JP2011010916A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない回路規模で高いフィルタ機能を有し、かつ整相加算の機能を併せ持つ超音波診断装置を低コストで提供することを目的とする。
【解決手段】被検体内の測定箇所から反射した反射超音波信号を受信するにあたり、複数の受信部のうちのN個の受信部を、配列順にずらしながら選択して電気信号を取得し、受信部毎に所定の時間遅延量を付与した後に、全ての電気信号を加算する回路を採用することで、整相加算と高調波成分の抽出とを同時に実施する。
【選択図】図4

Description

本発明は、被検体内に超音波信号を送信し、前記超音波信号が被検体内において反射して生成された反射超音波信号を受信して、前記反射超音波信号に基づいて前記被検体内の画像を形成する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置には、被検体に対して超音波(超音波信号)を送受信する超音波トランスデューサが用いられている。この超音波トランスデューサは、圧電現象を利用することによって、送信の電気信号に基づいて機械振動して超音波(超音波信号)を発生し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる超音波(超音波信号)の反射波を受けて受信の電気信号を生成する複数の圧電素子を備え、これら複数の圧電素子が例えばアレイ状に2次元配列されて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
反射波が各圧電素子に到達する時間が異なるため、デジタルビームフォーマ回路を採用して各圧電素子の到達する反射波の伝搬遅延による遅延時間を補正している。デジタルビームフォーマ回路は、各圧電素子にて受信した信号をFIFOメモリに保存し、伝播遅延を考慮して、受信した各信号における任意の信号を加算することで整相加算処理を行っていた(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
また、近年では、超音波トランスデューサから被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。このハーモニックイメージング技術は、基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(Signal to Noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および、焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きく取れること等の様々な利点を有している。
このハーモニックイメージング技術を代表する技術に、フィルタ法がある。このフィルタ法は、高調波検出フィルタにより基本波成分と高調波成分とを分離し、高調波成分だけを抽出し、この高調波成分から超音波画像を生成する方法である。高調波成分の抽出方法として、有限インパルス応答フィルタで構成したバンドパスフィルタなどの付加回路を必要としていた(例えば、特許文献4参照)。
また、デジタルビームフォーマ回路を応用してフィルタ機能を発揮させようとした畳み込み演算機能付きビームフォーマが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2004−088056号公報 特開平8−280675号公報 特開2000−60848号公報 特開平10−118065号公報 特開2000−300564号公報
特許文献3で開示されているフィルタのように、外部に別個に高調波成分を分離するフィルタを設けることは、装置の大型化を招き、かつコストアップにつながる。
また、特許文献4で開示されている技術は、高調波成分を分離するフィルタとしての回路規模の制限から高いフィルタ機能は期待できない。
本発明は、少ない回路規模で高いフィルタ機能を有し、かつ整相加算の機能を併せ持つと共に、電子スキャン方式のデジタルビームフォーマ回路を低コストで提供することを目的とする。
前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
1.被検体内の測定箇所に超音波信号を送信する送信部と、
前記測定箇所において前記超音波信号が反射して生成された反射超音波信号を、受信して電気信号に変換する複数の受信部と、
