JP2011003483A - 燃料電池システムの運転方法及び燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の導入効果の低下を抑制することができる燃料電池システムの運転方法及び燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池30と、燃料電池30で発生した熱を蓄える蓄熱槽80と、制御装置20とを備える。制御装置20は、過去の電力及び熱の需要に基づいて作成された運転計画に基づいて運転する運転工程と、運転計画に反して燃料電池システム1の運転が強制停止されたときに、強制停止後に新たな運転計画が作成されるまでは、強制停止された際の運転計画から外れて、燃料電池システム1の再起動を禁止する起動制限工程とを備える運転方法を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池システムの運転方法及び燃料電池システムに関し、特に燃料電池の導入効果をより向上させる燃料電池システムの運転方法及び燃料電池システムに関する。
近年普及が期待されている燃料電池は、水素と酸素との電気化学的反応により発電する電力を取り出す装置であり、電気化学的反応を行う際に熱を発生する。燃料電池の発電を継続するには燃料電池を所定の温度に維持する必要があるため、冷却水を供給することにより、発生した熱を奪うことが行われている。そして燃料電池で発生した熱を有効利用すべく、冷却水を供給して奪った熱をタンクに蓄熱し、必要に応じて熱需要に供給するコージェネレーションシステムを構築するのが一般的である。一般に、電力需要と熱需要とが同時に、燃料電池の発電量及び発熱量と合致することは稀であるため、電力と熱のどちらか一方の需要に合わせた簡易的な運用ロジックでは、省エネルギー性や、一般家庭が求める経済性、あるいは温暖化ガス排出抑制の観点等から効率的な運転を行うことが難しい。このような不都合を解消する技術として、過去の運転実績に基づいて電力需要及び熱需要を予測し、予測結果とそのときの燃料電池の状態及び蓄熱量とに基づいて燃料電池の運転計画を複数作成し、複数作成した運転計画のうちエネルギー消費量やコストやCO排出量等の所定の基準に従って1つを選定し、選定した運転計画に基づいて燃料電池の発電の有無を制御するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−280650号公報(段落0005−0008等)
しかしながら、どのような運転計画を作成しようとも、実際の電力及び熱の消費が、適用している運転計画の基となった電力及び熱の需要予測からずれることがある。そして、予想に反して蓄熱量が増加したため冷却水の温度が下がらずに燃料電池の運転を継続できなくなった場合や、燃料電池システムに何らかの異常が発生した場合、所定の時間を超えて改質用のガスを使用することに伴ってメータの保護機能が作動することを防ぐための措置をとる場合、ユーザーにより命令された場合等、たとえ運転計画上は燃料電池を運転させることになっていても運転を強制的に停止させる場合がある。他方、燃料電池システムは、起動時に消費されるエネルギーが利用可能な電気あるいは熱のエネルギーに変換されない。このため、強制停止された要因がなくなった時点において運転計画上では運転することとなっていた場合、この強制停止前に作成された運転計画には強制停止後の起動に要するエネルギーが考慮されていないため、強制停止前に作成された運転計画に従って運転すると、燃料電池の導入効果を享受できない場合がある。
本発明は上述の課題に鑑み、燃料電池の導入効果の低下を抑制することができる燃料電池システムの運転方法及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムの運転方法は、例えば図1及び図4に示すように、燃料電池30と、燃料電池30で発生した熱を蓄える蓄熱槽80と、を有する燃料電池システム1を、過去の電力及び熱の需要に基づいて作成された運転計画に基づいて運転する運転工程(ST4)と;運転計画に反して燃料電池システム1の運転が強制停止されたときに(ST7)、強制停止(ST7)後に新たな運転計画が作成されるまでは、強制停止された際の運転計画から外れて、燃料電池システム1の再起動を禁止する起動制限工程(ST7〜ST9、ST1、ST2)とを備える。
このように構成すると、強制停止後に新たな運転計画が作成されるまでは強制停止された際の運転計画から外れて燃料電池システムの再起動を禁止するので、強制停止が解除された後は新たな運転計画に従った運転がされることとなり、強制停止された際の運転計画に従った運転がされることに起因する燃料電池の導入効果の低下を抑制することができる。換言すれば、新たな運転計画に従った、燃料電池の導入効果をより向上させた運転を行うことができる。ここで「燃料電池の導入効果」は、典型的には、省エネルギー性や、一般家庭が求める経済性、あるいは温暖化ガス排出抑制の観点等から、燃料電池を用いずに電力及び/又は熱の需要を満たす場合よりもメリットがあることをいう。
