ここで図、特に図1を参照すると、内部に誘電性流体を含有した代表的な電気ケーブル10が表されている。ケーブル10は紙絶縁鉛被(「PILC」)単一導体ケーブルを代表するものであり、外側の鉛ジャケット12、カーボン充填紙又は金属化紙から形成される中間半導体層14、含油絶縁層16(代表的なケーブル10の内部では油浸紙から形成される)、及び中心導体又は導体18の群から構成される。絶縁層16の下には、半導体層がある。ケーブル10はまた、鉛ジャケット12を包囲し保護する外装合成樹脂シースを有する場合もある。
説明の目的のため、本開示は特に、油浸ドレイニングPILCケーブルの端部において、同端部から流体が漏れ出すのを防ぎ、それによってケーブルに広範な付属品を取り付けることを可能にするための封止又は油止めの形成について記述する。しかしながら、本開示の教示は、本明細書に記述する特定のPILCケーブルとは異なる構成を有するケーブルにも等しく適用可能であることは当然である。例えば、本明細書の教示は、グリースを含浸させた高粘度油浸ノンドレイニング(MIND)ケーブルにも適用可能である。同様に、本開示の教示は、グリースなどの高粘度材料をはじめとして、油以外の流体にも等しく適用可能である。すなわち、本明細書で使用する場合、用語「PILCケーブル」は流体又は粘性材料を内部に有するあらゆるタイプのケーブルをも包含するものとして理解され、また用語「油」及び「油止め」は、ケーブルの構成において用いられるあらゆるタイプの流体又は粘性材料をも包含するものとして理解される。
図1に示すように、ケーブル10は、油止めの取り付けに備えて、最初に鉛ジャケット12の一部(例えば28cm)が切り落とされ、これによって半導体層14が露出される。これよりわずかに小さな、半導体層14の一部(例えば22cm)が同様に除去され、含油絶縁層16が露出される。最後に更に小さな、含油絶縁層16の一部(例えば11cm)が除去され、中心導体18が露出される。絶縁層16の下の半導体層は実質的に絶縁層16と同じ長さだけ除去される。ケーブル遷移コネクタ19が中心導体18の上に取り付けられる。コネクタ19はいずれのタイプのコネクタであってもよく、ケーブル10をスプライス接続又は終端処理するのに用いられるコネクタを含むがそれに限定されない。
図2に示すように、含油絶縁層16の実施の一例において、含油絶縁層16は、この含油絶縁層16がほどけないようにする絶縁性粘着テープ片20によって所定の位置に保持される。この目的に適したテープは、本出願の譲受人である3M社により「33+Vinyl Electrical Tape」の商品名で販売されている。以下に説明するように、鉛ジャケット12の切り口の位置を示す目印とするために、第2片目のテープ22を、切り口付近(例えば1〜2cmの範囲内)の鉛ジャケット12の上に配置してもよい。テープ22としてはテープ20として用いられたと同じタイプのテープを用い得る。
一実施形態による油止め形成のための更なる備えとして、ケーブル10にある種の誘電応力緩和が施される。一実施形態では、この応力緩和は、鉛ジャケット12及び半導体層14の終端部の周りに高誘電率テープ24を巻くことによって達成される。応力制御テープ24は半導体層14を完全に覆い、かつ含油絶縁層16にわずかに(例えば1cm)重なる。この目的に適したテープは3M社より「2220 Stress Control Tape」の商品名で入手可能である。
ここで図3を参照すると、油止めの第1の要素はエラストマーチューブ26である。エラストマーチューブ26は電気的に絶縁性で実質的に不透油性であり、以下により詳細に説明するように、フルオロエラストマーを含有する組成物又はフルオロエラストマーとエピクロロヒドリンとを含有する配合物から形成される。本明細書で使用する場合、用語「実質的に不透油性」は、ケーブル内に含まれる特定の流体に対して限定的に不透性であること及び絶対的に不透性であることの両方を包含する。限定的不透性は軍規格SC−X15111B(1984年9月27日)に既定されるように、最大許容重量増加率によって定義される。エラストマーチューブ26は典型的には押出又は型成形によって作製され、弛緩状態ではほぼ円筒状である。本明細書で使用する場合、用語「チューブ」、「チューブ状」「円筒」、又は「円筒状」等は、円形の断面を有する物体に限定されるものではなく、任意の断面の中空で細長い部材を意味する。エラストマーチューブ26は単層の要素であってもよいし、また、複合的機械的支持を提供するため又はシステムを経済的により魅力あるものにするために、他のエラストマーとともに多層構造の要素として形成されてもよい。
