JP2010535502A - 遺伝子合成のための一体型マイクロ流体デバイス - Google Patents

遺伝子合成のための一体型マイクロ流体デバイス Download PDF

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Abstract

本発明者らは、短いオリゴヌクレオチドから二本鎖DNAを合成するための一体型マイクロ流体デバイスの製造を報告する。本発明者らは、マイクロ流体デバイス上で、1段階及び2段階合成プロセスの両方を使用して、39個のオリゴヌクレオチドのプールから760bp遺伝子セグメントの合成に成功したことを実証する。本発明者らはまた、全て同じデバイス上での二本鎖DNA PCR産物の精製及び二本鎖DNA産物中のシーケンスエラーのフィルター除去も記述する。
【選択図】 図13

Description

発明の詳細な説明
[関連出願の参照]
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2007年8月7日に出願された米国特許仮出願第60/963673号明細書の利益を主張する。
[発明の分野]
本発明は、遺伝子合成、特に、マイクロ流体デバイス上で直接短いオリゴヌクレオチドから二本鎖DNAを合成するための方法及びシステムに関する。
[発明の背景]
一体型マイクロチップを用いたPCRは、ラボオンチップ技術を使用して構築された。こうした技術及びマイクロPCRの応用が概説されている(Aurouxら、Lab Chip、2004年、4巻、534頁;Zhangら、Biotech.Adv.、2006年、24巻243頁;Chenら、Lab Chip、2007年、7巻、1413頁;Zhang及びXing、Nucleic Acids Res.、2007年、35巻、4223頁)。
Kongら(Nucleic Acids Res.、2007年、35(8):e61、e−pub 2007年4月2日、及び米国特許出願公開第2007/0281309号明細書)は、同一のチャンバにおいて1回の反応でプレカーサーオリゴヌクレオチドをアセンブリすること及びアセンブリした鋳型を増幅することによるde novo遺伝子合成のためのマルチチャンバマイクロ流体デバイスの製造を記述している。
[発明の概要]
本発明者らはここで、オリゴヌクレオチドのプールを所望のコード配列を有する遺伝子にアセンブリするための2段階遺伝子合成を実行することができる一体型マイクロ流体デバイスの本発明者らの例証に一部基づく(がこれに限定されるわけではない)発明を記述する。デバイスは、2つのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、温度制御されるハイドロゲル弁、電磁マイクロミキサ、シャトルマイクロミキサ、流量計、及び磁気ビーズを用いる固相PCR精製から構成され、リソグラフィ工程なしで高速プロトタイプ法を使用して製造される。製造されたデバイスは、遺伝子合成を実行するために小型サーマルサイクラーと組み合わされる。まず、オリゴヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖アセンブリ(PCA)によって遺伝子にアセンブリし、完全長遺伝子を二次PCRによって増幅させた。合成された遺伝子は更に、固相PCR精製によってPCR反応混合物から分離された。
したがって、本発明者らの発明の一態様は、マイクロ流体デバイスにおいて二本鎖DNAを合成するための2段階法に関する。本態様において、デバイスは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバに制御可能に流体連通するPCRアセンブリ(PCA)チャンバを備える。本方法は、(a)複数の異なるオリゴヌクレオチド及びポリメラーゼを含有するPCAチャンバに時間変動する温度場を印加するステップであって、各オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチドに部分的な塩基相補性を有し、それにより末端PCRプライマーの非存在下でオリゴヌクレオチドをPCR用の鋳型にアセンブリするステップと;(b)ステップ(a)において作製された鋳型を、末端PCRプライマー、dNTP及びポリメラーゼを含むPCRプレカーサーミックスの存在下でPCRチャンバにロードするステップと;(c)PCRチャンバに時間変動する温度場を印加し、それにより二本鎖DNAを含むPCR産物混合物を得るステップとを含む。
PCR増幅が終了すると、PCR産物はデバイス上で精製することができる。したがって、2段階法においてデバイスは、PCRチャンバに制御可能に流体連通する精製チャンバを更に備えることができる。本方法において、さらなるステップ:すなわち(d)PCR産物混合物を精製チャンバ中にロードして二本鎖DNAを固定し、それにより二本鎖DNAを遊離dNTP、プライマー及び重合していないオリゴヌクレオチドから分離するステップが存在する。固定化は磁気ビーズを使用して達成することができる。二本鎖DNAは、ビーズ固定化DNAを60℃で3分間の熱ショック条件に供することによって磁気ビーズから抽出することができる。
エラー訂正段階が本方法中に組み込まれてもよい。エラーフィルター処理を行うための緩衝液条件がPCA又はPCR条件と異なる場合は、緩衝液交換が望ましいはずであり、エラーフィルター処理段階は必然的に精製段階に続いて行うことになる。したがって、2段階法においてデバイスは、精製チャンバに制御可能に流体連通するエラーフィルター処理チャンバを更に備えることができる。本方法において、精製された二本鎖DNAをエラーフィルターチャンバ中にロードして、塩基対ミスマッチを含有する二本鎖DNAを除去するさらなるステップが存在する。
精製段階はまた、鋳型のPCR増幅前に行われてもよい。すなわち、鋳型がPCRに使用される前に精製(及び場合によりエラー訂正)されてもよい。したがって、デバイスは、PCAチャンバに制御可能に流体連通する精製チャンバを更に備えることができる。本方法は、PCAによって作製された鋳型を精製チャンバ中にロードして、鋳型を固定し、それにより鋳型を遊離dNTP及び重合していないオリゴヌクレオチドから分離し、その後PCRに進むステップを含む。
固定化は磁気ビーズを使用して達成することができる。鋳型は、ビーズ固定化鋳型を60℃で3分間の熱ショック条件に供することによって磁気ビーズから抽出することができる。
PCR産物と同様に、PCAによって作製された鋳型もまた、エラーフィルター処理に供することができる。したがって、デバイスは、精製チャンバに制御可能に流体連通するエラーフィルター処理チャンバを更に備えることができる。本方法は、精製された鋳型をエラーフィルターチャンバ中にロードして、塩基対ミスマッチを含有する鋳型を除去し、その後PCRに進むステップを更に含む。
本発明者らの発明の別の態様は、精製段階と組み合わせたマイクロ流体デバイスにおいて二本鎖DNAを合成するための1段階法に関する。本態様において、デバイスは精製チャンバに制御可能に流体連通する合成チャンバを備え、本方法は、(a)末端PCRプライマー、ポリメラーゼ、dNTP及び複数の異なるオリゴヌクレオチドを含有する合成チャンバに時間変動する温度場を印加するステップであって、各オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチドに部分的な塩基相補性を有し、それにより二本鎖DNAを含むPCR産物混合物を得るステップと、(b)PCR産物混合物を精製チャンバ中にロードして二本鎖DNAを固定し、それにより二本鎖DNAを遊離dNTP、プライマー及び重合していないオリゴヌクレオチドから分離するステップとを含む。
固定化は磁気ビーズを使用して達成することができる。二本鎖DNAは、ビーズ固定化DNAを60℃で3分間の熱ショック条件に供することによって磁気ビーズから抽出することができる。
2段階法におけるPCR産物及び鋳型と同様に、1段階合成のためのデバイスは、精製チャンバに制御可能に流体連通するエラーフィルター処理チャンバを備えることができる。本方法において、精製された二本鎖DNAをエラーフィルターチャンバ中にロードして、塩基対ミスマッチを含有する二本鎖DNAを除去するさらなるステップが存在する。
本明細書に記載の方法及びデバイスは、反応成分の混合を容易にするためにマイクロミキサを更に備えることができる。特に、PCRプレカーサーミックス(dNTP、ポリメラーゼ及び末端PCRプライマー)をPCAによって作製された鋳型と混合するのに役立つことがある。また、精製用のDNA吸着固相媒体への結合を最適化するために混合段階を含むことが役立つこともある。
本明細書に記載のデバイスは、チャンバ内の流体のフローが制御されるように、流体フローアクチュエータに作動可能に連結されていてもよい。特定の実施形態において、流体フローアクチュエータはポンプ又は遠心機である。流体は、弁を備えるチャネルを介して1つのチャンバから次のチャンバに移動することができる。
特定の実施形態において、弁は温度変化に反応性である。特に、好ましくは、PCRチャンバのシーリングを制御する弁は、少なくとも6.8psiの圧力に耐えることができる。
本明細書に記載の合成反応を行うために、デバイスは、加熱素子、冷却素子、温度センサ、及び温度調節器に作動可能に連結することができる。
別の態様において、本発明者らの発明は、1nL〜100μLの流体を含有するように構成されたPCRアセンブリ(PCA)チャンバ、1nL〜100μLの流体を含有するように構成されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバ、及びPCR産物の固相精製のために構成されたチャンバを含む、二本鎖DNAを合成するためのマイクロ流体デバイスに関し、これらのチャンバは互いに制御可能に流体連通する。
マイクロ流体デバイスは、PCR反応ミックスとPCA反応産物とを混合するように構成された混合チャンバを更に備えることができる。
マイクロ流体デバイスは、PCAチャンバ中に複数の異なるオリゴヌクレオチドを更に含むことができ、各オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチドに部分的な塩基相補性を有する。
マイクロ流体デバイスは、PCR産物のエラーフィルター処理用に構成されたチャンバを更に備えることができる。
マイクロ流体デバイスの特定の実施形態において、チャンバは、弁を備えるチャネルを介して互いに制御可能に流体連通する。弁は温度変化に反応性であってもよく、PCRチャンバのシーリングを制御する弁は、いくつかの実施形態において、少なくとも6.8psiの圧力に耐えることができる。
マイクロ流体デバイスは、流体フローアクチュエータに作動可能に連結されていてもよい。
別の態様において、本発明者らの発明は、加熱素子、冷却素子、温度センサ、及び温度調節器に作動可能に連結された本明細書に記載のマイクロ流体デバイスを含む、二本鎖DNAを合成するためのシステムに関する。
(A)遺伝子アセンブリ製造工程の一実施形態の概略を示す図である。(B)PCRを用いる遺伝子合成の一実施形態の概略図である。1段階合成は、PCA及びPCR増幅を統合して1つの段階にする。2段階合成は、アセンブリ及び増幅のための別個の段階によって行われる。 (A)PCAチップ;(B)サーマルサイクラーの概略;(C)PCAチップを有するサーマルサイクラーの写真、の実施形態を示す図である。 一体型2段階遺伝子合成チップの実施形態を示す図である。マイクロ流体デバイス(40mm×35mm)の(A)概略;及び(B)写真。 計量チャンバ(M1及びM2)を有するDNA抽出/緩衝液交換チップ、洗浄及び溶出緩衝液をロードするための入口(A1)及び出口(A2)、ビーズチャンバ(C1)、並びに生成物回収チャンバ(C2)の(A)概略;及び(B)写真。 (A)単一チャンバチップのための感光性樹脂のプリントモールドの実施形態を示す図である。(B)製造されたハイドロゲル弁を有する単一チャンバチップを示す図である。PCR反応及びハイドロゲル弁は、2つの別個の熱電ヒータ(TE1及びTE2)によって制御された。(C)固相PCR精製を用いる2段階遺伝子合成チップ(65mm×50mm)を示す写真である。 MutSエラーフィルター処理段階の実施形態の概略を示す図である。(A)MutS酵素によって捕捉されたミスマッチDNAを、正確な配列を有するマッチDNAから分離するためのゲル電気泳動を使用する従来の方法;(B)固相MutSエラーフィルター。MutS酵素は、磁性粒子又はニッケルキレート粒子上に固定される。 MutSエラーフィルター処理(■)前及び(●)後のDNA量を示す図である。(A)50%の不正確な配列(2つの欠失及び2つの挿入)及び50%の正確な配列の混合物を有する760bp DNA試料;(B)100%の完全配列を有する760bp DNA試料。 (A)PCAアセンブリ、PCR増幅、緩衝液交換及びエラーフィルター処理を含むチップを用いる遺伝子合成システム;(B)遺伝子合成のための完全一体型デバイスの概略、の実施形態を示す図である。 遺伝子アセンブリ製造工程順序の概念的説明を示す図である。 DNA配列を最適なオリゴヌクレオチドに分解するためのバイオインフォマティクスソフトウェアの概略を示す図である。 PCAに関する一実施形態を示す図である。オーバーラップ伸長、連続伸長、及び熱力学的平衡のとれたインサイドアウトポリメラーゼサイクリング遺伝子アセンブリ(PCA)の方法、並びにライゲーションを用いる遺伝子合成を示す図である。 (A)遺伝子−CD装置;(B)遺伝子−CDプラットフォームに利用されるマイクロ流体構造の概略図、の実施形態を示す図である。 一実施形態におけるデバイス動作の概略図である。(a)オリゴヌクレオチド及びPCR混合物をPCAチャンバにロードした。次いでPCAを実施した。(b)PCAでアセンブリされた溶液を、外側プライマーを含有する新たなPCR混合物と混合した。(c)混合した試薬をPCRチャンバ内に置き、PCR増幅を行った。(d)PCRで合成された産物及びチャージスイッチ(ChargeSwitch)試薬をビーズチャンバにポンプ輸送及びロードした。磁気ビーズを磁石によって捕捉した。(e)磁気ビーズを洗浄した。(f)溶出緩衝液をロードし、磁気ビーズと混合した。合成産物を溶出緩衝液中に溶出した。 (a)マイクロミキサの一実施形態を示す写真である。有色色素(青色及び赤色)を、2つのチャンバ間を3回往復させた後によく混合した。(b)シリンジポンプ、電磁ミキサ、熱電ヒータ及びデータ取得を有する実験装置の概略図である。 in situ光重合ハイドロゲル弁の熱応答を示す図である。弁機能は高度に反復可能であった。挿入図は、弁機能の推移を示した。 特注PCRサーマルサイクラーのサーマルサイクリングプロファイルを示す図である。ヒータ上に取り付けた熱電対を、サーマルサイクリングのための温度フィードバック制御(ヒータ温度)に使用した。ヒータ表面とPCRチャンバ内(チャンバ温度)の温度差は、LabVIEWプログラムを使用して補正した。 (A)市販のサーマルサイクラー及び単一チャンバデバイスのPCA結果を示す写真である。PCA方法を最適化するために異なるオリゴ濃度を使用する。(B)市販のサーマルサイクラー及び一体型2段階遺伝子合成デバイスの2段階遺伝子合成の結果を示す写真である。 2段階プロセスのために5〜25nMのオリゴヌクレオチド濃度及び0.1〜0.4μMの外側プライマー濃度を用いた合成収率を示すアガロースゲル(1.5%)電気泳動を示す写真である。合成は、市販のサーマルサイクラーを使用して実施した。(a)PCA結果。(b)PCR増幅結果。 市販のサーマルサイクラー(機械)及びマイクロ流体デバイス内で実施した合成結果を比較するアガロースゲル(1.5%)電気泳動の写真である。10nMのオリゴヌクレオチド濃度及び0.4μMのプライマー濃度で実施した(a)1段階プロセス(デバイス:単一チャンバチップ);及び(b)2段階プロセス(デバイス:2段階チップ)。 マイクロ流体デバイス(■:3分)及び標準PCRチューブ(□:3分;◇:2分)内で実施したDNA抽出に対する、溶出温度及びインキュベーション時間の影響。
[実施形態の詳細な説明]
