JP2011007288A - 深みぞ玉軸受およびギヤ支持装置 - Google Patents

深みぞ玉軸受およびギヤ支持装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ボールの肩乗り上げを完全に防止することができるようにした深みぞ玉軸受を提供することである。
【解決手段】外輪11の軌道溝12と内輪21の軌道溝22間にボール31を組込み、そのボール31を保持器40で保持する。外輪軌道溝12および内輪軌道溝22のそれぞれ両側に形成された合計4の肩13a、13b、23a、23bのうち、対角位置の1組の肩13a、23bの高さを残る1組の肩13b、23aより高くする。外輪11の高さの高い肩13aの高さをH、内輪21の高さの高い肩23bの高さをH、ボール31の球径をdとしたとき、ボール31の球径dに対する外輪11の肩高さHの比率H/dを0.28〜0.50の範囲とし、かつ、ボール31の球径dに対する内輪21の肩高さHの比率H/dを0.37〜0.50の範囲として、ボール31の肩乗り上げを防止する。
【選択図】図1

Description

この発明は、外輪と内輪間にボールを組込んだ深みぞ玉軸受およびその深みぞ玉軸受を用いたギヤ支持装置に関する。
図11に示すように、トランスミッションのファイナルドライブギヤ1の回転をファイナルドリブンギヤ2から、そのギヤ2を支持するデフケース3に伝え、このデフケース3の回転をピニオンシャフト4に固定された一対のピニオン5からこれに噛合するサイドギヤ6a、6bに伝達して、各サイドギヤ6a、6bを支持する左右のアクスル7a、7bに伝達するようにしたディファレンシャルにおいては、前記デフケース3の両端に形成された筒部8a、8bをハウジング9に支持された一対の軸受Bによって回転自在に支持している。
上記ディファレンシャルにおいては、デフケース3に支持されたファイナルドリブンギヤ2にヘリカルギヤが採用されているため、ファイナルドリブンギヤ2が回転すると、デフケース3にスラスト荷重が負荷されることになる。
このため、デフケース3を支持する軸受Bには、ラジアル荷重とスラスト荷重の両方の荷重を支持することができる軸受を用いる必要がある。
円すいころ軸受においては、負荷容量が大きく、スラスト荷重およびラジアル荷重の両方を受けることができるため、デフケース3の支持用軸受に好適であるが、この円すいころ軸受においては、損失トルクが大きく、燃料の消費量が多くなるという問題が生じる。その低燃費化を図る上においては、損失トルクの少ない深みぞ玉軸受を用いるのが好ましい。
ところで、標準の深みぞ玉軸受においては、過大なスラスト荷重が負荷された際には、そのスラスト荷重を受ける負荷側の肩にボールが乗り上げて、肩のエッジが損傷する懸念がある。
そのような不都合を解消するため、特許文献1に記載された深みぞ玉軸受においては、外輪の軌道溝および内輪の軌道溝のそれぞれ両側に形成された肩のうち、スラスト荷重を受ける側の肩を高くして、ボールの乗り上げを阻止し、軸受の耐久性の低下を抑制するようにしている。
特開2000−145795号公報
ところで、上記特許文献1に記載された深みぞ玉軸受においては、ボールの肩乗り上げを阻止する側の肩の高さ寸法については何も言及されていないため、肩高さが必要以上に小さい場合には肩乗り上げが生じて軸受の使用上に問題が発生する。
また、肩高さが必要以上に大きい場合にはボールの組込みが阻害されて深みぞ玉軸受を組立てることができない場合が生じる。
さらに、保持器として、外径面が軸方向の全体にわたって同一径とされ、かつ、内径面が軸方向の全体にわたって同一径のものを採用すると、高い側の肩に保持器が干渉して損傷するおそれがあった。
この発明の課題は、ボールの肩乗り上げを完全に防止することができるようにした深みぞ玉軸受およびその深みぞ玉軸受を用いたギヤ支持装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明に係る深みぞ玉軸受においては、内径面に軌道溝が形成された外輪と、外径面に軌道溝が形成された内輪と、外輪の軌道溝と内輪の軌道溝間に組込まれたボールと、そのボールを保持するポケットが形成された保持器とからなり、前記外輪の軌道溝および内輪の軌道溝のそれぞれ両側に位置する合計4つの肩のうち、外輪軌道溝の一側の肩および内輪軌道溝の他側の肩の高さを、外輪軌道溝の他側の肩および内輪軌道溝の一側の肩の高さより高くした深みぞ玉軸受において、前記外輪の高さの高い肩の高さをH、内輪の高さの高い肩の高さをH、ボールの球径をdとしたとき、ボールの球径dに対する外輪の肩高さHの比率H/dを0.28〜0.50の範囲とし、かつ、ボールの球径dに対する内輪の肩高さHの比率H/dを0.37〜0.50の範囲とし、前記保持器を軸方向に2分割された分割保持器とした構成を採用したのである。
