JP2011013599A - 光学用樹脂組成物、該光学素子、該複合型光学素子、及び該製造方法 - Google Patents

光学用樹脂組成物、該光学素子、該複合型光学素子、及び該製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機無機ハイブリッド材料からなり、透明で無機微粒子が均一に分散しており、かつ成形時に泡が混入しない光学素子用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エネルギー硬化型樹脂(A)と、無機微粒子(B)と、添加剤(C)と、を含み、無機微粒子(B)のゼータ電位(mV)の絶対値|ζB|が30≦|ζB|≦120で示される範囲の値であることにより、上記課題の解決を図る。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学素子の製造に用いる光学用樹脂組成物、および該光学素子用樹脂組成物を用いて成形される光学素子、例えばデジタルカメラ等の撮像光学系、表示デバイス等の投影光学系、画像表示装置等の観察光学系などの光学系に用いられる光学素子に関する。
近年、カメラ、ビデオカメラ、カメラ付携帯電話、テレビ電話、カメラ付ドアホン等、撮像モジュールが搭載されている製品の小型化が日に日に進んでいる。そのため、撮像モジュール用光学系の更なる小型化、軽量化、低コスト化が求められている。
これまで光学材料としては、石英や光学ガラスなどの無機系材料が主に用いられてきた。これは、これらのガラスが優れた光学特性や耐熱性を有しているからである。しかし、このような無機材料は、加工性やコスト、密度が大きいといった課題も有している。そのため、小型・軽量化を目的とした光学系への応用は難しかった。この問題に対処すべく、優れた光学特性や加工性、軽量性などを兼ね備えた樹脂材料の開発が進められており、屈折率が1.7以上を超える樹脂材料も出てきた。
しかし、光学系の高性能化に伴い、屈折率・アッベ数・透過率といった光学特性について、現存の樹脂材料単独では実現できない光学特性が要求されることもしばしばである。
そこで、現存する光学用樹脂のさらなる高屈折率化、低屈折率化などを目的として、有機無機ハイブリッド材料の開発が盛んに試みられている。有機無機ハイブリッド材料とは、樹脂中に金属酸化物などの無機微粒子を均一に分散させたものである。この有機無機ハイブリッド材料は、金属酸化物の有する高い光学特性、耐候性、耐熱性、耐光性と、樹脂のハンドリング性、軽量性を併せ持つ材料として、様々な分野で注目されている。
しかし、有機無機ハイブリッド材料では、無機粒子の混合による増粘が避けられない。そのため、樹脂特有のハンドリング性、成形性の良さが失われてしまうことが課題となっている。樹脂組成物の粘度が増加すると、光学素子の成形時に泡を巻き込みやすくなるため、成形品を光学素子として使用することが難しかった。このように、所望の特性を有する樹脂組成物が得られた場合でも、その成形性の課題が実用化を阻む原因となっていた。
有機無機ハイブリッド材料の成形性を改良する発明として、特許文献1や特許文献2の発明がある。特許文献1では、有機樹脂の官能基の数や量によって、回折光学素子の格子形状を保持することができる成形性を実現している。また、特許文献2では、樹脂の官能基数や分子量、離型剤の種類によって、離型性の向上を実現している。しかしそれらは成形時の泡の混入についてはなんら考慮されておらず、泡が混入しない光学素子を得る方法としては不十分であった。
特開2006−308792号公報 特開2009−7567号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、有機無機ハイブリッド材料からなる光学用樹脂組成物において、透明で無機微粒子が均一に分散しており、かつ成形時に泡が混入しない光学素子用樹脂組成物、および該樹脂組成物から成る光学素子、複合型光学素子を提供する。
本発明では、以下に示した組成・ゼータ電位を有する光学用樹脂組成物、および該光学用樹脂組成物により形成された光学素子、複合型光学素子を提供する。
すなわち、本発明の光学用樹脂組成物は、エネルギー硬化型樹脂(A)と無機微粒子(B)と添加剤(C)からなる樹脂組成物であって、無機微粒子(B)のゼータ電位ζB(mV)の絶対値|ζB|が(1)式で示される範囲の値であることを特徴としている。
