JP2011006645A - パンクシーリング剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた初期シール性能、シール保持性能及び貯蔵安定性を発揮しつつ、低温での粘度を低下させ、低温での注入性を改善できるタイヤのパンクシーリング剤を提供する。
【解決手段】天然ゴムラテックスと、粘着付与剤と、プロピレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むタイヤのパンクシーリング剤に関する。
【選択図】なし
【解決手段】天然ゴムラテックスと、粘着付与剤と、プロピレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むタイヤのパンクシーリング剤に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤパンク時に、タイヤホイールの空気バルブからパンクシーリング剤と高圧空気とを順次タイヤ内に注入する方式のパンク処置システムにおいて、シール液の低温での粘度を改善したパンクシーリング剤に関する。
パンクしたタイヤを応急的に補修する処置システムとして、例えば、パンクシーリング剤を収容した耐圧容器とコンプレッサーなどの高圧空気源とを用い、空気バルブを経てタイヤ内にシーリング剤を注入した後、引き続いて連続的に高圧空気を注入し、走行可能な圧力までタイヤをポンプアップするもの(以下に一体型タイプという場合がある)が知られている(特開2001−198986号公報の図1参照)。
このようなパンクシーリング剤として、特許文献1〜3に記載されているような天然ゴムラテックスに、樹脂系粘着剤及びエチレングリコールを配合したものが提案されている。しかし、天然ゴムラテックスをベースとし、凍結防止剤としてエチレングリコールを添加したパンクシーリング剤は、長期間の保管でクリーム化する傾向があるため、パンクシーリング剤の貯蔵安定性(長期間保管性)の改良が望まれている。
そのため、特許文献4には、凍結防止剤にプロピレングリコールを使用し、安定性を改善したシーリング剤が提案されている。しかし、エチレングリコールに代えてプロピレングリコールを使用することによって、パンクシーリング剤の低温での粘度が上昇してしまうため、非常に低温な環境下でのシーリング剤の空気バルブからの注入が困難な場合がある。非常に低温な環境下では使用するために固形分であるゴム粒子や粘着付与樹脂の含有量を減じることで、シーリング剤の流動性を高めることは可能であるが、パンクシール性能が低下する傾向がある。
本発明は、前記課題を解決し、優れた初期シール性能、シール保持性能及び貯蔵安定性を発揮しつつ、低温での粘度を低下させ、低温での注入性を改善できるタイヤのパンクシーリング剤を提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴムラテックスと、粘着付与剤と、プロピレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むタイヤのパンクシーリング剤に関する。
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルは、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有するものであることが好ましい。
本発明によれば、天然ゴムラテックス、粘着付与剤、プロピレングリコールを含むタイヤのパンクシーリング剤に、更にポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のノニオン性界面活性剤が配合されているので、パンクシーリング剤の初期シール性能、シール保持性能及び貯蔵安定性を発揮しつつ、低温での粘度を低下させ、低温での注入性を改善できる。このため、一体型タイプのパンク処置システムにおいて、バルブコアからパンクシーリング剤、エアーを注入する場合に、低温下でもバルブコアでの詰まりを防止できる。
本発明のタイヤのパンクシーリング剤は、天然ゴムラテックスと、粘着付与剤と、プロピレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種とを含む。
本発明では、スムーズにシーリング剤をタイヤ内に注入できること、走行により速やかにパンク穴にシーリング剤が入り込み、タイヤの変形による機械的刺激を受けて固まってパンク穴を塞ぐこと(初期シール性能)、ある程度の走行距離までシール性が保持されること(シール保持性能)等の性能の観点から、天然ゴムラテックスを主成分とするシーリング剤が使用される。
特に、この天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した所謂脱蛋白天然ゴムラテックスは、より少ないアンモニアで腐敗が抑えられるため、アンモニアに起因するスチールコードへの腐食損傷及び刺激臭の発生を防止するという観点からも、より好ましく使用できる。脱蛋白天然ゴムラテックスは、例えば、特開平10−217344号公報に記載のように、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加して、蛋白質を分解させた後、洗浄することによって調製できる。
また、必要に応じて天然ゴムラテックスに、更にブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどの合成ゴムラテックス等をブレンドしてもよい。