前記複数の受信部のうちのN個の受信部を、1回の超音波信号の送受信毎に、前記複数の受信部の配列順に所定個ずつずらしながら選択し、選択したN個の受信部からの電気信号を取得する電子スキャン部と、
選択したN個の受信部からの電気信号毎に各々定めた時間遅延量と係数とで、前記電気信号を演算した後に、全ての前記電気信号を加算する加算回路と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
2.前記受信部毎に定めた時間遅延量は、前記測定箇所に同一時刻で反射して前記複数の受信部の各々の受信部に到達する前記反射超音波信号の到達時間の差を補正する到達時間遅延量と、
前記加算回路の出力が有限インパルス応答フィルタ特性を発揮するに必要なFIR時間遅延量とからなり、
前記受信部毎に定めた係数は、前記加算回路の出力が有限インパルス応答フィルタ特性を発揮するに必要な係数であることを特徴とする前記1記載の超音波診断装置。
3.前記受信部は151個以上備えられることを特徴とする前記2記載の超音波診断装置。
4.前記加算回路で加算された電気信号に基づき超音波画像を表示する表示部を有し、
前記送信部は、周波数f0(Hz)の超音波信号を送信し、
前記受信部は、前記送信部で送信された超音波信号のk次高調波(但し、kは1以上の整数)Sk及び該k次高調波に隣接する高調波Skを含む反射超音波信号を受信し、
前記有限インパルス応答フィルタ特性は、
前記Skの周波数をfk(Hz)、前記Skの周波数をfk(Hz)としたとき、
前記Skの強度に対して前記Skの強度をn1+n2(dB)減衰させることを特徴とする前記3記載の超音波診断装置。
但し、n1(dB)は、当該有限インパルス応答フィルタを行わない場合の反射超音波信号に含まれるfk(Hz)における超音波信号の強度とfk(Hz)における超音波信号の強度の差であり、n2(dB)は、前記表示部の表示画面のダイナミックレンジである。
本発明は空間的に配列されたそれぞれの受信部の出力に対して、整相加算処理のための到達時間遅延に加えて、各受信部に応じて予め定められた時間遅延量と係数とを作用させるので、あたかも有限インパルス応答フィルタを有する回路を構成することにより、少ない回路規模で高いフィルタ機能を有すると共に電子スキャン方式のデジタルビームフォーマ回路を提供することが可能となる。
実施形態における超音波診断装置Sの外観構成を示す図である。 実施形態における超音波探触子2の構造を示す図である。 本実施形態に係る超音波トランスデューサ2において、列毎にずらせて電子スキャンする様子を示す模式図である。 実施形態における超音波診断装置Sの電気的な構成を示すブロック図である。 実施形態におけるインパルス応答係数h(n)の例を示す図である。 実施形態における193次のFIRフィルタ特性を示す図である。 実施形態における151次のFIRフィルタ特性を示す図である。 実施形態における超音波診断装置Sの電気的な構成を示すブロック図である。
以下に本発明の実施形態を図面により説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限られるものではない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、本明細書において、適宜、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は実施形態における超音波診断装置Sの外観構成を示す図であり、超音波診断装置Sは、同図に示すように、図略の生体等の被検体に対して超音波信号を送信すると共に、この被検体で反射した反射超音波信号を受信する超音波トランスデューサ2と、超音波トランスデューサ2とケーブル3を介して接続され、超音波トランスデューサ2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波トランスデューサ2に被検体に対して超音波信号を送信させると共に、超音波トランスデューサ2で受信された被検体内からの反射超音波信号に基づいて、被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体1とを備えて構成される。操作入力部11は使用者が超音波診断装置Sを操作する場合に指示を入力する機能を有し、表示部15は、超音波画像等を表示する機能を有す。
図2は、超音波トランスデューサ(超音波プローブ)2の内部構造を示す図である。超音波トランスデューサ2は、被検体内に超音波信号を送信する送信部の機能と、この超音波信号に対する被検体内からの反射超音波信号を受信する受信部の機能を併せ持つ装置である。
