JP2010534294A - 燃焼機関及び燃焼機関の制御方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の内燃機関は、パルス電流発生器(6)と、少なくとも一つのチップを有する少なくとも一つの電極(5)と、前記発生器(6)による前記電極(5)への電力供給を制御する手段(7)と、前記電極(5)のチップが内部に配置された燃焼室(1)とを具備し、このチップは、最小離隔距離(D)だけ燃焼室(1)の内壁から離隔されている。電流発生器(6)と電極(5)とは、電極(5)への電力供給の間に発生する電力密度(R)が105ワット/cm3よりも小さくなるように形成され、この電力密度(R)は、前記電極(5)の供給電力(Pmax)を最小離隔距離(D)の3乗で除した商に等しい。
Description
本発明は一般的に、内燃機関の燃焼室内での燃料/酸化剤の混合物の点火の分野に関する。
具体的には、本発明は、
−パルス電流発生器と、
−少なくとも一つのチップを有する少なくとも一つの電極と、
−上記パルス電流発生器による上記電極への電力供給を制御する手段と、
−上記電極のチップが内部に配置された燃焼室であって、このチップが燃焼室の内壁から最小離隔距離(D)だけ離隔されている燃焼室と
を具備する内燃機関に関する。
−パルス電流発生器と、
−少なくとも一つのチップを有する少なくとも一つの電極と、
−上記パルス電流発生器による上記電極への電力供給を制御する手段と、
−上記電極のチップが内部に配置された燃焼室であって、このチップが燃焼室の内壁から最小離隔距離(D)だけ離隔されている燃焼室と
を具備する内燃機関に関する。
本発明は更に、
−パルス電流発生器と、
−少なくとも一つのチップを有する少なくとも一つの電極と、
−上記パルス電流発生器による上記電極への電力供給を制御する手段と、
−上記電極のチップが内部に配置された燃焼室であって、このチップが燃焼室の内壁から最小離隔距離(D)だけ離隔されている燃焼室と、
−上死点と下死点の間で滑動可能に燃焼室内に配置されたピストンと
を具備する内燃機関の制御方法に関する。
−パルス電流発生器と、
−少なくとも一つのチップを有する少なくとも一つの電極と、
−上記パルス電流発生器による上記電極への電力供給を制御する手段と、
−上記電極のチップが内部に配置された燃焼室であって、このチップが燃焼室の内壁から最小離隔距離(D)だけ離隔されている燃焼室と、
−上死点と下死点の間で滑動可能に燃焼室内に配置されたピストンと
を具備する内燃機関の制御方法に関する。
燃焼室内での燃焼は、エンジンの回転を最適化するために最適な時間では行われないことが多い。サイクル又はエンジン速度による点火時間のばらつきは、エンジンの効率を低下させ、汚染物質又は未燃物質の発生を助長する。
そこで、本発明の目的は、燃焼室内での酸化剤/燃料の混合物の点火時間を良好に制御するためのエンジン及び方法を提供することである。
この目的のために、冒頭で述べた一般的な定義に従う本発明のエンジンは、基本的に、電流発生器と電極が、上記電極への電力供給の間に発生する電力密度(R)が105ワット/cm3よりも小さくなるように形成されており、この電力密度(R)が、上記電極の供給電力(Pmax)を最小離隔距離(D)の3乗で除した商に等しいことを特徴とする。
同じ目的のために、冒頭で述べた一般的な定義に従う本発明の制御方法は、基本的に、酸化剤と燃料との混合物を燃焼室に送り、ピストンがその下死点から上死点の方へ移動するとき、ピストンが上死点に到達する前に、上記電極への電力供給の間に発生する電力密度が105ワット/cm3よりも小さくなるように、パルス電流を発生させて上記電極に供給し、この電力密度を、上記電極の供給電力を最小離隔距離の3乗で除すことによって計算することを特徴とする。
本発明を理解するために、「最小離隔距離D」が、点火プラグ電極のチップと燃焼室壁との間の、この点火プラグの要素と交差しない直線に沿った測定可能な最短距離であることに留意すべきである。したがって、この最小距離は点火プラグ電極のチップと燃焼室の壁によって形成される接地電極との間の最短路である。この電極のチップと燃焼室の壁の間に電気的な放電が起こる場合、この放電によって形成される電気アークの最小長さはこの最小距離Dに等しいと考えられる。
したがって、電気放電の発生の危険は、最小距離Dと電極への電力供給によって、又は電力供給とこの最小距離Dとの関数である電力密度によって決まる。
