JP2012111993A - アトマイズ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜状噴射流面の幅方向全体にわたって金属粒子を均一に微粒化することができるアトマイズ装置を提供する。
【解決手段】複数の噴射ノズルから流体を膜状流体にしてV字形に噴射し、その交差領域に金属の溶湯を流下してアトマイズを行うアトマイズ装置において、上記噴射ノズル2,2は、上記膜状流体F7,F8の幅方向両端部Dにおける上記溶湯に対する上記膜状流体F7,F8の交差角θaが、上記膜状流体の幅方向中央部Eにおける上記溶湯に対する上記膜状流体の交差角よりも小さい角度となるように、噴射角が上記膜状流体の幅方向において変更されていることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、金属の微粒子を得るためのアトマイズ装置に関し、特に、落下する金属溶湯に対し水やガスなどの流体を噴射して金属微粒子を製造するのに好適なアトマイズ装置に関するものである。
金属微粒子を得るための方法として、図15に示すように、流体の噴射流面F1,F2をV字形に形成し、そのV字形噴射流面の交差部Iを狙って複数本の円筒ノズル50(またはスリットノズル)から微粒化材料、例えば、溶湯を流下させる方法が一般的に知られている。
具体的には、噴射流としての高圧冷却水が交差する中心に対しタンディッシュからの溶鋼流を供給し鉄粉を製造する方法(例えば、特許文献1参照)、微粉砕しようとする原料溶湯を磁気作用によりシート状に形成し、これを噴射流の交線である長く伸びた交差領域に供給し粉末を製造する方法(例えば、特許文献2参照)、または、注湯ノズルから薄膜形状で落下する金属溶湯に対し、一対の噴霧ガスを薄膜状にしてほぼV字形に噴霧し金属粉末を製造する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
特開平2−43305号公報 特開平4−210409号公報 特開2005−213617号公報
図16は一般的なV字ジェット方式アトマイズ装置の構成を示している。
このタイプによるアトマイザーでは、アトマイズされた粒子の一部が吹き上げ流Hに乗って上昇する。
上昇した粒子はV字状水膜噴出口の両端部からやや下方の装置内壁四隅部Jに付着してアトマイズ装置内の流れを乱し、四隅部Jに付着した付着粒子は最終的に巨大化して互いに繋がり、装置を閉塞させる虞がある。特に、V字を形成している水膜の交差角θを大きくすると、閉塞する傾向が顕著になる。なお、上記交差角θとは、流下する溶湯に対し水膜が交差する角度を意味する。
そのため、交差角θを小さくしてアトマイズ運転を行う必要があるが、交差角θを小さくすると、一般的に粒子径が大型化し、結果として粒径分布が広がった、品質の低下した粒子が発生する。
本発明は以上のような、従来の膜状噴射流面を利用して金属粒子を微粒化する方法における課題を考慮してなされたものであり、溶湯のアトマイズ部では交差角θを大きな角度に維持して微粒化を図りつつ吹き上げ流を抑制して粒子の付着を防止することができるアトマイズ装置を提供するものである。
本発明は、複数の噴射ノズルから流体を膜状流体にしてV字形に噴射し、その交差領域に金属の溶湯を流下してアトマイズを行うアトマイズ装置において、
上記噴射ノズルは、上記膜状流体の幅方向両端部における上記溶湯に対する上記膜状流体の交差角が、上記膜状流体の幅方向中央部における上記溶湯に対する上記膜状流体の交差角よりも小さい角度となるように、噴射角が上記膜状流体の幅方向において変更されているアトマイズ装置である。
本発明において、上記噴射ノズルとして平行に配置された管状ノズルを有する場合、それらの管状ノズルの管軸方向に、上記膜状流体を噴射するスリットを形成することができる。
上記スリットは中央部が直線に形成され、その中央部から各端部にむけて湾曲する曲線に形成されていることが好ましい。
上記噴射ノズルとして、平行に配置されたノズル列を有する場合、各ノズル列から一列に噴射される上記流体が上記膜状流体を形成するように構成することができる。
