JP2011013131A - 表面検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料表面のパターン形状の良否を、環境温度変化の影響を受けることなく判定する表面検査方法を提供する。
【解決手段】偏光子7及び対物レンズ9を含み、ウェハ10の表面を照明する照明光学系21と、ウェハ10の表面からの反射光を、対物レンズ9を介して集光し、偏光子7とクロスニコル条件を満たすように配置された検光子12を通して対物レンズ9の瞳面の像を結像する検出光学系22と、瞳面の像を検出する第1の撮像素子17と、を有する表面検査装置100による表面検査方法は、第1の基準像を取得する第1のステップと、検査像を取得する第2のステップと、第2の基準像を取得する第3のステップと、第1及び第2の基準像の階調値の差を求め、当該差が所定値を越えたときに、検査像の階調値を補正する第4のステップと、補正後の検査像及び第1若しくは第2の基準像の階調値を用いてウェハ10の欠陥を検出する第5のステップと、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】偏光子7及び対物レンズ9を含み、ウェハ10の表面を照明する照明光学系21と、ウェハ10の表面からの反射光を、対物レンズ9を介して集光し、偏光子7とクロスニコル条件を満たすように配置された検光子12を通して対物レンズ9の瞳面の像を結像する検出光学系22と、瞳面の像を検出する第1の撮像素子17と、を有する表面検査装置100による表面検査方法は、第1の基準像を取得する第1のステップと、検査像を取得する第2のステップと、第2の基準像を取得する第3のステップと、第1及び第2の基準像の階調値の差を求め、当該差が所定値を越えたときに、検査像の階調値を補正する第4のステップと、補正後の検査像及び第1若しくは第2の基準像の階調値を用いてウェハ10の欠陥を検出する第5のステップと、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面検査方法に関する。
半導体ウエハの表面に形成されたパターンの良否を判定する手法として、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、断面形状を計測する方法が種々提案されてきている。SEMによる断面形状の計測は、被検査基板(試料)上のパターンに照射した電子線を、このパターンの断面方向に走査し、パターンからの反射電子や二次電子を検出、解析して、走査した部分の断面形状を求める方法で行われる。上記の操作をパターン上の何点かで行い、パターン全体の形状の良否を判定する。また、パターンの良否を判定するその他の方法として、スキャトロメータによるCD及びオーバーレイのインライン測定技術がある。
分光スキャトロメータは、波長の関数として固定角度にて散乱光の特性を測定し、通常はキセノン、重水素、またはキセノンアーク灯のようなハロゲン系光源である広帯域光源を使用する。固定角度は、垂直入射か斜め入射でよい。角度分解スキャトロメータは、入射角の関数として固定波長にて散乱光の特性を測定し、通常は単一波長の光源としてレーザーを使用する。
SEMによる計測方法は、パターン上に電子線を照射して走査する作業を何回も繰り返し行うため、パターンの形状を求めるのに膨大な時間を要してしまう。また観察倍率が高いため、上述のように、ウエハ上の全てのパターン形状を求めるのは困難であり、何点かをサンプリングしてウエハ全体の良否を判定する。その結果、サンプリングされたパターン以外の部分に欠陥があっても見逃されてしまう。また、レジストパターンでは、電子線を照射すると加速電圧によって電子線がレジストに吸収、チャージされてパターンの目減りが起こる。場合によっては放電が発生してパターンが倒れてしまい、その後の工程で不都合が生じるため、加速電圧や観察倍率を色々と変えながら最適な観察条件をも求める。それ故、更に計測に時間を要する。
角度分解スキャトロメータ技術の問題は、1回に1つの波長しか検出しないことであり、したがって複数の波長があるスペクトルは、その波長を時間分割多重化して検出しなければならず、スペクトルの検出および処理に時間を要し、全取得時間が増加してしまう。また、分光スキャトロメータでは、小さい格子を入射角の小さい広がりで照明しなければならないので、この拡張光源からの光量が無駄になる。その結果、検出器上の光のレベルが低くなって、取得時間が長くなり、スループットにマイナスの影響を及ぼす。短い取得時間を選択すると、測定結果が安定しないことがある。