30≦|ζB|≦120 ・・・(1)
また、前記光学用樹脂組成物は、厚さ1mmにおけるヘーズ値が2.0%以下であることを特徴としている。
また、前記光学用樹脂組成物は、25℃における粘度が50mPa・s以上、500mPa・s以下であることを特徴としている。
また、前記光学用樹脂組成物に含有される無機微粒子(B)は平均粒子径が1nm以上50nm以下であり、かつ表面修飾された粒子であり、前記光学樹脂組成物中における無機微粒子(B)の含有量が5wt%以上、50wt%以下であることを特徴とする。
また、前記無機微粒子(B)は、Ti、Nb、Zr、Sn、Sb、及びSiから選ばれる酸化物であることを特徴とする。
また、本発明における光学素子は前記光学樹脂組成物を硬化することによって得られることを特徴とする。
また、本発明における複合型光学素子は前記光学樹脂組成物を基板に積層し、硬化することによって得られことを特徴とする。
また、本発明における光学用樹脂組成物の製造方法は、エネルギー硬化型樹脂(A)を含む溶液に、該溶液に無機微粒子(B)を均一に分散させたときのゼータ電位(mV)の絶対値|ζB|が(1)式で示される範囲の値で示される無機微粒子(B)と、添加剤(C)を均一に分散させて形成することを特徴とする。
30≦|ζB|≦120 ・・・(1)
本発明によれば、透明で無機微粒子が均一に分散しており、かつ成形時に泡が混入しない光学用樹脂組成物、および該光学用樹脂組成物から成る光学素子、複合型光学素子を得ることができる。
本発明の実施形態における光学用樹脂組成物の展延状態を示す図である。 本発明の実施形態における複合型光学素子の一例を示す図である。
本発明の実施形態における光学用樹脂組成物は、エネルギー硬化型樹脂(A)と、無機微粒子(B)と、添加剤(C)とを含んでいる。ここで、無機微粒子(B)のゼータ電位(mV)の絶対値|ζB|は、該無機微粒子(B)が該光学用樹脂組成物中に均一に分散しているとき、以下の(1)式で示される範囲の値である。
30≦|ζB|≦120 ・・・(1)
ゼータ電位とは、あるマトリックスの中に存在している物質(粒子など)の表面電位を示すものである。本実施形態では樹脂組成物がマトリックスに対応するので、樹脂組成物中に分散している無機微粒子の表面電位をゼータ電位としている。このゼータ電位は、超音波方式ゼータ電位計を用いて測定される。超音波方式ゼータ電位計は、コロイド振動電流(CVI)を検出して、濃厚系・非水系の微粒子分散溶液のゼータ電位の直接測定(希釈不要)を可能にするものである。コロイド振動電流(CVI)は、超音波を照射したときに微粒子が振動することで発生する電場(コロイド振動電位:CVP)によって生じる。
ゼータ電位の値は、その絶対値が大きいほど粒子表面の帯電量が多いことを示している。つまりゼータ電位の絶対値が大きいほど、同符号の粒子同士ではより強く粒子同士が反発し凝集しにくい。そのため、樹脂組成物中の粒子の分散安定性が良くなる。逆にゼータ電位がゼロに近づくと、粒子表面の帯電量が少なくなり、粒子間の反発力が弱まるため、粒子同士が凝集しやすくなる。その結果、樹脂組成物中の粒子の分散安定性は悪くなる。
本実施形態の光学用樹脂組成物においては、上記(1)で示すように、無機微粒子のゼータ電位の絶対値|ζB|を30以上120以下としている。
これにより、樹脂組成物中の粒子の分散状態を、凝集のない均一状態に保つことができる。また、粒子が凝集することにより生じる粘度の上昇を防ぐことができる。そのため、成形時に泡が混入しない光学用樹脂組成物を得ることができる。また、成形性が良好な光学用樹脂組成物を得ることができる。
B|が30より小さいと、無機微粒子表面の帯電量が少なくいため、粒子同士が凝集している粒子が存在する。この場合、樹脂組成物の粘度が非常に高くなり、光学素子成形時に泡を巻き込みやすくなる。また、凝集した粒子によって光が散乱されるため、ヘーズが大きくなる。この場合、このような樹脂組成物を使って光学素子を得たとしても、この光学素子において十分な性能(高い透過率、あるいは低い拡散性)を得ることは困難である。
