JP2009218052A - 燃料電池コージェネレーションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】熱媒体を流すラインの誤接続を正確に察知することができる燃料電池コージェネレーションシステムを提供すること。
【解決手段】燃料電池コージェネレーションシステム1は、水素と酸素との電気化学的反応により発電し発熱する燃料電池20と、燃料電池20で発生した熱を奪う冷却水cを流す冷却水ライン21と、冷却水cの熱を排熱回収水hに伝達する熱交換器30と、排熱回収水hを蓄える貯湯槽40と、排熱回収水hを、熱交換器30から貯湯槽40へと導くべき高温排熱回収水ライン31Aと、排熱回収水hを、貯湯槽40から熱交換器30へと導くべき低温排熱回収水ライン31Bと、貯湯槽40から導出されるべき排熱回収水hの温度を検出する導出水温度検出器64と、導出水温度検出器64の検出温度に基づいて、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断する判断装置60とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】燃料電池コージェネレーションシステム1は、水素と酸素との電気化学的反応により発電し発熱する燃料電池20と、燃料電池20で発生した熱を奪う冷却水cを流す冷却水ライン21と、冷却水cの熱を排熱回収水hに伝達する熱交換器30と、排熱回収水hを蓄える貯湯槽40と、排熱回収水hを、熱交換器30から貯湯槽40へと導くべき高温排熱回収水ライン31Aと、排熱回収水hを、貯湯槽40から熱交換器30へと導くべき低温排熱回収水ライン31Bと、貯湯槽40から導出されるべき排熱回収水hの温度を検出する導出水温度検出器64と、導出水温度検出器64の検出温度に基づいて、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断する判断装置60とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は燃料電池コージェネレーションシステムに関し、特に熱媒体を流すラインの誤接続を正確に察知することができる燃料電池コージェネレーションシステムに関する。
燃料電池は、水素と酸素との電気化学的反応により発電する装置である。燃料電池における電気化学的反応の際に発熱があるため、この発生した熱を有効利用すべく蓄熱装置としての貯湯槽と燃料電池とを組み合わせて燃料電池コージェネレーションシステムを構築することが多い。燃料電池コージェネレーションシステムは、一般に、燃料電池及び貯湯槽の他、熱交換器や気液分離器、ポンプ、ブロワ、純水装置、各種センサ等の多くの付帯機器を備えている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−032153号公報(図1等)
昨今の、燃料電池コージェネレーションシステムを一般家庭に普及させることが喫緊の課題となっている状況下においては、燃料電池コージェネレーションシステムの設置面積を可能な限り小さくすることが求められている。上記のように多数の付帯機器を備えるコージェネレーションシステムの設置面積を可能な限り小さくすると、多くの配管や配線が密集せざるを得ず、配管を誤って接続してしまう場合も生じうる。特に、燃料電池で発生した熱を貯湯槽へ運ぶ媒体を通す配管を誤って接続すると、熱媒体は燃料電池の冷却水としても機能するものであるため、燃料電池を適正な温度に保つことができなくなり、ひいては燃料電池コージェネレーションシステムの運転を継続することができなくなる。
本発明は上述の課題に鑑み、熱媒体を流すラインの誤接続を正確に察知することができる燃料電池コージェネレーションシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1に示すように、水素と酸素との電気化学的反応により発電し発熱する燃料電池20と;燃料電池20で発生した熱を奪う冷却水cを流す冷却水ライン21と;冷却水cの熱を排熱回収水hに伝達する熱交換器30と;排熱回収水hを蓄える貯湯槽40と;排熱回収水hを、熱交換器30から貯湯槽40へと導くべき高温排熱回収水ライン31Aと;排熱回収水hを、貯湯槽40から熱交換器30へと導くべき低温排熱回収水ライン31Bと;貯湯槽40から導出されるべき排熱回収水hの温度を検出する導出水温度検出器64と;導出水温度検出器64の検出温度に基づいて、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があった(例えば図2参照)と判断する判断装置60とを備える。ここで「導くべき(導出されるべき)」とは、期待される機能を発揮するように各部材間で正常に接続されていたならば(つまり、誤接続がなければ)導く(導出される)ことを意味する。
このように構成すると、導出水温度検出器の検出温度に基づいて、高温排熱回収水ライン及び低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断する判断装置を備えるので、正常に接続されている場合には検出されることがない温度を誤接続があった場合に検出することが可能になり、高温排熱回収水ライン及び低温排熱回収水ラインの誤接続を正確に察知することができる。
また、本発明の第2の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、貯湯槽40へ導入されるべき排熱回収水hの温度を検出する導入水温度検出器63を備え;判断装置60が、導出水温度検出器64の検出温度が導入水温度検出器63の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続したときに、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断するように構成されている。
このように構成すると、導出水温度検出器の検出温度が導入水温度検出器の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続したときに誤接続があったと判断するので、例えば正常に接続されているが貯湯槽内に高温の排熱回収水が残っていたために一時的に導出水温度検出器の検出温度が導入水温度検出器の検出温度よりも高くなっているような場合に誤接続であると誤判定することがなく、誤接続を正確に察知することができる。
