JP2011004488A - 電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状油路60は、冷却油71が導入される導入口57と、導入口57よりも重力方向において高い位置に配置され、環状油路60内を流通した冷却油71が排出される排出口58,65とを備え、供給機構70は、シャフト12の回転力により駆動し、冷却油71を循環させるオイルポンプ72と、オイルポンプ72よりも下流側に配置され、ベアリング26,27へ冷却油71を供給するための第1油路81と、導入口48に接続され、環状油路60内に冷却油71を供給するための第2油路82とを備え、第2油路82には、逆流防止弁83が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このような構成としては、例えば特許文献1に示されるように、オイルポンプを用いてハウジング下部に溜まった冷却油を噴射ノズルまで汲み上げ、噴射ノズルからコイルに向けて冷却油を噴射するものがある。この時、噴射される冷却油の一部は上方(重力方向上方)に飛散し、毛細管現象により、ハウジング内壁面とステータ外周面との間の隙間に侵入することで、ステータを冷却するとされている。
その結果、モータが過熱され、モータ特性の低下に繋がる虞がある。
特に、第2油路には逆流防止弁が設けられているので、ヒルホールド状態等においてシャフトの回転停止に伴ってオイルポンプが停止した場合に、環状油路から第2油路に向かって逆流しようとする油を塞き止めることができる。よって、ヒルホールド状態等であっても、排出口と逆流防止弁との間に介在する油は、環状油路内に介在し続けることになるので、環状油路内の油面を低下させることがない。これにより、ヒルホールド状態等においても、油とステータとの熱交換がステータのほぼ全周に亘って均一に行われる。その結果、電動機の伝熱性能を維持することができるので、電動機の過熱を防止して、モータ性能の低下を防止することができる。
本発明によれば、オイルポンプから送出される油は、環状油路の軸方向端部等から漏れ出ることなく、環状油路内の全域に行き渡りながら周方向に沿って流通し、環状油路の上部まで到達する。これにより、油が環状油路内の全域を均一に流通することになるので、油とステータとの熱交換をステータのほぼ全周に亘って均一に行わせることができる。
特に、ヒルホールド状態において、環状油路内に介在する油は、排出口からほとんど漏れ出ることがないので、環状油路内の油面を低下させず、環状油路内の略全周に亘って油を介在させておくことができる。その結果、ステータの略全周に亘って均一な伝熱性能を確保することができる。
本発明によれば、排出口から排出された油が下方に流れ落ちる際に、油と渡り部との間で直接、熱交換が行われるので、電動機の伝熱効率を向上させ、電動機の過熱を防止することができる。
コイルに電流が流れるとステータに磁界が形成され、ステータとロータとの間に生じる磁気的な吸引力や反発力が繰り返し発生することで、ステータの形状が繰り返し変形する(いわゆる、磁歪振動が発生する)。この磁歪振動がハウジングに伝達されることでNV性能が悪化するという問題がある。特に、燃料電池車両等の電気自動車の駆動源として搭載される比較的大きなモータユニットにおいては、ステータの磁歪振動によるノイズが無視できない程大きくなる。
そこで、本発明の構成によれば、ステータホルダを介してステータをハウジングに固定することで、ステータホルダとハウジングとの間に中間領域が形成される。そして、ステータがハウジングとの間に中間領域を挟んで配置されているので、ステータの磁歪振動がハウジングに直接伝達されることがなく、ステータホルダとハウジングとの接触部分を経由して伝達されることになる。すなわち、ステータの外周面が直接、ハウジングの内壁面に密着配置されている構成に比べて、ステータの磁歪振動がハウジングまで伝達され難くなるので、磁歪振動がハウジングに伝達されることにより発生するノイズを低減することが可能になる。したがって、NV性能の悪化を抑制することができる。
また、中間領域を環状油路として利用することで、ハウジングとステータとの間に別体の環状油路を形成する必要がない。さらに、ステータホルダのフランジ部に導入口及び排出口を形成することで、オイルポンプから送出される油を直接環状油路内に供給することができる。その結果、製造効率の向上及び構成の簡素化を図ることができる。
特に、第2油路には逆流防止弁が設けられているので、ヒルホールド状態等においてシャフトの回転停止に伴ってオイルポンプが停止した場合に、環状油路から第2油路に向かって逆流しようとする油を塞き止めることができる。よって、ヒルホールド状態等であっても、排出口と逆流防止弁との間に介在する油は、環状油路内に介在し続けることになるので、環状油路内の油面を低下させることがない。これにより、ヒルホールド状態等においても、油とステータとの熱交換がステータのほぼ全周に亘って均一に行われる。その結果、電動機の伝熱性能を維持することができるので、電動機の過熱を防止して、モータ性能の低下を防止することができる。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では本発明の電動機を燃料電池車両に搭載される車両用駆動モータユニットとして採用した場合について説明する。