この問題に関し、図1の左側の拡大図は、燃焼室と点火プラグの拡大側面図である。上述の最小距離Dは図1の両図に見ることができる。点火プラグは、燃焼室内壁から絶縁された、チップを有する単一電極から構成されている。この内壁は、好ましくは接地電極を構成する。
本発明を理解するために、以下にPmaxで示す電力供給は平均電力であり、すなわち電極への中断しない供給時間にわたってこの電極に供給される電力の平均値である。
換言すると、電流発生器と点火プラグは、以下にRで示しかつR=Pmax/D3で定義される電流密度がR<105ワット/cm3になるように形成される。
電流発生器と電極をこのように形成することにより、電極に電力が供給されるとき、電極を取り囲む空気は、その温度が酸化剤/燃料の混合物の点火閾値を超えることなく、イオン化される。混合物を点火しないこの局部的なイオン化は、オゾン及び/又はイオン化によって生成される中間の炭化水素種のようなフリーラジカルを生じる。
その結果、燃焼室内に含まれる混合物が層化され、イオン化された空気とフリーラジカルがやや濃い領域が生じる。
その結果、燃焼室内に含まれる混合物が層化され、イオン化された空気とフリーラジカルがやや濃い領域が生じる。
この化学的な層化によって、混合物の自己点火時間の決定の精度が向上する。これは、自己点火時間の過度のばらつきを防止する働きをする。
酸化剤/燃料の混合物の自己点火は、好ましくは、燃焼室内の圧力と温度の状態が満足のゆくものであるとき、フリーラジカル及び/又はイオン化によって生じた炭化水素種を含む層の位置で開始される。
好ましくは、本発明はHCCIタイプのエンジン、すなわち燃焼が点火プラグによって開始されず、燃焼室内の圧力、温度及び混合物組成の状態が満足のゆくものであるときに自動的に開始されるエンジンに適用される。この種の自己点火エンジンの場合、電極への電力供給による混合物のイオン化は、好ましい自己点火領域を形成することによって自己点火を準備する。その際、このような点火を開始する電極への電力供給は必要でない。実際に、この種のエンジンでは、自己点火は、電力が電極に供給されない場合でも起こり得る。
混合物の化学的性質を局部的に変えることによってこのような好ましい自己点火領域/層を形成することは、燃焼室内での突然の大量燃焼の危険を回避する働きをする。
小さい電力を電極に供給することは、大きな電力の供給と比べて省エネになる。
例えば、電極への電力供給中に発生する電力密度を104ワット/cm3よりも確実に小さくすることができる。
この実施形態は、自己点火がイオン化によって確実に開始できない電力密度範囲を定める。このようなイオン化の時点では、エンジンの上死点の方へのピストンの上昇によって燃焼室内の圧力が上昇した後でのみ自己点火が発生する。したがって、自己点火は電極によって開始されず、圧力と温度の状態によって開始され、それによって燃焼の質が改善される。
例えば、電極への電力供給の間に発生する電力密度Rを、確実に102ワット/cm3〜104ワット/cm3にすることができる。
この実施形態は、自己点火がイオン化だけによって開始されないようにすることと、イオン化のレベルが自己点火ばらつきを大幅に低減するのに十分であることが確かな領域を定める。
例えば、パルス電流発生器は、確実に単一パルス電流を発生させることができる。
この実施形態は、エンジの電力供給の開発を容易にする。というのは、伝達される電力と放電率だけを定めればよいからである。
例えば、パルス電流発生器は、確実に交流電流を発生させることができる。
前の実施形態に代わるこの実施形態は、単一パルスの実施形態よりも長い時間にわたって混合物をイオン化し、それによって大きな容積を有するイオン化層の形成を促進する。
この実施形態では、パルス電流発生器は特に、1〜10MHz、好ましくは1〜5MHzの周波数を有する交流電流を発生させる。周波数のこの選択は、発生するフリーラジカル種の質を改善するために望ましい。
本発明による上述の方法を参照すると、ピストンを上死点の方へ動かして上記の燃焼室内の圧力を上昇させることによって、酸化剤と燃料との混合物の自己点火のための状態を作ることができ、且つ上記の混合物の自己点火の前に、上記電極へのパルス電流の供給を中断することができる。
この実施形態は、電極による点火の開始を阻止する。この点火は、燃焼室内の圧力と温度の状態が満足のゆくものになるとすぐに、自動的に開始される。
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、電極へのパルス電流供給時間は1〜20ミリ秒である。この時間は十分なフリーラジカルを発生させ、長期にわたって自己点火を繰り返すことを可能にするのに必要な時間に一致する。