なお、前記ゴムラテックスは、乳化剤である界面活性剤を少量含む水性媒体中に、ゴム固形分を微粒子状に乳化分散させたものであり、通常、ゴム固形分の占める割合を60質量%程度としたゴムラテックスが使用される。また、初期シール性能、シール保持性能の点から、パンクシーリング剤の全質量100質量%に対する天然ゴムラテックス(ゴム固形分)の配合量Aを15〜40質量%の範囲とすることが好ましい。配合量Aの下限は18質量%以上がより好ましく、上限は35質量%以下がより好ましい。
粘着付与剤は、天然ゴムラテックスとタイヤとの接着性を高め、パンクシール性能を向上させるために用いられるものであり、例えば、乳化剤を少量含む水性媒体中に、粘着付与樹脂を微粒子状に乳化分散させた粘着付与樹脂エマルジョン(水中油滴型エマルジョン)が使用される。粘着付与樹脂エマルジョン(粘着付与剤)の固形分である粘着付与樹脂としては、前記ゴムラテックスを凝固させないもの、例えば、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂が好ましく使用できる。他に好ましい樹脂としては、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジンも挙げられる。
粘着付与樹脂(粘着付与剤の固形分)の配合量Bは、パンクシーリング剤の全質量100質量%中、2〜20質量%が好ましい。配合量Bの下限は3質量%以上がより好ましく、上限は15質量%以下がより好ましい。
なお、前記ゴム固形分の配合量Aが15質量%未満、及び粘着付与樹脂の配合量Bが2質量%未満では、パンクシール性能及びシール保持性能が不十分となるおそれがある。逆に各配合量A、Bがそれぞれ40質量%、及び20質量%を超えると、保管中にゴム粒子が凝集しやすくなるなど保管性能を損ねるとともに、粘度が上昇しパンクシーリング剤の空気バルブからの注入を難しくさせるおそれがある。従って、前記配合量A、Bの和(A+B(固形分))をパンクシーリング剤の全質量100質量%に対して20〜50質量%の範囲にすることが好ましい。配合量A+B(固形分)の下限は25質量%以上がより好ましく、上限は45質量%以下がより好ましい。
前記ゴムラテックスの乳化剤、及び粘着付与樹脂エマルジョンの乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などの界面活性剤が好適に使用できる。この乳化剤の総配合量は、パンクシーリング剤の全質量100質量%に対して0.4〜2.0質量%程度である。
本発明では、凍結防止剤として、プロピレングリコールが使用される。シーリング剤に凍結防止剤を添加した場合、ゴム粒子の安定性が悪化し、凝集してしまうことがあるが、本発明では、プロピレングリコールを使用しているため、長期間保管した場合、ゴム粒子や粘着剤の粒子が表面付近で凝集してクリーム状物質に変質することを抑制でき、優れた保管性能(貯蔵安定性)が発揮される。また、良好な凍結防止効果も得られる。更に、使用量も最小限に抑えられ、凍結防止剤によるパンクシール性能等の諸特性への悪影響を防止することもできる。
パンクシーリング剤の全質量100質量%に対するプロピレングリコールの配合量Cは、20〜40質量%が好ましい。配合量Cが20質量%未満では、寒冷地、特に−25℃以下の低温においてパンクシーリング剤が凍結して使用できなくなり、逆に40質量%を超えると、ラテックス含有量が相対的に減少するためにシール性能が低下するおそれがある。配合量Cの下限は23質量%以上がより好ましく、上限は35質量%以下がより好ましい。
本発明では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のノニオン性界面活性剤が使用される。パンクシーリング剤に界面活性剤を添加した場合、粘度が上昇することが多いが、本発明では、天然ゴムラテックス、粘着付与剤、プロピレングリコールを配合したシーリング剤に、特定のノニオン性界面活性剤を添加しているため、低温での粘度を低下させることができ、低温でのシーリング剤の注入性を改善できる。このため、シーリング剤の使用温度範囲を低温側へ拡大でき、一体型タイプのパンク処置システムにおいて、低温でもバルブコアからシーリング剤、エアーを注入する場合に、バルブコアでの詰まりを防止できる。このような効果は上記特定のノニオン性界面活性剤を用いた場合に発揮され、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤を添加した場合は、シーリング剤の増粘がみられる。
また、特定のノニオン性界面活性剤を使用していることから、上記の低温特性とともに、優れた初期シール性能、シール保持性能、貯蔵安定性も得られる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルは、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有するものが好ましい。親水基としてエチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有するものは、プロピレングリコールとの相溶性を高めることができる。例えば、アルコールに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを付加したものが挙げられる。上記アルコールとしては、天然の高級アルコール(カルコール(花王社製)等)が好適に用いられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。該化合物の使用により、低温特性を高めるとともに、優れた初期シール性能、シール保持性能、貯蔵安定性も得られる。