また、本発明の第3の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、判断装置60が、導出水温度検出器64の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続したときに、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断するように構成されている。
このように構成すると、導出水温度検出器の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続したときに誤接続があったと判断するので、例えば正常に接続されているが貯湯槽内に高温の排熱回収水が残っていたために一時的に導出水温度検出器の検出温度が導入水温度検出器の検出温度よりも高くなっているような場合に誤接続であると誤判定することがなく、誤接続を正確に察知することができる。
また、本発明の第4の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、貯湯槽40へ導入されるべき排熱回収水hの温度を検出する導入水温度検出器63を備え;判断装置60が、導出水温度検出器64の検出温度が導入水温度検出器63の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続し、かつ、導出水温度検出器64の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続したときに、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断するように構成されている。
このように構成すると、上記本発明の第2の態様及び第3の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムよりも正確に誤接続を察知することができる。
また、本発明の第5の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、導出水温度検出器64よりも上流側に位置すべき貯湯槽40内の排熱回収水hの温度を検出する貯湯槽内温度検出器66Dを備え;判断装置60が、導出水温度検出器64の検出温度が貯湯槽内温度検出器66Dの検出温度よりも第3の所定の温度以上高いときに、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断するように構成されている。
このように構成すると、正常に接続されている場合には検出されることがない温度を誤接続があった場合に検出することが可能になり、高温排熱回収水ライン及び低温排熱回収水ラインの誤接続を正確に察知することができる。
また、本発明の第6の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、貯湯槽40へ導入されるべき排熱回収水hの温度を検出する導入水温度検出器63を備え;貯湯槽40が、内部に蓄えた排熱回収水hを第4の所定の温度以上に加熱する加熱手段46を有し;判断装置60が、導出水温度検出器64の検出温度が導入水温度検出器63の検出温度よりも第5の所定の温度以上高く、かつ、導出水温度検出器64の検出温度が第6の所定の温度を超えており、かつ、加熱手段46が作動しておらず及び加熱手段46が作動を停止してから第3の所定の時間以上が経過しているときに、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があったと判断するように構成されている。
このように構成すると、誤接続が生じていないにもかかわらず誤接続があったという誤った判断がされることを回避することができる。
また、本発明の第7の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、冷却水ライン21Aに挿入配置され、冷却水ライン21Aを流れる冷却水cを昇温する昇温器50と;冷却水cを、燃料電池20、昇温器50及び熱交換器30にこの順番で流す冷却水ポンプ22と;排熱回収水hを、熱交換器30と貯湯槽40との間で循環させる排熱回収水ポンプ32とを備え;昇温器50で冷却水cを昇温させると共に冷却水ポンプ22及び排熱回収水ポンプ32を起動した状態で、判断装置60が誤接続があったか否かを判断するように構成されている。
このように構成すると、昇温器で冷却水を昇温させると共に冷却水ポンプ及び排熱回収水ポンプを起動した状態で、判断装置が誤接続があったか否かを判断するので、昇温器で強制的に冷却水を昇温させることとなって、高温排熱回収水ラインを流れる排熱回収水の温度を短時間で昇温させることが可能となり、誤接続があったか否かの判断に要する時間を短縮することができる。
また、本発明の第8の態様に係る燃料電池コージェネレーションシステムは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池コージェネレーションシステム1において、冷却水ライン21、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bのうち少なくとも1つが通水可能に接続された後に初めて排熱回収水hを昇温するときにのみ、判断装置60が誤接続があったか否かを判断するように構成されている。
このように構成すると、判断装置が誤接続があったか否かを判断する回数を削減することができ、判断装置が判断する際に要するエネルギを削減することができる。
本発明によれば、導出水温度検出器の検出温度に基づいて、高温排熱回収水ライン及び低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断する判断装置を備えるので、正常に接続されている場合には検出されることがない温度を誤接続があった場合に検出することが可能になり、高温排熱回収水ライン及び低温排熱回収水ラインの誤接続を正確に察知することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、図1及び図2中、破線は制御信号を表す。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る燃料電池コージェネレーションシステム1の構成について説明する。図1は、燃料電池コージェネレーションシステム1の模式的系統図である。燃料電池コージェネレーションシステム1は、主要な機器として、燃料電池20と、熱交換器30と、貯湯槽40と、昇温器としての電気ヒータ50と、判断装置としての制御装置60とを備えている。