また、本発明の第2の態様に係る燃料電池システムの運転方法は、例えば図4を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る燃料電池システムの運転方法において、強制停止の有無にかかわらず、新たな前記運転計画の作成を許す作成条件が充足しているときに(ST5、ST8)、新たな前記運転計画を作成する運転計画作成工程(ST1)を備える。
このように構成すると、作成条件が充足しているときに新たな運転計画が作成されるため、運転計画の作成負担が軽減される。
また、本発明の第3の態様に係る燃料電池システムの運転方法は、例えば図4を参照して示すと、上記本発明の第2の態様に係る燃料電池システムの運転方法において、所定の時間ごとに前記作成条件が充足したか否かの判断(ST5、ST8)が行われ;運転計画作成工程(ST1)が、強制停止(ST7)されたときは、当該強制停止された要因が除去された後に開始される。
このように構成すると、所定の時間ごとに作成条件が充足したか否かの判断が行われるので、制御を簡単にすることができる。
また、本発明の第4の態様に係る燃料電池システムの運転方法は、上記本発明の第2の態様に係る燃料電池システムの運転方法において、強制停止(ST7)されたときは当該強制停止されたときに作成条件が充足したか否かの判断が行われ;運転計画作成工程(ST1)が、強制停止(ST7)されたときは、当該強制停止された要因が除去されたか否かにかかわらず当該強制停止されたときに開始される。
このように構成すると、強制停止がされたら直ちに復帰に向けて新たな運転計画の作成を開始することとなり、強制停止の要因が除去されてから復帰させるまでの時間を短くすることができる。
また、本発明の第5の態様に係る燃料電池システムの運転方法は、例えば図4を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムの運転方法において、強制停止の状態が継続される条件の解除(ST9)及び新たな運転計画の作成の完了(ST1)の両方が充足したときに、燃料電池システム1(例えば図1参照)が、新たに作成された運転計画に基づいた制御がされる状態に移行する復帰工程(ST2〜ST4)を備える。
このように構成すると、強制停止された際の運転計画に従った運転がされることを確実に回避することができる。
上記目的を達成するために、本発明の第6の態様に係る燃料電池システムは、例えば図1に示すように、燃料電池30と;燃料電池30で発生した熱を蓄える蓄熱槽80と;上記本発明の第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムの運転方法を実行する制御装置20とを備える。
このように構成すると、上記本発明の第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池システムの運転方法を実行する制御装置を備えるので、燃料電池の導入効果をより向上させた運転を行うことができる燃料電池システムとなる。
本発明によれば、強制停止後に新たな運転計画が作成されるまでは強制停止された際の運転計画から外れて燃料電池システムの再起動を禁止するので、強制停止が解除された後は新たな運転計画に従った運転がされることとなり、強制停止された際の運転計画に従った運転がされることに起因する燃料電池の導入効果の低下を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの模式的系統図である。 運転計画の例を示すタイムチャートである。 強制停止の類型を例示するテーブルの図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの制御を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る燃料電池システム1を説明する。図1は、燃料電池システム1の模式的系統図である。燃料電池システム1は、燃料電池30と、蓄熱槽としての貯湯槽80と、燃料電池30と貯湯槽80とを間接的に接続する熱交換器70と、燃料電池30を含むシステムの運転を制御する制御装置20とを備えている。
