにセンターピン26を入れた状態のまま、被加工品10の上側部分10bと下側部分10aにクラウニングを付ける。
内側に円筒歯形12aを有するとともに外側に上側係合面12b及び下側係合面12cを有しかつ弾性変形し得る型12(図5を参照して後述する)と、型12の下側係合面12cを設定するためのテーパ穴14aを有するリング14とが設けられる。
図1に示すように型12の下側係合面12cがリング14のテーパ穴14aに設定された状態において、型12の下側部分がそのテーパ穴付リング14によって内向きに押圧されて、型12の円筒歯形の下側部分12cの歯先が円弧状の面(仮想の面)に沿って弾性変形される。そのとき、型12の円筒歯形の上側部分は本来の円筒形状に維持されている。
図1に示すように、図示しない設定手段によって、円筒歯車である被加工品10が型12の入口12dのところに設定される。
その後、パンチスリーブ16が図1の位置から下降して、図2の位置に到来する間に、被加工品10は、型12によって「突き出し」加工される。すなわち、被加工品10が型12の入口12dから中に入り軸心方向にセンターピン26によってガイドされながら図2に示す最奥位置まで移動していく間に、被加工品10の上端面のみをパンチスリーブ16の下端で押圧して、とくに、被加工品10の下側部分が金型12の下側部分を通過していくとき、被加工品10の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで非常に広い範囲にわたって型12の歯形に接触させて被加工品10の歯形を型12の歯形によって圧縮すると同時に、被加工品10の歯先を半径の外向き方向に突き出す。そのとき、被加工品10の歯先と型12の歯形との間に隙間が存在する。このような「突き出し」加工によって、被加工品10の下側部分10aにクラウニング付歯形が成形される。このとき、図2に示すように、被加工品10の円筒歯形の上側部分10bは円筒形状を維持している。
外側パンチ18は、パンチスリーブ16と同一軸芯上に配置されていて、下降位置で金型12の上側係合面12bと係合する内側テーパ18aを有する。
冷間鍛造のとき、外側パンチ18は、パンチスリーブ16よりもタイミング的に少し遅れて下降する。すると、図3に示すように、型12の上側係合面12bが外側パンチ18の内側テーパ18aによって押圧されて、型12の上側部分12fが内向きに弾性変形され、被加工品10の上側部分10bにクラウニング付歯形が成形される。
型12の下端に位置決め座金20を設けて、テーパ穴付リング14に対する型12の位置を最適位置に決めることにより、クラウニング量を最適値に調整する。例えば、種々の高さの座金20を予め準備しておいて、適当な高さの座金20を選んで使用する。
また、この座金20と組み合わせて、テーパ穴付リング14に対する外側パンチ18の停止位置を調整するために、調整手段22が設けられている。この外側パンチ18の停止位置を調整する調整手段22は、締付リング24と外側パンチ停止位置調整座金25で構成するのが好ましい。
テーパ穴付きリング14は、バックプレート30の上面に同一軸芯上にセットされている。ダイケース32がそれらのバックプレート30とテーパ穴付リング14を取り囲む形で固定している。締付リング24は、ダイケース32の上端にボルト31によって固定されて、座金25を締めつけている。
図4に示されているクラウニング付歯車300(詳細は図12を参照)は、被加工品10の下側部分10aと上側部分10bの両方に図3に示されているようにクラウニングが形成されたあと、ノックアウトスリーブ40の上端によってクラウニング付歯車300の下端が押し上げられ、歯車300全体が金型12の外側に出る。このあと、さらに設定手段(図示せず)によって歯車300は所定位置に移送される。
図5は、前述の実施例1に使用する金型12の具体例を示している。
図5に示すように、金型12は、テーパ穴付リング14に設定する前の状態において、クラウニング付歯車300(図12)の歯底の円弧形状に相当する円弧形状が金型12の外側の所定の領域Bに形成されており、金型12の内側には円筒歯形12aが形成されている。金型12は、弾性変形する型材で作られている。
好ましくは、被加工品10の歯幅に相当する領域Bにおいて金型12の環状外表面が縦断面でみて前述のような円弧形状になっており、その領域Bの上側半分(B/2)に上側係合面12bが形成されており、下側半分(B/2)に下側係合面12cが形成されている。クラウニング付歯車300(図12)が形成できるのであれば、上側係合面12bと下側係合面12cとが1つの大きな円弧形状に構成されていてもよいし、2つ以上の円弧形状の組合せやその他の構成であってもよい。
上側係合面12bと下側係合面12cは、図5に示すように、仮想の円錐面70(円筒面ではない)を基準にして、テーパに沿って断面凹形の円弧形状の表面にするのが好ましい。そして、弾性変形をしやすくするために、金型12の厚みが、入口で小さく、最奥位置で大きくなっている。例えば、金型12の下端部の厚みを円筒歯形12aの歯高の1〜2倍にし、かつ、金型12の領域Bの上端部の厚みを円筒歯形12aの歯高とほぼ同一かそれよりも少し大きくして(例えば1〜1.5倍にして)、弾性変形を良好にするのが好ましい。さらに、金型12の入口12dにピッチ円(P)よりも径の大きいガイド部12hを設けるのが好ましい。符号75は、金型12の下端部の想定上の最小縮径位置を示す。
図5に示す金型12を、図6に拡大して示すテーパ穴付リング14のテーパ穴14aに設定すると、図7に示すような状態になる。このとき、金型12の下側部分12gにクラウニングが付く。
図8〜11を参照して、貫通穴のないクラウニング付歯形を製造する一連の工程を説明する。
同一の参照符号は、図1〜12において実質的に同一の部材や部分を示す。
図8〜11の実施例においては、被加工品110が貫通穴を有していない。それゆえ、センターピンを用いない。
内側に円筒歯形を有するとともに外側に下側係合面12cと上側係合面12bを有しかつ弾性変形し得る型12(ダイスやコアともいう)と、テーパ穴付リング14と、内側テーパ穴18aを有する外側パンチ18とを巧みに組合わせる。
テーパ穴付リング14のテーパ穴18aに型12の下側係合面12cを設定する。とくに、リング14のテーパ穴14aと型12の下側係合面12cとを係合させて、型12の円筒歯形の下側部分を円弧状に弾性変形させる。そのとき、型12の円筒歯形の上側部分は本来の円筒形状のままにしておく。
冷間鍛造のために、被加工品110を型12の中に挿入する。まず、被加工品110の下側部分に型12の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を成形する。そのとき、被加工品110の上側部分は、クラウニングなしの円筒形状のままとする。
その後、外側パンチ18を下降させて、型12の上側係合面12bに外側パンチ18の内側テーパ18aを係合させる。そのとき、外側パンチ18によって型12の上側部分が押圧されて内向きに弾性変形される。そのように弾性変形された型12の上側部分によって、被加工品110の上側部分が押圧され、そこにクラウニング付歯形が冷間鍛造の形で成形される。
次に、外側パンチ18が上昇して、外側パンチ18が型12と係合しなくなったとき、弾性変形されていた型12の上側部分の形状は元の状態に復帰する。
