以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、電気掃除機1は、吸込口を有する第1の吸込口体として吸込口体101と、吸気を発生させる電動送風機(吸引モーター)や塵埃捕集室を収容する本体100と、吸込口体101と本体100とを接続する延長管102と接続パイプ103とサクションホース104と連結管105とを備える。延長管102と接続パイプ103とサクションホース104と連結管105は、吸気通路を形成する。連結管105の外周面上には、第2の吸込口体としてイオン発生室130が設置されている。
吸込口体101には、延長管102、取っ手を備える接続パイプ103、サクションホース104、連結管105が順次接続されている。サクションホース104は連結管105を介して本体100に接続されている。接続パイプ103の取っ手には、使用者が電動送風機の駆動と駆動停止とを切り替えたりするための操作部(図示しない)が配置されている。
延長管102は、用途に合わせて使用者が長さを調節することが可能であるように、途中で分割されたり、二重構造の伸縮式にされたりしてもよい。サクションホース104は、柔軟に曲がるように構成されている。
本体100には、本体100を床面上で移動可能に支持する車輪106が設けられている。また、本体100上には、通常、使用者が本体100を持ち上げるためのハンドル(図示しない)が配置されているが、本体100上にはハンドルが配置されていなくてもよい。
図2と図3に示すように、電気掃除機1(図1)の本体100の内部には、主に、電動送風機110と、塵埃捕集室120と、フィルタ150と、吸気経路107Aと、排気経路107Bが配置されている。本体100の外周面において、2つの車輪106の間には、排気経路107Bに接続される排気口108が形成されている。
塵埃捕集室120の上流側には連結管105が接続され、後流側には吸気経路107Aを介して電動送風機110が接続されている。電動送風機110の後流側には、フィルタ150が配置されている。
本体100に連結されている連結管105の外周面上には、イオン発生室130が形成されている。イオン発生室130には、イオン発生室130の内部と連結管105の内部とを連通するイオン放出口135が形成されている。イオン放出口135は、連結管105の内側から、壁部として隔壁140によって覆われている。隔壁140は、連結管105内を通過する吸気ならびに吸気に含まれる塵埃が、イオン発生室130内へ流入するのを防止するものである。図2の二点鎖線で示す吸気の流れから見て、イオン放出口135の上流側端部より連結管105の中心部に向けて壁が伸び、途中で屈曲し、イオン放出口135の下流側端部近傍まで延設されている。言い換えると、隔壁140は、吸気の流れに対して略垂直に伸びる垂直壁と、吸気の流れに対して略水平に伸びる水平壁とから構成されている。
イオン発生室130内への塵埃を含む吸気の流入を防止する点において、隔壁140の形状は、図2に示すようにその断面は、垂直壁より水平壁が長い略L字形状とし、イオン放出口135の下流側端部近傍に隙間を設けるのが好ましい。
イオン発生室130内で発生したイオンを速やかに連結管105内に供給する場合には、イオン放出口135の開口を大きくするために、隔壁140の垂直壁と水平壁の長さを略同じ長さにするのが好ましいが、この場合、イオン発生室130内への塵埃の流入を防止するために、網目状のメッシュフィルタをイオン放出口135の開口を覆うように設けるのがよい。
図4の(A)と(B)に示すように、イオン発生室130の内部には、イオン発生部としてイオン発生素子131と、正イオンと負イオンの分離部材として分離壁134と、逆止弁137が配置されている。イオン発生室130には、2つの開口部、すなわち、イオン放出口135と吸気口136とが形成されている。イオン放出口135は常に開放されている。
吸気口136は、両端が開口した中空円筒体で、外部とイオン発生室130内を連通している。逆止弁137は、吸気口136の外形より大きい内径寸法をもつ円筒形状で、一端が閉じ他端が開口した蓋体である。逆止弁137は、他端の開口側から、吸気口136の一端に覆い被さるように組み合わさっている。
