JP2011016066A - 衝突装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】高圧噴流による衝撃力を最大限に利用して従来より高い微粒化性能を実現可能とする衝突装置の提供。
【解決手段】チャンバ本体内に配置された硬質板部材に、単一の噴射ノズルからのスラリー原料液の高圧噴流を最短衝突距離で噴射して衝突させる衝突装置であって、前記高圧噴噴射圧力Piに、に対して、10×(d・V/υ)−1.35 <Pi/Pd<2×10×(d・V/υ)−0.97 ,d:噴射ノズル口径、V:流速、υ:原料動粘度、を満たす流路抵抗Pdを作用させる手段を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高圧流体スラリーを噴射ノズルから噴射衝突させて微粒化を行う衝突装置に関するものである。
従来から、流体の高圧噴射による衝撃を利用して流体中の粒子の微粒化を行うための微粒化装置として種々のものが開発されている。
例えば、硬質体への衝突力を利用するものとして、チャンバ内に偏心状態で回転可能に支承された硬質球体に噴射ノズルから噴射された高圧流体を衝突させ、ボールを回転させて衝撃をボール回転で逃がしながら微粒化処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、それぞれ細い貫通孔を備えたプレートを複数枚重ねて次第に径方向内方に寄せるような案内流路を形成し、複数の噴射ノズルから噴射された噴流を該流路内を通過させた後、最終的に中心部で複数の噴流同士を衝突混合させるという固体への直接的な衝撃を避けた構成のものもある(特許文献2参照。)。
また、高速噴流を長い円筒状空洞部内に噴射し、該空洞部内通過中に生じるせん断力やキャビテーション破壊力を利用し、衝突部への衝撃が和らげられたものもある(例えば、特許文献3参照。)。
特許第3686528号公報 特公平5−12976号公報 特許第3429508号公報
しかし、以上のような従来の微粒化装置では、噴流による損傷を低減してチャンバー内部品の長寿命化を優先させており、このような条件下でできるだけ効率的な微粒化方式を検討しているが微粒化性能の向上はあまり期待できないものであった。
例えば、硬質球体に高圧流体の噴流を衝突させる方式では、噴流の持っているエネルギーをボールの回転に変換しているため、微粒化に関してはエネルギーのロスとなる。また、複数の噴流を徐々に方向を近づけながら流路内を通過させた後に衝突させる方式では、狭い流路が続くため圧力損失が多大となって高粘性液体の処理の際には衝突部でかなりの低圧となって威力が減衰してしまう。また、高速噴流を長い円筒状空洞部内を通過させる方式では、その長い筒内を進むに従って噴流速度は減衰していき、せん断力も極端に低減してしまう。
一方、最近のナノテクノロジー分野で要求される製品の粒子サイズはより小さくなり、上記のような従来の衝撃力による部材壊食の抑制を優先し、部品の損傷を防ぐために本来持っているエネルギーが微粒化に充分与えられていない消極的な方式では対応できなくなってきた。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、高圧噴流による衝撃力を最大限に利用して従来より高い微粒化性能を実現可能とする衝突装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る衝突装置は、装置本体内のチャンバに配置された硬質板部材の平坦面に対して、単一の噴射ノズルからスラリー原料液の高圧噴流を噴射して衝突させる衝突装置であって、前記高圧噴流の前記噴射ノズルからの噴射圧力Piに対して流路抵抗Pdを作用させる手段を備え、前記流路抵抗Pdが、前記噴射ノズルの口径d、流速V、原料動粘度υ、に対して、10×(d・V/υ)−1.35 <Pi/Pd< 2×10×(d・V/υ)−0.97 を満たすものである。