燃料電池30は、典型的には固体高分子形燃料電池である。燃料電池30は、水素を主成分とする改質ガスgを導入するアノード31と、酸素含有ガスとしての酸化剤ガスtを導入するカソード32と、電気化学的反応により発生した熱を奪う冷却部33とを含んで構成されている。カソード32に導入される酸化剤ガスtは、典型的には空気である。燃料電池30は、図では簡易的に示されているが、実際には、固体高分子膜をアノード31とカソード32とで挟んで単一のセルが形成され、このセルを冷却部33を介し複数枚積層して構成されている。燃料電池30では、アノード31に供給された改質ガスg中の水素が水素イオンと電子とに分解し、水素イオンが固体高分子膜を通過してカソード32に移動すると共に電子がアノード31とカソード32とを結ぶ導線を通ってカソード32に移動して、カソード32に供給された酸化剤ガスt中の酸素と反応して水を生成し、この反応の際に発熱する。この反応で、電子が導線を通ることにより、直流の電力を取り出すことができる。
燃料電池30から取り出された直流電力は、パワーコンディショナ38で交流電力に変換された後に電力負荷(不図示)に送電されるように構成されている。パワーコンディショナ38の先では、燃料電池30から電力負荷へ送電する電線91に商用電源99から受電する電線98が接続されており、電力負荷への給電は燃料電池30で発生した電力が優先的に供給され、不足分が商用電源99から供給された電力で賄われる。電力負荷は、例えば家庭に設置された冷蔵庫等の電力消費機器であるが、燃料電池システム1の補助機器も含まれる。電線98には、商用電源99から供給された電力を検出する電力計69が配設されている。
アノード31に供給される改質ガスgは、改質器34で生成される。改質器34は、炭化水素系の原料mと改質用水(不図示)とを導入し、加熱して、原料mの水蒸気改質反応により水素を主成分とする改質ガスgを生成する機器である。原料mは、例えば、メタン、エタン等の鎖式炭化水素(天然ガスも含む)、あるいはメタノール、石油製品(灯油、ガソリン、ナフサ、LPG等)等の炭化水素を主成分とする混合物等の種々の炭化水素系の気体又は液体の燃料が用いられるが、本実施の形態では気体燃料(ガス)が用いられることとして説明する。改質ガスgは、例えば、水素を40体積%以上、典型的には70〜80体積%程度含んだ、燃料電池30に供給するガスである。改質ガスg中の水素濃度は80体積%以上でもよく、すなわち燃料電池30に供給したときに酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電可能な濃度であればよい。
アノード31と改質器34とは、改質器34で生成された改質ガスgをアノード31に導く改質ガス管51と、アノード31から排出されたアノードオフガスpを改質器34に導くアノードオフガス管52とで接続されている。アノードオフガスpは、燃料電池30における電気化学的反応に利用されなかった水素を含むガスであり、改質器34に導入されて燃焼されることで原料mの改質に用いられる改質熱を発生させる。改質器34には、改質ガス管51及びアノードオフガス管52のほか、原料mを導入する原料管55が接続されている。原料管55には、原料mを改質器34に向けて圧送する原料ブロワ35が挿入配置されている。原料ブロワ35は補助機器の1つである。本実施の形態では、原料mが気体であるとして原料ブロワ35が用いられているが、原料mが液体の場合はブロワに代えてポンプが用いられる。原料ブロワ35より上流側の原料管55には、原料mの流量を計測するマイコンメータ39が設けられている。マイコンメータ39は、第1の所定の時間(例えば30日)ガスが流れ続けたときに、ガス漏れが生じていると推定して警報を発する保護機能を有している。
カソード32には、酸化剤ガスtを導入する酸化剤ガス管54と、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった酸素を含むカソードオフガスqを排出するカソードオフガス管54Qとが接続されている。酸化剤ガス管54には、カソード32に酸化剤ガスtを送る空気ブロワ36が配設されている。空気ブロワ36は補助機器の1つである。冷却部33には、冷却水cを導入する冷却水管75と、燃料電池30から熱を奪って温度が上昇した冷却水cを熱交換器70に導く冷却水管74とが、それぞれ接続されている。冷却水管74、75により、燃料電池30から導出された媒体水としての冷却水cが熱交換器70を通過し、熱交換器70を通過して温度が下がった冷却水cが燃料電池30に導入されるように循環流路が形成されている。冷却水管75には内部を流れる冷却水cを循環させる冷却水ポンプ73が配置されている。冷却水ポンプ73は補助機器の1つである。