被加工品110の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するとき、「突き出し」加工を採用する。被加工品110の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間を維持する。冷間鍛造の途中、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底とが全く接触しないようにする。
クラウニング付歯車を製造する装置においては、被加工品110の上方にパンチピン116を設け、被加工品110の下方にノックアウトピン140を設け、さらに、内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面12b及び下側係合面12cを有しかつ弾性変形する型12と、型12の外側に配置する、内側テーパ18aを有する外側パンチ18と、型12を内側に設定するためのテーパ穴付リング14とを設ける。
型12の下側係合面12cがリング14のテーパ穴14aの所定位置に設定された状態において、型12の下側部分がテーパ穴付リング14に内向きに押圧されて、型12の円筒歯形の下側部分が円弧状に内向きに弾性変形されている。このとき、型12の円筒歯形の上側部分は、本来の円筒形状に維持されている。
そのような状態において、円筒歯車である被加工品110が型12の最奥位置まで挿入されて、被加工品110の下側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。このとき、被加工品110の上側部分の歯形は円筒形状に維持されている。
外側パンチ18は、型12の上側係合面12bに係合して型12の上側部分を内向きに変形させるための内側テーパ18aを有する。
外側パンチ18が下降すると、型12の上側係合面12bが外側パンチ18の内側テーパ18aによって押圧されて、型12の上側部分が内向きに弾性変形され、被加工品110の上側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。
被加工品110の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けたり互いに異なるクラウニング量を付けたりするために、座金20、25を使用する。例えば、型12の下端に位置決め用の座金20を設けて、テーパ穴付リング14に対する型の位置を適当に決めることにより、被加工品110の下側部分のクラウニング量を調整する。このような型12の位置決め用の座金20と組み合わせて、テーパ穴付リング14の上面に外側パンチ18を所望位置に停止させるための位置調整手段22(最適には締付リング24と座金25で構成する)を設けて、外側パンチ18の停止位置を調節して、被加工品110の上側部分のクラウニングを調整する。
これらの座金20、25の高さは、単数の座金を入れかえて調整してもよいし、複数の座金の組合わせを変更して調整してもよい。
このように、被加工品10、110が貫通穴を有するか否かにかかわらず、被加工品10、110の下側部分にクラウニングを形成するとき、「突き出し」加工をするのが好ましい。
前述の実施例1及び2は、次のような効果を奏する。
図12の(A)に示す従来の歯面研磨法は、周知のとおり、円盤状の砥石を使用するため、歯車の形状によっては、砥石が被加工品に干渉する。そのため、ねじれ角の大きいヘリカル歯車や、フランジ付歯車は、加工不能である。
シェービン加工の場合も、ホブが円筒であるため、同様の不都合が生じる。
本発明によれば、このような不都合が生じない。
本発明に用いる金型は、製作が容易である。例えば、金型の内側の円筒歯形はワイヤカット方式で放電加工すれば、正確な円筒歯形を簡単に形成できる。金型の外側の上側係合面、下側係合面その他は、周知の方法で機械加工をすることができる。
また、油圧プレスを使用して機械を作動して、クラウニングの塑性成形をすると、成形圧力を一定に制御しやすく、精度にバラツキが少なくなり、しかも、金型の寿命が長くなる。
なお、図1〜12には、見やすくするために、クラウニング量が誇大に示されているが、例えば、クラウニング量は、数ミクロン〜十数ミクロンとし、千分の一ミリ単位で設計されることが多い。
また、前述のクラウニング付歯車の製造方法及び装置によれば、型の位置決め座金や、外側パンチ停止位置調整座金を入れ替えることにより容易にかつ正確に歯車の上側部分と下側部分についてクラウニングの大きさを別々に調節することができる。
外側パンチ停止位置調整座金は、型に掛かる過大荷重を防ぐと共に、外側パンチの下降位置を正確に位置決めして、型の圧縮変形量(クラウニング量)を所望の値にしやすい。
さらに、型の端面に外側パンチが当接しないため、必要最低限の荷重でクラウニング成形を行なえる。
また、パンチスリーブとノックアウトスリーブの加圧機構に油圧シリンダーを用いて、圧力一定とすれば、被加工品に加わる荷重を一定にしやすい。
加工ロット毎の変化に対しては油圧の圧力を調節して、クラウニング量の変化を小さくできる。これにより高精度でバラツキの小さいクラウニング成形の量産が可能になる。
変形率が0.025〜0.05%の圧縮変形と想定すれば、型の縮径(変形)に対する耐久性は、通常の型鋼を使用すれば充分である。
本発明は、クラウニング付歯車の製造方法及び装置に関する。クラウニング付歯車は、歯車の歯すじの方向に適当なふくらみをつけて、歯厚が軸方向中心部から軸方向両端部に向って薄くなる歯車である。
鍛造加工によるクラウニング付歯車の製造方法は、特開2007−167862(特許文献1)、特開2003−245746(特許文献2)、特開2003−220442(特許文献3)等に開示されている。
特許文献1においては、クラウニングのない内歯歯車状の歯形を内周面に有するコアが、リングの内壁面の中に、リングの軸心方向に圧入され、そのとき、コアの外周面が変形し、それに伴ってコアの内周面の歯形にクラウニングが付けられる片側クラウニング法や、クラウニングのない内歯歯車状の歯形を内周面に有するコアが、その外周面に、クラウニングをつけるための締め代用の増量部を有し、そのようなコアが、リングのテーパ状内壁面の中に、リングの軸心方向に圧入され、増量部が変形してテーパ状となり、それに伴ってコアの内周面の歯形にクラウニングが付けられる片側クラウニング法が記載されている。
特許文献2に記載されているクラウンギヤの冷間鍛造装置においては、内周面又は外周面の一方の面に歯厚が全長に亘って略等厚となる成型歯を形成し、他方の面をテーパー面に形成してなる環状のダイスを、そのテーパー面を介してダイスガイドにテーパー嵌合させ、少なくとも一方のテーパー面の軸方向両端部に半径方向に膨出する環状の膨出部を設け、外周又は内周に粗歯が形成された中間製品をダイスに嵌合させるとともにその粗歯をダイスの成型歯に噛合させ、ダイスとダイスガイドとのうちの少なくとも一方を他方に対してダイスが半径方向に弾性変形する軸方向に相対移動させるダイスパンチを設ける。
特許文献3においては、歯厚が一定の外歯歯車である粗材の歯をクラウニング付歯形に成形するクラウニング付歯形の鍛造成形方法が示されている。上パンチの押圧により粗材の歯を下端から第1空間に挿入して歯の下端から中央部までクラウニングを成形し、第1空間と上ダイの第2空間が滑らかに繋がるように下ダイと上ダイを密着させた後、下ダイ内に保持された粗材を下パンチの押圧により上端から第2空間に挿入して歯の上端から中央部にクラウニングを成形する。
特開2007−167862 特開2003−245746 特開2003−220442