請求項2に記載の発明に係る衝突装置は、請求項1に記載の衝突装置において、前記流路抵抗手段は、衝突後のスラリー液をチャンバ本体外へ排出する出口へ導く導出流路からなり、該導出流路の総流路断面積Aが、前記流路抵抗Pdに基づいて、該導出流路による導出流量Q、スラリー液密度ρ、に対して、Q=CA×(2Pd/ρ)1/2 ,C:流量係数、を満たすものである。
請求項3に記載の発明に係る衝突装置は、請求項1又は2に記載の衝突装置において、前記硬質板部材は、ビッカース硬度26GPa以上の超硬合金あるいはヌープ硬度100GPa以上の多結晶ダイヤモンドであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明に係る衝突装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突装置において、前記噴射ノズルを装置本体に保持すると共に内部に形成された空間により前記チャンバを形成する構造体を備え、前記チャンバが、前記硬質板部材の平坦面からなる噴流衝突面の直前に設けられた比較的空間内径の大きい拡大領域と、該拡大領域より空間内径が小さい上流側領域とで形成されており、前記チャンバの噴射ノズル出口から前記衝突面までの噴射軸方向に沿った幅である衝突距離Lが、前記噴射ノズルに供給される加圧されたスラリー原料液の圧力によって決定し、該噴射ノズルを介して前記構造体が受ける力Wと、該力Wを受けるせん断面積にかかわる前記噴射ノズルの圧力を受ける部材側面の径X及び前記上流領域の噴射軸方向に沿った幅(L−Y)に対して、W/{πX×10−3×(L−Y)×10−3}<50MPa,Y:拡大領域の噴射軸方向に沿った幅、を満たすものである。
本発明の衝突装置においては、単一の噴射ノズルからスラリー原料液の高圧噴流を噴射してチャンバ本体内に配置された硬質板部材の平坦面に衝突させるものであり、その噴射ノズルから硬質板部材の衝突位置までの衝突距離を高圧保持構造上の最短とすることによって、高圧噴流による衝突力を最大限に微粒化に利用すると共に、高圧噴流に予め定められた若干の流路抵抗を作用させることによってキャビテーションによる衝撃力をも最大限に利用し、これら衝突力とキャビテーション衝撃力の双方により従来にない優れた微粒化性能を実現できるという効果がある。
本発明の衝突装置における衝突処理の際に噴流に作用させる流路抵抗Pdの最適条件範囲を規定するための衝突実験による噴流痕要素大とキャビテーション要素大の場合をプロットした結果を示すグラフである。 本発明による衝突装置の概略構成を示す側断面図である。 本発明の第1実施例として、図2の衝突装置での流路抵抗有りにおける流動パラフィン原料液の繰り返し衝突処理による原料粒子の粒子径分布図であり、(a)は未処理、(b)は5回処理後のものである。 本発明の第1実施例の、図2の衝突装置での流路抵抗有りにおける酸化チタン原料液の繰り返し衝突処理による原料粒子の粒子径分布図であり、(a)は未処理、(b)は5回処理後のものである。
本発明は、単一の噴射ノズルからスラリー原料液の高圧噴流を噴射して装置本体内のチャンバに配置された硬質板部材の平坦面に衝突させる衝突装置であって、まず、その噴射ノズルから硬質板部材の平坦面上の衝突位置までの衝突距離を、装置の高圧保持構造が維持できる範囲で極力短くして衝突力を最大にしようとした際に、この衝突力をロスを無くして最大限に微粒化に利用できるものであり、これに加えて、高圧噴流に予め定められた若干の流路抵抗を作用させることによってキャビテーションによる衝撃力をも最大限に利用し、これら衝突力とキャビテーション衝撃力の双方により従来にない優れた微粒化性能を実現可能とした。