燃料電池20は、水素と酸素との電気化学的反応により発電し発熱するものであり、典型的には固体高分子型燃料電池である。燃料電池20は、改質器(不図示)で生成された改質ガスgを導入する燃料極20aと、酸化剤ガスtを導入する空気極20cと、電気化学的反応により発生した熱を奪う冷却部20rとを含んで構成されている。改質器(不図示)は、原料とプロセス水とを導入し水蒸気改質反応により水素に富む改質ガスgを生成する機器である。原料は、典型的には、メタン、エタン、LPG等の鎖式炭化水素(天然ガスも含む)、あるいはメタノール、石油製品(灯油、ガソリン、ナフサ等)等の炭化水素を主成分とする混合物等の炭化水素系の原料である。改質ガスgは、水素を40%以上、典型的には75%程度含み、一酸化炭素濃度がおよそ10ppm以下程度のガスである。酸化剤ガスtは、典型的には空気である。燃料電池20は、図では簡易的に示されているが、実際には、固体高分子膜を燃料極20aと空気極20cとで挟んで単一のセルが形成され、このセルを冷却部20rを介し複数枚積層して構成されている。
燃料電池20では、燃料極20aに供給された改質ガスg中の水素が水素イオンと電子とに分解し、水素イオンが固体高分子膜を通過して空気極20cに移動すると共に電子が燃料極20aと空気極20cとを結ぶ導線を通って空気極20cに移動して、空気極20cに供給された酸化剤ガスt中の酸素と反応して水を生成し、この反応の際に発熱する。この反応で発生した熱は、冷却部20rに供給される冷却水cによって除去される。換言すれば、燃料電池20は冷却水cにより冷却される。また、この反応における、電子が導線を通ることにより、直流の電力を取り出すことができる。燃料電池20は、直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナー(不図示)を介して、電気ヒータ50、商用電源98及び電力負荷99とそれぞれ電気的に接続されている。
熱交換器30は、燃料電池20を冷却する冷却水cと、燃料電池20で発生した熱を貯湯槽40に蓄える媒体である排熱回収水hとの間で熱交換を行う機器であり、典型的にはプレート型熱交換器が用いられる。熱交換器30は、冷却水cと排熱回収水hとが混合することがないように構成されている。熱交換器30は、燃料電池20から受熱して温度が上昇した冷却水cと冷却水cよりも温度が低い排熱回収水hとがカウンターフローにより熱交換し、燃料電池20で発生した熱を冷却水cから排熱回収水hに伝達するように構成されている。熱交換器30を用いて冷却水cと排熱回収水hとを別系統の流れとすることにより、冷却水c及び排熱回収水hの水質を個別に管理することが可能となる。
貯湯槽40は、燃料電池20における電気化学的反応の際に発生した熱を、排熱回収水hを媒体として蓄える機器である。貯湯槽40は、典型的には鉛直方向に長く耐食性に富む容器で形成されている。鉛直方向に長く形成されていることにより、内部に貯留される排熱回収水hの温度が上部から下部に向かうにしたがって低くなる温度成層の形成が容易になる。なお、排熱回収水hを媒体として貯湯槽40に蓄えられた熱は、給湯や暖房機器(床暖房やファンコイルユニット等)などの熱需要(不図示)にて任意の時間に利用される。貯湯槽40には、蓄えられている排熱回収水hを温水として給湯や暖房機器などの熱需要に供給するための温水往管42が上部に、暖房機器等で熱が利用されて温度が低下した温水を導入する温水還管43が下部に、給湯等で消費された温水分の水を補充するために水(例えば市水等)を導入する補給水管48が下部に、それぞれ接続されている。補給水管48には、貯湯槽40に補充される水の量を計測する量水器68が設けられている。なお、貯湯槽40を水平方向に長く形成して、貯湯槽40内で水平方向に排熱回収水hの温度差があるように構成してもよい。
また、貯湯槽40内には、貯湯槽40内に貯留されている排熱回収水hの温度を検出する貯湯槽内温度検出器としての貯湯槽温度センサ66が配設されている。貯湯槽温度センサ66は、貯湯槽40内の排熱回収水hの温度成層の温度分布を検出可能なように、貯湯槽40内を排熱回収水hが流れるべき方向に間隔をあけて複数個設けられている。本実施の形態では、鉛直方向(排熱回収水hが流れるべき方向)で貯湯槽40内の排熱回収水hを5等分に仮想分割したその仮想境界のそれぞれに貯湯槽温度センサ66が設けられている。したがって本実施の形態では、貯湯槽40内に4つの貯湯槽温度センサ66が設けられることとなる。貯湯槽40内には、上方から下方に向かって貯湯槽温度センサ66A、66B、66C、66Dの4つが設けられている。以下、各貯湯槽温度センサ66A〜66Dを特に区別する必要がない場合はこれらを総称して単に「貯湯槽温度センサ66」という。貯湯槽温度センサ66は、信号ケーブルにより制御装置60と電気的に接続されている。
また、貯湯槽40内には、内部に蓄えられている排熱回収水hを加熱する加熱手段としての追い焚き器46が設けられている。追い焚き器46は、可燃性ガス等の燃料(不図示)を導入し燃焼させることにより、燃料電池30を長時間運転せず排熱回収水hの流動がない場合に発生するおそれがあるレジオネラ属菌等の細菌類(以下単に「レジオネラ属菌」という。)を滅菌することができる温度(本発明における第4の所定の温度)以上に排熱回収水hを加熱することができるように構成されている。追い焚き器46は、制御装置60からの信号を受信して発停及び発熱量が調節されるように構成されている。なお、加熱手段は、追い焚き器46に代えて、電気エネルギを入力してレジオネラ属菌を滅菌可能な温度以上に排熱回収水hを加熱することができる熱を発生させる電気ヒータ等であってもよい。
燃料電池20の冷却部20rと熱交換器30とは、内部に冷却水cを流す冷却水ライン21で接続されている。ラインは典型的には配管である。燃料電池20と熱交換器30とが冷却水ライン21で接続されることにより、冷却水cがこれらの間を循環する循環流路が形成される。冷却水ライン21は、燃料電池20から熱交換器30へと冷却水cを流す第1冷却水ライン21Aと、熱交換器30から燃料電池20へと冷却水cを流す第2冷却水ライン21Bとを有している。以下、第1冷却水ライン21Aと第2冷却水ライン21Bとを特に区別する必要がない場合はこれらを総称して単に「冷却水ライン21」という。第1冷却水ライン21Aには電気ヒータ50が挿入配置されている。第2冷却水ライン21Bには冷却水cを循環させる冷却水ポンプ22が挿入配置されている。なお、冷却水ポンプ22は第1冷却水ライン21Aに挿入配置されてもよいが、燃料電池20保護の観点から冷却部20rが負圧になることを回避するために第2冷却水ライン21Bに挿入配置されることが好ましい。