逆止弁137は、図示しない付勢手段により吸気口136を開放する方向に常に付勢されている。付勢手段は、例えば、連結管105の内部の圧力が所定の圧力よりも高いときに逆止弁137が吸気口136を閉塞し、連結管105の内部の圧力が所定の圧力よりも低いときに逆止弁137が吸気口136を開放するよう付勢力が調整された巻きばねであり、逆止弁137と吸気口136の間に内装されている。これにより、逆止弁137は、連結管105の内部の圧力に基づいて吸気口136を開放または閉塞する。吸気口136、逆止弁137、付勢手段により吸気口開閉手段が構成される。
なお、逆止弁137の代わりに、電気的駆動弁により吸気口136を開閉する電磁弁を用いても良い。
この場合、接続パイプ103の取っ手にイオン発生素子131の操作部を設け、使用者がイオン発生素子131の駆動と駆動停止の切り替えに応じて、電磁弁による吸気口136の開放と閉塞が行われる。
また、吸気口136は、連結管105が本体100に接続された状態において、その開口が下方を向くように配置されている。これにより、水などの液体がイオン発生室130内に入った場合でも速やかに外部に排出することができる。
イオン発生素子131は、正イオン発生部132と負イオン発生部133とを含む。正イオン発生部132と負イオン発生部133とは、それぞれ尖端部を有しており、高電圧が印加されると尖端部でコロナ放電を発生させることができるように構成されている。たとえば、正イオン発生部132の尖端部に交流インパルス電圧をプラスにバイアスした電圧波形を印加することで、正イオン発生部132では正イオンが発生され、負イオン発生部133の尖端部に交流インパルス電圧をマイナスにバイアスした電圧波形を印加することで、負イオン発生部133では負イオンが発生される。
イオン放出口135は、正イオン発生部132と負イオン発生部133の両方から、距離がほぼ等しい位置に形成されている。分離壁134は、正イオン発生部132と負イオン発生部133との間に両者を仕切るように配置されている。分離壁134は、イオン発生素子131からイオン放出口135まで延びている。以上の構成により、正イオン発生部132と負イオン発生部133から発生された正イオンと負イオンは、イオン発生室130内で中和することが防止される。
以上のように構成される電気掃除機1の動作について説明する。図2から図4に二点鎖線で示す矢印は、吸気の流れる方向を示す。まず、塵埃捕集室120の内部に溜められている塵埃の量があまり多くない場合、すなわち、吸気通路内の圧力が低い場合について説明する。
使用者が操作部を操作して電気掃除機1の運転を開始すると、イオン発生素子131と電動送風機110とが駆動される。イオン発生素子131が駆動されると、イオン発生素子131の正イオン発生部132と負イオン発生部133のそれぞれにおいてイオンが発生する。
電動送風機110が駆動されると、吸気が発生する。吸気は、吸込口から吸込口体101の内部に吸い込まれる。吸込口体101の内部に吸い込まれた吸気は、延長管102、接続パイプ103、サクションホース104、連結管105を順に通って、電気掃除機1の本体100内に吸い込まれる。本体100内においては、吸気はまず、連結管105から塵埃捕集室120内に流入する。
塵埃捕集室120内に塵埃があまり溜められていない場合には、吸気通路の一部である連結管105内の圧力が低い。このとき、吸気口136に配置されている逆止弁137は、吸気口136を開放している。そのため、電動送風機110が駆動されると、イオン発生室130の吸気口136からイオン発生室130の内部に吸い込まれる吸気も発生する。
吸気口136からイオン発生室130に流入した吸気は、正イオン発生部132を通ってイオン放出口135から連結管105の内部に流出する。また、吸気口136からイオン発生室130に流入した吸気は、負イオン発生部133を通ってイオン放出口135から連結管105の内部に流入する。吸気が正イオン発生部132と負イオン発生部133を通るときに、正負のイオンが吸気に供給される。イオン放出口135から連結管105の内部に流入したイオンを含む吸気は、塵埃捕集室120内に向かって流通する。