上記の構成からなる深みぞ玉軸受の組立てに際しては、外輪の内側に内輪を組込み、その内輪の外径面の一部を外輪の内径面の一部に当接して、その当接部位から周方向に180°ずれた位置に三日月形の空間を形成し、その空間の一側方から内部にボールを組込んだ後、外輪と内輪の中心を一致させ、かつ、ボールを周方向に等配させた状態で、外輪と内輪の両側方から内部に2枚の分割保持器を挿入して、その2枚の分割保持器を軸方向に連結する。
上記のような深みぞ玉軸受の組込みにおいて、ボールの球径dに対する外輪の肩高さHの比率H/dは0.5を超えることのない高さとされ、また、ボールの球径dに対する内輪の肩高さHの比率H/dも0.5を超えることのない高さとされているため、外輪と内輪間にボールを確実に組込むことができる。
ヘリカルギヤを用いたギヤ支持装置への深みぞ玉軸受の組付けに際しては、内輪の高さの高い肩がヘリカルギヤ側に位置する組込みとして、上記ヘリカルギヤへのトルク伝達により生じるスラスト荷重を外輪および内輪の高さの高い肩で受けるようにする。
このとき、スラスト荷重を受ける外輪の肩においては、ボールの球径dに対する肩高さHの比率H/dが0.28以上とされている。これは、軸受6208Cの内部諸元よりボール径とボールPCDは固定であるため、外輪H/d=0.28以上を満たす外輪肩寸法はφ65.5mmになる。この肩寸法から0.1mm単位で肩寸法を変更すると肩乗り上げが発生し、軸受使用上問題があるため、H/dを0.28以上としている。また、スラスト荷重を受ける内輪の肩においては、ボールの球径dに対する肩高さHの比率H/dが0.37以上とされている。これは、軸受6208Cの内部諸元よりボール径とボールPCDは固定であるため、内輪H/d=0.37を満たす内輪肩寸法はφ56.6mmになる。この肩寸法から0.1mm単位で肩寸法を変更すると肩乗り上げが発生し、軸受使用上問題があるため、H/dを0.37以上としている。このように規定することにより、ボールが肩に乗り上がるようなことはない。
上記のようなギヤ支持装置への組込みおいて、深みぞ玉軸受の組込み方向に誤りがあると、スラスト荷重を受けることができずに高さの低い肩にボールが乗り上がるおそれが生じる。そこで、外輪や内輪および分割保持器の少なくとも一つの幅面側にスラスト荷重の受け側を示す識別表示部を設けると、誤った組込みを防止することができると共に、ギヤ支持装置の組立性の向上を図ることができる。識別表示部は色表示でもよく、あるいは、刻印によるものであってもよい。
ここで、外輪の高さの低い肩の高さをH、内輪の高さの低い肩の高さをH、ボールの球径をdとしたとき、ボールの球径dに対する外輪の肩高さHの比率H/dを0.08〜0.25の範囲とし、かつ、ボールの球径dに対する内輪の肩高さHの比率H/dを0.08〜0.25の範囲とすると、上記肩のそれぞれを標準型深みぞ玉軸受の肩の高さと同一の高さとする場合に比較して、外輪と内輪の径方向で対向する肩間に大きな間隔を確保することができるため、分割保持器として径方向幅の大きい強度の高い分割保持器を採用することができる。
上記分割保持器として、複数の半球状ポケット部と複数の結合板部とが周方向に交互に連続する2枚の波形分割保持器からなるものを採用することができる。その波形分割保持器を採用する場合において、標準形の金属製波形保持器であると、高さの高い肩との干渉を避ける必要があるため、帯幅寸法(保持器径方向の幅寸法)が小さくなり、保持器の強度が低下して、損傷し易くなる。
そこで、2枚の波形分割保持器における結合板部の外径を同径とし、一方の波形分割保持器におけるポケット部を結合板部に対して内径側に位置をずらし、他方の波形分割保持器におけるポケット部を結合板部に対して外径側に位置をずらした形状として、上記一方の波形分割保持器を外輪の高さが高い肩側から軸受内部に挿入可能とし、他方の波形分割保持器を外輪の高さが低い肩側から軸受内部に挿入可能とすることにより、ポケット部の帯幅寸法を大きく採ることができ、強度の高い保持器を得ることができる。
また、2枚の波形分割保持器におけるポケット部の帯幅寸法を結合板部の帯幅寸法と同一またはその帯幅寸法内に納まる大きさとして、一方の波形分割保持器の結合板部の外径を他方の波形分割保持器の結合板部より小径とし、その小径側の波形分割保持器を外輪の高さの高い肩側から軸受内部に挿入可能とし、大径側の波形分割保持器を外輪の高さの低い肩側から軸受内部に挿入可能とすることにより、ポケット部の帯幅寸法を大きく採ることができ、強度の高い保持器を得ることができる。
