JP2011000379A - 靴 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも甲皮と、分子主鎖に二重結合を有するゴム製のアウトソール3からなる靴おいて、前記アウトソール3の一部が伸張された状態で甲皮またはその他の部材に接着された伸張部分4を有し、前記伸張部分4及びその周辺のみの表面に樹脂塗膜を有する。
【選択図】図1
Description
大気汚染が進むにつれ、大気中の窒素酸化物(NOx)の濃度が上昇する傾向にあり、この窒素酸化物が短波長の紫外線(300nm以下)の作用を受けてオゾンを生成するために、地表面近くの大気中に含まれるオゾンの量を増加することとなる。そのために、この生成されたオゾンが加硫後のゴムに微小なクラックを発生させる可能性が高まっている。
しかし、加硫後のアウトソールが伸長した状態で、甲皮やその他の部材に接着されている場合においては、オゾンの影響により微小クラックが発生すると、ゴム自体が伸長されているために、微小クラックが大きなクラックとなる傾向にあり、靴としての外観を損ねたり、アウトソールの機能を阻害することにもなる。特にジョギングシューズ等のアウトソールが靴甲皮の爪先部分や踵部分に巻き上げられた状態になっている靴においては、アウトソールを伸長した状態で接着していると共に、甲皮の一部として靴の表面に露出しているために、このようなクラックが発生しやすく、発生した場合には靴の外観を損ねて、商品価値を低下する問題となる。
アウトソールのゴム材料にワックスを配合することで、耐オゾン性は改良できるが、アウトソールを甲皮やミッドソールに接着させる際に、接着不良となったり、アウトソールとして防滑性能を低下させるとともに、アウトソールが黒以外の色でデザイン性も要求される靴においては変色の問題もあり、靴用のアウトソールに採用することはできなかった。
このようなエナメル層は、未加硫のゴムからなる長靴を成形し、その後エナメルを長靴表面に塗装してエナメル層を形成したのちに、加硫を行って、長靴を完成させるものである。未加硫のアウトソールの表面の必要部分のみにエナメル層を設け、加硫後に、靴として、甲皮やミッドソールに接着させることは可能であるが、アウトソールを伸長して、甲皮等に接着させる際に、アウトソール表面のエナメル層に亀裂が発生してしまい、耐オゾン性の面で不十分な物であった。
前記樹脂塗膜が塗膜厚みで、100μmを超える塗膜であると、アウトソールの意匠面を埋めてしまい外観を損ねると共に、前記樹脂塗膜が均一な塗膜となり難く、アウトソールの屈曲等で前記樹脂塗膜自体にクラックが発生するおそれがある。
前記樹脂塗膜に使用できる樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂を使用することができる。
特に、ウレタン系樹脂は、伸び性能に優れるためゴムへの追従性、塗膜としてのオゾン遮蔽性、また無黄変タイプのものであれば耐候性がよい点で好ましく使用できる。
ることができる。塗工される塗工液の粘度としては、塗工可能な粘度であればよいが、アウトソールの意匠形状が細かい場合は、可能な限り低粘度のものが均一な塗膜を形成しやすく好ましい。塗工方法としては、刷毛塗りやスプレー等の一般的な塗工方法を使用することができる。塗膜厚みで1〜100μmの塗膜を形成できるように、粘度、塗工方法は適宜選択される。
また、靴として完成した段階で、アウトソールの一部が伸張された状態で甲皮またはその他の部材に接された伸張部分のみに塗膜を形成するので、アウトソールのゴムの外観や艶などとの調整が容易になり、塗布面積も最小限に留めることが可能となる。
一般的にアウトソールは、未加硫ゴムを金型に定寸法に切り入れて押しつぶして形を作り加硫させる方法で作成される。
トソール3がクッション性のあるウレタン発泡体、エチレン酢酸ビニル共重合発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体等からなるミッドソール2に、殆ど部分的な伸張がされずに、接着剤を使用して接着され形成される。
せるが、このときに爪先部分は長さ方向に伸ばされた状態で接着される。アウトソール
を伸ばした状態で接着するのは、甲皮の爪先部分に曲面に馴染ませて隙間のない状態で接着する為である。この段階で伸ばされて接着された部分を伸張部分4とする。
図1においては、爪先部分のみにこのような伸張部分が存在することを示したが、伸張
部分は、靴のデザインや使用用途によって、踵部、踏まず部、踏み付け部等に存在する場合もある。
また、アウトソールと形成される樹脂塗膜との密着力を高めるために、予めアウトソールの塗工部分に、脱脂処理やプライマー処理との表面処理を行ってもよい。しかし、アウトソールの意匠性や艶等の外観の部分的な変化を起こすために、サンダー、サンドブラスティング等の機械的処理は好ましくなく、脱脂処理やプライマー処理等が意匠性や艶等に外観の部分的な変化を起こさせない処理が好ましい。
前記樹脂塗膜に使用できる樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくと1種からなる樹脂を使用することができる。
特に、ウレタン系樹脂は、伸び性能に優れるためゴムへの追従性、塗膜としてのオゾン遮蔽性、また無黄変タイプのものであれば耐候性がよい点で好ましく使用できる。
このときに、使用される溶媒としては、使用する樹脂や塗工条件等により適宜選択することができ、例えば、水、またはトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン等の有機溶剤を単独又は複数を組み合わせて使用することができる。
溶媒として、有機溶剤系のものを使用することで、塗膜の形成外観や作業効率を水系のものを使用する場合よりも向上させることができ、好ましい。
前記の樹脂を溶媒に溶解させた塗工液には、必要に応じて、各種の添加剤、例えばマット剤、消泡剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、着色剤等を配合することができ、アウトソールの樹脂塗膜の形成部分とそれ以外の部分とで外観的差が生じないようにすることができる。
このように甲皮と靴底を一体化し、アウトソールの伸張部分に塗工液を塗布し、加熱乾燥等により、溶媒を除去することで樹脂塗膜を形成することで本願発明の靴を完成することができる。
トルエン 75重量部
アノン 75重量部
マット剤(広野化学工業(株)製) 30重量部
塗工液2:ウレタンエマルジョン(樹脂固形分40%広野化学工業(株)製)100重量
部
水 150重量部
上記の溶剤系と水系の塗工液を準備し表1のように、準備した靴のアウトソール伸張部分に塗布し、加熱乾燥を行い、溶媒成分を除去し、樹脂塗膜を形成した。そして、オゾン劣化の評価を実施した。
○・・・・・亀裂の発生無し
△・・・・・多少亀裂が発生した。
×・・・・・伸張部分全体に亀裂が発生
2:ミッドソール
3:アウトソール
4:伸張部分
Claims (3)
- 少なくとも甲皮と、分子主鎖に二重結合を有するゴム製のアウトソールからなる靴おいて、
前記アウトソールの一部が伸張された状態で甲皮またはその他の部材に接着された伸張部分を有し、前記伸張部分及びその周辺のみの表面に樹脂塗膜を有することを特徴とする靴。 - 前記樹脂塗膜は、アウトソールに密着しており、塗膜厚みで1〜100μmの塗膜であることを特徴とする請求項1記載の靴。
- 前記樹脂塗膜がオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または2記載の靴。
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