イオン放出口135の上流側は隔壁140によって覆われている。そのため、吸込口体101から延長管102、接続パイプ103、サクションホース104を通って連結管105に流入した塵埃を含む吸気は、イオン放出口135の上流側から、イオン放出口135を覆う隔壁140に沿って、連結管105の下流側に向かって流れる。隔壁140がイオン放出口135の上流側を覆っているので、塵埃を含む空気はイオン放出口135に入り込みにくい。したがって、イオン放出口135が塵埃でふさがれたり、塵埃を含む吸気がイオン放出口135からイオン発生室130内に入り込んで、正イオン発生部132や負イオン発生部133が塵埃で汚損されたりして放電が生じにくくなることを防ぐことができる。
連結管105の内部にイオンを含む空気が流通することによって、連結管105と連結管105内の塵埃が除電される。
次に、イオンを含む吸気は、連結管105から塵埃捕集室120内に流入し、旋回させられる。このとき、吸気中のイオンは、吸気中の塵埃に衝突する。また、吸気中のイオンは塵埃捕集室120の内壁面に衝突する。
吸気中の塵埃は、吸気との摩擦や塵埃どうしの接触によって帯電していることが多い。また、塵埃捕集室120の内壁面も、吸気との摩擦や塵埃との接触によって帯電していることが多い。このように帯電している塵埃や塵埃捕集室120の内壁面にイオンが衝突することによって、塵埃や塵埃捕集室120が除電される。
吸気は、塵埃捕集室120内で旋回することによって塵埃と分離される。塵埃捕集室120内で塵埃と分離された吸気は、電動送風機110に向かって流通する。電動送風機110の下流側にはフィルタ150が設置されている。吸気は、フィルタ150を通過して清浄化され、排気経路107Bを通って、排気口108から本体100の外に排出される。
電気掃除機1を用いた掃除が終了すると、使用者は操作部を操作して、電動送風機110の駆動とイオン発生素子131の駆動を停止させる。電動送風機110とイオン発生素子131の駆動が完全に停止した後、使用者は、塵埃捕集室120を本体100から取り外して、塵埃捕集室120内に溜められた塵埃を廃棄する。
塵埃と塵埃捕集室120は電動送風機110とイオン発生素子131の駆動中に除電されている。そのため、塵埃捕集室120から塵埃を廃棄するときに、静電気によって塵埃が飛び散ったり、塵埃捕集室120に塵埃が付着したまま残ったりすることが少なくなる。塵埃を取り除かれた塵埃捕集室120は、再び電気掃除機1の本体100に装着される。
一方、塵埃捕集室120の内部に溜められている塵埃の量が増えてくると、電動送風機110を駆動したときに連結管105内の圧力が高まる。連結管105内の圧力が所定の圧力よりも高くなると、逆止弁137は吸気口136を閉塞する。吸気口136が閉塞されると、吸気口136からイオン発生室130の内部に吸気が流入しなくなる。吸気がイオン発生素子131を通過しなくなるので、イオン発生素子131によって発生されるイオンはイオン発生室130内から吸気通路内に供給されにくくなる。
このように、逆止弁137が吸気口136を閉塞すると、吸気通路内にイオンが供給されにくくなるが、その代わりに、塵埃捕集室120内に塵埃が大量に溜まっても、電気掃除機1の吸引力を保つことができる。また、使用者が電気掃除機1の吸引力を強く調節しようとしたときに、吸引力を十分に強くすることができる。
以上のように、第1実施形態の電気掃除機1は、吸込口を有する吸込口体101と、吸気を発生させる電動送風機110と、吸気を吸込口体101から電動送風機110に導く吸気通路と、イオン発生素子131とを備える。吸気通路には、イオン発生素子131によって発生されたイオンを吸気通路内に放出するためのイオン放出口135が形成されている。電気掃除機1は、吸気が流れる方向においてイオン放出口135の上流側を覆うように吸気通路の内部に配置される隔壁140をさらに備える。