一方、|ζB|が120より大きいときは、樹脂組成物において、粒子の凝集や増粘の増加は生じない。よって、泡の巻き込みは生じない。しかし、|ζB|>120のとき、樹脂組成物中には多量の添加剤が添加されている。この多量の添加剤は、樹脂そのものや無機微粒子の光学特性を低下させる原因となる。そのため、このような樹脂組成物を使って光学素子を得たとしても、この光学素子において必要な性能(屈折率、アッベ数、部分分散比等)を得ることが困難となる。
従って、本実施形態における樹脂組成物は30≦|ζB|≦120の条件を満足することが好ましい。なお、樹脂組成物は、50≦|ζB|≦120の条件を満足することがより好ましい。このようにすれば、無機微粒子をより均一に分散させることができるので、粘度の上昇を防ぐことができる。そのため、成形時に泡が混入しない樹脂組成物を得ることができる。加えて、樹脂組成物において、所望の光学特性を維持することができる。さらに、透明性が高く、良好な成形性を有する樹脂組成物を得ることができる。
次に、本実施形態における樹脂組成物のヘーズは2.0%以下であるのが好ましい。ヘーズは、「JIS K7136プラスチック−透明材料のヘーズの求め方−」に準拠して測定したヘーズの値である。ヘーズHは以下の(2)式に示したように、全光線透過率(Tt)に対する拡散光透過率(Td)の比として定義されており、樹脂組成物中に含有された無機微粒子の分散性を評価する指標となる。
H=Td/Tt×100 ・・・(2)
ヘーズの値が小さいほど無機微粒子が均一に分散しており、透明性の高い樹脂組成物であるといえる。従って、光学性能を十分に発揮することが可能な光学素子が得られる。しかし、ヘーズが2.0%よりも大きくなると、微粒子による光の散乱が大きくなるため、透過率が減少する。また目視によっても樹脂組成物が濁っていることが分かるので、高い透明性が必要となる光学素子への使用は難しくなる。従って、上記のように、本実施形態における樹脂組成物のヘーズは2.0%以下であるのが好ましい。なお、ヘーズは、1.0%以下であるのがより好ましく、0.5%以下であれば更に好ましい。
次に、本実施形態における樹脂組成物の粘度は30mPa・s以上500mPa・s以下であるのが好ましい。
樹脂組成物の粘度が低すぎると、厚さのある光学素子を作ることが難しく、成形性が悪くなる。逆に樹脂組成物の粘度が500mPa・sよりも大きいと、樹脂組成物の流動性が悪いため、泡を巻き込みやすくなり成形性が悪化する。従って、上記のように、本実施形態における樹脂組成物の粘度は30mPa・s以上500mPa・s以下であるのが好ましい。なお、本実施形態における樹脂組成物の粘度は30mPa・s以上300mPa・s以下であるのがより好ましく、30mPa・s以上100mPa・s以下であれば更に好ましい。
次に、無機微粒子(B)の平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて得られた個数基準粒度分布のd50(最小粒子径と最大粒子径の割合が50%のときの粒子径)の値である。本実施形態の樹脂組成物において、無機微粒子(B)の平均粒子径は、1nm以上50nm以下であるのが好ましい。
平均粒子径が1nm以下では、微粒子の凝集力が大きくなる。この場合、無機微粒子が均一に分散しないため、凝集した粒子により光が散乱されることになる。よって、高い透明性を有する樹脂組成物を得ることは困難である。また、平均粒子径が50nmよりも大きいと、樹脂組成物中の無機微粒子が均一に分散していても光が散乱しやすくなり、ヘーズが大きくなる。そのため、透明性が低下してしまう。
従って、上記のように、無機微粒子(B)の平均粒子径は、1nm以上50nm以下であるのが好ましい。なお、本実施形態における無機微粒子(B)の平均粒子径は、1nm以上20nm以下であるのがより好ましく、1nm以上10nm以下であれば更に好ましい。
また、無機微粒子は未処理のもの、表面処理を施したもののいずれを用いることが可能である。より好ましくは表面処理された無機微粒子を用いることが望ましい。表面処理の手法、表面処理剤は特に限定されず、公知のものを使用することができる。表面処理剤としては、例えば金属アルコキシド、カルボン酸、水酸化物などが挙げられる。
