JP2011005311A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 計測を目的とした診断プロトコルを実行する際に、解析の誤差要因をできるだけ軽減するような支援機能と、上記機能を利用した解析手法を具備した超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 被検体の内部を超音波で走査し、断面画像を取得する超音波診断装置であって、複数のサブ領域に区切られた超音波診断画像を表示する表示手段と、表示された前記超音波診断画像のいずれかのサブ領域を操作者が指定するための指定手段と、指定手段によって指示されたサブ領域に超音波の焦点が存在するように超音波を送受波する送受波手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【選択図】図1

Description

主に一過性の診断である造影エコー法において、計測を目的とした診断/解析プロトコルを効率的に実行する超音波診断装置に関する。
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査が行えるほか、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比ベて小さく、ベッドサイドヘ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便である。またX線などのように被曝の影響がないので、比較的安心して使用できる等の利点もある。
この超音波診断装置による撮影法に、静脈投与型の超音波造影剤を使用した造影エコー法(コントラストエコー法)がある。この撮影法は、例えば、心臓および腹部臓器などの検査で静脈から超音波造影剤を注入して血流信号を増強し、血流動態の評価を行うのが目的である。造影剤の多くは、微小気泡(マイクロバブル)が反射源となり、その注入量・濃度が高ければ造影効果は大きくなる。一方、気泡というデリケートな基材の性質上、超音波照射によって気泡は壊れ、造影効果時間の短縮などが起こることも解っている。
近年、この造影エコー法に関して、血流の動態評価を行うための定量解析手法も多数研究されている。最も基本的なものは、造影剤投与後に関心領域にてエコー信号が増強される過程を追跡し、その輝度の経時変化についてグラフ化などを行う、いわゆるTime Intensity Curve(TIC)の計測である。
一般に、定量解析においては、その手法がたとえ理論的に正当なものであっても、解析に適合する計測データを取得しなければ、解析の精度が低下することは容易に予想できる。解析精度を低下させる要因は、診断システム本体、当該システムを使用して患者をスキャンする医師もしくは検査技師(以下、超音波診断装置を使用する者を単に「操作者」と呼ぶ)、患者の生体機能等と多方面に存在する。
例えば、診断システム本体に存在する要因としては、システムの本質的S/N比が低く、解析に十分な信号を取得できない、システムの出力信号が、生体減衰などの影響を受け診断断層面内で不均一となり、各部で解析値が異なってしまう場合などが考えられる。
操作者に存在する要因としては、同じ断面の画像情報を継続的に記録する必要がある場合でも、意図せずに断面が徐々にずれてしまう場合等が考えられる。
生体機能に存在する要因としては、呼吸もしくは心拍の揺らぎに基づく解析精度の低下が考えられる。例えば、その解析仮定が定常流れであった場合は、拍動による血流速度の変化は望ましくない事象となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、主に計測を目的とした診断プロトコルを実行する際に、解析の誤差要因をできるだけ軽減するような支援機能、或いは上記機能を利用した解析手法を具備した超音波診断装置を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
請求項1に記載の発明は、被検体の内部を超音波で走査し、断面画像を取得する超音波診断装置であって、複数のサブ領域に区切られた超音波診断画像を表示する表示手段と、表示された前記超音波診断画像のいずれかのサブ領域を操作者が指定するための指定手段と、前記指定手段によって指示されたサブ領域に超音波の焦点が存在するように超音波を送受波する送受波手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
以上本発明によれば、主に計測を目的とした診断プロトコルを実行する際に、解析の誤差要因をできるだけ軽減するような支援機能、或いは上記機能を利用した解析手法を具備した超音波診断装置を実現することができる。
