JP2011007937A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
また微細配線間の光硬化したメッキレジトは剥離除去しにくいため、除去不良などによる配線パターン不良が発生する問題がある。
このため微細配線パターンを形成するために、アルカリ現像後のメッキレジストの解像度が良好で、かつ強アルカリ水溶液の条件下での光硬化したメッキレジストの除去が容易なメッキレジストが必要になる。
しかし、親水性を上げる方法では、光照射後のアルカリ現像によっても膨潤するため解像度が低下する問題がある。
しかし、酸発生剤による強酸により熱分解するため、配線銅が強酸により腐食する問題がある。
すなわち、本発明は、分子内に2個以上のラジカル重合性の二重結合(a)を含有する下記一般式(1)で表されるラジカル重合性化合物(A)、親水性ポリマー(B)、および光ラジカル重合開始剤(C)を必須成分として含有し、光照射とアルカリ現像によりパターン形成可能なことを特徴とした感光性樹脂組成物(Q);およびこれを用いたメッキレジストである。
また光硬化部は、強アルカリ水溶液により、下記の化学式(10)で表される特性基(b)部分が、二重結合含有化合物、アミン含有化合物および二酸化炭素に分解するため、光照射による架橋を分解することが出来る。これによりアルカリ水溶液が浸透しやすくなり、剥離性が良好となる。
このためメッキレジストとして使用した際に、アルカリ現像により膨潤しにくい光硬化部を形成することにより優れた解像度を得ることが出来き、さらに強アルカリ水溶液により容易に剥離するこができることから、微細配線を形成可能なメッキレジストが提供される。
そして、本発明のラジカル重合性化合物(A)は下記一般式(1)で表され、かつ分子内に2個以上のラジカル重合性の二重結合(a)を含有する必要がある。この二重結合(a)は具体的には、R1〜R6の有機基の一部として含まれる。
さらに光照射により架橋した光硬化部は、強アルカリ水溶液により特性基(b)部分で架橋が分解し、アルカリ水溶液が浸透することで剥離しやすくすることを特徴とする。
ここで、本発明における電子吸引性基としては、隣接して結合する炭素原子に対し、ハメットの置換基定数(σp値)が0.10以上の官能基を指す。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年 L.P.Hammettにより提唱された経験則であり、今日広く妥当性が認められている。
ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は、多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’sHandbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpは、上記の成書において文献既知の値が記載される置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれると想定される置換基も含む。
本発明においてはσp値をこのような意味で使用し、数値化する場合は、例えば、σp1(またはσp2)の場合、下記一般式(11)の炭素原子[Ca]と結合するR1(またはR2)中の原子から数えて3原子以内の範囲で構成される構造から算出する。
また、σp3(またはσp4)の場合、式(11)の炭素原子[Cb]と結合するR3(またはR4)中の原子から数えて3原子以内の範囲で構成される構造から算出する。
この1価の有機基(ry2)としては、1価の有機基(ry1)と同じものが使用できる。好ましくは1価の有機基(ry2)が電子吸引性基であれば、より特性基(b)の分解性が上がる。
ここで、本発明における電子供与性基としては、隣接して結合する炭素原子に対し、ハメットの置換基定数(σp値)が−0.05以下の官能基を指す。
[σp1、σp2、σp3、およびσp4は、それぞれR1、R2、R3、およびR4のハメットの置換基定数(σp値)を表す。]
R5の1価の有機基(ry5)、及びはR6の1価の有機基(ry6)は、R1の有機基(ry1)と同じものが使用できる。またR5はR6と連結して含窒素環を形成することができる。
前記含窒素環はその環構成原子に複数のヘテロ原子(N、S、O等)を含有することができる。
特性基(b)が1分子中に1個以上であれば、強アルカリ水溶液により架橋が分解され光照射部の剥離性が得られ、100個以下であれば有機溶媒に可溶でメッキレジストとして使用できる。
ビニリデン基としては、例えば、メタクリル基、メタクリルアミド基、シアノアクリル基等が挙げられる。
ビニレン基としては、例えば、プロペニルエーテル基、マレイン酸基、マレイミド基等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、反応性及び保存安定性の観点からアクリル基、アクリルアミド基、アリル基、メタクリル基、メタクリルアミド基、及びアリル基が好ましい。
二重結合(a)が1分子中に2個以上であれば、光照射により十分な架橋が形成されパターンの強度が得られ、20個以下であれば強アルカリ処理により十分に架橋が分解し剥離する。
通常、強アルカリ水溶液により分解する特性基(b)を1分子中に1個以上含み、かつ式(1)中のR1〜R6中の有機基のうちの一部にラジカル重合性の二重結合(a)を2個以上含有する構造である。
好ましくはラジカル重合性化合物(A)中のR1またはR2中に1個以上の二重結合(a)を含有し、かつR6中に1個以上の二重結合(a)を含有する構造(i)、または、R3またはR4中に1個以上の二重結合(a)を含有し、かつR6中に1個以上の二重結合(a)を含有する構造(ii)であり、これらの構造であれば架橋構造を効率的に分解することができ、アルカリ水溶液により容易に剥離することができる。
さらに好ましくは2個の二重結合(a)の分子間に必ず特性基(b)を含む構造であり、この構造であれば架橋構造を完全に分解でき溶解することも可能である。