上記ノズル列の両端側に配置されるノズルの上記交差角は、上記ノズル列の中央部に配置されるノズルの上記交差角よりも小さい角度に調整することが好ましい。
なお、本発明において、流体とは、水やガス等が含まれる。
本発明のアトマイズ装置によれば、V字状水膜の両端部に発生する吹き上げ流を抑制してアトマイズ装置内壁への粒子の付着を防止しつつ、溶湯が流下してアトマイズが行われるV字状水膜の中央部では金属粒子を均一に、より微粒化することができるという長所を有する。
(a)は粒子が分裂する場合、(b)は粒子が分裂しない場合のメカニズムを説明する模式図である。 溶湯に対して膜状の高圧噴流を直交させる場合を想定したアトマイズを示す斜視図である。 図2のアトマイズにおける噴流の移動を示す説明図である。 噴流をV字状に衝突させる場合のアトマイズを示す概念図である。 従来のアトマイズ装置の運転状態を示す概略図である。 本発明のアトマイズ装置および噴流として装置内に取り込まれた空気の流速を示す斜視図である。 図6に示す非平面の高圧噴流を示す斜視図である。 第一実施形態に係る噴射ノズルの構成を示す正面図である。 図8のP−P′矢視断面図である。 図8のN−N′矢視断面図である。 図8の噴射ノズルの中央部から噴射される噴流の交差角を示す説明図である。 図8の噴射ノズルの両端部から噴射される噴流の交差角を示す説明図である。 (a)は本発明に係る噴射ノズルの別の構成を示す斜視図、(b)は図13(a)の噴射ノズル装置をK方向から見た側面図である。 溶湯の別の供給方法を示す斜視図である。 従来の平面膜状噴流を示す斜視図である。 従来のV字ジェット方式アトマイズ装置の構成を示す斜視図である。
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
液体金属が高圧噴流によって微粒子に粉砕されるメカニズムは、液体金属の粒子に作用する噴流の衝突圧力が、液体金属粒子の表面張力に打ち勝つことで粒子がばらばらに粉砕される。
図1(a)は、高圧噴流の衝突圧力が粒子の表面張力を上回って粒子が変形する様子を示し、同図(b)は粒子の表面張力が噴流の衝突圧力よりも十分に大きいために粒子が球形を維持したまま変形しない様子を示している。
どのような液体金属であれ、初期の分裂条件は、流体による抗力と表面張力の釣り合いから下記式(1)のように得られる。
式(1)の右辺におけるπDσは、高圧噴流に直交する粒子断面(投影面積A)における表面張力を表している。
ただし、Cは球の抵抗係数、ρは液体の密度、Uは高圧噴流と液体金属との相対速度、Dは液体金属の粒子直径、σは液体金属の表面張力を示している。
この結果、これ以上は分裂が生じなくなる最小径を求めるための目安になる臨界ウェーバー数Wecritが式(2)のように得られる。
実際には、液体金属の粘性の影響の他、溶融状態にある液体金属の場合には冷却時の凝縮により分裂し難くなる等、他の影響因子も存在するが、一般的な傾向として、上記式(1)または式(2)から分かるように、高圧噴流と液体金属の相対速度Uが増加すると、粒子径は小さくなる。
したがって、側面から見てV字形の噴射流面を形成して溶湯を流下させる場合には、高圧噴流と液体金属の相対速度Uが最も大きくなる条件、すなわち、図2に示すような、高圧噴流と溶湯が直交するアトマイズが最も微粒化に適している。
しかしながら、このようなアトマイズでは、対向して吹き出され中央で衝突した噴流F3〜F6が上下方向に等しく分かれ、上方向に吹き上げた噴流F3,F4はその上部に配置されている溶湯ノズル50に接触してしまい、アトマイズ運転が成立しなくなる。
この状況は以下に説明するように、運動方程式から理解できる。
図3に示すように、左右から等しい噴流が衝突してその噴流が上下に分かれて飛び散る場合を想定すると、水平方向と鉛直方向のそれぞれについて、式(3)と式(4)の運動方程式が成立する。
また、エネルギー保存から、噴流は衝突後も速度はほとんど変わらないことになり、