特許文献1に記載の片側クラウニング成形方法によって両端にクラウニングを付ける場合は、歯車を1つの型の中に入れたまま、歯車の上半分と下半分にクラウニングを付けることができず、一回目に片側を成形し、反対側は歯車を型から出して反転してから、二回目の成形をしなければならない。二回目の成形荷重により一回目に成形したクラウニングの精度を悪化させてしまう恐れがある。
特許文献2に記載の発明によれば、大量生産時にクラウニング量を上下個別に調節することが容易にできない。ダイスガイドのテーパー穴に膨出部を設けるので、膨出部を形成することが容易ではない。調整作業が困難であり、効率が悪いだけでなく、安定した品質が確保しがたい。
特許文献3の発明においては、互いに密着させる上ダイと下ダイとを使用して、粗材の歯を下ダイの第1空間と上ダイの第2空間で別々にクラウニングを成形する。効率が悪いだけでなく、安定した品質が確保しがたい。
本発明の目的は、正確な形状のクラウニングを効率よく形成することができ、安定して高い品質を確保しやすい、クラウニング付歯車の製造方法及び装置を提供することである。
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されているクラウニング付歯車を冷間鍛造によって製造する方法において、
予めクラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品を準備しておき、
内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型を使用して、型の下側係合面をテーパ穴付リングに設定して、型の円筒歯形の下側部分を、ピッチ円が軸方向に円弧形状の曲面に沿うように弾性変形させ、かつ、型の円筒歯形の上側部分は円筒形状のままとし、
被加工品を型の中に挿入して、まず、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形し、そのとき、被加工品の上側部分はクラウニングなしの円筒形状のままとし、
その後、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形することを特徴とするクラウニング付歯車の製造方法。
)被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持されることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
)被加工品の下側部分にクラウニングを形成するときに、被加工品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、被加工品の一方の端面のみを型の軸心方向に押圧して、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形に接触させて被加工品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮し、それと同時に、被加工品の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出し、その突き出しのときに被加工品の歯形の歯先が型の歯形に接触しない状態を維持し、
次に、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
)被加工品の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
)被加工品の上側部分と下側部分に互いに異なるクラウニング量を付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
)被加工品の中心に貫通穴が形成されていて、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
)被加工品の中心に貫通穴が形成されておらず、センターピンを使用せずに、型に入れたまま、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付けることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造方法。
歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されているクラウニング付歯車を冷間鍛造によって製造する装置において、
内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型と、型の下側係合面を設定するためのテーパ穴付リングとを設け、型の下側係合面がテーパ穴付リングに設定された状態において型の下側係合面がテーパ穴付リングに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分が円弧状に弾性変形されているとともに、型の円筒歯形の上側部分が円筒形状に維持され、その状態において、円筒歯形を有する被加工品が型の中に挿入されて、被加工品の下側部分にクラウニング付歯形を成形するとともに、被加工品の上側部分の歯形は円筒形状を維持し、
外側パンチが内側テーパを有し、型の上側係合面が外側パンチの内側テーパによって押圧されて、型の上側部分が内向きに弾性変形され、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形が成形されることを特徴とするクラウニング付歯車の製造装置。
)型の下端に位置決め座金を設けて、テーパ穴付リングに対する型の位置を決めることによりクラウニング量を調整することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
10)クラウニング量を調整するために、テーパ穴付リングの上に外側パンチ停止位置調整手段が設けられていることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
11)被加工品の中心に貫通穴が形成されており、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、外側パンチ、パンチスリーブ及びノックアウトスリーブを用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
12)被加工品の中心に貫通穴が形成されておらず、センターピンを使用せずに、外側パンチ、パンチピン及びノックアウトピンを用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
13)被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持されることを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
14)被加工品の下側部分にクラウニングを形成するときに、被加工品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、被加工品の一方の端面のみを型の軸心方向に押圧して、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形に接触させて被加工品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮し、それと同時に、被加工品の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出し、その突き出しのときに被加工品の歯形の歯先が型の歯形に接触しない状態を維持し、続いて、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を形成することを特徴とする前述のクラウニング付歯車の製造装置。