熱交換器70は、冷却水cと蓄熱水hとの間で熱交換を行う機器であり、典型的にはプレート型熱交換器が用いられる。熱交換器70は、燃料電池30から受熱して温度が上昇した冷却水cと、冷却水cよりも温度が低い蓄熱水hとがカウンターフローにより熱交換し、燃料電池30の排熱を冷却水cから蓄熱水hに伝達するように構成されている。熱交換器70には、冷却水管74、75のほか、蓄熱水hを導入する蓄熱水管85と、冷却水cから受熱して温度が上昇した蓄熱水hを貯湯槽80に導く蓄熱水管84とが、それぞれ接続されている。蓄熱水管84は、熱交換器70から導出された蓄熱水hが貯湯槽80の上部に流入するように貯湯槽80の上部に接続されており、好適には頂部に接続される。蓄熱水管85は、熱交換器70に導入される蓄熱水hが貯湯槽80の下部から採水されるように貯湯槽80の下部に接続されており、好適には底部に接続される。蓄熱水管84、85は熱交換器70及び貯湯槽80と接続されて循環流路を形成している。蓄熱水管85には内部を流れる蓄熱水hを循環する蓄熱水ポンプ83が配置されている。蓄熱水ポンプ83は補助機器の1つである。
貯湯槽80は、熱交換器70で燃料電池30の排熱を受熱した蓄熱水hが蓄熱水管84を通って流入し、燃料電池30で発生した熱が蓄熱されるように構成されている。流入して貯湯槽80に貯留された蓄熱水hは、上部の温度が高く下部の温度が低い温度成層が形成されている。貯湯槽80には、内部に貯留されている蓄熱水の温度を検出する温度センサであって、上部に配設された上部温度センサ81Aと、下部に配設された下部温度センサ81Bと、これらの中間に適宜設けられた温度センサ(不図示)とが複数設けられている。蓄熱水hを媒体として貯湯槽80に蓄えられた熱は、給湯や暖房機器(床暖房やファンコイルユニット等)などの熱需要(不図示)にて任意の時間に利用される。貯湯槽80には、蓄えられている蓄熱水hを供給温水Wpとして給湯や暖房機器などの熱需要に供給するための温水往管42が上部に、暖房機器等で熱が利用されて温度が低下した戻り温水Wqを導入する温水還管43が下部に、給湯等で消費された温水分の水を補充するために補給水Ws(例えば市水等)を導入する補給水管48が下部に、それぞれ接続されている。供給温水Wp、戻り温水Wq、補給水Ws、及び蓄熱水hは、用途に応じて呼称を区別したものであり、物質として見れば同じものであって、貯湯槽80内では混合される。
温水往管42には、典型的には、熱需要に向けて供給される供給温水Wpを加熱昇温する不図示の加熱器(例えば追い焚き器)が配設されている。また、温水往管42には、熱需要に向けて供給される供給温水Wpの流量を検出する流量計65が設けられている。また、加熱器(不図示)よりも下流側の温水往管42には、熱需要に向けて供給される供給温水Wpの温度を検出する温水往管温度センサ66が設けられている。温水還管43には、熱需要において熱が利用され温度が低下して貯湯槽80へ戻ってきた戻り温水Wqの温度を検出する温水還管温度センサ67が設けられている。補給水管48には、貯湯槽80に補充される補給水Wsの量を計測する水量検出手段としての量水器68が設けられている。なお、温水往管42から導出された供給温水Wpと補給水管48から導入される補給水Wsの量とが同じになる場合は、補給水管48及び量水器68を設けなくてもよい。
蓄熱水管84にはバイパス管86が接続されており、バイパス管86の他端は蓄熱水ポンプ83よりも上流側で蓄熱水管85に接続されている。バイパス管86は、蓄熱水管84を流れる蓄熱水hを貯湯槽80に流入させずに蓄熱水管85に導く管である。蓄熱水管84とバイパス管86との分岐部には、蓄熱水hの流れ方向を切り替える三方弁82が配設されている。三方弁82と制御装置20とは信号ケーブルで接続されており、三方弁82は制御装置20からの信号を受信して蓄熱水hの流路を切り替えることができるように構成されている。三方弁82の直近上流の蓄熱水管84には、蓄熱水hの温度を検出する温度検出器としてのバイパス温度センサ61が設けられている。なお、三方弁82の設置位置は、蓄熱水管84とバイパス管86との接続部に限られず、蓄熱水管85とバイパス管86との接続部であってもよい。また、三方弁82に代えて二方弁を2個用いることにより、蓄熱水hの流れ方向を切り替えることができるように構成してもよい。
制御装置20は、燃料電池システム1の動作を制御する機器である。制御装置20は、バイパス温度センサ61、流量計65、温水往管温度センサ66、温水還管温度センサ67、量水器68、電力計69のそれぞれと信号ケーブルで接続されており、それぞれで検出された値を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置20は、原料ブロワ35、空気ブロワ36、冷却水ポンプ73、蓄熱水ポンプ83のそれぞれと信号ケーブルで接続されており、各ブロワ35、36及び各ポンプ73、83の動作(発停や回転速度等)を制御することができるように構成されている。また、制御装置20は、パワーコンディショナ38と信号ケーブルで接続されており、燃料電池30で発生した電力の値を受信することができるように構成されている。また、制御装置20は、リモコン10と信号ケーブルで接続されており、燃料電池システム1の運転に関するユーザーからの命令を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置20には、燃料電池システム1の制御の指針となるプログラムが記憶されている。制御装置20は、タイマー及びカレンダーを有するほか、記憶部21、演算部22、作成部23、評価部24、制御部25を含んで構成されており、プログラムにより、どのタイミングで燃料電池30の発電及び停止を行うかの予定表である運転計画を作成する。