エラストマーチューブ26の寸法はケーブル10の寸法に応じて大幅に異なり得る。一実施形態では、エラストマーチューブ26の長さは鉛ジャケット12からコネクタ19までの長さに等しいかそれより大きい。エラストマーチューブ26の直径は(弛緩状態で)絶縁層16の直径より、典型的には1ミリメートル以上小さい。エラストマーチューブ26の弾性特性のため、ケーブル10には様々な直径を有する単一直径チューブが便利に利用され得る。もちろん、図3に示す膨張状態では、エラストマーチューブ26の直径はケーブル10の直径より大きい。エラストマーチューブ26の(弛緩状態における)厚みは、意図する用途に応じて異なり得る。
ケーブル10上への取り付けに先立って、エラストマーチューブ26は、例えばシーベルトへの米国特許第3,515,798号の記述において知られるような取り外し可能なコア28の上に支持される。取り外し可能なコア28は、エラストマーチューブ26を放射状に膨張した状態に維持し、このコアはまた、ほぼ円筒状であり、エラストマーチューブ26よりもわずかに長い。取り外し可能なコア28の直径は大きく異なり得、実際的に必要とされる条件は、ケーブル10の外径より大きく、この取り外し可能なコア28を除去するのに十分な隙間を提供するということだけである。コア28の壁は、典型的には1ミリメートル〜5ミリメートルの範囲の厚みを有する。取り外し可能なコア28は、例えば酢酸酪酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニルのような、耐久性があって可撓性の任意の材料で構成される。一実施形態では、取り外し可能なコア28は、隣接コイル同士が分離できるように結合したらせんコイル状のストリップであり、この構造により、ストリップの端部30を強く引いて巻きをほどくことでコアを分解しエラストマーチューブ26の内部から除去することが可能となる。
図3に示すように、エラストマーチューブ26の一端はマーキングテープ22に隣接して保持される。取り外し可能なコア28の端部30を引くと、エラストマーチューブ26はケーブル10の周りの所定の位置へと徐々に収縮し、やがて図4に示すようにケーブル10にしっかりと弾性的に適合する。図4に示した実施形態では、エラストマーチューブ26は鉛ジャケット12と約2センチメートル(2cm)重なっており、コネクタ19とも同様の距離だけ重なっている。したがって、エラストマーチューブ26はケーブル10から流体が漏れるのを防ぐ油止めを提供するとともに、ケーブル10の内部に水が浸入するのを防ぐ。
エラストマーチューブ26は含油絶縁層16と直接接触し、含油絶縁層16に弾性的圧力を加えていることに注意すべきである。本明細書で用いる場合、「弾性的圧力」とは、取り付けられたエラストマー部材が、その下にある基材の寸法変化及びケーブルの流体の圧力が例えば熱膨張又は収縮により変化するに伴って、膨張及び収縮する能力を指す。このため、都合のよいことに、エラストマーチューブ26が円筒状及び弾性的に膨張及び収縮するにつれ、エラストマーチューブ26の変形によりケーブル10内部の流体の圧力が緩和され、ケーブル10内部の圧力が制限される。
上述したように、PILCケーブルは1つを超える中心導体18を含み得る。図5を参照すると、ケーブル100は複数の導体18を有するPILCケーブルを代表するものである。ケーブル100は、3つの導体18a、18b、18c(導体18と総称する)を有するものとして表されているが、他の導体数も可能である。図1〜4を参照して上述したケーブル10と同様、ケーブル100の各導体18a、18b、18cはそれぞれ、代表的なケーブル100の内部に油浸紙によって形成された、対応する含油絶縁層16a、16b、16c(含油絶縁層16と総称する)によって包囲されており、この含油絶縁層16a、16b、16cはまた、それぞれ、カーボン充填紙又は金属化紙から形成された、対応する中間半導体層14a、14b、14c(中間半導体層14と総称する)によって包囲されている。この導体18の群(すなわち対応する絶縁層16及び半導体層14を伴った各導体18)は、単一の外装鉛ジャケット12によって包囲されてケーブル100を形成している。ケーブル100はまた、鉛ジャケット12を包囲し保護する外装合成樹脂シースを有する場合もある。