さらに、2枚の波形分割保持器を同一形状で同一大きさとし、その2枚の波形分割保持器におけるポケット部の保持器周方向の両端部および結合板部の保持器径方向の幅寸法(帯幅寸法)をポケット部の保持器周方向の中央部の保持器径方向の幅寸法(帯幅寸法)より大きくすることにより、強度の高い保持器を得ることができる。
上記のような波形保持器の採用において、ポケット部の内周面に凹部または外周面に貫通するスリット等のボールと非接触のボール非接触部を設け、そのポケットにおけるボールとの接触面積を、ボール非接触部を設けていないときのボールとの接触面積よりも15%〜30%低減させた構成を採用すると、ポケット内部を潤滑剤が通過する際の抵抗と、剪断する油膜量の減少を図ることができ、トルク損失を大幅に低減させることができる。
この発明に係る深みぞ玉軸受において、外輪の軌道溝の曲率半径をr、内輪の軌道溝の曲率半径をr、ボールの球径をdとしたとき、ボールの半径d/2に対する外輪軌道溝の曲率半径rの比率r/d/2を1.03〜1.08の範囲とし、かつ、ボールの半径d/2に対する内輪軌道溝の曲率半径rの比率r/d/2を1.015〜1.04の範囲とすると、ボールと軌道溝間の接触部での滑り防止することができ、上記接触部での脆性剥離を防止することができる。
この発明に係るギヤ支持装置においては、ヘリカルギヤが設けられたシャフトを、そのヘリカルギヤの一側方に配置された第1軸受と、ヘリカルギヤの他側方に配置された第2軸受で回転自在に支持し、前記ヘリカルギヤの一方向への回転時に前記シャフトに負荷されるスラスト力を前記第1軸受で支持するようにしたギヤ支持装置において、前記第1軸受および第2軸受としてこの発明に係る上述の深みぞ玉軸受を用いるようにしたのである。
この場合、深みぞ玉軸受は、内輪の高さの高い肩がヘリカルギヤ側に位置する組込みとして、ヘリカルギヤの回転によってシャフトに負荷されるスラスト荷重を内輪および外輪の高さの高い肩で受けるようにする。
上記のギヤ支持装置においては、第1軸受および第2軸受の双方をこの発明にかかる深みぞ玉軸受を用いるようにしたが、第1軸受にこの発明にかかる深みぞ玉軸受を用い、第2軸受に円筒ころ軸受を用いるようにしてもよい。また、第1軸受にアンギュラ玉軸受または円すいころ軸受を用い、第2軸受にこの発明にかかる深みぞ玉軸受を用いるようにしてもよい。
いずれの場合も、この発明に係る深みぞ玉軸受は、内輪の高さの高い肩がヘリカルギヤ側に位置する組込みとする。
上記のように、この発明に係る深みぞ玉軸受を用いてシャフトを回転自在に支持することにより、損失トルクが小さく、シャフトを円滑に回転させることができ、低燃費化に効果を挙げることができる。また、シャフトに負荷されるスラスト荷重をその深みぞ玉軸受によって受けることができ、ボールの乗り上げがなく、動力の伝達を確実に行なわせることができる。
上記のように、この発明に係る深みぞ玉軸受においては、外輪の軌道溝と内輪の軌道溝のそれぞれ両側に位置する4つの肩のうち、外輪軌道溝の一側の肩および内輪軌道溝の他側の肩の高さを、外輪軌道溝の他側の肩および内輪軌道溝の一側の肩の高さより高くし、外輪の高さの高い肩の高さをH、内輪の高さの高い肩の高さをH、ボールの球径をdとしたとき、ボールの球径dに対する外輪の肩高さHの比率H/dを0.28〜0.50の範囲とし、かつ、ボールの球径dに対する内輪の肩高さHの比率H/dを0.37〜0.50の範囲としたので、ラジアル荷重と比較的大きなスラスト荷重を受けることができる。このため、円すいころ軸受が必要とされていた軸受装置への組込みを可能とすることができ、その軸受装置への組込みによってトルク損失の低減化を図り、低燃費を達成することができる。
また、この発明に係るギヤ支持装置においては、上記深みぞ玉軸受を用いてシャフトを支持するようにしたので、トルク損失の低減を図ることができ、低燃費化に効果を挙げることができる。
この発明に係る深みぞ玉軸受の実施の形態を示す縦断正面図 図1に示す深みぞ玉軸受のボールの組込み部を拡大して示す断面図 この発明に係る深みぞ玉軸受の保持器の他の実施の形態を示す縦断正面図 この発明に係る深みぞ玉軸受の保持器のさらに他の実施の形態を示す縦断正面図 この発明に係る深みぞ玉軸受の保持器のまたさらに他の実施の形態を示す縦断正面図 図5に示すボール非接触部の他の例を示す縦断正面図 ギヤ支持装置の一例を示す断面図 ギヤ支持装置の他の例を示す断面図 ギヤ支持装置のさらに他の例を示す断面図 ギヤ支持装置のまたさらに他の例を示す断面図 ディファレンシャルを示す断面図