本発明は、噴射圧力100〜245MPaという超高圧での高速噴射の高圧保持構造上可能な最短衝突距離による強い衝突力を最大限に利用しようとするものであるが、多量に発生したキャビティが存在するままの衝突状態では、高圧噴流は擬似気中噴流(スーパーキャビテーション)となっており、衝突用の硬質板部材には気体噴流の衝突時と同様に衝突位置に深い噴流壊食痕のみが生じてしまう。
特に、高圧噴流を極めて短い衝突距離で硬質板部材に衝突させるだけの場合、その距離の短さ故に、衝突部材の摩耗が激しい。この時、キャビテーション特有の周辺領域に分散する多数の小さい衝撃痕は見られない。
このような、硬質板部材に生じた大きな壊食は、粒子に与えるはずであった衝突のためのエネルギーのロスに相当する。これに対し、後述に実施例で示すように、高圧噴流に対して適度な流路抵抗を作って、スーパーキャビテーション状態を抑制することによって、液体噴流状態を確保することができた。それにより、衝突部の損傷が防がれるとともに、エネルギーロスを液中状態中でのキャビテイ崩壊(キャビテーション)の衝撃力に変換することができた。
本発明は、この結果に基づき、高圧噴流に作用せしめる流路抵抗Pdを、噴射ノズルの口径d、流速V、原料動粘度υ、に対して、10×(d・V/υ)−1.35 <Pi/Pd< 2×10×(d・V/υ)−0.97を満たすものとすることによって、高圧噴流による最大限の衝突力にロスを無くすと同時に、キャビテーションによる衝撃力をも有効に得ることを可能とした。
また、本発明による流路抵抗手段としては、衝突後のスラリー液をチャンバ本体外へ排出する出口へ導く導出流路から構成するものが好適である。この場合、該導出流路の総流路断面積Aを調整することによって、所望の流路抵抗を間便に得ることができる。即ち、前記の関係式から求められた目的の流路抵抗Pdに基づいて、前記導出流路の総流路断面積Aが該導出流路による導出流量Q、スラリー液密度ρ、に対して、Q=C×A×(2Pd/ρ)1/2 ,C:流量係数、を満たすものとすれば良い。
なお、本発明の衝突装置で用いる硬質板部材には、超高圧の噴流が最短距離で衝突されるものであることから、その大きな衝撃に耐えて損傷を極力防ぐために、比較的容易に入手できる材質の中でも超硬質のものを選択する。例えば、ビッカース硬度26GPa以上の超硬合金あるいはヌープ硬度100GPa以上の多結晶ダイヤモンドが好適なものとして挙げられる。
また、本発明の衝突装置においては、単一噴射ノズルの対向位置に近距離で硬質板部材を配置する構成であるため、複数の噴射ノズルから噴射された噴流同士を衝突させる構成の場合に必要な芯調整機構も、また回転可能な硬質球体を用いる場合のような回転機構も不要であり、狭くて長い流路の加工も必要ないため、装置構成が簡単で、部品交換などのハンドリングも容易に済む。
なお、本発明の衝突装置における衝突距離は、最大限の衝突力を得るために可能な限り短く設定するものであるが、その限界を規定するのは装置本体の高圧保持構造の維持である。即ち、高圧流体の圧力は噴射ノズルを保持する構造体が受けることになるため、この構造体の保全が確保されなければならない。
一方、この構造体内に形成される空間によって噴射ノズル出口からの衝突面までのチャンバが構成される場合、チャンバの衝突面直前には、衝突後に跳ね返りながら拡がって装置出口に連通する導出路へ導入される液体の流れ形態のために必要な空間が拡がった拡大領域が設けられている。従って、前記構造体が受ける力は、その素材にかかるせん断応力で判断できるが、実質的に前記空間の拡大領域より狭い噴流通過路である上流側領域の内壁面がせん断応力の作用面となる。
このため、該内壁面の単位面積当たりの力(せん断応力)を、構造体の素材に降伏が表れることのない上限値までに抑える条件設定が限界となる。よって、前記上限値となる前記空間の距離、が可能な最短衝突距離となる。実際的には、前記上限値よりさらなる安全率を考慮した値以下となる条件設定で衝突距離を設定し、これを本発明における実質的な高圧保持構造上の最短衝突距離とする。