本発明者らの目的は、短い合成オリゴヌクレオチドの自動遺伝子アセンブリを実行するための一体型ラボオンチップマイクロシステムを開発することである。オリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びリガーゼ連鎖反応(LCR)を含む既知のアセンブリ法に基づいて、コード遺伝子及びゲノムのDNA配列にアセンブリされる。遺伝子アセンブリを実行するために必要とされる構成要素が、開発され、小型化され、遺伝子アセンブリのためのマイクロ流体デバイス上に統合される。本発明者らは、その構成要素及び要素に関して本発明を記述し、その様々な実施形態に関して本発明を例示する。本発明は、例証される特定の実施形態又は本明細書に記載の要素の明示的な組合せに限定されるべきではない。
図1(A)は、合成遺伝子を作出するための2段階オーバーラップ遺伝子アセンブリ法の一実施形態における概念を示す。本実施形態は、ポリメラーゼ連鎖アセンブリ(PCA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、緩衝液交換(図1(A)には示さず)、及びエラーフィルター処理の4つの工程段階を含む。PCA段階は、短いオリゴヌクレオチド(20〜60塩基長の長さを有する)のプールを、所望の長さ及び配列情報を有する長い二本鎖DNA(鋳型と呼ばれる)にアセンブリする。アセンブリされた鋳型DNA量は、その後PCR段階(図1B)によって増幅される。アセンブリ産物もまた不正確な配列を有するDNAを含有するので、その産物は、MutS酵素を含有する酵素エラーフィルターによってろ過される。この段階はアセンブリ産物を精製する。これらの段階をチップに統合するために、PCR増幅及びエラーフィルター処理と併せて追加段階(緩衝液交換)を加える。この段階は、完全長鋳型を抽出し、エラーフィルター処理のために最適化された緩衝液に完全長鋳型を放出することになる。
マイクロ流体デバイス(「チップ」とも呼ばれる)上での遺伝子合成は、多くの構成要素から構成されていてもよい。図2(A)は、PCA又はPCRを実行するための小型サーマルサイクラーを例示する。1つの設計は、光重合ハイドロゲル弁を備えるシリコン基板上のPDMS流体構造から構成される。ハイドロゲル弁は、PCA又はPCR試薬をシールするため、及び温度サイクリング中に試薬の蒸発を防止するために使用される。このチップの機能は、1つはサーマルサイクリング用及びもう1つはハイドロゲル弁制御用の2つの熱電モジュールによって制御される。サーマルサイクラーの概略及び実際の構成を図2(B)及び(C)にそれぞれ示す。全体のシステムは、LabViewソフトウェアによって制御することができる。
図3は、一体型2段階遺伝子合成チップの1つの設計を示す。このチップはPCA及びPCR段階を、試薬の体積計量及び混合のための他のマイクロ流体構成要素を有する同一のチップに統合する。このチップは、図2(C)に記載した同一のサーマルサイクラーを使用してPCAアセンブリ、その後続いてPCR増幅を実行することができる。
本発明者らは、短いオリゴヌクレオチド(40塩基)のプールを760bpのDNA(GFPuvのセグメント)にアセンブリすることによって、製造されたデバイスの性能を実証した。遺伝子合成プロセスはまず、単一チャンバサーマルサイクリングチップ上で最適化された(図2(A))。次いで最適化された方法を使用して、一体型2段階遺伝子合成チップ(図3)上で760bp DNAを合成した。このチップを用いて得られた合成結果を、市販のサーマルサイクラーの結果と比較する(図17)。単一チャンバデバイスは、10nMという低い濃度のオリゴヌクレオチドから完全長生成物を生成することに成功している(図17(A))。また、市販のサーマルサイクラーよりも多量の完全長DNAを作製する。図17(B)は、2段階一体型チップの結果を示す。本発明者らのデバイスのゲル結果におけるはっきりとしたバンドは、合成された生成物の大部分が完全長DNAであることを明示している(図17(B))。
PCR増幅の後、試料はDNA抽出及び緩衝液交換に供することができる。前者の工程は、様々な長さのDNAを含有するアセンブリ産物のプールから完全長DNAを抽出することを目的とする。これを行う1つの方法は、固相DNA抽出工程をチップに組み合わせることである。基本概念は、シリカ被覆磁気ビーズを使用して、低pH値で長いDNAを捕捉し、洗浄緩衝液でビーズを洗浄し、その後捕捉したDNAをpH値が8.5の別の緩衝液中に放出することである。図4(A)は、このようなDNA抽出デバイスの概略を示す。磁気ビーズは、ビーズチャンバの下部にある極小の磁石を使用してビーズチャンバ(C1)中に閉じ込める。DNA抽出チップは、PCRチップの出口を図4(A)の試料ローティング入口に接続することによってPCRチップと統合することができる。製造されたDNA抽出チップを図4(B)に示す。概念を示すために、本発明者らはInvitrogenのシリカ被覆磁気ビーズを用いた。別の市販業者又はIBNのシリカ被覆磁気ビーズもまた使用することができる。本発明者らは、100bp DNAラダーを試料として使用することによって、このDNA抽出チップのプロセスパラメータを最適化した。捕捉及び放出されたDNAの割合として定義される収率は、Invitrogenによって提供された標準プロトコールを使用した本発明者らのチップでは42%である。本発明者ら独自の放出工程(加熱によって促進される)を組み込むことによって、本発明者らは収率を70%まで増加させた。手短に述べると、本発明者らは、PCRチップと統合することができるDNA抽出チップを開発することに成功した。
遺伝子合成のための望ましいチップ構成要素の一つは、エラーフィルターである。アセンブリされたDNA産物は、正確な配列及び不正確な配列を有するDNAを含有する。この産物から誤ったDNAを除去するための1つの方法である、酵素エラーフィルターはMutS酵素を用いて使用される(図6参照)。MutS酵素は、ミスマッチを有するDNAを認識すること、及びミスマッチ部位に結合することができるが、正確なDNAには影響を及ぼさない。従来の方法は、ゲル電気泳動を使用して正確なDNAをMutS結合DNAから分離する(溶液中)(図6(A))。本発明者らは、磁気ビーズ上に固定されたMutS酵素を有する固相エラーフィルターを使用した(図6(B))。ミスマッチDNAは固定化MutS酵素によって捕捉され、正確なDNAは影響を受けずフィルターを通過するだけのはずである。
本発明者らは、MutS酵素が固定されている磁気ビーズであるM2B2(Genecheck)を使用することによって、この固相エラーフィルターを例証した。実験は、50%ミスマッチ配列(図7(A))及び100%完全配列(図7(B))を有する試料について50μLバイアルを使用して実行した。MutSエラーフィルターは生成物からエラーDNAを除去することに成功した。固相エラーフィルターもまた磁気ビーズを使用するので、チップ設計は固相DNA抽出チップに類似している。さらに、固相エラーフィルターは他の構成要素と容易に統合することができる。本発明者らは、市販のM2B2に取って代わる固定化方法として、ニッケルキレート粒子上でHisタグ化したMutSを使用することを考慮している。これは固相エラーフィルターのプロセス及びチップ設計に影響を及ぼさないはずである。
本発明者らは、チップ上の自動遺伝子合成を可能にする構成要素を開発することに成功した。チップ設計に加えて、本発明者らはまた、試薬調節、温度サイクリング、固相精製及びエラーフィルター処理のためのハードウェア及びソフトウェアも開発した。図8(A)は、このシステムの概略図を示す。一実施形態において、本発明者らの発明は以下のものを含む:
1.PCA、PCR、固相DNA抽出、及び固相エラーフィルターのためのデバイス構成要素。本発明者らは、これらの構成要素の性能を別個のマイクロ流体チップ上で実証した。これらの構成要素は統合して1つのチップにすることができ、遺伝子合成を自動的に実行可能なマイクロシステムとすることができる。
2.チップ上で遺伝子合成を実行するための新規な方法。本発明者らは、DNA抽出のための従来の電気泳動法及びエラーフィルター処理を、ハイドロゲル弁によって制御された流体調節を用いる固相法に置き換えた。加熱段階を組み込むことによって、DNA抽出の収率もまた向上する。
3.結果は、本発明者らのデバイスが従来の方法をしのぐことができることを示す。本発明者らのデバイスは、遺伝子合成が手動ピペッティング、PCA及びPCR用の市販のサーマルサイクラー、並びに緩衝液交換及びエラーフィルター処理のためのゲル電気泳動を使用して実施される従来の方法よりも高効率及び大量のアセンブリ産物を提供する。
本発明者らは、図8(B)に一体型チップの概略を示す。デバイスは、一体型薄膜ヒータ及び温度センサを有するプリント回路板(PCR、最下層)からなる。PCA及びPCRチャンバのすぐ下にある薄膜ヒータ及び温度センサは、サーマルサイクリング用である。DNA抽出チャンバのすぐ下の薄膜ヒータは、放出収率を増加させるためである。ハイドロゲル弁もまた、一体型ヒータによって制御することができる。チップは、チップ周囲の電気接続パッドを通じて電気モジュールを動力源にすることができる。一体型チップは、マイクロ流体構造を作り出すために、ポリメチル−メタクリレート(PMMA)(最上層)を利用してもよい。
図9は、オーバーラップしたオリゴを使用した遺伝子の設計、合成及びアセンブリを示す。これは、バイオインフォマティクス処理、オリゴヌクレオチド合成、及び遺伝子アセンブリを含み、ここでバイオインフォマティクスがDNA配列を最適な短いオリゴマーに分割する。その後、これらのオリゴマーは、in situ DNAマイクロアレイ(Richmondら、Nucleic Acids Research、3巻、5011〜8頁、2004年)又は市販のオリゴヌクレオチド合成機を使用して合成される。これらのオリゴマーは次いで放出され、精製され、多段階ライゲーション及びポリメラーゼサイクリングアセンブリ(PCA)法を使用してより長いDNAセグメントにアセンブリされる。不正確な配列を有するDNAセグメントは、最終的なPCR増幅の前にエラーフィルター処理によって除去される(Carrら、Nucleic Acids Research、32(20)、e162、2004年)。
本発明者らの例証した実施形態において、PDMS/シリコンチップは、光重合樹脂のプリント3次元モールドを利用することによって製造された。PDMSにおけるタンパク質吸着及びPCR混合物の蒸発は、デバイスをパリレンの薄層で被覆することによって排除された。流体制御は、精密シリンジポンプ及び熱活性化ハイドロゲル弁を用いて実現された。PCR反応混合物は、サーマルサイクリング中、試験され、目視可能な漏れがなく、≧8psiの圧力に耐えることができるin situハイドロゲル弁によってシールされた。
本発明者らは、マイクロ流体合成が、10nMの低いオリゴヌクレオチド濃度及び0.4μMのプライマー濃度で、1段階及び2段階PCRを用いる遺伝子合成プロセスを使用してうまく達成されることを示した。より完全な長さの生成物は2段階プロセスによって生成されるが、両プロセスで得られるエラー率はそれほど変わらない。合成された生成物は、市販のサーマルサイクラーを用いるPCRチューブにおいて実施された対照実験と同程度の250塩基当たり約1のエラー率を有することをDNAシーケンシングによって確認された。
本発明者らは、このデバイスを使用して緑色蛍光タンパク質断片(GFPuv)(760bp)を合成することに成功し、市販のサーマルサイクラー内でPCRチューブにおいて実施された実験と同程度の合成収率及びエラー率を得た。DNAシーケンシングによって測定した結果のエラー率は、250塩基当たり1であった。本発明者らの知る限り、これは一体型2段階遺伝子合成を実証した最初のマイクロ流体デバイスである。
一体型遺伝子合成チップとともに、本発明者らは、合成産物を精製するため、及び下流用途向けの緩衝溶液を調製するためのマイクロ流体設計を記述する。本発明者らは、合成産物をPCR反応混合物から分離するために、固相PCR精製用のシリカ被覆磁気ビーズを使用することを例証する。試験時に、本発明者らは、短い熱ショックを使用してDNA抽出効率を向上させることができることを発見した。本発明者らは、DNA溶出の前に短い熱ショック(例えば、60℃で3分間)を印加することによって、70%の抽出効率及びマイクログラムレベルのDNA負荷能力が得られることを示した。このことは、in vitro無細胞タンパク質合成に適した緩衝溶液中で合成遺伝子を調製するのに、又は合成産物の精度を改善するためにチップ上にDNAエラー訂正方法を統合するのに役立つはずである。本発明者らが例証した実施形態では、プロセスは2回のPCR(各30サイクル)及びPCR精製(<10分)を含め約2時間かけて、約2μgのDNA産物(752bp)を作製する。
PCRチューブにおける実験と直接比較するためにマイクロリットルスケールで流体設計を用いてこの成果が示されたが、より費用効率の高い遺伝子合成を提供するために反応器容積及び構造の寸法は実質的に縮小することができる。ハイドロゲル弁、反応チャンバ、マイクロミキサ、及びPCR精製の設計は自由に変えられ、大幅な設計変更なく縮小することができる。
DNAアセンブリのためのオリゴ設計
遺伝子配列正確性及び作製効率は、基礎単位オリゴハイブリダイゼーションの特異性及び完全性に依存する。バイオインフォマティクスの主要目的は、各オリゴマーが唯一無二の1つの相補的な標的配列を有することを確認すること、及び各オリゴマーが遺伝子アセンブリを妨げる二次構造を有さないことを確認することである。したがって、各々の配列がただ1つしかなく、構造を有さないように、完全な遺伝子(2kb〜10kb)をアセンブリ配列に分解することが最良である。
DNA配列を最適なオリゴ(図10)に分割するためのガイドラインは、様々な遺伝子のDNAマイクロアレイのために最適なDNAオリゴを選択するガイドラインと同様であり、オリゴは均一な融解温度(Tm)を有し、クロスハイブリダイゼーション及びヘアピン又はダイマーを形成する二次構造がないことが望ましい。したがって、オリゴマイクロアレイのために開発されたアルゴリズム及び方法(Li及びStormo、Bioinformatics、17(11)巻、1067〜76頁、2001年;Chouら、Bioinformatics、20(17)巻、2893〜2902頁、2004年)を、遺伝子アセンブリのための高性能バイオインフォマティクスを開発するように適合させる。
DNA配列は、キーワード(クロスハイブリダイゼーション)及び重複(反復又は高G+C含量)等の文字列情報を含む4つの文字(A、T、G、及びC)でできた文字列とみなすことができる。最初に問題のある配列領域を同定することによって、本発明者らは、このアプローチが現在の遺伝子アセンブリソフトウェアDNAWorks(Hoover及びLubkowski、30(10)巻、Nucleic Acids Research、e43頁、2002年)及びGene2Oligo(Rouillardら、Nucleic Acids Research、32巻、Webサーバー版、w176〜180頁、2004年)に優るいくつかの利点をもたらすと考える。まず、厄介なDNAセグメントを予測及び回避することができる。反復領域又は高G+C含量を含有するDNAは遺伝子アセンブリを妨げるはずであり、これは配列ランドスケープアルゴリズム(Li及びStormo、Bioinformatics、17(11)巻、1067〜76頁、2001年)を使用して予測することができる。次に、配列はセグメントに分割され、オリゴヌクレオチドの組は各セグメントとして設計され、これらは並行してアセンブリされる。最後に、合成されたセグメントは全て統合されて最終配列になる。セグメントの統合の際に、これらはPCR用鋳型にアセンブリするための短いオリゴヌクレオチドの代わりに使用される。最終的な所望の配列を形成するために必要とされるオリゴヌクレオチド及び断片の数に応じて、複数回のアセンブリ及び合成反応が必要なことがある。第2に、クロスハイブリダイゼーション問題は、一般に使用されているBLASTプログラムと比較して効率を向上させるためにコンピュータ科学において十分に開発されたアルゴリズムの問題を探索するキーワードと考えることができる。第3に、二次構造の自由エネルギーを計算するためのMfoldプログラムを使用せずに不必要な計算を避けるために、文字列接尾辞配列アルゴリズム(Li及びStormo、Bioinformatics、17(11)巻、1067〜76頁、2001年; Chouら、Bioinformatics、20(17)巻、2893〜2902頁、2004年)を使用して自己相補性の傾向を予測することができる。