以下、この発明の実施の形態を図1乃至図10に基づいて説明する。図1に示すように、深みぞ玉軸受Aは、外輪11の内径面に形成された軌道溝12と内輪21の外径面に設けられた軌道溝22間にボール31を組込み、そのボール31を保持器40で保持している。
外輪11の軌道溝12の両側に形成された一対の肩13a、13bのうち、軌道溝12の一側方に位置する肩13aの高さは他側方に位置する肩13bよりも高くなっている。一方、内輪21の軌道溝22の両側に形成された一対の肩23a、23bのうち、軌道溝22の他側方に位置する肩23bの高さは一側方に位置する肩23aの高さより高くなっている。
なお、説明の都合上、高さの高い肩13a、23bをスラスト負荷側の肩13a、23bといい、高さの低い肩13b、23aをスラスト非負荷側の肩13b、23aという。
外輪11のスラスト負荷側の肩13aの高さをH、内輪21のスラスト負荷側の肩23bの高さをH、ボール31の球径をdとしたとき、ボール31の球径dに対する外輪11の肩高さHの比率H/dは、0.28〜0.50の範囲とされ、一方、ボール31の球径dに対する内輪21の肩高さHの比率H/dは、0.37〜0.50の範囲とされている。
外輪11のスラスト非負荷側の肩13b、および、内輪21のスラスト非負荷側の肩23aは、標準型の深みぞ玉軸受の肩の高さと同一とされている。
保持器40は、第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42からなる。第1波形分割保持器41は複数の半球状ポケット部43と複数の結合板部44とを周方向に交互に配置した波形とされ、上記ポケット部43は結合板部44に対して内径側に位置ずれしている。この第1波形分割保持器41は外輪11のスラスト負荷側の肩13aから軸受内に挿入可能とされ、かつ、外輪11のスラスト非負荷側の肩13bから軸受内に挿入不可能な大きさとされている。
一方、第2波形分割保持器42も第1波形分割保持器41と同様に、複数の半球状ポケット部45と複数の結合板部46を周方向に交互に配置した波形とされ、上記結合板部46は第1波形分割保持器41の結合板部44と同径とされ、その結合板部46に対してポケット部45は外径側に位置ずれしている。この第2波形分割保持器41は外輪11のスラスト非負荷側の肩13bから軸受内に挿入可能とされ、かつ、外輪11のスラスト負荷側の肩13aから軸受内に挿入不可能な大きさとされている。
第1波形分割保持器41と第2波形分割保持器42は、ポケット部43、45が軸方向で対向して、その対向部間にポケット47を形成する組み合せとされ、互いに衝合する2枚の結合板部44、46が、その2枚の結合板部44、46を貫通するリベット51の端部の加締めにより結合一体化される。
ここで、保持器40は、金属板のプレス成形品からなるものであってもよく、合成樹脂の成形品から成るものであってもよい。合成樹脂の成形品とする場合は、耐油性に優れた合成樹脂を用いるようにする。そのような合成樹脂として、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)を挙げることができる。これらの樹脂は、潤滑油の種類に応じて適切なものを選択して使用すればよい。
実施の形態で示す深みぞ玉軸受は上記の構造からなり、その深みぞ玉軸受の組立てに際しては、外輪11の内側に内輪21を挿入し、その内輪21の軌道溝22と外輪11の軌道溝12間に所要数のボール31を組込む。
このとき、内輪21を外輪11に対して径方向にオフセットし、内輪21の外径面の一部を外輪11の内径面の一部に当接して、その当接部位から周方向に180度ずれた位置に三日月形の空間を形成し、その空間の一側方から内部にボール31を組込むようにする。
このとき、外輪11のスラスト負荷側の肩13aや内輪21のスラスト負荷側の肩23bの肩高さが必要以上に高い場合には、ボール31の組込みを阻害することになるが、外輪11のスラスト負荷側の肩13aにおいては、ボール31の球径dに対する肩高さHの比率H/dが0.5を超えることのない高さとされ、また、内輪21のスラスト負荷側の肩23bにおいてもボール31の球径dに対する肩高さHの比率H/dが0.5を超えることのない高さとされているため、外輪11と内輪21間にボール31を確実に組込むことができる。