例えば、構造体の素材がSUS630等の析出硬化系ステンレス鋼であれば、噴射圧力と噴射ノズルの受圧部側口径とによって決定する力としてのせん断応力が、前記上流側領域の内壁面に対して、その単位面積当たりの値が100MPa以下、あるいはさらなる安全性を求める場合は50MPa以下、となるようなチャンバの噴射軸方向の幅である衝突距離を設定すれば、高圧保持構造が維持可能な最短距離で最大の衝突力を得ることができる。
従って、衝突距離Lは、噴射ノズルを介して前記構造体が受ける力をWとし、該力Wを受けるせん断面積にかかわる噴射ノズルの圧力を受ける部材側面の径をX、前記拡大領域の噴射軸方向に沿った幅をY、よって上流領域の噴射軸方向に沿った幅を(L−Y)とした場合、前記上流領域の内壁面にかかるせん断応力は、W/πX×10−3×(L−Y)×10−3<50MPa、を満たすものとすればよい。
以下に、本発明の第1の実施例として、高圧噴流に作用せしめる流路抵抗の好適な範囲を特定した過程を以下に示す。まず高圧噴流に流路抵抗の作用によるスーパーキャビテーションの抑制を検討した。
即ち、加圧された原料液が供給される単一噴射ノズルから噴射された高圧噴流をチャンバ室内のノズル対向位置に配置された衝突用プレートで受ける衝突装置の構成において、衝突後の液体をチャンバ出口に導出する流路において流路抵抗を作り、スラリー原料液としての水をノズル口径0.38mmの噴射ノズルから噴射圧力200MPa、衝突距離を13mmとして1分間噴射し、衝突用プレート4として比較的柔らかい材質のステンレス(SUS304)プレートを用いて衝突させ、プレート表面の壊食状態から衝突力、衝撃力を評価した。前記流路抵抗は、2MPa、5MPa、10MPaを設定し、流路抵抗無しの場合を対照として各場合の衝突後のプレート表面を観察して比較検討した。
その結果、流路抵抗無しであった硬質プレートには、噴流衝突位置にスーパーキャビテーションの擬似気中状態による深い壊食痕が生じていた。これに対して流路抵抗2MPaの場合は、噴流衝突中心位置には浅い噴流衝突痕(以下、噴流痕と記す)と共に、その周辺領域に分散した、キャビティ崩壊による多数の小さい衝撃痕(以下、キャビテーション痕と記す)が生じていた。これは、噴流衝突力とキャビテーションによる衝撃力との双方がプレート衝突面上で良好に発揮されたものと言える。
なお、流路抵抗5MPaの場合は、キャビテーション痕は見られたが噴流痕は見られなかった。これは、流路抵抗により噴流が減速して良好な衝突力が発揮されず、キャビテーションによる衝撃力のみが得られたものと言える。さらに、流路抵抗10MPaの場合は、噴流痕だけでなくキャビテーション痕も見られず、抵抗が大きすぎてキャビテーション自体も抑制されてしまったものと言える。
以上の結果から、高圧噴流に、減速を生じることなくスーパーキャビテーションを抑制できる程度の適度な抵抗(流路抵抗)を作用させることによって、超高圧で最短衝突距離による超高速噴流であっても、その噴流による衝突力とキャビテーションによる衝撃力との双方を利用できることが確認された。よって、このような噴流衝突力とキャビテーション衝撃力が共に最大限利用できる噴射条件にて、これまでにない優れた微粒化性能が期待できることとなる。
そこで、これら噴流による衝突力とキャビテーションによる衝撃力とを共に最大限に利用できる条件範囲を以下の通り特定した。この条件を設定するパラメータとして、噴射圧力、流量、流路抵抗が考えられる。
