ところで、特公平3−53780号公報には、特公平3−53780号公報の図1に記載されているように半導体装置を構成することによって、ダイオードチップ(半導体ペレット)の割れを低減することができる旨が記載されている。ところが、本発明者等が鋭意研究を行ったところ、特公平3−53780号公報の図1に記載されているように半導体装置を構成した場合であっても、ダイオードチップ(半導体ペレット)が割れてしまうおそれが依然としてあることが確認された。
詳細には、特公平3−53780号公報の図1に記載された半導体装置では、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)の上側に配置される外部導出端子(外部端子取り出し用電極)の位置が、製造誤差によってカソード側温度補償板(熱応力緩衝材)に近づく側(つまり、下側)にばらつき、それに伴って、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)とダイオードチップ(半導体ペレット)との間隔が狭まった場合であっても、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)とダイオードチップ(半導体ペレット)との間の半田(ろう材)がダイオードチップ(半導体ペレット)の側面まで溢れ出ることがないように、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)がダイオードチップ(半導体ペレット)よりも小さくされている。
ところが、特公平3−53780号公報の図1に記載された半導体装置のように、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)をダイオードチップ(半導体ペレット)より小さくすると、ダイオードチップ(半導体ペレット)の4箇所のコーナー部分で熱応力が集中し、ダイオードチップ(半導体ペレット)の割れの原因になってしまうことが、本発明者等の鋭意研究(熱応力シミュレーション)によって見い出されたのである。
更に、本発明者等の鋭意研究(熱応力シミュレーション)では、ダイオードチップ(半導体ペレット)の4箇所のコーナー部分における熱応力集中を緩和するために、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)をダイオードチップ(半導体ペレット)より大きくすると効果的であることが見い出されたのである。
ところで、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)をダイオードチップ(半導体ペレット)より大きくすると、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)の上側に配置される外部導出端子(外部端子取り出し用電極)の位置が、製造誤差によってカソード側温度補償板(熱応力緩衝材)に近づく側(つまり、下側)にばらつき、それに伴って、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)とダイオードチップ(半導体ペレット)との間隔が狭まった場合に、カソード側温度補償板(熱応力緩衝材)とダイオードチップ(半導体ペレット)との間の半田(ろう材)がダイオードチップ(半導体ペレット)の側面まで溢れ出るおそれを考慮する必要がある。
本発明者等が鋭意研究を行った結果、ダイオードチップ(半導体ペレット)の表面のうち、アノード電極およびカソード電極以外の部分の半田濡れ性は十分に低いため、仮にカソード側温度補償板(熱応力緩衝材)とダイオードチップ(半導体ペレット)との間の半田(ろう材)がダイオードチップ(半導体ペレット)の側面まで溢れ出た場合であっても、その溢れ出た半田(ろう材)はダイオードチップ(半導体ペレット)の側面によって弾かれることが見い出されたのである。
更に、本発明者等の鋭意研究では、アノード側温度補償板(熱応力緩衝材)に電気的に接続される導電性放熱板の上面に、アノード側温度補償板(熱応力緩衝材)を自己整合させるための開口を有するレジストパターンを形成し、その開口をダイオードチップ(半導体ペレット)より小さくすることにより、つまり、ダイオードチップ(半導体ペレット)の側面の真下にレジストパターンが位置するようにダイオードチップ(半導体ペレット)より小さい開口をレジストパターンに形成することにより、仮にカソード側温度補償板(熱応力緩衝材)とダイオードチップ(半導体ペレット)との間の半田(ろう材)が溢れ出た場合であっても、その溢れ出た半田(ろう材)によってカソード側温度補償板(熱応力緩衝材)と導電性放熱板とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除できることが見い出されたのである。
つまり、本発明は、カソード側温度補償板と導電性放熱板とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除すると共に、ダイオードチップにかかる熱応力集中を緩和することができるパワー半導体モジュールを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、一方の面に概略四角形のアノード電極(1a1)が形成され、アノード電極(1a1)の周囲にガラスパッシベーション層(1a2)が形成され、他方の全面にカソード電極(1a3)が形成された概略四角形の第1ダイオードチップ(1a)と、
一方の面に概略四角形のアノード電極(1b1)が形成され、アノード電極(1b1)の周囲にガラスパッシベーション層(1b2)が形成され、他方の全面にカソード電極(1b3)が形成された概略四角形の第2ダイオードチップ(1b)と、
半田(7a2)を介して第1ダイオードチップ(1a)のアノード電極(1a1)に電気的に接続される第1アノード側温度補償板(2a)と、
半田(7b2)を介して第2ダイオードチップ(1b)のアノード電極(1b1)に電気的に接続される第2アノード側温度補償板(2b)と、
半田(7a1)を介して第1アノード側温度補償板(2a)に電気的に接続されると共に、半田(7b1)を介して第2アノード側温度補償板(2b)に電気的に接続される導電性放熱板(3)と、
半田(7a3)を介して第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に電気的に接続される第1カソード側温度補償板(4a)と、
半田(7b3)を介して第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に電気的に接続される第2カソード側温度補償板(4b)と、
半田(7a4)を介して第1カソード側温度補償板(4a)に電気的に接続される第1外部導出端子(5a)と、
半田(7b4)を介して第2カソード側温度補償板(4b)に電気的に接続される第2外部導出端子(5b)と、
第1外部導出端子(5a)と第2外部導出端子(5b)とがインサート成形された外囲ケース(6)とを具備し、
アノード電極(1a1)およびガラスパッシベーション層(1a2)が下側になり、カソード電極(1a3)が上側になるように第1ダイオードチップ(1a)を配置し、
アノード電極(1b1)およびガラスパッシベーション層(1b2)が下側になり、カソード電極(1b3)が上側になるように第2ダイオードチップ(1b)を配置し、
第1アノード側温度補償板(2a)を第1ダイオードチップ(1a)のアノード電極(1a1)よりも小さくすると共に、第1カソード側温度補償板(4a)を第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)よりも大きくし、
第2アノード側温度補償板(2b)を第2ダイオードチップ(1b)のアノード電極(1b1)よりも小さくすると共に、第2カソード側温度補償板(4b)を第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)よりも大きくし、
導電性放熱板(3)および外囲ケース(6)を冶具(20)に対してねじ止めして固定した状態で半田(7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4)を一括してリフロー処理し、
リフロー処理時に第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための第1開口(3a1)と第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための第2開口(3a2)とを有するレジストパターン(3a)を導電性放熱板(3)の上面に形成し、
リフロー処理時に第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための第1開口(3a1)を第1ダイオードチップ(1a)よりも小さくすると共に、リフロー処理時に第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための第2開口(3a2)を第2ダイオードチップ(1b)よりも小さくしたことを特徴とするパワー半導体モジュール(10)が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための位置決め部(3a1a,3a1b,3a1c,3a1d)をレジストパターン(3a)の第1開口(3a1)の4隅に形成し、隣接する2個の位置決め部(3a1a,3a1b,3a1c,3a1d)の間にバッファ部(3a1e,3a1f,3a1g,3a1h)を形成し、
第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための位置決め部(3a2a,3a2b,3a2c,3a2d)をレジストパターン(3a)の第2開口(3a2)の4隅に形成し、隣接する2個の位置決め部(3a2a,3a2b,3a2c,3a2d)の間にバッファ部(3a2e,3a2f,3a2g,3a2h)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に対向する対向部(4a1)と、対向部(4a1)の周囲に位置するバッファ部(4a2)とを第1カソード側温度補償板(4a)の下面に設け、