本発明の第1実施例によるクラウニング付歯車を製造する一連の工程の1つを示す。 図1に続く工程を示す。 図2に続く工程を示す。 図3に続く工程を示す。 図1〜4の工程で使用する金型の一例を示す概略断面図。 図1〜4の工程で使用するテーパ穴付リングを示す概略断面図。 図5に示す金型と図6に示すテーパ穴付きリングとを組合せた状態を示す概略断面図。 本発明の第2実施例によるクラウニング付歯車を製造する一連の工程の1つを示す。 図8に続く工程を示す。 図9に続く工程を示す。 図10に続く工程を示す。 (A)は、従来の歯面研磨法によるクラウニング付歯車の製造例を示し、(B)は、本発明によるクラウニング付歯車の製造例を示す。
本発明によるクラウニング付歯車は、冷間鍛造によってクラウニングが形成された歯車である。
本発明によるクラウニング付歯車においては、歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されている。歯車の一端側の第1部分と他端側の第2部分(鍛造加工時の状態で見れば上側部分と下側部分)に同一のクラウニング量を付けてもよいし、互いに異なるクラウニング量を付けてもよい。
本発明によるクラウニング付歯車を製造する方法及び装置においては、好ましくは、クラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品を予め数多く準備しておく。そのような被加工品は、任意の製造方法で製造できる。例えば、被加工品は、冷間鍛造によって製造してもよいし、切削加工で製造してもよい。
内側に円筒歯形を有するとともに外側に下側係合面と上側係合面を有しかつ弾性変形しうる型(ダイスやコアともいう)と、テーパ穴付リングと、内側テーパを有する外側パンチとを巧みに組合わせる。テーパ穴付リングのテーパ穴に型の下側係合面を設定する。とくに、テーパ穴付リングのテーパと型の下側係合面とを係合させて、型の円筒歯形の下側部分の歯先を円弧状の面(仮想の面)に沿うように弾性変形させる。型の円筒歯形の上側部分は本来の円筒形状のままにしておく。
冷間鍛造のために、被加工品を型の中に挿入して、まず、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を成形する。そのとき、被加工品の上側部分は、クラウニングなしの円筒形状のままとする。
その後、外側パンチを下降させて、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを係合させる。そのとき、外側パンチによって型の上側部分が押圧されて内向きに弾性変形される。そのように弾性変形された型の上側部分によって、被加工品の上側部分が押圧され、そこにクラウニング付歯形が冷間鍛造の形で成形される。
次に、外側パンチが上昇して、外側パンチが型と係合しなくなったとき、弾性変形されていた型の上側部分の形状は元の状態に復帰する。
被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持される。好ましくは、被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形する冷間鍛造の途中、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底とが全く接触しないようにする。
クラウニング付歯車を製造する装置の好適な例においては、被加工品の上方にパンチ(形状はスリーブ又はピン)を設け、被加工品の下方にノックアウト(形状はスリーブ又はピン)を設け、さらに、内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面及び下側係合面を有しかつ弾性変形しうる型と、内側テーパを有する外側パンチと、型を内側に設定するためのテーパ穴付リングとが設けられている。
型の下側係合面がテーパ穴付リングのテーパの所定位置に設定された状態において、型の下側部分がテーパ穴付リングによって内向きに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分は、ピッチ円が仮想の円弧状の面に沿うように内向きに弾性変形されている。このとき、型の円筒歯形の上側部分は、本来の円筒形状に維持されている。
そのような状態において、円筒歯形である被加工品が型の最奥位置まで挿入されて、被加工品の下側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。このとき、被加工品の上側部分の歯形は本来の円筒形状に維持されている。
外側パンチは、型の上側係合面に係合して型の上側部分を内向きに変形させるための内側テーパを有する。
外側パンチが下降すると、型の上側係合面が外側パンチの内側テーパによって内向きに押圧されて、型の上側部分が内向きに弾性変形される。その結果、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。
好ましくは、クラウニング量の調整のために、例えば、被加工品の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けたり、互いに異なるクラウニング量を付けたりするために、座金を使用する。とくに、型の下端に位置決め用の座金を設けて、テーパ穴付リングに対する型の位置を適当に決めることにより、被加工品の下側部分のクラウニング量を調整する。このような型の位置決め用の座金と組み合わせて、テーパ穴付リングの上面に外側パンチ停止位置調整手段(最適には締付リングと座金で構成する)を設けて、外側パンチの下降時の停止位置を調節して、被加工品の上側部分のクラウニング量を調整する。
これらの座金の高さは、単数の座金を入れかえて(互いに高さの異なる複数の座金から最適の1つを選ぶことによって)調整してもよいし、複数の座金の組合わせを変更して調整してもよい。
被加工品の中心に貫通穴が形成されている場合は、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、外側パンチ、パンチスリーブ、ノックアウトスリーブ等を用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付ける。
被加工品の中心に貫通穴が形成されていない場合は、センターピンを使用せずに、外側パンチ、パンチピン、ノックアウトピン等を用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付ける。
被加工品が貫通穴を有する場合も、被加工品が貫通穴を有さない場合も、被加工品の下側部分にクラウニングを形成するとき、好ましくは、「突き出し」加工をする。
「突き出し」加工と、「絞り」加工および「張り出し」加工とは、被加工品の、冷間鍛造による形状の変化と加工圧のかかり方が、基本的に相違している。
絞り加工は、被加工品の横断面を全体的に絞る鍛造加工(つまり被加工品の横断面を全体的に減少させる鍛造加工)であるので、その分、軸心方向の寸法(長さ)がわずかに増加する。
これとは逆に、張り出し加工は、被加工品の横断面を全体的に張り出す加工である。張り出し加工の場合は、歯先部に欠肉が生じないように、被加工品の材料を型の歯形内に充満させるので、その分、軸心方向の寸法(長さ)がわずかに減少する。