例えば、図2(A)に示すように、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる複数の圧電素子22を備えて構成されている。
すなわち、複数の圧電素子22は、被検体内へ超音波信号を送信する場合では、超音波診断装置本体1の図示しない送信回路からケーブル3を介して入力された送信の電気信号を、圧電現象を利用することによって超音波信号に変換して被検体内にこの超音波信号を送信する。そして、被検体内からの反射超音波信号を受信する場合では、複数の圧電素子22は圧電現象を利用することによってこの受信した反射超音波信号を電気信号に変換して受信信号をケーブル3を介して超音波診断装置本体1の後述する受信回路30へ出力する。超音波トランスデューサ2が被検体に当接されることによって、圧電素子22で生成された超音波信号が被検体内へ送信され、被検体内からの反射超音波信号が圧電素子22で受信される。
より具体的には、例えば、図2(B)の断面図に示すように、これら複数の圧電素子22のそれぞれは、導電性の信号線24と接続する導電材料から成る信号電極層222と、信号電極層222上に形成され、圧電材料から成る圧電層221と、圧電層221上に形成され、導電材料から成る接地電極層223とを備えて構成される。すなわち、これら複数の圧電素子22のそれぞれは、互いに対向する一対の第1および第2電極を備え、これら第1および第2電極間に、圧電材料から成る圧電部が形成されている。
なお、本明細書において、前述のように、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。また、添え字のうちの左側の添え字は、行番号を示し、その右側の添え字は、列番号を示している。例えば、圧電素子22−23は、行番号2で列番号3の圧電素子22である。
これら複数の圧電素子22は、平板状の音響制動部材21の一方主面上に配置され、これら複数の圧電素子22上に図2(B)に示した音響整合層23が積層される。複数の圧電素子22は、クロストーク等の相互干渉を低減するために、互いに所定の隙間(溝、間隙、ギャップ)を空けて音響制動部材21上に配置される。なお、さらに相互干渉を低減するために、超音波を吸収する超音波吸収材がこの隙間に充填されることが好ましい。この超音波吸収材には、例えば、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が用いられる。
音響制動部材21は、超音波を吸収する材料から構成され、複数の圧電素子22から音響制動部材21方向へ放射される超音波を吸収するものである。音響制動部材21は、一般に、ダンパあるいはバッキング層とも呼ばれる。そして、各圧電素子22のそれぞれに接続する複数の信号線24(図2(A)では信号線24−11〜24−46)が音響制動部材21を貫通している。なお、各圧電素子22のそれぞれに接続する複数の接地線(アース線)は、図示が省略されているが、各圧電素子22の上面からそれぞれ引き出される。
音響整合層23は、圧電素子22の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとる部材である。従って、音響整合層23は、圧電素子22の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの差が最も小さくなるように設定される。音響整合層23は、単層で構成されてもよく、あるいは、複数層で構成されてもよい。なお、図2(A)では、この音響整合層23の図示が省略されている。また、音響整合層23は、円弧状に膨出した形状とされ、被検体に向けて送信される超音波を収束する音響レンズの機能を兼用してもよく、また、このような音響レンズが音響整合層23上に積層されてもよい。
このような構成の超音波診断装置Sでは、例えば、操作入力部11から診断開始の指示が入力されると、図示しない制御部の制御によって図示しない送信回路で電気信号の送信信号が生成される。
この生成された電気信号の送信信号は、ケーブル3を介して超音波トランスデューサ2へ供給される。より具体的には、この電気信号の送信信号は、超音波トランスデューサ2における圧電素子22へ供給され、該圧電素子22がその厚さ方向(矢印A方向)に伸縮し、超音波振動する。この超音波振動によって、圧電素子22は、超音波信号を放射する。圧電素子22から音響制動部材21方向へ放射された超音波信号は、音響制動部材21によって吸収される。また、圧電素子22から音響整合層23方向へ放射された超音波信号は、音響整合層23を介して放射される。例えば、超音波トランスデューサ2のプローブ面2Aが被検体に当接されていると、これによって超音波トランスデューサ2から被検体に対して超音波信号が送信される。