ボール31の組込み後、内輪21の中心を外輪11の中心に一致させてボール31を周方向に等間隔に配置し、内輪21のスラスト非負荷側の肩23aの一側方から外輪11と内輪21間に第1波形分割保持器41を、その第1波形分割保持器41に形成されたポケット部43内にボール31が嵌り込むようにして挿入する。
また、外輪11のスラスト非負荷側の肩13bの一側方から外輪11と内輪21間に第2波形分割保持器42を、その第2波形分割保持器42に形成されたポケット部45内にボール31が嵌り込むように挿入して、第1波形分割保持器41の結合板部44と第2波形分割保持器42の結合板部46を互いに衝合し、その2枚の結合板部44、46をリベット51の加締めにより結合する。
上記のような深みぞ玉軸受の組立て状態では、第1波形分割保持器41のポケット部43が外輪11のスラスト負荷側の肩13aと径方向で対向し、そのポケット部43は結合板部44に対して径方向内方に位置ずれしているため、外輪11のスラスト負荷側の肩13aとの間に間隙が形成される。
また、第2波形分割保持器42のポケット部45が内輪21のスラスト負荷側の肩23bと径方向で対向し、そのポケット部45は結合板部46に対して径方向外方に位置ずれしているため、内輪21のスラスト負荷側の肩23bとの間に間隙が形成される。
このため、深みぞ玉軸受の回転時に、保持器40のポケット部43、45がスラスト負荷側の肩13a、23bに干渉するようなことはなく、外輪11と内輪21を円滑に相対回転させることができる。
図1では、高さの低いスラスト非負荷側の肩13bおよび23aの高さを標準型深みぞ玉軸受の肩と同じ高さとしたが、標準型深みぞ玉軸受の肩の高さより低くしてもよい。
スラスト非負荷側の肩13bおよび23aの高さを標準型深みぞ玉軸受の肩の高さより低くすると、低くした分、第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42の径方向幅Wを大きくすることができるため、保持器40の強度を高めることができる。
ここで、スラスト非負荷側の肩13bおよび23aの高さが必要以上に低くなると、ボール31の乗り上げが発生するおそれがあるため、外輪11の肩13bの高さHについては、ボール31の球径dに対する肩高さHの比率H/dを0.08〜0.25の範囲とする。
また、内輪21の肩23aについては、ボール31の球径dに対する肩高さHの比率H/dを0.08〜0.25の範囲とする。
深みぞ玉軸受Aにおいては、外輪11と内輪21が相対的に回転すると、ボール31は外輪軌道溝12および内輪軌道溝22に沿って転動する。このとき、図2に示す外輪軌道溝12の曲率半径rおよび内輪軌道溝22の曲率半径rが必要以上に小さくなると、ボール31との間で滑りが生じて、接触部で脆性剥離が生じ、また、必要以上に大きくなると、定格荷重の計算値が低下することになる。
そこで、ボール31の半径d/2に対する外輪軌道溝12の曲率半径rの比率r/d/2を1.03〜1.08の範囲とし、かつ、ボール31の半径d/2に対する内輪軌道溝22の曲率半径rの比率r/d/2を1.015〜1.04の範囲として、脆性剥離を防止し、定格荷重の計算値の低下を抑制する。
図1では、第1波形分割保持器41のポケット部43を結合板部44より径方向内方に位置をずらすと共に第2波形分割保持器42のポケット部45を結合板部46より径方向外方に位置をずらして、第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42の径方向幅Wの増大化を図り、強度を高めるようにしたが、第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42は図1に示すもの限定されない。
例えば、図3に示すように、結合板部44およびその結合板部44の幅寸法と同一または幅寸法内に納まる大きさの幅寸法とされたポケット部43を有する第1波形分割保持器41および結合板部46およびその結合板部46の幅寸法と同一または幅寸法内に納まる大きさの幅寸法とされたポケット部45を有する第2波形分割保持器42の結合板部44、46の外径を相違させて、ポケット部43、45の径方向幅Wの増大化を図り、強度を高めるようにしてもよい。このようにすることで、保持器を加締める部分の強度をさらに向上させることができる上、保持器成形用の金型をより簡易形状にできるため、加工性も向上する。