イオン発生素子131によって発生されたイオンは、イオン放出口135から吸気通路内に放出される。吸気通路内に放出されたイオンは、吸気とともに、電動送風機110に導かれる。イオン放出口135の上流側は、吸気通路の内部に配置される隔壁140によって覆われている。そのため、吸気通路内を流通する吸気に含まれる塵埃は、イオン放出口135からイオン発生素子131側に逆流しにくい。このようにしてイオン発生素子131に塵埃が接触することを防ぐことによって、イオン放出口135が塵埃でふさがれたり、イオン発生素子131が汚損されたりして、イオンが発生しにくくなることを防ぐことができる。
このようにすることにより、塵埃や吸気通路を構成する部材を効果的に除電することが可能な電気掃除機1を提供することができる。
また、第1実施形態の電気掃除機1は、吸気通路に配置され、吸気を旋回させて塵埃を分離する塵埃捕集室120を備える。塵埃捕集室120は、吸気の流れにおいてイオン放出口135の下流側に配置されている。
吸気を旋回させて塵埃を分離する塵埃捕集室120においては、吸気と塵埃との摩擦、塵埃どうしの摩擦、吸気と塵埃捕集室120との摩擦、塵埃と塵埃捕集室120との摩擦が生じやすく、塵埃と塵埃捕集室120が帯電しやすい。そこで、吸気の流れにおいてイオン放出口135の下流側に塵埃捕集室120が配置されることによって、イオン放出口135から吸気通路に放出されるイオンを塵埃捕集室120の除電に用いることができる。
また、第1実施形態の電気掃除機1においては、隔壁140の下流側端部は、吸気が流れる方向においてイオン放出口135の下流側端部よりも下流側に配置されている。
隔壁140の下流側端部が、吸気が流れる方向においてイオン放出口135の下流側端部よりも下流側に配置されることにより、イオン放出口135の上流側から下流側端部までが隔壁140に覆われる。このようにすることにより、イオン放出口135が塵埃でふさがれたり、イオン発生素子131が汚損されたりすることをより効果的に防ぐことができる。
また、以上のように、第1実施形態の電気掃除機1は、気体とともに塵埃を吸入するための吸込口を有する吸込口体101と、気体を吸入するための吸気口136を有するイオン発生室130と、吸気を発生させる電動送風機110と、吸気を吸込口体101とイオン発生室139とから電動送風機110に導く吸気通路と、イオン発生室130の内部に配置されるイオン発生素子131とを備える。
吸気通路には、イオン発生素子131によって発生されたイオンを吸気通路内に放出するためのイオン放出口135が形成されている。第1実施形態の電気掃除機1は、吸気口136を開放または閉塞することが可能であるように吸気口136に配置される逆止弁137をさらに備える。逆止弁137は、吸気通路内の圧力に基づいて吸気口136を開放または閉塞することが可能であるように構成されている。
電気掃除機1には、2つの開口部、すなわち、吸込口体101の吸込口と、イオン発生室130の吸気口136が形成されている。そのため、塵埃を含む気体を第1の吸込口体の吸込口から吸い込み、塵埃をほとんど含まない気体を第2の吸込口体の吸気口から吸い込むことができる。このようにして、第2の吸込口体の内部に配置されるイオン発生部には、塵埃を含む空気が接触しないので、イオン発生部が汚損されにくくなる。
一方で、吸込口体101の吸込口とイオン発生室130の吸気口136が形成されていることによって、吸気口136を有しない電気掃除機1と比較して、電動送風機110の出力が同じでも吸引力が低くなることがある。この吸引力の低下は通常の使用時には問題にならない。しかし、吸気通路内の圧力がある程度以上に上昇している場合には、イオン発生室130にイオン放出口135が形成されていることによって、従来の電気掃除機よりも吸引力が低くなる場合がある。
そこで、吸気口136に逆止弁137を配置して、例えば、吸気通路内の圧力が所定の圧力よりも低いときには逆止弁137を開放して、イオン放出口135から吸気通路内にイオンが供給されるようにする。また、吸気通路内の圧力が所定の圧力よりも高くなったときに逆止弁137を閉じて、イオン放出口135から吸気通路内にイオンを供給せずに、吸引力を保つことを優先するようにする。