図1は、第1及び第2の実施形態に係る超音波診断装置10の概略構成を示したブロック図である。 図2は、超音波診断画像の模式図であり、臓器境界51、臓器中の特徴的な部位52、主要血管53を示している。 図3は、断面保持支援画像を模式的に示している。 図4は、心臓の一心拍の超音波画像を上段に、同一心時相の断面保持支援画像を下段に対応させて示した図である。 図5は、電子走査による端部ヘの送信音圧の分布状況を説明するための図である。 図6は、セクタ(扇形)スキャンにおける走査線間隔を説明するための図である。 図7は、通常の超音波画像に関する超音波送信駆動音圧値の分布パターンを示している。 図8は、表示部28の画面に設けられた位置検出デバイスによって、操作者が関心領域を指示する様子を示した図である。 図9は、従来の超音波診断装置によって計測された輝度ヒストグラムの経時変化(TIC)を示している。 図10は、第3の実施形態に係る超音波診断装置70の概略構成を示したブロック図である。 図11は、経時的に1次元配列として記録された画像データを、心電図情報から心拍毎に二次元配列情報ヘ再配置した図を示している。 図12は、本発明に係る超音波診断装置によって計測された輝度ヒストグラムの経時変化(TIC)を示している。
以下、本発明の第1の実施形態〜第3の実施形態について、図面に従って説明する。なお、本発明に係る超音波診断装置は、計測を目的とした診断プロトコルを実行する場合、例えば造影剤を使用した定量解析(TIC)、血管や心臓における血流速度・血流量の測定等、或いは、ストレスエコーにおける診断プロトコルを実行する場合等に利用可能な支援機能等を有するものである。以下の説明では、説明の便宜上造影剤を使用した定量解析(TIC)に関する診断プロトコルを実行する場合を例として説明を行う。また、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10の概略構成を示したブロック図である。まず、同図を基に超音波診断装置10の構成と信号の流れを説明する。
超音波診断装置10は、被験者との間で超音波信号の送受信を担う超音波プローブ12と、この超音波プローブを駆動しかつ超音波プローブの受信信号を処理する装置本体11と、この装置本体に接続されかつオペレータからの指示情報を装置本体に入力可能な入力部13と、心電波形を計測するECG14とを具備する。入力部13には、診断装置の制御や様々な画質条件設定を行うことが可能な、ボタン、キーボード、トラックボールなどが含まれる。
装置本体11は、超音波送信ユニット21、超音波受診ユニット22、Bモード処理回路23、ドプラ処理回路24、画像処理回路25、イメージメモリ回路26、表示部28、心拍検出ユニット29、記憶媒体30、コントローラ31、ネットワーク回路32、グラフィック回路33を具備する。
超音波送信ユニット21は、図示しないが、トリガ発生器、遅延回路およびパルサ回路からなり、パルス状の超音波を生成してプローブ12の振動素子に送ることで収束超音波パルスを生成する。被検体内の組織で散乱したエコー信号は再びプローブ12で受信される。
プローブ12から素子毎に出力されるエコー信号は、超音波受信ユニット22に取り込まれる。ここでエコー信号は、図示しないが、チャンネル毎にプリアンプで増幅され、A/D変換後に受信遅延回路により受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えられ、加算器で加算される。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。この送信指向性と受信指向性とにより送受信の総合的な超音波ビームが形成される。
超音波受信ユニット22からの出力は、Bモード処理回路23に送られる。ここでエコー信号対数増幅、包絡線検波処理などが施され、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータとなる。ドプラ処理回路24は、エコー信号から速度情報を周波数解析し、解析結果を画像処理回路25に送る。
画像処理回路25では、超音波スキャンの走査線信号列から、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換される、また種々の設定パラメータの文字情報や目盛、または後述する本発明のグラフィック画像などと共に合成され、ビデオ信号として表示部28に出力する。かくして被検体組織形状を表す断層像が表示される。また表示部28は、種々の解析プログラムを実行する際のコンソールウィンドウとしても機能する。