分子量が200を超えると樹脂硬度が充分に発揮でき、また分子量が10,000以下であれば現像性が良好に発揮できる。
10重量%以上であれば光硬化反応性がさらに良好に発揮でき、90重量%以下であれば解像度がさらに良好に発揮できる。
本発明における親水性ポリマー(B)における親水性の指標はHLBにより規定され、一般にこの数値が大きいほど親水性が高いことを示す。
4以上であればフォトスペーサの現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
親水性ポリマー(B)の酸価は、好ましくは10〜500mgKOH/gである。10mgKOH/g以上であると、現像性がさらに良好に発揮されやすく、500mgKOH/g以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
具体的な方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いて中性メタノール・アセトン溶液[アセトンとメタノールを1:1(容量比)で混合したもの]を加え溶解する。
(ii)フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液で滴定する。指示薬の微紅色が30秒続いたときを中和の終点とする。
(iii)次式を用いて決定する。
酸価(KOHmg/g)=(A×f×5.61)/S
ただし、A:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液のmL数
f:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液の力価
S:試料採取量(g)
Mnが2,000を超えると樹脂硬度が充分に発揮でき、また、Mnが100,000以下であれば現像性が良好に発揮できる。
親水性ポリマー(B)は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、得られる硬化物の硬度の観点と、製造のし易さの観点から、好ましいのはビニル系ポリマー(B1)である。
(Ba1)カルボキシル基含有ビニルモノマー:
不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸など]、不飽和多価(2〜4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸など]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1〜10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびシトラコン酸モノアルキルエステルなど]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩およびアンモニウム塩等]が挙げられる。
(Ba1)のうち好ましいのは親水性の観点から不飽和モノカルボン酸、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど]、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど]、アルキロール(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど]、ヒドロキシスチレンおよび2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルなどが挙げられる。
(Ba2)のうち好ましいのはアルカリ現像性の観点からヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)塩、第1〜3級アミン塩、アンモニウム塩および第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
アルキル基の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート[例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]および脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレートなど]などが挙げられる。
スチレン骨格を有する炭化水素モノマー[例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレンおよびベンジルスチレン]およびビニルナフタレンなどが挙げられる。
炭素数4〜50のもの、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニルなどが挙げられる。
二重結合(a)が1分子中に1個以上であれば、光照射により十分な架橋が形成されパターンの強度が得られ、10個以下であれば十分に分解し剥離除去できる。
10重量%以上であればアルカリ現像性がさらに良好に発揮でき、90重量%以下であれば解像度がさらに良好に発揮できる。
光ラジカル重合開始剤(C)は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
0.001重量%以上であれば光硬化反応性がさらに良好に発揮でき、10重量%以下であれば解像度がさらに良好に発揮できる。
多官能チオール化合物(D)を含むことにより、ラジカル重合性化合物(A)の二重結合(a)の連鎖重合ではなく、二重結合(a)とチオール基との付加反応になるため、強アルカリ水溶液による特性基(b)の分解で架橋構造を低分子に分解することができるため、容易に強アルカリ水溶液により剥離することが出来、さらにはアルカリ溶解することもできる。
2個以上であると、光照射によりラジカル重合性化合物(A)の二重結合(a)とのエン−チオール反応により十分な架橋構造を形成しパターンの強度が得られ、10個以下であると強アルカリ水溶液による架橋構造の分解が容易になり強アルカリ水溶液で剥離することができる。