第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に対向する対向部(4b1)と、対向部(4b1)の周囲に位置するバッファ部(4b2)とを第2カソード側温度補償板(4b)の下面に設けたことを特徴とする請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、第1カソード側温度補償板(4a)のバッファ部(4a2)を、第1カソード側温度補償板(4a)の4隅には設けず、第1カソード側温度補償板(4a)の4隅以外の部分に設け、
第2カソード側温度補償板(4b)のバッファ部(4b2)を、第2カソード側温度補償板(4b)の4隅には設けず、第2カソード側温度補償板(4b)の4隅以外の部分に設けたことを特徴とする請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)の4隅と係合するために下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起(4a3)を第1カソード側温度補償板(4a)のバッファ部(4a2)の4隅に形成し、
第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)の4隅と係合するために下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起(4b3)を第2カソード側温度補償板(4b)のバッファ部(4b2)の4隅に形成したことを特徴とする請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)が提供される。
請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、一方の面に概略四角形のアノード電極(1a1)が形成され、アノード電極(1a1)の周囲にガラスパッシベーション層(1a2)が形成され、他方の全面にカソード電極(1a3)が形成された概略四角形の第1ダイオードチップ(1a)が設けられている。更に、一方の面に概略四角形のアノード電極(1b1)が形成され、アノード電極(1b1)の周囲にガラスパッシベーション層(1b2)が形成され、他方の全面にカソード電極(1b3)が形成された概略四角形の第2ダイオードチップ(1b)が設けられている。
また、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、半田(7a2)を介して第1ダイオードチップ(1a)のアノード電極(1a1)に電気的に接続される第1アノード側温度補償板(2a)が設けられている。更に、半田(7b2)を介して第2ダイオードチップ(1b)のアノード電極(1b1)に電気的に接続される第2アノード側温度補償板(2b)が設けられている。また、半田(7a1)を介して第1アノード側温度補償板(2a)に電気的に接続されると共に、半田(7b1)を介して第2アノード側温度補償板(2b)に電気的に接続される導電性放熱板(3)が設けられている。
更に、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、半田(7a3)を介して第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に電気的に接続される第1カソード側温度補償板(4a)が設けられている。また、半田(7b3)を介して第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に電気的に接続される第2カソード側温度補償板(4b)が設けられている。
また、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、半田(7a4)を介して第1カソード側温度補償板(4a)に電気的に接続される第1外部導出端子(5a)が設けられている。更に、半田(7b4)を介して第2カソード側温度補償板(4b)に電気的に接続される第2外部導出端子(5b)が設けられている。また、第1外部導出端子(5a)と第2外部導出端子(5b)とがインサート成形された外囲ケース(6)が設けられている。
詳細には、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、アノード電極(1a1)およびガラスパッシベーション層(1a2)が下側になり、カソード電極(1a3)が上側になるように第1ダイオードチップ(1a)が配置されている。また、アノード電極(1b1)およびガラスパッシベーション層(1b2)が下側になり、カソード電極(1b3)が上側になるように第2ダイオードチップ(1b)が配置されている。
更に、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1アノード側温度補償板(2a)が第1ダイオードチップ(1a)のアノード電極(1a1)よりも小さくされている。また、第1カソード側温度補償板(4a)が第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)よりも大きくされている。更に、第2アノード側温度補償板(2b)が第2ダイオードチップ(1b)のアノード電極(1b1)よりも小さくされている。また、第2カソード側温度補償板(4b)が第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)よりも大きくされている。
また、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、導電性放熱板(3)および外囲ケース(6)を冶具(20)に対してねじ止めして固定した状態で半田(7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4,・・)が一括してリフロー処理される。
更に、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、リフロー処理時に第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための第1開口(3a1)と第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための第2開口(3a2)とを有するレジストパターン(3a)が導電性放熱板(3)の上面に形成されている。
また、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、リフロー処理時に第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための第1開口(3a1)が、第1ダイオードチップ(1a)よりも小さくされている。更に、リフロー処理時に第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための第2開口(3a2)が、第2ダイオードチップ(1b)よりも小さくされている。
つまり、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1カソード側温度補償板(4a)が第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)よりも大きくされると共に、導電性放熱板(3)および外囲ケース(6)を冶具(20)に対してねじ止めして固定した状態で半田(7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4)が一括してリフロー処理される。
そのため、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1カソード側温度補償板(4a)が第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)より小さくされている場合よりも、第1ダイオードチップ(1a)にかかる熱応力集中を緩和することができ、熱応力集中によって第1ダイオードチップ(1a)が破損してしまうおそれを低減することができる。
また、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2カソード側温度補償板(4b)が第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)よりも大きくされると共に、導電性放熱板(3)および外囲ケース(6)を冶具(20)に対してねじ止めして固定した状態で半田(7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4)が一括してリフロー処理される。
そのため、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2カソード側温度補償板(4b)が第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)より小さくされている場合よりも、第2ダイオードチップ(1b)にかかる熱応力集中を緩和することができ、熱応力集中によって第2ダイオードチップ(1b)が破損してしまうおそれを低減することができる。
更に、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1アノード側温度補償板(2a)が第1ダイオードチップ(1a)のアノード電極(1a1)よりも小さくされると共に、リフロー処理時に第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための第1開口(3a1)を有するレジストパターン(3a)が導電性放熱板(3)の上面に形成されており、その第1開口(3a1)が第1ダイオードチップ(1a)より小さくされている。