最適なオリゴヌクレオチドは、記載したアプローチに基づくLCR又はPCAによって遺伝子アセンブリ用に設計される。長いDNA配列はまず、500bp〜1kbpの長さのセグメントに分割され、次に各セグメントは長さ優先法(length priority method)又は融解温度優先法(melting temperature priority method)に基づいて最適なオリゴに分割される。長さ優先法では、オリゴは全て、ユーザーの定義した、又はユーザー定義の融解温度(Tm)及びオリゴ組の間で許容できる融解温度変化(ΔTm)から計算した同じ長さを有する。融解温度優先法では、オリゴは、オリゴ組の間で均一なTmを得るために異なる長さを有することができる。この方法は、変異したオリゴのミスハイブリダイゼーションのための合成エラーを低減するのに利点をもたらす。オリゴ組全体で均一なTmを有することによって、平均Tmにより近い温度でLCR又はPCAを実行することができ、これにより、より低いTmを有する変異したオリゴの最終産物への混入の可能性は小さくなるはずである。
マイクロ流体デバイス
本発明のマイクロ流体デバイスはシリコンベースのチップであり、これらに限定されるものではないが、ホットエンボス加工、エラストマーの成形、射出成形、LIGA、ソフトリソグラフィ、シリコン製造及び関連する薄膜加工技術、フォトリソグラフィ、並びに反応性イオンエッチング技術を含む様々な技術を使用して製造される。一実施形態において、ガラスエッチング及び溶融石英基板の拡散接合を使用してマイクロ流体チップを調製することができる。積層及び成形されたマイクロ流体デバイスの微細構造は異なる可能性がある。
ペンシルベニア大学(米国特許第5498392号明細書;同第5587128号明細書;同第5955029号明細書;同第6953675号明細書)は、PCRを実行するための微細加工されたシリコンベースデバイスを開示した。この特許は、試料中の細胞又は微生物の核酸を迅速に増幅するための、小型で大量生産型の、典型的には1回使用の使い捨て「チップ」を開示した。デバイスは、試料入口ポート、「メソスケール」フローシステム、及び1つ又は複数の反応チャンバ中の温度制御のための手段を含んでいた。チップ外ポンプは、流体フローを制御するため及び試薬を送達するために使用された。開示された加熱及び冷却手段は、電気抵抗器、レーザー、及びコールドシンクを含んでいた。プリント回路、チップ上のセンサ、並びに分析対象物をトラップ及び濃縮するための分析前結合手段が開示された。一般的な流体チャネルを使用して、細胞溶解廃棄物は開口部又はチップ外の場所まで輸送された。チャンバ及び少なくとも1つの約0.1μm〜500μmの断面寸法を有する流路を有する分析デバイスが開示された。5μL以下の反応体積が予測された。
積層技術を使用したマイクロ流体システムの設計は、マルチチャネル分析及び様々な程度の複雑さの3次元マイクロ流体システムの形成を可能にする(Jandikら、J.Chromatography A、954巻:33〜40頁、2002;Cabrera、「マイクロ流体電気化学フローセル:設計、製造、及び特性評価」、論文、2002年 バイオエンジニアリング学部、シアトル、ワシントン大学;Cabreraら、Analytical Chemistry、73:658〜666頁、2001年;McDonald及びWhitesides.Accounts of Chemical Research、35(7)巻、491〜499頁、2002年;及びMcDonaldら、Electrophoresis、21巻、27〜40頁、2000年;これらは全て、本明細書と矛盾しない程度にその全体が本明細書に組み込まれる)。
マイクロ流体デバイスを製造するために適した材料は、これらに限定されるわけではないが、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ガラスを含む。
タンパク質を吸着し特定の生物学的プロセスを阻害するPDMS等のポリマーの疎水性のため、不動態化剤が必要なことがある(Shoffnerら、Nucleic Acids Research、24巻:375〜379頁、1996年)。適した不動態化剤は当技術分野において知られており、パリレン及びDDMを含む。PCRマイクロ流体工学のための材料、設計及び表面不動態化技術を含むマイクロ流体デバイス製造技術の説明のためのZhangら、Biotech. Adv.、2006年、24巻、243頁を参照されたい。
「制御可能な流体連通」とは、反応流体がデバイス内で1つの場所から別の場所へ、ユーザーによって制御される形で移動させることができるようなデバイス設計のことを指す。
デバイスチャンバ間に連通を提供する1つの方法は、チャネルを介することである。マイクロ流体チャネルの1つの形態は、長さを調節できる流体チャネルである。いくつかの実施形態において、チャネルの横断面の1つの寸法は500μm未満である。別の実施形態において、チャネルの横断面の1つの寸法は500μmより長い。マイクロ流体チャネル中のマイクロ流体の流体流動挙動は理想的ではなく、内壁の濡れ特性、粗さ、液体粘度、表面張力、粘着性及び凝集性に依存し得る。さらに、長方形又は円形の断面プロファイルに基づくチャネル中のフローは、対角幅又は直径によって制御される。チャネルの最狭幅寸法は、フローに対して最も大きな影響を有する。指向流、固体チェック弁のソートを促進するために、チャネル中にビアを設計することができる。
本発明のマイクロ流体デバイスは、PCAチャンバ及びPCRチャンバ(2段階チップ)を含んでもよく、又は2つの反応を同一チャンバ(「合成チャンバ」;1段階チップ)内で行ってもよい。チャネルはチャンバを接続する1つの方法である。各チャンバにおける容積は、1nLから100μLに及んでいてもよい。具体的には、各チャンバの容積は5nL〜10nL、10nL〜50nL、50nL〜1μL、1μL〜10μL、7μL〜20μL、10μL〜20μL、20μL〜40μL、40μL〜70μL、及び70μL〜100μLに及んでいてもよい。
デバイス上で流体のチャンバへの通路を制御するための1つの方法は、弁を提供することによる。マイクロ流体デバイスは、例えば、少なくとも1つの500μmより小さい寸法を有する液圧、機械的、空気圧、磁気、及び静電アクチュエータ流量制御装置を含む。この種の代表的なフラップ弁は、米国特許第6431212号明細書に記載されている。ハイドロゲル弁、ピンチ弁、ワックス弁、膜弁、チェック弁及びエラストマー弁もまた含まれる。マイクロ流体弁の種類を記述している特許は、米国特許第5,971,355号明細書;同第6,418,968号明細書;同第6,620,273号明細書;同第6,748,975号明細書;同第6,767,194号明細書;同第6,901,949号明細書;同第6,802,342号明細書を含む。
チャネルを通る流体のフロー制御は、膨張可能な材料を含むフロー制御機構の使用によって行ってもよい。このようなフロー制御機構は、デバイスの一部として形成されてもよく、例えば、流体、例えば、水、溶媒等と接触すると膨張する材料、を含んでいてもよい。この使用に適した材料の例は、ハイドロゲル、ポリマー(例えば、膨潤性ポリマー)、例えば、ポリアクリルアミド等、一般に高吸水性ポリマー(SAP)と呼ばれる膨張可能な材料、及び/又は他の利用可能な材料を含む。ハイドロゲルは、多くの因子、例えば、pH、温度、溶液のイオン強度、又はこれらの任意の組合せに反応して膨張又は崩壊する。膨張又は崩壊することによって、ハイドロゲルはチャネルを通る流体のフローを調節することができる。例えば、ハイドロゲルは32℃より低い温度で膨張し、そのためチャネルを通るフローを遮断することができ、32℃より高い温度では収縮し、そのためフローのチャネル通過を可能にすることができる。
マイクロ流体デバイス内で連続反応プロセスを実行するために、可逆的遮断を使用してもよい。連続反応プロセスでは、いったんマイクロ流体デバイス中に導入したら反応材料を環境にさらすことなく、マイクロ流体デバイス内の一連の化学反応及び/又はプロセスを順序付けることが望ましいことがある。
ハイドロゲルの一般的な材料は、例えば、ポリNIPAAm、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレートポリマー及び親水基の多いコポリマーを含む。天然のハイドロゲル材料は、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロナン、及び他の天然由来ポリマーを含む。
マイクロ流体デバイスは、シャトルミキサ又は電磁ミキサ等の混合モジュールを含むことができる。シャトル混合において、溶液は狭チャネルによって接続された2つのチャンバ間を往復する。接続部でカオス的移流を作り出すチャネル−チャンバ接続部の急激な開閉は、フローを再循環させる。電磁混合において、マイクロ流体デバイス中で交流磁力を発生させて磁気ビーズを撹拌し、したがって磁気ビーズを含む溶液を撹拌した。別の態様において、チャネルにおける滞留時間の間に液体が混合されるように、2つの液体流を発生させてチャネルを通過させる。所与の速度の液体に関して、完全な混合を確実にするために、チャネルの長さを増加させることによって液体の対流時間を増加させる。別の態様において、より短い滞留時間において混合を確実にするために、ミキサチャネルを複数のより狭いチャネルに分岐させる。
入口は、マイクロ流体チャネルへの開口部を備える。入口は、マイクロ流体チャネルを主要マイクロ流体チャネルから外れる分岐チャネルである支流マイクロチャネルへ流体的に接続することができ、また流体をマイクロ流体デバイスに導入するために弁、チューブ、シリンジ、及び/又はポンプへ接続することもできる。出口は、マイクロ流体チャネルからの開口部を備え、また回収ポート、出口から流体を除去するための吸収性材料へ接続することもできる。
マイクロ流体デバイス内の流体体積の量を制御することが必要なこともある。流量計は、仕切られた部分への流体の導入が規定量の流体になるように仕切られた部分に規定量のチャンバ又はチャネルを含むことができる。
流体フローアクチュエータは、マイクロ流体デバイス内の流体の指向性運動を可能にする。例示的なアクチュエータは、流体の運動を強制することを目的とするシリンジポンプ、バルブ、ベローズ、ダイアフラム、又はバブルを含み、ここでポンプの基礎構造は、1ミリメートル未満の厚さ又は他の寸法を有する。このようなポンプは、米国特許第6743399号明細書及び米国特許出願公開第2005/0106066号明細書に記載されている機械的に作動される再循環ポンプを含む。マイクロ流体ポンプは、手動で又はロボットによって操作することができる。電気浸透ポンプもまた、マイクロ流体デバイス中の流体のフローを制御するために使用することができる。
代替として、遠心力を使用してマイクロ流体デバイス中の流体を推進する。米国特許第5610074号明細書は、試料溶液中に溶解、懸濁又は分散している物質の混合物から物質を、一連の段階において単離するための遠心ロータを記述した。多数の試料が複数の分画セルを用いて同時に処理され、これらはそれぞれ、分画及び単離手順の個々の段階が行われる一連の相互接続されたチャンバ型及びベント型区画を含む。この遠心ロータにおいて、プロセスの任意の段階で試料液体又はその画分の1つによって占められる特定の区画は、ロータの回転の速度及び方向並びに重力の両方の組合せによって制御される。相互接続、チャンバ及び各区画の流路は、所定量の試料及び試薬液体が区画をあふれさせないようにするための寸法及び角度にされる。
遺伝子アセンブリ及び合成
遺伝子又はゲノムをオリゴヌクレオチドからde novo合成してウイルスゲノム(7.5kb;Celloら、Science、2002年、297巻、1016頁)、バクテリオファージゲノム(5.4kb;Smithら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2003年、100巻、15440頁)、及び32kbの大きさの遺伝子クラスター(Kodumalら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2004年、101巻、15573頁)にアセンブリした。これまでに報告された最長の合成DNAは、Venter及び共同研究者(Gibsonら、Science、2008年、319巻、1215頁)による細菌(マイコプラズマジェニタリウム(Mycoplasma genitalium))のゲノムの582kbである。さらに、DNA合成を、高密度DNAマイクロアレイ技術(Tianら、Nature、2004年、432巻、1050頁及びRichmondら、Nucleic Acids Res.、2004年、32巻、5011頁)と組み合わせて、従来の合成オリゴヌクレオチド(1塩基当たり0.2米ドル)と比較して大幅に低いコスト(オリゴヌクレオチド当たり約1セント)で、何百万ものユニークなオリゴヌクレオチドを提供することに成功している。これまでに、15kbの大きさのDNA生体分子(Tianら、Nature、2004年、432巻、1050頁)を、DNAマイクロアレイ由来のオリゴヌクレオチドを用いて構築することに成功している。
600個の異なるオリゴヌクレオチドを含むプールを使用した遺伝子合成が示された(Tianら、Nature、432巻:1050頁、2004年)。しかし、オリゴヌクレオチドのプールの複雑さの増加とともに、合成が実行不可能になる恐れがある。600個の異なるオリゴヌクレオチドを含むプールがプールの限界であると、及び各オリゴヌクレオチドが20bpオーバーラップを有する平均40bpであると仮定すると、作製される可能性がある最大の二本鎖DNA断片は長さ約1.2kbである。結果として、約1.2kbよりも大きい遺伝子及びDNA断片に関して、チップ上で2回以上の合成が必要となり得る。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドからのPCRアセンブリ及び合成は、下記に記載の通り、連続使用のために適合させることができる。本発明者らは、マイクロ流体デバイスにおけるオリゴヌクレオチドからの単回のPCRアセンブリ及び合成は、1.5kbまでの;特に300bp〜1.2kb及び500bp〜800bpの範囲のDNAの作製に関して、機械的繰り返しになると想定する。本発明者らは、チップを使用して少なくとも約100bpのDNAを作製することが実用的であるはずであると想定する。
リガーゼ連鎖反応(LCR)(Chalmers及びCurnow、Biotechniques、30(2)巻、249〜52頁、2001年; Wosnickら、Gene、60(1)巻、115〜27頁、1987)等の方法から一組のPCR手法(Stemmerら、164巻、Gene、49〜53頁、1995年;Prodromou及びL.H.Pearl、5(8)巻、Protein Engineering、827〜9頁、1992年;Sandhuら、12(1)巻、BioTechniques、14〜6頁、1992年;Young及びDong、Nucleic Acids Research、32(7)巻、e59頁、2004年;Gaoら、Nucleic Acids Res.、31巻、e143頁、2003年;Xiongら、Nucleic Acids Research、32(12)巻、e98頁、2004年)(図11)まで、様々な遺伝子アセンブリ方法が存在する。大部分のアセンブリプロトコールはオーバーラップした合成オリゴのプールから開始してアセンブリした遺伝子のPCR増幅で終了するが、これら2点間の経路は全く異なり得る。LCRの場合、最初のオリゴ集団は5’末端をリン酸化してPfuDNAリガーゼがこれらの「基礎単位」に一緒に共有結合して最初の鋳型を形成できるようにする必要がある。しかしながらPCRアセンブリは、非リン酸化オリゴを利用してPCRサイクリングを繰り返し、伸長させて完全長鋳型を作り出す。さらに、一本鎖及び二本鎖PCRの選択肢が両方ともはるかに低い(nM、10−9範囲)濃度の必要条件を有するのに対して、LCR工程はμM(10−6)範囲のオリゴ濃度を必要とする。