また、絞り加工では、全周にわたって、被加工品の横断面の全体を減少させるので、型の入り口部分に加工圧が集中する。そのため、歯形表面に軸心方向に沿って筋が付きやすい欠点がある。
これとは逆に、張り出し加工では、被加工品の歯形が全体的に型の歯形よりも小さいため、被加工品は、型の入口から奥まで型の中にスムーズに入る。加工圧が集中するのは、型の最も奥の位置である。その型の最奥位置で、被加工品の両端面が互いにパンチ等で軸心方向に押圧された瞬間に、加工圧は急激に増大する。
「絞り」加工および「張り出し」加工のいずれの場合も、加工の際に、被加工品の歯形の歯先は、型の歯形に密に接触する。もし仮に張り出し加工のときに被加工品の歯形の歯先を型の歯形に密に接触させないとすると、被加工品の歯先部分に欠肉が生じてしまう。このような被加工品は不良品である。また、絞り加工のときに被加工品の歯形の歯先を型の歯形に密に接触させないことは実際上ありえず、それでは「絞り」の作用が生じない。
これに対し、「突き出し」加工は、被加工品を型の入口から中に入れて軸心方向に最奥位置まで移動させていく間に、被加工品の一方の端面のみを押圧して、被加工品の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで非常に広い範囲にわたって型の歯形に接触させて被加工品の歯形を型の歯形によって圧縮すると同時に、被加工品の歯先を半径の外向き方向に突き出す。そのとき、被加工品の歯先と型の歯形との間に隙間が存在するようにする。
このような突き出し加工で重要なことは、被加工品を型の入口から中に入れて軸心方向に最奥位置まで移動させていく間に、つねに被加工品の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形が接触して被加工品の広い範囲を圧縮し、しかも、そのとき、被加工品の歯先と型の歯形との間に、小さな空間を存在させることである。
以上説明したように、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を成形する工程で採用する「突き出し」加工においては、被加工品が型の中に入って最奥位置まで移動する間に、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで非常に広い範囲にわたって型の歯形が接触し、かつ、被加工品の歯先と型の歯形との間に、常に隙間が存在するので、非常に精密な冷間鍛造ができるのである。
このような「突き出し」加工に続けて、同じ型の中で、外側パンチによって型の上側部分が押圧されて内向きに弾性変形される。そして、弾性変形された型の上側部分によって、被加工品の上側部分が押圧され、そこにクラウニング付歯形が冷間鍛造の形で成形される。このときも、被加工品の歯先と型の歯形との間に、常に隙間が存在するので、非常に精密な冷間鍛造ができるのである。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
図12において、上側の(A)は、歯面研磨法によって円筒歯車100を研磨してクラウニング付歯車200に製造する従来例を示している。この場合、円筒歯車100は、ピッチ円101、歯底102および歯先103が、すべて軸方向両端間で円筒形状に沿って形成されているのに対し、クラウニング付歯車200は、ピッチ円201が軸方向両端間で円弧形状に沿って形成されている。
下側の(B)は、本発明により、円筒歯車100からクラウニング付歯車300を製造する一例を示している。
(B)の円筒歯車100は、(A)と同じものであるが、(B)のクラウニング付歯車300は、(A)のクラウニング付歯車200とは基本構成が本質的に相違している。
従来例のクラウニング付歯車200を示す(A)においては、ピッチ円201のみが軸方向両端間で仮想の円弧形状に沿って形成されており、歯底202と歯先203は仮想の円筒形状に沿って形成されている。
これに対し、本発明のクラウニング付歯車300を示す(B)においては、歯先303のみが軸方向両端間で仮想の円筒形状に沿って形成されており、ピッチ円301が軸方向両端間で仮想の円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底302が軸方向両端間で仮想の円弧形状の曲面に沿って形成されている。
なお、図12には示されていないが、クラウニング付歯車300の両端の一方又は両方に種々の表面形状の部分を付加することも可能である。
図1〜7を参照して、中心に貫通穴のあるクラウニング付歯車を製造する一連の工程を説明する。
図1に符号10で示されているのは、クラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品である。このような被加工品10を予め数多く準備しておく。
被加工品10は、中心に貫通穴10cが形成されていて、図2に示すように、その貫通穴10cにセンターピン26を入れた状態のまま、被加工品10の上側部分10bと下側部分10aにクラウニングを付ける。
内側に円筒歯形12aを有するとともに外側に上側係合面12b及び下側係合面12cを有しかつ弾性変形し得る型12(図5を参照して後述する)と、型12の下側係合面12cを設定するためのテーパ穴14aを有するリング14とが設けられる。
図1に示すように型12の下側係合面12cがリング14のテーパ穴14aに設定された状態において、型12の下側部分がそのテーパ穴付リング14によって内向きに押圧されて、型12の円筒歯形の下側部分12cの歯先が円弧状の面(仮想の面)に沿って弾性変形される。そのとき、型12の円筒歯形の上側部分は本来の円筒形状に維持されている。
図1に示すように、図示しない設定手段によって、円筒歯車である被加工品10が型12の入口12dのところに設定される。
その後、パンチスリーブ16が図1の位置から下降して、図2の位置に到来する間に、被加工品10は、型12によって「突き出し」加工される。すなわち、被加工品10が型12の入口12dから中に入り軸心方向にセンターピン26によってガイドされながら図2に示す最奥位置まで移動していく間に、被加工品10の上端面のみをパンチスリーブ16の下端で押圧して、とくに、被加工品10の下側部分が金型12の下側部分を通過していくとき、被加工品10の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで非常に広い範囲にわたって型12の歯形に接触させて被加工品10の歯形を型12の歯形によって圧縮すると同時に、被加工品10の歯先を半径の外向き方向に突き出す。そのとき、被加工品10の歯先と型12の歯形との間に隙間が存在する。このような「突き出し」加工によって、被加工品10の下側部分10aにクラウニング付歯形が成形される。このとき、図2に示すように、被加工品10の円筒歯形の上側部分10bは円筒形状を維持している。
外側パンチ18は、パンチスリーブ16と同一軸芯上に配置されていて、下降位置で金型12の上側係合面12bと係合する内側テーパ18aを有する。
冷間鍛造のとき、外側パンチ18は、パンチスリーブ16よりもタイミング的に少し遅れて下降する。すると、図3に示すように、型12の上側係合面12bが外側パンチ18の内側テーパ18aによって押圧されて、型12の上側部分12fが内向きに弾性変形され、被加工品10の上側部分10bにクラウニング付歯形が成形される。
型12の下端に位置決め座金20を設けて、テーパ穴付リング14に対する型12の位置を最適位置に決めることにより、クラウニング量を最適値に調整する。例えば、種々の高さの座金20を予め準備しておいて、適当な高さの座金20を選んで使用する。