そのため、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、仮にリフロー処理時に第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間の半田(7a3)の一部が第1カソード側温度補償板(4a)の下面から導電性放熱板(3)に向かって下側に垂れた場合であっても、その垂れた半田は、第1ダイオードチップ(1a)の側面によって弾かれると共に、第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための第1開口(3a1)の周りのレジストパターン(3a)によって弾かれる。つまり、その垂れた半田によって第1カソード側温度補償板(4a)と導電性放熱板(3)とが電気的に接続されることは絶対に無い。
その結果、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間の半田(7a3)の一部によって、第1カソード側温度補償板(4a)と導電性放熱板(3)とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除することができる。
また、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2アノード側温度補償板(2b)が第2ダイオードチップ(1b)のアノード電極(1b1)よりも小さくされると共に、リフロー処理時に第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための第2開口(3a2)を有するレジストパターン(3a)が導電性放熱板(3)の上面に形成されており、その第2開口(3a2)が第2ダイオードチップ(1b)より小さくされている。
そのため、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)では、仮にリフロー処理時に第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間の半田(7b3)の一部が第2カソード側温度補償板(4b)の下面から導電性放熱板(3)に向かって下側に垂れた場合であっても、その垂れた半田は、第2ダイオードチップ(1b)の側面によって弾かれると共に、第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための第2開口(3a2)の周りのレジストパターン(3a)によって弾かれる。つまり、その垂れた半田によって第2カソード側温度補償板(4b)と導電性放熱板(3)とが電気的に接続されることは絶対に無い。
その結果、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間の半田(7b3)の一部によって、第2カソード側温度補償板(4b)と導電性放熱板(3)とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除することができる。
すなわち、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、カソード側温度補償板(4a,4b)と導電性放熱板(3)とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除すると共に、ダイオードチップ(1a,1b)にかかる熱応力集中を緩和することができる。
請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1アノード側温度補償板(2a)を自己整合させるための位置決め部(3a1a,3a1b,3a1c,3a1d)が、レジストパターン(3a)の第1開口(3a1)の4隅に形成されている。
そのため、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、リフロー処理時に、位置決め部(3a1a,3a1b,3a1c,3a1d)によって第1アノード側温度補償板(2a)をレジストパターン(3a)の第1開口(3a1)に自己整合させることができる。
更に、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)では、隣接する2個の位置決め部(3a1a,3a1b)の間にバッファ部(3a1e)が形成され、隣接する2個の位置決め部(3a1b,3a1c)の間にバッファ部(3a1f)が形成され、隣接する2個の位置決め部(3a1c,3a1d)の間にバッファ部(3a1g)が形成され、隣接する2個の位置決め部(3a1d,3a1a)の間にバッファ部(3a1h)が形成されている。
そのため、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)では、仮に第1外部導出端子(5a)の位置が製造誤差によって下側にばらつき、それに伴って、第1アノード側温度補償板(2a)と導電性放熱板(3)との間隔が狭まり、それにより、第1アノード側温度補償板(2a)と導電性放熱板(3)との間の半田(7a1)の一部が、第1アノード側温度補償板(2a)と導電性放熱板(3)との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田が第1開口(3a1)のバッファ部(3a1e,3a1f,3a1g,3a1h)によって保持される。
つまり、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第1外部導出端子(5a)の位置が製造誤差によって下側にばらつき、それに伴って、第1アノード側温度補償板(2a)と導電性放熱板(3)との間隔が狭まった場合に、第1アノード側温度補償板(2a)と導電性放熱板(3)との間の半田(7a1)が第1開口(3a1)から溢れ出てしまうおそれを低減することができる。
また、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2アノード側温度補償板(2b)を自己整合させるための位置決め部(3a2a,3a2b,3a2c,3a2d)が、レジストパターン(3a)の第2開口(3a2)の4隅に形成されている。
そのため、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、リフロー処理時に、位置決め部(3a2a,3a2b,3a2c,3a2d)によって第2アノード側温度補償板(2b)をレジストパターン(3a)の第2開口(3a2)に自己整合させることができる。
更に、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)では、隣接する2個の位置決め部(3a2a,3a2b)の間にバッファ部(3a2e)が形成され、隣接する2個の位置決め部(3a2b,3a2c)の間にバッファ部(3a2f)が形成され、隣接する2個の位置決め部(3a2c,3a2d)の間にバッファ部(3a2g)が形成され、隣接する2個の位置決め部(3a2d,3a2a)の間にバッファ部(3a2h)が形成されている。
そのため、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)では、仮に第2外部導出端子(5b)の位置が製造誤差によって下側にばらつき、それに伴って、第2アノード側温度補償板(2b)と導電性放熱板(3)との間隔が狭まり、それにより、第2アノード側温度補償板(2b)と導電性放熱板(3)との間の半田(7b1)の一部が、第2アノード側温度補償板(2b)と導電性放熱板(3)との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田が第2開口(3a2)のバッファ部(3a2e,3a2f,3a2g,3a2h)によって保持される。
つまり、請求項2に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第2外部導出端子(5b)の位置が製造誤差によって下側にばらつき、それに伴って、第2アノード側温度補償板(2b)と導電性放熱板(3)との間隔が狭まった場合に、第2アノード側温度補償板(2b)と導電性放熱板(3)との間の半田(7b1)が第2開口(3a2)から溢れ出てしまうおそれを低減することができる。
請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に対向する対向部(4a1)と、対向部(4a1)の周囲に位置するバッファ部(4a2)とが、第1カソード側温度補償板(4a)の下面に設けられている。
そのため、請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)では、仮に第1外部導出端子(5a)の位置が製造誤差によって下側にばらつき、それに伴って、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間隔が狭まり、それにより、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間の半田(7a3)の一部が、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田が第1カソード側温度補償板(4a)の下面のバッファ部(4a2)によって保持される。
つまり、請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に対向しないバッファ部(4a2)が第1カソード側温度補償板(4a)の下面に設けられていない場合よりも、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間から溢れ出た半田が、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)との間の半田(7a3)から分離してしまうおそれを低減することができる。
更に、請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に対向する対向部(4b1)と、対向部(4b1)の周囲に位置するバッファ部(4b2)とが、第2カソード側温度補償板(4b)の下面に設けられている。