また、図4に示すように、第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42のそれぞれを、複数の半球状ポケット部43、45と、複数の結合板部44、46とが周方向に交互に連続する同一形状で同一大きさの波形とし、その第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42のポケット部43、45の保持器周方向の両端部および結合板部44、46の保持器径方向の幅寸法をポケット部43、45の保持器周方向の中央部の保持器径方向の幅寸法より大きくして、強度を高めるようにしてもよい。
図5は、保持器40の他の例を示す。この保持器40においては、図1、図3および図4に示す第1波形分割保持器41および第2波形分割保持器42の各ポケット部43、45のポケット47の内周面に凹部からなるボール非接触部48を設け、そのポケット47におけるボール31との接触面積を、ボール非接触部48を設けていないときのボール31との接触面積よりも15%〜30%低減させた構成としている。
上記のように、ポケット部43、45のポケット47の内周面に凹部からなるボール非接触部48を設けることにより、ポケット47内部を潤滑剤が通過する際の抵抗と、剪断する油膜量の減少を図ることができ、トルク損失の低減に大きな効果を挙げることができる。
なお、図6に示すように、ポケット部43、45のポケット47の内周面に、外周面に至るスリットを形成し、そのスリットをボール非接触部48としてもよい。
図7は、実施の形態で示す深みぞ玉軸受Aを用いて図11に示すデフケース3の両端に形成されたシャフトとしての筒部8a、8bを支持した場合を示す。その筒部8a、8bの支持に際し、深みぞ玉軸受Aは、内輪21の負荷側の肩23bがファイナルドリブンギヤ2側に位置する組付けとする。
上記のようなギヤ支持装置において、ファイナルドライブギヤ1からのトルク伝達により、デフケース3が車両の前進走行方向に回転すると、ヘリカルギヤからなるファイナルドリブンギヤ2の回転によってデフケース3にスラスト力が負荷され、そのスラスト力は同図の左側の深みぞ玉軸受Aにおける内輪21のスラスト負荷側の肩23bと外輪11のスラスト負荷側の肩13aで支持される。
このとき、ボール31にもスラスト力が負荷され、内輪21のスラスト負荷側の肩23bと外輪11のスラスト負荷側の肩13aが必要以上に低い場合、ボール31が肩13a、23bに乗り上がり、肩13a、23bのエッジを損傷させる可能性がある。
実施の形態では、ボール31の球径dに対する外輪11の肩高さHの比率H/dを0.28以上とし、かつ、ボール31の球径dに対する内輪21の肩高さHの比率H/dを0.37以上としているため、ボール31の乗り上げを確実に阻止することができる。
因みに、外輪11の内径寸法がφ68.1mm、内輪21の外径寸法がφ53.1mmの標準の深みぞ玉軸受6208Cを基にして、その標準の深みぞ玉軸受を比較品とし、外輪11のスラスト負荷側の肩13aの内径寸法をφ68.1mmからφ65.5mmに変更し、かつ、内輪21のスラスト負荷側の肩23bの外径寸法をφ53.1mmからφ56.6mmに変更した深みぞ玉軸受を本発明品として、許容できるスラスト荷重を測定したところ、本発明品の深みぞ玉軸受は比較品の深みぞ玉軸受に比較して、スラスト荷重の許容値は305%高い数値を示した。また、スラスト荷重(アキシャル荷重)が負荷されない側の内輪の肩の外径寸法を標準のφ53.1mmからφ51.9mmに変更し、アキシャル荷重が負荷されない側の外輪の肩の内径寸法を標準のφ68.1mmからφ70.4mmに変更した場合でも、基本静定挌荷重Coを軸受に負荷した場合でも、肩乗り上げの発生はなかった。
なお、デフケース3が車両の後退走行方向に回転すると、デフケース3に負荷されるスラスト力は同図の右側の深みぞ玉軸受Aにおける内輪21のスラスト負荷側の肩23bと外輪11のスラスト負荷側の肩13aで支持される。この場合も、ボール31の球径dに対する外輪11の肩高さHの比率H/dを0.28以上とし、かつ、ボール31の球径dに対する内輪21の肩高さHの比率H/dを0.37以上としているため、ボール31の乗り上げを確実に阻止することができる。
ここで、深みぞ玉軸受Aの組込み方向に誤りがあると、スラスト荷重を受けることができずに高さの低い肩13b、23aにボール31が乗り上がるおそれが生じる。そこで、図1に示すように、外輪11や内輪21、第1波形分割保持器41、第2波形分割保持器42の少なくとも一つの幅面側にスラスト荷重の受け側を示す識別表示部50を設けると、誤った組込みを防止することができると共に、ギヤ支持装置の組立性の向上を図ることができる。識別表示部50は色表示でもよく、あるいは、刻印によるものであってもよい。