このような事情に鑑みて、微細パターンの線幅変化を構造性複屈折量変化として検出するために、直線偏光で微細パターンを集光照明し、この微細パターンによって楕円偏光化した反射光がクロスニコル状態になっている検光子を通過する光量変化を瞳像を用いて計測する方式(APM−PER検査法)が提案されており、レジストパターンやエッチング後のパターンに関わらず、被検査基板上のパターン形状の良否を短時間で判定することができる。この方法によれば、線幅と階調との関係を図5に示すように検出が可能である。つまり、計測された階調値とデータテーブルを参照し、線幅換算値を決定できる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このようなAPM−PER検査法による計測では、検査の環境温度が変化すると計測精度が悪化することが実験で判明した。原因は、温度変化によって対物レンズ内のレンズ膨張による応力歪みが発生することで、この対物レンズ内部のリタデーション分布が変化することにある。このことにより、入射直線偏光光は楕円偏光に変化し、クロスニコル状態になっている検光子を通過する光量が変化することになる。このため、計測開始時点と終了時点の温度安定性や、基準となる良品パターン計測時の温度とウェハ検査時の温度差によって、計測値の信頼性が低下してしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、レジストパターンやエッチング後のパターンに関わらず、被検査基板(試料)上のパターン形状の良否を、環境温度変化の影響を受けることなく、短時間で判定することができる表面検査方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、第1の本発明に係る表面検査方法は、偏光子及び対物レンズを含み、これらの偏光子及び対物レンズを介して試料の表面に形成されたパターンを光源から出射された光により照明する照明光学系と、この照明による試料の表面からの反射光を、対物レンズを介して集光し、更に、偏光子とクロスニコル条件を満たすように配置された検光子を通して対物レンズの瞳面の像を結像する検出光学系と、この検出光学系で結像された瞳面の像を検出する撮像素子と、を有する表面検査装置によりパターンの欠陥を検査する表面検査方法であって、健全なパターンが形成された基準試料の瞳面の像を第1の基準像として取得する第1のステップと、検査対象の試料の瞳面の像を検査像として取得する第2のステップと、基準試料の瞳面の像を第2の基準像として取得する第3のステップと、第1の基準像の階調値と第2の基準像の階調値との差を求め、当該差が所定値を越えたときに、検査像の階調値を補正する第4のステップと、補正後の検査像の階調値と第1若しくは第2の基準像の階調値とを用いて検査対象の試料の欠陥を検出する第5のステップと、を有する。
このような表面検査方法において、表面検査装置は、対物レンズの環境温度を検出する温度測定部を更に有し、第1のステップ及び第3のステップは、更に瞳面の像を取得したときの環境温度を温度測定部により検出する工程を含み、第4のステップは、階調値の差が所定値を越えたか否かの判断に代えて、第1及び第3のステップで取得された環境温度の差を求め、当該差が所定値を越えたときに、階調値の差を用いて検査像の階調値を補正するように構成することが好ましい。
また、第2の本発明に係る表面検査方法は、偏光子及び対物レンズを含み、これらの偏光子及び対物レンズを介して試料の表面に形成されたパターンを光源から出射された光により照明する照明光学系と、この照明による試料の表面からの反射光を、対物レンズを介して集光し、更に、偏光子とクロスニコル条件を満たすように配置された検光子を通して対物レンズの瞳面の像を結像する検出光学系と、この検出光学系で結像された瞳面の像を検出する撮像素子と、を有する表面検査装置によりパターンの欠陥を検査する表面検査方法であって、健全なパターンが形成された基準試料の瞳面の像を第1の基準像として取得する第1のステップと、検査対象の試料の瞳面の像を検査像として取得する第2のステップと、基準試料の瞳面の像を第2の基準像として取得する第3のステップと、第1のステップ及び第3のステップで取得された基準像の階調値の差及び環境温度の差から相関係数を算出する第4のステップと、当該相関係数に基づいて検査像の階調値を補正し、補正後の検査像の階調値と第1若しくは第2の基準像の階調値とを用いて検査対象の試料の欠陥を検出する第5のステップと、を有する。
また、このような表面検査方法は、検査対象の試料に複数の測定点が設定されているときに、これらの測定点を複数の組に分け、この組毎に第1のステップから第5のステップを実行するように構成されることが好ましい。