また、本実施形態の樹脂組成物における無機微粒子含有量は、樹脂組成物全量に対して5wt%以上50wt%以下であることが好ましい。無機微粒子の含有量が5wt%以下では、無機微粒子の優れた光学特性の効果がなく、樹脂組成物の光学特性が現存光学用樹脂と何ら変わらない。逆に無機微粒子の含有量が50wt%よりも多いと、微粒子量が過剰であるため樹脂組成物の増粘が避けられない。この場合、光学素子の成形時に泡が混入しやすくなる。また、樹脂組成物内で粒子同士が接触する回数が増えるため、微粒子の凝集が誘発され、無機微粒子を均一に分散させることが困難となる。その結果、ヘーズ値が増加するので、光学素子用樹脂組成物としての性能を十分に発揮できなくなる。
また、無機微粒子の種類は特に限定されるものではなく、金属酸化物、複合金属酸化物、金属化合物などから、適したものを使用することができる。無機微粒子としては、Ti、Nb、Zr、Sn、Sb、Siから選ばれる酸化物が好ましい。なお、無機微粒子としては、酸化チタン、酸化ニオブ、ジルコニア、酸化スズ、ATOのいずれか、あるいはこれらの組み合わせを用いるとより好ましい。上記の無機微粒子は、他の金属酸化物、複合金属酸化物よりも透明性の高い樹脂組成物を得ることができる。
また、無機微粒子の形状は、特に限定されない。形状としては、例えば、不定形状、球状、中空状、多孔質状、花弁状、粒状がある。無機微粒子の形状は、これらのいずれの形状でもよいが、球状であるのが好ましい。
また、エネルギー硬化型樹脂は特に限定されるものではなく、一般に市販されているものをどれも使用することができる。そのようなエネルギー硬化型樹脂は単独で用いてもよいし、複数のエネルギー硬化型樹脂を混合させてもよい。また、エネルギー硬化型樹脂はモノマーのままで用いても良いし、オリゴマーとしてから用いても良い。
エネルギー硬化型樹脂としては紫外線硬化型樹脂を用いると良い。紫外線硬化型樹脂は、熱硬化型樹脂と比較して、成形時の熱履歴による樹脂の光学特性の低下や、熱収縮による寸法変化が少ない。そのため、紫外線硬化型樹脂を用いると、所望の形状の光学素子の成形が可能である。また、紫外線硬化型樹脂は硬化に要する時間が短く、コストの面からも紫外線硬化型樹脂が優れているといえる。
エネルギー硬化型樹脂としては例えば、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル(以下、両者を併せて(メタ)アクリレートと記す)、ビニル化合物等の不飽和二重結合を含む化合物やエポキシ化合物、オキセタン化合物等も用いることができる。
具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルロールトリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシナネート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、N−ビニルカルバゾール、アクリロイルオキシエチルカルバゾール、9,9−ビス[4−(4−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどを挙げることができる。
また、添加剤としては、公知の重合開始剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤、減粘剤、紫外線吸収剤、重合促進剤、重合禁止剤、離型剤などがある。必要に応じてこれらを単独で、あるいは複数組み合わせて、添加剤として使用することができる。
重合開始剤は、熱重合開始剤、光重合開始剤のいずれを用いることが可能であるが、光重合開始剤を使用すると良い。光重合開始剤は加熱などの工程が不要であることから、短時間で硬化を行うことができる。そのため、光重合開始剤を用いると、簡便に光学素子、複合型光学素子を成形することが可能である。