図5に示したように、ケーブル100は、油止めの取り付けに備えて、最初に鉛ジャケット12の一部が切り落とされ、これによって複数の導体18並びに関連の半導体層14及び含油層16が露出されかつ互いに分かれた状態になることができる。ケーブル100内の複数の導体18のそれぞれは、ケーブル10(図1)の導体18について上述したと同様の方法で下処理される。すなわち、半導体層14の一部が除去されることで下の含油絶縁層16が露出され、その後、これより小さな、含油絶縁層16の一部が除去されて下にある中心導線18が露出される。その後、ケーブル遷移コネクタ19a、19b、19c(コネクタ19と総称する)が中心導体18上に取り付けられる。先に述べたように、コネクタ19はいかなるタイプのコネクタであってもよく、ケーブル10をスプライス接続し又は終端処理するのに用いられるコネクタを含むがそれらに限定されない。
図6に示すように、下処理済みの各導体18a、18b、18cに対し、それぞれエラストマーチューブ26a、26b、26cが、図1〜4を参照して上述したと同様の方法で取り付けられるが、鉛ジャケット12及び半導体層14の終端部に高誘電率テープを巻くといった誘電応力緩和策は省略され得る。図1〜4を参照して上述したように、エラストマーチューブ26は電気的に絶縁性で実質的に不透油性であり、以下により詳細に説明するように、フルオロエラストマーを含有する組成物又はフルオロエラストマーとエピクロロヒドリンとの配合物から形成される。一実施形態では、各エラストマーチューブ26の長さは鉛ジャケット12からコネクタ19までの長さに等しいかそれより大きい。図6に示す実施形態では、各エラストマーチューブ26はコネクタ19に約2センチメートル(2cm)重なっているが、導体18が集束する性質上、完全に鉛ジャケット12に至るまでは延在していない。一実施形態では、エラストマーチューブ26は鉛ジャケット12に可能な限り近づけて配置し得る。
図6に示すように、取り付け後は、各エラストマーチューブ26は対応する導体18、含油絶縁層16、及び半導体層14にしっかりと弾性的に適合する。各エラストマーチューブ26は下の含油絶縁層16と直接接触し、含油絶縁層16に弾性的圧力を加えている。
図7及び8を参照すると、ケーブル100の油止めの第2の要素が表されている。具体的には、エラストマーブーツ120が表されている。エラストマーブーツ120は、相互に連通した複数の中空エラストマー部分(又は部材)122a、122b、122c、及び122dを有する、分岐した常温収縮物品である。図7は、対応する取り外し可能なコア124a、124b、124c、及び124d上で膨張状態にある、中空のエラストマー部分122a、122b、122c、及び122dを示している。一実施形態では、エラストマーブーツ120は電気的に絶縁性である。一実施形態では、エラストマーブーツ120は不透油性である。一実施形態では、エラストマーブーツ12はフルオロエラストマーを含有する組成物又はフルオロエラストマーとエピクロロヒドリンとの配合物から形成される。一実施形態では、エラストマーブーツ120及びエラストマーチューブ26は実質的に同一の組成物から形成される。一実施形態では、エラストマーブーツ120は半導体であって、誘電応力緩和をもたらす助けとなる。エラストマーブーツ120は典型的には型成形によって作製される。エラストマーチューブ26と同様、エラストマーブーツ120は単層の要素であってもよいし、また、複合的機械的支持を提供するため又はシステムを経済的により魅力あるものにするために、他のエラストマーとともに多層の要素として形成されてもよい。
図7に示すように、エラストマーブーツ120は手袋の形に形成され、もとのままのケーブル100を受容する寸法をもつ大きな開口(部分122d)を備えるとともに、他端には数個のより小さな開口(部分122a、122b、及び122c)を有し、分かれた個々の導体18がエラストマーブーツ120から抜け出せるようになっている。小さな開口の数はケーブル100の導体18の数に対応している。
エラストマーブーツ120(より具体的にはその部分122a、122b、122c、及び122d)は、ケーブル100及び下処理した導体18上に、エラストマーチューブ26の配置に関して上述した方法に準じて配置されてよい。具体的には、取り外し可能なコア124a、124b、124c、及び124dが除去され、エラストマーブーツ120の各部分122a、122b、122c、及び122dが所定の位置へと収縮し、図8に示すようにケーブル100にしっかりと弾性的に適合する。エラストマーチューブ26と同様に、エラストマーブーツ120の寸法も、ケーブル100及びその内部の導体18の寸法に応じて大きく異なり得る。部分122a、122b、122c、及び122dの直径は、これらの部分の収縮状態において、対応するケーブル100並びに26a、26b、及び2cの外表面に対して効果的に封止エラストマーチューブができるような寸法である。一実施形態では、図8に示すように、部分122a、122b、122c、及び122dの長さは、これらの部分の収縮状態において、部分122dがケーブル100の鉛ジャケット12に約2センチメートル(2cm)重なることができ、かつ部分122a、122b、及び122cの長さが下のエラストマーチューブ26a、26b、及び26cに約5cm〜8cm重なるに十分となるに足る長さである。当然ながら、エラストマーブーツ120の他の重なりの程度も可能であり、意図する用途によっては望ましいこともあり得る。いったんエラストマーブーツ120が所定の位置につくと、油止めは完了する。このアセンブリは信頼性の高い封止を作り出し、ケーブル100からのいかなる流体の脱出をも防止すると同時に、ケーブル100内への水の浸入も防止する。