なお、超音波トランスデューサ2は、被検体の表面上に当接して用いられてもよいし、被検体の内部に挿入して、例えば、生体の体腔内に挿入して用いられてもよい。
各圧電素子22から順次に超音波が被検体に向けて送信され、被検体で反射した反射超音波信号が複数の圧電素子22で受信される。
この被検体に対して送信された超音波は、被検体内部における音響インピーダンスが異なる1または複数の境界面で反射され、反射超音波信号となる。測定箇所からの反射超音波信号には、人体の超音波に対する応答が非線形応答であるため、周波数解析すると基本周波数以外に高調波成分の周波数が含まれることとなる。高調波成分の周波数は基本周波数の整数倍となる。例えば、基本周波数の2倍、3倍および4倍等である。
ここで、圧電素子22は、反射超音波信号に含まれる周波数成分のうち、超音波信号の周波数をf0としたときに、f0/11以上、11・f0以下の広い受信帯域で機械的に振動し、その振動に応じた電気信号を出力する。
電子スキャン方式(フェーズドアレイ方式ともいう)で駆動される超音波トランスデューサ2の動作例について説明する。電子スキャン方式の場合、超音波トランスデューサ2にはN+m個(mは1以上の整数)の送信部及び受信部、すなわち圧電素子22を有しており、N個の圧電素子22を駆動することで1回の超音波パルス信号の送受信が行われる。そして、圧電素子22の配列順に沿って、1回の超音波パルス信号の送受信毎に駆動される圧電素子22を1個乃至数個ずつずらすことで、超音波トランスデューサ2を被検体に固定したままで、あたかも超音波トランスデューサ2を移動して走査しているかのような超音波画像が得られるものである。
図2で示した超音波トランスデューサ2において、電子スキャン方式を適用する例を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る超音波トランスデューサ2において、列毎にずらせて電子スキャンする様子を示す模式図である。
超音波トランスデューサ2は4×6個の圧電素子22を有している。その中で、例えば、1回の駆動を4×4個の圧電素子22を1セットとして用いる。4×6個の圧電素子22の中に、4×4個の圧電素子22のセットは、同図に示すようにS1、S2、S3の3セット存在する。S1、S2、S3の各セットをこの順で矢印方向に駆動して電子スキャンを実施する。
電子スキャン方式においては、遅延器33及び乗算器34では、1回の超音波パルス信号の送受信毎に駆動される圧電素子22の個数と一致するN個の時間遅延量と乗算係数で整相加算される。すなわち、1回の超音波パルス信号の送受信毎に駆動される圧電素子22の個数と一致するN次のインパルス応答係数h(n)に基づく有限インパルス応答フィルタ特性が発揮されるものであり、圧電素子22の総数と一致するN+m次のインパルス応答係数h(n)に基づく演算を行う必要がないので、乗算係数メモリ35に記憶する乗算係数を少なくできるとともに、遅延器33及び乗算器34での演算処理負荷も低減できる。
そして、該圧電素子22で取り出されたこの電気信号の受信信号は、ケーブル3を介して受信回路30へ送信される。
次に受信回路30以降の回路処理について説明する。図4は本実施形態に係る超音波診断装置の電気的な要部構成を示すブロック図である。
各圧電素子22から出力される受信信号は、電子スキャンを実施するスキャン制御部43に入力される。スキャン制御部43は、1回の超音波信号の送受信毎に、N+m個の送信部及び受信部の中から、前述のように所定のN個の送信部を、配列順に所定個ずつずらしながら選択する。スキャン制御部43には、マトリックススイッチを採用することができる。図2の超音波トランスデューサ2の場合には列毎に4個ずつ選択する。被検体からの反射超音波信号は、選択された圧電素子22が受信し、電気信号に変換される。変換された電気信号は、受信回路30に入力される。
この受信回路30はいわゆる受信ビームフォーマとして機能するものであり、本実施形態においては、この受信回路30がデジタルビームフォーマ(Digital beam former)を構成している。
具体的に説明すると、各圧電素子22から出力される受信信号はプリアンプ31に入力されて、後の回路処理を行い易くするために電圧値が増幅される。
次に受信信号は、A/D変換器32に入力され、ここでアナログの受信信号がデジタルの受信信号に変換される。図示の例では12ビットをもったデジタルの受信信号が生成されている。