光重合開始剤は一般に市販されているもの全てから選ぶことが可能であるが、α−ヒドロキシケトン系あるいはビスアシルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤を用いると良い。α−ヒドロキシケトン系の重合開始剤は、樹脂との相溶性が良く、黄変性が低い。そのため、α‐ヒドロキシケトン系の重合開始剤を用いると、透過率減少の原因となる着色を防ぎながら、硬化性が均一な光学素子を得ることが可能となる。α‐ヒドロキシケトン系の重合開始剤としては、例えばイルガキュア184、ダロキュア1173(共にチバ・ジャパン製)などが挙げられる。また、ビスアリルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤は硬化性が高く、樹脂組成物中に粒子などの樹脂以外の成分が含有されている場合にも問題なく硬化することが可能である。また、その硬化性からフィルムやコーティングなどの厚さの薄いものだけではなく、レンズ、回折格子といったような厚さのある光学素子の硬化も問題なく行うことができる。さらに、耐候性が高いため、劣化のしない長期安定性を持つ光学素子を得ることができる。この耐候性は、紫外線吸収剤と併用することで更に高い効果を発揮する。ビスアリルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤としては、例えばイルガキュア819(チバ・ジャパン製)などが挙げられる。また、α−ヒドロキシケトン系とビスアリルフォスフィンオキサイド系の開始剤を併用することもでき、例えばイルガキュア1700(チバ・ジャパン製)などが挙げられる。
また、消泡剤の種類は特に限定されず、抑泡型、破泡型、溶泡型の消泡剤のどれも用いることができる。このうち、消泡剤としては抑泡型を用いるのが好ましく、ポリアルキルシロキサンを主成分とする消泡剤を用いると更に好ましい。抑泡型消泡剤は、泡の形成時に作用するため、泡そのものが形成せず、良好な成形性を有する樹脂組成物を得ることが可能となる。特にポリアルキルシロキサンを主成分とする消泡剤は少量の添加で十分な抑泡効果を示すため、樹脂組成物の光学特性へ影響を及ぼすことなく良好な成形性を保持することができる。
本実施形態における光学素子は、本実施形態に係る樹脂組成物を、光、熱によって硬化して得られる光学素子であり、レンズ、回折素子、フィルムなどが挙げられる。
また、本実施形態における複合型光学素子は、光学基材と樹脂組成物の硬化物の界面が、球面、非球面、自由曲面あるいは回折面である複合型光学素子である。
図1は、本発明の実施形態における光学用樹脂組成物の展延状態を示す。光学基材11の表面に、本実施形態に係る光学用樹脂組成物12を塗布し、その上面に型3を接触させる。この型3を所望の形状となるように下降し、樹脂組成物12を所定の形状に展延する。
その後、光学基材11と型3との光軸39を合わせた後、紫外線を照射して樹脂組成物12を硬化させる。樹脂組成物12を展延させる型は、金属製でもガラス製でも良い。金属製の型を用いた場合は、光学基材11の側から紫外線を照射する。光学基材11の反対面から紫外線を照射して樹脂組成物12を硬化させる場合は、ガラス製の型を用いる。このような方法により、例えば図2のような複合型光学素子を製造することができる。
図2は、本発明の実施形態における複合型光学素子の一例を示す。図2で示すように、複合型光学素子10は、光学基材11の表面に樹脂組成物12の硬化物13が一体に形成されている。L1は、光学基材11のレンズ径を示す。L2は、硬化物13の口径を示す。L3は、光学基材11のレンズ厚さを示す。R1は、底面側の光学基材11の曲率半径を示す。R2は、上面側の光学基材11の曲率半径を示す。R3は、硬化物13の曲率半径を示す。
以下、本実施形態の実施例について説明する。
[実施例1]
(無機微粒子の平均粒子径)
本実施例で使用した無機微粒子の平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550を用いて測定した。3回測定を行い、各個数基準粒度分布のd50(最小粒子径と最大粒子径の割合が50%のときの粒子径)の値の平均値を、無機微粒子の平均粒子径とした。得られた平均粒子径の値を表1に示した。
(樹脂組成物の作製)
メタノールで希釈したジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(DCP−A 共栄社化学株式会社製)に平均粒子径20nmのZrO2粒子分散メタノール溶液を目視で均一になるまで混合した。なお、ZrO2粒子分散メタノール溶液中には、微粒子分散剤DISPERBYK−180(ビックケミー・ジャパン製)がZrO2粒子に対して1wt%添加されている。これにより、ZrO2粒子の表面を修飾することができる。均一に混合された微粒子分散樹脂溶液を40℃、25hPaで減圧することでメタノールを除去し、樹脂組成物を作製した。それぞれの配合比を表1に示した。