用途によっては、エラストマーブーツ120に、エラストマーブーツ120の取り付け中又は取り付け後に空気を抜くためのニップル140(図8)を設けることによって、エラストマーブーツ120下(例えば部分122a、122b、及び122cの間の領域130)における空隙の存在、又は空隙の可能性を避け得る場合がある。
エラストマーブーツ120は、下のエラストマーチューブ26に、また下の含油絶縁層16にも、弾性的圧力を加えていることに注意すべきである。すなわち、例えば熱膨張及び収縮によって下のケーブル100の寸法が変化し、またケーブル流体の圧力が変化するに伴い、エラストマーチューブ26及びエラストマーブーツ120の両方が、膨張及び収縮する。このため、都合のよいことに、エラストマーチューブ26及びエラストマーブーツ120が円筒状及び弾性的に膨張及び収縮するにつれ、ケーブル100内部の流体の圧力が緩和され、ケーブル100内部の流体の圧力が制限される。
本明細書に記述する油止めは事実上、PILCケーブル(単芯又は多芯を問わず)の端部を合成樹脂ケーブルに転化させる。PILCケーブルはその結果、通常は押出成形による誘電体ケーブルの場合に限られている、様々なケーブル付属品の使用に対応し得る。例えば、中心導体18にラグ端子を取り付けるためにコネクタを用いてもよいし、また、ケーブルの導体18を他のケーブルの導体(図示せず)に接続するために別個のスプライスアセンブリを用いてもよい。他のケーブルは押出成形による誘電体ケーブルであってもよいし、また、本開示による油止めを同様に施したPILCケーブルであってもよい。
先に言及したように、本開示は、少なくともフルオロエラストマーとエピクロロヒドリンとを含有するエラストマー組成物から形成される常温収縮物品を含む。少なくともフルオロエラストマーとエピクロロヒドリンとを含有する好適なエラストマー組成物の例は、本出願と同時係属中で譲受人を同じくする米国特許出願第11/191,838号(「常温収縮物品及び常温収縮物品を製作する方法」、2005年1月28日出願)に詳細に記述されており、その内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
用語「エピクロロヒドリン」は、本明細書で使用される場合、エピクロロヒドリンモノマーを含有する任意のポリマー、例えば、エピクロロヒドリンを含むホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマー等をはじめとする、エピクロロヒドリンを含有する任意の物質を指す。用語「常温収縮」は、本明細書で使用される場合、物品(又は物品の一部分)が室温状態(例えば約20℃〜25℃)でありかつ加熱しない状態で、膨張状態から弛緩状態又はある程度の膨張状態へ向けて収縮する能力として定義される。
エラストマーは常温収縮物品のエラストマー組成物内に含まれ、常温収縮物品が再度、弛緩状態へと常温収縮することも可能にしながら、同物品が弛緩状態から膨張状態に膨張することを可能にする。本発明の組成物には、フルオロエラストマーが含有され得る。フルオロエラストマーは種々のタイプの組成物又は材料、例えば、エピクロロヒドリン、EPDM層、ニトリルゴム、若しくは他の種々の組成物若しくは材料と混合され、又はこれらとともに使用され得る。本発明のエラストマー組成物には、フルオロエラストマーとエピクロロヒドリンとの混合物が含まれ得る。本発明の常温収縮物品のいくつかの実施形態は、人間の肉眼での視覚検査後に、いかなる割裂、破断又は破損をも示すことなく、膨張状態で少なくとも約150℃の温度に長時間曝され得る。
特に明記しない限り、本明細書においてすべての濃度は、100重量部のゴム(phr)に対する重量部で表され、ここでゴムは、フルオロエラストマー及びエピクロロヒドリンの両方の合計重量として定義される。したがって、本明細書で使用されるとき、特定の構成要素のphrは、フルオロエラストマー及びエピクロロヒドリンの合計100重量部に対する、その構成要素の重量部を表す。