また、このような表面検査方法において、表面検査装置は、試料が載置されるステージと、このステージ上の試料と重ならない部分に取り付けられた基準パターンと、を有し、第1のステップ及び第3のステップは、基準パターンの瞳面の像を基準像として取得することが好ましい。
更に、このような表面検査方法において、第5のステップは、試料の欠陥を検出すると同時に、検査像の階調値からパターンの線幅を求めるように構成されることが好ましい。
本発明に係る表面検査方法によれば、レジストパターンやエッチング後のパターンに関わらず、検査対象である試料(ウエハ)上のパターン形状の良否を、環境温度変化の影響を受けることなく、短時間で判定することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示す表面検査装置100は、光源1(例えば、白色LEDやハロゲンランプなど)と、ステージ11上に載置された試料であるウエハ10に光源1から放射された照明光を照射する照明光学系21と、ウエハ10で反射された反射光を集光する検出光学系22と、この検出光学系22で集光された像を検出する第1撮像素子17及び第2撮像素子18と、を有して構成される。
照明光学系21は、光源1側から順に、コンデンサーレンズ2、干渉フィルタを含む照度均一化ユニット3、開口絞り4、第1視野絞り5、リレーレンズ6、偏光子7、ハーフミラー8、及び、対物レンズ9を有し、光軸上にこの順で並んで配置されている。この照明光学系21において、光源1から放射された照明光は、コンデンサーレンズ2、及び照度均一化ユニット3を介して、開口絞り4、第1視野絞り5を経て、リレーレンズ6によってコリメートされる。そして、コリメートされた光は、偏光子7を経て、ハーフミラー8により反射された後、対物レンズ9を介してステージ11上に載置されたウエハ10に導かれる。なお、開口絞り4及び対物レンズ9の瞳面は、リレーレンズ6を挟んで、それぞれこのリレーレンズ6の焦点距離の略2倍の位置に配置されている。そのため、開口絞り4の開口部の像が対物レンズ9の瞳面上若しくはその近傍に結像され、更に、対物レンズ9で集光されてウエハ10に照射される。すなわち、開口絞り4と対物レンズ9の瞳面とは共役関係になっている。また、この照明光学系21の光軸は、検出光学系22の光軸と略一致するように配置され、ウエハ10を同軸落射照明するように構成されている。ここで、ステージ11は、この同軸落射照明の光軸をz軸とし、z軸に垂直な面内においてこのz軸を通りそれぞれ直交する軸をx軸,y軸とすると、x軸、y軸、z軸方向に移動可能で、かつ、z軸と平行な軸の回りに回転可能に構成されている。そして、偏光子7は、紙面と垂直方向(x軸方向)に振動する直線偏光を出射するように設定されている。
検出光学系22は、ハーフミラー8及び対物レンズ9を照明光学系21と共用し、ウエハ10側から順に、対物レンズ9、ハーフミラー8、検光子12、第1結像レンズ13、ハーフプリズム14、第2結像レンズ15、及び、第2視野絞り16を有し、光軸上にこの順で並んで配置されている。ここで、ウエハ10に同軸落射照明された光は、このウエハ10で反射され、再び対物レンズ9に戻り、ハーフミラー8を透過し、更に検光子12を透過して第1結像レンズ13で集光され、ハーフプリズム14に入射する。ハーフプリズム14は一部の光を透過し残りの光を反射するものであり、このハーフプリズム14で反射した光は、第2撮像素子18にウエハ10の像を結像する。そして、ハーフプリズム14を透過した光は、更に、第2結像レンズ15で集光され、第2視野絞り16にウエハ10の像を結像し、第1撮像素子17に対物レンズ9の瞳像を結像させる。
この検出光学系22において、第1撮像素子17は、対物レンズ9の瞳面の像(瞳像)を検出する位置、すなわち、対物レンズ9の瞳面と共役な位置に配置されており、また、第2撮像素子18は、ウエハ10の像を検出する位置、すなわち、ウエハ10の表面(試料面)と共役な位置に配置されている。また、第2視野絞り16は、ウエハ10の表面と共役な位置に配置されている。ここで、この第1及び第2撮像素子17,18で検出された像は、それぞれ検出部23を介して、表示部19で観察できる。従って、第2撮像素子18により検出した像を、表示部19を介して観察すると、ウエハ10上のどの位置に照明光が照射されているかを確認することができる。また、検出部23には、後述するデータベースを記憶する記憶部24が接続されている。