電気ヒータ50は、商用電源98あるいは燃料電池20から電力の供給を受けて発熱し、冷却水ライン21を流れる冷却水cの温度を上昇させる機器である。電気ヒータ50は、燃料電池20における発電が行われていないときであっても熱需要(不図示)で利用される熱量を貯湯槽40に蓄熱できるような出力があるものになっている。また、電気ヒータ50は、燃料電池20で発電した電力よりも電力負荷99における消費電力が小さいときに、燃料電池20で発電した余剰電力を消費する逆潮流防止電気ヒータとしても機能する。すなわち電気ヒータ50は、燃料電池20から余剰電力が発生するときは燃料電池20から電力の供給を受けて発熱し、燃料電池20の発電がないときは商用電源98から電力の供給を受けて発熱するように、燃料電池20及び商用電源98と電気的に接続されている。
熱交換器30と貯湯槽40とは、内部に排熱回収水hを流す排熱回収水ライン31で接続されている。熱交換器30と貯湯槽40とが排熱回収水ライン31で接続されることにより、排熱回収水hがこれらの間を循環する循環流路が形成される。排熱回収水ライン31は、熱交換器30から貯湯槽40へと排熱回収水hを流す高温排熱回収水ライン31Aと、貯湯槽40から熱交換器30へと排熱回収水hを流す低温排熱回収水ライン31Bとを有している。以下、高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとを特に区別する必要がない場合はこれらを総称して単に「排熱回収水ライン31」という。高温排熱回収水ライン31Aは、好ましくは貯湯槽40の上部で貯湯槽40に接続されており、低温排熱回収水ライン31Bは、好ましくは貯湯槽40の下部で、より好ましくは貯湯槽40の底部で貯湯槽40に接続されている。このように接続されることで、貯湯槽40の内部に貯留される排熱回収水hの温度成層の形成が容易になる。貯湯槽40内が密閉されて排熱回収水hで充満されているときは、高温排熱回収水ライン31Aが貯湯槽40の頂部で接続されているとより好ましい。低温排熱回収水ライン31Bには排熱回収水hを循環させる排熱回収水ポンプ32が挿入配置されている。なお、排熱回収水ポンプ32は高温排熱回収水ライン31Aに挿入配置されてもよい。
高温排熱回収水ライン31Aと、排熱回収水ポンプ32よりも上流側の低温排熱回収水ライン31Bとは、バイパスライン35で接続されている。バイパスライン35は、高温排熱回収水ライン31Aを流れる排熱回収水hを、貯湯槽40に流入させずに(貯湯槽40をバイパスして)低温排熱回収水ライン31Bへ導く流路である。高温排熱回収水ライン31Aとバイパスライン35との接続部分には、高温排熱回収水ライン31Aを流れる排熱回収水hを貯湯槽40に流入させるのと、貯湯槽40をバイパスして低温排熱回収水ライン31Bに流入させるのとを切り替える切替手段としての三方弁62が配設されている。三方弁62は、三方弁62と貯湯槽40との間の距離ができるだけ短くなるように配設されていることが好ましい。三方弁62は制御装置60からの信号を受信して電動で流路を切り替えることができるように構成されている。
高温排熱回収水ライン31Aには、三方弁62よりも下流側であって貯湯槽40との接続部分の直近上流に、導入水温度検出器としての導入水温度センサ63が配設されている。導入水温度センサ63は、貯湯槽40に導入されるべき排熱回収水hの温度を検出し、検出した温度を信号として制御装置60に送信することができるように構成されている。低温排熱回収水ライン31Bには、貯湯槽40との接続部分の直近下流に、導出水温度検出器としての導出水温度センサ64が配設されている。導出水温度センサ64は、貯湯槽40から導出されるべき排熱回収水hの温度を検出し、検出した温度を信号として制御装置60に送信することができるように構成されている。また、高温排熱回収水ライン31Aには、三方弁62の直近上流に、排熱回収水hの温度を検出する温度検出器としての弁制御用温度センサ65が設けられている。弁制御用温度センサ65は、三方弁62に到達する前の排熱回収水hの温度を検出し、検出した温度を信号として制御装置60に送信することができるように構成されている。
制御装置60は、燃料電池コージェネレーションシステム1の運転を制御する。制御装置60は燃料電池20と信号ケーブルで接続されており、燃料電池20が発電を行っているか否かの信号を受信できるように構成されている。また、制御装置60は電気ヒータ50と信号ケーブルで接続されており、電気ヒータ50への通電の有無を制御できるように構成されている。また、制御装置60は冷却水ポンプ22及び排熱回収水ポンプ32とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、冷却水ポンプ22及び排熱回収水ポンプ32の発停や回転数をそれぞれ制御することができるように構成されている。また、制御装置60は三方弁62と信号ケーブルで接続されており、信号を送信して三方弁62の流路を切り替えることができるように構成されている。また、制御装置60は導入水温度センサ63、導出水温度センサ64、弁制御用温度センサ65、及び貯湯槽温度センサ66とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、導入水温度センサ63、導出水温度センサ64、弁制御用温度センサ65、及び貯湯槽温度センサ66からそれぞれ温度信号を受信することができるように構成されている。また、制御装置60は量水器68と信号ケーブルで接続されており、量水器68から水量信号を受信することができるように構成されている。また、制御装置60は追い焚き器46と信号ケーブルで接続されており、追い焚き器46の発停及び発熱量を制御できるように構成されている。また、制御装置60は、時間を計測することができるタイマーを有している。また、制御装置60は、燃料電池コージェネレーションシステム1に異常が発生したことを知らせる警報装置(不図示)と信号ケーブルで接続されており、信号を送信して警報装置(不図示)を発報させることができるように構成されている。
燃料電池コージェネレーションシステム1は、電気ヒータ50が、上述のように第1冷却水ライン21Aに挿入配置されており、排熱回収水ライン31には挿入配置されていない。したがって、加熱装置のない貯湯槽40を含む排熱回収水系統がボイラー又は圧力容器としての扱いを受けない。これにより、燃料電池コージェネレーションシステム1の取り扱いが簡便になる。