次に、増幅された受信信号は、FIFO機能を有する遅延器33に入力され、所定の時間遅延量が遅延される。
ここで所定の時間遅延量は、被検体内における測定箇所から各々の圧電素子22に到達する反射超音波信号の到達時間の差を補正する到達時間遅延量と、有限インパルス応答(Finite Impulse Response、FIRとも称す)フィルタ特性の発揮に必要なFIR時間遅延量を含む。
被検体内における測定箇所から各々の圧電素子22に到達する反射超音波信号の到達時間には差があることから、到達時間遅延量を遅延することで、同一の時刻に受信した反射超音波信号として処理できるようにする、いわゆる整相加算を行う。詳細は特許文献2に記述されているので省略する。
また、FIRフィルタ特性とは、各時刻に受信した受信信号に所定の係数を乗算して加算することで得た出力特性のことであることから、遅延器33は、超音波トランスデューサ2の各圧電素子22で各時刻に得た受信信号を所定のFIR時間遅延量遅延させる。FIR時間遅延量は各圧電素子22毎に遅延させるので、圧電素子22の数だけFIR時間遅延量が存在し、圧電素子22の数はFIRフィルタ特性の次数と一致する。
次に、遅延器33から出力された各受信信号は乗算器34に入力される。乗算器34においては、圧電素子22毎に所定時間遅延量遅延された受信信号に対して、乗算係数と元係数とが乗算される。
元係数は高調波成分の超音波画像を形成するために受信信号に乗算すべき係数であり、ゲインレジスタ36に格納されている。ちなみに、元係数は例えば0.5〜1.0の範囲内で設定され、あるいは、1.0〜1.5の範囲内で設定されるが、もちろん元係数としては他の値を利用するようにしてもよい。
乗算係数(インパルス応答係数とも称す)は、FIRフィルタ特性を実現するために、各時刻に受信した受信信号に乗算すべき係数であり、乗算係数メモリ35に格納されている。
ここで、遅延器33及び乗算器34により発揮する有限インパルス応答フィルタ特性について説明する。
超音波トランスデューサ2で受信した反射超音波信号には、送信した超音波信号の高調波が含まれている。送信した超音波信号のk次高調波をSk、k次高調波に隣接する高調波Skとし、Skの周波数をfk(Hz)、Skの周波数をfk(Hz)としたとき、有限インパルス応答フィルタ特性は、Skの強度に対してSkの強度をn1+n2(dB)以上減衰させることが好ましい。
すなわち、遅延器33及び乗算器34により発揮する有限インパルス応答フィルタ特性は、超音波画像を表示するのに所望とするSkを0dB基準としたときに、当該超音波画像では不要となるSkをn1+n2(dB)以上減衰させることが好ましい。このような有限インパルス応答フィルタ特性とすることにより、表示部15には、送信した超音波信号のk次高調波Skに基づく超音波画像を表示することが可能となる。
なお、n1(dB)は、遅延器33及び乗算器34による当該有限インパルス応答フィルタ処理を行わない場合の反射超音波信号におけるfk(Hz)における超音波信号の強度とfk(Hz)における超音波信号の強度の差であり、n2(dB)は、表示部15の表示画面のダイナミックレンジである。
n1は、被検体の媒質によって異なるものであり、本実施の形態に係る超音波診断装置Sにあっては、例えば、診断時に操作入力部11により被検体の診断部位(例えば、乳房、腹部、胸部、心臓等)が選択されたのに連動して乗算係数メモリ35に予め記憶された複数の乗算係数セットの中から選択された診断部位と対応付けられた乗算係数セットが選択されることで、被検体の媒質に好適なn1を選択することが可能となる。また、被検体の媒質に拘りなく所望とするk次高調波を抽出するためには、n1は20dB以上あることが好ましい。
n2は、超音波診断装置Sに据付の表示部15にのみ超音波画像を表示する場合には予め最適化されたn2を設定しておけばよく、表示部15を任意に選択可能な場合には、選択された表示部15の特性を操作入力部11から入力したり、図示しない制御部により検知することにより、表示部15の特性に連動して、乗算係数メモリ35に予め記憶された複数の乗算係数セットの中から選択された診断部位と対応付けられた乗算係数セットが選択される。
本実施形態では、2次高調波を抑制して3次高調波を検出し、表示部15上に超音波画像を表示させる。表示部15が8bitの解像度を有する場合、2次高調波を表示部15上に現さないために、3次高調波の強度は2次高調波に対して略48dB大きい強度を有する必要がある。