発表された合成の試みは、大きさが20〜70bpの範囲のオリゴを使用し、オーバーラップ(6〜40bp)のハイブリダイゼーションによってアセンブリした。多くの因子がオリゴの長さ及び組成(Tm、二次構造等)によって決定されるため、この集団の大きさ及び不均質性はアセンブリ効率及びアセンブリされた遺伝子の質に大きな影響を及ぼす恐れがあった。正確なDNA産物の割合は、「基礎単位」オリゴの質及び数に依存する。短いオリゴは長いオリゴと比較して低い変異率を有するが、DNA産物を構築するためにはより多くのオリゴが必要である。その上、短いオリゴのオーバーラップの減少は、アニーリング反応のTmを低下させ、非特異的アニーリングを促進してアセンブリ工程の効率を低下させる。
時間変動する温度場とは、PCR増幅又はPCA反応を発生させるためのマイクロ流体デバイスの時間制御された加熱のことを指す。時間変動する温度場は、外部から、例えば、マイクロ流体デバイスを加熱ブロックの上部に置くことによって印加することができ、又はマイクロ流体デバイス内に、例えば、PCA及びPCRチャンバのすぐ下に位置する薄膜ヒータとして統合することができる。温度調節器は、加熱素子に連結された温度センサと連動して加熱素子の温度を変化させ、また反応チャンバに統合される。タイマーは、反応チャンバに適用される加熱時間を変化させる。時間変動する温度場はまた、マイクロ流体デバイスの別の態様を制御するために、例えば、温度反応性ハイドロゲル弁を作動させるために適用されてもよい。
温度場の温度は、PCR又はPCA反応の変性、アニーリング及び伸長段階に従って変化させることができる。典型的には、核酸は約95℃で2分間変性させ、続いて95℃で30秒間の変性、40〜60℃で30秒のアニーリング及び約72℃で30秒間の伸長を30サイクル以上、最後に72℃で10分間の伸長とする。使用される時間及び温度は、オリゴヌクレオチドの組成、PCRプライマー、増幅される試料の大きさ、鋳型、及び使用される試薬、例えば、ポリメラーゼに応じて変化することがある。
ポリメラーゼは、ヌクレオシド三リン酸、又はデオキシヌクレオシド三リン酸を取り込み、PCRプライマー、オリゴヌクレオチド、又はDNA断片の3’ヒドロキシル末端を伸長する酵素である。ポリメラーゼに関する総論については、Watson,J.D.ら、(1987年)Molecular Biology of the Gene、第4版、W.A.Benjamin,Inc.、メンロパーク、カリフォルニア州、を参照されたい。適したポリメラーゼは、これらに限定されるわけではないが、KODポリメラーゼ;pfuポリメラーゼ;Taqポリメラーゼ;E.coli DNAポリメラーゼI、「クレノー」フラグメント、T7ポリメラーゼ、T4ポリメラーゼ、T5ポリメラーゼ及び逆転写酵素を含み、これらは全て当技術分野において知られている。正確性の高いDNAを複製するために、pfu及びパイロベスト等の校正能を有するポリメラーゼを使用することができる。pfu DNAポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼ校正活性を有し、したがってヌクレオチド誤取り込みエラー(mis−incorporation error)を訂正することができる。
PCRアセンブリ(PCA)
PCRアセンブリは、少なくともポリヌクレオチドの一方が、ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ(New England Biolabs社)、KOD(Novagen社)等の耐熱性ポリメラーゼ)によるポリヌクレオチド鎖伸長が可能な遊離3’ヒドロキシルを有するようにアニールすることができる相補末端を有する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを組み合わせた、ポリメラーゼを介する鎖伸長を使用する。オーバーラップしたオリゴヌクレオチドは、dNTP、ポリメラーゼ、及び緩衝液を含有する標準的なPCR反応物中に混合することができる。オリゴヌクレオチドのオーバーラップした末端は、アニーリングの際に、PCR反応においてポリメラーゼによる伸長のためのプライマーとして機能する二本鎖核酸配列領域を生成する。伸長反応産物は、更に長い二本鎖核酸配列の形成のための基質として機能し、最終的に完全長標的配列の合成をもたらす。PCR条件を最適化して、標的とする長さのDNA配列の収率を増加させることができる。
オリゴヌクレオチドから遺伝子を合成するために、様々なPCRを用いる方法が記述されている。これらの方法は、熱力学的平衡のとれたインサイドアウト(TBIO)法(Gaoら、Nucleic Acids Research、31巻:el43頁、2003年)、連続PCR(Xiongら、Nucleic Acids Research、32巻:e98頁、2004年)、二重非対称PCR(DA−PCR)(Sandhuら、Biotechniques、12巻:14頁、1992年)、オーバーラップ伸長PCR(OE−PCR)(Young及びDong、Nucleic Acids Research、32巻:e59頁、2004年;Prodromou及びPearl、Protein Eng.、5巻:827頁、1992年)、及びPCRを用いる2段階DNA合成(PTDS)(Xiongら、Nucleic Acids Research、32巻:e98頁、2004年)であり、これらは全て参照によって本明細書に組み込まれ、マイクロ流体デバイスにおいてPCR鋳型をアセンブリするために適合させることができる。
DA−PCRは、合成遺伝子を構築するための1段階プロセスである。15〜17塩基がオーバーラップする4つの隣接する長さが17〜100塩基のオリゴヌクレオチドが、PCR反応においてプライマーとして使用される。2つの内側プライマーの量は高度に制限され、過剰な2つのフランキングプライマーのために、結果として生じる反応は全配列の半分の2つの非対称な一本鎖の増幅をもたらす。次のPCRサイクルにおいて、互いにオーバーラップするこれらの二重非対称増幅断片は、二本鎖の完全長産物を生じる。
TBIO合成は、遺伝子配列のアミノ末端側半分に対するセンス鎖プライマーのみ及びカルボキシ末端半分に対するアンチセンス鎖プライマーのみを必要とする。加えて、TBIOプライマーは、温度を最適化したプライマーオーバーラップの同一領域を含んでいた。TBIO法は、次の外側プライマーの、完全に合成された内側断片の末端との相補性を必要とする。TBIO両方向伸長は、次の回の両方向伸長が起こり得る前に、所与の外側プライマー対で完了されなければならない。
連続PCRは、センスプライマーの半分がアセンブリされる鋳型の半分の1つに対応し、アンチセンスプライマーがアセンブリされる鋳型の残り半分に対応する、単一段階PCR手法である。この手法では、外側プライマー対による両方向増幅は、内側プライマー対を使用した増幅が完了するまで起こらないはずである。
PDTSは、2つの2段階を含む。まず、対象とするDNAの個々の断片が合成される。20bpオーバーラップを有する10〜12個の60merオリゴヌクレオチドを混合し、pfu DNAポリメラーゼを用いてPCR反応を行い、長さ約500bpのDNA断片を作製する。次に、対象とするDNAの配列全体を合成する:第1段階のPCR産物5〜10個を混合し、プライマーとして2つの最も外側のオリゴヌクレオチドとともにパイロベストDNAポリメラーゼを用いる二次PCR反応の鋳型として使用する。
20〜70bpのオリゴヌクレオチドを使用したPCRアセンブリは、短いDNAに関してはうまくいくが、単一反応内でアセンブリすることができるオリゴヌクレオチドの最大数に制限があることがある。これは、二本鎖DNA産物の大きさに制限を課す可能性がある。この問題の解決法は、DNAを連続して作製することである。この計画では、別個のチャンバ中で並行して、多数のチップにおいて、又は連続して多数の小DNAセグメントを合成し、次いでアセンブリのためのPCA反応のプレカーサーとして、その後のPCR増幅のための「より大きい」DNA断片中に一緒に導入する。換言すると、オリゴヌクレオチドを使用したPCRアセンブリは、PCR増幅のための鋳型(初回鋳型)をもたらすはずである。このように作製された多数の初回鋳型は、初回鋳型よりも大きいDNA断片のPCAアセンブリのためのプレカーサーとして機能することができ、したがって2回目の鋳型を生成する。今度は、2回目の鋳型が3回目の鋳型のアセンブリのためのプレカーサーとして機能することができ、以下同様である。この手法を、所望のDNAが得られるまで繰り返すことができる。
合成反応において使用されるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド自体よりも長い核酸をアセンブリするための一本鎖分子である。オリゴヌクレオチドは、長さが10〜200bpであってよく、しかしより一般的には30〜100bp、40〜80bp、30〜60bp、及び最も一般的には20〜70bpの長さであってもよい。複数のオリゴヌクレオチドを含むPCAチャンバとは、遺伝子又はDNA断片に対応する鋳型を作製するために必要なオリゴヌクレオチドのプールを指す。合成反応及びデバイスが連続して使用される場合、その後の一連の反応におけるPCAチャンバは、PCR用鋳型にアセンブリするためのオリゴヌクレオチドの代わりにDNA断片のプールを含むはずであることに留意されたい。
オリゴヌクレオチドは、通常合成される。オリゴヌクレオチドは、固体支持体上でアレイフォーマット、例えば、各オリゴヌクレオチドが基板上で別個のフィーチャ又は位置において合成される一般的な基板上でin situ合成された一本鎖DNAセグメントのマイクロアレイで、合成することができる。アレイは当技術分野においてよく知られているため、構築、特別注文、又は商業ベンダーから購入することができる。固体支持体上で、例えば、アレイフォーマットでオリゴヌクレオチド合成に適用できる方法及び技術は、例えば、国際公開第00/58516号パンフレット及びZhouら、Nucleic Acids Res.32巻:5409〜5417頁(2004年)に記載されている。
オリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の固体支持体上で合成することができる。例示的な固体支持体は、例えば、スライド、ビーズ、チップ、粒子、ストランド、ゲル、シート、チューブ、球体、容器、キャピラリー、パッド、スライス、フィルム、プレート、ポリマー、又はマイクロ流体デバイスを含む。さらに、固体支持体は、生体、非生体、有機、無機、又はこれらの組合せであってもよい。実質的な平面である支持体上で、支持体は領域、例えば、トレンチ、グルーブ、ウェル、又は化学的バリア(例えば、疎水性コーティング等)に物理的に分離されていてもよい。
オリゴヌクレオチドは、切断可能な結合部分によって固体支持体上に接着されていてもよい。例えば、固体支持体は、オリゴヌクレオチドへの共有結合のために官能基付与して切断可能なリンカーを提供することができる。リンカー部分は、長さが6原子以上とすることができる。別法として、切断可能部分はオリゴヌクレオチド内であってもよく、in situ合成中に導入されてもよい。固相及びマイクロアレイオリゴヌクレオチド合成の分野において、様々な切断可能部分が利用可能である(例えば、Pon、Methods Mol.Biol.20巻:465〜496頁、1993年;Vermaら、Annu.Rev.Biochem.67巻:99〜134頁、1998年;米国特許第5739386号明細書;同第5700642号明細書;及び同第5830655号明細書;及び米国特許出願公開第2003/0186226号明細書及び同第2004/0106728号明細書を参照されたい)。適切な切断可能部分は、例えば、ヌクレオシド塩基の保護基の性質、固体支持体の選択、及び/又は試薬送達方法に適合させるために選択してもよい。
一態様において、オリゴヌクレオチドは、マイクロ流体デバイスにおいて使用するために固体支持体上に、例えば、PCA反応チャンバの一部として提供されてもよい。
別法として、オリゴヌクレオチドを合成して、その後マイクロ流体デバイス中に導入してもよい。DNAマイクロアレイによって提供されるオリゴヌクレオチドの量は通常、少量であるため、本発明者らは、マイクロ流体デバイスにおいて約1nL〜10nLのチャンバ中でのDNAマイクロアレイの使用を想定している。
オリゴヌクレオチド又はDNAチップアレイは当技術分野においてよく知られている(例えば、アフィメトリックス、コンビマトリックス)。オリゴヌクレオチドアレイチップは、DNAアレイチップ上に固定されたオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドスポット)が反応チャンバの反応流体と接触するようにマイクロ流体デバイス中に配置される。DNAアレイは、デバイスの完全性が損なわれないように、及びオリゴヌクレオチドスポットがマイクロ流体デバイスの機能的特徴に沿って機能するように、マイクロ流体デバイスに圧着又は接着することができる。DNAアレイ及びマイクロ流体デバイスの構成要素は、一緒に圧着されてもよく、又はレーザーでパターン形成された両面接着剤等のパターン化接着剤を使用してマイクロ流体デバイスの表面をDNAマイクロアレイ表面に接着させてもよい。
一般に、完全遺伝子配列は、必要に応じて、上記で論じた通り一定長(N)のオリゴヌクレオチドに分解される。オリゴヌクレオチドの長さは、典型的には20〜70塩基である。サブ配列間のオーバーラップの長さは一般に2/Nであるが、6〜40bpまで、特に10〜20bp及び20〜30bpのオーバーラップまで変化し得る。部分的な塩基相補性の量は、使用されるアセンブリ方法に依存して変化する可能性がある。本明細書で例証したオーバーラップ遺伝子アセンブリ方法では、結果として生じるPCR鋳型の末端を形成しているものを除いて、PCAオリゴヌクレオチドは5’及び3’の両方でオーバーラップする。オリゴヌクレオチド間の塩基対ミスマッチは、ミスマッチの性質によってハイブリダイゼーションに影響を及ぼすことがある。オリゴヌクレオチドの3’末端又はその近くのミスマッチは、伸長を阻害する可能性がある。しかし、オーバーラップのG/Cリッチ領域はミスマッチを克服し、そのためエラーを含む鋳型をもたらすことがある。したがって、オリゴヌクレオチド設計において、オーバーラップ配列、融解温度、クロスハイブリダイゼーションの可能性及び二次構造を考慮する必要がある。
10以上の配列の同時増幅及びアセンブリでは、合成が均一に進行する可能性は低い(Kongら、Nucleic Acids Res、35(8)巻:e61頁、2007年)。約600個の異なるオリゴヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドプールからの多重遺伝子合成が実証されている(Tianら、Nature、432巻:1050〜1054頁、2004年)。オリゴヌクレオチドは、長さが10〜200bpであってよく、しかしより一般的には20〜70bpの長さであってもよい。PCRアセンブリオリゴヌクレオチドの適切な濃度は、5〜25nM、特に5〜20nM、5〜15nM、10〜20nM、及び好ましくは約10nMである。PCRアセンブリオリゴヌクレオチドは、融解温度、クロスハイブリダイゼーションの可能性及びヘアピン又はダイマーの形成に関する二次構造を考慮して設計される。
本明細書において使用する鋳型とは、PCRアセンブリによって生じる核酸配列のことを指し、PCRによる相補鎖複製のための標的核酸として機能する。典型的には、アセンブリ反応後、PCRアセンブリ産物はおそらく不完全なアセンブリ及び/又はコンカテマーのために、大きさが様々に異なる二本鎖DNAであり、ゲル電気泳動によって生成物はラダー状に見えることになる。いくつかの実施形態において、初回鋳型はオリゴヌクレオチドからアセンブリされる。別の実施形態において、2回目の鋳型は、少なくとも2つの初回鋳型を含むDNA断片からアセンブリされ、この2つの鋳型はPCR反応産物であり、場合によって精製及びエラーフィルター処理され、最初の2回の反応から得られる。3回目の鋳型は、少なくとも2つの2回目の鋳型を含むDNA断片からアセンブリされ、以下同様である。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