図7では、デフケース3の両端の筒部8a、8bのそれぞれを図1に示す深みぞ玉軸受Aで支持するようにしたが、図8に示すように、一方の筒部8aを図1に示す深みぞ玉軸受Aで支持し、他方の筒部8bを円筒ころ軸受Cで支持するようにしてもよい。
スラスト力の発生方向が常に一方向であるギヤ支持装置においては、図8に示すように、スラスト荷重受け側にこの発明に係る深みぞ玉軸受を配置し、ラジアル荷重受け側に円筒ころ軸受を配置するのがよい。
また、図9に示すように、車両の前進走行時、スラスト力を受ける一方の軸受にアンギュラ玉軸受Dを用い、他方の軸受に図1に示す深みぞ玉軸受Aを用いるようにしてもよい。
さらに、図10に示すように、車両の前進走行時、スラスト力を受ける一方の軸受に円すいころ軸受Eを用い、他方の軸受に図1に示す深みぞ玉軸受Aを用いるようにしてもよい。
車両の後退時にスラスト力(ギヤ荷重)の方向が反対となるギヤ支持装置であれば、図9に示すように、前進時のラジアル荷重受け側をこの発明に係る深みぞ玉軸受とし、スラスト荷重受け側をアンギュラ玉軸受とするか、または、図10に示すように、前進時のラジアル荷重受け側をこの発明に係る深みぞ玉軸受とし、スラスト荷重受け側を円すいころ軸受とするのがよい。
図7乃至図10に示すように、筒部8a、8bの少なくとも一方を図1に示す深みぞ玉軸受Aで支持することにより、筒部8a、8bの両方を円すいころ軸受で支持する場合に比較してトルク損失の低減を図ることができ、低燃費化に効果を挙げることができる。
なお、図7乃至図10では、デフケース3の両端の筒部8a、8bの少なくと一方を図1に示す深みぞ玉軸受Aで回転自在に支持したが、支持対象部品はデフケース3に限定されない。例えば、トランスミッションのインプットシャフトやカウンタシャフト、アウトプットシャフトであってもよい。
11 外輪
12 軌道溝
13a 肩
13b 肩
21 内輪
22 軌道溝
23a 肩
23b 肩
31 ボール
40 保持器
41 第1波形分割保持器
42 第2波形分割保持器
43 ポケット部
44 結合板部
45 ポケット部
46 結合板部
47 ポケット
48 ボール非接触部
50 識別表示部

Claims (13)

  1. 内径面に軌道溝が形成された外輪と、外径面に軌道溝が形成された内輪と、外輪の軌道溝と内輪の軌道溝間に組込まれたボールと、そのボールを保持するポケットが形成された保持器とからなり、前記外輪の軌道溝および内輪の軌道溝のそれぞれ両側に位置する合計4つの肩のうち、外輪軌道溝の一側の肩および内輪軌道溝の他側の肩の高さを、外輪軌道溝の他側の肩および内輪軌道溝の一側の肩の高さより高くした深みぞ玉軸受において、
    前記外輪の高さの高い肩の高さをH、内輪の高さの高い肩の高さをH、ボールの球径をdとしたとき、ボールの球径dに対する外輪の肩高さHの比率H/dを0.28〜0.50の範囲とし、かつ、ボールの球径dに対する内輪の肩高さHの比率H/dを0.37〜0.50の範囲とし、前記保持器を軸方向に2分割された分割保持器としたことを特徴とする深みぞ玉軸受。
  2. 前記外輪の高さの低い肩の高さをH、内輪の高さの低い肩の高さをH、ボールの球径をdとしたとき、ボールの球径dに対する外輪の肩高さHの比率H/dを0.08〜0.25の範囲とし、かつ、ボールの球径dに対する内輪の肩高さHの比率H/dを0.08〜0.25の範囲とした請求項1に記載の深みぞ玉軸受。
  3. 前記外輪の軌道溝の曲率半径をr、内輪の軌道溝の曲率半径をr、ボールの球径をdとしたとき、ボールの半径d/2に対する外輪軌道溝の曲率半径rの比率r/d/2を1.03〜1.08の範囲とし、かつ、ボールの半径d/2に対する内輪軌道溝の曲率半径rの比率r/d/2を1.015〜1.04の範囲とした請求項1又は2に記載の深みぞ玉軸受。
  4. 前記分割保持器のそれぞれが、複数の半球状ポケット部と、そのポケット部の幅寸法と同一の幅寸法とされた複数の結合板部とが周方向に交互に連続する波形とされ、その2枚の波形分割保持器の結合板部の外径を同径とし、一方の波形分割保持器のポケット部を結合板部に対して内径側に位置をずらし、他方の波形分割保持器のポケット部を結合板部に対して外径側に位置をずらし、前記一方の波形分割保持器を外輪の高さの高い肩側から軸受内部に挿入し、かつ、前記他方の波形分割保持器を外輪の高さの低い肩側から軸受内部に挿入して、半球状ポケット部間にポケットを設けた請求項1乃至3のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受。