図2に、作成された運転計画の一例を示す。図2に示す例では、3時に作成された、翌3時までの運転計画である。この運転計画によれば、5時から11時半までと17時から1時までに、燃料電池30で発電を行う予定になっている。このような運転計画を、制御装置20は、以下の要領で作成する。まず、上述の各計器から受信した値を基に、電力需要あるいは給湯や暖房等の熱需要がいつ頃生じたかや、補給水Wsの温度や外気温等の推移を記憶部21に記憶する。演算部22は、記憶部21に記憶された情報並びにリモコン10から入力された熱需要の予約状況(例えば風呂の湯張り予約等)及び貯湯槽80内の蓄熱状況等を基に、現在から第2の所定の時間(例えば24時間)先までの電力需要及び熱需要の予測・演算を行う。演算部22では、需要の予測を行うに際し、過去の需要データを過去数日分重み付けした加重平均処理をしたり、当日と類似度の高い日の需要データを予測値としてもよい。演算部22で需要等の演算をしたら、作成部23は運転計画の作成を行う。運転計画は、典型的には複数作成される。複数作成された運転計画は、シミュレーションソフトウェアが搭載された評価部24において、所定の基準(消費エネルギーが最も少ない、CO排出量が最も少ない等)に照らしたシミュレートがされることにより評価され、シミュレーション結果から最も適切な1つの運転計画を選定する。そして、制御部25が、選定された運転計画に沿って、燃料電池システム1の動作を制御する。
引き続き図1を参照して、燃料電池システム1の作用を説明する。以下の説明の中で図1以外の図面を参照する際も、燃料電池システム1の構成の符号は図1を参照することとする。運転計画上において燃料電池システム1を起動する時間になると、制御装置20は原料ブロワ35を起動させて原料mを改質器34に導入させる。また、改質器34の燃焼部に燃焼用の燃料として原料m及び燃焼用の空気を供給し燃焼させて改質熱を発生させる。改質用の原料mには改質用水(不図示)を混合させ、改質器34において原料mを改質して水素を主成分とする改質ガスgを生成する。生成された改質ガスgは、改質ガス管51を介して燃料電池30のアノード31に導入される。他方、制御装置20は空気ブロワ36を起動させて酸化剤ガスtをカソード32に導入させる。
アノード31に改質ガスgが導入され、カソード32に酸化剤ガスtが導入されると、燃料電池30では改質ガスg中の水素と酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電が行われる。燃料電池30で発電された電力は直流電力であるため、パワーコンディショナ38にて交流電力に変換された後に電力需要(不図示)に供給される。制御装置20は、典型的には電力需要(不図示)における消費電力よりも所定の容量(例えば100W)だけ少ない電力を燃料電池30で発電するように、原料ブロワ35及び空気ブロワ36の回転速度を調節して、燃料電池30に導入される改質ガスg及び酸化剤ガスtの流量を制御する。電力需要(不図示)が燃料電池30から電力の供給を受けてなお不足する電力は、商用電源99から供給を受けることで補われる。燃料電池30は、その性質上、電力需要の急峻な変動に追従することが困難であるため、電力需要(不図示)における消費電力よりも所定の容量だけ少ない電力を発電することにより、燃料電池30で発電した電力が商用電源99の系統に逆潮流することを防いでいる。
燃料電池30の作動中、アノード31からはアノードオフガスpが排出される。排出されたアノードオフガスpは、アノードオフガス管52を介して改質器34の燃焼部に導かれて燃焼され、改質熱を発生させることができる。他方、カソード32からはカソードオフガスqが排出され、カソードオフガス管54Qを介して系外に排出される。
燃料電池30は、発電が行われるのに伴い熱が発生する。制御装置20は、改質ガスg及び酸化剤ガスtが燃料電池30に導入されたら、冷却水ポンプ73及び蓄熱水ポンプ83を起動する。また、制御装置20は、三方弁82に信号を送信して、当初は蓄熱水hがバイパス管86を流れるように三方弁82の通水方向を設定し、バイパス温度センサ61で検出された蓄熱水hの温度が熱需要で利用可能な温度(例えば45〜50℃の任意の温度)以上のときは貯湯槽80に流入するように三方弁82の通水方向を切り替える。冷却水ポンプ73が起動されることにより冷却水cが冷却水管74、75を循環する。これにより、燃料電池30の冷却部33に導入された冷却水cは燃料電池30から熱を奪って温度が上昇し、他方、燃料電池30は冷やされる。燃料電池30は、冷却水cで冷却されることにより発電に適した温度(典型的には60℃〜80℃)に維持される。燃料電池30の熱を奪って温度が上昇した冷却水cは、熱交換器70で蓄熱水hと熱交換して燃料電池30を冷却可能な程度に温度が低下し、他方、蓄熱水hの温度は上昇する。温度が低下した冷却水cは、再び冷却部33に導入されて燃料電池30で発生した熱を奪う、というように冷却水管74、75を循環する。