また、使用者が電気掃除機1の吸引力を調節できる電気掃除機1の場合には、使用者が電気掃除機1の吸引力を所定の吸引力よりも強くするように調節したときには、逆止弁137が吸気口136またはイオン放出口135を閉塞して、吸引力を十分に強くすることができる。一方、使用者が電気掃除機1の吸引力を所定の吸引力よりも低くするように調節したときには、逆止弁137が吸気口136またはイオン放出口135を開放して、吸気通路内にイオンが充分に供給されるようにすることができる。
このように、吸気通路内の圧力に基づいて、逆止弁137によって吸気口136を開放または閉塞することが可能であるように構成することによって、電気掃除機1の吸引力を保ちながら、吸気通路内にイオンを供給することができる。
また、第1実施形態の電気掃除機1においては、逆止弁137は、吸気口136を開放または閉塞することが可能であるように吸気口136に配置されている。
逆止弁137がイオン放出口135に配置されていると、イオン発生素子131で発生したイオンがイオン放出口135から放出されるときに、逆止弁137に衝突して、イオンが消滅することがある。そこで、イオン放出口135ではなく、吸気口136に逆止弁137を配置することにより、逆止弁137にイオンが衝突してイオンが消滅することを防ぐことができる。このようにして、吸気中のイオン濃度が低下することを防ぐことができる。
(第2実施形態)
図5に示すように、第2実施形態の電気掃除機においては、イオン発生室230内に配置されているイオン発生部としてイオン発生素子231と分離壁234の向きが、第1実施形態の電気掃除機とは異なる。
イオン発生素子231の正イオン発生部232と負イオン発生部233は分離壁234によって仕切られている。第2実施形態の電気掃除機においては、イオン発生室230内の分離壁234が、連結管105の内部を流通する吸気の流れと平行になるように配置されている。正イオン発生部232と負イオン発生部233とは、分離部材として分離壁234を挟んで、吸気の流れる方向に直交する方向に並べられる。
イオン発生室230には、第1実施形態の電気掃除機と同様に吸気口236が形成され、吸気口236には逆止弁237が配置されている。逆止弁237は、吸気通路内の圧力に基づいて、吸気口236を開放または閉塞する。第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、逆止弁237は連結管105の内部の圧力が所定の圧力よりも高いときに吸気口236を閉塞し、連結管105の内部の圧力が所定の圧力よりも低いときに吸気口236を開放するように構成されている。
図6に示すように、連結管105の内部においては、第1実施形態の電気掃除機と同様に、放出口235が壁部として隔壁240によって覆われている。連結管105内の吸気は、図中に二点鎖線の矢印で示す方向に流れる。放出口235は、上流側の端部から下流側の端部まで隔壁240に覆われている。
第2実施形態の電気掃除機のその他の構成は、第1実施形態の電気掃除機と同様である。
第2実施形態の電気掃除機の電動送風機を駆動させると、吸気が発生する。吸気は、第1実施形態の電気掃除機と同様に、吸込口体101(図1)の吸込口から塵埃とともに電気掃除機の内部に吸い込まれる。同時に、塵埃捕集室120(図2、図3)の内部に塵埃があまり溜まっていないときや、使用者が電気掃除機の吸引力を弱くしたときには、逆止弁237が開き、吸気口236からイオン発生室230内に吸気が流入する。吸気は、イオン発生素子231を通って放出口235から連結管105内に流出する。吸気は、正イオン発生部232を通って、正イオンを含まされて、放出口235から連結管105の内部に流出する。また、吸気は、負イオン発生部233を通って、負イオンを含まされて、放出口235から連結管105の内部に流出する。正イオンを含む吸気と負イオンを含む吸気は、放出口235まで分離壁234によって分離されている。そのため、正イオンを含む吸気と負イオンを含む吸気とは、放出口235までは混ざり合わないので、中和による各イオンの消滅を防止できる。
放出口235から連結管105の内部に流入した正負のイオンは、連結管105の内部を電動送風機に向かって導かれて、塵埃や吸気通路を構成する部材の除電に用いられる。