当技術分野においてよく知られるように(例えば、米国特許第4683195号明細書;同第4683202号明細書;及び同第4965188号明細書;全て参照により本明細書に組み込まれる)、PCRは、クローニングを行わずに試料中の標的核酸配列の濃度を増加させるために使用され、典型的には長さが10〜30塩基対の適切なフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを設計するために標的配列情報を入手できる必要がある。モル過剰のプライマー対を、所望の標的又は鋳型を含有する試料に添加する。2つのプライマーは、鋳型の5’及び3’配列にそれぞれ相補的である。混合物をまず加熱して二本鎖鋳型を変性させ、次いで冷却してプライマーを鋳型にアニーリングさせる。アニーリング後、適切なポリメラーゼはプライマー/鋳型ハイブリッドに結合し、相補鎖を形成するようにプライマーの3’−OH末端に塩基を付加して一本鎖鋳型に沿ってプライマーを伸長させることができる。フォワード及びリバースプライマー両方の存在下で、もとの二本鎖標的の完全なコピーが作製される。変性、ハイブリダイゼーション、及びポリメラーゼ伸長のサイクル数は、鋳型を増幅する必要に応じて変動し得る。
PCRプライマーとは、PCR増幅において使用するための鋳型配列の既知の部分に相補的な核酸の配列を指す。PCRプライマーは、適切なポリメラーゼ及び補因子の存在下で鋳型に対するDNA合成のための開始点として機能を果たすことができる、一本鎖ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドコンジュゲートである。プライマーは、典型的には長さが10〜30、又はそれ以上のヌクレオチドである。「プライマー対」という用語は、増幅されるDNA鋳型の5’末端の相補体とハイブリダイズする5’「フォワード」又は「上流」プライマー及び増幅される配列の3’末端とハイブリダイズする3’「リバース」又は「下流」プライマーを含むプライマーの組を指す。
本発明において、PCRプライマーは、PCAによって得られる鋳型の5’及び3’末端の配列を標的とする。PCAオリゴヌクレオチドは、その後のPCR増幅のための二本鎖DNA鋳型をアセンブリするために使用される一本鎖オリゴヌクレオチドである。PCRプライマーは、完全長二本鎖DNA鋳型の全体を増幅するための一本鎖ポリヌクレオチドである。
PCRプレカーサーミックスは、当技術分野においてよく知られているPCR増幅に必要な濃度で試薬を含む。PCRプレカーサーミックスは、例えば、dNTP、ポリメラーゼ、緩衝液及び0.4μMのPCRプライマーを含む。
時間変動する温度場は、PCR増幅のために印加され、典型的には、以下を含む:約95℃で2分間の最初の変性、続いて95℃で30秒間の変性、40〜60℃で30秒のアニーリング及び約72℃で30秒間の伸長を30サイクル以上、72℃で10分間の最終伸長。時間及び温度は、鋳型、プライマー、ポリメラーゼ又は使用される他の試薬の性質に応じて変動し得る。
精製
PCR産物は、マイクロ流体デバイスに適合可能な方法で精製することができる。
固相抽出は、重要な広く使用されている試料調製技術であり、精製、試料の予備濃縮、及び/又は緩衝液交換を可能にする(Tanら、Anal.Chem.、75巻:5504〜5511頁、2003年)。核酸の精製は、ポリエチレングリコール等のDNA結合ポリマーを用いて行うことができる。シリカ樹脂上での固相抽出(Wolfeら、Electrophoresis、23巻:727〜733頁、2002年)は、一般的な技術である。抽出は、核酸が高濃度のカオトロピック塩の存在下でシリカに結合する傾向があるために達成される(Boomら、J.Clin.Microbiol.、28巻:495〜503頁、1990年)。抽出された核酸はその後、水性低塩緩衝液中に溶出され、ごく少量に濃縮される。
固相抽出は、シリカ、ゾルゲルシリカ、シリカ粒子、又は微細加工シリコン構造で被覆された磁気ビーズを利用することができる。シリカ、ゾルゲルシリカ、シリカ粒子、又は微細加工シリコン構造を使用した方法は、流体フローに耐えるためにシリカ材料をチャンバ中に固定するためのさらなる工程を伴うことに留意されたい。したがって、外部の磁石を当ててビーズを捕捉及び撹拌できる磁気ビーズが好ましい。磁気ビーズはまた、より良好なDNA抽出効率及びDNA負荷能力も提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、シリカで被覆された磁気ビーズの使用を含む。ビーズは、入口を経由してデバイス中に導入される。シリカ被覆磁気ビーズは、磁石を用いてデバイス中で操作され、可逆的にPCR産物を固定する。PCR産物は、水性低塩緩衝液を使用してシリカ被覆磁気ビーズから溶出することができる。低塩溶出緩衝液は、PCR反応において使用されるものと異なっていてもよい。
磁気ビーズとは、ナノ粒子、ビーズ、又はミクロスフェア、或いは当技術分野において知られる別の用語で、マイクロ又はナノメートル範囲の視直径又は外周等の少なくとも1つの寸法を有することを指す。このような寸法の上限は600μmであるが、典型的には視直径が200μm未満であり、1〜50μm又は5〜20μmであってもよいが、このように限定されるわけではない。このような粒子は、例えば、Fe2Cb及びFe3O4(α−Fe結晶粒)、α’−FeCo、ε−コバルト、CoPt、CrPt3、SmCos、ニッケル及びニッケル合金、Cu2MnAI、α−FeZr、Nd2Fe)4B、NoTi等の常磁性又は超常磁性材料から構成されてもよく、これらのコアを含んでもよく、又はこれらの粒状ドメインを含んでいてもよい。これらの材料を、ポリマー等の結合剤、シリカ、又は他の既知の材料とともに粒子、ビーズ又はミクロスフェアに形成することができる。
DNA抽出のための固相抽出法を、小型化してマイクロ流体チップ中に統合することに成功している。ゾルゲル/シリカビーズ混合物は特に、マイクロ流体システムにおいて極めて良好な抽出効率及び再現性を有する(Wolfeら、Electrophoresis、23巻、727〜733頁、2002年)。
エラーフィルター処理
現在のオリゴヌクレオチド合成技術は、途中で終結した、又はより不利益なことに、最終DNAにエラーを導入する内部欠失を配列中に含有する、副産物を生成する(Carrら、Nucleic Acids Research、32(20)巻、e162頁、2004年;Hoover及びLubkowski、30(10)巻、Nucleic Acids Research、e43頁、2002年)。合成オリゴヌクレオチドは、まずポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を使用して精製することができるが、これらのプロセスは費用及び時間を劇的に増加させることになる。効率的にエラー率を減少させるために、酵素アフィニティキャプチャー及び選択的ミスマッチ切断に基づくもの等のエラーフィルター処理又はエラー訂正工程を使用することができる。
DANエラー訂正のための知られている技術を、PCR増幅の前又は後に使用するためにマイクロ流体デバイス中に組み込むことができる。ミスマッチ塩基を除去するための例示的な技術は、これらに限定されるわけではないが、酵素アフィニティキャプチャー、酵素的ミスマッチ切断、コンセンサスシャッフリング及びオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを含む。
コンセンサスシャッフリングにおいて、DNAは断片化され、固定されたミスマッチ結合タンパク質(例えば、MutS)に結合するとミスマッチ断片は除去される。残りの断片のPCRアセンブリは、投入集団のコンセンサス配列を濃縮した完全長配列の新しい集団を生じる。
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションにおいて、オリゴヌクレオチドは、アニーリング条件下で、PCRアセンブリオリゴヌクレオチドに相補的な固定化オリゴヌクレオチドにアニールする。いったんハイブリダイズすると、ハイブリダイズしていない、つまり変異を含有すると考えられるオリゴヌクレオチドは洗い流される。
酵素アフィニティキャプチャーにおいて、変異したDNAは、MutS及びT4E7等のDNAミスマッチ結合タンパク質を使用して捕捉され、生成物溶液から除去される。T4E7、エンドヌクレアーゼV及びT7E1等の酵素は、ミスマッチ部位でDNAを認識して切断することができる。Carrら、Nucleic Acids Research、32(20)巻、e162頁、2004年は、MutSが、従来の遺伝子合成技術と比較して15倍を超えてエラーを減少させ、10k塩基対当たり1個のエラーを有するDNAを生じることができることを示した。MutSの結合した変異DNAセグメントは、ゲル電気泳動を使用して正確な生成物から分離される。このアフィニティキャプチャー法をマイクロ流体構造中に組み込むために、本発明者らは、固定化ヒスチジンタグ付MutS(Biら、Anal.Chem.、75巻、4113〜9頁、2003年)による、ビーズを用いる固相クロマトグラフィーを記述する。本発明者らは、エラーフィルター処理のために、MutSに相補的なミスマッチ結合優先性を有するT4E7(Taylor及びDeeble、Genetic Analysis:Biomolecular Engineering、14巻、181〜6頁、1999年)を使用することを想定している。本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載の任意のエラーフィルター処理方法又はその組合せを利用したオンチップエラーフィルター処理を含む。
選択的ミスマッチ切断において、変異DNAは、MutH、MutS及びMutLの組合せ(Smith及びModrich、Proc.Natl.Acad.Sci.、94(13)巻、6847〜50頁、1997年)、及びT7E1(Youilら、Proc.Natl.Acad.Sci.、92巻、87〜91頁、1995年)等のエンドヌクレアーゼタンパク質を使用して捕捉され、より小さいセグメントに切断される。切断されたセグメントは、次いで、マイクロマシン電気泳動によってセグメントの大きさに基づいて生成物からろ過される。このプロセスは、タンパク質を固体支持体上に固定することなく、マイクロ流体構造中に組み込むことができる。
MutSとは、様々な誤対合塩基(mispaired base)及び小さい(1〜5塩基)一本鎖ループを認識して結合する、DNAミスマッチ結合タンパク質のことを指す。例示的なMutSタンパク質は、これらに限定されるわけではないが、以下のGenBank受託番号を有する核酸によってコードされるポリペプチドを含む:AF146227(ハツカネズミ(Mus musculus))、AF193018(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、AF144608(腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus))、AF034759(ヒト(Homo sapiens))、AF104243(ヒト)、AF007553(サーマス・アクアティカス カルドフィラス(Thermus aquaticus caldophilus))、AF109905(ハツカネズミ)、AF070079(ヒト)、AF070071(ヒト)、AH006902(ヒト)、AF048991(ヒト)、AF048986(ヒト)、U33117(サーマス・アクアティカス)、U16152(エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica))、AF000945(ビブリオ・コレラ(Vibrio cholarae))、U698873(大腸菌(Escherichia coli))、AF003252(b型インフルエンザ菌(イーガン)株(Haemophilus influenzae strain b(Eagan))、AF003005(シロイヌナズナ)、AF002706(シロイヌナズナ)、L10319(マウス)、D63810(サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus))、U27343(枯草菌(Bacillus subtilis))、U71155(サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima))、U71154(アクイフェクス・ピロフィラス(Aquifex pyrophilus))、U16303(ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium))、U21011(ハツカネズミ)、M84170(S.セレビジエ(S.cerevisiae))、M84169(S.セレビジエ)、M1 8965(ネズミチフス菌)及びM63007(アゾトバクター・ビネランディ(Azotobacter vinelandii))。例示的なmutSホモログは、例えば、真核生物MSH2、MSH3、MSH4、MSH5及びMSH6タンパク質(米国特許第5858754号明細書及び同第6333153号明細書を参照)を含む。この用語は、原核生物MutSタンパク質に加えて、そのホモログ、オーソログ、パラログ、変異体、又は断片を包含することを意味する。この用語はまた、様々なMutSタンパク質のホモ及びヘテロのダイマー及びマルチマーも包含する。
コンパクトディスク(CD)を用いる遺伝子アセンブリ
遺伝子アセンブリは全体として、オリゴヌクレオチド合成、オリゴ精製、ライゲーション及び/又はポリメラーゼサイクリングによるオリゴセグメントのアセンブリ、不正確な配列の除去(エラーのフィルター除去)、及びポリメラーゼ連鎖反応による遺伝子増幅等のいくつかの連続工程を含む。これらの遺伝子アセンブリプロセス及び必要な構成要素をコンパクトディスク形態(Gene−CDと称する)等の単一のデバイスに統合して自動遺伝子合成機を提供することが望ましい。
1つのデバイス形態はコンパクトディスク(CD)を用いるマイクロ流体である(図12)。この手法は、流体送達及び流体制御にいくつかの利点をもたらす。流体パケットは、遠心力を使用することによって、事前計量してチャンバからチャンバへ移動させることができ、これによって外部ポンプが排除される(Zoval及びMadou、Proc.of the IEEE、92(1)巻、140〜53頁、2004年)。流体流速は、プログラム可能な回転速度によって容易に制御することができる。また、チャネル直径における急膨張によってできたキャピラリー弁、及び疎水性材料をチャネル中の区域に適用することによって作られた疎水性弁も、正確な流体制御のために残りの構造と統合することができる。さらに、Y構造中の流体は、回転方向及び速度によって選択されるコリオリ力を使用して、2つのチャネル出口間を往復させることができる(Brennerら、Lab on a Chip、5巻、146〜50頁、2005年)。リン酸化、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、及びエラーフィルター処理の間の試薬交換は、C18及びシリカビーズをそれぞれ充填した、流速を慎重に制御したカラムを用いて逆相又はイオン交換クロマトグラフィーを使用して解決することができる(Jemereら、Electrophoresis、23巻、3537〜44頁、2002年)。不正確な配列を有するDNAを除去するための酵素エラーフィルター処理は、MutS及びT4E7固定化ビーズを充填したカラムを有する流体構造に統合することができる。これらのビーズをカラムに導入し、マイクロ流体デバイスが製造された後に単一制限領域を使用することによって配置することができる。最後に、リン酸化、LCR、及びPCRを実行するための温度制御は、加熱源として外部ヒータ又は赤外線を使用して達成されるはずである(Giordanoら、Analytical Biochemistry、291巻、124〜32頁、2001年)。
大きい遺伝子(例えば、10kb)のアセンブリを実行するために、多数のマイクロ流体カラムを1つのGene−CDに統合して、同時に作動させて最大効率を達成することができる。長いDNA配列は、各セグメントがそれぞれ別個の流体カラムでアセンブリされ、その後最終PCR工程で一緒に連結されるようなセグメントに分割することになる。
ラピッドプロトタイピングでは、流体構成要素は、ポリカーボネート材料上でソフトリソグラフィ又はCNCミリングを使用して製造することができる(Leeら、Biomedical Microdevices、3(4)巻、339〜351頁、2001年)。
[(VII)例示的実施形態]
マイクロ流体デバイス製造