熱交換器70で冷却水cと熱交換することにより温度が上昇した蓄熱水hは、その後貯湯槽80の上部に流入する。他方、貯湯槽80の下部からは、熱交換器70に導入される冷却水cよりも温度が低い蓄熱水hが導出される。貯湯槽80の下部から導出された蓄熱水hは、熱交換器70に導入され、冷却水cと熱交換を行って温度が上昇する。貯湯槽80には温度が高い蓄熱水hが上部から導入されることにより、温度成層が形成される。なお、形成された温度成層をできるだけ乱さないようにする観点から、貯湯槽80に導入される蓄熱水hの動圧はできるだけ小さい方がよい。
貯湯槽80に蓄えられた温度が高い蓄熱水hは、温水往管42を介して給湯や暖房機器(床暖房やファンコイルユニット等)などの熱需要(不図示)に供給温水Wpとして供給される。熱需要に供給された温水は、例えば、暖房機器等の熱を利用して物質としての水を消費しない場所に供給された場合は、暖房機器等において熱が利用されて温度が低下した後に戻り温水Wqとして温水還管43を介して貯湯槽80の下部に戻される。給湯等の物質としての水の消費を伴う場所に供給された場合は、給湯等に利用されて消費された分の補給水Wsが補給水管48を介して貯湯槽80の下部に補充される。これらにより、貯湯槽80の下部から流出する蓄熱水hは、熱交換器70に導入される冷却水cよりも温度が低くなる。
運転計画上において燃料電池システム1を停止する時間になると、制御装置20は、燃料電池30への改質ガスg及び酸化剤ガスtの導入を停止させて燃料電池30が発電を行わないようにする。この際、制御装置20は、冷却水ポンプ73及び蓄熱水ポンプ83を停止して、冷却水管74、75中の冷却水cの循環及び蓄熱水管84、85中の蓄熱水hの循環を停止させる。燃料電池システム1の停止は、運転計画に従う場合のほか、運転計画から外れて強制的に行われる場合がある(強制停止)。強制停止は、例えば以下の観点から行われ、運転計画に優先する。
図3は、強制停止の類型を示すテーブルである。強制停止として、第1に、ユーザーがリモコン10から停止の指令を送る場合がある(No.1)。これは、例えばユーザーが日常のルーチンとは異なり旅行に出かけるために生活に伴う電力及び熱を利用しないことがあらかじめ分かっている場合等が挙げられる。この場合、ユーザーがリモコン10で解除指令を入力することで、強制停止が解除される。
第2に、貯湯槽80の蓄熱量が満杯になったときに強制停止する(No.2)。これは、例えば熱の消費がなく供給温水Wpの導出がないために、戻り温水Wq及び/又は補給水Wsの貯湯槽80への導入がなく、熱交換器70に導入される蓄熱水hの温度が低くならない(このため燃料電池30を冷却可能な程度に冷却水cを冷却できない)場合が典型例である。この場合、貯湯槽80の熱が消費され、貯湯槽80の下部の蓄熱水hが冷却水cを介して燃料電池30を冷却可能な程度の温度になると、強制停止が解除される。
第3に、蓄熱水hが蓄熱水管74、75及び/又は貯湯槽80中に長時間滞留したまま温度が低下したために蓄熱水h中にレジオネラ属菌が繁殖するおそれがある場合に強制停止する(No.3)。レジオネラ属菌の発生が懸念されるようになる長時間は、補給水Wsの水質や外気温度等の影響も受ける。この場合、燃料電池30の発電を停止した状態で滞留していた蓄熱水hを滅菌温度以上に加熱してレジオネラ属菌の発生の懸念が払拭されると、強制停止が解除される。
第4に、燃料電池システム1が連続して運転されている状況において、第1の所定の時間(例えば30日間)原料mが改質器34に供給され続けることに伴ってマイコンメータ39の保護動作が作動することを防ぐため、燃料電池システム1の運転開始から第1の所定の時間に達する前に強制停止する(No.4)。一般に、商用ガスの供給を受ける家庭等にはマイコンメータ39が設置されており、需要が多い家庭では第1の所定の時間以上連続して燃料電池システム1の運転をする場合がある。マイコンメータ39の保護動作が作動して原料mの流れが遮断されると、原料mの改質器34への供給が停止されて改質ガスgが生成されなくなり、ひいては燃料電池30での発電がなされなくなる。一旦マイコンメータ39の保護動作が作動すると、保守担当者等による保護動作の解除を行うこととなる。そこで、マイコンメータ39の保護動作が作動することを回避するため、第1の所定の時間に達する前の適切な時期(例えば25日経過時)に強制停止する。この場合、マイコンメータ39の保護動作を作動させるタイミングを図る第1の所定の時間の計測がリセットされる時間(例えば60分)マイコンメータ39への原料mの通過を遮断することで、強制停止が解除される。なお、本実施の形態では原料mがガスであるとしているので上述のようになるが、原料mが液体(例えば灯油)の場合は、マイコンメータ39の保護動作に代えて、原料mを貯留するタンク内の原料mの残量が少なくなったときに強制停止する。