このような表面検査装置100において、開口絞り4及び第1視野絞り5の開口部は、それぞれ、その形状(特に、光軸とこの開口部とを結ぶ直線方向の径の大きさ)及び光軸(図面上では、模式的に2点差線で示している)に直交する面内での位置を変化させることが可能な構造となっている。そのため、開口絞り4の開口部の形状及び位置を変化させると、ウエハ10に照射される照明光の開口角が変化し、また、第1視野絞り5の開口部の形状及び位置を変化させると、ウエハ10の表面に照射される照明領域の大きさ(照明の範囲)を変化させることができる。また、第2視野絞り16は、光軸(z軸)に対して、x,y軸方向に移動可能な開口形状を有する。
具体的な欠陥の検出方法としては、例えば、この表面検査装置100を用いて健全なパターンを有する試料(基準となる試料であって、以下「基準試料」と呼ぶ)の瞳像(基準像)を取得し、次に検査対象の試料の瞳像(検出像)を取得して、基準像と検出像の画素毎の輝度(階調値)の差を比較し、ある画素においてその差が所定の閾値を超えたときに欠陥があると判定するようにしてもよい。比較する画素は、全画素でなくともよく、光軸を通る所定の線上(放射方向)の画素のみを比較対象としてもよい。更に、欠陥があると、反射光の対称性が崩れ、瞳像の光軸に対して対称な部分同士の輝度又は色相に差が出てくるので、この差を検出することにより、欠陥を検出することができる。あるいは、この表面検査装置100は、上述のように、開口絞り4の開口部の位置を変化させることにより、ウェハ(試料)10に照射される照明光の開口角を変化させることができる。すなわち、第1撮像素子17で撮像される瞳像において、光軸上が開口角0°に相当し、周辺部に行くほどこの開口角が大きくなる。そのため、瞳像を、ウェハ10への入射角が45°である場合に対応する円の内側と外側の領域に分け、この各領域における基準像と検出像の差を検出して、その結果に基づいて欠陥を検査するようにしても良い。
また、図2(a)に示すように、瞳像30を、中心部の円状の領域E、及び、その回りの領域を中心から放射状に広がる4つの領域A,B,C,Dの各部分に分割して、これらの各部分における基準像と検出像との差を検出して、その結果に基づいて欠陥を検出するようにしてもよい。あるいは、図2(b)に示すように、瞳像30を、中心部の円状の領域I、及び、その周辺部分にこの領域Iを囲むように同心円状に配置される複数の円状の領域A〜Hの各部分に分割して、これらの各部分における基準像と検出像との差を検出して、その結果に基づいて欠陥を検出するようにしてもよい。
このような欠陥の検出方法として、対物レンズ9の瞳面の像の比較を用いているのは、単なるウエハ面の画像では、パターンのピッチが検査装置分解能以下となり、欠陥があっても光学的に検出できないからである。又、第2視野絞り16が、開口の位置や形状が可変なものとしているのは、ウエハ10の適当な位置の適当な大きさの領域の情報を検出可能とするためである。
また、偏光子7と検光子12とは、クロスニコル条件を満足するように設定されている。このため、後述する対物レンズ9による偏光主軸の回転による影響がある場合を除いて、ウエハ10のパターンにより、偏光主軸が回転しない限り、観測される光量が0に近くなる。更に、この実施の形態においては、開口絞り4により、照明σ(照明のNA/対物レンズのNA)が可変とされている。よって、適当な明るさでウエハ10を照明することができる。
なお、以上の説明のように、基準像と検出像の階調値を比較することにより検査対象のウェハ(試料)10の欠陥を検出することができるが、図5に示す関係を有する階調値と線幅とを対応付けたテーブルを記憶部24に記憶しておけば、検出像の階調値からウェハ10に形成されたパターンの線幅を算出することができる。これにより、ウェハ10毎の線幅の数値管理を行うことができる。
以上のように、この表面検査装置100は、ウエハ10上の微細なパターンの線幅変化を構造性複屈折量変化として検出するように構成される。構造性複屈折を有するパターンからの反射光は、ウエハ10のパターン形状及び下層構造に応じて入射光の振動面に平行な成分と垂直な成分との間で位相差と振幅が変化して、楕円偏光になる。このため、この表面検査装置100は、偏光子7による直線偏光でウエハ10上の微細パターンを集光照明し、この微細パターンにより楕円偏光化した反射光がクロスニコル状態になっている検光子12を透過する光量変化を瞳像を用いて計測する方式である。つまり、ウエハ10上を照明した直線偏光の光は、楕円偏光となり反射して検光子12を透過して第1撮像素子17の撮像面にできる瞳像内に輝度及び色相の変化が生じるので、これを計測する。