一方、圧電素子22で受信した受信信号に含まれる2次高調波の強度は、3次高調波の強度に対し、約20dB大きい。従って3次高調波を表示部15上に超音波画像として表示できるように2次高調波を抑えて分離するには、2次高調波を約68dB抑制する必要がある。以下に3次高調波を抑制させずに通過させ、2次高調波を約68dB以上抑制するハイパスフィルタの機能を有する有限インパルス応答フィルタの乗算係数を設計計算する。周波数応答H(ω)は、以下の(数1)で表される。
Figure 2011010916
ただし、
ω:角周波数
h(n):インパルス応答係数
n:次数(整数)
T:時間
ただし、実際には有限長インパルスなことと、因果律を考慮して(数1)は(数2)になる。ここで、(数2)においては、(数3)の置き換えを行っている。Nは最大の次数を表す。
Figure 2011010916
Figure 2011010916
(数2)を基に、一般的な窓関数法で、遮断特性が急峻なカイザー窓を使用してインパルス応答係数h(n)の例を図5に示す。図5に示したインパルス応答係数h(n)は、例えば下記のような特性を有している。
(1)n=N/2、すなわち窓の中心でピーク値P1(本実施の形態では0.891)を持つ。
(2)N/2から窓の端に向かってNの2%以下、好ましくは1離れた位置で負のピーク値P2(本実施の形態では−0.107)となる。負のピーク値P2の絶対値は、P1の1%以上10%以下が好ましい。
(3)負の値は窓の端に向かって指数関数的に減衰し、N/2からNの10%以下、好ましくは5%離れた位置で正の値となる。
図6は、図5に示したインパルス応答係数を用い、典型的な周波数である4MHzの周波数を有するトランスデューサを採用した場合に、8MHzの周波数を有する2次高調波を抑制する193次のFIRフィルタ特性を計算した結果である。図6に示したように、図5に示したインパルス応答係数を193次のFIRフィルタとして適用した場合、2次高調波を約100dB抑制することができた。なお、インパルス応答係数は、図5に示したもの以外にも、受信信号に含まれる分離したい信号の周波数や強度に応じて適宜選択可能である。
次に、同様に、図5に示したインパルス応答係数を適用した151次のFIRフィルタ特性を計算した結果を図7に示す。図7においては、8MHzの周波数の2次高調波を68dB抑制できている。このことから、典型的な周波数である4MHzの周波数を有するトランスデューサを用いた場合には、151次の次数を採用することで、2次高調波を68dB抑制させることが分かった。これにより、151次以上の次数のFIRフィルタの採用が、3次高調波を用いた超音波画像を得ることに有効であると言える。すなわち、超音波トランスデューサ2が151個以上の圧電素子22で構成することで、容易に3次高調波を用いた良好な超音波画像が得られるものである。
なお、生体内では遅延が乱れる場合があるが、遅延が乱れる場合には、特許文献3で開陳されているような手法を用いることで、生体内で乱れた遅延量を検出し、補正することができる。従って、乱れた遅延量を補正するとともに、FIR時間遅延量を付与してやればよい。
また、ハイパスフィルタではなくバンドパスフィルタを構成して高調波成分を抽出するように乗算器34の乗算係数を設定してもよい。
次に、受信信号は加算器38に入力される。加算器38は、各圧電素子22からの受信信号、すなわち各チャンネル毎の受信信号を加算することにより、整相加算処理を実行する。この加算器38から例えば16ビットの整相加算後の受信信号が出力されることになる。このように本実施形態においては整相加算と高調波成分の抽出とを同時に同一の回路で実施することができる。
デジタルスキャンコンバータ(DSC)39は、座標変換機能や補間機能などを有する公知の回路であり、このDSC39上において、各フレーム毎の超音波画像が形成され、超音波画像が表示部15に表示される。
コントローラ37は、本実施形態において装置全体の制御を実行しており、本実施形態においては特にゲインレジスタ36に対してゲイン係数を設定する機能と、乗算係数メモリ35に対して乗算係数を設定する機能と、加算器を制御する機能とを有している。
以上のように、本実施形態によれば、複数の受信部のうちのN個の受信部を、配列順にずらしながら選択して電気信号を取得するので、あたかも超音波トランスデューサ2を移動して走査しているかのような超音波画像が得られる。そして、受信部毎に所定の時間遅延量を前記電気信号に付与した後に、全ての前記電気信号を加算する加算回路を有するので、整相加算と同時に所望のフィルタ特性を実現することができる。さらに、整相加算と高調波成分の抽出とを同時に実施することができるので整相加算と高調波成分の抽出とを別個の回路で実施した場合に対して、同一の回路規模ではフィルタ特性のS/N比を向上させたデジタルビームフォーマ回路を提供できる。また、同一のS/N比のフィルタ特性を実現した場合、回路規模は小さくなり部品点数を削減したデジタルビームフォーマ回路を提供できる。