第5に、制御装置20が、パワーコンディショナ38や電力計69等の各種計器類から取得した値を、あらかじめ記憶された異常の類型に照らして判断して、燃料電池システム1に異常が発生したと判断したときに強制停止する(No.5)。このとき、発生した異常が軽微かつ一過性のものである場合もある。この場合、強制停止後も引き続きパワーコンディショナ38や電力計69等の各種計器類から計測値を取得し、あらかじめ記憶された異常の類型に適合しなくなることで、強制停止が解除される。なお、異常が解消しない場合は、保守担当者等によるメンテナンスを行う等により発生した異常を取り除くまで燃料電池システム1の停止が維持されることとなる。
上記で例示した強制停止は、燃料電池システム1を適切に運転する上で重要な事項であるため運転計画に優先するが、これまでは、強制停止が解除されたときに運転計画上で運転のタイミングであると、直ちに運転が再開されていた。しかし、燃料電池システム1の起動時はエネルギーの消費が大きく、例えば図2に示す運転計画上の11時に強制停止が解除された場合のように、まもなく運転が停止するタイミングで燃料電池システム1が起動されると、起動に必要なエネルギーを消費するだけで、有効に利用できる電気及び熱のエネルギーを燃料電池30から取り出さないまま停止される場合も起こりうる。上記の極端な例以外にも、強制停止が解除された時点で直ちに起動しない方が、燃料電池システム1の導入効果がより向上する場合がある。そこで、燃料電池システム1では、強制停止が生じたときを含めて以下のように運転することとしている。
図4は、強制停止時を含む燃料電池システム1の制御を説明するフローチャートである。以下の説明において燃料電池システム1の構成の言及については適宜図1を参照することとする。燃料電池システム1の運用開始時、制御装置20は、上述の要領で運転計画を作成し、適用する運転計画を選定する(ST1)。運転計画の作成・選定の所要時間は、典型的には、制御装置20の演算能力に応じて決まる。なお、既に運用が開始され、作成・選定済みの運転計画に基づいて停止しているときは、運転計画を作成・選定する工程(ST1)を省略してもよい。次に制御装置20は、運転計画上で運転する時間になっているか否かを判断する(ST2)。制御装置20は、運転する時間になっていなければ停止し(ST3)、再び運転計画上で運転する時間になっているか否かを判断する工程(ST2)に戻る。他方、運転する時間になっていれば燃料電池システム1を運転する(ST4)。
燃料電池システム1を運転したら、制御装置20は、新たな運転計画を作成する条件が充足したか否かを判断する(ST5)。本実施の形態では、所定の時間(第3の所定の時間)ごと(例えば20分ごと)に条件が充足したか否かを判断することとしている。ここで「第3の所定の時間」は、制御装置20に過度の負荷がかからない程度を下限とし、予測と現実のずれが生じた際に許容範囲に収めることができる程度を上限として、制御装置20の演算能力に応じて任意に決定するとよく、典型的には、運転計画を作成し選定するのに要する時間に余裕分の時間(プラスアルファ)を加算した時間に設定するとよい。また、「作成条件が充足しているとき」は、典型的には、運転計画作成の前提となった電力及び/又は熱の需要の予測と実際の電力及び/又は熱の消費の状況並びに貯湯槽80の蓄熱量とを比較して、現在の状況が予測から許容範囲を超えてずれが生じていて運転計画の更新が必要と判断されたときである。新たな運転計画を作成する条件が充足したか否かを判断する工程(ST5)において、条件が充足している場合は運転計画を作成・選定する工程(ST1)に戻り、他方、条件が充足していない場合は図3に例示するような強制停止があったか否かを判断する(ST6)。
強制停止があったか否かを判断する工程(ST6)において、強制停止がなかった場合は、運転計画上で運転する時間になっているか否かを判断する工程(ST2)に戻る。他方、強制停止があった場合は、制御装置20は、燃料電池システム1を停止して、再起動を禁止する(ST7)。このように、起動を制限することで、たとえ強制停止が解除されても強制停止された際の運転計画(古い運転計画)に従った運転がなされることを回避することができ、古い運転計画に従った運転がなされることに起因する燃料電池システム1の導入効果の低下を抑制することができる。