分離壁234は吸気の流れに平行に配置されている。そのため、分離壁234に沿ってイオン発生室230内を流通して、放出口235から連結管105内に流出する正負のイオンは、そのまま、吸気の流れに平行に流れやすい。このようにすることにより、正負のイオンが吸気通路で混ざりにくく、吸気通路内において、より長い距離を流通しやすい。このようにすることにより、吸気通路内のより広い範囲を除電することができる。
塵埃捕集室120(図2、図3)の内部に塵埃が大量に溜まっているときには、逆止弁237は吸気口236を閉塞する。逆止弁237が吸気口236を閉塞すると、吸気がイオン発生室230内に流入しないので、イオン発生素子231によって発生された正イオンと負イオンとは連結管105内に供給されにくい。使用者が電気掃除機の吸引力を強くしたときも同様に、イオンが連結管105の内部に供給されにくい。しかし、イオンが連結管105の内部に供給されにくい一方で、吸引力を保つことができる。
第2実施形態の電気掃除機のその他の構成と効果は、第1実施形態の電気掃除機と同様である。
(第3実施形態)
図7に示すように、第3実施形態の電気掃除機においては、イオン発生室330内に配置されているイオン発生素子331の向きが第2実施形態と異なっている。また、第2実施形態の電気掃除機と異なる点として、イオン発生室330には放出口が2つ、すなわち、正イオン放出口335と負イオン放出口336とが形成されている。
イオン発生室330内においては、イオン発生素子331が、第2実施形態のイオン発生素子231を水平面内で45°回転させられた状態で配置されている。イオン発生素子331の正イオン発生部332の近傍には、正イオン放出口335が形成されている。負イオン発生部333の近傍には、負イオン放出口336が形成されている。正イオン発生部332と負イオン発生部333とは、分離壁334を挟んで配置されている。また、正イオン放出口335と負イオン放出口336も、分離壁334を挟んで配置されている。
イオン発生素子331を挟んで、正イオン放出口335と負イオン放出口336の反対側には、イオン発生室330に吸気口337が形成されている。吸気口337には、逆止弁338が配置されている。
図8に示すように、連結管105の内部においては、正イオン放出口335が隔壁341によって、上流側の端部から下流側の端部まで覆われている。また、負イオン放出口336が隔壁342によって、上流側の端部から下流側の端部まで覆われている。連結管105内の吸気は、図中に二点鎖線の矢印で示す方向に流れる。
第3実施形態の電気掃除機のその他の構成は、第2実施形態の電気掃除機と同様である。
第3実施形態の電気掃除機の電動送風機を駆動させると、吸気が発生する。吸気は、第1実施形態の電気掃除機と同様に、吸込口体101(図1)の吸込口から塵埃とともに電気掃除機の内部に吸い込まれる。同時に、塵埃捕集室120(図2、図3)の内部に塵埃があまり溜まっていないときや、使用者が電気掃除機の吸引力を弱くしたときには、吸気口337からイオン発生室330内に吸気が流入する。吸気口337からイオン発生室330内に流入した吸気は、イオン発生素子331を通って、放出口335と放出口336とから連結管105内に流出する。吸気は、正イオン発生部332を通って、正イオンを含まされて、正イオン放出口335から連結管105内に流出する。また吸気は、負イオン発生部333を通って、負イオンを含まされて、負イオン放出口336から連結管105内に流出する。正イオンを含む吸気と負イオンを含む吸気は、正イオン放出口335と負イオン放出口336まで分離壁334によって分離されている。そのため、正イオンを含む吸気と負イオンを含む吸気とは、連結管105の内部に流入するまでは混ざり合わない。
正イオン放出口335と負イオン放出口336から連結管105の内部に流入した正負のイオンは、連結管105の内部を電動送風機に向かって導かれて、塵埃や吸気通路を構成する部材の除電に用いられる。
塵埃捕集室120(図2、図3)の内部に塵埃が大量に溜まって連結管105内の圧力が所定の圧力以上に高まると、逆止弁338は吸気口337を閉塞する。逆止弁338が吸気口337を閉塞すると、吸気がイオン発生室330内に流入しないので、イオン発生素子331によって発生された正イオンと負イオンとは連結管105内に供給されにくい。使用者が電気掃除機の吸引力を強くしたときも同様に、連結管105内の圧力が高まると、逆止弁338が吸気口337を閉塞する。