引き続き図1を参照して、燃料電池コージェネレーションシステム1の作用を説明する。電力負荷99において電力需要が発生すると、制御装置60は燃料電池20が発電を行うように燃料電池コージェネレーションシステム1を制御する。このとき燃料電池20には、燃料極20aに改質ガスgが導入され、空気極20cに酸化剤ガスtが導入されて、燃料電池20では改質ガスg中の水素と酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電が行われる。燃料電池20で発電された電力は直流電力であるため、パワーコンディショナー(不図示)にて交流電力に変換された後に電力需要99に供給される。制御装置60は、典型的には電力需要99における消費電力よりも所定の容量(例えば100w)だけ少ない電力を燃料電池20で発電するように燃料電池20に導入される改質ガスg及び酸化剤ガスtの流量を制御する。電力需要99が燃料電池20から電力の供給を受けてなお不足する電力は、商用電源98から供給を受けることで補われる。燃料電池20は、その性質上、電力需要の急峻な変動に追従することが困難であるため、電力需要99における消費電力よりも所定の容量だけ少ない電力を発電することにより、燃料電池20で発電した電力が商用電源系統に逆潮流することを防いでいる。なお、仮に燃料電池20における発電電力が電力需要99の消費電力を上回った場合、制御装置60は上回った分の電力(余剰電力)を電気ヒータ50に通電し、熱に変換することで余剰電力を逆潮流させずに消費させる。
燃料電池20は、発電が行われるのに伴い熱が発生する。制御装置60は、改質ガスg及び酸化剤ガスtが燃料電池20に導入されたら、冷却水ポンプ22及び排熱回収水ポンプ32を起動する。また、制御装置60は、弁制御用温度センサ65から温度信号を受信して、検出された温度が所定の温度(燃料電池20を冷却可能な温度の上限に近い温度であり、例えば45℃)になるまでは排熱回収水hがバイパスライン35に流入するように、所定の温度になると排熱回収水hがバイパスライン35ではなく貯湯槽40に流入するように、三方弁62に信号を送信して三方弁62の通水方向を切り替える。冷却水ポンプ22が起動されることにより冷却水cが冷却水ライン21を循環する。これにより、燃料電池20の冷却部20rに導入された冷却水cは燃料電池20から熱を奪って温度が上昇し、他方、燃料電池20は冷やされる。燃料電池20は、冷却水cで冷却されることにより発電に適した温度(典型的には60℃〜80℃)に維持される。燃料電池20の熱を奪って温度が上昇した冷却水cは、熱交換器30で排熱回収水hと熱交換して燃料電池20を冷却可能な程度に温度が低下し、他方、排熱回収水hの温度は上昇する。温度が低下した冷却水cは、再び冷却部20rに導入されて燃料電池20で発生した熱を奪う、というように冷却水ライン21を循環する。なお、燃料電池20で発電した電力に余剰電力が発生した場合は、その余剰電力は電気ヒータ50に通電されることとなり、燃料電池20で温度が上昇した冷却水cが電気ヒータ50で受熱してさらに温度が上昇した後に熱交換器30に導入される。
熱交換器30で冷却水cと熱交換することにより温度が上昇した排熱回収水hは、その後貯湯槽40の上部に流入する。他方、貯湯槽40の下部からは、熱交換器30に導入される冷却水cよりも温度が低い排熱回収水hが導出される。貯湯槽40の下部から導出された排熱回収水hは、熱交換器30に導入され、冷却水cと熱交換を行って温度が上昇する。貯湯槽40には温度が高い排熱回収水hが上部から導入されることにより、温度成層が形成される。なお、形成された温度成層をできるだけ乱さないようにする観点から、貯湯槽40に導入される排熱回収水hの動圧はできるだけ小さい方がよい。
貯湯槽40に蓄えられた温度が高い排熱回収水hは、温水往管42を介して給湯や暖房機器(床暖房やファンコイルユニット等)などの熱需要(不図示)に温水として供給される。熱需要に供給された温水は、例えば、暖房機器等の熱を利用して物質としての水を消費しない場所に供給された場合は、暖房機器等において熱が利用されて温度が低下した後に温水還管43を介して貯湯槽40の下部に戻される。給湯等の物質としての水の消費を伴う場所に供給された場合は、給湯等に利用されて消費された分の水が補給水管48を介して貯湯槽40の下部に補充される。これらにより、貯湯槽40の下部から流出する排熱回収水hは、熱交換器30に導入される冷却水cよりも温度が低くなる。
このような燃料電池コージェネレーションシステム1の作用は、燃料電池コージェネレーションシステム1を構成する各機器が適切に接続されているときに行われるものであって、例えば、熱交換器30と三方弁62との間の高温排熱回収水ライン31Aと、貯湯槽40と排熱回収水ポンプ32との間の低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されているときは正常に作動することができないのが一般的である。
図2に高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されている燃料電池コージェネレーションシステム1Aの模式的系統図を示す。燃料電池コージェネレーションシステム1Aは、熱交換器30から導出された排熱回収水hが貯湯槽40の底部に導かれるように、かつ、熱交換器30に導入される排熱回収水hが貯湯槽40の上部(あるいは頂部)から導出されるように、高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されている以外は燃料電池コージェネレーションシステム1(図1参照)と同様に構成されている。高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されていると燃料電池20を所定の作動温度に冷却することができずに燃料電池コージェネレーションシステム1の運転を継続することができず、そればかりか故障の原因にもなりうる。そこで、高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されているときには燃料電池コージェネレーションシステム1の故障に至る前に誤接続であることを察知することができる一方で、適切に接続されているときに誤って誤接続であると判断しないように、以下のような制御を行う。