(ゼータ電位の測定)
樹脂組成物中に含有されている無機微粒子のゼータ電位は、超音波式ゼータ電位測定装置DT−300(Dispersion Technology製)を用いて測定した。3回測定を行い、その平均値を、得られた樹脂組成物中に分散している無機微粒子のゼータ電位の値とした。その結果を表1に示す。
(ヘーズの測定)
樹脂組成物のヘーズは、ヘーズメーターNDH−2000(日本電色工業製)を用いて測定した。光路長1mmの測定セルに樹脂組成物を入れて3回測定を行い、その平均値を樹脂組成物のヘーズの値とした。その結果を表1に示す。
(粘度の測定)
樹脂組成物の粘度は、粘度計VM−100A(CBCマテリアルズ製)を用いて、25℃における粘度を測定した。3回測定した値の平均値を、樹脂組成物の粘度の値とした。その結果を表1に示す。
(複合型光学素子の作製)
樹脂組成物にラジカル重合開始剤イルガキュア1700(チバ・ジャパン株式会社製)を添加し、均一に混合した。S−BAL42(株式会社オハラ製)から成る光学基板11を、曲率半径R3=26mm、L2=16mmとなるように形成した。また、光学基板11の樹脂外周部が凹面にならないように、重合開始剤含有樹脂組成物を積層した。その積層した重合開始剤含有樹脂組成物に対して、ファイバー用紫外線照射装置LS−165 UV(株式会社住田光学製)を用いて、照度300mW(@405nm)、30秒間の紫外線を照射した。その後、その重合開始剤含有樹脂組成物に対して、80℃、2時間で熱処理を行い、複合型光学素子を作製した。光学基材11のガラスレンズは曲率半径R1=16mm、曲率半径R2=16mm、L1=20mm、L3=5mmのものを用いた。
(泡の確認)
複合型光学素子の泡の有無は、目視観察によって評価した。目視で確認できる泡が1個以上ある場合は×、泡がない場合は○とした。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
無機微粒子としてTiO2及び重合開始剤としてダロキュア1173(チバ・ジャパン株式会社製)を用いた点以外は、表1に示した材料と配合比を用いて、実施例1と同様に樹脂組成物と複合型光学素子を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
エネルギー硬化型樹脂(A)として、9,9−ビス[4−(4−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンを使用し、希釈する溶剤としてアセトンを使用した。これら以外は、表1に示した材料配合比を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物および複合型光学素子を作製し、評価した。なお、TiO2粒子分散メタノール溶液中には、微粒子分散剤DISPERBYK−180(ビックケミー・ジャパン製)がTiO2粒子に対して1wt%添加されている。これにより、TiO2粒子の表面を修飾することができる。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
エネルギー硬化型樹脂(A)として、ジフェン酸ジアリルとアクリロイルオキシエチルカルバゾールの混合物を使用し、希釈溶剤としてアセトンを使用した。これら以外は、表1に示した材料配合比を用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物および複合型光学素子を作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1のZrO2粒子とは異なる、表面修飾をしていないZrO2粒子を、表1に示した配合比で実施例1と同様の方法により混合し、樹脂組成物および複合型光学素子を作製した。ここで、表面修飾をしていないZrO2粒子とは、ZrO2粒子分散メタノール溶液中に微粒子分散剤DISPERBYK−180(ビックケミー・ジャパン製)が添加されていないものをいう。