しかしながら、このような検出方法においては、ウエハ10以外、すなわち、光学系のいずれかにおいて、温度変化によるリタデーション(retardation)が発生すると、クロスニコル状態になっている検光子12を透過する光量が変化するため、階調値をもとに線幅換算すると線幅誤差が発生し、計測精度を低下させてしまう。つまり、環境温度が変化すると計測精度が悪化してしまう。このような環境温度の変化により、検光子12を透過する光量が変化してしまう原因としては、温度変化によって、対物レンズ9内のレンズ及びレンズを保持する金物の膨張により応力歪が発生し、対物レンズ9を透過する直線偏光の偏光状態が変化するため、検光子12を透過する光量が変わるからである。つまり、対物レンズ9の応力歪みにより、対物レンズ9の任意の方向にリタデーションが発生するためである。これにより、入射直線偏光光は楕円偏光に変化し、クロスニコル状態にある検光子12を透過する光量に変化をきたし、階調値をもとに線幅換算すると、線幅誤差が発生する。
図3に示すように、ウェハ10上には複数の半導体チップのためのパターン10aが焼き付けられている。そのため、この表面検査装置100によるウェハ10の検査は、このウェハ10上の複数の検査点に対して行われる。例えば図3の場合、計測開始点P1から検査を開始し、順次隣接するパターン10aの計測を行いながら計測終了点Peまで繰り返し検査がされる。そのため、計測開始前に基準試料を用いてこの基準試料に形成された基準パターンの瞳像(基準像)を取得し、次にウェハ10上の各検査点において検出像を取得し、これらの検出像の各々を基準像と比較するという手順をとると、その間に環境温度に変化が発生したときに、階調値が変化して正確な良否の判定ができなくなる。このような瞳像の階調値に対する温度変化の影響を除去するために、本実施の形態に係る表面検査装置100では、対物レンズ9の近傍に、例えば温度センサーからなる温度測定部20を設置し、対物レンズ9の近傍の環境温度をこの温度測定部20により測定して検出部23を介して常時モニターすることができるように構成されている。それでは、以下に、環境温度の変化の影響を排除して精度の高い良否の判定を行う方法について説明する。
[第1の検査方法]
まず、図4を用いて第1の検査方法について説明する。なお、以下に説明する処理は、表面検査装置100の検出部23が制御するものとして説明する。まず、検出部23は、検査対象のウェハ10の計測の前に、基準試料をステージ11にセットして、第1撮像素子17により基準パターンの瞳像(第1の基準像)IP1を取得し、更に、そのときの温度測定部20で測定された環境温度(第1の温度TP1)を取得して、これらの値を記憶部24に記憶する(ステップS200)。ここで、基準試料のこのステージ11へのセットは、検出部23が図示しない搬送機構を制御して行うように構成しても良いし、検出部23が表示部19に操作指示を出して、操作者が基準試料をステージ11上にセットするように構成しても良い。以降の説明における基準試料と検査対象のウェハ10のステージ11に対する入れ替えも同様である。
まず、図4を用いて第1の検査方法について説明する。なお、以下に説明する処理は、表面検査装置100の検出部23が制御するものとして説明する。まず、検出部23は、検査対象のウェハ10の計測の前に、基準試料をステージ11にセットして、第1撮像素子17により基準パターンの瞳像(第1の基準像)IP1を取得し、更に、そのときの温度測定部20で測定された環境温度(第1の温度TP1)を取得して、これらの値を記憶部24に記憶する(ステップS200)。ここで、基準試料のこのステージ11へのセットは、検出部23が図示しない搬送機構を制御して行うように構成しても良いし、検出部23が表示部19に操作指示を出して、操作者が基準試料をステージ11上にセットするように構成しても良い。以降の説明における基準試料と検査対象のウェハ10のステージ11に対する入れ替えも同様である。
次に、検出部23は、ステージ11に検査対象のウェハ10をセットし、図3に示す測定開始点P1から各測定点毎に、第1撮像素子17により検査像WP(n)を取得し、また、温度測定部20によりそのときの環境温度(検査温度WTP(n))を取得して、記憶部24に記憶する(ステップS210)。なお、ここで、変数nは、測定点の番号である。そして、検出部23は、全ての測定点において測定が完了したかを判定し(ステップS220)、全ての測定が完了していない場合はステップS210に戻って残りの測定点の測定を繰り返す。ここで、測定点の移動は、検出部23によりステージ11をX軸方向及びY軸方向に移動させて行われる。一方、ステップS220で全ての測定点の測定が完了したと判断すると、検出部23は、再度、基準試料をステージ11にセットして、基準パターンの瞳像(第2の基準像)IP2と、そのときの環境温度(第2の温度TP2)を取得し、これらの値を記憶部24に記憶する(ステップS230)。