図1は車両用駆動モータユニットの概略構成図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。なお、以下の説明では、図1の紙面上下方向をモータの軸方向、紙面左右方向を重力方向として説明する。
図1,2に示すように、車両用駆動モータユニット(以下、モータユニットという。)10は、ステータ21及びロータ22を備えたモータ23と、モータ23を収納するモータハウジング11と、モータハウジング11の軸方向一端側(図1中下側)に配置され、モータ23のシャフト24からの動力を伝達する動力伝達部(不図示)を収容するギヤハウジング12と、ギヤハウジング12及びモータハウジング11を共用する共用ハウジング13と、モータハウジング11の軸方向他端側(図1中上側)に配置され、モータハウジング11の他方側の開口部を閉塞するエンドハウジング14とを備えている。
そして、モータハウジング11の内部は、モータボックス36として、ギヤハウジング12の内部はギヤボックス37としてそれぞれ構成され、共用ハウジング13の仕切壁38によりモータボックス36とギヤボックス37とが仕切られている。
共用ハウジング13の仕切壁38には、仕切壁38の厚さ方向(軸方向)に貫通する貫通孔40が形成されている。この貫通孔40内には、モータ23のシャフト24の軸方向一端側(図1中下側)を回転自在に支持するベアリング26が挿入されている。シャフト24の軸方向一端には、ギヤボックス37内で図示しない動力伝達部と噛合するギヤ28が固定されている。一方、エンドハウジング14内には、モータ23のシャフト24の軸方向他端を回転自在に支持するベアリング27が設けられている。
ティース部48は、周方向に等間隔に複数形成されており、隣り合うティース部48間に形成されたスロット(不図示)にはコイル20が巻き回されている。本実施形態では、コイル20は分布巻きで巻き回されている。したがって、コイル20には、ステータ21の軸方向両端面から外側に突出した渡り部19が形成されている。
図1,3に示すように、ステータホルダ50は、プレス成型やダイキャスト法等により形成されたアルミ等からなる部材であり、モータハウジング11の内壁面に沿って形成された円筒部54を備えている。ステータホルダ50は、上述したステータ21を保持した状態でモータハウジング11に固定されるものであり、円筒部54の内周面とステータ21の外周面とが同軸上で密着配置されることにより、円筒部54内にステータ21が固定されている。
一方、外フランジ部55の重力方向における最上部には、環状油路60から冷却油71を排出するための排出口58が形成されている。この排出口58は、外フランジ部55が外周縁から切欠き形成されたものであり、排出口58を介して環状油路60とモータボックス36内とが連通している。
油路73は、オイルポンプ72に接続されており、油溜69内に貯留された冷却油71をオイルポンプ72まで汲み上げる吸引油路75と、オイルポンプ72まで汲み上げられた冷却油71をベアリング26,27やモータ23に供給するための供給油路76とを備えている。
供給油路76は、共通油路80と、共通油路80の先端(下流端)から分岐した第1油路81及び第2油路82とを備えている。共通油路80は、吸引油路75と同様にオイルポンプ72から下方に向かって延びており、その下流側が油溜69の冷却油71に浸漬されている。そして、供給油路76内では、オイルポンプ72から共通油路80の先端に向かって冷却油71が流通する(図1中矢印C)。
第2油路82は、共通油路80の下流端から、さらに下方に向かって分岐し、仕切壁38に形成された連通孔29を通ってステータホルダ50の下部に形成された導入口57に接続されている。すなわち、第2油路82は、ステータホルダ50とモータハウジング11との間に形成された環状油路60内に冷却油71を供給するようになっている(図1中矢印C2)。
次に、本実施形態の作用について説明する。なお、以下の説明では主として冷却油の循環経路について説明する。
図1に示すように、ステータ21に巻装されたコイル20に電流が供給されることにより、ステータ21に磁束が発生して、この磁束とロータ22に設けられた永久磁石30との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によってシャフト24が回転駆動する。すると、この回転力がシャフト24のギヤ28を介して動力伝達部や、オイルポンプ72のギヤ74に伝達されることで、車両が走行するとともに、シャフト24の回転に連動してオイルポンプ72が作動する。