以上のように、第3実施形態の電気掃除機においては、イオン発生素子331は、正イオンと負イオンとを発生させるイオン発生素子331である。放出口は、正イオンを放出する正イオン放出口335と負イオンを放出する負イオン放出口336とを含む。第3実施形態の電気掃除機は、正イオン放出口335と負イオン放出口336との間に配置される分離壁334を備える。
イオン発生素子331が正イオンと負イオンとを発生させ、正イオン放出口335から正イオンを放出し、負イオン放出口336から負イオンを放出することによって、吸気に正イオンと負イオンの両方を供給することができる。また、正イオン放出口335と負イオン放出口336との間に配置される分離壁334を備えることによって、正イオンと負イオンとが正イオン放出口335と負イオン放出口336から放出される前に中和されて消滅することを防ぐことができる。このようにすることにより、塵埃や電気掃除機の構成部品を除電しやすくなる。
また、第3実施形態の電気掃除機においては、分離壁334は、吸気が流れる方向に平行に配置されている。
分離壁334が、吸気が流れる方向に平行に配置されていることによって、正イオンと負イオンとは、吸気が流れる方向に交差する方向に並んで吸気通路内に放出される。正イオン放出口335から放出された正イオンと、負イオン放出口336から放出された負イオンとは、吸気が流れる方向に交差する方向に並んで、吸気によって吸気通路内を流通する。正イオンと負イオンとが吸気の流れる方向に交差する方向に並んで吸気通路内を流通することによって、正イオンと負イオンとが吸気通路内で混合されにくくなる。このようにすることにより、正イオンと負イオンとが互いに衝突して中和され、消滅してしまうことを防ぐことができる。
第3実施形態の電気掃除機のその他の構成と効果は、第1実施形態の電気掃除機と同様である。
(第4実施形態)
図9と図10に示すように、第4実施形態の電気掃除機が第1実施形態の電気掃除機と異なる点としては、第4実施形態の電気掃除機は、第1実施形態の電気掃除機が備えるイオン発生室130(図4)の代わりに、イオン発生室430を備える。連結管105の内部には、第1実施形態の隔壁140と同様に隔壁440が形成されている。
イオン発生室430には、主な構成としては第1実施形態のイオン発生室130(図4)と同様に、イオン発生素子431が配置され、放出口435と吸気口436とが形成されている。また、イオン発生室430には、逆止弁437が配置されている。放出口435は、連結管105の内部から隔壁440によって覆われている。放出口435は隔壁440によって、上流側の端部から下流側の端部まで覆われている。
しかし、図9に示すように、第4実施形態のイオン発生室430においては、吸気口436と逆止弁437の配置が図4に示す第1実施形態のイオン発生室130と異なる。イオン発生室430の吸気口436は、イオン発生素子431を挟んで放出口435と同じ側であって、放出口435の近くに配置されている。また逆止弁437は、吸気口436ではなく、放出口435を開放または閉塞可能であるように、放出口435に配置されている。
図11に示すように、イオン発生室430の内部は、第1実施形態の電気掃除機が備えるイオン発生室130(図4)の内部とは異なっている。
イオン発生室430の内部においては、イオン発生素子431の正イオン発生部432と負イオン発生部433との間に、分離壁434が配置されている。分離壁434は、イオン発生素子431から放出口435まで延びている。放出口435には、逆止弁437が配置されている。逆止弁437は、連結管105内の圧力に基づいて、放出口435を開放または閉塞する。
第4実施形態の電気掃除機の電動送風機110が駆動されると、吸気口436からイオン発生室430の内部に吸気が流入する。イオン発生室430の内部に流入した吸気は、逆止弁437が放出口435を開放しているときには、放出口435から連結管105内に流出する。正イオン発生部432で発生した正イオンと、負イオン発生部433で発生した負イオンとは、吸気口436から放出口435に向かって流れる吸気に引かれて、吸気とともに、放出口435から連結管105内に流出する。正イオン発生部432と負イオン発生部433との間には分離壁434が形成されているので、正イオンと負イオンは、放出口435に到達するまでは混ざらない。