図2に高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されている燃料電池コージェネレーションシステム1Aの模式的系統図を示す。燃料電池コージェネレーションシステム1Aは、熱交換器30から導出された排熱回収水hが貯湯槽40の底部に導かれるように、かつ、熱交換器30に導入される排熱回収水hが貯湯槽40の上部(あるいは頂部)から導出されるように、高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されている以外は燃料電池コージェネレーションシステム1(図1参照)と同様に構成されている。高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されていると燃料電池20を所定の作動温度に冷却することができずに燃料電池コージェネレーションシステム1の運転を継続することができず、そればかりか故障の原因にもなりうる。そこで、高温排熱回収水ライン31Aと低温排熱回収水ライン31Bとが誤って接続されているときには燃料電池コージェネレーションシステム1の故障に至る前に誤接続であることを察知することができる一方で、適切に接続されているときに誤って誤接続であると判断しないように、以下のような制御を行う。
図3は、排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認を説明するフローチャートである。燃料電池コージェネレーションシステム1は、各温度センサ63、64、65、66で随時温度を検出しており(St1)、検出した温度は信号として制御装置60に送信される。温度信号を受信した制御装置60は、温度条件が次の3つのいずれかに該当するか否かを判断する(St2)。すなわち、工程St2において、制御装置60は、「a.導出水温度センサ64の検出温度が導入水温度センサ63の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続した」、「b.導出水温度センサ64の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続した」、「c.導出水温度センサ64の検出温度が貯湯槽温度センサ66のうちの最も下流に位置すべき貯湯槽温度センサ66Dの検出温度よりも第3の所定の温度以上高い」のいずれかに該当するか否かを判断する。
ここで「第1の所定の時間」は、典型的には、燃料電池コージェネレーションシステム1の定常運転時の排熱回収水hの温度バランスが崩れている場合に、定常運転時の温度バランスとなるまでの時間であり、「第1の所定の温度」は、典型的には燃料電池コージェネレーションシステム1を構成する各機器が適切に接続されていたならば第1の所定の時間継続して維持されることがない温度差であり例えば5℃程度である。「第2の所定の温度」は、典型的には燃料電池コージェネレーションシステム1を構成する各機器が適切に接続されていたならば到達することのない温度で、例えば50℃程度であり、「第2の所定の時間」は、典型的には、導出水温度センサ64の検出温度が第2の所定の温度を超えている状態に基づいて高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bが誤接続されていることが一応確からしいと判断できる時間である。第2の所定の時間は、結果として第1の所定の時間と同じになる場合もある。「第3の所定の温度」は、典型的には燃料電池コージェネレーションシステム1を構成する各機器が適切に接続されていたならば至ることがない温度差である。
上記工程St2において、a〜cのいずれの条件にも適合しない場合は、再び温度条件が上記a〜cの3つのいずれかに該当するか否かを判断する工程(St2)に戻る。他方、上記工程St2において、a〜cの条件の少なくともいずれか1つに該当する場合、制御装置60は、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があると判断し(St3)、警報装置(不図示)に警報信号を送信して警報装置を発報させ(St4)、燃料電池コージェネレーションシステム1を停止させる(St5)。このように、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があるか否かを判断し、誤接続があった場合は警報装置(不図示)によりその旨を知らせると共に燃料電池コージェネレーションシステム1を停止させるので、設計条件に適合しない不適切な運転を継続することに起因する燃料電池コージェネレーションシステム1の故障を未然に防ぐことが可能になる。
以上で説明した排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認は、各温度センサ63、64、65、66の温度を検出していることから分かるように、排熱回収水hが熱交換器30で昇温される運転中に行われる。排熱回収水hが熱交換器30で昇温される運転は、典型的には燃料電池20が発電を行っているために燃料電池20から熱の発生がある状態である。しかしながら、燃料電池20が発電を行っていない場合であっても、電気ヒータ50を発熱させることにより排熱回収水hを熱交換器30において昇温させるようにしてもよい。燃料電池コージェネレーションシステム1では、逆潮流防止電気ヒータを兼ねる電気ヒータ50を備えているので、燃料電池20が発電を行っていない場合であっても排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認を行うことができる。一般に、上述の第1の所定の温度、第2の所定の温度、第3の所定の温度が、対応する温度センサで検出されるまでに要する時間は、燃料電池20で発生した熱を蓄熱する運転よりも電気ヒータ50を発熱させて蓄熱する運転の方が短いため、電気ヒータ50に通電して排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認を行う場合は短時間で誤接続の有無を判定することができる。一例を挙げると、誤接続の有無の判定に要する時間は、燃料電池20の発熱による場合は40分程度となるところ、電気ヒータ50の発熱による場合は5分程度に短縮することが可能になる。