本発明による方法によれば、電極に供給されるパルス電流は、単一パルス電流であってもよいし、1〜5MHzの周波数を有する無線周波数の電流であってもよい。
本発明のエンジンと方法を使用するために、電極の周りで発生器によって発生させられる電力密度Rは、イオン化時間での電極周りの温度が800Kよりも低くなり、好ましくは500Kよりも低くなるような密度である。この特徴により、電極への電力供給によって点火は起こらない。
本発明の他の特徴及び効果は、添付の図を参照する例示的で且つ非限定的な後述の説明から明らかになるであろう。
上述のように、本発明は、図1に示すものと同様の内燃機関に関する。このエンジンは燃焼室1を備え、この燃焼室内で移動ピストンは上死点と下死点の間でスライドする。上死点では燃焼室の容積が最小であり、下死点では燃焼室の容積が最大である。このエンジンは、チップを有する単一の電極を有する。この電極のチップは燃焼室の内壁から距離Dをおいて燃焼室内に配置されている。この距離Dは、電極の先端と内壁の間の最小距離(障害物の無い直線上で測定された距離)である。この距離は、電気エネルギーを燃焼室の壁に放出しない状態での電極の最大許容電力を決定する因子である。
電極5は、制御手段7によって生成される命令にしたがって、パルス電流発生器6によって選択的に給電される。
金属電極5はチップを有し、シリンダヘッドとも呼ばれる燃焼室1の壁に対してセラミック体によって電気的に絶縁されている。20〜30kVの電圧を有する電流発生器によって給電されるとき、電極はコロナ放電を形成する。このコロナ放電は、グロー放電8によって知られている均一な放電に関連しているかどうか不明である。この種の放電は、供給電力密度が105ワット/m3よりも小さいときに生じる。この電力密度Rが、上記の電極の平均供給電力Pmaxを最小離隔隙間Dの3乗で除した商に等しいことに留意すべきである。この放電は、電極のチップの周りの数ミリメートルあるいは1又は2センチメートルに制限された領域内でガスの部分的なクラッキングを生ずることによって、ガスの化学的組成を変更する。
好ましくはエンジンと本発明の方法の両方のために、この部分的なクラッキングを生じさせるための電極への電力供給が、エンジンの弁3、4が閉じた後で及び圧縮の開始の直前にあるいはこの圧縮中に行われる。
電極へのエネルギー供給又は電力供給は、コンピュータである制御手段7によって選定される。この電力はエンジン速度に従って可変である。好ましくは、電力供給時間は、1ミリ秒〜20ミリ秒で選定される。このようにして得られる部分的なクラッキングは、最初、電極5のチップの近くの領域8内にフリーラジカ及び/又は中間の炭化水素種を生成する。圧縮中、好ましくはスワール乱流が部分的なクラッキング生成物を含む成層領域9を広げる。
ピストンがその下死点から上死点へ移動する間に、クラッキングを可能にした電極への電力供給に続いて、燃焼室内の圧力が、空気/燃料の混合気の自己点火が開始されるまで上昇する。このような開始は、特にフリーラジカル及び/又は中間の炭化水素種を含む領域において起こる。
図2a、2b、2cは、それぞれ一つ、二つ及び四つチップを有する三種類の電極を示す。これらの各電極は、本発明によるエンジンの電極を形成するため及び本発明方法を実施するために適している。放電の質を高めるために、電極は、五つ以上のチップを有さないことが好ましい。
各電極のチップは、好ましくは、10μm〜100μmのチップ曲率半径を有する。
各電極には、図3aのものと同様の電流を単一パルスモードで供給するか、又は1〜5MHzの周波数を有する交流電流をマルチパルス電流で供給することができる。いずれの場合も、電力供給は早期点火の発生を免れないレベル未満に、及び部分クラッキングを許容するレベルを上回るように、制限される。
そのために、上記電極の供給電力密度は102〜104ワット/cm3でなければならず、且つこの電力供給時間は1〜20ミリ秒でなければならない。
図4、5はそれぞれ、自己点火が起こるエンジンサイクルの一部に関する、エンジン燃焼室内の圧力の変化の例を示している。
図示の各圧力曲線の場合、燃焼室1内の圧力変化は時間の関数として記入され、この燃焼室は0.5の濃度(燃料/空気の比)を有するプロパン/空気の混合気を含んでいる。最初の圧力上昇は圧縮によるものである。すなわち、下死点から上死点へのピストンの移動によるものである。
最初の圧力上昇と、二番目の圧力上昇との間の時間のずれは、混合気の自己点火に相当している。