そして、検出部23は、記憶部24に記憶されている第1の基準像IP1及び第2の基準像IP2の所定の箇所の階調値を比較し、その階調差ΔIP12が所定値を越えるか否かを判定する(ステップS240)。このステップS240で、階調差ΔIP12が所定値を越えるときは、記憶部24に記憶されている検査対象のウェハ10の検査像WP(n)に階調値補正を加える(ステップS250)。ここで、階調値補正とは、基準像IP1,IP2の階調差から階調の相関係数を算出し、この相関係数に基づいて検査像WP(n)の階調補正を行うことである。具体的な階調値補正の方法としては、例えば、図3において、測定点P1〜P4の4点を測定したときに、その前後で測定した基準像IP1,IP2の階調差ΔIP12が25であった場合(階調が25増加した場合)に、この測定では、第1の基準像IP1の後、5回測定しているので、各測定において25÷5=5階調ずつ増加したと考え、それぞれの上昇分を各測定点の検査像WP(n)の階調値から減算するように構成する。なお、このステップS240の判定において、所定値は、例えば、線幅分解能の1/10に相当する階調変化量、または、計測再現性と同等な階調変化量とすることができる。もちろん、ステップS240で階調差ΔIP12が所定値以下であると判定されたときは、記憶部24に記憶されている検査像WP(n)には補正は加えられない。
最後に、検出部23は、記憶部24に記憶されている検査像WP(n)の各々と、第1の基準像IP1とを比較し、この検査対象のウェハ10の良否を判定する(ステップS260)。基準像と検査像とを比較することによる良否の判定方法は既に述べた通りである。なお、ステップS250において、第2の基準像IP2の階調値と比較して欠陥を検出するように階調値補正し、ステップS260でこの第2の基準像IP2と検査像WP(n)とを比較して欠陥の検出をすることも可能である。なお、以上の検査方法において、環境温度を用いて階調値から線幅変換をしない場合は、環境温度を測定しなくても良い。
また、以上の説明では、ステップS240で、検査像WP(n)に対して階調値補正を行うか否かを、第1及び第2の基準像の階調値の差ΔIP12で判定する場合について説明したが、第1及び第2の基準像IP1,IP2に対応する第1及び第2の温度TP1,TP2を用いて判定することも可能である。この場合、検出部23は、第1及び第2の温度TP1,TP2の温度差ΔTP12を求め、この温度差ΔTP12が所定値を越えたときに、検査像WP(n)の階調値補正を行うように構成される。
また、以上の説明では、階調値補正の方法として、第1及び第2の基準像IP1,IP2の差ΔIP12が、各検査像WP(n)の測定順序に比例して発生しているとして補正するように構成した場合について説明したが、例えば、補正のための相関係数を予め求めておいて記憶部24に記憶しておき、この記憶された相関係数を用いて階調値補正を行うように構成することも可能である。この場合、基準試料をステージ11にセットし、環境設定温度を変更しながら、構造性複屈折を有する基準パターンによって発生する楕円偏光状態の検出結果(瞳像の階調値)と、温度測定部20の出力値とを取得し、記憶部24に記憶する。ここで、楕円偏光状態の検出方法としては、簡易的には、偏光子7と検光子12とをクロスニコル状態に設定し、検光子12からの漏れ光を検出する方法がある。また、別の方法として、消光法や、回転位相子法を用いることにより、楕円偏光状態をより正確に測定することができる。そして、第1及び第2の基準像IP1,IP2の階調差ΔIP12と、第1及び第2の温度TP1,TP2の温度差ΔTP12とから、階調と温度の相関係数を算出して、これを記憶部24に記憶しておくことにより、この相関係数を用いて検査像WP(n)の階調値補正を行うことができる。
更に、このように階調値補正された検査像WP(n)を線幅変換することにより、検査対象のウェハ10に形成されたパターンの線幅を精度良く計測して管理することができる。このとき、検査像WP(n)とともに取得された検査温度WTP(n)を用いると、より精度良く階調値から線幅を求めることができる。