  5. 前記分割保持器のそれぞれが、複数の結合板部と、その結合板部の幅寸法と同一または幅寸法内に納まる大きさの幅寸法とされた半球状ポケット部とが周方向に交互に連続する波形とされ、その2枚の波形分割保持器の結合板部の外径を相違させ、小径側の一方の波形分割保持器を外輪の高さの高い肩側から軸受内部に挿入し、他方の波形分割保持器を外輪の高さの低い肩側から軸受内部に挿入して、半球状ポケット部間にポケットを設けた請求項1乃至3のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受。
  6. 前記分割保持器のそれぞれが、複数の半球状ポケット部と、複数の結合板部とが周方向に交互に連続する2枚の同一形状で同一大きさの波形とされ、各波形分割保持器のポケット部の保持器周方向の両端部および結合板部の保持器径方向の幅寸法をポケット部の保持器周方向の中央部の保持器径方向の幅寸法より大きくし、前記2枚の波形分割保持器を外輪の両側方から軸受内部に挿入して、半球状ポケット部間にポケットを設けた請求項1乃至3のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受。
  7. 前記ポケットの内周面にボールと非接触のボール非接触部を設け、そのポケットにおけるボールとの接触面積を、ボール非接触部を設けていないときのボールとの接触面積よりも15%〜30%低減させた請求項1乃至6のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受。
  8. 前記ボール非接触部が、凹部または内周面から外周面に貫通するスリットからなる請求項7に記載の深みぞ玉軸受。
  9. 前記外輪、内輪および保持器における少なくとも一方の幅面側にスラスト荷重の受け側を示す識別表示部を設けた請求項1乃至6のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受。
  10. ヘリカルギヤが設けられたシャフトを、そのヘリカルギヤの一側方に配置された第1軸受と、ヘリカルギヤの他側方に配置された第2軸受で回転自在に支持し、前記ヘリカルギヤの一方向への回転時に前記シャフトに負荷されるスラスト力を前記第1軸受で支持するようにしたギヤ支持装置において、
    前記第1軸受および第2軸受が請求項1乃至9のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受からなり、その深みぞ玉軸受を、前記内輪の高さの高い肩が前記ヘリカルギヤに対向する組付けとしたことを特徴とするギヤ支持装置。
  11. ヘリカルギヤが設けられたシャフトを、そのヘリカルギヤの一側方に配置された第1軸受と、ヘリカルギヤの他側方に配置された第2軸受で回転自在に支持し、前記ヘリカルギヤの一方向への回転時に前記シャフトに負荷されるスラスト力を前記第1軸受で支持するようにしたギヤ支持装置において、
    前記第1軸受が、請求項1乃至9のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受からなり、前記第2軸受が円筒ころ軸受からなり、前記深みぞ玉軸受を、前記内輪の高さの高い肩が前記ヘリカルギヤに対向する組付けとしたことを特徴とするギヤ支持装置。
  12. ヘリカルギヤが設けられたシャフトを、そのヘリカルギヤの一側方に配置された第1軸受と、ヘリカルギヤの他側方に配置された第2軸受で回転自在に支持し、前記ヘリカルギヤの一方向への回転時に前記シャフトに負荷されるスラスト力を前記第1軸受で支持するようにしたギヤ支持装置において、
    前記第1軸受と第2軸受の一方が請求項1乃至9のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受からなり、他方がアンギュラ玉軸受からなり、前記深みぞ玉軸受を、前記内輪の高さの高い肩が前記ヘリカルギヤに対向する組付けとしたことを特徴とするギヤ支持装置。
  13. ヘリカルギヤが設けられたシャフトを、そのヘリカルギヤの一側方に配置された第1軸受と、ヘリカルギヤの他側方に配置された第2軸受で回転自在に支持し、前記ヘリカルギヤの一方向への回転時に前記シャフトに負荷されるスラスト力を前記第1軸受で支持するようにしたギヤ支持装置において、
    前記第1軸受が、アンギュラ玉軸受又は円すいころ軸受からなり、前記第2軸受が請求項1乃至9のいずれかの項に記載の深みぞ玉軸受からなり、前記深みぞ玉軸受を、前記内輪の高さの高い肩が前記ヘリカルギヤに対向する組付けとしたことを特徴とするギヤ支持装置。
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