ポリジメチルシロキサン(PDMS)鋳型を作製するためのSU−8を用いるリソグラフィ工程の代わりに、本発明者らは、感光性樹脂を使用して3D構造をプリントした3次元(3D)ラピッドプロトタイプ法を採用した。3D構造はSolidWorksで設計し、Eden350(Objet Geometries)に転写し、フォトポリマー材料(FullCure720)及び支持体材料(FullCure705)に層ごとにプリントした。フォトポリマー層は、プリント後直ちにUV光によって硬化させた。完了したら、製造された構造体を25%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液中に3時間浸漬させて、プリントされた形状を支持するために設計された支持体材料を除去した。マイクロ流体モールドを水に1時間浸漬させてTMAHを洗い流した。この方法は、リソグラフィ工程を行わずに、厚い多段構造を作製するのによく適した、x軸及びy軸において42μmの分解能及びz軸において16μmの分解能をもたらした。逆に、液相光重合(Khouryら、Lab Chip、2002年、2巻、50頁)及び接触液体フォトリソグラフィ重合(Hutchisonら、Lab Chip、2004年、4巻、658頁)等の他のラピッドプロトタイプ法は、フォトマスクを利用して優れた分解能を有する構造の構築を容易にした。2段モールドは、接続チャネル(高さ:0.2mm;幅:0.2mm)及びチャンバ(高さ:0.5mm)のために高さが異なるように設計して、接続チャネルのデッドボリュームを最小限に抑えた。
ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)プレカーサーを、シルガード(Sylgard)184主剤及びシルガード184硬化剤を10:1の体積比で混合することによって調製した。プレカーサーをモールドに流し込み、真空チャンバ中で30秒間脱気し、対流式オーブン中で、75℃で3時間硬化させた。次いで、厚さ3mmのPDMS厚板をモールドから剥離して、接続孔を開けた。PDMS及びシリコン基板(厚さ500μm)を接着させることによって、マイクロ流体デバイスを組み立てた。PDMS及びシリコン基板をともに放電処理で処理した(Kimら、J.Colloid Interface Sci.、2001年、244巻、200頁)。最後に、デバイスをオーブン中で、75℃で2時間硬化させ、PDMS及びシリコン基板の不可逆的接着を確実にした。
試料の蒸発を防止するために、接着されたデバイスは、PDS2010パリレン被膜システム(SCS、米国)を使用して厚さ2μmのパリレン(Parylene)Cで被膜した。蒸着したパリレンCは、バリアを形成して水蒸気拡散を抑制した。パリレンはまた、不要なタンパク質吸収を防止するためにデバイスの内側表面を不動態化した(Shinら、J.Micromech.Microeng.、2003年、13巻、768頁;Shihら、Actuators A、2006年、126巻、270頁)。
ハイドロゲル弁の調製
感熱性ハイドロゲル弁を、流体制御及びPCR反応の密閉のために選択した。van der Lindenら、Lab Chip、2004年、4巻、619頁、によって提案された方法に従ってハイドロゲルを合成した。感温性モノマーN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAM、286mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(BIS、7.88mg)架橋剤及び2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPAP、18.86mg)光開始剤を500μLのジメチルスルホキシド(DMSO)中で混合し、2%BIS架橋剤を含有するプレカーサー溶液を作製した。プレカーサーを窒素でパージして酸素を除去し、アルミホイルで包み不要な光重合を回避した。全ての化学製品はSigma−Aldrich(シンガポール)から購入した。
次いで混合物を、製造したチップに1mlシリンジを使用して接続孔を通して注入し、暴露領域を決定するクロムマスクを用いて32℃でin situで光重合させた。次いで、オムニキュアシリーズ(OmniCure Series)2000UV照射システム(EXFO、カナダ)を使用して試料を365nmの波長で放射線照射した(線量:252mJ/cm)。紫外線暴露後、デバイスを60℃のホットプレート上に置き、ハイドロゲル弁を開いたままに保持し、重合していないプレカーサーを、シリンジポンプ(74900シリーズ、Cole−Parmer Instrument社)を使用して流速500μL/分で40分間、脱イオン水で除去した。最後に、デバイスをオーブン中で、75℃で3時間加熱して内側表面及びハイドロゲル弁を乾燥させた。
NIPAAmベースのハイドロゲルは、32℃の下限臨界溶液温度(LCST)を有する感熱性である(van der Lindenら、Lab Chip、2004年、4巻、619頁)。ハイドロゲルは、32℃より低い温度で膨張して流体チャネルを遮断したはずである。32℃より高い温度ではポリマー鎖が疎水性になり、ハイドロゲルの収縮を引き起こし、流体が流れるのを可能にした。弁の開閉は、4℃〜60℃まで温度を変化させることによって制御した。プリント感光性樹脂モールドを用いて製造したマイクロ流体デバイス中に統合されたハイドロゲル弁の例を、図5に示す。
PCRサーマルサイクリング
ファン、熱電(TE)ヒータ/冷却器(9501/127/030、FerroTec)並びにFTA600 Hブリッジ増幅器、FTC100温度調節器及びFTC制御ソフトウェアからなる熱電制御キット(FerroTec、米国)を含む自作サーマルサイクラーを使用することによって、PCRを実行した。熱電ヒータは、FTA600増幅器を動力源にし、FTC100温度調節器によって制御した。T型熱電対(5TC−TT−T−40−36、OMEGA Engineering)をTEヒータ上に取り付けて温度を測定し、FTC100温度調節器へのフィードバックとして使用した。熱電ヒータと実際のPCRチャンバ内部の温度差は、較正チップを使用して較正し、上記較正チップは、PCR混合物が充填されたPCRチャンバ内部に埋め込んだ熱電対を除いて、実際のデバイスと同じ大きさを有していた。ヒータ表面とチャンバ内部間の温度低下は、FTC制御ソフトウェア中において記載されており、操作中に補正した。所望の温度プロファイルを、FTC制御ソフトウェアによってコンピュータ中にプログラムし、PID(比例−積分−微分)アルゴリズムを使用してFTC100温度調節器を制御して温度反応時間を最適化した。
遺伝子アセンブリ及び増幅
全長760bp(T357C、T811A及びC812Gの塩基置換を有する配列261〜1020)を有するGFPuvの公開されている遺伝子セグメントを、合成のために選択した。20bpのオーバーラップを有する37個の40mer及び2個の20merオリゴヌクレオチドを使用して、アセンブリした(表2;Binkowskiら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻、e55頁)。PCR合成反応を、マイクロ流体デバイス内、及び市販のサーマルサイクラー(DNA Engine PTC−200、Bio−Rad)を用いて標準的な0.2mlPCRチューブ中の両方で実行して、合成性能を比較した。PCRを介する合成は、アセンブリPCR及び増幅PCRを1つの段階に組み合わせて1段階プロセスとして、又はアセンブリ及び増幅のために別個の段階を有する2段階プロセスとして、実行した。PCRチューブにおける1段階プロセスを、1×PCR緩衝液(Novagen)、1mMのMgSO4、各0.25μMのdNTP(Stratagene)、5〜25nMのオリゴヌクレオチド、0.1〜0.4μMのフォワード及びリバースプライマー、並びに1UのKODホットスタート(Hot Start)(Novagen)を含む50μlの反応混合物を用いて実施した。PCRは以下の条件下で実行した:95℃で2分間の最初の変性;30サイクルの95℃で30秒間、50℃で30秒間のアニーリング、72℃で30秒間、及び72℃で10分間の最終伸長。2段階プロセスのPCRプロトコールは、1段階プロセスのものと本質的に同じであった。PCRアセンブリでは、フォワード及びリバースプライマーを用いずに5〜25nMのオリゴヌクレオチドを使用した。遺伝子増幅では、アセンブリ産物を、濃度0.4μMの最終プライマーを含有する新たな増幅反応混合物で2×希釈した。マイクロ流体合成は、調整したチャンバ容量で同じPCR条件を用いて実施した。全てのプロセスを、Research Biolabs(シンガポール)製の脱塩したオリゴヌクレオチドを用いて、さらなる精製を行わずに実行した。
固相緩衝液交換
固相緩衝液交換を、磁気ビーズを用いるPCR精製方法(チャージスイッチ(ChargeSwitch)PCRクリーンアップキット、Invitrogen)を使用して、マイクロ流体デバイス上で、及び標準的な0.2mLのPCRチューブにおいて(対照として)、合成したPCR産物及び対照として100bp DNAラダー(New England、170ng/μL)を用いて実施した。
PCRチューブにおいて行われた対照実験では、100bp DNAラダー又はPCR合成産物(7μL)を5μLのビーズ及び11μLの精製緩衝液(Invitrogen)と混合し、1分間インキュベートした。次いで、ビーズを磁石で捕捉して上清を除去した。本発明者らは、ビーズを150μLの洗浄緩衝液(Invitrogen)で3回洗浄し、洗浄したビーズに7μLの溶出緩衝液(10mMのTris−HCl、pH8.5)をロードした。溶出緩衝液及びビーズを異なる条件(25〜80℃で2〜3分間)でインキュベートして、結合DNAの溶出効率を最適化した。もとの及び溶出したDNA試料の濃度を測定し、UV−Vis分光光度計(ND−100、NanoDrop Technologies)によって比較した。
2段階マイクロ流体デバイスで、同様のプロセスを実施した(図5C)。まず、精製緩衝液(11μL)中の100bpラダー又はPCR産物(7μL)及び磁気ビーズ(5μL)を、計量チャンバによって決定される量でM3及びM4にそれぞれロードした。これらの2つの溶液を、外部シリンジポンプ(Cavro XLP6000)を使用して混合し、ビーズチャンバ(C3)に押し出し、1分間インキュベートした。次いで、ビーズチャンバ中の夾雑物を、ビーズを永久磁石(M1219−5、Assemtech)で捕捉して、A5から200μL/分の流速で導入される洗浄緩衝液で15分間洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(10mMのTris−HCl、pH8.5、5μL)をビーズチャンバ中に導入し、ビーズとともに25〜80℃で2〜3分間インキュベートして結合DNAを放出させた。磁気ビーズを、図14bに示す構成で外部電磁石を使用して溶出前に0.5Hzの速度で激しく混合した。永久磁石を、2つの電磁石(GMHX、Magnet−Schultz社)間に位置する自由に曲げられる吊り下げ式金属アームに取り付けた。180°位相ずれ電圧が電磁石に供給されたときに、交流磁力が金属アームに印加され、これが金属アーム及び取り付けた磁石を回転させる。電磁石は、固体リレー(ODCM−5、Tyco)及びDC電源(HY3003、Digimess)によって電力供給される。電磁力は、アナログ電圧出力ボード(PCI−6713、National Instruments)及びLabVIEWプログラム(National Instruments)を備えるコンピュータを使用したリレーによって制御した。
アガロースゲル電気泳動
合成産物を、1.5%アガロースゲル(ニューシーブ(NuSieve)(登録商標)GTG)(登録商標)、Cambrex社)によって分析し、エチジウムブロマイド(Bio−Rad Laboratories)を用いて染色し、タイフーン(Typhoon)9410変倍撮像装置(Amersham Biosciences)を使用して可視化した。ゲル電気泳動は、100bpラダー(New England)並びに市販のサーマルサイクラー及びデバイスから回収した5μLのDNA試料を用いて、100Vで45分間実行した。
DNAシーケンシング
1段階及び2段階オーバーラップ合成産物をシーケンシングしてエラー率を調べた。GFPuv遺伝子合成産物(さらなるPCR精製は行わず)をベクターpCR(登録商標)2.1−TOPO(登録商標)(Invitrogen)にクローニングし、ケミカルコンピテントTOP10細胞に形質転換した。1×ルリア−ベルターニ(Luria−Bertani)(LB)アガープレート(100μg/mlのアンピシリン含有)上で一晩生育後、個々のコロニーを採取して1×LB培地(100μg/mlのアンピシリン含有)中で生育させた。キアプレップスピンミニプレップキット(QIAprep Spin Miniprep Kit)(QIAGEN)を使用してプラスミドDNAを抽出し、Research Biolabs(シンガポール)によってシーケンシングした。M13フォワード及びリバースシーケンシングプライマーを使用して、全部で150個の個々の試料をシーケンシングした(1段階プロセスでは:マイクロ流体デバイスから96個及び0.2mlのPCRチューブから48個;2段階プロセスでは:マイクロ流体デバイスから54個及び0.2mlのPCRチューブから48個)。全てのシーケンス結果を、配列解析ツールVector NITを使用して解析し、ABIプリズム(ABI PRISM)(登録商標)3100−Avantジェネティックアナライザーの電気泳動図の目視確認によってエラーを確認した。
デバイス操作
マルチポジション弁を有する精密シリンジポンプ(Cavro XLP6000、Tecan Systems)を使用して、マイクロ流体デバイス内部の試薬を操作した。このシリンジポンプは、LabVIEWプログラム(National Instruments)によって制御される場合、10nLよりも良好な体積分解能で試薬を引き出す及び分配することができる。ハイドロゲル弁及びサーマルサイクリングを同時に及び別個に制御するために、それぞれ温度調節器を有する2つのTEモジュールを使用した(図5)。1つのTEモジュール(TE1)を、PCRチャンバの下に配置して温度サイクリングを行い、他方のTEモジュール(TE2)をハイドロゲル弁の下に配置してその動作を制御した。
遺伝子合成デバイスの全てのデバイス操作を、各チャンバによって決定される体積とともに図13に示した。まずオリゴヌクレオチド及びPCR混合物を、入口ポート(A1)を介してPCAチャンバ中にロードした。次いで、溶液をハイドロゲル弁(V1及びV2)によってシールし、熱電ヒータによって熱サイクルを行いオリゴヌクレオチドをアセンブリした。PCAの後、ハイドロゲル弁(V1及びV2)を開け、溶液を計量チャンバM1中にポンプ輸送し、同時に同量の計量チャンバM2由来の外側プライマーを含有する新たなPCR混合物と混合する。混合を強化するために、入口ポートB2で精密シリンジポンプを用いてこの混合物を2つの混合チャンバ(C1及びC2)間を5回往復させ(流速=120μL/分)、次いで、ハイドロゲル弁(V3及びV4)を開けたままPCRチャンバに移動させた。PCR増幅後、ハイドロゲル弁(V3及びV4)を再度開け、溶液を計量チャンバM3へ移動させ(入口ポートA3を通って)、同時に、ビーズチャンバ(C3)中の計量チャンバM4によって決定される磁気ビーズ溶液と混合した。永久磁石によって捕捉されたDNA吸着磁気ビーズを用いて、夾雑物溶液を洗い流した。最後に、溶出緩衝液をロードし、磁気ビーズと混合した;その後DNAを溶出緩衝液中に放出した。流れ方向を制御するために、使用されていない入口及び出口を金属ピンでふさいだ。例えば、PCR混合物をPCRチャンバに向かわせるために、固相PCR精製のための入口(A4〜A7)をふさいだ。