ところで、上述のように、検査対象のウェハ10の検査の前後に基準試料を測定するように構成すると、それらの入れ替えに時間がかかり、検査時間が長くなってしまう。そのため、ステージ11上のウェハ10と重ならない位置に、基準となるパターン(基準パターン)を取り付けておき、基準試料の代わりにこの基準パターンを測定して上述の基準像IP1,IP2を求めるように構成することも可能である。これによりウェハ10の各測定点を測定している間に変化する環境温度の影響を検出して排除する(階調値補正する)ことができる。但し、検査対象のウェハ10の良否を判定するために比較をする対象の瞳像として、予め基準試料の瞳像(基準像)を取得しておいて、記憶部24に記憶しておくことが望ましい。この場合、環境温度を所定の温度範囲で変化させて、第1撮像素子17で取得された瞳像である基準像(「基準温度画像」と呼ぶ)と、そのときの温度測定部20で測定された環境温度とを対応させて記憶部24に記憶する。そして、欠陥検査を行う際に、その時の環境温度の検出値WTP(n)と同程度の温度データを有する基準温度画像を記憶部24から読み出し、被検査対象であるウェハ10の瞳像(検出像)WP(n)とこの基準温度画像とを比較することにより欠陥を検出する。
[第2の検査方法]
第1の検査方法では、1枚のウェハ10を検査する前後で基準パターンの瞳像を撮像して階調値補正するように構成した場合について説明したが、この方法によると、基準パターンの測定の間に測定される測定点の数が多くなり、ウェハ10上の最初の方に測定される測定点での階調値と、最後の方に測定される測定点での階調値とが大きく変化する可能性があり、階調値補正が困難となる。そこで、この第2の検査方法では、ウェハ10上の測定点をいくつかの組に分け、その組毎に第1の検査方法と同様に、基準像の取得及び検査像の取得を繰り返す。例えば、図3に示すウェハ10の場合は、X軸方向に並ぶパターン毎に計測点の組を分ける(P1〜P4の組、P5〜P10の組、等)。なお、この第2の検査方法においても、基準像の測定のために、基準試料と検査対象のウェハ10とをステージ11上で入れ替えて測定することもできるが、第1の検査方法に比べて基準試料の測定回数が増えるため、ステージ11上に基準パターンを設け、この基準パターン11の基準像を取得するように構成する方が好ましい。
第1の検査方法では、1枚のウェハ10を検査する前後で基準パターンの瞳像を撮像して階調値補正するように構成した場合について説明したが、この方法によると、基準パターンの測定の間に測定される測定点の数が多くなり、ウェハ10上の最初の方に測定される測定点での階調値と、最後の方に測定される測定点での階調値とが大きく変化する可能性があり、階調値補正が困難となる。そこで、この第2の検査方法では、ウェハ10上の測定点をいくつかの組に分け、その組毎に第1の検査方法と同様に、基準像の取得及び検査像の取得を繰り返す。例えば、図3に示すウェハ10の場合は、X軸方向に並ぶパターン毎に計測点の組を分ける(P1〜P4の組、P5〜P10の組、等)。なお、この第2の検査方法においても、基準像の測定のために、基準試料と検査対象のウェハ10とをステージ11上で入れ替えて測定することもできるが、第1の検査方法に比べて基準試料の測定回数が増えるため、ステージ11上に基準パターンを設け、この基準パターン11の基準像を取得するように構成する方が好ましい。
この第2の検査方法において、検出部23は、まず、基準パターンの瞳像を第1の基準像IP1として取得し、合わせてそのときの環境温度を第1の温度TP1として取得して記憶部24に記憶する。次に、計測点P1〜P4における検出像WP1(n)及び温度WTP1(n)を取得し、それらを記憶部24に記憶する。そして、もう一度、基準パターンの瞳像を第2の基準像IP2として取得し、合わせてそのときの環境温度を第2の温度TP2として取得して記憶部24に記憶する。更に、計測点P5〜P10における検出像WP2(n)及び温度WTP2(n)を取得して記憶部24に記憶した後、基準パターンの瞳像を第3の基準像IP3として取得し、合わせてそのときの環境温度を第3の温度TP3として取得して記憶部24に記憶する。ウェハ10上の以降の組においても同様の処理を繰り返す。そして、各組毎に、前後に測定した基準パターンの基準像及び温度を用いて、第1の検査方法と同様の階調値補正を行い、ウェハ10の良否の判定及び線幅変換を行う。
以上のように、ウェハ10上の測定点を複数の組に分け、その組の測定の前後に基準パターンの測定を行って階調値補正を行うことにより、より正確な判定を行うことができる。なお、以上の第1及び第2の検査方法では、基準像として健全なパターンを有する基準試料を用いた場合について説明したが、ベアウエハなどの反射板や、微細パターンを有する基準パターン板を用いてもよい。また、ウェハ10の表面検査装置100のステージへの設定は、いつも(ウェハが変わっても)パターンの繰り返し方向が所定の基準に対して同じ方向(角度)になるように配置する。
1 光源
7 偏光子 9 対物レンズ 10 ウエハ(試料) 12 検光子
17 (第1の)撮像素子 20 温度測定部 21 照明光学系