また、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続が生じるのは、通常であれば、燃料電池コージェネレーションシステム1を初めて現場に設置して熱交換器30と貯湯槽40とを高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bで接続する際、又は構築されている燃料電池コージェネレーションシステム1をメンテナンス等するために高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bを一旦外したうえで再接続する際である。したがって、排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認は、高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bが通水可能に接続された後に初めて排熱回収水hを昇温するときにのみ行うこととして、必要以上に誤接続の有無の確認を行わないようにしてもよい。このように誤接続の有無の確認を限定的に行うこととすると、誤接続の判断をする際に要する付帯機器(冷却水ポンプ22、排熱回収水ポンプ32、電気ヒータ50等)の動力等のエネルギを削減することができる。ここで「通水可能に接続された後」とは、例えば、燃料電池コージェネレーションシステム1を初めて現場に設置した後や、燃料電池コージェネレーションシステム1をメンテナンス等するために高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bを一旦外したうえで再接続した後等、通水不能の状態から通水可能になった後のことである。なお、冷却水ライン21も着脱される場合には、冷却水ライン21が通水可能に接続された後に初めて排熱回収水hを昇温するときに排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認を行うこととしてもよい。
なお、燃料電池コージェネレーションシステム1をメンテナンスする前の長時間にわたって燃料電池30を運転していない場合は、貯湯槽40内の排熱回収水h中にレジオネラ属菌が発生しているおそれがあるため、万一に備えてメンテナンス終了後にレジオネラ属菌を滅菌することができる温度(第4の所定の温度)以上に排熱回収水hを加熱する場合がある。一般に、滅菌温度は70℃以上である場合が多く、この場合は排熱回収水hが第2の所定の温度よりも高くなる。すると、排熱回収水ライン31の誤接続がない場合であっても誤接続と判断される誤検出がなされる場合も生じうる。このような誤検出を回避するために、制御装置60は、図3に示す工程St2における誤接続有りと判断する際の選択肢として、上記の条件a〜cの他に、「d.導出水温度検出器64の検出温度が導入水温度検出器63の検出温度よりも第5の所定の温度以上高く、かつ、導出水温度検出器64の検出温度が第6の所定の温度を超えており、かつ、追い焚き器46が作動しておらず及び追い焚き器46が作動を停止してから第3の所定の時間以上が経過している」という条件を加えるとよい。ここで、第5の所定の温度は、典型的には第1の所定の温度と同じ温度であり、第6の所定の温度は、典型的には第2の所定の温度と同じ温度である。また、第3の所定の時間は、典型的には貯湯槽40内の排熱回収水hに滅菌加熱した影響が現れなくなる(燃料電池コージェネレーションシステム1を運転したならば定常時の温度分布となる)のに要する時間である。このように構成すると、排熱回収水ライン31に誤接続がないにもかかわらず滅菌加熱を行ったために上記a〜cのいずれかの条件を検出してしまい誤接続があったと判断する誤検出を回避することができる。なお、メンテナンス終了後の滅菌加熱は、追い焚き器46を手動で作動させることにより行ってもよい。
以上の説明では、排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認における温度条件が所定の条件に該当するか否かを判断する工程(St2)において、「a.導出水温度センサ64の検出温度が導入水温度センサ63の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続した」、「b.導出水温度センサ64の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続した」、「c.導出水温度センサ64の検出温度が貯湯槽温度センサ66のうちの最も下流に位置すべき貯湯槽温度センサ66Dの検出温度よりも第3の所定の温度以上高い」、「d.導出水温度検出器64の検出温度が導入水温度検出器63の検出温度よりも第5の所定の温度以上高く、かつ、導出水温度検出器64の検出温度が第6の所定の温度を超えており、かつ、追い焚き器46が作動しておらず及び追い焚き器46が作動を停止してから第3の所定の時間以上が経過している」の4つの条件を考慮するように制御装置60が構成されているとしたが、制御装置60が考慮するのは上記a〜cのうちのいずれか1つのみ又は任意の2つあるいはこれらのいずれかに上記dを加えたものとしてもよい。また、温度条件が上記a〜dに該当するか否かを判断する工程(St2)において、a〜dの条件の少なくともいずれか1つに該当する場合に制御装置60が高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があると判断する(St3)こととしたが、a及びbの両方の条件を満たしたときに高温排熱回収水ライン31A及び低温排熱回収水ライン31Bに誤接続があると判断する(St3)こととしてもよい。このとき、温度条件が所定の条件に該当するか否かを判断する工程(St2)において、制御装置60は上記a及びbの条件のみを考慮して上記c及びdの条件を考慮しないように構成されていてもよい。
以上の説明では、導入水温度センサ63が貯湯槽40との接続部分の直近上流の高温排熱回収水ライン31Aに、導出水温度センサ64が貯湯槽40との接続部分の直近下流の低温排熱回収水ライン31Bに、それぞれ配設されているとしたが、導入水温度センサ63が貯湯槽40内の貯湯槽40の上部(頂部)に、導出水温度センサ64が貯湯槽40内の貯湯槽40の底部に、それぞれ設けられていてもよい。つまり、実質的に貯湯槽40に導入されるべき排熱回収水hの温度及び貯湯槽40から導出されるべき排熱回収水hの温度を検出することができる範囲で、導入水温度センサ63及び導出水温度センサ64の具体的な設置位置を移動させてもよい。
また、任意のタイミングで排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認を行いたい場合において、蓄熱運転(排熱回収水hを昇温させる運転)が始まる前に導出水温度センサ64及び/又は貯湯槽温度センサ66(貯湯槽温度センサ66A、66B、66C、66Dのすべて又は一部)で検出した温度が既に燃料電池コージェネレーションシステム1を構成する各機器が適切に接続されていたならば到達することのない程度に高温である場合に、制御装置60は、排熱回収水ライン31の誤接続の有無の確認を行うことができないと判断し、警報装置(不図示)に信号を送信して発報するようにしてもよい。