PCA産物をPCR増幅のための新しいPCR混合物と効率的に混合するため、並びに磁気ビーズを固相PCR精製のためのDNA溶液及び溶出緩衝液と混合するために、2つのマイクロミキサを開発した。遺伝子合成チップは、自動遺伝子合成を行うための卓上機器として開発される予定であった。これらの使い捨てチップの費用を抑制し、製造プロセスを簡素化するために、単純な流体構造及び方法を利用した混合手法が望まれた。図14は、シャトル混合及び電磁混合を使用した本発明者らの手法を示す。シャトル混合において、溶液は狭チャネルによって接続された2つのチャンバ間を往復させた。この狭いチャネルは2つの混合試薬の拡散距離を減少させ、チャネル−チャンバ接続部を急激に開放すると、接続部でカオス的移流を作り出し、フローを再循環させた(Ganら、Appl.Phys.Lett.、2006年、88巻、224103頁)。これらの特徴はともに、混合を強化することが報告されている(Nguyen及びWu、J.Micromech.Microeng.、2005年、15巻、R1)。図14aはシャトルマイクロミキサの性能を示した。2色の食用色素(青色及び赤色)を、精密シリンジポンプによって送りだされる150μL/分の流速で、2つのチャンバ間を3回往復させた後によく混合した。この方法は、他の報告された方法と比較して小型で単純な流体構造で有効である(Nguyen及びWu、J.Micromech.Microeng.、2005年、15巻、R1)。混合は、19μLの流体量を用いる本発明者らの適用において1分以内に完了した。溶液内部に閉じ込められた目視できる気泡はなかった。
強力な磁力を与えるため、ネオジム希土類永久磁石を利用して、マイクロ流体デバイスにおいて磁気ビーズを捕捉した(Liuら、Anal.Chem.、2004年、76巻、1824頁;Herrmannら、Lab Chip、2006年、6巻、555頁;Grumannら、Lab Chip、2005年、5巻、560頁)。しかし、この強力な磁石は、ビーズの凝集もまた引き起こし(Rida及びGijs、Anal.Chem.、2004年、76巻、6239頁)、ビーズが溶液中の所望の生体分子と十分接触するのを妨げる恐れがあった。確実にビーズが溶液と十分混合されるように、本発明者らは、チャンバ内部で溶液を撹拌する手法を開発した(図14b)。永久磁石を、2つの電磁石間に挟まれた自由に曲げられる金属アームに取り付けた。位相ずれ電圧が電磁石に印加されたときに、交流磁力が発生し、これが金属アーム及び永久磁石を同時に回転させた。回転する磁石は磁気ビーズを引きずり、溶液を撹拌した。この単純な手法を採用して、PCR精製の最終段階において0.5Hzの混合速度で、溶出緩衝液をDNA結合磁気ビーズと混合した。
in situハイドロゲル弁
PCR工程中、4℃〜94℃の空気溶解度変化は約3.1psiの圧力を生じる可能性があった(Chiouら、Anal.Chem.、2001年、73巻、2018頁)。閉じ込められた可能性のある気泡は、94℃で3.7psiのさらなる圧力を与えることになろう(Liuら、Anal.Chem.、2002年、74巻、3063頁)。そのため、好ましいマイクロ弁は、少なくとも6.8psiの圧力に耐えることができ、チャンバ内へのPCR混合物のシーリングの成功を確実にするはずである。
ハイドロゲル弁は、一定加圧された貯水器(8psi)とデバイスの間に接続された液体流量計(SLG1430、Sensirion)を用いて、単一チャンバデバイス上で使用される前に試験した(図5b)。デバイス下部の熱電ヒータによって弁が冷却及び加熱の繰り返しを受けたときの、流速変化をモニターした。図15は、時間の関数として弁温度及び流速を示す。弁寸法は1.5mm×1.5mm×0.5mmであった。ハイドロゲルのLCST(32℃)より低い温度では、熱反応性ハイドロゲルは膨張して弁を遮断したことが、流速の減少によって示された。温度がハイドロゲルのLCSTよりも高い場合、ハイドロゲルは体積が収縮して流体フローがチャネルを通過するのを可能にした。図15に示すように、弁機能は、弁の開閉時間がそれぞれ約5秒及び約20秒で高度に繰り返し可能であり(図15の挿入図参照)、ヒータ下部の傾斜率、及びハイドロゲル膨張/脱膨張プロセスの水分拡散速度(Richterら、Sens.Actuators B、2004年、99巻、451頁)によって制限される。閉じられた弁は、8psiで漏れを示さず(流速ゼロ)、PCRチャンバをシールするのに十分強力であることを示した。Yuら、Anal.Chem.、2003年、75巻、1958頁は、in situ光重合NIPAAmベースの弁が200psiまでの圧力に耐えることができることを報告した。Wangら、Lab Chip、2006年、6巻、46頁及びWangら、Biomed.Microdev.、2005年、7巻、313頁もまた、化学重合したNIPAAmハイドロゲル弁を、事前合成したハイドロゲルを流路中に手動で挿入することによってPCRと統合することに成功したことを記述した。
PCRサーマルサイクリング
遺伝子合成プロセスを、シリコン基板上でPDMS流体構造からなるチップに統合した。PDMSは、高度に統合された生物学的マイクロシステムを構築するために優れたものになる多くの興味深い材料特性を有するが、その非特異的タンパク質吸着(Zhang及びXing、Nucleic Acids Res.、2007年、35巻、4223頁;Huangら、Lab Chip、2005年、5巻、1005頁)及び水蒸気透過性(Prakashら、Sens.Actuators B、2006年、113巻、398頁)が、少ない体積及び高い表面対体積比を有するマイクロ流体環境においてPCRを実行するのに問題を引き起こす恐れがあった。これらの問題に対処するために、本発明者らは、製造したデバイスを2μm厚のパリレンで被覆し、水蒸気拡散に対するバリアを形成し、PCR混合物との表面適合性を向上させた(Shinら、J.Micromech.Microeng.、2003年、13巻、768頁)。
サーマルサイクリングのために、加熱シンク及びファンを有する熱電モジュールを利用した。図16は、PCRチャンバ内に埋め込んだ熱電対以外は実際のデバイスと同一の大きさを有する、較正チップから得たサーマルサイクラーの温度プロファイルを示した。ヒータ表面及びPCRチャンバ内の温度を測定した。これら2箇所の間の温度差は、500μm厚のシリコン基板が5℃を超える温度低下を引き起こす可能性があり、サーマルサイクリングの操作中に補正されたことを示した。図16から推定した加熱及び冷却速度は、それぞれ2.4℃/秒及び4.3℃/秒であり、これは市販のサーマルサイクラー(DNA Engine PTC−200)よりも速かった。
PCRチャンバは、7μLの量を考慮して設計した。PCR法によって合成された遺伝子は、完全長DNA及び長さの短い中間段階の両方を含有していた。合成後、通常ゲル電気泳動を実施して合成の成功を確認し、完全長産物を分離し、次いでこれを、ゲル抽出キットを使用することによってゲルから抽出した。一部のDNAは、これらの段階及びピペッティング工程のために失われた可能性があった。PCR混合物を、60℃で熱電ヒータによって開いたままにされたハイドロゲル弁を通してPCRチャンバ中に導入した。PCRチャンバが溶液で満たされたら、ハイドロゲル弁を4℃まで冷却し、チャンバをシールした。高い熱伝導性を有するシリコンをデバイス基板として使用したため、PCRチャンバ及びハイドロゲル弁を離して配置し、PCRサーマルサイクリングと弁操作の間の熱的干渉を最小限に抑えた。95℃の温度まで達する可能性があるサーマルサイクリング中に、PCRチャンバをシールするために、ハイドロゲル弁は転移温度より低く保たなければならない。PCRチャンバと弁間の熱的干渉を抑制し、デッドボリュームを減少させる1つの方法は、ポリマー基板(ポリカーボネート等)(Zouら、Sens.Actuators A、2002年、102巻、114頁)又はWangら、Lab Chip、2006年、6巻、46頁、及びYangら、J.Micromech.Microeng.、2005年、15巻、221頁によって報告された、基板の水平方向の熱流を抑制するための分離トレンチを使用することである。
1段階及び2段階遺伝子合成の比較
PCRアセンブリのためのサーマルサイクラーの要件は、標準的なPCR増幅と同じであった。しかし、PCRアセンブリに関与するオリゴヌクレオチド数は、標準的なPCR増幅よりもはるかに多かった。様々な融解温度を有する10個のオリゴヌクレオチドを含む溶液のプールから、完全長DNAを構築した。遺伝子合成の成功効率は、ポリメラーゼ、アセンブリオリゴヌクレオチド及び増幅プライマーの濃度、並びにオリゴヌクレオチドの構造及び特性を含むいくつかの重要な因子に依存していた(Coxら、Protein Sci.、2007年、16巻、379頁;Wuら、J.Biotech.、2006年、124巻、496頁)。
オリゴヌクレオチド及びプライマー濃度のベースラインを特定するため、GFPuv(760bp)セグメントを、2段階PCRプロセスを使用してオリゴヌクレオチド濃度を5〜25nM、及びプライマー濃度を0.1〜0.4μMに変動させることによって、短いオリゴヌクレオチド(40塩基)のプールから合成した;これは市販のサーマルサイクラーにおいて実施した。まず、所望の完全長産物を、外側プライマーを用いずにオリゴヌクレオチドからアセンブリし(PCAアセンブリ)、次いでこれらのプライマーを二次PCRで添加することによって増幅した(PCR増幅)。マイクロ流体デバイス設計を適合させるために(図5c)、等量の新たな増幅反応混合物で希釈したPCA産物を用いて、PCR増幅を行った。
PCAアセンブリ(図18a)及びPCR増幅(図18b)に関するゲル電気泳動結果を、表示したオリゴヌクレオチド及びプライマー濃度について示した。PCAはスメアーなゲル結果を有し、アセンブリ産物が、大部分が所望の標的(760bp)よりも低分子量を有するDNAのスペクトルを含んでいたことを示した。10nM未満の濃度のオリゴヌクレオチドからアセンブリされた産物では、完全長DNA(760bp)の量はごく少量でPCAゲル画像では視認できなかったが、PCR増幅によって効率的に増加した。PCRゲル画像は、5nMのオリゴヌクレオチド濃度並びにそれぞれ0.1μM、0.2μM及び0.4μMのプライマー濃度で合成された試料1−1〜1−3を示した。他の試料は、使用したオリゴヌクレオチド濃度が10nM、15nM及び25nMであったことを除いて、試料1−1〜1−3と同じであった。10nMを超えるオリゴヌクレオチド濃度及び0.1μM及び0.2μMのプライマー濃度を用いた合成は、所望の完全長(760bp)産物を提供することができなかった。対照的に、0.4μMのプライマー濃度を用いて行った合成は全て、標的の760bp DNAを生成することに成功した。4つの試料のうち、試料3−3(15nM、0.4μM)及び4−3(25nM、0.4μM)は、PCA段階によって最初に生成されたより完全な長さのDNAを有するが、10nMのオリゴヌクレオチド濃度及び0.4μMのプライマー濃度を用いた試料2−3が最も完全な長さの生成物を生成した。これらの結果に基づいて、10nMのオリゴヌクレオチド濃度及び0.4μMのプライマー濃度を、マイクロ流体デバイスにおける遺伝子合成のために選択した。
最適化されたオリゴヌクレオチド及びプライマー濃度で、1段階(単一チャンバチップ)又は2段階マイクロ流体デバイスを使用することによって、短いオリゴヌクレオチド(40塩基)のプールからGFPuv(760bp)を合成することに成功した。ゲル画像において、所望の生成物の強力な主要なバンドが得られた(図19)。視覚的に推定したマイクロ流体デバイスの収率は、市販のサーマルサイクラーを用いてPCRチューブにおいて行った対照の約50%であった。これらは、PCRチャンバ(7μL)と弁間のチャネルにおけるデッドボリューム(2.87μL)によって制限された。デッドボリューム内のオリゴヌクレオチド混合物はアセンブリされなかったが、溶出溶液の約30%に寄与した。ゲル結果もまた、パリレンがPCR反応混合物と適合し、試薬の水蒸気透過性PDMSからの蒸発を効果的に防止したことを示した。
1段階プロセスと比較して、2段階プロセスは、同量の開始オリゴヌクレオチドからより多くの完全長産物を生成した。1段階プロセスにおいて、アセンブリ及び増幅を同時に実施し、一定量のオリゴヌクレオチド及びモノマー(dNTP)について競合し、より低分子量の中間段階産物を与えた(図19a)。2段階プロセスにおいてプロセス競合は最小限に抑えられ、より多くの完全長産物をもたらした。2段階プロセスは、完全長DNAを生成できないこともある1段階プロセスよりも信頼できることが報告された(Gaoら、Nucleic Acids Res.、2003年、31巻、e143頁;Xiongら、Nucleic Acids Res.、2004年、32巻、e98頁)。2段階プロセスを用いる遺伝子合成はまた、アセンブリ及び増幅工程を別個に最適化するための異なるアニーリング温度を可能にした。
アセンブリ配列は、DNAシーケンシングによって同定した。マイクロ流体デバイス及びPCRチューブ由来の合成産物を、さらなる精製を行わずに、PCR(登録商標)2.1−TOPO(登録商標)クローニングベクター(Invitrogen)を使用して直接クローニングした。中間段階産物と同様に完全長標的を全てクローニングし、合成産物の実際の組成を反映させた。
表1はシーケンシング結果を示す。完全長クローンから計算したキロベース(kb)当たりのエラー率は、1段階プロセスではデバイスにおいて3.45、PCRチューブにおいて4.36、2段階プロセスではデバイスにおいて4.01、PCRチューブにおいて4.10であった。これらの値は、報告されたエラー率の範囲(kb当たり1.8〜6)内であった(Tianら、Nature、2004年、432巻、1050頁;Xiongら、Nucleic Acids Res.、2004年、32巻、e98頁;Hoover及びJ.Lubkowski、Nucleic Acids Res.、2002年、30巻、e43頁;Withers−Martinezら、Protein Engr.、1999年、12巻、1113頁)。
大部分のエラー(>85%)が1塩基の挿入、欠失及び変異に関連していた。エラー率の差がないことは、これらのエラー率が合成方法(デバイス対PCRチューブ)及びプロセス(1段階対2段階)とは無関係であることを示唆した。Hoover及びJ.Lubkowski、Nucleic Acids Res.、2002年、30巻、e43頁及びTianら、Nature、2004年、432巻、1050頁は、最も多いエラーは、ポリメラーゼ酵素の正確性ではなく、合成オリゴヌクレオチドの質に起因することを指摘した。
オリゴヌクレオチドが、約98.5%の工程効率で塩基ごとに化学合成された(Hecker及びRill、BioTechniques、1998年、24巻、256頁)。完全長オリゴヌクレオチドの全体収率は、オリゴヌクレオチドの長さが増加するにつれて減少した。例えば、標的として40塩基長の合成産物において、わずか54.6%のオリゴヌクレオチドのみが完全長であった。
完全一致配列及びミスマッチ(1塩基及び複数塩基)を有する夾雑物の両方を含有する合成オリゴヌクレオチドの基礎単位は全て、PCR工程に関与し、不正確な配列の生成物を生成する可能性があった。対照的に、DNAポリメラーゼは約10〜6塩基/複製の複製正確性を有しており(Clineら、Nucleic Acids Res.、1996年、24巻、3546頁)、これは合成遺伝子産物のエラー率より3〜4桁低かった。マイクロ流体デバイスにおいて遺伝子合成を行うことは、マイクロPCR1段階遺伝子合成においてKongら(Nucleic Acids Res.、2007年、35(8)巻:e61頁、e−pub 2007年4月2日)により示されたように、合成産物の正確性を向上させない可能性があった。しかし、処理時間及び試薬コストを減少させ、人的プロセス因子を排除するはずであった。
PCR産物クローニング及びDNAシーケンシングは、正確な合成産物が得られたことを確かめるために必要であった。これらのプロセスは、ラボの相当な労力を伴った。エラーを含まない遺伝子を得るために、望ましくない不完全なDNA又は所望の完全長DNAを含む可能性のある、多くの無作為選択したクローンをシーケンシングした(Binkowskiら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻、e55頁;Carrら、Nucleic Acids Res.、2004年、32巻、e162頁)。2段階プロセスのより高い完全長収率によって有効な完全長クローンを得る確率が増加し、エラーを含まない遺伝子を獲得した。2段階プロセスによって作製された4個のうち約3個のクローン(PCRチューブにおいて35/47)が完全長産物を含んでおり、これは1段階プロセスで作製されたもの(3個のうち約1個のクローン(PCRチューブにおいて16/47))よりも多かった(表1)。したがって、エラーを含まない遺伝子を得るために必要なコロニーシーケンシング数並びにクローニング及びDNAシーケンシングの労力を最低限に抑えるために、特に長いDNAに関して、2段階プロセスが好ましいはずである。