連結管105内の圧力が高く、逆止弁437が放出口435を閉塞している場合には、吸気口436からイオン発生室430内に吸気が流入しない。イオン発生素子431で発生された正負のイオンは、連結管105の内部に供給されない。
以上のように、第4実施形態の電気掃除機においては、逆止弁437は、放出口435を開放または閉塞することが可能であるように放出口435に配置されている。
このようにすることにより、塵埃を含む吸気が放出口435から逆流してイオン発生素子431を汚損することを防ぐことができる。
第4実施形態の電気掃除機のその他の構成と効果は、第1実施形態の電気掃除機と同様である。
(第5実施形態)
図12と図13に示すように、第5実施形態の電気掃除機においては、第1実施形態の電気掃除機と異なる点としては、イオン発生室530の形状、特に、分離壁534と隔壁540の形状が異なる。
第5実施形態の電気掃除機が備えるイオン発生室530は、主な構成としては第1実施形態の電気掃除機が備えるイオン発生室130(図4)と同様、正イオン発生部532と負イオン発生部533とを含むイオン発生素子531を有する。イオン発生室530には、放出口535と吸気口536とが形成されている。吸気口536には、逆止弁537が配置されている。正イオン発生部532と負イオン発生部533との間には、分離壁534が配置されている。
イオン発生室530は、第1実施形態の電気掃除機と同様に、連結管105の外周面上に配置されている。しかし、第1実施形態の電気掃除機とは異なって、イオン発生室530の放出口535が形成されている先端部は、電気掃除機の本体100の内部に差し込まれている。イオン発生室530の先端部は、塵埃捕集室120に接続されている。放出口535は、塵埃捕集室120の内部に開口している。
イオン発生素子531の正イオン発生部532と負イオン発生部533との間には、分離壁534が配置されている。分離壁534は、イオン発生素子531から、放出口535まで延びている。
分離壁534が、正イオン発生部532と負イオン発生部533との間において、塵埃捕集室120の内部に開口する放出口535まで延びていることによって、正イオン発生部532で発生した正イオンと、負イオン発生部533で発生した負イオンとは、互いに交じり合うことなく、塵埃捕集室120内に供給される。
このようにすることにより、正イオンと負イオンとを中和させずに塵埃捕集室120内に供給することができるので、帯電しやすい塵埃捕集室120の内部を効果的に除電することができる。
第5実施形態の電気掃除機のその他の構成と効果は、第1実施形態の電気掃除機と同様である。
なお、第1〜第5実施形態のイオン発生室では、正イオンと負イオンを略同数発生させ、吸気に流通させている。一般的に塵埃はプラスの電荷が帯電する傾向にあるので、負イオンのみを発生させて除電することも可能であるが、本発明では、正イオンと負イオンの両方を発生させることで、塵埃捕集室120内の除電に加えて、殺菌および消臭を行っている。正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(ただし、mは任意の自然数である)と表わされる。負イオンは、酸素イオン(O2 −)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2 −(H2O)n(ただし、nは任意の自然数である)と表わされる。正イオンおよび負イオンを塵埃捕集室120内に放出すると、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などが除去される。さらに、活性種は、空気中の臭い分子を酸化させ分解する作用があるので、塵埃捕集室120内の消臭も行える。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。