また、この座金20と組み合わせて、テーパ穴付リング14に対する外側パンチ18の停止位置を調整するために、調整手段22が設けられている。この外側パンチ18の停止位置を調整する調整手段22は、締付リング24と外側パンチ停止位置調整座金25で構成するのが好ましい。
テーパ穴付きリング14は、バックプレート30の上面に同一軸芯上にセットされている。ダイケース32がそれらのバックプレート30とテーパ穴付リング14を取り囲む形で固定している。締付リング24は、ダイケース32の上端にボルト31によって固定されて、座金25を締めつけている。
図4に示されているクラウニング付歯車300(詳細は図12を参照)は、被加工品10の下側部分10aと上側部分10bの両方に図3に示されているようにクラウニングが形成されたあと、ノックアウトスリーブ40の上端によってクラウニング付歯車300の下端が押し上げられ、歯車300全体が金型12の外側に出る。このあと、さらに設定手段(図示せず)によって歯車300は所定位置に移送される。
図5は、前述の実施例1に使用する金型12の具体例を示している。
図5に示すように、金型12は、テーパ穴付リング14に設定する前の状態において、クラウニング付歯車300(図12)の歯底の円弧形状に相当する円弧形状が金型12の外側の所定の領域Bに形成されており、金型12の内側には円筒歯形12aが形成されている。金型12は、弾性変形する型材で作られている。
好ましくは、被加工品10の歯幅に相当する領域Bにおいて金型12の環状外表面が縦断面でみて前述のような円弧形状になっており、その領域Bの上側半分(B/2)に上側係合面12bが形成されており、下側半分(B/2)に下側係合面12cが形成されている。クラウニング付歯車300(図12)が形成できるのであれば、上側係合面12bと下側係合面12cとが1つの大きな円弧形状に構成されていてもよいし、2つ以上の円弧形状の組合せやその他の構成であってもよい。
上側係合面12bと下側係合面12cは、図5に示すように、仮想の円錐面70(円筒面ではない)を基準にして、テーパに沿って断面凹形の円弧形状の表面にするのが好ましい。そして、弾性変形をしやすくするために、金型12の厚みが、入口で小さく、最奥位置で大きくなっている。例えば、金型12の下端部の厚みを円筒歯形12aの歯高の1〜2倍にし、かつ、金型12の領域Bの上端部の厚みを円筒歯形12aの歯高とほぼ同一かそれよりも少し大きくして(例えば1〜1.5倍にして)、弾性変形を良好にするのが好ましい。さらに、金型12の入口12dにピッチ円(P)よりも径の大きいガイド部12hを設けるのが好ましい。符号75は、金型12の下端部の想定上の最小縮径位置を示す。
図5に示す金型12を、図6に拡大して示すテーパ穴付リング14のテーパ穴14aに設定すると、図7に示すような状態になる。このとき、金型12の下側部分12gにクラウニングが付く。
図8〜11を参照して、貫通穴のないクラウニング付歯形を製造する一連の工程を説明する。
同一の参照符号は、図1〜12において実質的に同一の部材や部分を示す。
図8〜11の実施例においては、被加工品110が貫通穴を有していない。それゆえ、センターピンを用いない。
内側に円筒歯形を有するとともに外側に下側係合面12cと上側係合面12bを有しかつ弾性変形し得る型12(ダイスやコアともいう)と、テーパ穴付リング14と、内側テーパ穴18aを有する外側パンチ18とを巧みに組合わせる。
テーパ穴付リング14のテーパ穴18aに型12の下側係合面12cを設定する。とくに、リング14のテーパ穴14aと型12の下側係合面12cとを係合させて、型12の円筒歯形の下側部分を円弧状に弾性変形させる。そのとき、型12の円筒歯形の上側部分は本来の円筒形状のままにしておく。
冷間鍛造のために、被加工品110を型12の中に挿入する。まず、被加工品110の下側部分に型12の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を成形する。そのとき、被加工品110の上側部分は、クラウニングなしの円筒形状のままとする。
その後、外側パンチ18を下降させて、型12の上側係合面12bに外側パンチ18の内側テーパ18aを係合させる。そのとき、外側パンチ18によって型12の上側部分が押圧されて内向きに弾性変形される。そのように弾性変形された型12の上側部分によって、被加工品110の上側部分が押圧され、そこにクラウニング付歯形が冷間鍛造の形で成形される。
次に、外側パンチ18が上昇して、外側パンチ18が型12と係合しなくなったとき、弾性変形されていた型12の上側部分の形状は元の状態に復帰する。
被加工品110の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するとき、「突き出し」加工を採用する。被加工品110の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間を維持する。冷間鍛造の途中、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底とが全く接触しないようにする。
クラウニング付歯車を製造する装置においては、被加工品110の上方にパンチピン116を設け、被加工品110の下方にノックアウトピン140を設け、さらに、内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面12b及び下側係合面12cを有しかつ弾性変形する型12と、型12の外側に配置する、内側テーパ18aを有する外側パンチ18と、型12を内側に設定するためのテーパ穴付リング14とを設ける。
型12の下側係合面12cがリング14のテーパ穴14aの所定位置に設定された状態において、型12の下側部分がテーパ穴付リング14に内向きに押圧されて、型12の円筒歯形の下側部分が円弧状に内向きに弾性変形されている。このとき、型12の円筒歯形の上側部分は、本来の円筒形状に維持されている。
そのような状態において、円筒歯車である被加工品110が型12の最奥位置まで挿入されて、被加工品110の下側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。このとき、被加工品110の上側部分の歯形は円筒形状に維持されている。
外側パンチ18は、型12の上側係合面12bに係合して型12の上側部分を内向きに変形させるための内側テーパ18aを有する。
外側パンチ18が下降すると、型12の上側係合面12bが外側パンチ18の内側テーパ18aによって押圧されて、型12の上側部分が内向きに弾性変形され、被加工品110の上側部分にクラウニング付歯形が冷間鍛造で成形される。
被加工品110の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けたり互いに異なるクラウニング量を付けたりするために、座金20、25を使用する。例えば、型12の下端に位置決め用の座金20を設けて、テーパ穴付リング14に対する型の位置を適当に決めることにより、被加工品110の下側部分のクラウニング量を調整する。このような型12の位置決め用の座金20と組み合わせて、テーパ穴付リング14の上面に外側パンチ18を所望位置に停止させるための位置調整手段22(最適には締付リング24と座金25で構成する)を設けて、外側パンチ18の停止位置を調節して、被加工品110の上側部分のクラウニングを調整する。