噴射圧力は、噴射により速度に変換され、運動量・衝撃力の要因となる。流量は、運動量・衝撃力と、一方でキャビティの発生量の基因となる。即ち、スーパーキャビテーションの条件となる。この流量は噴射ノズルのノズル口径で置き換えられる。流路抵抗は、噴流に対する背圧となり、スーパーキャビテーションの抑制、キャビテーション発生に影響する。
これらのパラメータ、噴射圧力Pi(Pa)、ノズル口径d(m)、流路抵抗Pd(Pa)を用いれば、速度V、動粘度υでd×V/υ=レイノルズ数として、Pi/Pd=k・(d×V/υ)α という無次元数の関係式を作ることができ、k,αは実験から係数として得られる。
従って、先の壊食痕の評価結果から、これらのパラメータに関して、同じ衝突プレート(比較的柔らかいステンレスSUS304)において各種噴射条件のうち、噴流痕とキャビテーション痕との両方が混在して生じた噴射条件をプロットして行けば、噴流衝突力とキャビテーション衝撃力が共に良好に得られる条件範囲を特定する上記関係式の係数を得ることができる。
ただし、実際には噴流痕とキャビテーション痕とが混在する最適痕の判別は一義的に決定することが困難であるため、逆に、噴流痕のみの発生が顕著な場合(噴流痕要素大)と、キャビテーション痕のみの発生が顕著な場合(キャビテーション痕要素大)とをプロットしてこの二つの噴射条件の関係式を求め、この二つの関係式に挟まれる領域に相当する条件範囲が、前記最適痕が生じる噴流衝突力とキャビテーション衝撃力とが共に得られる最適条件であると定義した。
図1に、噴流痕要素大の場合と、キャビテーション痕要素大の場合とをプロットした結果を示す。これらプロットした結果からそれぞれ対応する関数曲線が得られ、該曲線に基づいて、前記関係式の係数を求めた。
即ち、噴流痕要素大の関係式はPi/Pd=2×10×(d・V/υ)−0.97 であり、キャビテーション痕要素大の関係式は、Pi/Pd=10×(d・V/υ)−1.35 であり、レイノルズ数d・V/υが1〜5×10の範囲(ノズル口径d=0.15〜0.5mm、噴射圧力Pi=100〜245MPa)においては、この二つの関係式に挟まれる領域の噴射条件において、噴流衝突力とキャビテーション衝撃力の両方が良好に得られることになる。
従って、衝突装置において、噴射圧力Piが最大限の噴流衝撃力を得るための超高圧に設定された場合でも、10×(d・V/υ)−1.35 <Pi/Pd<2×10×(d・V/υ)−0.97 を満たす流路抵抗Pdをその高圧噴流に作用させる設定にするだけで、噴流衝撃力に影響するような減速を生じること無くスーパーキャビテーションを抑えて良好なキャビテーション衝撃力を確保し、優れた微粒化性能が実現可能となる。
なお、流路抵抗Pdを生じる手段としては、前述のような衝突後の液体を出口に導出する導出流路による流路抵抗を利用する構成が簡便である。即ち、導出流路の断面総面積Aを調整することによって、以下に示す過程を経て所望の流路抵抗Pdを設定できる。
流路抵抗Pdは、流量Q(m/s)との関係が、Q=C×A×(2Pd/ρ)1/2,C:流量係数(0.7〜0.9)、ρ:液体密度(kg/m)で表され、流路断面積Aは、流路径D(m)に対してA=πD/4 で求められる。従って、所望の流路抵抗Pdを設定するためには、上記関係式において、各パラメータ条件にて所望の流路抵抗Pdで吐出される流量Qが得られる断面総面積Aとなる流路径Dを選択すれば良い。
例えば、噴射ノズル口径d=0.2mm、噴射圧力Pi=150MPaが条件として与えられた場合、図2の線図から、最適痕が得られる条件としてPi/Pd≒140が得られる。従って、この場合に必要な流路抵抗はPd≒1.07MPaとなる。これらの条件で吐出される流量がQ=1.57×10−5 (m/s)であるとき、上記流量Qと流路抵抗Pdとの関係式から、この所望の流路抵抗Pd=1.07MPaを得るための導出流路径はD=0.7mmとなる。なお、これは流路総断面積A=πD/4 の関係から求められたものであるため、流路一つだけの場合の流路径Dである。従って、流路が複数個ある場合、各流路径は、流路断面積の総計が前記面積Aと一致するようにそれぞれ設定すれば、同等の流路抵抗が得られる。