22 検出光学系 24 記憶部 100 表面検査装置
7 偏光子 9 対物レンズ 10 ウエハ(試料) 12 検光子
17 (第1の)撮像素子 20 温度測定部 21 照明光学系
22 検出光学系 24 記憶部 100 表面検査装置
Claims (6)
- 偏光子及び対物レンズを含み、前記偏光子及び前記対物レンズを介して試料の表面に形成されたパターンを光源から出射された光により照明する照明光学系と、
前記照明による前記試料の前記表面からの反射光を、前記対物レンズを介して集光し、更に、前記偏光子とクロスニコル条件を満たすように配置された検光子を通して前記対物レンズの瞳面の像を結像する検出光学系と、
前記検出光学系で結像された前記瞳面の像を検出する撮像素子と、を有する表面検査装置により前記パターンの欠陥を検査する表面検査方法であって、
健全なパターンが形成された基準試料の瞳面の像を第1の基準像として取得する第1のステップと、
検査対象の試料の瞳面の像を検査像として取得する第2のステップと、
前記基準試料の瞳面の像を第2の基準像として取得する第3のステップと、
前記第1の基準像の階調値と前記第2の基準像との階調値の差を求め、当該差が所定値を越えたときに、前記検査像の階調値を補正する第4のステップと、
補正後の前記検査像の階調値と前記第1若しくは第2の基準像の階調値とを用いて前記検査対象の試料の欠陥を検出する第5のステップと、を有する表面検査方法。 - 前記表面検査装置は、前記対物レンズの環境温度を検出する温度測定部を更に有し、
前記第1のステップ及び前記第3のステップは、更に前記瞳面の像を取得したときの環境温度を前記温度測定部により検出する工程を含み、
前記第4のステップは、前記階調値の差が所定値を越えたか否かの判断に代えて、前記第1及び第3のステップで取得された前記環境温度の差を求め、当該差が所定値を越えたときに、前記階調値の差を用いて前記検査像の階調値を補正するように構成された請求項1に記載の表面検査方法。 - 偏光子及び対物レンズを含み、前記偏光子及び前記対物レンズを介して試料の表面に形成されたパターンを光源から出射された光により照明する照明光学系と、
前記照明による前記試料の前記表面からの反射光を、前記対物レンズを介して集光し、更に、前記偏光子とクロスニコル条件を満たすように配置された検光子を通して前記対物レンズの瞳面の像を結像する検出光学系と、
前記検出光学系で結像された前記瞳面の像を検出する撮像素子と、を有する表面検査装置により前記パターンの欠陥を検査する表面検査方法であって、
健全なパターンが形成された基準試料の瞳面の像を第1の基準像として取得する第1のステップと、
検査対象の試料の瞳面の像を検査像として取得する第2のステップと、
前記基準試料の瞳面の像を第2の基準像として取得する第3のステップと、
前記第1のステップ及び前記第3のステップで取得された前記基準像の階調値の差及び前記環境温度の差から相関係数を算出する第4のステップと、
当該相関係数に基づいて前記検査像の階調値を補正し、補正後の前記検査像の階調値と前記第1若しくは第2の基準像の階調値とを用いて前記検査対象の試料の欠陥を検出する第5のステップと、を有する表面検査方法。 - 前記検査対象の試料に複数の測定点が設定されているときに、
前記測定点を複数の組に分け、前記組毎に前記第1のステップから前記第5のステップを実行するように構成された請求項1〜3いずれか一項に記載の表面検査方法。 - 前記表面検査装置は、前記試料が載置されるステージと、
前記ステージ上の前記試料と重ならない部分に取り付けられた基準パターンと、を有し、 前記第1のステップ及び前記第3のステップは、前記基準パターンの瞳面の像を前記基準像として取得する請求項1〜4いずれか一項に記載の表面検査方法。 - 前記第5のステップは、前記試料の欠陥を検出すると同時に、前記検査像の階調値から前記パターンの線幅を求めるように構成された請求項1〜5いずれか一項に記載の表面検査方法。
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JP2009158464A JP2011013131A (ja) | 2009-07-03 | 2009-07-03 | 表面検査方法 |
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JP2009158464A Pending JP2011013131A (ja) | 2009-07-03 | 2009-07-03 | 表面検査方法 |
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