これらの座金20、25の高さは、単数の座金を入れかえて調整してもよいし、複数の座金の組合わせを変更して調整してもよい。
このように、被加工品10、110が貫通穴を有するか否かにかかわらず、被加工品10、110の下側部分にクラウニングを形成するとき、「突き出し」加工をするのが好ましい。
前述の実施例1及び2は、次のような効果を奏する。
図12の(A)に示す従来の歯面研磨法は、周知のとおり、円盤状の砥石を使用するため、歯車の形状によっては、砥石が被加工品に干渉する。そのため、ねじれ角の大きいヘリカル歯車や、フランジ付歯車は、加工不能である。
シェービン加工の場合も、ホブが円筒であるため、同様の不都合が生じる。
本発明によれば、このような不都合が生じない。
本発明に用いる金型は、製作が容易である。例えば、金型の内側の円筒歯形はワイヤカット方式で放電加工すれば、正確な円筒歯形を簡単に形成できる。金型の外側の上側係合面、下側係合面その他は、周知の方法で機械加工をすることができる。
また、油圧プレスを使用して機械を作動して、クラウニングの塑性成形をすると、成形圧力を一定に制御しやすく、精度にバラツキが少なくなり、しかも、金型の寿命が長くなる。
なお、図1〜12には、見やすくするために、クラウニング量が誇大に示されているが、例えば、クラウニング量は、数ミクロン〜十数ミクロンとし、千分の一ミリ単位で設計されることが多い。
また、前述のクラウニング付歯車の製造方法及び装置によれば、型の位置決め座金や、外側パンチ停止位置調整座金を入れ替えることにより容易にかつ正確に歯車の上側部分と下側部分についてクラウニングの大きさを別々に調節することができる。
外側パンチ停止位置調整座金は、型に掛かる過大荷重を防ぐと共に、外側パンチの下降位置を正確に位置決めして、型の圧縮変形量(クラウニング量)を所望の値にしやすい。
さらに、型の端面に外側パンチが当接しないため、必要最低限の荷重でクラウニング成形を行なえる。
また、パンチスリーブとノックアウトスリーブの加圧機構に油圧シリンダーを用いて、圧力一定とすれば、被加工品に加わる荷重を一定にしやすい。
加工ロット毎の変化に対しては油圧の圧力を調節して、クラウニング量の変化を小さくできる。これにより高精度でバラツキの小さいクラウニング成形の量産が可能になる。
変形率が0.025〜0.05%の圧縮変形と想定すれば、型の縮径(変形)に対する耐久性は、通常の型鋼を使用すれば充分である。
(1) 歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円の位置している曲線が軸方向両端間で円弧形状に沿っており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されているクラウニング付歯車を冷間鍛造によって製造する方法において、
予めクラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品を準備しておき、
内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型を使用して、型の下側係合面をテーパ穴付リングに設定して、型の円筒歯形の下側部分を弾性変形させて、ピッチ円の位置している曲線が円弧形状に沿うように、かつ、型の円筒歯形の上側部分は円筒形状のままとし、
被加工品を型の中に挿入して、まず、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形し、そのとき、被加工品の上側部分はクラウニングなしの円筒形状のままとし、
その後、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形することを特徴とするクラウニング付歯車の製造方法。
(8)歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲に沿って位置しており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されているクラウニング付歯車を冷間鍛造によって製造する装置において、
内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型と、型の下側係合面を設定するためのテーパ穴付リングとを設け、型の下側係合面がテーパ穴付リングに設定された状態において型の下側係合面がテーパ穴付リングに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分が円弧状に弾性変形されているとともに、型の円筒歯形の上側部分が円筒形状に維持され、その状態において、円筒歯形を有する被加工品が型の中に挿入されて、被加工品の下側部分にクラウニング付歯形を成形するとともに、被加工品の上側部分の歯形は円筒形状を維持し、
外側パンチが内側テーパを有し、型の上側係合面が外側パンチの内側テーパによって押圧されて、型の上側部分が内向きに弾性変形され、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形が成形されることを特徴とするクラウニング付歯車の製造装置。
本発明によるクラウニング付歯車においては、歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲に沿って位置しており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されている。歯車の一端側の第1部分と他端側の第2部分(鍛造加工時の状態で見れば上側部分と下側部分)に同一のクラウニング量を付けてもよいし、互いに異なるクラウニング量を付けてもよい。
型の下側係合面がテーパ穴付リングのテーパの所定位置に設定された状態において、型の下側部分がテーパ穴付リングによって内向きに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分は、ピッチ円の位置している曲線が仮想の円弧状に沿うように内向きに弾性変形されている。このとき、型の円筒歯形の上側部分は、本来の円筒形状に維持されている。
図12において、上側の(A)は、歯面研磨法によって円筒歯車100を研磨してクラウニング付歯車200に製造する従来例を示している。この場合、円筒歯車100は、ピッチ円の位置する直線101、歯底102および歯先103が、すべて軸方向両端間で円筒形状に沿っているのに対し、クラウニング付歯車200は、ピッチ円の位置する曲線201が軸方向両端間で円弧形状に沿っている。
従来例のクラウニング付歯車200を示す(A)においては、ピッチ円が軸方向両端間で仮想の円弧形状の曲線201に沿って位置しており、歯底202と歯先203は仮想の円筒形状に沿って形成されている。
これに対し、本発明のクラウニング付歯車300を示す(B)においては、歯先303のみが軸方向両端間で仮想の円筒形状に沿って形成されており、ピッチ円の位置する曲線301が軸方向両端間で仮想の円弧形状に沿っており、歯底302が軸方向両端間で仮想の円弧形状の曲面に沿って形成されている。

Claims (17)

  1. 冷間鍛造によってクラウニングが形成された歯車において、歯先が軸方向両端間で円筒形状の面に沿って形成されており、ピッチ円が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されており、歯底が軸方向両端間で円弧形状の曲面に沿って形成されていることを特徴とするクラウニング付歯車。