本発明の第2の実施例として、図2に示す構成の衝突装置にて、ビッカース硬度26GPaの超硬合金を衝突用プレートとして、スラリー原料液を100〜245MPaの超高圧で、且つ噴射ノズル口径0.1〜0.8mmで衝突距離を高圧保持構造上最短として最大限の衝突力を得る噴射条件にて繰り返し噴流衝突処理を実際に行った場合を以下に示す。
衝突装置1は、加圧され、装置内に導入された原料液をチャンバ2内に高圧噴流10として噴射する噴射ノズル3と、チャンバ2内の噴射ノズル3の対向位置に配置された衝突用プレート4とを備えたものであり、衝突用プレート4の衝突面5に衝突した後の液体11をチャンバ外へ排出する出口7に導出する導出流路6とを備えたものである。本実施例では、この導出流路6の総断面積Aを調整して適度な流路抵抗を作った。
なお、本装置1における衝突距離は以下の通り設定した。まず、設計圧力を300MPaとすると、噴射ノズル3の上流側面の実際に高圧原料が当たる受圧領域3aの径が5mmであるとき、噴射ノズル3を保持する構造体8には5888Nの力がかかる。この力を受ける構造体8は、噴射ノズル出口から衝突面までのチャンバ2を構成する空間が形成されている。このチャンバ2では、衝突面の直前に、衝突後流体の流れ形態のために必要な拡大領域2bが形成されているため、その上流領域2aの素材に対して前記力がせん断応力としてかかる。本実施例においては、必要な拡大領域2bの噴射軸方向の幅Yを8mmに設定した。
そこで、構造体8の素材に対して塑性変形が生じない前記せん断応力の上限を設定する。例えば構造体8の素材としてステンレス鋼SUS630(析出硬化処理)用いた場合、その安全率も考慮して前記せん断応力が100MPa以下とする。前記上流領域2aは、その噴射軸方向の距離が、衝突距離でもあるチャンバ2の全幅距離Lに対して(L−8)mmであるため、せん断応力が係る該上流領域2aのせん断面積は、噴射ノズル3の圧力を受ける部材側面(通常は円形)の径Xが8mmである場合、{8×10−3×π×(L−8)×10−3 }mである。
従って、単位面積当たりのせん断応力は、5888N/{π×8×10−3×(L−8)×10−3}mとなる。この値が、より高い安全性を考慮して50MPaより小さくなるLを実質的に本装置1における高圧保持構造上の最短衝突距離とした。即ち、条件、5888N/{8×10−3×π×(L−8)×10−3}m<50MPaを満たすLは約13mm以下となる。この結果に基づき、本実施例においては、衝突距離L=13mmと設定した。
原料液として、メジアン粒径79.85μmの流動パラフィン10wt%をSDS1wt%および水89wt%に対して混合したものを用い、噴射圧力Pi=150MPaでノズル口径d=0.2mmの噴射ノズル3から衝突距離L=13mmで噴流衝突処理を5回繰り返し行った。この際、前述の最適痕が得られる条件であるPi/Pd≒140となる流路抵抗Pd=1.1MPaを得るために、前記流量Qとの関係式から求めた流路径Dを導出流路6に設定(導出流路が一つの時は流路径D=0.7mmに相当)した。各衝突処理後に原料粒子の粒径を計測(堀場製作所製粒度分布計LA−910)し、結果を表2に示した。また図3に未処理(a)と5回処理後(b)の粒子径分布を示した。
Figure 2011016066
以上の結果から判るように、出発原料粒子が大きい粒径のものでも1回の衝突処理で既に1/100以下の粒径にまで微粒化できている。また、5回の衝突処理後に得られた微粒子は、図3に示した未処理(a)と5回処理後(b)の粒子径分布の変化から、比較的広い分布の広い原料からほぼ均一な微粒化がなされていることが判り、本装置において、超高圧で極めて短い衝突距離における適度な流路抵抗を作用させることで優れた微粒化性能が得られることが確認できた。