しかも、環状油路60は、上部に形成された排出口58,65のみでモータユニット10内と連通しているので、冷却油71は環状油路60の軸方向端部等から漏れ出ることなく、環状油路60内の軸方向及び径方向における全域に行き渡りながら周方向に沿って流通し、環状油路60の上部まで到達する。これにより、冷却油71が環状油路60内の全域を均一に流通することになるので、ステータ21の外面形状に関わらず、冷却油71とステータ21との熱交換がステータ21の全周に亘って均一に行われる。その結果、モータ23を冷却して、モータ性能の低下を防止することができる。
一方、モータユニット10自体はトルクを発生させながら坂路での停止状態を維持しているために、コイル20には電流が供給され続ける。その結果、環状油路60内の油面が低下し、モータ23の伝熱性能が低下する虞がある。
オイルポンプ72に代えて、モータ23の回転と独立して作動する電動ポンプを用いることも考えられるが、この場合にはモータユニット10の大型化や製造コストの増加に繋がるため、好ましくない。
本実施形態では、図4,5に示すように、オイルポンプ72が停止すると、第1油路81、共通油路80及び吸引油路75内に流通する冷却油71が逆流して、吸引油路75から油溜69内に排出される。
これに対して、第2油路82には逆流防止弁83が設けられているので、ヒルホールド状態等において、シャフト24の回転停止に伴ってオイルポンプ72が停止した場合に、環状油路60から第2油路82に向かって逆流しようとする冷却油71を第2油路82中で塞き止めることができる。よって、ヒルホールド状態であっても、排出口58,65と逆流防止弁83との間に介在する冷却油71は、環状油路60内に介在し続けることになるので、環状油路60内の油面を低下させることがない。これにより、ヒルホールド状態においても、冷却油71とステータ21との熱交換がステータのほぼ全周に亘って均一に行われる。その結果、モータユニット10の小型化及び製造コストの低減を図った上で、冷却油71の伝熱性能を維持することができるので、モータ23の過熱を防止して、モータ性能の低下を防止することができる。
また、中間領域を環状油路60として利用することで、モータハウジング11とステータ21との間に別体の環状油路60を形成する必要がない。さらに、ステータホルダ50に導入口57及び排出口58を形成することで、オイルポンプ72から送出される冷却油71を直接環状油路60内に供給することができる。その結果、製造効率の向上及び構成の簡素化を図ることができる。
例えば、上述した実施形態では、本発明の電動機を燃料電池車両に搭載される車両用駆動モータユニット10として採用した場合について説明したが、これに限らず、各種電気自動車等に採用することも可能である。
Claims (4)
- 車両を駆動するための電動機であって、
油が貯留されるハウジングと、
前記ハウジング内に収納されたロータと、
前記ロータの軸中心を貫通するシャフトと、
前記ハウジングに設けられ、前記シャフトを回転可能に支持するベアリングと、
前記ロータの外周に配置されたステータと、
前記ステータの外周と前記ハウジングの内壁との間に形成され、前記ステータの周方向に沿って前記油が流通する環状油路と、
前記ベアリング及び前記環状油路に向けて前記油を供給する供給機構とを備え、
前記環状油路は、前記油が導入される導入口と、
前記導入口よりも重力方向において高い位置に配置され、前記環状油路内を流通した前記油が排出される排出口とを備え、
前記供給機構は、前記シャフトの回転力により駆動し、前記油を循環させるオイルポンプと、
前記オイルポンプよりも下流側に配置され、前記ベアリングへ前記油を供給するための第1油路と、
前記導入口に接続され、前記環状油路内に前記油を供給するための第2油路とを備え、
前記第2油路には、逆流防止弁が設けられていることを特徴とする電動機。 - 前記排出口は、前記環状油路における重力方向最上部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 前記ステータにはコイルが巻装されるとともに、前記ステータの軸方向両端に前記コイルの渡り部が形成され、
前記排出口から排出される前記油が前記渡り部に被るようにして排出されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動機。 - 前記ハウジングと前記ステータとの間には、前記ステータを前記ハウジングに固定するステータホルダを備え、
前記ステータホルダは、円筒部およびフランジ部を備え、前記円筒部の内周側に前記ステータを保持するとともに、前記フランジ部において前記ハウジングに固定され、
前記ステータホルダの前記円筒部と前記ハウジングの内壁面との間の中間領域に、前記環状油路が形成されるとともに、前記ステータホルダの前記フランジ部に前記導入口及び前記排出口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の電動機。
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