が成立する。したがって、式(4)と式(5)より
が得られる。質量保存則を組み合わせると、ドットm=ドットm=ドットmになり、当然のように、等しく上下に噴流が分かれる状況(上向き噴流流量ドットm、下向き噴流流量ドットm参照)が各保存式から導かれる。
実際には、上方向に噴流が吹き上げることを防止するために、噴流をV字形を形成すべく一対の噴流を斜め下向きに噴射する。
この状況は、図4に示すような概念図をもとに、式(7),(8)に示す質量と運動量の保存則を解くことにより、速度と流量の関係を求めることができる。ただし、ここでも噴流の速度は衝突後もほとんど変わらないものとする上記式(5)の条件を用いる。
式(7)、(8)より
が得られる。
すなわち、噴流の交差角θが小さくなるほど上向きに吹き上がる噴流の流量mは減少することから、アトマイズの安全運転という観点からは上記交差角θは小さい方がよいことが分かる。
実際の運転では図5に示すように、アトマイズ装置1の上部開口1aから大量の空気Bが吸引され、上向きに吹き上げる流量m(図4参照)を打ち消す条件で運転されている。
図中、F7およびF8は下向きV字形に噴射される高圧噴流を示し、Mはその高圧噴流が交差する中心Oに対して、図示しないタンディッシュから供給される溶鋼流を示している。
吸引されてアトマイズ装置1内を下向きに流れる空気Bの流速は、図6に示すように、中央部で速く、両端部では、アトマイズ装置1の内部壁面と開口部1aの角部Cに生じる剥離渦の影響を受けて遅くなる。
そのため、噴流の両端部では上向きに吹き上げる流量mを打ち消す作用が弱くなる。このような事情から、吹き上げは、まず、噴流両端部から発生する傾向がある。
そこで、本発明では、吹き上げが発生しやすい噴流の両端部Dでは、交差角θaを中央部の交差角θより小さくして上向きの吹き上げを防止し、溶湯が落下してアトマイズが行われる中央部Eでは交差角θを端部Dよりも大きくして噴流流れと液体金属の相対速度Uを大きくし、金属粒子の粒子径をより小さく微粒化できるようにしている。
なお、図6において、符号3は垂下された複数本の溶湯ノズルを示している。
このように、噴流両端部では交差角θaを小さく、中央部Eでは交差角θが大きくなるように交差角を連続的に変化させると、図7に示すような非平面の、両端側で下向きに湾曲した膜状の高圧噴流F7およびF8が得られる。交差角θとθaとの関係は図11、12にて説明する。
図8は上記非平面の高圧噴流(膜状流体)F7およびF8を実現するための噴射ノズル2を示したものである。
同図において、噴射ノズル2は棒状部材から構成され、その内部軸方向に、長さLにわたって噴流を形成するための流路2aが形成されている。なお、上記長さLは噴流F7(F8)の幅と対応している。
上記流路2aは絞り部2b(図9参照)を介し、噴射ノズル2の胴部外壁に形成されたスリット2cと連通している。
上記スリット2cは、中央部E′については噴射ノズル2の中心軸Sと平行に形成され、両端部D′についてはそれぞれ噴射ノズル2の中心軸Sから徐々に遠ざかる方向に湾曲して形成されている。なお、本実施形態において中央部E′はスリット2cにおける直線部分を意味する。
また、中央部E′は図6の中央部Eと対応し、両端部D′は同じく両端部Dと対応している。
図9は図8のP−P′断面図であり、中央部E′におけるスリット2cの位置を示している。
図10は図8のN−N′断面図であり、端部D′におけるスリット2cの位置を示している。
スリット2cは中央部E′においては直線に形成され、中央部E′から端部D′にかけては湾曲した曲線で形成されているため、両図に示すように、両端部D′における噴流吹き出し方向G′は、中央部E′における噴流吹き出し方向Gに比べて角度θb分変化している。
アトマイズ装置1において、噴射ノズル2は落下する溶湯の両側に一対配置されるようになっており、図11において、上記中央部E′から噴射される噴流の交差角をθとし、図12に示すように、両端部D′から噴射される噴流の交差角をθaとすると、θa<θとなる。