再起動禁止状態で燃料電池システム1が停止しているときに(ST7)、制御装置20は新たな運転計画を作成する条件が充足したか否かを判断する(ST8)。ここでの作成条件が充足したか否かの判断は、上述の工程ST5と同様に、第3の所定の時間ごとに行われる。このように、定常運転時も強制停止時も変わりなく第3の所定の時間が経過したときに運転計画作成条件が充足したか否かを判断することとすると、強制停止があってもなくても制御のシーケンスを代えなくて済むため制御を簡単にすることができる。なお、強制停止があったときは、通常、運転計画から外れている(予測からずれている)こととなるため、運転計画作成条件が充足していることとなる。
新たな運転計画を作成する条件が充足したか否かを判断する工程(ST8)において、条件が充足しない場合は、充足するまでこの判断(ST8)を繰り返す。他方、条件が充足した場合は、強制停止の要因が除去されたか否かを判断する(ST9)。強制停止の要因が除去されていない場合は、除去されるまでこの判断(ST9)を繰り返す。他方、強制停止の要因が除去された場合は、運転計画を作成・選定する工程(ST1)に戻り、以降上述の制御を繰り返す。
以上の説明では、新たな運転計画を作成する条件が充足したか否かの判断(ST5、ST8)を、強制停止の有無にかかわらず第3の所定の時間ごとに行うこととしたが、強制停止(ST7)がされた後に行う運転計画作成条件が充足したか否かの判断(ST8)における運転計画作成条件の充足を、強制停止されたとき(ST7)として、強制停止された直後から新たな運転計画を作成・選定してしまい、強制停止の要因が除去されたら(ST9)運転計画上で運転する時間になっているか否かを判断する工程(ST2)に進むように構成してもよい。これを図4のフローチャートを参照して説明すると、工程ST8と工程ST9の間に工程ST1を行うこととし、工程ST9でYesとなったときに工程ST2へ進むように改変することとなる。このようにすると、強制停止がされたら直ちに復帰に向けて新たな運転計画の作成を開始することとなり強制停止の要因が除去されてから復帰させるまでの時間を短くすることができる。
以上の説明では、燃料電池30が固体高分子型燃料電池であるとしたが、りん酸型燃料電池等の固体高分子型燃料電池以外の燃料電池であってもよい。しかしながら、固体高分子型燃料電池とすると、比較的低温で運転することができ、装置を小型化できるので、一般家庭等に設置するのに適している。
1 燃料電池システム
20 制御装置
30 燃料電池
80 貯湯槽

Claims (6)

  1. 燃料電池と、前記燃料電池で発生した熱を蓄える蓄熱槽と、を有する燃料電池システムを、過去の電力及び熱の需要に基づいて作成された運転計画に基づいて運転する運転工程と;
    前記運転計画に反して前記燃料電池システムの運転が強制停止されたときに、前記強制停止後に新たな前記運転計画が作成されるまでは、前記強制停止された際の運転計画から外れて、前記燃料電池システムの再起動を禁止する起動制限工程とを備える;
    燃料電池システムの運転方法。
  2. 前記強制停止の有無にかかわらず、新たな前記運転計画の作成を許す作成条件が充足しているときに、新たな前記運転計画を作成する運転計画作成工程を備える;
    請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
  3. 所定の時間ごとに前記作成条件が充足したか否かの判断が行われ;
    前記運転計画作成工程が、前記強制停止されたときは、当該強制停止された要因が除去された後に開始される;
    請求項2に記載の燃料電池システムの運転方法。
  4. 前記強制停止されたときは当該強制停止されたときに前記作成条件が充足したか否かの判断が行われ;
    前記運転計画作成工程が、前記強制停止されたときは、当該強制停止された要因が除去されたか否かにかかわらず当該強制停止されたときに開始される;
    請求項2に記載の燃料電池システムの運転方法。
  5. 前記強制停止の状態が継続される条件の解除及び前記新たな運転計画の作成の完了の両方が充足したときに、前記燃料電池システムが、新たに作成された前記運転計画に基づいた制御がされる状態に移行する復帰工程を備える;
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システムの運転方法。
  6. 燃料電池と;
    前記燃料電池で発生した熱を蓄える蓄熱槽と;
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池システムの運転方法を実行する制御装置とを備える;
    燃料電池システム。
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