そのため、請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)では、仮に第2外部導出端子(5b)の位置が製造誤差によって下側にばらつき、それに伴って、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間隔が狭まり、それにより、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間の半田(7b3)の一部が、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田が第2カソード側温度補償板(4b)の下面のバッファ部(4b2)によって保持される。
つまり、請求項3に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に対向しないバッファ部(4b2)が第2カソード側温度補償板(4b)の下面に設けられていない場合よりも、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間から溢れ出た半田が、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)との間の半田(7b3)から分離してしまうおそれを低減することができる。
請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1カソード側温度補償板(4a)のバッファ部(4a2)が、第1カソード側温度補償板(4a)の4隅には設けられず、第1カソード側温度補償板(4a)の4隅以外の部分に設けられている。
つまり、請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)では、リフロー処理時に、バッファ部(4a2)が設けられていない第1カソード側温度補償板(4a)の4隅の対向部(4a1)によって、第1カソード側温度補償板(4a)が第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に対して自己整合せしめられる。
そのため、請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第1カソード側温度補償板(4a)のバッファ部(4a2)が第1カソード側温度補償板(4a)の対向部(4a1)の周囲全体に設けられている場合よりも、第1カソード側温度補償板(4a)を第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に対して正確に位置決めすることができる。
更に、請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2カソード側温度補償板(4b)のバッファ部(4b2)が、第2カソード側温度補償板(4b)の4隅には設けられず、第2カソード側温度補償板(4b)の4隅以外の部分に設けられている。
つまり、請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)では、リフロー処理時に、バッファ部(4b2)が設けられていない第2カソード側温度補償板(4b)の4隅の対向部(4b1)によって、第2カソード側温度補償板(4b)が第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に対して自己整合せしめられる。
そのため、請求項4に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第2カソード側温度補償板(4b)のバッファ部(4b2)が第2カソード側温度補償板(4b)の対向部(4b1)の周囲全体に設けられている場合よりも、第2カソード側温度補償板(4b)を第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に対して正確に位置決めすることができる。
請求項5に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)の4隅と係合するために下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起(4a3)が第1カソード側温度補償板(4a)のバッファ部(4a2)の4隅に形成されている。
つまり、請求項5に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第1カソード側温度補償板(4a)のバッファ部(4a2)の4隅から下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起(4a3)と、第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)の4隅とが係合せしめられる。
そのため、請求項5に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第1カソード側温度補償板(4a)と第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)とが係合せしめられない場合よりも、第1カソード側温度補償板(4a)を第1ダイオードチップ(1a)のカソード電極(1a3)に対して正確に位置決めすることができる。
更に、請求項5に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)の4隅と係合するために下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起(4b3)が第2カソード側温度補償板(4b)のバッファ部(4b2)の4隅に形成されている。
つまり、請求項5に記載のパワー半導体モジュール(10)では、第2カソード側温度補償板(4b)のバッファ部(4b2)の4隅から下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起(4b3)と、第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)の4隅とが係合せしめられる。
そのため、請求項5に記載のパワー半導体モジュール(10)によれば、第2カソード側温度補償板(4b)と第2ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)とが係合せしめられない場合よりも、第2カソード側温度補償板(4b)を第1ダイオードチップ(1b)のカソード電極(1b3)に対して正確に位置決めすることができる。
以下、本発明のパワー半導体モジュールの第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態のパワー半導体モジュールに適用されるダイオードチップ1a(1b)を拡大して示した図である。詳細には、図1(A)はダイオードチップ1a(1b)の平面図、図1(B)はダイオードチップ1a(1b)の鉛直断面図、図1(C)はダイオードチップ1a(1b)の底面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図1(A)および図1(B)に示すように、ダイオードチップ1aの一方の面に概略四角形のアノード電極1a1が形成され、アノード電極1a1の周囲にガラスパッシベーション層1a2が形成されている。更に、図1(B)および図1(C)に示すように、ダイオードチップ1aの他方の全面に概略四角形のカソード電極1a3が形成されている。
また、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、ダイオードチップ1aと同様に構成された(詳細には、ダイオードチップ1aと同一の仕様の)ダイオードチップ1bが用いられている。詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図1(A)および図1(B)に示すように、ダイオードチップ1bの一方の面に概略四角形のアノード電極1b1が形成され、アノード電極1b1の周囲にガラスパッシベーション層1b2が形成されている。更に、図1(B)および図1(C)に示すように、ダイオードチップ1bの他方の全面に概略四角形のカソード電極1b3が形成されている。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図1(A)および図1(B)に示すように、概略四角形(詳細には、概略正方形)のアノード電極1a1(1b1)の幅寸法(図1(A)および図1(B)の左右方向寸法)および奥行き寸法(図1(A)の上下方向寸法)が例えば16.09mmに設定されている。更に、図1(B)および図1(C)に示すように、概略四角形(詳細には、概略正方形)のカソード電極1a3(1b3)の幅寸法(図1(B)および図1(C)の左右方向寸法)および奥行き寸法(図1(C)の上下方向寸法)が例えば17.75mmに設定されている。また、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図1(B)に示すように、ダイオードチップ1a(1b)の厚さ(図1(B)の上下方向寸法)が例えば0.22mmに設定されている。詳細には、ガラスパッシベーション層1a2(1b2)がアノード電極1a1(1b1)よりも図1(B)の上側に突出せしめられている。