次に、上記の流動パラフィン微粒化処理と同じ衝突装置1にて、同じ噴射条件にて原料粒子として酸化チタンの微粒化を評価した。即ち、メジアン粒径1.850μmの酸化チタン(日本エアロジル株式会社製P25)の10wt%スラリー原料液を、流路抵抗Pd=1.1MPaの導出流路6の設定で、噴射圧力Pi=150MPaでノズル口径d=0.2mmの噴射ノズル3から衝突距離L=13mmにて噴流衝突処理を5回繰り返し行った。各衝突処理後に原料粒子の粒径を計測(堀場製作所製粒度分布計LA−910)し、結果を表3に示し、図4に未処理(a)と5回処理後(b)の粒子径分布を示した。
Figure 2011016066
以上の結果から、本衝突装置1によれば、比較的硬度の高い原料粒子であっても良好に微粒化でき、しかも均一な微粒化がなされることが確認できた。以上に示された本発明による優れた微粒化性能は、超高圧で可能な短距離衝突による大きな衝突力と、適度な流路抵抗によってスーパーキャビテーションの影響を抑えた良好なキャビテーション衝撃力とを共にロス無く最大限に利用できた結果と言える。
1:衝突装置
2:チャンバ
2a:チャンバ上流側領域
2b:チャンバ拡大領域
3:噴射ノズル
3a:噴射ノズル受圧領域
4:衝突用プレート
5:衝突面
6:導出流路
7:液出口
8:構造体
10:原料液噴流
11:衝突後液体
L:衝突距離

Claims (4)

  1. 装置本体内にチャンバに配置された硬質板部材の平坦面に対して、単一の噴射ノズルからスラリー原料液の高圧噴流を噴射して衝突させる衝突装置であって、
    前記高圧噴流の前記噴射ノズルからの噴射圧力Piに対して流路抵抗Pdを作用させる手段を備え、
    前記流路抵抗Pdが、前記噴射ノズルの口径d、流速V、原料動粘度υ、に対して、10×(d・V/υ)−1.35 <Pi/Pd<2×10×(d・V/υ)−0.97 を満たすものであることを特徴とする衝突装置。
  2. 前記流路抵抗手段は、衝突後のスラリー液をチャンバ本体外へ排出する出口へ導く導出流路からなり、
    該導出流路の総流路断面積Aが、前記流路抵抗Pdに基づいて、該導出流路による導出流量Q、スラリー液密度ρ、に対して、Q=CA×(2Pd/ρ)1/2 ,C:流量係数、を満たすものであることを特徴とする請求項1に記載の衝突装置。
  3. 前記硬質板部材は、ビッカース硬度26GPa以上の超硬合金あるいはヌープ硬度100GPa以上の多結晶ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝突装置。
  4. 前記噴射ノズルを装置本体に保持すると共に内部に形成された空間により前記チャンバを形成する構造体を備え、
    前記チャンバが、前記硬質板部材の平坦面からなる噴流衝突面の直前に設けられた比較的空間内径の大きい拡大領域と、該拡大領域より空間内径が小さい上流側領域とで形成されており、
    前記チャンバの噴射ノズル出口から前記衝突面までの噴射軸方向に沿った幅である衝突距離Lが、前記噴射ノズルに供給される加圧されたスラリー原料液の圧力によって決定し、該噴射ノズルを介して前記構造体が受ける力Wと、該力Wを受けるせん断面積にかかわる前記噴射ノズルの圧力を受ける部材側面の径X及び前記上流領域の噴射軸方向に沿った幅(L−Y)に対して、W/{πX×10−3×(L−Y)×10−3}<50MPa,Y:拡大領域の噴射軸方向に沿った幅、を満たすものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突装置。
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