R1−O−(AO)n−H (1)
(式(1)において、R1は炭素数4〜24のアルキル基又は炭素数4〜24のアルケニル基を表す。平均付加モル数nは1〜50を表す。AOは同一又は異なって炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。)
R1−O−(AO)n−H (1)
(式(1)において、R1は炭素数4〜24のアルキル基又は炭素数4〜24のアルケニル基を表す。平均付加モル数nは1〜50を表す。AOは同一又は異なって炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。)
R1の炭素数は、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上である。またR1の炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは17以下、更に好ましくは14以下である。
nは、好ましくは2以上、より好ましくは5以上である。またnは、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
AOは、好ましくは炭素数2〜3のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO))である。(AO)nが2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、オキシアルキレン基の配列はブロックでもランダムでもよい。R1、nが上記範囲である場合やAOがEO、POである場合、本発明の効果が良好に発揮される。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、下記式(2)で表される化合物が好適に使用される。
R2−O−(EO)x(PO)y−H (2)
(式(2)において、R2は炭素数4〜18のアルキル基又は炭素数8〜18のアルケニル基を表す。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。平均付加モル数xは1〜20、平均付加モル数yは0〜20である。)
R2−O−(EO)x(PO)y−H (2)
(式(2)において、R2は炭素数4〜18のアルキル基又は炭素数8〜18のアルケニル基を表す。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。平均付加モル数xは1〜20、平均付加モル数yは0〜20である。)
R2の炭素数の好ましい数値範囲は、上記R1と同様である。R2は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。xは、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは10以上である。またxは、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。yは、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上である。またyは、好ましくは10以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは2.0以下である。R2、x、yが上記範囲である場合、本発明の効果が良好に発揮される。
EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。EOとPOの配列がブロックである場合、EOのブロックの数、POのブロックの数は、各平均付加モル数が上記範囲内である限り、それぞれ1個でも2個以上でもよい。また、EOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEOの繰り返し数は、同一でも異なってもよい。POのブロックの数が2個以上である場合も、各ブロックにおけるPOの繰り返し数は、同一でも異なってもよい。EOとPOの配列がランダムである場合は、各平均付加モル数が上記範囲内である限り、EOとPOとが交互に配列されても無秩序に配置されてもよい。
具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルは、下記式(3)で表される化合物であってもよい。
R3−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (3)
(式(3)中、R3は炭素数8〜18の直鎖状のアルキル基又は直鎖状のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、pは1〜10、qは0.5〜5、rは1〜10である。)
R3−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (3)
(式(3)中、R3は炭素数8〜18の直鎖状のアルキル基又は直鎖状のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、pは1〜10、qは0.5〜5、rは1〜10である。)