また、画像処理回路25は、入力した画像信号に基づいて、関心領域における輝度の経時変化についてグラフ化を実行する。このグラフは、TIC(Time Intensity Curve)と呼称され、関心領域におけるエコー信号が増強される過程を定量的に把握するために使用される。
イメージメモリ回路26は、画像データを格納する記憶メモリから成る。この情報は、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、複数枚を使っての動画再生が可能となる。
記憶媒体30は、イメージメモリ回路中の画像データを定常的に保存する他、解析プログラムに使用する種々のソフトウェアプログラムなどが保管されている。例えば、第2の実施形態で述べる、超音波画像において指示した特定領域にフォーカス点を移動させる場合の超音波送受信に関する制御プログラムは、当該記憶媒体30に保管されている。また、記憶媒体30のデータは、ネットワーク回路31を経由して外部周辺装置ヘ有線もしくは無線の転送手段で転送することも可能となっている。
グラフィック回路33は、本発明の特徴的な部分であり、画像処理回路25で生成された診断画像に再度画像処理を加え、新しい画像を生成する、もしくは、診断支援用の画像を生成し、画像処理回路25ヘ転送する。この時、画像処理回路25はグラフィック処理回路33で生成された画像と現在の診断動画像を後述の種々の画像処理手段によって重畳表示して、表示部28ヘ表示する。
ECG14で得られた心電図などの生体信号情報は、心拍検出ユニット29でデジタル信号に変換され、画像処理回路25で診断画像に合成され、表示部に表示されるかあるいはイメージメモリに記録される。
コントローラ32は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、入力部13からの指示を基に必要な回路の動作を制御する制御手段である。
表示部28は、CRT等からなる表示手段である。
続いて、造影剤を使用した定量解析(TIC)に関する診断プロトコルを実行する場合の超音波診断装置10の動作について、図2を参照しながら説明する。
図2は、超音波診断画像の模式図であり、臓器境界51(例えば、肝臓の輪郭心筋の内膜等)、臓器中の特徴的な部位52(例えば、肝臓の観察においては胆嚢、心臓では弁など)、主要血管53(例えば、肝臓、腎臓中の主要血管、頸動脈など)を示している。
一般に、超音波画像では、臓器境界51は組織よりも高輝度に、主要血管53は、組織よりも低輝度な画像として認識される。
前述のように、定量解析などに使用するデータを取得する際に、同一断面を観察し続ける必要が生じる。この様な場合には、通常、操作者が表示された臓器境界51、臓器中の特徴的な部位52、主要血管53のような特徴を目印に、プローブを保持することで、観察のための同一断面を維持している。
本超音波診断装置10は、この様に操作者が同一のプローブ断面を保持する必要が生じた場合における支援機能を有する。すなわち、同一のプローブ断面を保持する必要が生じた場合、まず、操作者によって入力部13よりその旨がボタン操作などによりコントローラ21ヘ指示される。当該指令を受けて、画像処理回路25は、その時点で生成されている画像データを、グラフィック回路33に転送する。グラフィック回路33は、その画像データを基に、「断面保持支援画像」を作成し、画像処理回路25に転送する。画像処理回路25は、上記断面保持支援画像と引き続き送られてくる診断画像を合成し、重畳表示させて表示部28に表示する。
ここで、断面保持支援画像について説明する。この画像は、例えば一例として、単に断面保持の基準とする超音波画像に透明度を持たせ、診断動画像と重畳させて表示されるものである。こうすることで、半透明の断面保持支援画像を通して動画像が観察可能となる。仮に、動画像の断面が変化した場合には、2つの画像がずれた状態で投影され、不自然な画像が得られるため、操作者がこれを察知できる。
また、上記例以外に、臓器等の輪郭を抽出した断面保持支援画像を採用することもできる。或いは、次に述べる手法によれば、比較的簡単な処理によって、動画像との主従関係などが容易に把握することができる断面保持支援画像を作成することができる。
すなわち、グラフィック回路33では、例えば次のような(1)乃至(3)のいずれかの手法により、診断動画像の観察に支障がない状態で重畳表示可能な断面保持支援画像を生成する
(1)取得した画像に対して、輝度レベルに対してしきい値処理を施し、あるしきい値以上のピクセルのみを抽出し、それ以外は削除する。しきい値処理によって抽出された部分の画像は、そのまま使用されても良いが、さらに2値化処理を施され、あるいは赤、青といったカラーコードに変換されても良い。この手法によれば、図2の例では主に臓器境界51が抽出される。