図2は図1に示すダイオードチップ1a(1b)のアノード電極1a1(1b1)に電気的に接続されるアノード側温度補償板2a(2b)を拡大して示した図である。詳細には、図2(A)はアノード側温度補償板2a(2b)の平面図、図2(B)はアノード側温度補償板2a(2b)の正面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図2(A)および図2(B)に示すように、アノード側温度補償板2aが概略四角形の板状に形成されている。また、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、アノード側温度補償板2a同様に構成されたアノード側温度補償板2bが用いられている。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図2(A)および図2(B)に示すように、概略四角形(詳細には、概略正方形)のアノード側温度補償板2a(2b)の幅寸法(図2(A)および図2(B)の左右方向寸法)および奥行き寸法(図2(A)の上下方向寸法)が例えば15.4mmに設定されている。つまり、アノード側温度補償板2a(2b)がダイオードチップ1a(1b)のアノード電極1a1(1b1)(図1(A)および図1(B)参照)よりも小さくされている。また、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図2(B)に示すように、アノード側温度補償板2a(2b)の厚さ(図2(B)の上下方向寸法)が例えば0.5mmに設定されている。
更に、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、ダイオードチップ1a(1b)(図1参照)の主要構成要素であるシリコンの熱膨張率よりも大きく、後述する導電性放熱板3(図4参照)の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有する例えばモリブデン、PCMなどのような材料によってアノード側温度補償板2a(2b)が形成されている。
図3は図1に示すダイオードチップ1a(1b)のカソード電極1a3(1b3)に電気的に接続されるカソード側温度補償板4a(4b)を拡大して示した図である。詳細には、図3(A)はカソード側温度補償板4a(4b)の平面図、図3(B)はカソード側温度補償板4a(4b)の正面図、図3(C)はカソード側温度補償板4a(4b)の底面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図3(A)および図3(B)に示すように、カソード側温度補償板4aが概略四角形の板状に形成されている。また、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、カソード側温度補償板4aと同様に構成されたカソード側温度補償板4bが用いられている。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図3(A)および図3(B)に示すように、概略四角形(詳細には、概略正方形)のカソード側温度補償板4a(4b)の幅寸法(図3(A)および図3(B)の左右方向寸法)および奥行き寸法(図3(A)の上下方向寸法)が例えば18.6mmに設定されている。つまり、カソード側温度補償板4a(4b)がダイオードチップ1a(1b)のカソード電極1a3(1b3)(図1(B)および図1(C)参照)よりも大きくされている。また、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図3(B)に示すように、カソード側温度補償板4a(4b)の厚さ(図3(B)の上下方向寸法)が例えば0.5mmに設定されている。
更に、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、ダイオードチップ1a(1b)(図1参照)の主要構成要素であるシリコンの熱膨張率よりも大きく、後述する導電性放熱板3(図4参照)の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有する例えばモリブデンなどのような材料によってカソード側温度補償板4a(4b)が形成されている。
図4は図2に示すアノード側温度補償板2aに電気的に接続されると共に、図2に示すアノード側温度補償板2bに電気的に接続される導電性放熱板3を示した図である。詳細には、図4(A)は導電性放熱板3の平面図、図4(B)は導電性放熱板3の鉛直断面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図4(A)および図4(B)に示すように、電気絶縁性材料からなるレジストパターン3aが、例えば銅製の導電性放熱板3の上面に形成されている。更に、後述するリフロー処理時に導電性放熱板3をねじ止めして固定するためのねじ穴3bが導電性放熱板3に形成されている。また、導電性放熱板3とアノード側温度補償板2a(図2参照)とを電気的に接続するための開口3a1がレジストパターン3aに形成されている。更に、導電性放熱板3とアノード側温度補償板2b(図2参照)とを電気的に接続するための開口3a2がレジストパターン3aに形成されている。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図4(A)に示すように、後述するリフロー処理時にアノード側温度補償板2a(図2参照)を自己整合させるための位置決め部3a1a,3a1b,3a1c,3a1dが、レジストパターン3aの開口3a1の4隅に形成されている。更に、隣接する2個の位置決め部3a1a,3a1bの間にバッファ部3a1eが形成され、隣接する2個の位置決め部3a1b,3a1cの間にバッファ部3a1fが形成されている。また、隣接する2個の位置決め部3a1c,3a1dの間にバッファ部3a1gが形成され、隣接する2個の位置決め部3a1d,3a1aの間にバッファ部3a1hが形成されている。
同様に、第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図4(A)に示すように、後述するリフロー処理時にアノード側温度補償板2b(図2参照)を自己整合させるための位置決め部3a2a,3a2b,3a2c,3a2dが、レジストパターン3aの開口3a2の4隅に形成されている。更に、隣接する2個の位置決め部3a2a,3a2bの間にバッファ部3a2eが形成され、隣接する2個の位置決め部3a2b,3a2cの間にバッファ部3a2fが形成されている。また、隣接する2個の位置決め部3a2c,3a2dの間にバッファ部3a2gが形成され、隣接する2個の位置決め部3a2d,3a2aの間にバッファ部3a2hが形成されている。
図5は図3に示すカソード側温度補償板2aに電気的に接続される外部導出端子5aと、図3に示すカソード側温度補償板2bに電気的に接続される外部導出端子5bとがインサート成形された外囲ケース6を示した図である。詳細には、図5(A)は外囲ケース6の平面図、図5(B)は外囲ケース6の正面図、図5(C)は外囲ケース6の鉛直断面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールでは、図5(A)、図5(B)および図5(C)に示すように、外部導出端子5aの上端部と下端部5a’とが樹脂製の外囲ケース6から露出せしめられている。また、外部導出端子5bの上端部と下端部5b’とが外囲ケース6から露出せしめられている。更に、後述するリフロー処理時に外囲ケース6を導電性放熱板3と共締めして固定するためのねじ穴6aが外囲ケース6に形成されている。
図6〜図9は第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造工程を説明するための図である。詳細には、図6(A)、図7(A)、図8(A)および図9(A)は第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造工程を説明するための平面図である。図6(B)、図7(B)、図8(B)および図9(B)は第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造工程を説明するための鉛直断面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、まず最初に、図6(B)に示すように、導電性放熱板3の上面のレジストパターン3aの開口3a1内にペースト状またはシート状の半田7a1が配置されると共に、導電性放熱板3の上面のレジストパターン3aの開口3a2内にペースト状またはシート状の半田7b1が配置される。次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図6(A)および図6(B)に示すように、アノード側温度補償板2aが半田7a1上に配置されると共に、アノード側温度補償板2bが半田7b1上に配置される。
次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図7(B)に示すように、ペースト状またはシート状の半田7a2がアノード側温度補償板2a上に配置されると共に、ペースト状またはシート状の半田7b2がアノード側温度補償板2b上に配置される。次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図7(A)および図7(B)に示すように、ダイオードチップ1aが半田7a2上に配置されると共に、ダイオードチップ1bが半田7b2上に配置される。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図7(B)に示すように、アノード電極1a1(図1(B)参照)およびガラスパッシベーション層1a2(図1(B)参照)が下側(図7(B)の下側)になり、カソード電極1a3(図1(B)参照)が上側(図7(B)の上側)になるように、ダイオードチップ1aが配置される。また、アノード電極1b1(図1(B)参照)およびガラスパッシベーション層1b2(図1(B)参照)が下側(図7(B)の下側)になり、カソード電極1b3(図1(B)参照)が上側(図7(B)の上側)になるようにダイオードチップ1bが配置される。
次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図8(B)に示すように、ペースト状またはシート状の半田7a3がダイオードチップ1aのカソード電極1a3(図1および図7参照)上に配置されると共に、ペースト状またはシート状の半田7b3がダイオードチップ1bのカソード電極1b3(図1および図7参照)上に配置される。次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図8(A)および図8(B)に示すように、カソード側温度補償板4aが半田7a3上に配置されると共に、カソード側温度補償板4bが半田7b3上に配置される。