多官能チオール化合物(D)が0.1重量%以上であれば無電解銅メッキとの密着性に優れ、60重量%以下であれば硬化物のパターン強度が優れる。
0.3〜1.7の範囲であれば、十分な架橋構造を形成しパターンの強度が得られ、かつ強アルカリ水溶液による架橋構造の分解が容易になり剥離することができ、さらにはアルカリ溶解することができる。
塩基性化合物(E)を含有することにより、光照射部を加熱処理することで、特性基(b)を強アルカリ水溶液による分解と同様の反応で分解できる。これにより架橋構造を分解することができ、弱アルカリ水溶液でも剥離処理が可能になる。
第1〜2級アミンとしては芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、脂環式アミン化合物等が用いられる。
芳香族アミン化合物としては、公知のものが使用でき、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、4,4´−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、および4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
0.001重量%以上であれば特性基(b)の加熱時の分解反応性がさらに良好に発揮でき、15重量%以下であれば硬化物の物性がさらに良好に発揮できる。
その他成分(F)としては、無機微粒子(F1)、増感剤(F2)、重合禁止剤(F3)、並びにその他の添加剤(例えば、無機顔料、シランカップリング剤、染料、蛍光増白剤、黄変防止剤、酸化防止剤、及び消泡剤等)が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素および酸化アルミニウム等が挙げられる。
これらのうちで、耐熱性および耐薬品性の観点から、金属酸化物が好ましく、さらに好ましくは、酸化ケイ素および酸化チタン、特に酸化ケイ素が好ましい。
無機微粒子は、体積平均一次粒子径が1〜200nm、透明性の観点から、好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜120nm、特に好ましくは5〜20nmのものである。
(1)感光性樹脂組成物(Q)を所定の有機溶剤に溶解(無機微粒子を含んだ場合は溶解と分散)した感光性樹脂ワニス(QW)をカーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等公知の方法を用いて基板に塗布後、加熱または熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させてメッキレジスト(R)を形成する方法;及び
(2)樹脂ワニス(QW)を支持ベースフィルムの上に前記と同様の方法を用いて塗布、乾燥させることで感光性樹脂層を形成したメッキレジストフィルム(RF)を、基板に加熱条件下、加圧ラミネートする工程を行うことによりメッキレジスト(R)を形成する方法などが挙げられる。
好ましいものは、メッキレジストフィルム(RF)を加熱条件下で加圧ラミネートする方法である。このようにするとプリント配線板の生産性が大幅に向上し好適である。
これらの溶媒のうち、フィルムの乾燥温度等の観点から、沸点が200℃以下のもの(トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン及びキシレン)が好ましく、単独又は2種類以上組み合わせで使用することもできる。
有機溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常30〜1,000重量%が好ましく、さらに好ましくは40〜900重量%、特に好ましくは50〜800重量%である。
また樹脂ワニス(QW)は、通常、室温で液状であり、その粘度は、25℃で0.1〜10,000mPa・s、好ましくは1〜8,000mPa・sである。
銅張積層板としては、ガラスエポキシや金属板、ポリエステル板、ポリイミド板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル板等に銅箔を接着したものが挙げられる。
なお、ベースフィルムにはマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。この樹脂組成物はラミネート時に樹脂のしみ出しが生じるので、ロールの両端あるいは片側に樹脂のない支持ベース部分を5mm以上もうけてあれば、ラミネート部の樹脂付着防止、支持ベースフィルムの剥離が容易になる等の利点がある。
ラミネート条件は、ラミネート温度は通常50〜180℃であって、好ましくは60〜170℃、さらに好ましくは70〜150℃である。50℃未満では内層基板に転写しにくく、180℃より高いとプリント配線板の生産性が低下する問題がある。ラミネートの圧力は通常0.01〜20MPaであって、好ましくは0.1MPa〜15MPaである。0.01MPa未満では内層基板に転写しにくく、20MPaより高いとメッキレジスト(R)の厚さが調整できない。減圧条件としては、好ましくは2.5kPa以下である。
その後、強アルカリ水溶液によるアルカリ剥離又は溶解工程(II)を行うことにより特性基(b)部分を分解し、光硬化したメッキレジスト(R)を除去する。その後、必要に応じ無電解メッキまたは電解メッキ層をエッチングすることで配線を形成することができる。
活性光線としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハロゲンランプ、電子線照射装置、X線照射装置、レーザー(アルゴンレーザー、色素レーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミウムレーザー等)等がある。これらのうち、好ましくは高圧水銀灯及び超高圧水銀灯である。
アルカリ現像液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。