得られた樹脂組成物は、ZrO2粒子が凝集しているため分散性が悪く、静置しておくと粒子が沈降した。そのため、ZrO2粒子のゼータ電位は樹脂組成物をマグネチックスターラーによって撹拌しながら測定した。また、ZrO2粒子の分散性が悪く樹脂組成物の粘度が高いため、複合型光学素子の硬化物に泡が混入していることが目視で確認された。複合型光学素子の硬化物部分は凝集したZrO2粒子によって硬化が阻害され、硬化物内部に未硬化部が確認された。
[比較例2]
実施例3のTiO2粒子とは異なる、表面修飾をしていないTiO2粒子を、表1に示した配合比で実施例1と同様の方法により混合し、樹脂組成物および複合型光学素子を作製した。ここで、表面修飾をしていないTiO2粒子とは、TiO2粒子分散メタノール溶液中に微粒子分散剤DISPERBYK−180(ビックケミー・ジャパン製)が添加されていないものをいう。
比較例1と同様に、得られた樹脂組成物はTiO2粒子が凝集しているため分散性が悪く、静置しておくと粒子が沈降した。そこで、TiO2粒子のゼータ電位はマグネチックスターラーによって撹拌しながら測定した。また、TiO2粒子の分散性が悪く樹脂組成物の粘度が高いため、複合型光学素子の硬化物には泡が混入していた。複合型光学素子の硬化物部分は凝集したTiO2粒子によって硬化が阻害され、硬化物内部に未硬化部が確認された。
表1より、樹脂組成物中に含有されている無機微粒子のゼータ電位の絶対値|ζB|が30≦|ζB|≦120の範囲にあるとき、透明で無機微粒子が均一に分散した、成形時に泡が混入しない良好な成形性を持つ光学素子用樹脂組成物、および該樹脂組成物から成る光学素子、複合型光学素子を得ることができる。
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
10 複合型光学素子
11 光学基材
12 エネルギー硬化型樹脂
13 エネルギー硬化型樹脂の硬化物
L1 基材のレンズ径
L2 樹脂の口径
L3 基材のレンズ厚さ
R1 基材の曲率半径
R2 基材の曲率半径
R3 樹脂の曲率半径

Claims (8)

  1. エネルギー硬化型樹脂(A)と、無機微粒子(B)と、添加剤(C)と、を含み、
    無機微粒子(B)のゼータ電位(mV)の絶対値|ζB|が(1)式で示される範囲の値であることを特徴とする光学用樹脂組成物。
    30≦|ζB|≦120 ・・・(1)
  2. 前記光学用樹脂組成物において、厚さ1mmにおけるヘーズが2.0%以下であることを特徴とする請求項1記載の光学用樹脂組成物。
  3. 前記光学用樹脂組成物において、25℃における粘度が30mPa・s以上、500mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用樹脂組成物。
  4. 前記無機微粒子(B)は平均粒子径が1nm以上50nm以下であり、かつ表面修飾された粒子であり、前記樹脂組成物中における前記無機微粒子(B)の含有量が5wt%以上50wt%以下であることを特徴とする請求項3記載の光学用樹脂組成物。
  5. 前記無機微粒子(B)は、Ti、Nb、Zr、Sn、Sb、及びSiから選ばれる酸化物であることを特徴とする請求項4記載の光学用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光学用樹脂組成物を硬化することによって得られる光学素子。
  7. 請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光学用樹脂組成物を基板に積層し、硬化することによって得られる複合型光学素子。
  8. エネルギー硬化型樹脂(A)を含む溶液に、該溶液中に均一に分散させた場合mpゼータ電位(mV)の絶対値|ζB|が(1)式で示される範囲の値で示される無機微粒子(B)を該溶液に均一に分散させ、さらに、添加剤(C)を加えて均一に分散させて形成することを特徴とする光学用樹脂組成物の製造方法。
    30≦|ζB|≦120 ・・・(1)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105164384A (zh) * 2013-05-10 2015-12-16 株式会社Ihi 直流扫气式二冲程发动机

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