(2)取得した画像に対して、輝度レベルに対してしきい値処理を施し、あるしきい値以下のピクセル(黒い部分)のみを抽出し、それ以外は削除する。同様に、抽出された部分は、輝度反転処理が施され、いったん輝度情報を持たせてから、カラーコードに変換される。この手法によれば、図2の例では臓器中の特徴的な部位52、主に主要血管53が抽出される。
(3)輝度レベルに対して第1のしきい値より高いピクセルと、第2のしきい値よりも低いピクセルを抽出し、それらに同一の輝度情報あるいは色情報を持たせて(つまり1色のペン画のような絵)表示する。この手法によれば、図2の例では主に臓器境界51、臓器中の特徴的な部位52、主要血管53の全てが抽出される。
また、上記(1)〜(3)の各手法による画像抽出後、さらに所定の処理を施すことで特定の部分のみ画像として抽出する構成であってもよい。この理由は、単に輝度レベルでしきい値処理を行うと、臓器内の一般的なスペックルパタン(格子縞)の明るい部分あるいは暗い部分も抽出されてしまう可能性があるからである。例えば(1)の手法において、臓器境界51に加えて臓器内の部分等が点状に散在して画像化された場合、ある一定面積を有した部分のみに絞り込む等の処理を施すことで、断層面保持のための基準としては役に立たない情報を削除することができる。その結果、明らかに特徴的な構造のみを抽出することが可能である。
図3は、上記(3)の手法によって得られた画像であり、断面保持の基準とする超音波画像の特徴的な部分に対して、ペンなどでマーキングしたような画像を模式的に示している。この様な断面保持支援画像を動画像に重畳することで、操作者は観察中の診断像がその印と一致するように注意してプローブを保持することが可能となる。
なお、本実施形態で説明した画像処理および重畳法は、複数の画像に対しても実行可能であり、例えば、心臓は周期的な動きであることを予測することができる。
図4は、心臓の一心拍の超音波画像を上段に、同一心時相の断面保持支援画像を下段に上下対応させて示した図である。
今の場合、心拍1周期分の複数画像が記録され、画像処理回路25にて前記同様の画像処理が行われ、既述の様に図4に示した下段の断面保持支援画像が、対応する上段の超音波画像に重畳して表示される。
この様な構成によれば、例えば心臓の内膜あるいは外膜を特徴パタンとする場合、内膜あるいは外膜に相当する線画が膨張・収縮するように観察することができる。なお、この画像には心拍検出ユニット29に基づく心拍時相の情報が付加されており、現在の診断動画像の心拍時相に同期するようにして、重畳表示される。
この様な診断・解析プロトコルに必要なデータを確実に取得するための支援機能によれば、検査中の画像上の特徴的な部分に対して、あたかもペン等でマーキングしたような画像を得ることができる。この画像を断層保持支援画像として使用することで、操作者は、観察中の診断画像を当該断層保持支援画像の特徴的な部分と一致するようにプローブを操作すれば、同一断層面を保持した検査を容易に実行することができる。その結果、定量解析の精度を向上させることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、図1に示した超音波診断装置10と同一である。
第2の実施形態は、造影剤を使用した定量解析において、超音波画像の所望する局所的領域に関して最適解析条件を設定することで、診断作業を支援する例である。
一般に、診断画像に対して解析を行うためには、全ての領域で最前の条件にて信号を取得する事が望ましい。しかし、現実には、例えば以下の(1)〜(4)で示すいくつかのパラメータは、物理的な影響を受けて局所で異なることが知られる。
(1)送信音圧は、フォーカス点付近で最大で、フォーカス点から離れるに従い低くなる。
(2)フォーカス点を過ぎると、生体減衰の影響により深部に行くに従って送信音場が低くなる。
(3)図5に示すように、電子走査では、端部ヘの送信音圧は、偏向角が大きくなるため、中央部ヘの送信音圧に比ベて低くなる。
(4)図6に示すように、特にセクタ(扇形)スキャンでは、隣接する走査線の間隔が、深部になるに従って広くなる。
これらの現象は、例えば特願平2000−150396に記載の比較的均一な音場を生成する手法を用いることで、問題を比較的軽減できることが明らかとなった。しかしながら、厳密に均一な音場の生成は本質的に不可能である上に、音場の音圧を均一にしようとすると、送信パワーは平均化されるため、強焦点で得られていた高画質が得られなくなる。
本実施形態に係る超音波診断装置10では、さらに取得画像の自由度を広げることを目的として、従来とは異なる以下のような超音波送受信条件が指示された領域に設定される。
(1)送信フォーカス点が、指示された領域に設定される。