これらアルカリ現像液は水溶性の有機溶剤を加えても良い。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等がある。
現像液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。現像時間は、メッキレジスト(R)の厚さに応じて適宜決定される。
アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。これらアルカリ水溶液は水溶性の有機溶剤を加えても良い。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン及びN−メチルピロリドン等がある。
除去方法としては、アルカリ水溶液を用いたディップ方式、シャワー方式、及びスプレー方式があるが、スプレー方式の方が好ましい。水溶液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。溶解時間は、メッキレジスト(R)の厚さに応じて適宜決定される。
加熱工程の温度としては、通常100〜200℃であって、好ましくは110〜190℃、さらに好ましくは120〜180℃である。100℃未満では特性基(b)が十分に分解できずアルカリ剥離又は溶解性が不足し、200℃より高いとプリント配線板の生産性が低下する問題がある。
加熱時間としては、通常2〜120分であって、好ましくは3〜90分、さらに好ましくは3〜90分である。2分未満では時間と温度の制御が困難で、120分より大きいとプリント配線板の生産性が低下する問題がある。
<ラジカル重合性化合物(A−1)の合成>
温度計、撹拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えた三口フラスコに35%ホルマリン300部、及びテトラヒドロフラン300部を仕込み、ついでエチレングリコールモノアセタートモノメタクリラート430部を徐々に加えながら、50℃で12時間反応させた。ついでトルエン−水で抽出しトルエン層を回収し、溶剤を減圧除去しアルコール化合物(Aa−1)を得た。
温度計、撹拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えた三口フラスコに1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルスルホニル)−2−プロパノール276部、ジラウリル酸ジブチルスズ6部、及びジメチルホルムアミド780部を仕込み、室温で均一溶解させた。ついで2−メタクリロキシエチル イソシアネート(昭和電工社製、「カレンズ MOI」)500部を徐々に加えながら、40℃で12時間反応させた後に、溶剤を減圧除去することで、分子内に特性基(b)を3個、二重結合(a)を3個含有する前記の化学式(27)で表されるラジカル重合性化合物(A−2)を得た。(RX=0.73)
<親水性ポリマー(B−1)の合成>
温度計、撹拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えた三口フラスコに、イソボルニルメタクリレート60部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メタクリル酸20部、およびメチルエチルケトン150部を仕込み、80℃まで加熱した。系内の気相部分を窒素で置換したのち、あらかじめ作成しておいたAIBNの5部をメチルエチルケトン50部に溶解した溶液55部を、80℃のコルベン中に10分間で滴下し、さらに同温度で3時間反応させた。その後、メチルエチルケトンを減圧除去することで、水酸基とカルボキシル基を有する親水性ポリマー(B−1:Mn:21,000、SP値:12.24、HLB値:12.38、水酸基価:86mgKOH/g、酸価:138mgKOH/g)の親水性ポリマー(B−1)を得た。
<ラジカル重合性化合物(A’−1)の合成>
アルコール化合物(Aa−1)244部の代わりにヒドロキシエチルメタアクリレート130部を使用した以外は合成例1と同様にして、電子吸引性基を含まない特性基(b’)を2個と、二重結合(a)2個を分子内に含有するラジカル重合性化合物(A’−1)を得た。(RX<0)。
<ラジカル重合性化合物(A’−2)の合成>
1,4−フェニレンジイソシアネートの代わりにフェニルイソシアネート119部を使用した以外は合成例1と同様にして、特性基(b)を1個、二重結合を1個だけを分子内に有するラジカル重合性化合物(A’−2)を得た。(RX=1.04)。
温度計、撹拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えた三口フラスコに、合成例3で合成した親水性ポリマー(B−1)45部、ジメチルホルムアミド120部を入れて、均一溶解した。ついで合成例1で合成したラジカル重合性化合物(A−1)50部、光重合開始剤(C−1)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、「イルガキュア907」)5部を加え、25℃で攪拌溶解を行い、感光性樹脂ワニスを得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)の部数を30部に変更し、多官能チオール化合物としてペンタエリスリトールテトラキス−(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)社製、「PEMP」)(D−1)20部を追加した以外は実施例1と同様にしてプリント配線板(Z−2)を得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)の代わりに、ラジカル重合性化合物(A−2)50部を使用した以外は、実施例1と同様にしてプリント配線板(Z−3)を得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