式(3)において、R3は、炭素数10〜14の直鎖状のアルキル基又は直鎖状のアルケニル基が好ましく、炭素数10〜14の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数12〜14の直鎖状のアルキル基が更に好ましい。p、rは、2以上が好ましく、8以下が好ましい。qの好適な数値範囲は上記yの好適な数値範囲と同様であり、p+rの好適な数値範囲は上記xの好適な数値範囲と同様である。R3、p、q、rが上記範囲である場合、本発明の効果が良好に発揮される。
式(3)で表されるノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(4.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(5)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(7)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(4.5)ポリオキシエチレン(5)ミリスチルエーテル等が挙げられる。ここで、これらの化合物に関し、( )内の数値はエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルに関し、EOとPOとのモル比(式(2)で表される化合物の場合はx/y、式(3)で表される化合物の場合は(p+r)/q)は、好ましくは6.0/4.0以上、より好ましくは7.5/2.5以上、更に好ましくは8.5/1.5以上、特に好ましくは9.0/1.0以上である。また、該モル比は、好ましくは9.5/0.5以下、より好ましくは9.3/0.9以下、更に好ましくは9.2/0.8以下、特に好ましくは9.1/0.9以下である。この場合、本発明の効果が好適に得られる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの市販品としては、例えば、エマルゲンLS−114、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンMS−110(いずれも花王(株)製)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル等が挙げられ、なかでも、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルが好ましい。これにより、低温特性を高めるとともに、優れた初期シール性能、シール保持性能、貯蔵安定性も得られる。
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルの市販品としては、エマルゲンA−60、エマルゲンA−90、エマルゲンA−500、エマルゲンB−66(いずれも花王(株)社製)が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルのHLB値(グリフィン法で算出)は、好ましくは12以上、より好ましくは13以上である。また、該HLB値は、好ましくは18以下、より好ましくは15以下である。この場合、プロピレングリコールとの相溶性が高められ、本発明の効果が良好に発揮される。
パンクシーリング剤の全質量100質量%に対するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルの合計配合量Dは、1〜12質量%が好ましい。配合量Dが1質量%未満では、低温での粘度上昇防止効果が不十分となるおそれがある。逆に12質量%を超えると、シール性が不十分となり、また室温での粘度が上昇してしまうおそれもある。配合量Dの下限は2質量%以上がより好ましく、上限は10質量%以下がより好ましい。なお、パンクシーリング剤に、他の界面活性剤も配合する場合、低温特性の点から、これら特定のノニオン性界面活性剤の配合量は、全界面活性剤100質量%中、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
凍結温度の低温度化と低温での粘性の上昇抑制効果とをバランス良く確保し、使用温度範囲を低温側に拡げる点、またシーリング剤の安定性を確保する点から、前記配合量C、Dの和(C+D)を34〜65質量%にすることが好ましい。配合量C+Dの下限は36質量%以上がより好ましく、上限は62質量%以下がより好ましい。
本発明のパンクシーリング剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分を更に配合してもよい。
本発明のパンクシーリング剤は、一般的な方法で製造される。すなわち、前記各成分等を公知の方法により混合すること等により製造できる。
本発明のパンクシーリング剤は、一般的な方法で製造される。すなわち、前記各成分等を公知の方法により混合すること等により製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
製造例1
フィールドラテックス(固形分30質量%)に、細菌由来の蛋白分解酵素を加えて、40℃で24時間放置し、蛋白分解を行ったフィールドラテックスを得た。このフィールドラテックスを特許第3350593号に記載の方法に従い、回転平膜分離装置にて精製処理を行って、固形分が60質量%になるまで濃縮して脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。