(2)超音波送信駆動音圧値が、指示されたどの領域でもおおよそ一定となるように、再設定される。具体的には、図7に示すように事前の音場パターンに基づき補正値が予め用意されている。
(3)走査線の間隔が、指示された領域でもおおよそ一定となるように、再設定される。具体的には、隣接走査線の角度をθとすると、深さxにおける走査線間隔wは、
w=x*sinθ
であるから、このwが一定になるように各深さxでθを調節すればよい。
上記(1)〜(3)の条件は、「最適解析条件」と称される。
なお、上記最適解析条件を設定する領域は、操作者によって入力部13から指示される。操作者の具体的な動作としては、入力部13(診断画像上の一部を指し示すことが可能なポインティングデバイス。例えばマウス、トラックボールなど)を操作することで、表示部28に表示されたカーソルが移動し、ボタンを押すことで超音波画像における所望の領域を決定する。
また、図8に示すように、表示部28の画面に設けられた位置検出デバイスなどを用いて、操作者が直接画画上の一部分を指し示すことにより、その座標が検知される構成であってもよい。
また、入力部13に設けられたマイクロホンと、コントローラ32に具備される音声認識プログラムによって、操作者の音声が認識され、画像の一領域が検知される構成であってもよい。例としては、操作者が「上部、中央、端部、下部、深部、右、左」等の単語を発することで、図7に示した9個の分割領域のうち、アクティブとなる箇所が移動する構成等が考えられる。
こうして操作者によって指示された位置情報がコントローラ32に送られると、コントローラ32はその座標に対して、「最適解析条件」となるような、送受信条件パラメータを記憶媒体30から呼び出し、装置本体内の各回路ヘ設定変更を指示する。
また、グラフィック回路33は、操作者が指示した画面上の点、あるいは領域について、操作者に知らせるためのマーカーを生成し、画像に表示する。あるいはこのマーカーは、「最適解析条件」として許容される領域を示す方が、診断解析の目的としては有用である。
ところで、上記手法を実行すると、最適解析条件が設定された領域では良好な画像取得が可能であるが、それ以外の領域では、従来よりも画質が低下する場合も起こりうる。しかしながら、本手法は、むしろ他の部分を犠牲にしても指示された領域の最適化を行う手法を実現し、取得画像の自由度を広げることを目的としている。そのため、当該手法を実行している場合には、現行の撮影が「最適解析条件」に変更されていることを操作者に通知する手段を具備することが好ましい。具体的には、上述のマーカによる最適領域の明示が該当するし、マーカ領域内とマーカ領域外とを区別して表示する構成、或いは文字やアイコンを画面上に示すことで、本モードを実行中であることを通知する構成が考えられる。
この様な診断・解析プロトコルに必要なデータを確実に取得するための支援機能によれば、操作者によって指示された局所的な関心領域について、定量解析に最適な送受信条件が設定される。従って、操作者は、検査中に関心領域に対して定量解析可能な条件を容易に作り出すことができる。また、上記操作を別な領域に対しても即時的に行えるため、一過性の造影エコーにおいても、定量解析に適した画像を様々な領域、すなわち全域で取得可能となる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、記録画像の時間変化を解析する場合に、所定の形態にて超音波画像を表示することで、診断・計測作業を支援する例である。
一般に、記録画像の時間変化を解析することで診断を行う試みがいくつか存在する。その代表的なものが、造影剤を投与する造影エコーである。特に造影剤を投与した直後の約1分間は、早期相と呼ばれ、診断面の各所に流入する造影剤の速度あるいは輝度、およびその流入パタンから、腫瘍の良性・悪性の判定、虚血部位の診断などが可能となる。さらに、これらを数値として定量することで、より詳細な病変進行度の情報が得られると期待されている。
第1の実施形態で述べた通り、定量解析を行う際には同一断面を保持して観測する必要がある。通常では、早期相のうちの最も重要な時間は、造影剤流入直後の10〜20秒程度の場合が多い。このような場合には、操作者は被験者に呼吸止めを指示することで、呼吸の影響による断面のずれを軽減している。
しかしながら、上述の場合であっても、約1秒ごとに繰り返される心拍の影響を受けることは必須である。同じ場所の輝度ヒストグラムの経時変化(TIC)を計測すると、図9の様に周期的に極値を持つ場合が多い。これは、心拍によって臓器そのものが動いてしまうことと、血液の駆出が心臓の収縮・拡張に同期していることの両方が影響するからである。