広い範囲の濃度のエピクロロヒドリン及びフルオロエラストマーが、本発明のエラストマー組成物には含有され得る。例えば、いくつかの実施形態では、チューブ及び/又はブーツのエラストマー組成物は、フルオロエラストマー及びエピクロロヒドリンの合計100重量部について約10重量部〜約60重量部の範囲のフルオロエラストマーを含有する。いくつかの実施形態では、チューブ及び/又はブーツのエラストマー組成物は、フルオロエラストマー及びエピクロロヒドリンの合計100重量部について約40重量部〜約90重量部の範囲のエピクロロヒドリンを含有する。本明細書で使用するとき、エピクロロヒドリンを含有するポリマー(例えば、エピクロロヒドリンを含有するホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマー)との関連において、エピクロロヒドリンの重量部は、エピクロロヒドリンを含有するポリマーの総重量を参照する。
(エラストマー組成物から形成された)常温収縮物品の高温での割裂及び破断に対する特性を高めるため、強化充填材料が任意で、本発明のエラストマー組成物中に含有され得る。好適な充填材料の例としては、シリカ系強化充填材、強化等級カーボンブラック、フッ素樹脂、粘土、及びこれらいずれの材料の任意の割合での任意の組み合わせが挙げられる。好適な硬化、オートクレーブ処理、及び放射線処理の方法は、先に言及した米国特許出願第11/191,838号に詳細に記述されている。好適な充填材の例は先に言及した米国特許出願第/号に詳細に記述されている。本明細書で用いる場合、用語「シリカ系強化充填材」は式SiO2(例えば純シリカ)のすべての化合物;化合物の総重量を基準にして少なくとも約重量パーセントのSiO2及び/又はSiO2誘導体を含むすべての組成物;すべてのケイ酸塩;並びにこれらの任意のものの任意の比率による任意の組み合わせを含むものとして定義される。ここで使用されている語句「強化等級カーボンブラック」は、約65m2/gの平均表面積に相当する約40nm未満の平均粒径を有する任意のカーボンブラックを含む。
エラストマー組成物はその後、任意の適切な方法、例えば押出又は型成形によって、常温収縮物品へと形成され得る。実施形態によっては、常温収縮物品のエラストマー組成物は、エラストマー組成物の物理的特性に影響を与えるべく、硬化、オートクレーブ処理、又は放射線処理される。好適な硬化、オートクレーブ処理、及び放射線処理の方法は、先に言及した米国特許出願第11/191,838号に詳細に記述されている。
本発明のエラストマー組成物は、当該技術分野において公知のいかなる形状又は幾何学的外形の常温収縮物品にも形成され得る。常温収縮物品のいくつかの限定的例には、管、板、及び複数分岐構造体(すなわち、複数の入口及び/又は出口を有する手袋様の構造体)が挙げられる。
(本発明のエラストマー組成物から形成された)本発明の常温収縮物品は、様々な環境条件(例えば、室温又は150℃)の下で、様々な有利な機械的性質を様々な組み合わせで示し得る。いくつかの実施形態では、管及び板等の本発明の常温収縮物品は、この文書の性質分析及び特性解析手段の項の手順にしたがって試験される際に、室温で少なくとも約450%の破断伸び及び/又は150℃で少なくとも約250%の破断伸びを示し得る。管及び板等の本発明の常温収縮物品のいくつかの実施形態は、性質分析及び特性解析手段の項の手順に従って試験される際に、100℃で約35%未満の永久ひずみ率を示し得る。更に、本発明の組成物から形成される管及び板のいくつかの実施形態は、100℃で約25%未満の永久ひずみ率を示し得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物から形成される板は、100℃で約20%未満の永久ひずみ率を示し得る。
本発明の常温収縮物品の様々な実施形態は、高温での破断又は割裂に耐える。例えば、約150℃の高温で長期間、膨張状態で(例えば放射状に200%膨張した状態で7日間)維持された際に、本発明の常温収縮物品のいくつかの実施形態は引き裂きに耐える。
本発明の常温収縮物品の様々な実施形態は、例えばディーゼル燃料及び油圧油等の物質に対して化学的耐性を示す。本発明の常温収縮物品のいくつかの実施形態は、ディーゼル燃料に約49℃で24時間浸された際に約25%未満の重量増加率、及び/又は油圧油に約71℃で24時間浸された際に約10%未満の重量増加率を示す。
好ましい実施形態を参照しながら本発明を記載してきたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行えることを認識するであろう。