フィールドラテックス(固形分30質量%)に、細菌由来の蛋白分解酵素を加えて、40℃で24時間放置し、蛋白分解を行ったフィールドラテックスを得た。このフィールドラテックスを特許第3350593号に記載の方法に従い、回転平膜分離装置にて精製処理を行って、固形分が60質量%になるまで濃縮して脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。
実施例1〜10及び比較例1〜6
市販の天然ゴムラテックス(マレーシア産のHA型天然ゴムラテックス:ゴム固形分60質量%)、又は調製した脱蛋白天然ゴムラテックスを用い、表1〜2の仕様に基づいて、パンクシーリング剤を作製した。
市販の天然ゴムラテックス(マレーシア産のHA型天然ゴムラテックス:ゴム固形分60質量%)、又は調製した脱蛋白天然ゴムラテックスを用い、表1〜2の仕様に基づいて、パンクシーリング剤を作製した。
なお、粘着付与剤、界面活性剤は、以下のものを使用した。
粘着付与剤:テルペン樹脂の乳化液(固形分:約50質量%)
エマルゲンLS−114:ノニオン性界面活性剤(式(2)又は(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、花王(株)製)
エマルゲンA−90:ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、花王(株)製)
ラテムルAD−25:アニオン性界面活性剤(ラウリル酸アンモニウム、固形分24%、花王(株)製)
コータミン24P:カチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、固形分27%、花王(株)製)
粘着付与剤:テルペン樹脂の乳化液(固形分:約50質量%)
エマルゲンLS−114:ノニオン性界面活性剤(式(2)又は(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、花王(株)製)
エマルゲンA−90:ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、花王(株)製)
ラテムルAD−25:アニオン性界面活性剤(ラウリル酸アンモニウム、固形分24%、花王(株)製)
コータミン24P:カチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、固形分27%、花王(株)製)
得られた各パンクシーリング剤について、パンクシール性能、シール保持性能、保管性能(貯蔵安定性)、低温粘度(−30℃)を下記方法にて評価し、結果を表1に示した。
(1)パンクシール性能:
タイヤサイズ185/65R14のタイヤに、直径4.0mmの釘で穴を開け、釘を抜いた後、500mlのパンクシーリング剤を注入し、かつエアーを200kPaまで昇圧した。その後、ドラム上で荷重(3.5kN)にて回転させ、パンク穴がシールされるまでの時間をエアー漏れの量で判断し、従来品を3とした5段階で指数評価した。値が大きいほど優れている。
タイヤサイズ185/65R14のタイヤに、直径4.0mmの釘で穴を開け、釘を抜いた後、500mlのパンクシーリング剤を注入し、かつエアーを200kPaまで昇圧した。その後、ドラム上で荷重(3.5kN)にて回転させ、パンク穴がシールされるまでの時間をエアー漏れの量で判断し、従来品を3とした5段階で指数評価した。値が大きいほど優れている。
(2)シール保持性能:
前記タイヤを用い、シールされてから100km走行するまでにパンク穴からエアー漏れがあったかどうかを測定したものであり、エアー漏れなし…○、エアー漏れあり…×、の2段階で評価した。
前記タイヤを用い、シールされてから100km走行するまでにパンク穴からエアー漏れがあったかどうかを測定したものであり、エアー漏れなし…○、エアー漏れあり…×、の2段階で評価した。
(3)保管性能(経時安定性):
作製したパンクシーリング剤を期間(10日間)、温度(70゜C)の条件下で放置した後の状態変化を、液状のまま…◎、ややクリーム状に変化…○、クリーム状に変化…△、固化する…×、の4段階で目視評価した。
作製したパンクシーリング剤を期間(10日間)、温度(70゜C)の条件下で放置した後の状態変化を、液状のまま…◎、ややクリーム状に変化…○、クリーム状に変化…△、固化する…×、の4段階で目視評価した。
(4)低温粘度(−30℃):
B型粘度計(ブルックフィールド粘度計)を用い、−30℃のパンクシーリング剤の粘度を測定した。
B型粘度計(ブルックフィールド粘度計)を用い、−30℃のパンクシーリング剤の粘度を測定した。
表1のとおり、特定のノニオン性界面活性剤を用いた実施例のシーリング剤は、パンクシール性能、シール保持性能、保管性能を確保しながら、低温粘度を大幅に低下できた。よって、低温での注入性が改善され、一体型を用いた場合にバルブコアでの詰まりを防止できる。更に、市販の天然ゴムラテックスに代えて脱蛋白天然ゴムラテックスを用いることによって低温粘度を更に低下できることも明らかとなった(表2)。
Claims (2)
- 天然ゴムラテックスと、粘着付与剤と、プロピレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種とを含むタイヤのパンクシーリング剤。
- ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルがエチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有する請求項1記載のタイヤのパンクシーリング剤。
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