また、151次以上の次数のFIRフィルタを設けることで、2次高調波を効果的に抑制し、3次高調波を用いた超音波画像を得ることが出来る。
なお、本実施形態では圧電素子22を出力した受信信号に対し、受信回路30でA/D変換器32を用いてアナログデジタル変換を施したが、図8に示すように、加算器38の出力をA/D変換器32に入力してデジタル信号に変換する回路構成を採用してよい。また、図8において、加算器38の出力に対して、A/D変換器41を用いたアナログデジタル変換を施さずにアナログ値として処理する回路構成を採用してよい。
1 超音波診断装置本体
2 超音波トランスデューサ
3 ケーブル
15 表示部
11 操作入力部
21 音響制動部材
22 圧電素子
23 音響整合層
24 信号線
30 受信回路
32 A/D変換器
33 遅延器
34 乗算器
35 乗算係数メモリ
36 ゲインレジスタ
37 コントローラ
38 加算器
39 デジタルスキャンコンバータ
43 スキャン制御部
222 信号電極層
223 接地電極層
241 信号線
S 超音波診断装置

Claims (4)

  1. 被検体内の測定箇所に超音波信号を送信する送信部と、
    前記測定箇所において前記超音波信号が反射して生成された反射超音波信号を、受信して電気信号に変換する複数の受信部と、
    前記複数の受信部のうちのN個の受信部を、1回の超音波信号の送受信毎に、前記複数の受信部の配列順に所定個ずつずらしながら選択し、選択したN個の受信部からの電気信号を取得する電子スキャン部と、
    選択したN個の受信部からの電気信号毎に各々定めた時間遅延量と係数とで、前記電気信号を演算した後に、全ての前記電気信号を加算する加算回路と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記受信部毎に定めた時間遅延量は、前記測定箇所に同一時刻で反射して前記複数の受信部の各々の受信部に到達する前記反射超音波信号の到達時間の差を補正する到達時間遅延量と、
    前記加算回路の出力が有限インパルス応答フィルタ特性を発揮するに必要なFIR時間遅延量とからなり、
    前記受信部毎に定めた係数は、前記加算回路の出力が有限インパルス応答フィルタ特性を発揮するに必要な係数であることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記受信部は151個以上備えられることを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
  4. 前記加算回路で加算された電気信号に基づき超音波画像を表示する表示部を有し、
    前記送信部は、周波数f0(Hz)の超音波信号を送信し、
    前記受信部は、前記送信部で送信された超音波信号のk次高調波(但し、kは1以上の整数)Sk及び該k次高調波に隣接する高調波Skを含む反射超音波信号を受信し、
    前記有限インパルス応答フィルタ特性は、
    前記Skの周波数をfk(Hz)、前記Skの周波数をfk(Hz)としたとき、
    前記Skの強度に対して前記Skの強度をn1+n2(dB)減衰させることを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
    但し、n1(dB)は、当該有限インパルス応答フィルタを行わない場合の反射超音波信号に含まれるfk(Hz)における超音波信号の強度とfk(Hz)における超音波信号の強度の差であり、n2(dB)は、前記表示部の表示画面のダイナミックレンジである。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012161448A (ja) * 2011-02-07 2012-08-30 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 超音波診断装置
JP2015131031A (ja) * 2014-01-14 2015-07-23 株式会社東芝 超音波プローブ及び超音波診断装置

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