次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュールの製造時には、図9(B)に示すように、ペースト状またはシート状の半田7a4がカソード側温度補償板4a上に配置されると共に、ペースト状またはシート状の半田7b4がカソード側温度補償板4b上に配置される。
次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10の製造時には、図9(A)および図9(B)に示すように、外囲ケース6の下端部が導電性放熱板3の上面および側面と嵌合せしめられ、外囲ケース6が導電性放熱板3上に配置される。詳細には、例えば接着剤(図示せず)が外囲ケース6と導電性放熱板3との間に配置される。その結果、図9(B)に示すように、外部導出端子5aの下端部5a’が半田7a4上に配置されると共に、外部導出端子5bの下端部5b’が半田7b4上に配置される。
次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10の製造時には、図9(B)に示すように、パワー半導体モジュール10が冶具20上に配置され、導電性放熱板3および外囲ケース6が、ねじによって共締めされ、冶具20に対して固定される。次いで、その状態で、パワー半導体モジュール10内の半田7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4が一括してリフロー処理される。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、このリフロー処理時に、導電性放熱板3(図4および図6参照)の上面に形成されているレジストパターン3a(図4および図6参照)の開口3a1(図4および図6参照)内に配置されている半田7a1(図9(B)参照)の表面張力によって、アノード側温度補償板2a(図9(B)参照)が導電性放熱板3に対して自己整合せしめられる。また、導電性放熱板3の上面に形成されているレジストパターン3aの開口3a2(図4および図6参照)内に配置されている半田7b1(図9(B)参照)の表面張力によって、アノード側温度補償板2b(図9(B)参照)が導電性放熱板3に対して自己整合せしめられる。
更に、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、このリフロー処理時に、ダイオードチップ1a(図9(B)参照)の突出しているガラスパッシベーション層1a2(図1(B)参照)に囲まれている半田7a2(図9(B)参照)の表面張力によって、ダイオードチップ1aがアノード側温度補償板2a(図9(B)参照)に対して自己整合せしめられる。また、ダイオードチップ1b(図9(B)参照)の突出しているガラスパッシベーション層1b2(図1(B)参照)に囲まれている半田7b2(図9(B)参照)の表面張力によって、ダイオードチップ1bがアノード側温度補償板2b(図9(B)参照)に対して自己整合せしめられる。
また、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、このリフロー処理時に、ダイオードチップ1a(図9(B)参照)のカソード電極1a3(図1(B)参照)とカソード側温度補償板4a(図9(B)参照)との間の半田7a3(図9(B)参照)の表面張力によって、カソード側温度補償板4aがダイオードチップ1aに対して自己整合せしめられる。同様に、ダイオードチップ1b(図9(B)参照)のカソード電極1b3(図1(B)参照)とカソード側温度補償板4b(図9(B)参照)との間の半田7b3(図9(B)参照)の表面張力によって、カソード側温度補償板4bがダイオードチップ1bに対して自己整合せしめられる。
次いで、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10の製造時には、パワー半導体モジュール10(図9参照)内の半田7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4(図9(B)参照)が硬化せしめられると、パワー半導体モジュール10が冶具20(図9参照)から取り外される。次いで、外囲ケース6(図9参照)の内側などの洗浄が行われ、次いで、ダイオードチップ1a,1b(図9(B)参照)などを保護するためのシリコーンゴム/シリコーンゲルなどの表面安定剤が外囲ケース6の内側に配置されて硬化せしめられる。次いで、外囲ケース6上に蓋体(図示せず)が被せられる。次いで、蓋体の上面の凹部(図示せず)内に収容されたボルト(図示せず)を覆うように、外部導出端子5a,5b(図9参照)が折り曲げられ、パワー半導体モジュール10が完成する。
図10は第1の実施形態のパワー半導体モジュール10の等価回路図である。図10に示すように、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、ダイオードチップ1a,1bが並列接続され、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10がアノードコモン型に構成されている。また、図9(B)および図10に示すように、例えば導電性放熱板3の下面(図9(B)の下側の面)がアノード端子(電極)として用いられる。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4a(図3参照)がダイオードチップ1a(図1参照)のカソード電極1a3(図1参照)よりも大きくされると共に、導電性放熱板3(図9参照)および外囲ケース6(図9参照)を冶具20(図9参照)に対してねじ止めして固定した状態で半田7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4(図9参照)が一括してリフロー処理される。そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4aがダイオードチップ1aのカソード電極1a3より小さくされている場合よりも、ダイオードチップ1aにかかる熱応力集中を緩和することができ、熱応力集中によってダイオードチップ1aが破損してしまうおそれを低減することができる。
また、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4b(図3参照)がダイオードチップ1b(図1参照)のカソード電極1b3(図1参照)よりも大きくされると共に、導電性放熱板3(図9参照)および外囲ケース6(図9参照)を冶具20(図9参照)に対してねじ止めして固定した状態で半田7a1,7a2,7a3,7a4,7b1,7b2,7b3,7b4(図9参照)が一括してリフロー処理される。そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4bがダイオードチップ1bのカソード電極1b3より小さくされている場合よりも、ダイオードチップ1bにかかる熱応力集中を緩和することができ、熱応力集中によってダイオードチップ1bが破損してしまうおそれを低減することができる。
更に、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、アノード側温度補償板2a(図2参照)がダイオードチップ1a(図1参照)のアノード電極1a1(図1参照)よりも小さくされると共に、リフロー処理時にアノード側温度補償板2a(図6参照)を自己整合させるための開口3a1(図4および図6参照)を有するレジストパターン3a(図6参照)が導電性放熱板3(図6参照)の上面に形成されており、その開口3a1(図4参照)がダイオードチップ1a(図7参照)より小さくされている。
そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、仮にリフロー処理時にカソード側温度補償板4a(図9(B)参照)とダイオードチップ1a(図9(B)参照)のカソード電極1a3(図7(B)参照)との間の半田7a3(図9(B)参照)の一部がカソード側温度補償板4aの下面から導電性放熱板3(図9(B)参照)に向かって下側(図9(B)の下側)に垂れた場合であっても、その垂れた半田は、ダイオードチップ1aの側面によって弾かれると共に、アノード側温度補償板2a(図6および図9(B)参照)を自己整合させるための開口3a1(図4および図6参照)の周りのレジストパターン3a(図4および図6参照)によって弾かれる。つまり、その垂れた半田によってカソード側温度補償板4aと導電性放熱板3(図9(B)参照)とが電気的に接続されることは絶対に無い。
その結果、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4a(図9(B)参照)とダイオードチップ1a(図9(B)参照)のカソード電極1a3(図7(B)参照)との間の半田7a3(図9(B)参照)の一部によって、カソード側温度補償板4aと導電性放熱板3(図9(B)参照)とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除することができる。
また、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、アノード側温度補償板2b(図2参照)がダイオードチップ1b(図1参照)のアノード電極1b1(図1参照)よりも小さくされると共に、リフロー処理時にアノード側温度補償板2b(図6参照)を自己整合させるための開口3a2(図4および図6参照)を有するレジストパターン3a(図6参照)が導電性放熱板3(図6参照)の上面に形成されており、その開口3a2(図4参照)がダイオードチップ1a(図7参照)より小さくされている。
そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、仮にリフロー処理時にカソード側温度補償板4b(図9(B)参照)とダイオードチップ1b(図9(B)参照)のカソード電極1b3(図7(B)参照)との間の半田7b3(図9(B)参照)の一部がカソード側温度補償板4bの下面から導電性放熱板3(図9(B)参照)に向かって下側(図9(B)の下側)に垂れた場合であっても、その垂れた半田は、ダイオードチップ1bの側面によって弾かれると共に、アノード側温度補償板2b(図6および図9(B)参照)を自己整合させるための開口3a2(図4および図6参照)の周りのレジストパターン3a(図4および図6参照)によって弾かれる。つまり、その垂れた半田によってカソード側温度補償板4bと導電性放熱板3(図9(B)参照)とが電気的に接続されることは絶対に無い。
その結果、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4b(図9(B)参照)とダイオードチップ1b(図9(B)参照)のカソード電極1b3(図7(B)参照)との間の半田7b3(図9(B)参照)の一部によって、カソード側温度補償板4bと導電性放熱板3(図9(B)参照)とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除することができる。
すなわち、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4a,4b(図9(B)参照)と導電性放熱板3(図9(B)参照)とが電気的に短絡してしまうおそれを確実に排除すると共に、ダイオードチップ1a,1b(図9(B)参照)にかかる熱応力集中を緩和することができる。
更に、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図4および図6に示すように、アノード側温度補償板2aを自己整合させるための位置決め部3a1a,3a1b,3a1c,3a1dが、レジストパターン3aの開口3a1の4隅に形成されている。そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、半田7a1のリフロー処理時に、位置決め部3a1a,3a1b,3a1c,3a1dによってアノード側温度補償板2aをレジストパターン3aの開口3a1に自己整合させることができる。
また、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図4に示すように、隣接する2個の位置決め部3a1a,3a1bの間にバッファ部3a1eが形成され、隣接する2個の位置決め部3a1b,3a1cの間にバッファ部3a1fが形成され、隣接する2個の位置決め部3a1c,3a1dの間にバッファ部3a1gが形成され、隣接する2個の位置決め部3a1d,3a1aの間にバッファ部3a1hが形成されている。
そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、仮に外部導出端子5a(図9(B)参照)の下端部5a’(図9(B)参照)の位置が製造誤差によって下側(図9(B)の下側)にばらつき、それに伴って、アノード側温度補償板2a(図9(B)参照)と導電性放熱板3(図9(B)参照)との間隔が狭まり、それにより、アノード側温度補償板2aと導電性放熱板3との間の半田7a1(図9(B)参照)の一部が、アノード側温度補償板2aと導電性放熱板3との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田が開口3a1(図4および図6参照)のバッファ部3a1e,3a1f,3a1g,3a1h(図6参照)によって保持される。
つまり、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、外部導出端子5a(図9(B)参照)の下端部5a’(図9(B)参照)の位置が製造誤差によって下側(図9(B)の下側)にばらつき、それに伴って、アノード側温度補償板2a(図9(B)参照)と導電性放熱板3(図9(B)参照)との間隔が狭まった場合に、アノード側温度補償板2aと導電性放熱板3との間の半田7a1(図9(B)参照)が開口3a1(図4および図6参照)から溢れ出てしまうおそれを低減することができる。
同様に、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図4および図6に示すように、アノード側温度補償板2bを自己整合させるための位置決め部3a2a,3a2b,3a2c,3a2dが、レジストパターン3aの開口3a2の4隅に形成されている。そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、半田7b1のリフロー処理時に、位置決め部3a2a,3a2b,3a2c,3a2dによってアノード側温度補償板2bをレジストパターン3aの開口3a2に自己整合させることができる。
また、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図4に示すように、隣接する2個の位置決め部3a2a,3a2bの間にバッファ部3a2eが形成され、隣接する2個の位置決め部3a2b,3a2cの間にバッファ部3a2fが形成され、隣接する2個の位置決め部3a2c,3a2dの間にバッファ部3a2gが形成され、隣接する2個の位置決め部3a2d,3a2aの間にバッファ部3a2hが形成されている。
そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、仮に外部導出端子5b(図9(B)参照)の下端部5b’(図9(B)参照)の位置が製造誤差によって下側(図9(B)の下側)にばらつき、それに伴って、アノード側温度補償板2b(図9(B)参照)と導電性放熱板3(図9(B)参照)との間隔が狭まり、それにより、アノード側温度補償板2bと導電性放熱板3との間の半田7b1(図9(B)参照)の一部が、アノード側温度補償板2bと導電性放熱板3との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田が開口3a2(図4および図6参照)のバッファ部3a2e,3a2f,3a2g,3a2h(図6参照)によって保持される。
つまり、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、外部導出端子5b(図9(B)参照)の下端部5b’(図9(B)参照)の位置が製造誤差によって下側(図9(B)の下側)にばらつき、それに伴って、アノード側温度補償板2b(図9(B)参照)と導電性放熱板3(図9(B)参照)との間隔が狭まった場合に、アノード側温度補償板2bと導電性放熱板3との間の半田7b1(図9(B)参照)が開口3a2(図4および図6参照)から溢れ出てしまうおそれを低減することができる。
詳細には、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、レジストパターン3a(図4および図6参照)の開口3a1(図4および図6参照)内におけるアノード側温度補償板2a(図6(A)参照)の左右方向(図6(A)の左右方向)の遊びおよび前後方向(図6(A)の上下方向)の遊びが0.5mm以下に設定されている。同様に、レジストパターン3aの開口3a2(図4および図6参照)内におけるアノード側温度補償板2b(図6(A)参照)の左右方向(図6(A)の左右方向)の遊びおよび前後方向(図6(A)の上下方向)の遊びが0.5mm以下に設定されている。
更に、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、ダイオードチップ1a(図1参照)のカソード電極1a3(図1(B)および図1(C)参照)に対向する対向部4a1(図3(C)参照)と、対向部4a1の周囲に位置するバッファ部4a2(図3(C)参照)とが、カソード側温度補償板4a(図3参照)の下面に設けられている。
そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、仮に外部導出端子5a(図9(B)参照)の下端部5a’(図9(B)参照)の位置が製造誤差によって下側(図9(B)の下側)にばらつき、それに伴って、カソード側温度補償板4a(図9(B)参照)とダイオードチップ1a(図9(B)参照)のカソード電極1a3(図1および図7参照)との間隔が狭まり、それにより、カソード側温度補償板4aとダイオードチップ1aのカソード電極1a3との間の半田7a3(図9(B)参照)の一部が、カソード側温度補償板4aとダイオードチップ1aのカソード電極1a3との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田がカソード側温度補償板4aの下面のバッファ部4a2(図3(C)参照)によって保持される。
つまり、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、ダイオードチップ1a(図1参照)のカソード電極1a3(図1(B)および図1(C)参照)に対向しないバッファ部4a2(図3(C)参照)がカソード側温度補償板4a(図3参照)の下面に設けられていない場合よりも、カソード側温度補償板4aとダイオードチップ1aのカソード電極1a3との間から溢れ出た半田が、カソード側温度補償板4aとダイオードチップ1aのカソード電極1a3との間の半田7a3(図9(B)参照)から分離してしまうおそれを低減することができる。
同様に、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、ダイオードチップ1b(図1参照)のカソード電極1b3(図1(B)および図1(C)参照)に対向する対向部4b1(図3(C)参照)と、対向部4b1の周囲に位置するバッファ部4b2(図3(C)参照)とが、カソード側温度補償板4b(図3参照)の下面に設けられている。