  2. 請求項1に記載のクラウニング付歯車を製造する方法において、
    予めクラウニングなしの歯形を有する円筒歯車である被加工品を準備しておき、
    内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型を使用して、型の下側係合面をテーパ穴付リングに設定して、型の円筒歯形の下側部分を、ピッチ円が軸方向に円弧形状の曲面に沿うように弾性変形させ、かつ、型の円筒歯形の上側部分は円筒形状のままとし、
    被加工品を型の中に挿入して、まず、被加工品の下側部分に型の弾性変形された下側部分でクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形し、そのとき、被加工品の上側部分はクラウニングなしの円筒形状のままとし、
    その後、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を冷間鍛造によって成形することを特徴とするクラウニング付歯車の製造方法。
  3. 被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持されることを特徴とする請求項2に記載のクラウニング付歯車の製造方法。
  4. 被加工品の下側部分にクラウニングを形成するときに、被加工品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、被加工品の一方の端面のみを型の軸心方向に押圧して、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形に接触させて被加工品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮し、それと同時に、被加工品の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出し、その突き出しのときに被加工品の歯形の歯先が型の歯形に接触しない状態を維持し、
    次に、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載のクラウニング付歯車の製造方法。
  5. 被加工品の上側部分と下側部分に同一のクラウニング量を付けることを特徴とする請求項2に記載のクラウニング付歯車の製造方法。
  6. 被加工品の上側部分と下側部分に互いに異なるクラウニング量を付けることを特徴とする請求項2に記載のクラウニング付歯車の製造方法。
  7. 被加工品の中心に貫通穴が形成されていて、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付けることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のクラウニング付歯車の製造方法。
  8. 被加工品の中心に貫通穴が形成されておらず、センターピンを使用せずに、型に入れたまま、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを付けることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のクラウニング付歯車の製造方法。
  9. 請求項1に記載のクラウニング付歯車を製造する装置において、
    内側に円筒歯形を有するとともに外側に上側係合面と下側係合面を有しかつ弾性変形する型と、型の下側係合面を設定するためのテーパ穴付リングとを設け、型の下側係合面がテーパ穴付リングに設定された状態において型の下側係合面がテーパ穴付リングに押圧されて、型の円筒歯形の下側部分が円弧状に弾性変形されているとともに、型の円筒歯形の上側部分が円筒形状に維持され、その状態において、円筒歯形を有する被加工品が型の中に挿入されて、被加工品の下側部分にクラウニング付歯形を成形するとともに、被加工品の上側部分の歯形は円筒形状を維持し、
    外側パンチが内側テーパを有し、型の上側係合面が外側パンチの内側テーパによって押圧されて、型の上側部分が内向きに弾性変形され、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形が成形されることを特徴とするクラウニング付歯車の製造装置。
  10. 型の下端に位置決め座金を設けて、テーパ穴付リングに対する型の位置を決めることによりクラウニング量を調整することを特徴とする請求項9に記載のクラウニング付歯車の製造装置。
  11. クラウニング量を調整するために、テーパ穴付リングの上に外側パンチ停止位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載のクラウニング付歯車の製造装置。
  12. 被加工品の中心に貫通穴が形成されており、その貫通穴にセンターピンを入れた状態のまま、外側パンチ、パンチスリーブ及びノックアウトスリーブを用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを形成することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のクラウニング付歯車の製造装置。
  13. 被加工品の中心に貫通穴が形成されておらず、センターピンを使用せずに、外側パンチ、パンチピン及びノックアウトピンを用いて、被加工品の上側部分と下側部分にクラウニングを形成することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のクラウニング付歯車の製造装置。
  14. 被加工品の下側部分及び上側部分にクラウニング付歯形を成形するときに、被加工品の歯形の歯先と型の歯形の歯底との間に、軸方向両端間の全長にわたって、隙間が維持されることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載のクラウニング付歯車の製造装置。
  15. 被加工品の下側部分にクラウニングを形成するときに、被加工品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、被加工品の一方の端面のみを型の軸心方向に押圧して、被加工品の歯形の歯底全体を含めてピッチ円を越えるところまで型の歯形に接触させて被加工品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向の内向きに圧縮し、それと同時に、被加工品の歯先を歯形の半径方向の外向きに突き出し、その突き出しのときに被加工品の歯形の歯先が型の歯形に接触しない状態を維持し、続いて、型の上側係合面に外側パンチの内側テーパを押圧して型の上側部分を内向きに弾性変形させて、被加工品の上側部分にクラウニング付歯形を形成することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載のクラウニング付歯車の製造装置。
  16. 請求項1に記載のクラウニング付歯車を製造するための金型であって、クラウニング付歯車の歯底の円弧形状に相当する円弧形状が金型の外側に形成されており、金型の内側に円筒歯形が形成されており、金型が弾性変形する型材で作られていることを特徴とする金型。
  17. 弾性変形をしやすくするために、金型の厚みが、入口で小さく、最奥位置で大きくなっていることを特徴とする請求項16に記載の金型。
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