熱によって向上される固相PCR精製
合成産物のエラー率を減少させるための、チップ上での、無細胞タンパク質合成(Meiら、Anal.Chem.、2006年、78巻、7659頁;Noireaux及びLibchaber、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2004年、101巻、17669頁)(タンパク質伸長のために合成遺伝子を直接使用)及び酵素エラーフィルター処理方法の統合(Binkowskiら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻、e55頁;Carrら、Nucleic Acids Res.、2004年、32巻、e162頁;Fuhrmannら、Nucleic Acids Res.、2005年、33巻、e58頁;Brownら、Biochem.J.、2001年、354巻、62725頁)等の適用に関して、磁気ビーズを用いるPCR精製方法(チャージスイッチPCRクリーナップキット、Invitrogen)に基づいて、固相緩衝液交換工程を2段階マイクロ流体デバイスに統合した。このプロセスは、短いプライマー及びdNTPからアセンブリ産物を精製すること及び下流用途の緩衝溶液を調製することを目的とした。Jemereら、Electrophoresis、2002年、23巻、3537頁;Westら、Sens.Actuators B、2007年、126巻、664頁;及びBreadmoreら、Anal.Chem.、2003年、75巻、1880頁により報告された別の核酸抽出方法と比較して、シリカ被覆磁気ビーズは、デバイス統合を簡略化するのに役立つ可能性があった(Liuら、Anal.Chem.、2004年、76巻、1824頁;Choら、Lab Chip、2007年、7巻、565頁)。
チャージスイッチは、別の報告された方法(Westら、Sens.Actuators B、2007年、126巻、664頁;Breadmoreら、Anal.Chem.、2003年、75巻、1880頁)と同じ手法を利用した。まず、高イオン強度条件下でDNAをシリカ表面上に吸着させた。結合していない夾雑物を洗い流し、次いで吸着したDNAを、pHのより高い溶液(10mMのTris−HCl、pH8.5)中に放出した。チャージスイッチキットは、まず、対照として既知DNA量(1.19μg)とともに100bp DNAラダーを使用して、製造業者によって示される手法及びプロトコールに従って、標準的なPCRチューブにおいて最適化した。
試薬量を変更して、マイクロ流体デバイスの設計に適合させた。PCRチューブ及び100bpラダーを使用してベースラインプロトコールを確立した後、その手順を、100bp DNAラダー及びPCR合成産物に関してマイクロ流体デバイスに適用した。100bp DNAラダーの全量(1.19μg)又はPCR産物(1.98μg)は、ロードされたチャージスイッチビーズの結合能力未満であった。製造業者のプロトコールに基づくと、チャージスイッチビーズは90bpを超える長さを有する二本鎖DNAに結合するはずであり、したがって100bp DNAラダーを対照として選択した。DNA抽出は、DNA捕捉、夾雑物洗浄、及びDNA伸長の3つの段階を含んでいた。DNA溶出条件(時間及び温度)を検討して、抽出効率を増加させた。
捕捉及び放出されるDNAの割合として定義される抽出効率を、図20に示した。UV−Vis分光光度計によって、もとの及び溶出したDNA試料の量を測定した。全ての測定を3回繰り返した。100bp DNAラダーの平均抽出効率は、7μLのTris−HCl緩衝液(10mMのTris−HCl、pH8.5)中で、25℃で3分間溶出させて、PCRチューブにおいて65.4%、マイクロ流体デバイスにおいて42.2%であった。吸着されたDNAの溶出温度が上昇した場合、結合DNAの放出は増加した。抽出効率は、60℃で3分間インキュベートした場合、PCRチューブにおいて86%まで、及びマイクロ流体デバイスにおいて70%まで効果的に増加した。さらなる温度の上昇は、抽出効率を向上させなかった。抽出効率は、インキュベーション時間の増加(2分から3分)によってわずかに向上した(<10%)。熱によって向上するDNA溶出は、Tris−HCl緩衝液におけるpH変化の温度効果又は結合DNAの熱モーメンタムの増加(Clineら、Nucleic Acids Res.、1996年、24巻、3546頁)によるものである可能性があった。
PCR合成産物では、60℃で3分間インキュベートした場合、抽出効率はPCRチューブにおいて76.6%(+3.38%、−5.66%)、及びマイクロ流体デバイスにおいて61.3%(+3.51%、−2.56%)であった。これらの効率は、100bp DNAラダーで達成された、それぞれ86%及び70.1%よりも低いものであった。この差は、dsDNAのような260nmの波長のUV光も吸収する短いプライマー及びモノマー(dNTP)によるものであった可能性がある。抽出効率の低下は、PCR産物中の夾雑物(短いプライマー及びモノマー(dNTP))が除去されたことを示唆した。熱によって向上するDNA抽出は単純であり、ゾルゲル誘導シリカ粒子(65%)(Breadmoreら、Anal.Chem.、2003年、75巻、1880頁)及びモノリシックゾルゲルマイクロチップ(85%)(Wuら、Anal.Chem., 2006年、78巻、5704)、及び高密度充填微細加工シリコン構造(75%)(Westら、Sens.Actuators B、2007年、126巻、664頁)によって達成されたものに近い抽出効率をもたらした。これは、特別な製造工程又は変更もなく、大部分のマイクロ流体デバイスと容易に統合することが可能であり、7μLの溶出緩衝液において20分以下で、マイクログラム量の抽出に成功することを可能にした。高い負荷能力(マイクログラム)は、PCR合成産物を抽出するために特に望ましいものであった。大部分の固相DNA抽出チップ(Westら、Sens.Actuators B、2007年、126巻、664頁;Breadmoreら、Anal.Chem.、2003年、75巻、1880頁;Wuら、Anal.Chem.、2006年、78巻、5704頁;Samperら、Sens.Actuators A、2007年、139巻、139頁)は、生体試料からのDNA精製のために設計され、わずかナノグラムの結合能を有するのみであった。短い熱ショック(3分間)は、マイクロ流体デバイスにおいて42.2%(25℃)から70%(60℃)まで、効果的に抽出効率を増加させた。
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されるべきではない。本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な変更形態が前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるはずである。このような変更形態は特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
本発明は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、材料、及び/又は方法を対象とする。加えて、上記の特徴、システム、材料、及び/又は方法が互いに矛盾しない限り、上記の特徴、システム、材料、及び/又は方法の2つ以上の任意の組合せが、本発明の範囲内に含まれる。
明細書及び特許請求の範囲において、「含んでいる(comprising)」、「含んでいる(including)」、「持っている(carrying)」、「有している(having)」、「含有している(containing)」、「から構成される(composed of)」、「でできている(made of)」、「から形成される(formed of)」、「含んでいる(involving)」等の全ての暫定的な表現又は包含の表現は、非制限的である、すなわち、「限定されるわけではないが含んでいる」、したがって、その後列挙される項目及びその等価物並びに追加項目を包含していることを意味すると解釈されるものとする。「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」の暫定的な表現又は包含の表現のみが、それぞれ制限的又は半制限的表現と解釈されるべきである。明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、そうでない旨が明確に示されない限り、「少なくとも1つの(at least one)」を意味すると理解されるべきである。「A又はB」という表現は、そうでない旨が明確に示されない限り、「A又はB又は両方」を意味すると理解されるべきである。
様々な出版物が本明細書において引用され、その開示は、引用されている出版物の文脈から理解されるように、参照によってその全体又は関連部分が組み込まれる。本明細書並びに参照によって組み込まれる文書及び/又は本明細書において言及される文書が、矛盾する開示及び/又は専門用語の整合性のない使用を含む場合、及び/又は組み込まれる/言及される文書が、本明細書において使用又は定義される用語と違う意味で用語を使用又は定義する場合、本明細書が効力を有するものとする。

Claims (20)

  1. ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバに制御可能に流体連通するPCRアセンブリ(PCA)チャンバを備えるマイクロ流体デバイスにおいて二本鎖DNAを合成するための方法であって、
    (a)複数の異なるオリゴヌクレオチド及びポリメラーゼを含有するPCAチャンバに時間変動する温度場を印加するステップであって、各オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチドに部分的な塩基相補性を有し、それによって末端PCRプライマーの非存在下でオリゴヌクレオチドをPCR用の鋳型にアセンブリするステップと、
    (b)ステップ(a)において作製された鋳型を、末端PCRプライマー、dNTP及びポリメラーゼを含むPCRプレカーサーミックスの存在下でPCRチャンバにロードするステップと、
    (c)PCRチャンバに時間変動する温度場を印加し、それによって二本鎖DNAを含むPCR産物混合物を得るステップと
    を含む、方法。
  2. デバイスが、PCRチャンバに制御可能に流体連通する精製チャンバを更に備え、
    (d)PCR産物混合物を精製チャンバ中にロードして、二本鎖DNAを固定し、それによって二本鎖DNAを遊離dNTP、プライマー及び重合していないオリゴヌクレオチドから分離するステップ
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 二本鎖DNAが磁気ビーズ上に固定される、請求項2に記載の方法。
  4. ビーズ固定化DNAを60℃で3分間の熱ショック条件に供することによって、二本鎖DNAを磁気ビーズから抽出するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
  5. デバイスが、精製チャンバに制御可能に流体連通するエラーフィルター処理チャンバを更に備え、
    (e)ステップ(d)において作製された二本鎖DNAをエラーフィルターチャンバ中にロードして、塩基対ミスマッチを含有する二本鎖DNAを除去するステップ
    を更に含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. デバイスが、PCAチャンバに制御可能に流体連通する精製チャンバを更に備え、
    (d)ステップ(a)において作製された鋳型を精製チャンバ中にロードして、鋳型を固定し、それによって鋳型を遊離dNTP及び重合していないオリゴヌクレオチドから分離し、その後ステップ(b)に進むステップ
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  7. 鋳型が磁気ビーズ上に固定される、請求項6に記載の方法。
  8. ビーズ固定化鋳型を60℃で3分間の熱ショック条件に供することによって、鋳型を磁気ビーズから抽出するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
  9. デバイスが、精製チャンバに制御可能に流体連通するエラーフィルター処理チャンバを更に備え、
    (e)ステップ(d)において作製された鋳型をエラーフィルターチャンバ中にロードして、塩基対ミスマッチを含有する鋳型を除去し、その後ステップ(b)に進むステップ
    を更に含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. デバイスがマイクロミキサを更に含み、
    ステップ(b)において、PCRプレカーサーミックスをステップ(a)において作製された鋳型と混合するステップ、及び/又は
    ステップ(d)において、PCR産物混合物をDNA吸着固相媒体と混合するステップ
    を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 精製チャンバに制御可能に流体連通する合成チャンバを備えるマイクロ流体デバイスにおいて二本鎖DNAを合成するための方法であって、
    (a)末端PCRプライマー、ポリメラーゼ、dNTP及び複数の異なるオリゴヌクレオチドを含有する合成チャンバに時間変動する温度場を印加するステップであって、各オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチドに部分的な塩基相補性を有し、それによって二本鎖DNAを含むPCR産物混合物を得るステップと、
    (b)PCR産物混合物を精製チャンバ中にロードして、二本鎖DNAを固定し、それによって二本鎖DNAを遊離dNTP、プライマー及び重合していないオリゴヌクレオチドから分離するステップと
    を含む、方法。
  12. ステップ(b)において二本鎖DNAが磁気ビーズ上に固定される、請求項11に記載の方法。
  13. ビーズ固定化DNAを60℃、3分間の熱ショック条件に供することによって、二本鎖DNAを磁気ビーズから抽出するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. デバイスが、精製チャンバに制御可能に流体連通するエラーフィルター処理チャンバを更に備え、
    (c)ステップ(b)において作製された二本鎖DNAをエラーフィルターチャンバ中にロードして、塩基対ミスマッチを含有する二本鎖DNAを除去するステップ
    を更に含む、請求項11に記載の方法。
  15. デバイスがマイクロミキサを更に含み、ステップ(b)においてPCR産物混合物をDNA吸着固相媒体と混合するステップを更に含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. デバイスが流体フローアクチュエータに作動可能に連結されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 流体フローアクチュエータがポンプ又は遠心機である、請求項16に記載の方法。
  18. 弁を備えるチャネルを介してチャンバが互いに制御可能に流体連通する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 弁が温度変化に反応性であり、PCRチャンバのシーリングを制御する弁が少なくとも6.8psiの圧力に耐えることができる、請求項18に記載の方法。
  20. デバイスが加熱素子、冷却素子、温度センサ、及び温度調節器に作動可能に連結されている、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
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