そのため、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、仮に外部導出端子5b(図9(B)参照)の下端部5b’(図9(B)参照)の位置が製造誤差によって下側(図9(B)の下側)にばらつき、それに伴って、カソード側温度補償板4b(図9(B)参照)とダイオードチップ1b(図9(B)参照)のカソード電極1b3(図1および図7参照)との間隔が狭まり、それにより、カソード側温度補償板4bとダイオードチップ1bのカソード電極1b3との間の半田7b3(図9(B)参照)の一部が、カソード側温度補償板4bとダイオードチップ1bのカソード電極1b3との間から溢れ出た場合に、その溢れ出た半田がカソード側温度補償板4bの下面のバッファ部4b2(図3(C)参照)によって保持される。
つまり、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、ダイオードチップ1b(図1参照)のカソード電極1b3(図1(B)および図1(C)参照)に対向しないバッファ部4b2(図3(C)参照)がカソード側温度補償板4b(図3参照)の下面に設けられていない場合よりも、カソード側温度補償板4bとダイオードチップ1bのカソード電極1b3との間から溢れ出た半田が、カソード側温度補償板4bとダイオードチップ1bのカソード電極1b3との間の半田7b3(図9(B)参照)から分離してしまうおそれを低減することができる。
図11および図12は熱応力シミュレーション結果を示した図である。詳細には、図11(A)はカソード側温度補償板4bがダイオードチップ1bより小さい場合における熱応力シミュレーション結果を示しており、図11(B)はカソード側温度補償板4bがダイオードチップ1bより大きい第1の実施形態のパワー半導体モジュール10における熱応力シミュレーション結果を示している。また、図12(A)はカソード側温度補償板4bがダイオードチップ1bより小さい場合においてダイオードチップ1bのアノード電極1b1およびその周囲のガラスパッシベーション層1b2にかかる熱応力の集中度合いを示しており、図12(B)はカソード側温度補償板4bがダイオードチップ1bより大きい第1の実施形態のパワー半導体モジュール10においてダイオードチップ1bのアノード電極1b1およびその周囲のガラスパッシベーション層1b2にかかる熱応力の集中度合いを示している。
本発明者等による熱応力シミュレーションでは、図11(A)および図12(A)に示すように、カソード側温度補償板4bをダイオードチップ1bより小さくした場合に、ダイオードチップ1bのうち、4隅の部分に熱応力が集中し、その結果、ダイオードチップ1bの4隅にかかる熱応力が非常に大きくなり、ダイオードチップ1bの割れの原因になり得る点が確認された。一方、第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4bをダイオードチップ1bより大きくすることにより、図11(B)および図12(B)に示すように、ダイオードチップ1bにかかる熱応力を分散できる点が確認された。
図13は第2の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)を拡大して示した図である。詳細には、図13(A)は第2の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)の平面図、図13(B)は第2の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)の正面図、図13(C)は第2の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)の底面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図3(C)に示すように、カソード側温度補償板4aのバッファ部4a2がカソード側温度補償板4aの対向部4a1の周囲全体に(全周にわたって)設けられているが、第2の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図13(C)に示すように、カソード側温度補償板4aのバッファ部4a2が、カソード側温度補償板4aの4隅には設けられず、カソード側温度補償板4aの4隅以外の部分に設けられている。
つまり、第2の実施形態のパワー半導体モジュール10では、リフロー処理時に、バッファ部4a2(図13(C)参照)が設けられていないカソード側温度補償板4a(図13参照)の4隅の対向部4a1(図13(C)参照)によって、カソード側温度補償板4aがダイオードチップ1a(図1および図9(B)参照)のカソード電極1a3(図1および図7参照)に対して自己整合せしめられる。そのため、第2の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4aのバッファ部4a2がカソード側温度補償板4aの対向部4a1の周囲全体に設けられている場合よりも、カソード側温度補償板4aをダイオードチップ1aのカソード電極1a3に対して正確に位置決めすることができる。
同様に、第2の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図13(C)に示すように、カソード側温度補償板4bのバッファ部4b2が、カソード側温度補償板4bの4隅には設けられず、カソード側温度補償板4bの4隅以外の部分に設けられている。
つまり、第2の実施形態のパワー半導体モジュール10では、リフロー処理時に、バッファ部4b2(図13(C)参照)が設けられていないカソード側温度補償板4b(図13参照)の4隅の対向部4b1(図13(C)参照)によって、カソード側温度補償板4bがダイオードチップ1b(図1および図9(B)参照)のカソード電極1b3(図1および図7参照)に対して自己整合せしめられる。そのため、第2の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4bのバッファ部4b2がカソード側温度補償板4bの対向部4b1の周囲全体に設けられている場合よりも、カソード側温度補償板4bをダイオードチップ1bのカソード電極1b3に対して正確に位置決めすることができる。
図14は第3の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)を拡大して示した図である。詳細には、図14(A)は第3の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)の平面図、図14(B)は第3の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)の正面図、図14(C)は第3の実施形態のパワー半導体モジュール10のカソード側温度補償板4a(4b)の底面図である。
第1の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図3(B)および図3(C)に示すように、カソード側温度補償板4aのバッファ部4a2全体が平面によって構成されているが、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図14(B)および図14(C)に示すように、カソード側温度補償板4aのバッファ部4a2の4隅が下向き(図14(B)の下向き)に突出せしめられ、係合突起4a3が形成されている。
詳細には、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図14に示すように、ダイオードチップ1a(図1および図9(B)参照)のカソード電極1a3(図1および図7参照)の4隅と係合するために下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起4a3がカソード側温度補償板4aのバッファ部4a2の4隅に形成されている。
つまり、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4a(図14参照)のバッファ部4a2(図14(C)参照)の4隅から下向きに(図14(B)の下向き)突出せしめられた概略L字状の係合突起4a3(図14(B)および図14(C)参照)と、ダイオードチップ1a(図1および図9(B)参照)のカソード電極1a3(図1および図7参照)の4隅とが係合せしめられる。そのため、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4aとダイオードチップ1aのカソード電極1a3とが係合せしめられない場合よりも、カソード側温度補償板4aをダイオードチップ1aのカソード電極1a3に対して正確に位置決めすることができる。
同様に、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10では、図14に示すように、ダイオードチップ1b(図1および図9(B)参照)のカソード電極1b3(図1および図7参照)の4隅と係合するために下向きに突出せしめられた概略L字状の係合突起4b3がカソード側温度補償板4bのバッファ部4b2の4隅に形成されている。
つまり、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10では、カソード側温度補償板4b(図14参照)のバッファ部4b2(図14(C)参照)の4隅から下向きに(図14(B)の下向き)突出せしめられた概略L字状の係合突起4b3(図14(B)および図14(C)参照)と、ダイオードチップ1b(図1および図9(B)参照)のカソード電極1b3(図1および図7参照)の4隅とが係合せしめられる。そのため、第3の実施形態のパワー半導体モジュール10によれば、カソード側温度補償板4bとダイオードチップ1bのカソード電極1b3とが係合せしめられない場合よりも、カソード側温度補償板4bをダイオードチップ1bのカソード電極1b3に対して正確に位置決めすることができる。
第4の実施形態では、上述した第1から第3の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。