また、定量解析の計測値のばらつきを軽減するために、解析処理の観点から、計測値間の平均処理などを施して平滑曲線を求めることも多い。しかしこの場合でも、元の画像自体に揺らぎが多いと明らかに誤差を増大させる要因となってしまう。
そこで、本実施形態によれば、定量解析を行う場合、一心拍ごとの複数の画像群を同心拍時相に配列して表示する。また、定量解析を一定の心拍時相に同期して行うものである。
以下、図10を参照しながら第3の実施形態に係る超音波診断装置の動作について説明する。
解析ユニット42は、コントローラ32によって制御されるソフトウェアプログラムと記憶媒体から成る。解析ユニット42には、心拍検出ユニット29からの心電図信号と、イメージメモリ回路26の画像情報あるいは少なくとも画像に対応したアドレス情報が送られる。
解析ユニット42は、図11に示すように、経時的に1次元配列として記録された画像データを、心電図情報から心拍毎に二次元配列情報ヘ再配置する。この結果、二次元配列の第1の方向(図11では横方向)は心拍1周期の時間変化を表し、第2の方向(図11では縦方向)は、同一心拍時相での時間変化を表すこととなる。
なお、解析ユニット42には、種々の解析プログラムが組み込まれているが、その中で診断画像の時間変化を解析するプログラムを実行する場合、操作者は前記二次元的に配列された画像情報から、第1、第2の任意の方向について画像群を選択することができる。例えば、図12に示すように、第2の方向の画像列を選択し、当該列の超音波画像に基づいた輝度ヒストグラムの経時変化(TIC)を取得することができる。
なお、図12の輝度ヒストグラムの経時変化(TIC)は、図9に見られた周期的な極値がない。これは、本実施形態に係る支援機能により、同一心時相の画像から得られたTICだからである。
また、解析する時相に関しては、操作者が任意に設定できるほか、全ての時相にて複数の輝度変化曲線を計算可能となっている。さらに、前記複数の曲線に対して、平均曲線を求める、任意の曲線間の加算、減算などの演算処理行う演算プログラムと、そのインターフェースも具備している。
この様な診断・解析プロトコルに必要なデータを確実に取得するための支援機能によれば、定量解析時に同一時相の画像が抽出され、計測対象の臓器も同じ時相にて計測することができる。その結果、より安定した計測結果を得ることができる。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
10…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力部、14…ECG(心電図装置)、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理回路、24…ドプラ処理回路、25…画像処理回路、26…イメージメモリ回路、28…表示部、29…心拍検出ユニット、30…記憶媒体、31…ネットワーク回路、32…コントローラ、33…グラフィック回路、42…解析ユニット、51…臓器境界、52…臓器中の特徴的な部位、53…主要血管

Claims (5)

  1. 被検体の内部を超音波で走査し、断面画像を取得する超音波診断装置であって、
    複数のサブ領域に区切られた超音波診断画像を表示する表示手段と、
    表示された前記超音波診断画像のいずれかのサブ領域を操作者が指定するための指定手段と、
    前記指定手段によって指示されたサブ領域に超音波の焦点が存在するように超音波を送受波する送受波手段と、
    を具備することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記指定手段は、前記表示手段に表示された前記超音波診断画像のいずれかのサブ領域を指定するためのポインティングデバイス又は音声入力手段を有することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記指定手段は、前記表示手段に表示された前記超音波診断画像への接触に基づいてサブ領域を指定することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 前記表示手段は、指定されたサブ領域が前記複数のサブ領域のいずれであるかを判断可能な情報を表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記サブ領域の指定は任意のタイミングで可能であることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
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