すなわち、各スリット2c,2cから膜状に噴射される流体の、幅方向端部における交差角θaは、幅方向中央部におけるV字の交差角θよりも小さくなるように、上記各スリット2c,2cの流体噴射角が変更されている。
それにより、図6に示したように、高圧噴流F7の交差角θaは小さいため、高圧噴流交差部の位置は高圧噴流の幅方向両端部Dにおいて深くなる。
一方、高圧噴流の中央部Eにおける高圧噴流F7の交差角θは大きいため、高圧噴流交差部の位置は高圧噴流の幅方向両端部Dに比べて浅くなる。
その結果、膜状に噴射される高圧噴流F7,F8の幅方向両端部Dについて噴流速度の低下を防止できるため、高圧噴流面の幅方向全体にわたって粒子を分裂させるのに十分な圧力を発生させることができる。
図13は本発明のアトマイズ装置に使用できる別の噴射ノズル装置の構成を示したものであり、同図(a)は全体斜視図であり、同図(b)は噴射ノズル装置を矢印K方向から見た側面図である。
両図に示す噴射ノズル装置は、連続するスリットから流体を膜状に噴射するのに代えて、独立したノズルを複数個配列し、各ノズルから噴射される流体が重なって膜状となるように構成されている。
詳しくは、同図に示す噴射ノズル装置はデスケーリングノズルを利用したものであり、平行に配置された第一のノズル列10および第二のノズル列11を有し、各ノズル列10,11はそれぞれ6つのノズルから構成され、各ノズル先端に超硬合金からなるノズルチップが設けられている。
一方のノズル列10から個々に噴射される末広がり状の高圧噴流F〜Fは、下方側で互いに重なり合い、全体として、図6に示した高圧噴流F7と同様に膜状の高圧噴流F7′を形成するようになっている。
また、他方のノズル列11から個々に噴射される高圧噴流F〜F12も同様に重なり合って、図6に示した高圧噴流F8と同様に膜状の高圧噴流F8′を形成し、各高圧噴流はV字状に交差されるようになっている。
なお、高圧噴流F7′は図中、塗りを施していない部分であり、高圧噴流F8′は塗りを施した部分である。
上記構成からなる噴射ノズル装置においても、噴流両端部Dにおける交差角θa<噴流中央部Eにおける交差角θとなる、非平面、且つ噴射両端側で下向きに湾曲した高圧噴流を得ることができる。なお、図中、10aおよび11aは噴流両端部に配置されたノズルを示している。
また、本実施形態では溶湯を複数本、垂下されたノズルから流下する構成を示したが、これに限らず、図14に示すように、スリット状の開口から溶湯M′を膜状に流下させるものであってもよい。
1 アトマイズ装置
2 噴射ノズル
2a 流体流路
2b 絞り部
2c スリット
3 溶湯ノズル
C 開口角部
D 端部
E 中央部
F7,F8 高圧噴流(膜状流体)
S 中心軸

Claims (5)

  1. 複数の噴射ノズルから流体を膜状流体にしてV字形に噴射し、その交差領域に金属の溶湯を流下してアトマイズを行うアトマイズ装置において、
    上記噴射ノズルは、上記膜状流体の幅方向両端部における上記溶湯に対する上記膜状流体の交差角が、上記膜状流体の幅方向中央部における上記溶湯に対する上記膜状流体の交差角よりも小さい角度となるように、噴射角が上記膜状流体の幅方向において変更されていることを特徴とするアトマイズ装置。
  2. 上記噴射ノズルとして平行に配置された管状ノズルを有し、それらの管状ノズルの管軸方向に、上記膜状流体を噴射するスリットが形成されている請求項1記載のアトマイズ装置。
  3. 上記スリットは中央部が直線に形成され、その中央部から各端部にむけて湾曲する曲線に形成されている請求項2記載のアトマイズ装置。
  4. 上記噴射ノズルとして、平行に配置されたノズル列を有し、各ノズル列から一列に噴射される上記流体が上記膜状流体を形成するように構成されている請求項1記載のアトマイズ装置。
  5. 上記ノズル列の両端側に配置されるノズルの上記交差角が、上記ノズル列の中央部に配置されるノズルの上記交差角よりも小さい角度に調整されている請求項4記載のアトマイズ装置。
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