従来技術によるエンジンの回転を示す図4において、最初の圧力上昇の開始(約100ミリ秒)と二番目の圧力上昇の開始との間の時間間隔がサイクルによって変化することが観察され、早い自己点火サイクルと遅い自己点火サイクルの間で実際に100ミリ秒のずれが観察される。
それに対して、本発明によるエンジンの回転及び本発明の方法による回転を示す図5では、異なるサイクルの間の点火時間間隔のずれは実質的にゼロであることが分かる。したがって、自己点火の前に低下した電力を電極に供給することによって部分クラッキングを発生させることにより、一方のエンジンサイクルから他方のエンジンサイクルまでの自己点火時間を容易に予想することができる。
Claims (10)
- −パルス電流発生器(6)と、
−少なくとも一つのチップを有する単一電極(5)を備えた点火プラグと、
−前記発生器(6)による前記電極(5)への電力供給を制御する手段(7)と、
−前記電極(5)のチップが内部に配置された燃焼室(1)であって、このチップが燃焼室(1)の内壁から最小離隔距離(D)だけ離隔されており、電極が内壁から絶縁されている燃焼室と
を具備する内燃機関において、電流発生器(6)と電極(5)が、前記電極(5)への電力供給の間に発生する電力密度(R)が102ワット/cm3〜105ワット/cm3であるように形成されており、この電力密度(R)が、前記電極(5)の平均供給電力(Pmax)を最小離隔距離(D)の3乗で除した商に等しいことを特徴とする、内燃機関。 - 電流発生器(6)と電極(5)が、前記電極への電力供給の間に発生する電力密度(R)が104ワット/cm3よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする、請求項1記載の内燃機関。
- 電流発生器(6)と電極(5)が、前記電極への電力供給の間に発生する電力密度(R)が102ワット/cm3〜104ワット/cm3になるように形成されており、電流発生器の発生可能な電力許容最大値が、前記電力密度が常に104ワット/cm3よりも小さくなるように規定されていることを特徴とする、請求項2記載の内燃機関。
- パルス電流発生器(6)が単一パルス電流を発生させるのに適していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関。
- パルス電流発生器(6)が交流電流を発生させるのに適していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関。
- 前記パルス電流発生器(6)が、1〜10MHz、好ましくは1〜5MHzの周波数を有する交流電流を発生させるのに適していることを特徴とする、請求項5に記載の内燃機関。
- −パルス電流発生器と、
−少なくとも一つのチップを有する単一電極を備えた点火プラグと、
−前記発生器による前記電極への電力供給を制御する手段と、
−前記電極のチップが内部に配置された燃焼室であって、このチップが燃焼室の内壁から最小離隔距離(D)だけ離隔されており、電極が内壁から絶縁されている燃焼室と、
−上死点と下死点の間で滑動可能に燃焼室(1)内に配置されたピストン(2)と
を具備する内燃機関の制御方法であって、酸化剤と燃料との混合物を燃焼室(1)に送り、ピストンがその下死点から上死点の方へ移動するとき、ピストン(2)が上死点に到達する前に、前記電極(5)への電力供給の間に発生する電力密度(R)が102ワット/cm3〜105ワット/cm3になるように、パルス電流を発生させて前記電極(5)に供給し、この電力密度(R)を、前記電極(5)の平均供給電力(Pmax)を最小離隔距離(D)の3乗で除すことによって計算することを特徴とする、方法。 - 酸化剤と燃料との混合物を自己点火するための状態が、ピストンを上死点の方へ動かして前記燃焼室(1)内の圧力を上昇させることによって作られ、且つ前記混合物の自己点火に先立ち、前記電極(5)へのパルス電流の供給が中断されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
- 電極(5)へのパルス電流供給時間が1〜20ミリ秒であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
- 電極に供給されるパルス電流が、単一パルス電流又は1〜5MHzの周波数を有する無線周波数電流であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
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