)の代わりに、ラジカル重合性化合物(A−2)30部を使用した以外は、実施例2と同様にしてプリント配線板(Z−4)を得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)を、電子吸引性基を含まない特性基からなるラジカル重合性化合物(A’−1)50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリント配線板(Z’−1)を得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)を、ラジカル重合性の二重結合を1個だけ含有するラジカル重合性化合物(A’−2)50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリント配線板(Z’−2)を得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)を、特性基(b)を含まないラジカル重合性化合物(A’−3)(三洋化成工業(株)製「ネオマーDA−600」;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリント配線板(Z’−3)を得た。
ラジカル重合性化合物(A−1)をラジカル重合性化合物(A’−3)20部、親水性ポリマー(B−1)の部数を75部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリント配線板(Z’−4)を得た。
メッキレジストの性能評価として、得られたプリント配線板(Z−1)〜(Z−4)、および(Z’―1)〜(Z’―4)のレジストパターン形成性、強アルカリ水溶液中のレジストの挙動、および配線パターン形成性について以下の方法で評価した。
形成したメッキレジストの、露光、1%炭酸ナトリウム水溶液現像、乾燥後に、形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550、株式会社キーエンス製)を用いて、L/Sが25μm/25μmおよび15μm/15μmのレジストパターンの剥れを顕微鏡の倍率200倍の条件より観察し、以下の基準により評価した。
○:配線の剥れが全く認められない
×:部分的に配線の剥がれがある
光照射後のレジストを、2%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した時の挙動を目視で観察し、以下の基準により評価した。
◎:レジストが溶解
○:レジストが膨潤剥離する
×:レジストが変化しない
配線形成後のプリント配線板を、形状測定顕微鏡を用いてL/Sが25μm/25μmおよび15μm/15μmのメッキ配線パターン中の配線間を顕微鏡の倍率200倍の条件で、レジスト残渣の有無を観察し、以下の基準により評価した。
○:レジスト残渣が認められない
×:部分的にレジスト残渣がある
一方、電子吸引性基を含まない特性基(b’)からなるラジカル重合性化合物(A’−1)を用いた比較例1は、強アルカリ水溶液による分解がおこらないため、配線間のレジストの除去性が悪く配線パターン形成性に問題がある。
二重結合(a)が1つしか含有しないラジカル重合性化合物(A’−2)を用いた比較例2は、レジストの光硬化性が悪くレジストパターン形成性に問題があることが分かる。
また、特性基(b)を含まないラジカル重合性化合物(A’−3)を用いて親水性ポリマーが少ない比較例3は配線間のレジストの除去性が悪く、配線パターン形成性に問題があり、親水性ポリマーが多い比較例4は、アルカリ現像時に膨潤するため銅面への密着性が低下しレジストパターン形成性が悪くなる問題があることが分かる。
Claims (8)
- 分子内に2個以上のラジカル重合性の二重結合(a)を含有する下記一般式(1)で表されるラジカル重合性化合物(A)、親水性ポリマー(B)、および光ラジカル重合開始剤(C)を必須成分として含有し、光照射とアルカリ現像によりパターン形成可能なことを特徴とした感光性樹脂組成物(Q)。
- 該ラジカル重合性化合物(A)の一般式(1)中のR1またはR2中に1個以上のラジカル重合性の二重結合(a)を含有し、かつR6中にも1個以上の二重結合(a)を含有する請求項1記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 該ラジカル重合性化合物(A)の一般式(1)中のR3またはR4中に1個以上の二重結合(a)を含有し、かつR6中にも1個以上の二重結合(a)を含有する請求項1記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- ラジカル重合性化合物(A)のR1、R2、R3およびR4のそれぞれのハメットの置換基定数(σp値)を用いて下記数式(1)で定義されたRXが0.3〜1.8である請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)。
RX= σp1+σp2−σp3−σp4 (1)
但し、式中のσp1、σp2、σp3、σp4は、それぞれR1、R2、R3、R4のハメットの置換基定数(σp値)を表す。 - さらに、分子中に2個以上のチオール基を含有する多官能チオール化合物(D)を含有する請求項1〜4いずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 該ラジカル重合性化合物(A)の二重結合(a)のモル数(Am)と多官能チオール化合物(D)のチオール基のモル数(Dm)の比Am/Dmが、0.5〜1.5である請求項1〜5いずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 請求項1〜7いずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)を用いたメッキレジスト(R)。
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