以上の説明では、追い焚き器46(加熱手段)が貯湯槽40内に設けられているとしたが、貯湯槽40内の排熱回収水hを一旦貯湯槽40外に導出して再び貯湯槽40内に導入する循環流路(不図示)を設け、この循環流路(不図示)に追い焚き器46(加熱手段)を設けるように構成してもよい。
以上の説明では、燃料電池20が固体高分子形燃料電池であるとして説明したが、りん酸形燃料電池等の固体高分子形燃料電池以外の燃料電池であってもよい。しかしながら、固体高分子形燃料電池とすると、比較的低温で運転することができ、装置を小型化できるので、一般家庭等に設置するのに適している。
1 燃料電池コージェネレーションシステム
20 燃料電池
21 冷却水ライン
22 冷却水ポンプ
30 熱交換器
31A 高温排熱回収水ライン
31B 低温排熱回収水ライン
32 排熱回収水ポンプ
40 貯湯槽
46 追い焚き器
50 電気ヒータ
60 制御装置
63 導入水温度センサ
64 導出水温度センサ
66A〜66D 貯湯槽温度センサ
c 冷却水
h 排熱回収水
20 燃料電池
21 冷却水ライン
22 冷却水ポンプ
30 熱交換器
31A 高温排熱回収水ライン
31B 低温排熱回収水ライン
32 排熱回収水ポンプ
40 貯湯槽
46 追い焚き器
50 電気ヒータ
60 制御装置
63 導入水温度センサ
64 導出水温度センサ
66A〜66D 貯湯槽温度センサ
c 冷却水
h 排熱回収水
Claims (8)
- 水素と酸素との電気化学的反応により発電し発熱する燃料電池と;
前記燃料電池で発生した熱を奪う冷却水を流す冷却水ラインと;
前記冷却水の熱を排熱回収水に伝達する熱交換器と;
前記排熱回収水を蓄える貯湯槽と;
前記排熱回収水を、前記熱交換器から前記貯湯槽へと導くべき高温排熱回収水ラインと;
前記排熱回収水を、前記貯湯槽から前記熱交換器へと導くべき低温排熱回収水ラインと;
前記貯湯槽から導出されるべき前記排熱回収水の温度を検出する導出水温度検出器と;
前記導出水温度検出器の検出温度に基づいて、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断する判断装置とを備える;
燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記貯湯槽へ導入されるべき前記排熱回収水の温度を検出する導入水温度検出器を備え;
前記判断装置が、前記導出水温度検出器の検出温度が前記導入水温度検出器の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続したときに、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断するように構成された;
請求項1に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記判断装置が、前記導出水温度検出器の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続したときに、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断するように構成された;
請求項1又は請求項2に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記貯湯槽へ導入されるべき前記排熱回収水の温度を検出する導入水温度検出器を備え;
前記判断装置が、前記導出水温度検出器の検出温度が前記導入水温度検出器の検出温度よりも第1の所定の温度以上高い状態が第1の所定の時間継続し、かつ、前記導出水温度検出器の検出温度が第2の所定の温度を超えた状態が第2の所定の時間継続したときに、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断するように構成された;
請求項1に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記導出水温度検出器よりも上流側に位置すべき前記貯湯槽内の前記排熱回収水の温度を検出する貯湯槽内温度検出器を備え;
前記判断装置が、前記導出水温度検出器の検出温度が前記貯湯槽内温度検出器の検出温度よりも第3の所定の温度以上高いときに、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断するように構成された;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記貯湯槽へ導入されるべき前記排熱回収水の温度を検出する導入水温度検出器を備え;
前記貯湯槽が、内部に蓄えた前記排熱回収水を第4の所定の温度以上に加熱する加熱手段を有し;
前記判断装置が、前記導出水温度検出器の検出温度が前記導入水温度検出器の検出温度よりも第5の所定の温度以上高く、かつ、前記導出水温度検出器の検出温度が第6の所定の温度を超えており、かつ、前記加熱手段が作動しておらず及び前記加熱手段が作動を停止してから第3の所定の時間以上が経過しているときに、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインに誤接続があったと判断するように構成された;
請求項1に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記冷却水ラインに挿入配置され、前記冷却水ラインを流れる前記冷却水を昇温する昇温器と;
前記冷却水を、前記燃料電池、前記昇温器及び前記熱交換器にこの順番で流す冷却水ポンプと;
前記排熱回収水を、前記熱交換器と前記貯湯槽との間で循環させる排熱回収水ポンプとを備え;
前記昇温器で前記冷却水を昇温させると共に前記冷却水ポンプ及び前記排熱回収水ポンプを起動した状態で、前記判断装置が前記誤接続があったか否かを判断するように構成された;
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。 - 前記冷却水ライン、前記高温排熱回収水ライン及び前記低温排熱回収水ラインのうち少なくとも1つが通水可能に接続された後に初めて前記排熱回収水を昇温するときにのみ、前記判断装置が前記誤接続があったか否かを判断するように構成された;
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池コージェネレーションシステム。
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